○田口
説明員 またお答え申し
上げますと、でたらめを言う、
信用ならぬというようなおしかりを受けるかと思いますが、一應
生産部門として
考えておりますることをこの際率直に申し
上げたいと思います。中小
炭鉱と仰せられますが、私どもは中小
炭鉱というふうに特別に
考えてはおりま
せん。ただ現在における企業の
経営がきわめて貧弱にして、こういうような情勢の場合に休廃止をするおそれが多分にあるというように
考えられるような
炭鉱も一應調査をしております。しかしこの調査も非常にむずかしいフアクターでございまして、はたしてどういうふうになるかは、結局先ほど來川上
委員からるる
お話がありましたように、当面の
金融の問題をどういうふうにつけるか、またそういうような
炭鉱に対して、
金融の方面について
政府の補償がつくかどうかというような端的な御質問があ
つたわけでありまするが、その問題が結局根本になるかと思います。私どもはここに当面の問題としては、なるほど金の問題が重要な問題であることは、むろんこれは肯定しておるわけであります。しかし
炭鉱の問題はひとり金だけの問題ではなく、ちよつと適当な例ではありま
せんが、たとえば自分の子供が金使いが荒いというようなときに、ここに二箇月なり三箇月なりの小遣銭をやりましても、またそれが金を
使つてしまうと、やかましく親に泣きつくというようなことがあるかと思います。そういうような場合、結局なぜその子供が金を使わなければならぬのかという根本をこの際訂正し、指導してやらなければならぬと思います。そういうような面から金はもちろん第一義的な問題でありますが、私どもとしてはまずこの根本を直して行かなければならぬ。たとえば中小
炭鉱でも從來、
公團のある間は、たといどういうような炭であ
つても、とにかく
公團の取扱う品位に合格するものなら、何トン
公團に持ち込んでもこれを買い
上げてくれたわけであります。
公團がなくなりますと、結局
需要家相手の問題でありますから、結局問題は品質の問題、それから
経営の
方法の問題ということに大略すればなるかと思います。そこで品質の問題でありますが、これはどうしても神様でない限り
公團が受取
つてくれる間は、品質について無関心であることは当然だろうと思う。しかし今度は銘柄を貴び、やはりいいものなら買うという態勢になるから、小さな
炭鉱、またはそういう非常に左前の
炭鉱でも、この際品質を
上げるということにもう一段の努力をすれば、品質を
上げることは決して不可能だとは私は
考えておりま
せん。最近
政府の方から現地に派遣いたしまして、小さな
炭鉱で非常に品位の悪いような
炭鉱に選炭技術の指導をさせておりますが、その実例を見ますと、宇部の小野田の
炭鉱でございますが、從來これは小さな
炭鉱でありまして、三千八百カロリーの非常に品位の悪い
石炭を出しておりましたが、選炭技術改善の指導班が参りまして、二十日ばかりいろいろ研究した結果、五千カロリーにまで
なつたという実例もあり、何と申しましてもこの際品位を
上げるということによ
つて、
需要家の方にいい炭を提供するということに、各
炭鉱も頭を切りかえていただきたいというふうに
考えております。なお
経営の方式においても、たしかに数多い
炭鉱の中には、今までの
石炭不足の波に乗
つたと申しますか、それによ
つて非常に
経営の
方法において拙劣な
方法をと
つてお
つた。またそのや
つております
炭鉱の埋蔵量も、ほとんど残炭掘りであ
つて、もう一箇年かそこらでなくなるということを
承知の上でや
つてお
つたという山もありまして、こういう山については各現地の
石炭局において着手を許可いたしましたときに、ここをやるということはなかなか
政府としてもむりではないかというようなことを申しましても、いやもう資材やその他についても自費でやるのであるから、ただ許可だけしてくれということで出された山も一両年前から多いのであります。ただ私どもはそういう山においてもこの際何とか
経営の合理化、能率の増進をはかることによ
つて休廃止を掘れるような指導なり、いろいろの御援助を申し
上げておる次第であります。さてしからばどの
程度炭鉱が、今後
公團の廃止の
あとに休廃止になるかということについて
——前回の
委員会のときにやはり十五万人というような
お話がございましたが、私どもはあくまでも先ほど來
お話いたしましたように、今日この危急を打開するために、
金融の
措置をまず立ててやるということは大切でありますが、まずよ
つて來るそういうような
経営のまずい
炭鉱を、この際直してやるということによ
つて、休廃止の
炭鉱をなるべく少くしようというように
考えておるわけであります。さてどのくらい今度つぶれるかというような御質問でありますが、これはただちにこれがつぶれるとは申せま
せん。ただこういう
危險があるから、そういうものには特に注意をしていろいろ指導しなければならぬというような
炭鉱が、全体の
出炭量で申しますと約六・七%、それから労務着の数にいたしますと約三万人
程度でございます。私はこれがただちに今後
公團の廃止とともに休廃止になるかと申しますと、私どもは何とかして、これは山がせつかくこの中で良質炭を出しておる、また良質炭を出すようになり得る山、また
経営合理化などによ
つて改善される山、そういうものをできるだけこの際落ちないようにしたいと思
つておりますが、一應九州、北海道で五千カロリー以下を出すような山それから常磐においては四手五百カロリー以下を出すようなもの、宇部においては四千カロリー以下の
石炭を出すような山について、特に赤字補給金をトン当り千五百円以上もら
つておるような山で、いろいろな面から埋蔵量あるいは
経営の
状況から見て危いような山をピツク・アツプいたしますと、今申し
上げたような数字になるわけであります。もちろん数多い
炭鉱のことでございますから、今日予断は許されないのであります。ただ今ただちにどのぐらいがそういう
危險にあるかということを研究してみますと、そういう数字が出て参りますが、私どもはそれについてはいろいろな技術的な指導、あるいは
経営の合理化についてのできるだけの御援助を申し
上げておるわけでありまして、從
つて先ほど來
お話がありましたような当面の
金融の
措置をどうするか、この
金融の
措置と今のような技術指導、
経営の合理化指導というものが、パラレルに各現地の
炭鉱に施行されなければ、なかなか今日のこの危機は切り抜けられないのではないかということをおそれておるわけであります。