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1949-05-28 第5回国会 衆議院 商工委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年五月二十八日(土曜日) 午前十一時三十分
開議
出席委員
委員長代理
理事
澁谷雄太郎
君
理事
小金 義照君
理事
村上 勇君
理事
川上 貫一君
阿左美廣治
君 岩川
與助
君
江田斗米吉
君
門脇勝太郎
君
高木吉之助
君 多
武良哲三
君 福田 一君 森下 孝君 柳原 三郎君
出席國務大臣
國 務 大 臣 青木 孝義君
出席政府委員
通商産業政務次
官 有田 二郎君
通商産業通商監
小滝 彬君
資源廳長官
進藤武左エ門
君
委員外
の
出席者
議 員 石野 久男君
外務事務官
松平
康東
君
外務事務官
吉川 重藏君
通商産業事務官
松尾泰一郎
君
通商産業事務官
佐久 洋君
通商産業事務官
武内
征平
君
通商産業技官
豊島
嘉造
君 專 門 員 越田 清七君 專 門 員 谷崎 明君 專 門 員 大石 主計君 五月十四日
電氣小委員中村寅太
君
委員辞任
につき、その補 欠として同月二十八日
衞藤速
君が
委員長
の指名 で小
委員
に
選任
された。 ————————————— 本日の
会議
に付した事件 小
委員
の
補欠選任
閉会
中の
審査
に関する件
貿易
に関する件 繊維に関する件
九州地方
の
電力需給状況
に関する
説明聽取
—————————————
澁谷雄太郎
1
○
澁谷委員長代理
これより
商工委員会
を開きます。本日は私が
委員長
の職務を行います。 まず小
委員補欠選任
の件を
議題
といたします。五月十四日に
電氣小委員中村寅太
君が
委員
を辞任せられて、
電氣小委員
が一名欠員と相な
つて
おりましたが、この際その
補欠選任
を行うことといたしまして、その
選任
の方法は、先例によりまして
委員長
において御指名申し上げたいと思いますが、これに御
異議
はありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
澁谷雄太郎
2
○
澁谷委員長代理
御
異議
なしと認めます。それでは
衞藤速
君を
電氣小委員
に指名いたします。 —————————————
澁谷雄太郎
3
○
澁谷委員長代理
次に、
閉会
中の
審査
に関する件を
議題
といたします。
本件
に関しましてはすでにたびたび御
協議
を
願つた
上、去る五月十九日の本
委員会
の決議によりまして、
鉱工業生産状況
に関する
調査
の件、
貿易産業
及び
中小企業振興
に関する
調査
の件、電原
開発
に関する
調査
の件、以上三件につきまして
閉会
中も
継続審査
を行いたい旨の申出書を、
議長
に提出いたしておきました。また
本件
につきましては
院議
による
決定
を見るに至
つて
おりませんが、去る二十六日の
議院運営委員会
におきまして、次の
通り從來
の
閉会
中の
審査
に関する
基準
を再確認するに
決定
いたしました。すなわち、 一、
閉会
中の
委員会
の
開会日数
は十日以内とすること。但し法規により
閉会
中もなお開く義務のある
委員会
はこの限りでない。 二、
閉会
中の
委員
の
派遣
については、
派遣日数
は十日以内とし、一人一回に限ること。 三、各
委員会
は定足数のないため
開会
のできないことのないよう、出席可能の小
委員
を
選任
してこれに当らせること。 なお
閉会
中の
審査
にあた
つて
は、
法律案
の
審査
または必要やむを得ない場合のほか、速記を用いないで懇談の形で議事を進めること。 以上であります。 つきましては、この際、まず
閉会
中の
審査
が
院議
をも
つて
決定
した場合の
閉会
中の
審査
のための
委員派遣
について、御
決定
を願
つて
おいた方が便宜かとも存するのであります。
委員派遣
につきましては、すでにたびたび非公式に御
協議
を願い、その大体の案も御承知の
通り
でありますが、先刻御報告いたしました
通り
、一人一回限り、期間も十日以内と相な
つて
おりますから、その
基準
に從うこととし、すでに御
協議
を願いました
通り
、
派遣委員
は三班にわかれまして、
商業
、
鉱工業
、
電氣各小委員
を各班に振りわけ、各班長はそれぞれ小
委員長
かこれに当ることとし、なお他の
委員会
より正規に
派遣
される方は本
委員会
の正規の
派遣委員
としては除きまして、
近畿中部班
は
商業小委員
が当り、六月六日より
向う
十日間に愛知懸、京都府、大阪府、
和歌山縣下
の
輸出産業
及び
中小企業
の
実態
について
調査
していただくこととし、
北海道班
は
鉱工業小委員
が当り、八月三十日より
向う
十日間に、
北海道地区
、札幌、平稲、歌志内、砂川、美唄、夕張、輪西、
函館各地
の
石炭鉱業
、
金属鉱工業
の
化学工業
の
生産状況
並びに
生産施設
を
実地調査
していただき、
九州中國班
は
電氣小委員
がこれに当り、六月十五日より
向う
十日間に福岡、熊本、鹿児島、宮崎、大分、廣島、
岡山縣下
の
電源開発
並びに
電力事情
について
実地調査
を願うこととし、これらの
議長
に対しまする
委員派遣承認申請
その他、
委員派遣
に関する手続は、あけて
委員長
に御一任を願いたいと思いますが、以上の取扱いに御
異議
はありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
澁谷雄太郎
4
○
澁谷委員長代理
御
異議
なしと認めます。以上申し述べました
通り
決定
いたします。 —————————————
澁谷雄太郎
5
○
澁谷委員長代理
次に
貿易
に関する件を
議題
として
調査
を進めます。まず最近の
極東情勢
について
外務省調査局長
より御
説明
を願います。
松平説明員
。
松平康東
6
○
松平説明員
私より中國の政情を
中心
といたしまして、
極東情勢
を御
説明
申し上げます。以下私の申し上げますことは、各
方面
の
観測者
の判断を単にひろう紹介するものでありまして、その趣旨でお聞き取り願いたいと存じます。
國共
の問題に関しまして、以下四点につきまして、でき得る限り簡潔に御
説明
申し上げます。 第一に
國共抗争
の
根本原因
につきまして御
説明
いたし、第二に
國民政府軍
が敗退した
理由
、第三に
中共
の持
つて
おる成果、第四に
中共
と、
蒋介石
との
関係
と
中共
の
貿易政策
、ことに
日華貿易政策
について御
説明
申し上げたいと思います。 第一の
國共抗争
の
根本原因
でありますが、
中共
の要望いたしておりまするいわゆる新
民主主義
は、現
段階
におきましては、これは
共産主義革命
を標傍するものではなくして、一
應資本主義
を是認いたしまして、現在支那の
工業化促進
のために、これらの
資本主義活動
の擁護を
根本
の
態度
としておるのであります。
從つて重要産業
を
國営
にいたしておりまするが、
一般企業
につきましては民営を
原則
といたしまして、
土地
も私有を許しておるのであります。この点から見ますと
中共
のいわゆる
民主主義
というものは、
最終目標
におきましてはこれは
共産主義
の実現ではありまするけれども、
現実
の
政策
の面におきましては、
國民党
のいわゆる三
民主義
と大きな
相違
を認めないのであります。もちろんこの
両者
の間にはそういう
事情
によりまして、
施策
における
根本
の
相違
はないのでありますか、ただ
両者
間にとうてい妥協のできない点があるのであります。それは
國共双方
が
武力
を持
つて
おりまして、一方が中國を
支配
し、その場合に
相手
はこれを滅ぼさなければおかないという
態度
でありまして、これは
政党政治
の國とは
根本
的に異るものであります。
從つて
先般の
和平八條件
の
國民政府軍
を
中共軍
に改変するという
條項
のごときは、
國民政府
にと
つて
これはいかに致命的であ
つた
かということはわかるのであります。
国民政府
から
武力
をなくしました場合には、次の瞬間に
中共
が
国民党政府
を滅ぼすことは、これは明らかでありまして、こういう
條件
のもとに
國共
の
全面的和平
が成立できなか
つた
ことは、おのずから明らかであるように思うのであります。それならば
李宗仁首相代理
が
和平
の努力をした
眞因
は、どこにあ
つたの
であろうかという問題が次に起るのであります。これは結論的に申しますると、
双方
とも
和平
を成立させる決意かあ
つたわけ
ではなくて、お互いにときをかせいでいたにすぎなか
つた
ように思われるのであります。すなわち
中共側
といたしましては、
軍事行動
によらずして
政治攻勢
によ
つて
、
國民党政府
の
勢力
を屈服せしむるねらいがあ
つたわけ
でありますが、しかしそれにまじめな希望をつないでお
つたわけ
ではないのであります。そうして
中共軍
が
予想
以上に早く進出いたしましたために、
占領地域
の整備と、
江南
への進出に対する
軍事行政経済対策等
の準備を整えるために、ここに時間をかせぐ必要かあ
つたわけ
であります。ここに
中共側
か
和平
に努力した
理由
の
一つ
があるわけでありますが、一方
李宗仁
の側といたしましても一時
中共
と
和平
をいたしまして、
將來
何か
政府
の
窮境打開
のチャンスをとろうとした含みがあ
つたの
でありますが、
中共
の
態度
から見まして
和平
には大きな期待をかけてはおらず、
最後
の腹といたしましてやはり
江南地区
における
軍事政治経済
の態勢を整えるために、ときをかせぐ
手段
であ
つた
ように思われるのであります。それから一方
和平交渉
は、
國民
に対する
双方
の思惑であ
つた
点もあるのでありまして、すなわち内戰は
國民
にとりまして非常に不愉快な事実であり、
從つて國民
が
戰い
を欲しておらない
事情
は、
双方
において考慮しなければならなか
つた
という事実があ
つた
ように思われるのであります。これが私が
説明
いたしました第一点に関するものであります。 第二の点は、
国民政府軍
は何
ゆえかく
も急激に敗退し去
つた
かという点であります。
世界
の東亜問題の
研究家
も、
政府軍
の
予想
以上の急速なる
敗北
に驚いておるのでありますが、敗因についてみなのあげるところを総合いたしますと、大体次のようなことになるのであります。それは
