○
土橋委員 ただ今の
大臣の
お話によると、今まで
通りは増えないであろう。今君が言
つたとおりの論法には行かないであろう。こういうような御
答弁であ
つたのでありますが、
鉱山保安法の第
一條を見ると、これは明らかに
鉱山労働者の
災害の
防止というものが第一点であります。次は
鉱物資源が合理的に
開発せられるということを中心的に法文が書かれております点からながめましても、片や
労働階級における
労働條件なり、あるいはその他の
関係における問題が第一点と、
鉱物資源の合理的な
開発という
方面における
手順方法が第二点に
考えられていると思うのであります。そういう点を
考えて参りますと、ただいまのような御
説明ではなくして、われわれの見るところでは、現在
一般鉱山労働者諸君は、まず
賃金の面におきましても非常に困難な
状態で、後ほどまた
お話があると存じますが、現在全國的にストライキが行われている。こういう
状態の
原因は、現在の
賃金が平均一箇月
半程度の未拂いが行われている。また実際に受取
つている
労働者諸君は八割
程度の
賃金しか受取
つておらぬ。こういうような悲惨な現状に置かれているのであります。
従つて勤労意欲の低下はもちろん、
疲労困憊をいたしまして、
作業能率が減退するなり、あるいは
労働者の
労働力がきわめて弱
つているというような事実も顕著な事実であるのであります。従いましてこういうような
状態において、
炭鉱においては時間
外手当というような
方法において、
労働者が八時間
労働でありますにかかわらず、十時間
労働が強要されておる。あるいは
奨励金等の問題において、
労働者諸君は苛酷な長時間
労働のもとに働いておるという点があるのであります。そういたしますと、片方に御趣旨のように
労働階級については
災害を除去する、
災害を
防止するという建前と相関連いたしまして、そこに重大な
考えなければならぬ点があると
考えるのであります。また第二点といたしましては、そういうような
鉱物資源の合理的な
開発ということについて、今日まで、
大臣もお
認めにな
つておるように非常に無謀に
採掘をした、またそういう
設備についても十分や
つていない、
老朽であるというような事実に関連して、明らかに固定的な
設備が非常に荒廃をしておる、あるいは
老朽の
施設をそのまま駆使して、
労働階級の
犠牲においてそれがどうにか持ちこたえられておるという事実、あるいは安全措装置なり、その他
ガスとかあるいは
排水工事等が、
労働階級の非常な
犠牲の上にのみかか
つて行われておるという事実があることを、大体
認められてこの
法案はできておると思うのであります。そこで私が
大臣にお聞きしたい
重点は、
大臣も言われたように、今日まで
國家が
傾斜生産を中心としてあらゆる力を
鉱山労働者、特に
炭鉱労働者には費しておるのであります。その具体的な
方法においては、おそらく一千二百億以上もあろうかと思いますところの
復金の
融資が、ほとんど半数以上はこの
方面に
融資されておるのであります。あるいはまた
赤字融資等につきましても、はかることのできないような
融資が行われておるのであります。しかるにかかわらず、今日まで第二番目でありますところの完全なる
施設が行われておらない。あるいは三月末の
補填金にいたしましても、百七億というような巨額なものがこれにつぎ込まれておるにかかわらず、依然として
ガスなり排水なり、あるいは
坑内の
設備が
老朽であるというような事実について、われわれはあらゆることを聞いておるのであります。なぜこういうことにな
つておるのか。どういうわけでこういう
事態を引起しているか。それは今申し上げたような、いろいろな
災害の危険を受け、いろいろな不幸を受けるところの
労働者諸君の現実の問題が相関連をしておるのでありますが、こういう点について、われわれのいろいろな
資料なりあるいは聞いておる
内容について、
大臣もおそらく聞いておられると思いますが、この点を根本的に解決なり
究明をし、そういう
間違つた点があるということ、ここに
重点があるということを
考えなければ、この
法案を
個々の具体的な事象に照らし合せて見ても、その効果が上らないと思うのであります。一種の砂上の楼閣になると思うのでありますが、こういう点について
大臣はどういう御所見を持
つておられるか、ひとつお聞きしたいと思うのであります。