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宮幡説明員 ただいま川上委員から懇切にしてきわめて痛烈なる御
質問をいただいたわけでありますが、お
言葉のはしはしにありましたように、おざなりの答辞をするな。
委員会さえ通ればいいのだというような氣持は捨ててほしいという御要望でありましたが、ごもつともだと存じます。また
施策の足りないところは足りないで、その不敏を補うための
努力を重ねておるという意味合いにおきまして、当面お話申し上げてさしつかえないことは、簡明率直に申し上げたいと存じます。ただし川上委員も御
承知の通り、ただいまの
状態におきまして、率直に申し上げる限界というものはおのずからせばめ参られております。一言にして盡せば、先ほど万一
配炭公團が
廃止されたと
考えたならばということを申し上げましたところ、なぜ
廃止するときま
つたと言えないのかというようなことか、これが代表的な
言葉であろうと思います。どうぞその点につきまして、從来川上委員の御満足の行かない、か
つての商工省が御答辞を申し上げた数々もございましようけれども、今後は
通産省といたしましては、できる限りひ
とつ御納得の行く方法で話したい。この
努力を惜しまないことをまず申し上げます。たいへん盛りだくさんな
お尋ねでありますが、きようちようど大臣も閣僚も懇談会にただいま出席しておりますために、ちよつとこの席へ参られません。大臣ならばすばらしい答辞のできますものを、かわ
つての政務次官ではどうも御納得の行かないという向きもありましようと思いますから、その点につきましては次の機会に大臣からよく弁明させることにいたします。こまかいことは事務
当局から答えさせることにいたします。
概要について一應ただいま
通産省として
とつておりまする方針について、御
質問の点について
お答え場をいたしたいと思います。しかしこの第一として上げました
貯炭処理という問題、それと
貯炭公團は
廃止するのじやないかという二つの面からの御追究でありまするが、これは御
質問の間にもすでに要旨の食い違いがあると思うのでありまして、
自由販賣にしてしまうというようなことであるならば、また
貯炭の処理というものも違うのであ
つて、これは
配炭公團を存続するといえば、その処理方もおのずから違うのであ
つて、川上委員の御
説明によるならば、
配炭公團は当然やめるのにきま
つておるじやないか、こういう前提からの御
質問であ
つてみますと、第一の
貯炭処理という問題についての当方の
お答えにも、どの点を申し上げたら川上委員の御満足が行くかということについて、簡單な
言葉で申せば氣持がはなはだ迷うわけであります。從いまして万一川上委員の
質問の要旨と食い違いができましたような場合にはどうぞ御遠慮なく重ねて
お尋ねを願うことにいたしたいと存じます。
第一番に
貯炭の増加、処理問題についてのお話の中にありましたように、現在はただ
石炭だけの問題ではなく、全
産業に現われたところの不振の
状況というものは、貿易
政策の間違い、貿易の不振に原因するものであると思うがどうかというような
お尋ねで、ごもつともであります。貿易の不振の
状況が
國内産業に及ぼしておりますることは、
現実の問題として否定できません。理論的にこれを
説明し、
解決する道はないと思いますが、しかしながら貿易不振であるところの原因が、はたして現在の環境にありまする日本の政府
当局の全面的責任であるかどうかという問題につきましては、これはしばらく
考慮をめぐらす余地があるであろうと思います。御
承知の通り日本の貿易は長い間鎖國
経済の中から、たまたま片山内閣当時に貿易が再開せられまして、簡單に申せばめくら貿易であります。つんぼさじきに追い込まれた國民であります。從いましてそれらがか
つての古い体驗から割出しましたところの
國際経済の市場に不知な者が、勇敢に貿易の面に突入いたしたのでありまするから、もしこれが民間の
企業のトレイダーでありましたならば、やはり知らないで失敗したということで済むであろうと
考えますが、いやしくも國をあげての政治であります以上、さような弁解は通らぬわけであります。從いましてぜひ早く國際市場の