中共
が
勝利
を得たというよりも、
政府軍
が
勝利
を
失つた
という方がより当
つて
おるのでありまして、すなわち
政府側
が総くずれになりまして、その結果生じました
眞空
に
中共側
が入
つたの
だと言えるわけであります。
政府
は
抗日
戦後何ら適切なる
施策
を行わなか
つたの
みならず、
インフレーシヨン
、内戰の
継続
、
官僚
の
腐敗等
ことごとく
民衆
の苦しみを招來いたしましたために、
民衆
は
政府
から次第に離反して参りました。
中共
は
土地政策
によりまして一
應中農貧農
の
満足
を得ましたに反しまして、
政府側
の
土地改革
は机上のプランを出です、また
官僚資本
という公共の形をとりながら、一部
高級官僚軍閥
の
利益
を奉仕する
資本
か、
抗日戰
から終戦にかけて次第に強大にな
つたわけ
であります。これが
民族産業資本家
、
中小資産階級
への圧迫となりまして、さらに
政府
の
右翼反動派
が
民主的勢力
を弾圧し、学生初め
インテリ階級
は
政府
から次第に離反して
行つたの
であります。現在の
國民政府
は
民衆
の
利益
と
関係
のない
少数軍閥
、
官僚地主層
の政権に轉落したと言われておるのであります。また
政府軍
にいたしましても
政府
を守る信念に欠け、これが
中共
の
宣傳
に乗せられるところとなしまして、
政府軍
の
武器
を携えての投降、
戰意喪失
の
事態
を招來いたしました。これらが
政府側
をして予期以上の敗退に至らせた
原因
とな
つたの
であります。
蒋介石
は
敗北
は点と線に配置して、
各個撃破
を受けた
作戰的
な拙劣によるものであると言
つて
おりますが、
根本原因
はやはり今申しましたような心理的、
政治
的な
敗北
にあるよりに思われるのであります。 次に
中共
の
政策
について申し上げます。
中共
の
政策
につきましては、これは
世界
の各
方面
にいろいろな
見方
があるのでありますが、
中共
を
眞正
の
共産党
であると申しますものと、いわゆる
農業改革
を
主義
とした一種の
農民運動
であるという
見方
とであります。しかし結局
中共
は彼ら自身も
眞正
共産党
であると主張しておるようでありまして、
農業改革派
であることをみずから否認しておる文献があるのであります。しかし現在の
中共指導者
はマルクス、レーニンを信奉する
眞正
共産主義者
であるとは思われぬのでありますが、中国が
共産社会
になるかどうかは、これは
中共
の
指導者
の意図とは別箇の問題でありまして、中國の遅れた
経済社会段階
におきまして、
中共
の予定するコース
通り
順調に
施策
か進行するかどうかは、
將來
の
事態
を見るほかはないわけであります。また当面の問題といたしまして、これまで
中共
は
都市経済
を破壊することを内
戰上有利
としたわけでありますが、今後
中共
の責任といたしまして、
都市
に対する
施策
が
重要性
を帯びて來たわけであります。この場合に
米國
の
援助
がなくしてはたして
施策
が
満足
に行くかどうか。また
將來
の問題といたしましても
抗日戰
、内戰に荒廃したあとを受けて、
都市
の
商工政策
をいかに発展させて行くかというところに、難問があるわけであります。また
國民政府
のもとに、ほとんど破局に瀕しました
インフレーシヨン
をいかに
中共
がこれから処理して行くか。そのほか急激に膨脹いたしました
中共党員
の中には、
國民党
の
分子
を初めといたしまして、
種々
の
分子
を包含しておるわけでありますが、これらをいかに粛清し、いかに党内の統一をはか
つて
行くかという
過程
におきましても、
種々
問題があるように思われるのであります。 次に第四の点につきまして、これは
中共
と諸
外國
の
関係
、それから
中共
の
貿易政策
に関する点でありますが、第一に、
アメリカ
は
中共
との
関係
におきまして、ここしばらくは
現実
的な事実上の
関係
を維持して行くであろうと考えられるのでありまして、
中共政府
の
承認
の問題は、ここしばらく簡單には解決しないように考えられるのであります。
アメリカ
の
政策
は、今後中國において
民主的勢力
を育成することを目指し、またできるだけ
中共
を
ソ連陣営
に入れないようにするのが、そのねらいであろうと思われるのであります。
中共
といたしましても、
從來アメリカ
に対して深刻な非難をして参
つて
おるのでありますか、昨年十月、
満州
を占領いたしまして、
軍事
上で
決定
的な有利を占めた以後におきましては、むしろ
アメリカ
を含む第三國の権益はこれを保護することを声明しておる次第であります。その
経済施策
上、
ソ連
からの
援助
が期待できず、
從つてアメリカ
その他と、通常の
関係
を維持することは、
中共
としても希望するところではないかと考えられる次第であります。
中共
と
ソ連
との
関係
につきましては、
終戰後ソ連
が
中共軍
に自國の
工業力
を動員いたしまして、
武器援助
を與えたということは、現在確認されておりません。しかし
両者
は精神的にはむしろ一体と見るのを至当とするように思われるのでありますが、
中共
が
ソ連
の
利益
に反する
行動
に出ることは、
予想
できない次第でありまして、
北大西洋條
約の調印にあたりましても、
中共
は米ソ開戰した場合には、
ソ連陣営
に入
つてアメリカ
と戦うと声明しておる次第であります。
最後
に
中共
の
貿易政策
を考えてみますると、
中共
は
米國
に対しましても、日本に対しましても、
貿易
を行う方向に向
つて
おるようでありまして、また他の諸
外國
との
貿易
も望んでおるようであります。しかし
中共
の
貿易政策
は
國家管理
でありますから、
輸入品
は中
國復興
に役立つものに限られると思うのであります。
從つて中共
が
全中國
を
支配
するようになりますれば、
輸出入品
は戰前の日
華貿易
の量よりもあるいは
増加
はするでありましようか、
日華事変
前のような
自由貿易
への
回復
は、さしあたり望むことは困難ではないかと考えられるのであります。それに
中共
が中國の
支配権
を握りました場合の日
華貿易
の
回復
は、
米國側
でもこれを認める方に傾いておるという情報があります。この
最後
の点は重要な点でありまするので、ここに少しく詳細にわたりまして御
説明
申し上げたいと存じます。
中共
の
貿易政策
、廣く
交易政策
は、本年初頭、
中共
が
華北
を
支配
いたしまして以来発布いたしました
種々
の
法律
があるのでありますが、この
法律
は
最初山東地区
において発布せられました
山東
区
交易弁法
、それから最近
華北
を
中共
が制圧するに伴いまして、
華北
区
弁法
という
法律
が公布せられました。このうちに
中共
の
交易政策
が宣明されております。そうしてこの問題が廣く
一般
の関心を呼び起しまして、論議の対象として大きく取上けられ、
中共下
の
交易
問題につきましては楽観、悲観の二つの
観測
が行われておる次第であります。しかしながら
中共
の
交易政策
は、実を申しますればまだようやく正常の
段階
に入りかけたばかりでありまして、きわめて初歩的な
段階
にあるにすぎないのであります。
満州
、
華北
、長江の大部分が
中共
の
支配権
に入
つた
とは言え、またその
政治経済建設
の
実態
、その他が判明いたしておりませんので、にわかに断定的な結論を下すことは、非常に危険であると言わなければならないのであります。
中共
の場合におきましては、これは
ソ連圏
の諸國と大体同一と見ていいのでありますが、
経済
は
政治
の
支配
を受けておる。
從つて中共
の
経済政策
の動向につきましては、
ソ連
あるいは
ソ連圏
の諸外国の持
つて
おります
貿易関係
、これは一應参考になるわけでありまして、
ソ連圏
の諸國が現に
英米
諸國と
貿易関係
を結んでおります。そして
ソ連政府成立
後米国との
貿易関係
は、ある時代には相当厖大な量に
上つた
次第であります。これらの事実と、現在におきましても
北鮮
は
南鮮
と
相当量交易
を行
つて
おるようで、そういうところを見ますると、
中共
のイデオロギーと
貿易
は、一應別個の問題であると認めていいように思うのであります。
從つて中共
の
交易
を論ずるにあたりまして、その
政治的性格
は必ずしも百パーセント拘泥する必要はないようにも思われるのであります。こういうような
考え方
からいたしまして、次に大体六つの点につきまして、検討を加えてみたいと存します。 第一に、
中共
の
交易経営方式
の幅という点であります。
中共
の
交易
は、
原則
といたしまして大体
國営方式
をとるのであります。
重要品目
の
輸出入
につきましては、完全に
政府
の掌握するところとな
つて
おりますが、若干の分野におきましては、なお私営を認めております。
中共
の
交易
を一貫する
対外管制
、いわゆる
管理
の
方針
にいたしましても、
輸入面
におきましては
建設
に必要な
生産手段
を求め、
奢侈品
及び
麻薬等
を
禁止品
としておりますが、それ以外におきましては大体自由にな
つて
おります。しかし
経済建設
のテンポを考え合せますると、
國営貿易
の
管理
は國内の
通商工業
に対する
管理
と同様、相当な幅があるわけでありまして、その
統制ぶり
を
國民政府
のそれに比べまするとはるかに厳重でありまするが、
東欧
諸
國ソ連圏
の諸國の場合に比べますると、はるかに寛大なように思われるのであります。ここに
中共
の
経営方式
の
特異性——他
の
ソ連圏
の諸國と比べましての
特異性
があるように思うのであります。 第二に、
中共
の
貿易
の
相手國
はどうなるであろうかという点であります。ある一部の
考え方
といたしましては、
中共
の
貿易
の
相手
方は主として
ソ連
、
東欧
及び
北鮮等
のいわゆる
社会主義国家群
に限られるであろうという
見方
もあるのでありまするが、しかしどうもこの
考え方
は
中共
の
支配
的な
方針
ではないように認められるのであります。
中共
にとりましては、
外國貿易
は帝國
主義
的な侵略を防止するという
政策
的な
要請
に反しない限りは、やはり
平等互惠
の
原則
に立ち、
中共
の
原則
に
從つて軍需品
及び
復興建設資材等
を供給いたし、國内の
経済建設
を助ける國でありますれば、それが何國であろうとも別に
毛ぎらいする理由
