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宮幡説明員 中小企業の問題、特に
金融の問題でありますが、昨日もこの点について若干のお答えを申し上げておきましたが、本日は
中小企業廰の方で認められた案ではなくして、通産省としてかく運用いたしたいという
希望的な案を安本に提出いたしたもので、協議の中心にな
つておる問題でありますが、これは資料をお配りすることにな
つております。それをごらんくださいまして御検討いただきたい。特に昨日
神田委員長代理から御検討がありまして、資料はなるたけこまかく出せということでありますから、その線に沿うて準備しております。これについて詳細をごらん願いたいと思います。しかしながらさしあた
つての問題でありますが、大体金詰まりということを川上
委員からもまた他の
委員からも言われるのでありますが、金詰まりということは、りくつにな
つてはなはだ恐縮でありますが、どういうふうに定義されておるのかということをまず第一番に
考えるのであります。金が詰ま
つて來たという
現実はわかるのでありますが、金が詰まるそのことは何であるかと申しますと、これがいわゆる先ほどからドツジさんのラインを修正しなければならぬじやないか。いわゆるドツジ・ラインから教えられました均衡財政に並行いたしておりますところの耐乏生活によるものであります。インフレが進みます過程におきましては、御
承知のように
資金の需要も旺盛であります。そしてその
資金を獲得いたしまして、物を
生産して一回轉すれば、必ず名目的な利益でも獲得できるのであります。そうしてまた貸す方におきましては、貸してや
つて物をつくらしてこれを販賈いたしますと必ずもうかるので、
資金の回收も確実であります。從
つてこれを
融資する折にきわめて放胆に
融資して参る。これがインフレの状況におきますところの
融資の面でありますが、ただいまのディス・インフレーションという形から申しますと、この
資金が逆に——インフレ当時には貸してくれというものに貸したくても
資金がまわ
つて來ない。通貨の量は増発されるにかかわらず、
資金の需要にこたえられないというのがインフレの状況であるのに対しまして、ディス・インフレにおいては、
資金は余
つておるけれども、同收の面において不確実であるというので、
金融をするということに対してきわめて果敢でなくな
つて來るのが、金詰まりの原因となるわけでありますから、
中小企業に対しましても、たとえて申しますならば、復金債を日本銀行で持
つておりますが、その復金債の引受けに関しまして、六百二十四億七千万円程度の償還をいたしまして、この
資金ができます。また二百五十億も予算の面から日銀へ償還されるわけであります。これを合わせますと九億以上一千億くらいの金があります。この金は日本銀行が貸せる
状態である。これは市中銀行を通じても、また旧來の特殊銀行的なものを使いましても、十分貸せるだけの元はあるのであります。しかしながら
状態が貸せられないということになる。そこにいわゆる札を持たせるということが、多耐乏生活の
趣旨に反するという
意味から出ておる。そこで
金融面を
関係筋の方と折衝いたしましても、非常にこの点において難関がある。施策とかあるいは
方法がないのじやないか、具体的じやないかという御説明もたくさんありますが、具体的の
方法は幾らもある。しかしながら金を持たせないことが、ディス・インフレ——経済の早期安定という方向にいち早くも
つて行く
方法であるという観点から、ある金が貸せられない実情である。そこでこれをどうして貸して行かせるか、貸すべきであるかという実際的な解決をはか
つておるので、そこに時間的なずれが相当ある。しかしこういう時間的ずれのために
中小企業は倒れて行くであろうという観点から、ただいまでは昨日も御説明申し上げましたが、とりあえず
中小企業に対しましては、二十五億円運轉
資金のわくを設けました。これは從來よりもおよそ倍額であります。これをそれぞれの
状態において貸し付ける、
資金を貸せる、こういう形でただいまあつせんしてや
つております。また長期
資金につきましては、これも昨日申しましたが、八十億程度のもの——これは見返り
資金が投資一点張りということにな