状況を知
つて、そのめくら貿易を脱却して、貿易不振の原因をまずただすべきである。かようなことは
通産省設置以来強力に推進いたしまして、すでに御
承知の通り海外自由渡航を許される方向に、
関係筋とも各般にわた
つての
交渉折衝を続けておりまして、幸いにしてその一部として、すでに発表せられましたように外貨を保留する。輸出により獲得しました外貨の三%あるいは六%、一〇%、各
物資によりましての保留分を認められまして、しかもこれは大月二十五日以後に積み出したものによ
つて保留せられる外貨でありまするこれを活用いたしまして、まず官民といわず適当なる人々を海外に送りまして、市場の
状況あるいは貿易に関します、文献、あるいは見本の改築、あるいは宣傳等に当らせまして、ぜひとも貿易不振の
現実を打解して参りたいかように
考えて切々とや
つておるわけであります。また先ほど申しました輸入炭の問題でありますが、この輸入炭の問題といたしましても、なるほど
計画といたしましては原料炭を百二十万トン入れたい、かようなことに
なつていますが、すでに國内的にも優秀なる原料炭が入手できる希望も
相当数量あるわけでありまするので、でき得べくんばかような援助貿易という
言葉は当りませんかしれませんが、結局、アメリカのガリオア・イロアの
資金につながります、日本の
経済の面におきまして御遠慮申し上げることができたならば、かような面もぜひ差控えていただきまして、そうしてもしこの百二十万トンが六十万トンになるか五十万トンになるか、極力これが輸入を抑制しまして、國内の原料炭資源の開発と増産によ
つてこれを補填して参る。かような方向に現在手を打
つておるわけでありまして、
貯炭の処理の問題については、おおむね
小金委員の御
質問に対しまして
お答えいたした通りであります。
産業の不在面的な不振をいかに回復すべきかの問題は、これは川上委員が具体的に
説明しろと仰せられましても、川上委員御自身御
承知の通り
産業の数百万種類と申してよろしいあらゆる
企業の業態、形態は、ここに具体的にこの問題についてこれだけの金をやる、これだけの
石炭を買わしめて、これだけのものを
生産せしめて、これをどこに売るかというようなことは、これは具体的に申し上げたくても申し上げることのできないものであります。從いまして、中小
企業がまず不振、中小
企業の有数購買力が
減退しておりますので、中小
企業等につきましてもか
つて誤り使えられました集中
生産方式等を断然排除いたしまして、
能率のいいもの、いわゆる
合理化されました
産業を保護育成する。それも從來のような官僚的な意味の保護育成ではありません。法的な統統や保護を加えまして、そうしてそれによ
つて育成しようというのでな、
企業意欲のため眞に協力、くふうをこらしまして、
努力に
努力を重ねることによ
つて企業の
合理化をはかる、かような面について御相談があれば、積極果敢にこれに対しまして適正なる御慶助を申し上げる。しかしながらこれは物的な援助ではありません。精神的な協力をいたしまして、一日も早く
能率的な
生産、すなわちコストが切下げられまして、貿易不振の最大原因に
なつておりますところの國際
價格の段階とのしわ寄せ及びさや寄せをいたしまして、
國際経済に参加できる態勢を
とつて参りたい、こういう総合的な
施策を
とつております。從いまして、ただいまは個々の問題について残念ながら具体的な事例として、この
産業についてはこうだということを申し上げる運びに
なつておらないことを、特に御了承を願いたいのであります。次に、鉄鋼
生産百八十万トンはどうするかというお話でありました。これはその内容は事務
当局からも申し上げますが、
計画生産の百八十万トンは本年
達成することに変更はございません。のみならず将来ともこれを変更するような要素を含んでいないと思います。百八十万トンは可能かという問題につきましては、すでに川上委員も御
承知でありましようが、日本鋼管の川崎工場に休止の
状態にありましたトーマス轉炉、これは、あらゆる面において
消費資材の節約ができますし、きわめて
能率的な轉炉でありまして、これも操業に入れまして、おおむね昨年の百二十万トン