がないことは、
現実
の
取引
がこれを立証しておるように思われるのであります。 第三に、
輸出入品目
はこういうことになるであろうかという問題であります。中國の
経済産業
の構造から考えまして、またきわめて低い
資本主義発展
の
段階
から考えまして、
中共
はやはり
原料品
、半
製品
を
輸出
して、
精製品
を
輸入
するという
從來
の
貿易商品
の基本的な
構成内容
は、当分の間依然としてかわらないであろうと考えられるのであります。
中共
の場合におきましては、ただ
工業原料品
につきましては、内地における
土地改革
を基盤といたしまして、できる限り自給を目指して、これが確保に努めるであろうと思われるのであります。一方
工業製品
、特に
復興建設資材
につきましては、さしあたり戰時戰後を通じて荒廃に瀕しました
都市
の
工業
、それからマイニンクの再興をはかる上に、これは欠くべからざるものでありまして、これらの品物は、何をさておいても優先的に
外國
から
輸入
することになるであろうと思われるのであります。これは先ほど申しました
山東區弁法
、
華北區弁法
の
過程
から見ましてもはつきり看取できるのでありまして、
將來中國
の
工業化
が本格的に
中共
の
政策
となりました場合には、この傾向がさらに助長されるであろうと考えられるのであります。
中共
の
政策
的の
要請
から見ますると、
中共
はでき得る限り多くの
生産手段
を
輸入
しなければならないわけでありまするが、しかし
中共
の
交易政策
は
バーター制
を採用いたすであろうことから、この
バーター制
ということの制約と、それから
中共
の
貨幣
でありまする
人民券
の價値を維持する
必要等
からいたしまして、どうしてもこれに見合うだけの
輸出
をいたさなければならないわけであります。ここに
中共
の
交易政策
の
一つ
の大きな問題があるわけであります。それからその次に
交易品
の数量は一体どういうことになるであろうかと申しますると、
國民政府
の場合におきましては、
官僚資本
が
交易
を独占いたしまして、もつ
ぱら入超
を続けてお
つたの
でありまするが、
中共
の場合におきましては、独自の
管理統制制度
の
條件
が強くな
つて
おりまするので、この
交易量
の面におきましては、量的に
國民政府
の場合と比べまして減少することが
予想
される次第であります。 第四の点は、
船腹
の問題であります。
中共
は現在その
対外交易
に必要とする
船腹
を持
つて
いないようであります。
民族商業保護
の立場から、
政策
的には沿岸及び近海におきまして優先的に
自国船舶
を利用し、保護する
方針
をと
つて
いる次第でありまするが、現在
船腹
がほとんどないのであります。
外國船舶
に対しましても、ほとんど制限を加えていないように見受けられるのであります。 次に第五は、
関税
の問題であります。
中共
の
関税
は
從價税主義
をと
つて
おるようであります。それから
関税
につきましては、次のような
原則
が行われておるようであります。すなわちいわゆる
解放区内
の
余剰土産品
、つまり
解放区内
にある
余剰物資
、それから
日用品
、農村の
副業品
、こうい
つた
ようなものの
輸出
につきましては、大体において
免税
または
低率課税
をいたしておりまして、
輸出
を大いに奨励しておるわけであります。すなわち
輸出品
は、今申しましたように、
原則
として
免税
もしくは
低率課税
であります。それから
輸入
につきましては、
軍需品
、
生産基材
、
医藥衛生材料等
の
輸入
につきましても、やはり
免税
あるいは
低率課税
とな
つて
おりまして、ただこれら優先的の
資材
でないものに対しましては
相当量
の税を課しておるように見受けられるのであります。 第六の点は
決済方式
の問題であります。
中共
の
貨幣
である
人民券
の
対外為替レート
は最近まできめられておらなか
つたの
でありますが、
現実
の
取引
が遅滞なく行われておりましたのは、
中共
がいわゆるオープン・
アカウント方式
をとりまして、たとえば六箇月に一回とか一年に一回とかまとめて決済することにな
つて
お
つた
からであります。最近
交換レート決定
か報道されましたが、その
運営
の実情についての詳細な資料はまだ入手しておりません。
中共
の
交易政策
及び
通貨制度
、それから
ソ連
の
貨幣制度等
から考え合せますと、
中共
は独自の見地から
人民券
に有利に
決定
せられるのではないかと思うのであります。なお
交易決済手段
として
金銀外貨
の
蓄積
がどの
程度中共側
にあるかと申しますと、これはまた不明でありますが、これらの
蓄積
の
増加
が
將來可能
であるように考えられるのであります。いずれにいたしましても
中共
は
バーター制
の
原則
に立ちまして、
入超
を極力抑えることに努めるであろうと思われるのでありますが、
現実
の
取引
の必要上からいたしまして、
決済手段
としての
金銀外貨
の需要は決して少くないもののように思われる。
從つて外國
のクレジットの必要も漸次考えられるのではないかと思われるのであります。 以上は
中共自体
の公益の限界を
決定
する側面でありますが、総合的に見まして
中共
にと
つて樂観的
な要素は決して多いとは思われないのであります。本年三月の二中全会、すなわち
中共
の総
会議
において、從来の
農業重点主義
から
都市
の
工業建設中心
へと、
経済政策
の転換を
決定
したということであります。
解放地区
の
土地改革
が一應完了いたしました今日、これは当然の帰結であろうと思われるのでありますが、この
都市
の
工業
建設
はその前途なかなか容易ならざるものかあるように思われるのであります。日本の対
中共
交易
は、従来正常のコースでは若干の物資が香港経由で
解放地区
に流れたようでありますし、そのほか密
貿易
の形で多少のものが流出しておるように思われるのであります。
中共
地区には大豆、石炭、塩等日本の必要とする物資は少くないのでありますが、ここ当分はやはり今までのような行き方が続くのではないかと思うのであります。
交易
は本來相対的なものでありまして、
双方
の
條件
ないし利害によ
つて
決定
せられることはきわめて明瞭な事実でありますが、
中共
の
交易
については、少くとも
中共側
の諸
條件
がより大きな
決定
力を持つものと見るべきであろうと思われるのであります。
從つて中共
との
貿易
の発展性は、主として
中共側
の諸
條件
の改善にかか
つて
おると言
つて
よいのではないかと思われるのであります。そして
中共
経済建設
の現
段階
、
國共
関係
の前途及び今日の微妙な國際
関係
の推移を考慮に入れますならば、
中共
の
交易
が急速に発展するだけの基本的な
條件
は、当分の間なお少いものと見てよいのではないかと思われるのであります。以上簡單でございましたが、一應私の
説明
を終ることにいたしたいと思います。
澁谷雄太郎
7
○
澁谷委員長代理
次に
將來
の
貿易
の見通しについて通商産業省通商監より所見を承ります。小瀧
政府
委員
。
小滝彬
8
○小瀧
政府
委員
四月二十五日に新しく為替レートが設定せられまして、その後の
貿易
はどういうように動いておるかということは、皆さん関心の非常に深いところでございますが、実際の船積の状況についてはまだその後資料がまとま
つて
おりませんので、この点については申し上げにくいのでありますが、何分にもレートの設定を見越しまして、契約が平常状態よりもはるかに多くあ
つた
ということ、加うるに海外の市況もあまりおもしろくないし、大体五月、六月ころは例年
貿易
がどつちかと言うと緩慢になる時期であります。そういうような
関係
もありまして、契約の数はこのレートの設定以後相当減
つて
参
つて
おります。それを御参考まで申し上げますと、われわれの力もすべての
輸出品
については申し上げにくいのでありますが、最も重要な綿布、綿糸の
関係
から見ますと、この四月までに綿布については約三倍ヤール、綿糸については千四百万ポンドという量が出ております。これはわれわれのこれまで持
つて
おりました年間の計画に比して、それを月割にいたしましたものについて相当上まわ
つて
おる。たとえば綿布については月四千五百万ヤールを見込んでおりましたが、それが
現実
に月八千万ヤール平均で、また綿糸についても月平均二百万ポンドを見込んでお
つたの
に対して、三百五十万ポンドという数字を示しております。その後一体どうなるかということについては、今申しましたように契約の方は減
つた
けれども、何分
輸出
については二、三箇月先の契約がございますから、前半期についてはかりに
輸出
目標を六億ドルと見込みましても、大体その数字に達するのじやなかろうかというように考えております。それから先ほど申しました契約の減少の点について、最も為替レートによ
つて
影響を受けると見られる雑貨
関係
を見ますと、特に影響の大きか
つた
陶磁器だとかガラスだとかいうような
製品
をと
つて
みますと、この一月には契約の件数が千五百件、二月には千四百件、三月には七百五十八件あ
つたの
が、四月になりますと百九十件に落ちておる。ガラスに例をとりましても、二月には五百件もあ
つたの
が、四月には四十六件というようにな
つて
おりますが、さらにこれを四月二十五日から五月の二十四日までにおける雑貨
関係
の契約月数を見ますと、あらゆる雑貨の商品を全部合計いたしまして、千六百件ということにな
つて
おります、これはこの一、二、三月に比しては非常な減少でありますけれども、ただ昨年の十二月の件数に比べますと、大体とんとんというところにな
つて
おります。この点は、われわれがおそれておりましたよりは、結果的に見まして、比較的状況がよろしか
つた
というように申されるのではなかろうかと思います。 なお重要な商品であります生糸につきましても、本年は非常に状況が悪くて、
輸出
の実積から申しますと、一月に一万五千俵、二月に七百俵、三月に千四百俵、四月に千五百俵というように、海外市況にも非常に影響されまして、状態が悪いのでありますが、最近生糸
関係
の方で調べてもらいますと、この六月から十二月ころの間にわた
つて
、大体四万五千俵くらいは見込まれるであろうということでありますから、全体としては六、七万俵は出ると思いますが、最近においては非常に実情かよろしくないというような次第であります。しかし他の商品につきましては、大体既契約もありますので、全般には先ほど申しましたように、大体予定の数量が出ると見てさしつかえないだろうと思います。それでは一体後半期、ことしの七月から十二月まではどういうふうに見ておるかと申しますと、これにつきましては、