つております。そういう
関係上、この方面はエイド・ファンドの中から出してもらおうとせつかく折衝いたしておりまして、これの資料としてお配りする表の中に明示されておるのでございます。これは獲得困難でなく、またきわめて同收の上においても安全だと確信するものでありますから、この道は開けておる。ただ預金部
資金を運轉
資金の方面に使うであろうということが、どういう
関係か通産省の施策として
考えておるように流れたのでありますが、ただいま通産省といたしましては、預金
資金を流用いたそうというような
考え方は持
つておりません。しかしながら短
期間におきましては、御
承知のように財政法の改正によりまして、ただいまでは國庫の余裕金から一時予算に基づきまして流用を認められておる、操りかえ使用ができますようにな
つておる
関係上、預金部におきまして将來一定のルートから明らかに運轉
資金が注入されるであろう、その措置を待つことができない場合のつなぎ的な運轉
資金としては、預金部の
資金を流用したい、かように
考えてせつかく交渉いたしておるのであります。預金部
資金は御
承知のように総額四百二十三億と推定されておりまして、そのうち二百三十三億が地方の起債に充てられまして、残りが百九十億程度であります。その百九十億程度の中でわが省の必要といたしましております最低百五十億の運轉
資金、
中小企業の方で安心行く運轉
資金の所要量は二百億、これは、全部調達できないことは明らかであります。幸いにいたしまして、預金部の方は郵便預金の増加が比較的順調でありまして、さらにこの間の余裕があるのでありますが、預金部
資金の運用というものはあくまで具体的な、将來他から補填されるのであろう、繰りかえられるであろうというものの
資金に対しまするつなぎ的な融通をつけたい。なおそのほかに残
つておりますものは、今度大藏省所管から郵政省の所管に移管いたしました簡易生命保險の積立金がございます。この積立金というものは保險の性質上長期にわたります蓄積、これも
考え方によると二百億ないし三百億の運用は必ずしも困難ではありません。この面におきましては特別に話をいたしまして、
中小企業で最も必要な、いわゆる有効
資金として一般の
資金から供給されない面があれば、これがために近き将來において稼働
状態におもむき、また輸出振興といわず、あらゆる経済の安定に役立つであろうという
企業で
設備資金にという
企業で
設備資金に枯渇したような場合には、この面から融通を受けるような特別の手配もいたしております。たとえて申しますれば、本
委員会はきわめてなごやかな
委員会でありますからざつくばらんに申しますが、川上
委員のお
考えによりますと、何にもや
つていないじやないかと言われますが、何にもやらないどころじやない。一生懸命でや
つておりますが、
ちようど腹の減
つたときに食事をいたしますとすぐに満足いたしますが、病気に
なつたときに医薬をのんでも、すぐに全快しないと同じように、ドツジさんによ
つて下剤をのめと言われてのんだ。しかも疲労極度に達しておりまして、これから栄養をと
つておもむろに回復いたしまして、経済の早期安定、早期の自立、早期國際経済への参加を達成したいと同時に、達成すべき若干の確信と申しますか、強い確信をも
つてただいま
大臣のおさしずに從いまして努力いたしております。特に
中小企業の面につきまして申し上げますが、まじめな
意味で——先ほど金詰まりの中で理論的なことを申して恐縮ですが、銀行がまじめな貸付をする。こういう方面に政策
委員会を指導して参る。極端に申せば、銀行の支店長が頭をはねなければ貸さないのだという從來の
考えは改めまして、必要があればまじめに貸せるんだという方策をと
つてもらいたい。そうすればまじめな
中小企業に、必要な
資金が行き渡らないようなことはないと
考えているのでありまして、あるいは
お尋ねに対しまして適切な言葉でなか
つたかもしれませんが、以上、
今澄さんに甘えてお答えしたわけであります。
石炭を海へ投げ入れたという問題でありますが、これは私寡聞にして実際の報告を聞いておりません。一説には北海道で炭が余るから谷へほうり込んだらどうだというような
お話も前々から聞いております。しかしながらこれは川上さんからもいろいろ
