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今澄委員 石炭の問題についてはかねがねいろいろ論議されたのでありまするが、正式な
商工委員会として論議するのはきようが初めてでありますので、いささか重複のきらいがあるが、二、三点お伺いしたいと思うのであります。
その第一点は今度の
石炭に関するメリット炭價の問題で七月からメリットによる新炭價で行くというような
情勢は、大体やむを得ないものであろうと、われわれ思うのでありますが、五、六月の暫定
價格は少くともそれに行くまでの暫定的な処置として、日本の
石炭産業全般にわた
つて大きく政治的な考慮を拂い、妥当なものでなければならぬと考えておるのであります。しかも復金の貸出しといい、その他
石炭関係が抱いておる大きな赤字に関する融資、それらの処置というような問題についても、もとより重大な関心を持たなければならないのであります。しかるにこともあろうに、この暫定炭價の問題が俎上に上るや、三井鉱山あるいは古川鉱山等の株價を見てもわかるように、驚くべき株の騰貴を示しておるのであります。その暴騰は何に原因するかというと、これら大炭鉱に最も有利に
價格がきめられるであろうという兜町筋の見解によ
つて、これらの大炭鉱の株は軒並に——北海道炭鉱も含めて最近暴騰しておることはすでに御承知の
通りであります。その反面に、一部の宇部炭であるとか、常磐、九州方面における中小炭鉱の現実は、まこに暫定炭價の成行きいかんによ
つては、ほとんど崩壞に瀕する。こういうような状態にな
つておるのでございます。そこで私
どもはこの五月、六月の暫定炭價は愼重にきめなければならぬということを考えて、しばしば
商工委員会の
鉱工業小
委員会で私
どもは
政府委員にただしたところ、
安本の、
動力局長は今の状態ではわれわれをも
つてしては何ともできがたい。もはやさじを投げた形である。いい知惠があるならば貸してもらいたいというような発言が
政府側からあつた。そこで私は
商工委員会の名において、これらの
石炭の問題については、
國会は
國会としての
意思をひ
とつ明らかにして
政府に勧告せん、こういうような意図を持
つておることを御了承を願いたいのであります。私は
石炭の炭價の問題については少くともメリットというものを含む意味合いの中には、どうしてもそれはカロリーのみではなくて、揮発分であるとか、粘結性であるとかいうようないろいろな要素をこのメリットの中に含ませることが、現下の
石炭行政としては最も重大な点であ
つて、この点をまず第一点としてメリットの暫定炭價の中に織り込まなければならぬ。いま一つは
石炭協会で答申したところの一本にまとまつたと言われたあの
石炭協会案なるものは、まことに大炭鉱側と小炭鉱側との意見が対立してお
つて、これは完全に二つに分れたところの意見である。三十何名の委員の中で中小炭鉱を代表するものは三名しかおらないという現実から判断されても、しかもその後の陳情の模様から判断されても、
石炭協会から具申した案は一本のものではない。大炭鉱、大手筋の意見が全面的に盛られたものであるということを、第二点として強調したいのであります。第三点としては、これまで掘れ掘れと言うて國家統制のもとに、まことにがむしやらに掘らしたところのこれらの中小炭鉱を、今日日本の現情から見て、九
原則のもとに一氣に振り捨てるということは、まことに情容赦のない行き方であ
つて、これらの中小炭鉱の労働者並びに、その家族、経営者の立場も十分考慮して、ここにそれらのものが成立つような配慮をして炭價をきめるということが、今日の日本の
石炭行政の上に重大なる点であるということが第三点、この三つの点から私は中小炭鉱あるいは低品位炭に與えられんとしている五、六月の暫定炭價の傳えられたところの
基礎案というものは、まことに当を失したものであるとわれわれは考えている次第でございます。その間いろいろといきさつがありましたが、今聞くところによると、あるいは
政府は四千カロリー以下の炭については、補給金として八十円出ておるものを全部打切るというような意見も傳えられております際であるから、將來七月からの本格的な炭價について、業者並びに
組合側が眞劍にこれを案じておるということは、論をまたないところであります。私
どもはかような意味合いにおいて今後の五月、六月の暫定炭價はもとより、將來のメリット主義による炭價の決定については、深甚なる配慮をこの際
政府に求めたい。そうして私
どもは今の四千二百万トンの完遂については、これは見方の相違でありましようが、そういうような状態のもとに四千二百万トンが完遂できるかどうか。しかも
関係方面から指示された四千二百万トンについては、何々カロリー以上のものをという指定はないのであ
つて、おのおの
使用の方法さえよければここにそれらの炭も十分使い得るという現態勢から、私
どもはこの暫定炭價の問題について非常な関心を持
つておる次第であります。そこで
結論を申し上げると、この前の
鉱工業小
委員会において、大手筋の大山炭鉱で、あるいは一つの優良鉱脈を押えて掘らない、あるいはふたをあけさえすれば相当高カロリーの炭が出る。そこでもし
政府が四千カロリー以下の補給金を打切れば、その優良鉱も掘
つて、混炭するごとによ
つてカロリーを上げて行くというような縦横なる対策のできるところのこれらの大手筋と、その炭以外には何らないというような小山とを、同一のランクに置いては誤りであるということを私は申し述べて、委員各位の意見を徴し、この際中小低品位炭鉱の今度の炭價については大いに当を失するものであるから、これが引上げについて特別な
措置を講ずる必要があるということを申し述べましたが、
速記はなかつたけれ
ども、そのときに御
出席の民自党、民主党、社会党、共産党各派の代表の方々が一致してこれに賛成されたことは、そのとき
委員長席におられた小金君もよく御承知の
通りであります。よ
つて私はきようの
商工委員会におきまして、この問題に対するおのおのの見解も申し述べ、あるいはきようは傍聽者として見えておられますが、その中からしかるべき人を参考人として指定して、懇談的に
石炭協会の模様なり、あるいは大手筋炭鉱の人々の意見なり、さらにはまた中小低品位炭鉱の方々の意見をわれわれは十分聽取いたしまして、しかして
政府の見解とにらみ合せ、この際
石炭の暫定
價格の問題その他について、手をあげたと言明されたところの
安本動力局長その他
関係各位に、われわれは
商工委員会の名において勧告いたしたいと考えておるのであります。
委員長にひ
とつお諮りいたしますが、この前の
委員長とも内々で御相談申し上げたように、本
委員会のあとで参考人とわれわれ商工委員との事情の聽取方を、おとりはからい願いたいと存ずる次第であります。