輸出
の市況がおもしろくないとか、中國か
輸入
制限をする。ことにスターリング地域に対しましては、日本の
輸入
が予定ほどに進まなくて、
輸出
が非常に進んで参りましたために、出超の状況にな
つて
おりますので、御存じのようにインドではOGLと申します。
一般
の許可のライセンスも、この四月から停止にな
つて
おるというような状況でありまして、われわれとしては今度の通商産業省の設立と同時に、さつそくこれが対策につきまして、あくまで
輸出
最優先
主義
で、あらゆる産業
施策
、あらゆる金融
政策
を考えて行きたいというように、目下いろいろ
協議
中でありますが、また対外的に見ましても、現に南米の方へミツシヨンを
派遣
して、各國との協定をつく
つて
、バーターのような制度によ
つて
でも、少しでも
輸出
をふやそうという努力をいたしておりますし、また海外への人の
派遣
についても、
関係
の当局と話合いを進めており、また國内で為替相場が
決定
いたしましたために、生産面が非常に困難にな
つて
來たのに対しましては、海外へ出します商品について、ほんとうから申しますれば、なるべくドルの値段を上げなければならない。その点については人を
派遣
するとか、いろいろな方法で施設を講じなければなりませんが、同時にまた他方市況か非常におもしろくないので、これまでわれわれが採用しておりました、これ以下で賣
つて
はいけないという最低價格制度についても、
現実
に即したような修正を加えたいというように考えておる次第であります。 こういうようにあらゆる
施策
を総合して
輸出
の振興に努める。しかし同時にわれわれが戰前経験して参りましたように、不当競争を起すというようなことがあ
つて
、海外からダンピングを、日本は実行しておるというような非難を受けないように、その点についても十分注意をいたしまして、とにかく
輸出
の振興、
輸出
目標の達成ということに最大の努力をして、
輸出
目標を達成したいと思
つて
おります。また海外においては、先ほど申しましたような、非常な悲観材料がありますと同時に、また他面御承知のように、朝鮮とも最近八千万ドルに達する
貿易
協定というものかできましたし、そのほか
米國
の
経済
協力局の責任による買付というものが、單に朝鮮のみならず、欧州諸國においても利用せられる、また蘭印でも利用せられるというような点がありまして、いわゆるECAの資金による買付というものは、後半期において相当
増加
するように期待いたしております。さらにまた先ほど例に引きましたインドの
一般
輸入
のライセンスの一時停止ということはあ
つて
も、何といたしましてもインドでありますとか、パキスタンであるとかいうような新しい國では、基礎
資材
、
建設
資材
を欲しておるし、
工業化
というものには非常な努力を拂
つて
おりますので、ちようど日本の機械類あるいは金属類の必要というものが、それに対應して今後も
増加
して行くだろうということも考えられますし、また再建を急いでおるフィリピンについても同様なことが言えると思いますので、われわれとしては、あらゆる
施策
によ
つて
この
貿易
の振興ということをはか
つて
、目標を達成いたしたいと考えております。非常に抽象的でありますが、見通しということになりますと、はつきりしたことを言えないので、大体以上で
説明
を終らしていただきます。
澁谷雄太郎
9
○
澁谷委員長代理
本件
に関して御質疑はありませんか。
川上貫一
10
○川上
委員
時間がありませんので、私は要点だけを簡単にお聞きしますから、御答弁の方もごく簡單に答えていただきたいと思う。 まず第一の点は、
アメリカ
その他における恐慌に関して、当局の方はどう考えておられるか。二月以來のあらゆるものの暴落。株の暴落から始ま
つて
おるのでありますが、これの
將來
の見通しは一体あるのかどうか。今の御
説明
のようなことでは、次にも問いますけれども、これでは将来の
輸出
の問題などに対しては、一向結論は出て來はしない。簡単でいいですから、はつきりと御見解をお聞きしたい。
小滝彬
11
○小瀧
政府
委員
アメリカ
における市價というものが、相当なカーヴをも
つて
だんだん下
つて
おるということは事実でありますが、これは
從來
の價格というものは、民需が戰争中に十分充足されていなか
つた
から、それで相当戰後民需物資というものの要求があ
つた
ために、正常以上な價格を保
つて
お
つたの
であ
つて
、現在はそれが平準化する。ノルマライズする階梯に達したものではなかろうか。しかもヨーロッパや極東の情勢が非常に
満足
な階梯に達しておるならば、あるいは軍需的な需要というものが急激に減
つて
、そこに恐慌を招來するというようなおそれもあるかもしれませんが、現在の私どもの見通しでは、またそこまでは達していないというふうに考えております。あるいはさらに多少市價が下
つて
行く、状況が惡くな
つて
行くということは当然覚悟いたしておりますけれども、それが非常に大きな恐慌状態になるものとは予期しておりません。
川上貫一
12
○川上
委員
その限りにおいては見解を聞いたのでありますが、第二に
アメリカ
には鉄の生産が非常に足らない。今度のマーシャル・プランその他を加えましても、実際は約六百万トンくらい鉄が足らない。ところが
アメリカ
の製鉄業者は決して設備を増大しておらぬ。大きい生産設備を増しておらぬ。これに対して日本では鉄をつく
つて
、どんどんこれを賣り出すということを考えている。しかし恐慌が來るとやられるのは日本である。
向う
は設備を増しておらぬのだからたえられる。
アメリカ
が鉄が不足しておるにかかわらず、この生産の増大を
資本
家がしない。これはどういうわけと考えておられますか。この御見解を聞きたい。
小滝彬
13
○小瀧
政府
委員
アメリカ
の方で鉄材が足りないということはわれわれも承知いたしておりますが、
アメリカ
の詳細な
事情
はわかりません。あるいは御説の
通り
先行きをおそれて、そういう警戒的
態度
に出ておるかと思いますが、ただ日本といたしましては、なるべく
相手國
の欲する商品を海外に出して、とにかく生き抜くためにあらゆる
手段
を講じて
輸出
をして、必要品を買い入れるという立場から、
相手
方の最も要求するものを提供しなければならないというような実情もありますので、これまでのような
輸出
計画によ
つて
商賣を続けておることを御了承願います。
川上貫一
14
○川上
委員
それでは恐慌が來ることを
向う
の
資本
家は知
つて
おるということを御
承認
なさるのですか。あなたの方では恐慌はないだろうということで、どんどん計画を立てておられる。ところで
外國
の
資本
家は恐慌があるものとして非常に警戒しておる。こういうかつこうで、しようがないから
輸出
するのだというような計画を立てておれば、これはえじきになるのはあたりまえで、ここに非常に大きな
貿易政策
上の問題がある。そこで
アメリカ
に恐慌がないと思いますというようなお答えが矛盾して來るのである。ほんとうにそこを突かなければ、日本の
貿易政策
というものは、上半期がどうなるとか、下年期がどうなるとかいうことをいじく
つて
お
つたの
では、合点が行かない。しかしこれはひよつとしたらりくつになるかもしれぬから、あなたのところでも御答弁できないであろうが、腹の中では恐慌が來るかもしれぬ、これは困
つた
もんだと思
つて
いるかもしれない。だからこれは問いません。およそあなたの腹の中はわかる。 第二の問題はダンピングの問題だが、なるほどダンピングしないようにも考えられますが、実際はダンピングだ。
輸入
に対する尨大な補助金を出し、それから日本内の生産においては價格調整費というものを出している。これじやもうりくつはとにかく、実質において繊維品のごときは、ダンピングである。これは国際憲章違反でもあるし、あるいはこういうことをや
つて
おれば極東民族から大反撃を受けることは当然だ。ことに御承知のようにイギリスなんかもすでに非常に警戒しておりまして、インドのごときは今おそらく千五百万錘くらい持
つて
いると思いますから、ここには日本の繊維品はなかなか
輸出
できないであろう。そこで実質的に、タンピングをや
つて
おります。こういうことをや
つて
お
つて
東洋の諸民族から反撃を受けると思わないか。これが第一。第二の問題は、中國の
貿易
は大したことはないという外務当局のお話でありますが、そんな中國との
貿易
をいいかげんに見てお
つて
、一体この
貿易
をけつこうや
つて
行くつもりがあるかどうか。中国
貿易
をどうしても日本としては強力に再開しなければ、綿
製品
にしてもその他の
貿易
にしても立ち行かぬと考えておられるのか。あるいは
眞正
共産主義
がどうとか、こそこそ言
つて
お
つて
おかしな話です。一体日本の
貿易
をどう考えているかということを正直に言うてもらいたい。どうもここの答弁はよくない。いいかげんのことを言
つて
、言い抜けさえすればいいと思
つて
いるのか。
共産党
は
政府
委員
の答弁に腹が立
つて
いる。日本人同士が話しているのだから心配ないから、ちつとはほんとうのことを腹の底から言
つて
もらいたい。
小滝彬
15
○小瀧
政府
委員
ダンピンクの問題でありますか、なるほど價格調整金というものも出ておりますけれども、これは直接
輸出
保護という目的でなしに、價格の調整でや
つて
おるのであります。國際憲章にも違反するのではないかとおつしやいますけれども、今ちようど憲章を持
つて
來ておりませんけれども、戰後の特殊の
事態
についての例外的措置は、当然認めるという規定もあ
つた
ように私は記憶いたしております。もちろん正式には反するかもわかりませんか、現在の繊維を例にとりましても、直接補助金を出して
輸出
をや
つて
いるというように解釈するのは、多少過酷ではないかと思います。一面またおつしやいますように、そういう点はなるべく縮小いたそうとして、價格調整金をはずすとか、あるいは今度の為替レートの設定の場合にも、
從來
五百円対一ドルとか八百円対一ドルとかいうようなことで出していたのを、三百六十円に引きもどし、
輸入品
に対しては百六十円ないし百七十円対一ドルで配給、ないしは拂い下げていたものを、今度は三百六十円にして、特定の民生のものはすみやかに全部三百六十円一本レートでやるというようにや