お尋ねを受けまして、
公團を廃止した場合と廃止しない場合とは、趣が違うというような抽象的な
お話もして参りました。今日
大臣はかなり具体的な積極的なことを申しましたが、かりに
公團を廃止してこれを自由
價格にいたした場合に、石炭の需要はどうなるでありましようか。これは仮定論でありますが、石炭の單價は今の三千七百円の
状態にはとどまらないということは明らかだろうと思います。少くとも下まわ
つて來るだろう。かりに二千円に
なつたならば、今の北海道の寒冷地に住みます何百万の住民から、石炭が五千円では暖房用の石炭を買うこともできない。特別な
價格を設けろということは道をあげての陳情であり、請願であります。從
つてもしこれが二千円に
なつたならば買い得るのであります。しかも運賃プール等をはずしました場合においては、
生産地である北海道はこれを喜んで受け入れる態勢にあるのであります。またセメントにしても、三千七百円の石炭を買いましてセメントをつく
つたのでは、現在の
マル公ではとうてい引合わない。かりにこれが千五百円とかあるいは千二百円とかいうような、
もつと申し上げれば二千円というような現在よりもはるかに低い
價格に
なつたらば、石炭をどんどん買い入れてセメントを
生産する意欲が起きて來ることは当然であります。また塩業にいたしましても、塩は四十万トンの
生産をいたしたい。賠償
價格は一万一千円と思
つておりますが、平均
價格にな
つている。ところが塩は実際は平がまでは一万五千円程度かかります。平均しまして一万四千五百円程度の賠償
價格に引上げなければ、塩の
生産というものはできなくなる。その最大の原因をなすものは製塩のごときは格外炭でたくさんであります。あるいは亜炭等でたくさんであります。優良炭も相当数やらなければなりませんが、これらはやはり
價格の点で、もしこれを安く供給することができますならば、一万一千円の平均賠償
價格でも、四十万トンの塩の
生産達成ということは困難ではない。さらに進んでこれが四十五万トンとなり五十万トンとなりますと、御
承知のように、二千二百億に組み立てられておりますところの
價格調整費のうち、三十七億の輸入塩に対しまする補給金の節約ができまして、國内においてたとい
價格を仮定的に一万四千円に引上げましても、その補給金の減額によるものを減税の財源といたしますならば、消費全家庭に対しまするところの調和は完全にとれるであろうと
考えております。かような
意味におきまして、石炭の四千二百万トン程度のものを健全なる自由主義経済のもとに——これは野放しではありません。経済的合理性を追究せんとすることが、現在の新しい自由主義経済であります。このもとに立てられますれば、必ずや現在の貯炭量等は解決せられるということは信じて疑わないところであります。もちろん主義、主張の異なる面から
考えますれば、先ほど川上
委員からも
お話がありましたように、五千百七十億の税金がとれない。とれないということは國民が出さないという気持になればとれないのですが、出す気持になれば、これは通貨の量を縮小して参る強制貯蓄である。この通貨の数量の減少による物價の安定、ここにねらいがあるのでありますから、國民が耐乏生活を忘れ、戦いに負けたということを忘れて、おれは出すのはいやだという気持になりますならば、五千百七十億はおろか、三千億もとれない。國民が真に安定経済の、ドツジさんの
金融政策の耐乏生活の真の
意味を御理解願うならば、これはとることができる。從いまして、ただいままでの経済政策なるものは破綻を生ずることは私どもは
考えておりません。その余の問題につきましては、要するにこれは
考え方の相違である。主義、主張の相違であります。從
つて議論にわたりますので、こちらからしいて御
答弁を申し上げません。
石炭につきましては、さような
考えで、
政府が
処置してくれなければ海へほうり込んでしまうというような、一種脅迫的なことはあ
つたかもしれません。しかしこれらに対しては将來とも現在の経済、進むべき道等を懇切に
お話申し上げまして、かような基礎資材を海に投じて水の泡にいたしたくはないのであります。もしさような事実がありましたならば、通産省の
大臣の適切なる
処置によりまして、かようなことの発生しないように努力いたしたいと思います。