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鈴木國務大臣 御質問のお答えが前後しますか知れませんが、一番最後にお聞きになられた見返り資金の問題からお答えいたします。それは昨日の内閣
委員会だつたかと思いますが、御
承知のように失業対策の中心的の事業として、私の方からあれを御説明申し上げたのではないのでありまして、本來
公共事業というものが問題にな
つて公共事業費が少いじやないか、これを失業対策を強化する
意味において増加する、こういう
考え方を持
つておるか、こういう御質問があつたわけであります。それに対しまして、お答えしましたのは、
公共事業の費用は御
承知のように物價の騰貴というふうな面からもにらみ合せると、かえ
つて減つたと言えるくらいの状態である。これはその
通りであります。しかし今ここに予算の組みかえなり、補正予算を出して、そうして
公共事業費をふやすということは、これは直接大藏大臣の問題であるが、きわめて困難であり、特に所管外の私らが申し上げることではないが、ただここに一つの
公共事業的の、失業対策に対して彈力性を持つたもう一つの部内が
考えられる。それは見返り資金によるところの事業である。いわゆる
公共事業として予算の面において同じ扱いはしてはおりませんけれ
ども、ただいま計画されておる部門が電源の開発とか、それから公益中心の道路、港湾というものの開発という一連の相当大きな計画のもとに進んでおるからして、そういうものが進んで來れば、いわゆる
從來の
意味における
公共事業以外に、この面も直接的ではないにしても、失業対策の一つの彈力性として
考えることができるのではないかと思
つております。こういうことをお答えしたわけであります。同時に御指摘のようにあれは物が入
つて來てから資金化して、それから実際の資金になるものであるということも御指摘の
通りであります。この点につきましては、これも大藏大臣の所管でありますが、失業対策のことでも
つて、私と大藏大臣が列席して質問を受けたときに、そういうことも考慮して、日銀その他に対してつなぎ資金の援助という方式を
考えておる。そうして見返り資金の資金化という問題との時間的ずれという問題に対しては、ある程度考慮しておる。これは大藏大臣の
考え方でありますが、私列席して聞いておつたことでありますからお傳えしますが、そういうことも
考えておるから相当役立つのではないかと
考えております。時期の問題は何月何日ということは大藏大臣は言いませんでした。おそらく目下大急ぎで計画を
決定しつつある段階だと思います。
それから最初にもどりまして、民主自由党が社会保障
制度の完成までも含めた大きな労働政策を掲げたのではないか、そうではないか、その
通りであります。民主自由党も決して保守反動の政党であるはずはないのであります。保守党といえ
どもあそこまで政策が行き得るはずでありますし、当然だと思います。民主自由党があの政策を掲げておかしいと
考えられるのがおかしいのでありまして、当然だと思います。ただ現在の財政の状態、いろいろな点から
考えますると、一挙にそこまで持
つて行けない。たとえば失業保險の
制度におきましても不十分だという御批評もありましたけれ
ども、現在許され得る
條件のもとにおきましては、最大限の態勢を整えまして、すでに衆参両院においてそれが成立していることも御
承知の
通りであります。その他の問題は同様に
條件が許す限り、現在の情勢とも
考えあわせまして、その方向に民主自由党も私
どもも進みたい。
それから百七十万云々、これはおそらく
赤松さんの質問の中心をなすものと思いますけれ
ども、
失業者が相当出るということはむろん
考えられますけれ
ども、いつどこでどれだけ出るかということを具体的に時間的に地域的にはじき出すということは、おそらくだれもできないだろうと思います。百四十万ないし百八十万という数字は、漫然と想像したわけではないのでありまして、安定所の動きを通じ、
從來の労働省の
経驗を総合し、それから安本、商工省
方面の各産業の係とも檢討いたしまして得た数字でありまして、現在におきましては共産党の諸君からは一千万人の
失業者が出るというふうな、角度によりいろいろな見方もありますが、私
どもは現在のあの数字によるのが根拠があり、妥当なものと依然として思
つておるわけであります。來年度百万人の
國民経済の雇用量が開かれるかどうかという問題も、見方によ
つては開かれないという
考え方も一應も二應も成立つでありましようけれ
ども、これは安本が計画しつつあるところの再編成されたところの新しい計画とにらみ合せまして、最初は百十万、それからだんだんしぼ
つて來て、今では九十四万人とな
つておると思いますけれ
ども、そういう数字は來年度において一應出るという見通しをあえて労働省だけではなしに、安本、商工省とも檢討した結果知り得た数字でございます。