つて
おりますので、これはダンピングの解釈にもよりますけれども、ただちにこれを全面的にダンピングとい
つて
東洋の諸民族が反撃するというようなことに、私はないだろうと思
つて
おります。と言うのは今出しておるものは
向う
が欲しておるもので、鉄の例も出ましたけれども、
アメリカ
の方から來ないような種類の品物が出ておる
関係
上、東洋民族が日本はダンピングをしてわれわれに品物を賣
つて
おるというような気持で、反撃することはなかろうというように考えております。それから中国との
貿易
についてはどうかというと、これは非常に大事でありまして、日本など隣接國として一日も早くこれが正常の状態に帰
つて
、物資の交流が行われるということは、地理的に近くて、お互いに不安心が少くて済むというだけでなく、日本に必要な原材を持
つて
おり、
向う
では日本の
製品
を出すと歓迎されるような
関係
にありますから、私どもは一日も早くなるべく大きなスケールで、
貿易
がほんとうに実行されるようになる日を期待しておるのであります。
川上貫一
16
○川上
委員
もう二点ほどあるのでありますが、
委員長
は時間を大分御心配のようでありますから、その御意思を尊重しまして簡単に質問します。硫化鉱の問題ですか、硫化鉱は昨年の生産は九十八万トンであ
つて
、今年の生産はわずかに百万トン。ところが硫安肥料の生産能力は百四十万トンある。これに少し奨励を加えれば百七十万トン程度の増産はできるわけです。ところが百万トンよりつくらせない。つくらせないと言うと語弊がありますが、百万トンの計画で
資材
、資金を何とかしようということにな
つて
おる。ところがこれをフルに生産させますならば、どうしても三百五十万石以上の米の増産ができるわけです。これをやらないでおいて小麦粉を入れて來る。そうしておいて物を入れるから飢餓
輸出
をしなければならぬという答弁をしておる。その上に硫化鉱を
輸入
しておる。硫化鉱を幾ら
輸入
なさるおつもりか。また硫化鉱の
輸入
値段は幾らであるか。なぜこんなことをするか。日本には掘らせれば硫化鉱は幾らでもある。戰争以前にはわずかながら
輸出
してお
つた
。これを抑制して、米をつくらせぬようにして、そうして小麦を入れるようにしておる。その上に硫化鉱を入れ、肥料を
輸入
しておる。塩を
輸入
しておる。この
貿易
のやり方はわれわれ合点が行かない。なぜこんなことをするのか。この点を簡單でけつこうですから明らかにしてもらいたい。
松尾泰一郎
17
○松尾
説明
員 ただいまの硫化鉱の問題でございますが、肥料の増産のために硫化鉱もまた増産しなければならぬということにつきましては、御説ごもつともでありまして、その方向に向
つて
努力されておるのでありますが、
現実
問題といたしましては價格の問題がございまして、増産がはかばかしくないということなんであります。従いまして價格の問題につきましても
関係
方面
のせつかく御協力をいただきまして、何らかの解決を見たいというふうに進んでおりますことを、御了解願いたいのであります。
從つて
輸入
問題も、硫化鉄の
輸入
というものは、今も御指摘がありましたように元來
輸出品
でありまして、
輸入
することのばかばかしいことはわかりき
つた
話でありますが、さしあたりの問題といたしましては、若干の
輸入
をいたさなければ硫化鉱を増産するとい
つて
も急には行かぬということで、つなぎといたしまして若干の
輸入
が行われておるわけであります。
川上貫一
18
○川上
委員
硫化鉱の生産者價格は一千五百円、消費者價格は二千六百円、
輸入
價格は七千円だろうと思う。つなぎと言
つた
つて
、こんなばかな話はない。それならなぜ硫化鉱の増産をやらないか。價格の問題ということでありますが、石炭や鋼鉄に対してはあれほど雄大な價格調整費を使うておる。一方においては飢餓
輸出
をするために厖大な人民の血税をお使いになりながら、食糧の
輸入
を防ぐために、硫化鉱をつくるために、なぜそういう金を使わないか。この税金をどうせ使うなら、この
方面
に使
つた
ならば
輸入
は抑制され、飢餓
輸出
しなくても済む。それだけ労働者が助かる。そういう
輸入
対策をやらない。そうして高くて、農家の嫌う硝安を非常に莫大に
輸入
しておる。こういうばかな
輸出入
政策
をや
つて
は日本が立ち行かぬことはあたりまえで、私は今硫化鉱だけをとらえたのですが、これだけの問題ではない。日本の全
貿易
計画がこの手です。だから
共産党
は飢餓
輸出
だということを言
つて
おる。今の御説では價格の点があるというが、價格などすぐふつ飛んでしまう。あれほど厖大な價格調整費を出しておる。硫安を少しくらいふやすのには、ほんの少しで済む。今のは少し違うところがあるのと違いますか。ほんとうに
國民
を助けるというのじやなく、何か知らぬがおかしな
貿易
をするものがあるのじやないですか。これはそうだというような顔をしておられると私は思う。正直に言
つて
ください。
松尾泰一郎
19
○松尾
説明
員 川上さんの言うのは、われわれも事務的に同感でございますが、先ほど申しますように價格の問題につきまして若干の論議がある。かようにな
つて
おるのでありまして、われわれとしましてそういう問題か解決されれば、今申されましたようにばかなことをしないように、その方向に行くべく努力いたしておるわけであります。
小金義照
20
○小金
委員
硫化鉱の問題は今御
説明
がありましたけれども、われわれにもどうも納得が行かない。五億円も
輸入
するというのですか、それだけの計画があるならば、何故に價格の調整をして早くこの問題を解決しないか。ストライキは何故に今起らんとしておるかということは、きようは大臣がおられませんけれども、資源廳の長官もお見えにな
つて
おりますから、至急省議なりお開きになりまして、
政府
としての
態度
をすみやかに
決定
しなければ、銅との関連もありまして重大な問題でありますから、特に警告を申し上げておきます。
川上貫一
21
○川上
委員
最後
にいま
一つ
。きよう資料がなければあとで出していただきたい。
貿易
上で実際は契約が済みまして、これはある一國だけでなく全体に対してですか、業者かあるいはバイヤーとのおおよその話合いが済んで、しかもそれがある
事情
で
現実
に成立しなか
つた
数字がほしい。これを各品目というと非常に小さくなりますから、各種目にわた
つて
、当事者間の話合いは済んだけれども、その他の
理由
によ
つて
これが成立することができなか
つた
という、この資料がほしいのであります。これを御提出願いたい。これは
委員会
の名においてお願いしたい。
澁谷雄太郎
22
○
澁谷委員長代理
承知しました。
小滝彬
23
○小瀧
政府
委員
ちよつと私お聞きしたいのですが、話合いが済んで成立ができないというのはどういう御趣旨か存じませんが、私どもで今調べておりますのは、契約ができたけれども、
向う
が信用状を開いて來ないというために、せつかく契約ができて市中銀行が承知した場合には貿手を割
つて
得たけれども、さて出そうとしたときに、船積みの一箇月前にな
つて
も信用状を開いて來ないというので、ひつかか
つたの
が非常にあるのであります。ことに為替レートがかわるのを見込んで非常にたくさんの契約はしたが、
向う
の情勢もいろいろかわ
つて
買う氣がなきなり、いろいろな
事情
のために信用状が開かれないので、だめにな
つて
損害をこうむ
つた
人が相当ありますが、そういうのでしようか。それとも当時者間の話合いはついたけれども、
関係
当局の話合いがついてなか
つた
という手続上のことですか。
川上貫一
24
○川上
委員
後者の方です。
小滝彬
25
○小瀧
政府
委員
これは極力調べるようにいたしますが、それを数字的に表わしますことは、われわれの方へ直接持
つて
來られない場合があるのです。
向う
へ様子を伺
つて
これを整理しないということはあるわけですか、努力いたしまして、そういう実際の具体的な場合を
調査
いたさせますけれども、どの程度まで数字ではつきりできますが。この点は約束しかねます。
澁谷雄太郎
26
○
澁谷委員長代理
この際お諮りいたします。石野久男君より
委員外
の発言を求められております。これを許すに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
澁谷雄太郎
27
○
澁谷委員長代理
御
異議
なしと認めます。それでは石野君の発言を許します。
村上勇
28
○村上(勇)
委員
どうか簡單にお願いいたします。
石野久男
29
○石野久男君 発言を許していただきましてありがとうございます。特に村上さんからの御
要請
もありまして、時間を非常に詰めてというお話でありますし、また川上さんから同じような問題についての御質問もあ
つたの
で、簡單にお尋ねいたしたいと思います。 先ほど川上
委員
からも御質問がありましたように、硫化鉱の問題にしましてもあるいは硝安の問題にしましても、國内におけるところの生産をすれば、別に
輸入
しなくてもいい見通しが立つものを、しかも非常に高い
輸入
値段と思われるようなものをも
つて
輸入
をされ、それに対して非常に多額の補給金を出されるというふうにも聞き及んでおるわけであります。ことに一昨日の新聞報道などによりますと、硫化鉱の問題については、さきには三億五千万くらいの補給金だと思
つた
ものが、四億五千万の補給金に訂正されておりますし、また硝安のごときは三十万トンの
輸入
計画をしておりますと、それに対する補給金は約六十七、八倍になるのではないかと推測されるのでありますか、こういうような
輸入
計画がはたして國内の産業を進行させるゆえんになるのかということ。これは先ほど川上
委員
の質問に対しまして、
政府
当局からも、事務的には質問者である川上氏の言
つて
おるようなことに同意見であるけれども、その他の
事情
によ
つて
というような、あいまいな御答弁がありましたので、これはよくそのことについての確実な
貿易
計画上の問題について、御答弁を得られないかと思いますけれども、今一應この点について私としましては、ほんとうに今日立てておるところの
貿易
計画というものは、日本
経済
再建の方途から考えて、鉱石類、あるいはまた肥料生産等についての眞劍な
考え方
を持
つて
おられるのか。それともやはり外国、特に連合國との
関係
におきまして、それがはばまれておるのかということについての問題を、もう一度お聞きしたい。 それからいま
一つ
