○細井政府
委員 ただいまの
請願の御
説明に対しまして、私どもの実情と
意見を申し上げます。
御承知の
通り石けんの生要原斜であります油脂は、大部分を輸入に仰いでおりますので、この輸入の油脂をできるだけ効率的に使うという意味におきまして、この輸入油脂と、わずかばかりではございますが、國産油脂とを合せまして、これにできるだけ強力なる
統制を加えるという必要があるわけであります。このために今般配給面におきましても、從來の
ようなやみ石けんが出ておるのを極力
統制面に吸收するという意味におきまして、これを基礎といたしまして、將來さらに油脂の輸入を確保するという見地から、今般御承知の
通り物資調整法に基きまして、石けん配給規則が公布され、法規的な
統制をすることに
なつた次第でございます。そこでこの配給面におきましては、消費者がまず小賣店を選挙し、小賣店はさらに卸賣店を選挙しまして、これによ
つて配給面を確保することにな
つたのでございますが、この最後の段階の卸商が、
需要者なり小賣店の意向を反映いたしまして、メーカーを選択することになるわけであります。そこで卸店がメーカーとリンクする方法といたしまして、いろいろやり方がございますが、從來の
ように設備能力に基きまして、わずかのものを廣く割当てるという行き方は、設備や
資材の有効利用並びに製品の優良化という見地から、絶対にこれはぐあいが悪いということは、すでに業界自身も言
つておられるところでありますし、また今般の経済九原則の線にも沿わないということにもなるわけであります。さらに石けんにつきましてはある能率判定のもとに、極端に数の少い優良メーカーにフルの操業をさせるということは、單に技術的な目地から見ますと、あるいはいい結果が得られるかもしれないのでありますが、これは石けん業という特殊の業界における措置としては適切でないというので、これもよろしくないという
ようなことであります。おとに残ります問題は、しからばどういうふうにしていい石けんをつくるメーカーに、操業を集中するのがいいかということでございますが、それについて考えられますのは、
需要者にメーカーを選択してもらう方法、すなわち最終の
需要者が直接メーカーを選択するのでなくして、
需要者の意思を反映した卸商にメーカーを選択してもらうということによ
つて、その操業の調整をいたしたいということになるわけであります。これに対しましては、今
降旗議員から御質問がありました
通り、
需要者つまり卸商からの注文の量に應じて
資材を割当てる方式と、そうでなくていわゆる還流クーポン制と申しまして、一定の設備基準その他の基準によりまして、各メーカーに一應割当をつけまして、そのスタートに基いて卸商からの注文に應じてこれを調整して行き、次期の割当にこれを反映して行くという方法と二
通りあるわけでありまして、どちらがよろしいかということは、まことに愼重に考えなければならないことでございます。またこの二つの方式にはそれぞれ一長一短がございまして注文生産制のやり力は、非常にいいメーカーに生産が集中するということが考えられるのでありまして、大事な油脂原料を最も有効に使うということになるわけでございますが、そのかわりこの制度に対しましては、不良つまりそう優秀でもないメーカーが、非常な犠牲を受けるという欠陥もございますし、またただいまお話がございました
通り、從來の單に名称によ
つて不合理に集まるという
ような欠陥も、場合によ
つては起るのではないかという心配があるわけでございます。ところがまた還流クーポン制におきましても、現在還流クーポン制のやり方は、一定の設備、水準に対してスタートをそろえるわけでありますから、從
つて毎四半期ごとに、不良製品が残
つて行くという欠陥がございますし、また
資材の有効利用を目的とした競争が、長期にわた
つてきわめて緩慢に行われるという点に、経済九原則の面から見ますと、必ずしもその線に沿わないという
ような欠陥もあるわけでございます。しかしながら全体といたしまして石けん業界の特殊の
事情から申しまして、あまりに急激な競争はなるべく避けたいという意向で、私どもはや
つておるのでございますが、関係方面の意向といたしましては、大体におきまして注文生産制の方がより合理的である力また九原則の線により沿う
趣旨であるという
ような御意向が強いのであります。この注文生産制によりましても、必ずしも大メーカーなり有名メーカーに集中するということにはならない。と申しますのは、大メーカーといえども今日他のメーカーと同じ
ように、わずかに設備能力の五%くらいの操業しかいたしておりませんし、これが急に注文をたくさんとりましても、
資金関係、労務者の関係からいたしまして、そう急にフル能力に操業するわけに行かないという点もございます。また
需要者が直接メーカーを選択いたすことになりますと、お互いに有名メーカーしか名前を知らない
ような状況でございますので、中小メーカーで非常にいいものができるものがありましても、これが選択されないという
ような欠陥がありますが、これを専門の卸業者に選択させますと、その点は非常に専門的にや
つてくれるという
ような点も考えられます。しかしながら非常に業界で心配しておられます
ように、正当な競争でなくして、他の宣傳その他商標等の
理由によ
つて、有名メーカーに不合理に集まるのではないかという心配もあるわけでございます。そういう意味におきまして心配しておるわけでございますが、ただいま関係方面の御意向としましては、先ほど申しました
通り、注文生産制の方がより合理的だという
ような見解が強いのでありますが、今日のところではまだ最終の段階に
至つておりません。ただいま打合せ中でございますので、どちらがにきまることになろうかと思うのでありますが、なおここで一言誤解のない
ようにお願いしたいと思いますのは、千何百というメーカーがございますが、現在配給石けんをつくらしておりますのは、そのうちの二百十九工場ばかりでありまして、今般の実態
調査によりまして、さらにその中に二、三百は入ることと思われますが、現在まで配給石けんをつく
つておりますのは、その程度のものでございまして、他の千二、三百のメーカーに対しましては、現在におきましてもまた將來におきましても、還流クーポン制と注文生産制と、どちらの方をとるにいたしましても、大部分のもの、もう少し具体的に申しますと、年間生産能力八百トン以下のメーカーに対しましては、いわゆる配給石けんでなくて、洗剤、油剤その他の洗剤原料を配給いたしまして、わずかながらも操業していただいておるという
ような状況でありますから、その面につきましては大して今までとはかわ
つた影響がないのでありまして、一番心配なのは、その正規の石けんをつく
つております者が、競争によ
つてどれだけ落ちなければならないかという点が問題になるわけであります。そこでこれらの者にして、かりに注文生産制をとりまして、配給石けんがつくれなく
なつた。そのリストの中の者につきましては、今後は労務者用の石けんその他をや
つていただいて、これによ
つて操業を維持する
ようにしたい。またその他の一般メーカーにつきましては、從來のやり方によりまして、これは集中生産制でなくて、つまり
需要者選択制でなくて、油剤その他の配給を確保いたしまして、わずかながらもや
つていただく。なおその他全面的には、先ほどお話のございました未
統制の油脂を極力増産をしていただきまして、この方のメーカーについては別に
統制をしないという方式で、だれでもその未
統制品を集荷したものに、石けんをつく
つていただくという
ようなことも考えておりますので、かりに注文生産制による方式をとりました場合におきましても、中小メーカーに対する影響は極力行かない
ように、配慮してみたいと思
つておるのであります。ただいまそういう段階にございますので、御参考に申し上げておきます。