生産の倍額
生産が
達成せられるであろうという操業
状態にありますので、突発的な惡
條件のない限り百八十万トンは
計画、実現ともに
達成でき得るものだ、かように
考えておるわけであります。
配炭公團を
廃止した場合
金融的措置は、二百億くらいの
資金がいるのではないかというお説でありますが、一應同感であります。これは
廃止したとした場合であります。
廃止するという前提ではありません。その二百億はむしろ川上委員のお見積り方の方が少いような氣持がいたします。二百二十億ないし二百三十億はいるであろう、かように推算いたしております。しかし金融については先刻も申し上げましたように、
資金の絶対所要量が三百三十億であるから、二百三十億を必ずそれに投げてやらなければならないかということは、これは
資金の効率、
資金の
回轉率というものを十分勘案しなければなりません。從いまして
炭鉱業の
資金の
回轉率が、もし六十日一
回轉、あるいは九十日一
回轉であるならば、この
資金の絶対
需要量では二百三十億ありましても、一時的にいります
資金の量は
相当集約できるものであろう。ただ総合したところにみだりにこれを
供給するということは、毛頭
考えておらないわけであります。それから
中小炭鉱の倒れて行くものを見殺しにするのか。これは見殺しにすることもなければ、
中小炭鉱であるからとい
つて特別な保護育成をしようとも
考えておらないのであります。しかし
中小炭鉱には、御
承知のように
中小炭鉱としての特異性があるわけであります。大
炭鉱にもまさるところの特異性炉ある。その特異性をむしろ個々の
炭鉱によ
つて生かして行く。あてがいます
條件は、大小を問わず國内普遍的に平等にいたしまして、そうして
企業意欲の働くもとにおきまして、やはり落伍して参らないだけの
努力はして行きたい。これがために政府あるいは当省といたしまして御援助申し上ぐべきところの総合
施策があるならば、その
努力は惜しまないという
観点でおるのであります。また
機帆船の問題も、先ほどちよつと
小金委員の御
質問に対して
お答えしておきました別、これは重油の不足が原因でありまして、何も離れ島やあるいは九州
方面の
石炭を
機帆船が積み出すのがいやだ。大型船が
石炭を積んで、また配炭するのをいやがる。そんなことで不足しておるのではないのであります。重油の不足、すなわち油の輸入というものが、ただいま
関係方面に申請中でありますが、從來は精製油をも
つて國内に注入せられるところの
制度でありましたが、精製油を輸入いたしますことについての不利は、私が申し上げるまでもなく川上委員十分御
承知のはずであります。從いまして、原油で輸入いたしまして、國内において製油いたし、そうしてその製油によ
つて、ほとんど原油からとりますものにむだがないといわれるのがこの石油工業でありまして、かような意味におきましてあらゆる資材を國内の
経済循環の中に流して参りたい、かようなことで原油で輸入いたし、精製油の輸入はぜひひ
とつ差控えたいというような
観点でせつかく
交渉中でありまして、アメリカの太平洋岸の油糟所、あるいは國内の製油工場等の整備をきわめて迅速にいたしたく、ただいまほんとうにかけひきなく急いでおります。これができ上りますれば、
機帆船に対しまして
相当の重油量を
供給できるであろう。しかる場合においては
機帆船の
操作もできるであろう。もしこれを放任いたしますならばお説の通り、先刻も申しましたが、おおむね十万人の
機帆船從業者の失業を見るというような、きわめて重大なところに差追
つておりますので、ぜひこの原油輸入、國内製油、そうしてこれらのあらゆる資材を他の
方面にも利用したいというので具体的に
努力いたしておりますが、遺憾ながら現在においてこれだけのことをこうしたという
現実的な、
数字的な
お答えを申し上げる段階に参
つておりません。
その次に
石炭の未拂金の問題でありますが、この関連
産業への未拂金は、お説の通り百五十億あるいはもつとあ
つたかもしれません。しかし、およそこの未拂金が他の関連
産業に惡
影響を及ぼすということにつきましては、從來の
石炭の國管法の俗に呼ばれるこの管理方式にも大いに反省を要する部面があります。つまり