はこの硫化鉱の
輸入
計画に対しまする
一般
の労働者、これに関連する金属鉱山労働組合の諸君の今日も
つて
おるストの問題、またこの問題を
中心
としまして、おそらくは硫労連の諸君も、これに同調するようなストライキの計画があるやに聞いております。それだけではなくして、特に硫労連の諸君がこの計画に
関係
して、ストに参加するような形が出て参りますと、必然的に全繊維
関係
の諸君もまたこのストに同調するような傾向にな
つて
おる。これはただごとではないのでありまして、決して好んでストに入
つて
おるのではありません。実はやはり硫化鉱を
中心
にして起きて來るストのために、やはり硫労連
関係
の諸君は仕事を停止しなければならないような状態にな
つて
おります。
從つて
繊維の
関係
も仕事ができないという状態にな
つて
おりまして、あらゆる産業がこのために停止するような状態ができて來るわけであります。このことに対して
政府
はどのように考えておられるか、またどのように処置する所存でおるかということをお聞きいたしたい。もしすぐに御返事がいただけないとすれば、午後引続いて行われるまでに、それに対する御答弁をいただけるように御手配を願いたいと思うのであります。これはぜひひ
とつ
委員会
の皆さんにもお願いいたしたいのですが、非常に差迫
つた
問題でありますし、すでに金属鉱山労働組合の諸君は二十八日にストライキを警告しておりましたのを、現在は他産業の
関係
におきまして、二、三日延ばしておるやに聞いておるのであります。われわれの聞き及びますところによると、三十日、三十一日ごろから、これらの一齊ストの形に入るのではないかと思われますので、一日もゆるがせにできない問題だと思いますから、ぜひひ
とつ
本日の午後の
委員会
で、引続いて御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
小金義照
30
○小金
委員
政務次官がお見えにな
つて
おりますから、お答え願いたいと思うのでありますが、伺うところによりますと、漁網の問題については、生産も農林省の所管に移すという運動が猛烈に行われておるという話でありまして、これにつきまして通商産業省の政務次官から御意見が承れれば幸いだと思います。
有田二郎
31
○有田
政府
委員
小金
委員
の御質疑にお答えいたします。漁網の生産を農林省にとるという運動は、以前からずつと行われてお
つたの
でありますが、最近非常に熾烈になりまして、現
段階
は当時商工大臣であ
つた
稻垣氏と、農林大臣であられる森氏との間に、安本長官に決済を一任することに
決定
して、月曜日の閣議にこれが出るというような状態であると聞いておるのであります。通産省としての所見といたしましては、先般來漁網の業者を呼んで私が意見を聞きますと、結局は通産省にあると金融が思うように行かない。あるいはまた通産省におると輸送切符を必要とする。農林省に行くとこうい
つた
ものがなくなると農林省の者は言
つて
おる。あるいはその他いろいろな業者側の希望があるわけでありますが、御存じの
通り
通産省は生産を担当しておるのでありまして、いずれも計画あるいはその他の金融の面の仕事は全部安本の仕事であります。安本の計画、安本の仕事の不手ぎわをすべて通産省の責任であるかのごとく、業者の一部ではこれを誤解しておる。しかも農林省の方ではこれは安本を
中心
として農林省、通産省が集ま
つて
一年間の漁網の計画を立て、そうして通産省はその生産を担当するのであります。もしも通産省に遺憾な点があるとするならば、これは通産省として是正するにやぶさかではないのであります。しかしながらここで通産省と農林省の役人のお互いのなわ張り争いが如実にここに現われて來て、そうして大臣間の争いになろうというような現状にあるのでありますが、こうい
つた
生産は当然通産省の繊維局が担当すべきである。しかも今度は商工省がかわりまして通商産業省になり、しかも繊維局が通商繊維局になりましたことは、皆様が御存じの
通り
でありまして、特に漁網の
輸出
という面がこれから大きくクローズ・アツプして來る現
段階
におきましては、國内の生産は農林省がやる、
輸出
は通商産業省かやるということになりますると、業者としては両面に連絡をとらなければならぬようなことになるのであります。
根本
から行きますと、当然これは通産省がその生産を担当すべきだ。生産の面においていけない点があるならば、これを是正するにやぶさかでないのであります。しかるに農林大臣が強硬にこれを押すというようなやり方は、はなはだ遺憾に思うのであります。当然配給は農林省が担当し、生産は通産省が担当する。しかも漁網の
輸出
という面が今日大きく問題にな
つて
來ました現
段階
においては、あくまでもその必要を私は痛感するものであります。從いまして通産省の
方針
といたしましては、この官吏の間におけるなわ張り争いというものははなはだ解せないのでありまして、あくまでも通産省においてこの生産をやるべきである。かような見解を持
つて
おります。
澁谷雄太郎
32
○
澁谷委員長代理
他に御質疑はありませんか。なければ次に移ります。 —————————————
澁谷雄太郎
33
○
澁谷委員長代理
次に
九州地方
電力状況の件を
議題
といたします。村上君。
村上勇
34
○村上(勇)
委員
資源廳長官
も電力局長も信任早々のことでありますが、長官は特にその
方面
の権威者でありますので、私は遠慮なく質問をいたしたいと思います。電力の危機はひとり九州地区のみならず、全國的な大きな問題でありますが、特に九州地区は離れ島でありまして、この電力危機によ
つて
、ほとんど民生の安定もできないというような状態にな
つて
おるのであります。
経済
九
原則
の線に沿うてあらゆる産業が強度の合理化、企業の努力によります能率的な経営が叫ばれております。いかなる産業もその原動力であるところの電源がなくては、何ともしがたいのでありますが、御承知のごとく
九州地方
はわが國
経済
再建の上に絶対不可欠であるところの鉄鋼、石炭、肥料等を
中心
とする重要産業の大半を占める生産基地であるにもかかわらず、これらの原動力である電源不足のために、その生産に多大の支障を來しておることはまことに遺憾千万であります。申すまでもなく、
九州地方
は傾斜生産用電力、すなわち第一種甲需用の電力がほかの地区の約二倍、他の地区はわずかに三四%でありますが、九州地区は七〇%ということにな
つて
おりますので、
一般
産業はもとより、民生の安定に絶対必要なる家庭用の電燈までも、容易にこれを保持しがたい実情にあるのでありまして、この制限強化のために、ひいては重要産業の生産に一大支障を來すことはやむを得ないのであります。これが打開について
政府
はいかなる対策を考えられておるか。この点を
資源廳長官
にお伺いいたしたいのであります。
進藤武左エ門
35
○進藤
政府
委員
九州の
電力需給状況
についてお尋ねがございましたが、需給状況の見通しとこれが対策、それから関連する問題につきましてお答えいたします。今村上さんからお話のありましたように、九州の、
電力需給状況
は、電源の面からいたしまして、本州中央部よりきゆうくつでございます。ことに火力発電所が大体六割近く占めておりますために、
從來
火力発電所の復旧、それからもう
一つ
は石炭の獲得、石炭の質の低下という問題で、九州はほかの地方よりも非常に電力の不足を來しているのであります。そこで終戰後約三年でありますか、九州の火力発電所の復旧に全力を盡しまして、本年の渇水期におきましては、大体三十八万キロ程度までは復旧いたしたいと考えております。言葉をかえて申しますと、應急復旧に対しましては、九州の火力発電所は完成とは申しかねるのでありますが、ほぼ予定
通り
いたしまして、需給の逼迫を緩和するというよりも、何とかして需給のつじつまを合わせたいと考えております。しかしこれをいたしましても、まだ本州よりも九州の電力は悪いのであります。これに対して今後対策を講じなくてはならぬわけでありますが、安本で今つく
つて
おります復興五箇年計画におきましても、当座は九州の火力発電所の改善に全力を盡し、また水力発電所もできるだけ短期間に落成するように主力を盡すということで、ここ二、三箇年間を切り抜け、
將來
は貯水池を持
つた
発電所の
建設
も早く完成するというふうに、いずれにいたしましても、九州の電力は電源の状況から逼迫いたしておりますし、また産業
方面
から見ますと、今お話のように重要産業がたくさんございますので、
政府
におきましても、九州の電力状況を何とか需要につじつまを合わせるために、力を盡すということを申し上げておきます。さしあたり本年はどうするのかと申しますと、また実は第二・四半期の電力割当量か
決定
いたしておりませんから、はつきりした数字を申し上げるわけに参りませんが、本年の火力発電所の所用炭は、事業用四百六十五万トンであります。これを水力発電所の出力を想定いたしまして、第二・四半期に九州へは七億四千万キロワツト時くらい行くように、その手配を進めつつあるわけであります。石炭の割当と申しますると、これは、今年一年間のでありますか、大体全國四百六十五万トンの発電用石炭のうち、九州に対しまして百五十万トンを予定しております。それから火力発電所の復旧の状況であります。これは実は四十三、四万キロの設備がございますが、終戰当時におきましては、非常な酷使と修理不足のために、一万キロ程度まで出力が低下したときもございました。しかし本年はこの二月の渇水期までに、大体日本発送電所有のものは三十八万キロ程度、それから九州配電の所有が二万キロ程度、火力四十万キロ程度までは復旧いたす方法を講じつつあるわけであります。これに対しまして実は補修費と申しますか、火力の修理費が全國で二十四年度に大体二十億くらいの金額にな
つて
おりますが、そのうち九州におきましては、今の想定では十四億五千万円でございます。その内訳を申しますと、改良費、つまり設備資金でいたしますのが大体八億円、それから改修修繕が六億五千万円というふうにな
つて
おります。これの資会の調達の問題でございますが、これは実は一部料金でいただきしまして、一部は一設備資金で達しなくてはならぬのであります。現在電力料金は御承知のように四月以降すえ置きでございまして、
一般
改修費は一部電力料金からこれをまかなわなくてはならぬ状況でございますが、これ先般來電力料金の適正化をはからなくてはならぬということで、目下手配中でございます。それから設備資金の調達は、これも
從來
主として復興金融金庫から借入れてお
