○愛知
政府委員 お答えいたします。
ただいまの御
質問は非常に重大であり、かつ非常に廣汎にわた
つておるわけでございますので、ちよつとくどくなるかもしれないと思いますが、御説明いたしたいと思います。
九原則の関係でまず最初に、御
承知のようにいわゆる総合
予算の均衡ということが実行される
段階に入
つて参りましたわけでありますが、その際に
金融問題との関係で最も深刻な問題と思われます点は、從來
復興金融金庫あるいは農林
漁業関係におきましては、昨年の秋以來の農業
復興金融制度とい
つたような、
政府が出資をし、あるいは
政府資金が債券の形その他によ
つて介入しておりますような
金融制度というものが、一應現在までに出ておりまする総合
予算の面からは、原則的に消えたことでございます。この点が私
どもとして最も現在深刻な問題としてこの
対策をいかにするかということを、非常に頭を悩ましておるわけでございます。ことに具体的に申しますると、二つの問題があると思いまするが、
一つは、長期の固定する
資金を、この経済復興の波瀾の多い一
段階において、どうや
つて調達をするかということが
一つでありますが、それに対する
対策をどうや
つて行くかということであります。それから第二の問題は
相当長期にわたるけれ
ども、事の性質上長期間においては回收はできるけれ
ども、当面のところいわゆる
金融に乘り得ないかあるいは乘せることが非常に困難であるというような種類の問題について、どういうふうな
対策を講ずるか、具体的に申しますと、この二つになると思うのであります。
さらにもう少し掘り下げて申しますれば、第一の類に属します問題としては、たとえば
水産関係にいたしましても、漁船の建造はもちろんでございまするし、その他長期の施設に対する
資金をどうや
つて調達するかという問題でありまするし、それから第二の類に入ります問題としては、たとえば
漁業手形でございますが、御
承知のように
漁業手形については一部復金が保証する、間接的に
國家が保証するような形で、短期ではございますけれ
ども、その保証ということを基礎にして一般
金融機関の割振りを促進したわけでございます。かような次第でございまするので、まず第一に
機構として先ほど
農林大臣の御答弁にもありますように、私
ども大藏省の
立場からいたしましても、農林
復興金融金庫というようなものが、現在の
段階ではどうしても必要ではなかろうか、またそれがかりにいろいろの関係でできないとしても、せめて昨年の、二十三年度の第三・四半期から如めました農林復興特別融通というような形のものがこの
段階ではどうしても必要であろうと思
つておりましたところが、一應現在の
段階ではそういう計画が挫折をいたしたわけであります。
それから第二の
漁業手形の問題にいたしましても、これは今申しましたように、普通の短期の
金融ではございますけれ
ども、やはり裸の
漁業手形でございますと、どうしても一般の
金融機関がこれに対して
資金を向けるということはきわめて困難か、あるいは不適当、つまり不円滑だということが言えるわけであります。その陰の力になりましたところの復金というような、特殊の
政府的な
機構が、やはり今後新規の
融資はもちろん保証
融資な
どもできるとしましても、非常に小規模なものになるので、この問題におきましても新しい大きな問題が出て來たわけでございます。
漁業手形のごときは実は率直に申し上げますが、先ほど御
質問がございましたが、あぐり綱というような
程度にとどまらず、もしできるならばいわし綱、底引にも拡張しよう、さらにそのほかにもくふうを凝らすようと言
つてお
つたところが、そういうことで挫折をいたしたありさまでありまして、率直に申しまして当惑をいたしておるのであります。大体この九原則との関係において、現在新しく問題にな
つて参りましたこの二つの種類の問題があることは、今申し上げたわけでございますが、しからば今後一体どういうふうに
考えるべきかということにつきましては、非常に残念でございますが、ここに具体的に事務当局の案として申し上げる
段階までには実はまだ行
つていないわけであります。
ただこれは一般問題でありますけれ
ども、たとえば預金部
資金というのが二十四年度に、いろいろこれは前提がございますけれ
ども、常識的に達観的に申しまして、二十四年度中に大体三百五十億円ぐらいは新しい
資金の蓄積ができるのではないかと予想いたしております。その中で優先的にその
資金で消化しなければならないものとして、
地方債があるわけでございます。この
地方債がようやく二百三十三億というものが一應承認を受けでおるわけでありますが、それを優先的にこなした場合に、百億余りのものが一應計算上は残るかつこうにな
つております。本來非常に零細な大衆の預貯金、あるいは簡易保險、あるいは郵便年金というようなものでできておりまする預金部
資金でありまするから、これはやはりできるだけそういうような
資金の源泉として蓄積させる役に立
つために、これを運用すべきが当然と思
つておるのであります。そういう感覚から、たとえばこの
水産の問題などにどれだけの金を使い得るかということが
一つ考え得る
方法ではなかろうかと思
つております。しかしながらこれまた御
承知のように預金部
資金は終戦直後の指令によりまして、國償と
地方債だけは運用ができないことにな
つております。今計算上見込みとして余裕があるようなかこうにな
つております百二十億足らずの金にしましても、これを実際他の面に運用を計画しようといたしますると、根本的にいろいろ從來の指示を
考え直してもらう必要が起
つて來るわけでありまして、それらの点につきましても先ほど申し上げましたように、今日の
現状におきましては、実は毎日いろいろと勉強いたしておるのでございますが、
水産の
資金のみならず、一般的にそうい
つた資金面についての確たる
対策がまだ立
つていなもという
現状であります。