石炭に対しまするところの補給金
制度でや
つてお
つたとするならば、これに対してもつと一段と強力なる監査等も実施いたしまして、眞に
石炭の
生産コストをとらえる等の方法、あるいは誤
つた経理の面を是正する等の方法を講じまして、もつと指導育成すべきであ
つたはずでありますが、やはりこれらの
制度になれない間のことでありまして幾多の欠陷を残していることは、これはおおうことのできない事実でありますが、さりとてこれが全部政府の指導よろしきを得ざるがゆえに発生した、かようには申しにくいと存じます。そこで関連
産業の未拂金の問題につきましては、先ほども度々申しますように
資金の運用は効率的なものである。かりに一個の
産業について百億の未
拂いがありますと、それが支拂われた結果においては各たまり、各枝に流れて参りましてこれが各
方面にうるおう。絶対におきましてはただ一箇所の百億の遅滯というものが、これが数万あるいは数百万の
企業に
影響を及ぼすという実情でありますので、そのもとを合理的に断つごとによ
つて一切が
解決するであろうというねらいから、関連
産業の末拠金もあえて川上委員の度々申されますように國民から收奪する税になる。これは川上委員のお
言葉をかりて申すのでありますが、あえて收奪というお
言葉をお使いでありますから收奪と申しますが、國民の血と汗から出て來たところの税金からなるものであります。ただ百五十億出したならば未拂金が関連
産業にまわるであろうという端的な
目標のもとに、これを易々諾々と出すことは問題であろうと存じます。あらゆる要素なりあらゆる角度から
檢討いたしまして、本年度もすでに十八億八千万円未拂金処置のために、この
方面に
金融措置を講じております。これによ
つて相当量の緩和ができておりまして、なおかつ眞に関連
産業の未拠金
解決のために、有効なる
資金の
供給をしなければならない絶対
條件となります。ならば、当省は進んでこれが
解決に
努力を惜しまないだけの決意を持
つております。
また自発の
炭代の問題でありますが、四十二億ぐらい未
拂いがあるであろうというお話でありました。これも
小金委員の御
質問のときに概略
お答えいたしたのでありますが、御指摘の五月末日では、ただいま記憶しております
数字ではおおむね二十九億の未拂金であります。しかしこれは配電会社に対する未收入金がありますので、これを取立てまして約二十億決済を促進させまして、そうしてあとに残るところの問題は、先ほど申し上げました三百五十万トンからさらに四百二十万トンへと
日発の
操作、川上委員によりますと火力発電はしなくてもいいのだというお話であります別、そうではありません。百万トンの
石炭を余分に使
つて発電能力を増加して参りたいという方向に進んでおりますので、この百万トンの増加した部分に対して、
公團それ自身に金も何も持
つておらぬのでありますから、これに対して適当な
融資をすることは当然であります。この理論によ
つて、あえて損だから
赤字でも、何でも
融資するというでたらめなことでなく、その
石炭増加によりまする必要品を
供給しようという
努力を
拂い、またその一部をや
つたということで、この点は大きな
言葉で申しますれば、実にこの問題に対しまする適切果敢な処置であ
つたと、御賞揚をいただきたいくらいの氣持を持
つております。なおその他の問題につきまして、こまかい点がごさいましたようでありますが、これは補充
質問として
お尋ねをいただきまして、各事務
当局から
お答えをさしていただきたいと思います。
なお鉄鋼
生産の問題については、ただいままだ鉄鋼
局長が見えておりませんので、この点はもし
お尋ねの時間中に参りませんでしたら、次の機会にお讓り願うことにいたしまして、その他の方はそろ
つておりますので、補充
質問としてこまかい点は
お尋ねいただきたい。
最後に申し上げますが、私の方もできる限りふところを拡げて皆さんの御納得の行く御
説明をいたしたい。また皆樣の御協力、御意見によりまして、日本の早期の安定と早期の自立と早期
國際経済への参加をいたしたい念願でありますので、どうかこの点特に川上委員も御了承を願いたいと思います。