つたの
でありますが、四月以降復興全融金庫の貸出しがとまりましたために、これに対しましても、五月に至りましてはつなぎ資金と申しますか、結局設備資金の融資を市中銀行から受けまして、今この改良に努めております。それから設備資金の調達に対しましては、将来いろいろの処置を講じなければならぬ。あるいは事後の資金の調達も必要でありますし、それから今問題にな
つて
おります対日
援助
見返資金の問題もございますが、それらをあわせて研究中で、できるだけこれを確保いたしまして、今日の渇水期の修理をいたしたいと考えておる次第であります。それからなお
最後
に自家用火力の問題でございますか、九州は電氣事業者用の所有しております発電所だけでは、今申し上げましたように電力が逼迫いたしますので、自家用の発電所にこの火力発電をお願いいたしまして、従来事業者の方でその費用を負担してお
つたの
でありますが、これはやつぱり各経営の自主性からいたしまして、どういうふうにするかということが問題になりました、電気事業は電気事業としての適正料金、それから自家用火力は事業者から離れて、その所有者がこれを負担するということが、
原則
ではなかろうかというふうな考えを持
つて
おるのであります。しかし電力にいたしましても、石炭の價格にいたしましても、十分これから検討しなくてはならぬという問題がありまして、もし自家用火力をその所有者の発電所でお立てになる場合には、やつぱり單價の問題なり、補給金の問題なりに関連いたすのでありますから、この点につきましてもできるだけ検討いたしまして、できるだけ早く解決いたしたい、こういうふうに考えております。
村上勇
36
○村上(勇)
委員
たいへんありがたい御答弁をいただいたのでありますが、これは
資源廳長官
としての責任ある御言葉であるというように、私は思いたいのでありますけれども、御承知の日本発送電は、独立採算制をと
つて
行かなければいかぬという
考え方
から、九州で百五十万トンの石炭を、九州の火力を動かすためにたいてくれるかどうか。また修理費の二十億円のうちに、九州の火力その他の復旧に十四億もかけてくれるかということについては、私どもは非常に不安があるのであります。もちろん産業の原動力は私どもの考えとしては、水主火從でなければいかぬということは当然でありますけれども、九州の場合は今速急に水主火從になるということは不可能でありまして、何としても今のところでは火主水從というより道がないのでありますから、中國
方面
から受電を相当多量に受けない限り、どうしても火主水從というようなことにな
つて
おります。従いましてただいまの長官の御答弁の
通り
に、ぜひとも本年度は年度末までに三十八万キロの火力の充電が見られるように、また十四億という金によ
つて
、必ずこれが復旧を急速にや
つて
もらうようにということを、私は強く要望する次第であります。次にいつまでも火主水從ではいかぬのでありますが、私は九州の地域的な
事情
から、将来も火力と火力と相ま
つて
並行的にや
つて
、この原動力を確保しなければならないということはやむを得ないと思います。しかしでき得る限り一刻も早く水力電氣の
開発
をしていただきたい。特に未
開発
地点の多い九州を——聞くところによりますれば、
電源開発
五箇年計画という全國的な
電源開発
を行われることになりそうでありますが、その中でも九州を最優先的に
開発
してもらいたいということと、九州におきましては火力に肩がわりするような上椎葉に人貯水池を設ける計画もあるのであります。この上椎葉の大貯水池を一刻も早く着手してもらいたい。そうしてこれが
建設
を急いで、これによ
つて
相当火力をカバーすることができる、こう思
つて
おりますが、上椎葉の着工につきましは、
政府
は今日どういうようなお考えを持
つて
おるか。これを最優先的にや
つて
くれるかどうかということについて、私は詳細に長官の御意見を聞きたいのであります。
進藤武左エ門
37
○進藤
政府
委員
お答えいたしたいと思います。ただいま御指摘のありました日本発送電の経営の自主性から、なかなか火力発電も困難であろうというふうなお話がございました。現在の料金を適正化しなくてはいかぬということが今検討されつつありますので、料金を適正化するのと一緒に、電氣事業のいろいろの経営を合理化いたしまして、経営の自主性をぜひ確立して、公共事業の生命であります電源の確保をいたすようにいたしたい、こういうふうに考えております。それから第二点の椎葉の問題でございますが、お話のように、九州の電源は本州、中國に比べまして、実は水力
方面
も非常に貧弱でございまして、唯一の残された水力の宝庫でございますから、これは最優先に取扱いたいと考えております。
村上勇
38
○村上(勇)
委員
二十四年度の第二・四半期の九州地区に対する電力割当は、まだきま
つて
いないということを聞きましたが、大体いつごろそれはきまるのか、お伺いしたいのです。
進藤武左エ門
39
○進藤
政府
委員
先ほどちよつと申し上げましたか、二十四年度の第二・四半期の電力の割当は、安本で実は電力の割当をや
つて
おりましてまだきま
つて
おりません。想定といたしましては、四百六十五万トンの火力をたく場合、われわれとしては九州に自電として、七億四千万と想定いたしております。これは安本できめることで、いつごろになるかちよつとわかりませんが、できるだけ早くおきめ願うように、こちらからも手配をいたしております。
村上勇
40
○村上(勇)
委員
昨年の火力用の石炭三百六十五万トンのうちに、九州の火力に幾ら割当てられたかということをちよつと……。
進藤武左エ門
41
○進藤
政府
委員
お答えいたします。大体百二十万トンであります。
村上勇
42
○村上(勇)
委員
昨年が百二十万で、ことしが百五十万、どうもわすか三十万トンくらいでは、昨年はわずかに火力は二十万円キロくらいしか、私は送電しなか
つたの
じやないかと思
つて
おりますが、本年度約三十万以上三十八万キロまで修復できるということになると、本年度の石炭の割当が非常に少いのじやないか、こう思いますが、その点について御意見を承りたいと思います。
進藤武左エ門
43
○進藤
政府
委員
昨年の火力の復旧は、大体二十四万キロ程度であります。大体日発で三十二万五千、配電会社の方で一万五、六千から二万キロくらいで大体三十四万キロでございます。
小金義照
44
○小金
委員
青木國務大臣がお見えになりましたので。いろいろ御質問したいことがありますけれども、お急ぎのようでありますから
一つ
二つ具体的の例について、通商産業
委員会
として非常に関心持
つて
おる問題について、お答えあるいは御所見の披瀝をしていただきたいと思うのであります。その
一つ
は、まだ確固たる情報は出ておりませんが、よりより先般來漁網の問題につきまして、それは生産から配給まで農林省の所管にすべきだというような運動があるやに伺
つて
おるのであります。ところが御案内の
通り
、商工省を廃止して通商産業省という新しい省を設けて、これでわが國のいろんな生産業を、
輸出
あるいは
輸入
に直結させる機構をと
つた
。そこで通商産業省としては従来ももちろんそうであ
つた
と思いますけれども、一層その生産の能率をあげる。そして
輸出
に非常な重点を置く。聞くところによりますと、漁網に相当な海外
輸出
も考えられておるようであります。そういうような関連からいたしまして、國内で使用する漁網については、農林省が生産からこれをつかさどる。
輸出
の
方面
については通商産業省かこれをつかさどるということになりますと、業者は非常に困る。これはひとり漁網ばかりではないのでありまして、そういう問題は多々ほかにもあるようでありますが、特に漁網の問題については、最近いわゆる
官僚
のなわ張り争いと言いますか、こういう点からか、業者の中にはたいへん迷惑に思
つて
おるが、これを口に出して言えば、もし農林省に移
つた
場合にはひどい目にあうというような
関係
から、大きな声では言えないのだがというようなことさえ耳に入
つて
おるのであります。この問題は一事が万事の例になるおそれもありまするので、通商産業省の設置を機として、いろんな資金、
資材
の生産から配給の御計画の衝に当られる青木國務大臣の御所見を、ひ
とつ
お伺いしておきたいと思います。
青木孝義
45
○青木國務大臣 ただいまの小金
委員
の御質問でございますが、これはおつしやる
通り
従来の商工省が担当して来られた部分を農林省の管轄に移すとか、そういう問題はなかなかこれはむずかしい問題でありまして、私の方でもかねてから研究をいたしておるのであります。しかし私どもといたしますると、公平な立場に立
つて
これを考えなければなりませんし、またそのほかに物價等その他関連事項について十分検討を遂げまして、一應の結論を出したいというふうに考えております。お言葉のこともきわめてごもつともな点でありまするので、それらの点も十分検討をいたしまして、善処いたしたいと存じております。
小金義照
46
○小金
委員
ひとり漁網ばかりの問題ではございませんで、これはいろいろ例になるおそれもあります。ただ漁網について申し上げれば、日本の漁業家に十分な注文を出させて、こういうふうな質のこういうものをつくれということを申し出させて、通商産業省がそれに適應するようなものを指導してつくらせる。こういうふうにすれば農林省に所管を移すとか、あるいは所管争いをさせないでも済むように、通商産業
委員会
の皆さんもこれは考えておられると思うのであります。どうかその点をひ
とつ
十分國務大臣においてお考え願いたいと思うのであります。同時に有田通商産業次官もお見えにな
つて
おりますから、その御所見をひ
とつ
伺いたいと存じます。
有田二郎
47
○有田
政府
委員
安本長官がおられますから、この際ひ
とつ
通産省としての
考え方
を安本長官にもお聞き願いたいと存じますが、実は單に漁網の問題でなく、農機具の問題も今日非常に問題にな
つて
いる。しかも農林省の最近の動きというものは、ま
つた
く軌道を逸した感があるのであります。この農機具も野かじあるいはそうい
つた
程度のものは、当然農林省に移管されることはわれわれ
異議
ないのでありますが、精密機械にまで農林省がその生産に進む。漁網の問題にいたしましても大体業者の意向なり農林省側の話を聞きますと、計画の点においてあるいは金融の点において、あるいはたとえば輸送切符は農林省に行
つた
らなくなるというようなことを、業者の方々に言
つて
おられるようでありますが、こうい
つた
ことはいずれも安本の所管に属することであります。通商産業省の以前の商工省におきましては、単なる安本からの御指示によ
つて
生産の面を担当しているにすぎないのであります。もしも、この生産の面において至らない点があるとするならば、これは安本長官からの御指示によ
つて
いかようにでも是正し、またこれを改めることかできるわけであります。今度の農林省にこれが所管がえになるという
理由
は、通産省としてはどうしても解せないのであります。しかも今日商工省がなくなりまして、新しく
輸出
立國の建前から通商産業省が二十五日から発足したのでありますけれども、その建前から行きましても当然この生産を農林省に移すということは、國家全体の立場から考えましても妥当でない、かような見解を持つのであります。従いまして、安本長官がただいま公平厳正にこの処断をしたいというようなお話でありますけれども、これは大体のお仕事の全部がほとんどあけて安本にあるのであります。農林省はその配給をつかさどり、生産については通産省がその担当をやるという今日の
段階
において、もしも至らない点があるとするならば、安本にも私は大きなる責任がある、かような見解を持つものであります。従いまして、聞くところによると月曜日には安本長官がその断をお下しになるというお話でありますが、この断に対しましては十分通産省といたしましては、大臣の愼重なる御
態度
を願いたい。ただ農林省がうるさい、やかましい、農林大臣が強引にこれを押すからやるのだというようなやり方では、日本のために、また通産省の新発足の今日の状態から考えまして、賛成しかねるのであります。安本長官のさらに御賢明なる御協力を、私は通産省を代表してお願いする次第であります。
村上勇
48
○村上(勇)
委員
安本長官がお見えになりましたので、先ほどから引続いておりまする九州の
電力事情
について、私安本長官に特にお願いいたしたいのであります。先ほど
資源廳長官
のお話では、第二・四半期の電力需給については、これは安本がその計画を立てるということを聞きましたので、特に安本長官にお願いいたしたいのは、九州の
電力事情
は日本で一番悪い。どう悪いかと申しますと、
一般
産業は週に三日の休電日、また家庭用電燈でさえもこれをつけることができないという状態であります。その状態はなぜかと申しますと、石炭とかあるいは肥料とか鉄鋼とかいうような、重点産業に対するいわゆる要確保電力が、他の地区は三四%くらい、九州はこれが七〇%でありますから、民需にはわずかに三〇%しか行かない、こういう状態で非常に九州の電氣
事情
が悪いのであります。すでに第二・四年期の計画が着々と安本で樹立されつつあるそうでありますが、ぜひとも安本長官から、九州の第二・四年期の割当を他の地区と大差のないように、御指令をお願いいたしたいのであります。
青木孝義
49
○青木國務大臣 ただいま御希望なり御質問の形で、村上
委員
からお言葉がございましたが、この点は先に
政府
委員
が述べておりますように、第二・四半期の電力の配当計画につきましては、なお
経済
安定本部として検討中に属しておりまするし、これも間もなく
決定
せられると存じますが、おつしやるところはまことにごもつともでございまして、できるだけ公平に適当量を配給するよう努力いたしたいと存じます。
澁谷雄太郎
50
○
澁谷委員長代理
他に御質疑はございませんか。——ありませんければ次に移ります。 —————————————
澁谷雄太郎
51
○
澁谷委員長代理
次に繊維に関する件を
議題
といたし
調査
を進めます。質疑を
継続
いたします。阿左美君。
阿左美廣治
52
○阿左美
委員
私は繊維調整に関する問題につきまして、お尋ねをいたしたいのであります。長年の間統制に苦しんでおりますところの織物業者も、昨二十七日をもちまして絹織物に対しましては一應統制の解除を受けまして、非常に全國的に業者は喜んでおる次第でありますが、これに反しまして絹、人絹の交織織物がやはり依然として統制から解除を受けませんで、現
段階
におきましては、今まで
通り
の統制を受けることにな
つて
おります。それがために全國の扱い業者は、一齊に交織物に対しましては買入れを中止するという状態に昨日からな
つて
おりますので、
一般
の業者から電報とかいろいろのものによりまして、これらの問題を善処してもらいたいという非常なる陳情、要望がただいま全國から集ま
つて
おります。その
理由
を聞いてみますと、絹織物は統制解除になりまして、何らの拘束を受けず需要者も手に入れることかできますが、交織織物はやはり切符を要します。また割当その他の今までの統制事務を経ませんければ扱うことができませんので、何も苦んでそういうような織物を扱うよりも、統制のない絹織物を扱う方が非常に簡便であるし、また
一般
の消費者もかようなことに対して非常な関心を持ちますので、扱い業者が仕入れ中止というような状態であります。全國の産地は現存非常に金融的に困
つて
おる折柄、なお現在の交織織物をストックいたしまして、それが処分ができないということになりますると、金融的に破産をする状態に現在な
つて
おるのでありまして、これは先般の
商工委員会
におきましても、この問題に対しましては質疑をいたしたのでありますが、近いうちにこれも何とか善処するという御答弁は伺
つて
おるのでありますけれども、いろいろお聞きいたすところによりますと、この問題もそうむずかしいのではないのでないか。すでに
関係
方面
におきましてもOKはあるのだというようなことも聞いておりますし、日本
政府
におきましてこれを善処いたすことならば、容易であるというふうにも聞き及んでおるのでありまして現在の実情を考えますときには、もはや一刻を許さずこれを解除していただきませんと、
中小企業
は立ちどころに金融的に行き詰まるのではないか。ことに現在の織物産地は夏に際しまして、夏物はこれは例年交織が多いのでございます時期的に織物は交織織物というのが夏物に適しておるのでありまして、絹物の産地でありましても全産地に交織が多いのでありまして、それを季節的に今つくりまして、夏物として現在処分をしなければならない時期に際しておるにもかかわらず、それが
取引
にならぬということで、非常に
経済
的に業者は困
つて
おるのであります。これは一日も早く、一刻を許さず、絹織物と同様、絹、人絹織物、交織に対しては統制を撤廃していただきたい。こういうふうに業者から強い要望かあるのでありますが、これに対しましても
政府
御当局はいかなるお考えを持
つて
おりますか。一應お聞きする次第であります。
青木孝義
53
○青木國務大臣 その点は御承知の
通り
に、私どももいろいろと努力をいたしておるのでありますが、先ほどおつしやいましたように、この点ははつきりとお許しがまだ出ないのであります。これは私どもとしても何とかして早く御要求のようにしたいというので、努力を続けておりますので、それさえできますれば、すみやかに御希望のような結果か出ると存じますから、今後とも努力をいたして善処いたす考えでございます。
阿左美廣治
54
○阿左美
委員
御努力に対しては感謝をいたしますが、見通しといたしまして、季節の織物でありまして、その時期を失しますると、業者は一箇年間これをストックしなければならぬというような運命に立ち至るのでございますが、いつごろまで待ちましたらお許しをいただけますか。そのお見通しをひ
とつ
お伺いしたいと思います。
青木孝義
55
○青木國務大臣 ただいまのところ、今すぐ何日ごろとか、同月ごろとかいうことを申し上げるわけに参りませんが、なお私も事務当局も努力をいたしまして、なるべく早い機会においてそれが解けますようにいたしたいと存じております。
阿左美廣治
56
○阿左美
委員
繊維局の佐久さんにお伺いいたします。聞くところによりますと五〇%以内のものは了解を求められたということでありますが、その後かわ
つて
参
つたの
ですか。ちよつとお伺いいたします。
澁谷雄太郎
57
○
澁谷委員長代理
ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
澁谷雄太郎
58
○
澁谷委員長代理
速記を始めてください。
阿左美廣治
59
○阿左美
委員
先ほども申し上げました
通り
、これは夏物でありますから、いつにな
つて
も処分ができるというものではありません。ここに一箇月以内くらいで夏物は消費者の手まで渡らなければならぬというような
段階
に入
つて
おりますので、研究とか
調査
とかいうようなことで手間どりますと、業者は
経済
的に非常に行き詰まるわけでありまして、もし何らの対策もなしに進むということになりますれば、これは相当社会問題になるのではないか、こういうふうに考えます。これは御意見は一致しておると思うのですから、事務的に一日も早く解決していただきまして、即時交織織物の統制を撤廃するように御準備を願いたいと思います。 重ねてお伺いいたしますが、何日ごろまでかか
つた
ら解決がつけていただけましようか。もし解決がつかぬということになりますと、
事態
は容易ならぬことになるのではないかと思うのであります。現在業者がつく
つて
おりますものは全部交織なのでありまして、絹織物はほとんど夏物はつく
つて
おりません。その織物が全部
取引
できぬということになりますと、大問題であります。これは研究の余地がないと思いますから、即時撤廃していただきたいということを強く要望するわけであります。
佐久洋
60
○佐久
説明
員 目下折衝中でありますので、何日ごろと明確にお答えいたしかねる点、御了承願いたいと思います。
阿左美廣治
61
○阿左美
委員
もし日本
政府
の手のみではできないというならば、全國の業者はやはりその筋の方へもいろいろ陳情いたさなければならぬと思うのですが、その点はいかがでしようか。
佐久洋
62
○佐久
説明
員 業界の意向として意見を申し述べられることは、ちつともさしつかえないと思います。
阿左美廣治
63
○阿左美
委員
これは捨ておくことのできない問題でありますから、そういうような方法も講じなければならぬことになると思いますが、
政府
におきましても、感情や行きがかりということなく、眞に業者のためとか
一般
の消費者ということに重点をお置きくださいまして、誠意をも
つて
解決してもらいたい。そうして
事態
が険悪に陥らないようにお願いいたしまして、私の質問を終ることにいたします。
澁谷雄太郎
64
○
澁谷委員長代理
本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十八分散会