○床次
委員 ただいま両
大臣の御
報告によりまして、
政府のお
考えはわか
つたのであります。國会並びに
政府当局が親しく
現地を
視察いたしましてそれぞれ実情につきましては十分認識を持
つておると思うのでありますが、しかしながら今日の
委員会におきまして、まだそれが根本的な
対策を立てることができないということは、私
ども國民に対してまことに相済まぬと
考えておるのであります。ただいまも
益谷大臣が仰せに
なつたように、私
どもは
金額を今すぐに発表してもらいたいということはあるいは事務の
関係上やむを得ないと思いますが、しかしこの
災害に当りまする
政府の根本的態度だけはおきめにな
つて御発表にな
つて然るべきものであると
考えております。少くとも國会の観察いたしました一員といたしまして、今後の
対策はこうあるべきだという腹案は私
ども考えておるので、あります。過日すでに私
どもの派遣
委員の
委員長よりも御
報告ございました、ところによりまして、大体の骨子はおわかりにな
つていると存じます。私は今日すみやかに
政府の根本的態度を発表せられる時期にあるのだということを申し上げたいのであります。ちようど
山口大臣の
お話もありましたが、私
ども山口大臣が短時日の間によくも見て來られたものであるとまことにその点敬服するのでありますが、今回の
災害につきましてある
一つの特色を持
つておると思いますげすなわち
九州地方におきましては、たびたび
災害を受けておる。
台風が発生いたしました場合は、必ずや
九州からこれが北上いたしまして、それぞれの
地方に影響を與えておるのであります。
從つて九州、特に南部の
宮崎、鹿児島というところは、他の
地方に比しまして、しばしば
台風に襲われておるというところに大きな特色があるのであります。なお
山口大臣が仰せになりましたごとく、今回の
災害が特に
中小河川、なお
中小河川よりももつと上流の
河川においてひどい
災害を生じておる、あなたかもこれは太古の
河川の状態そのままである、
從つて災害が多いのだという御感想をお持ちにな
つたのでありますが、
九州の南部
地方におきましては、他の
地方と比べまして、すこぶる
災害対策が今日遅れておるということを私は認めざるを得ないのであります。地元の私
どもといたしましては、かかる状態に放置せられたことに対じまして、はなはだ遺憾に存ずるのでありますが、この状態をいつまでも放置すべきではない。今後
台風がありましたならば、必ずやより以上の
災害が生ずるものと
考えております。今日におきまして根本的の
対策をとることが必要である。これは
山口大臣もお認めに
なつたことと思いますが、この特色を持
つておるわけであります。
次にもう
一つの地理的特色といたしまして、
大臣も親しくごらんに
なつたことと思いまするが、
九州南部の
地方は、いわゆる霧島火山脈の
地方でありまして、土質において非常に特色が奉るのであります。多分に水分を含みました場合を含みました場合は、この水分が流出いたしまして、これが田畑に入り、
河川に害を及ぼすという、非常に特別な立場を持
つておるのであります。今回の
災害にあたりましては、よくかかる
災害の特徴を御認識に
なつたことと思うのであります。
先ほどの御
報告にもその片鱗が
見えております。今後
対策を立てられます場合には、この点に着眼して、
災害復旧並びに予防の
費用を計上さるべきと思うのであります。
益谷建設大臣の
お話の中で、はたしてそういうことを認識して
予算の計上をや
つておられるかどうか、
先ほどの
お話では、私はとうていこういう特殊な
地方に対する
災害復旧としては十分な効果を現わさないのではないかということをおそれておるのであります。
また
地方負担力の点から申しましても、この
地方はたびたび
災害にあ
つておるのであります。気象台の調査
報告によ
つておわかりでありましようが、
災害を受けます頻度がまことに多い。
從つて土地の者はたえず不安定な生活をしておるのであります。せつかく営営築き上げましたものも、毎年々々これが風水害によ
つて荒されておるという状態であります。生活
程度は勢い低い。また地元の
経済力も低いのでありますが、今回の
災害にあたりましても、他の
地方と同じような
災害負担金を課せられて、この
災害に当るということに対しましては、かなり苦痛を感じておるのであります。他の
地方と同じような
融資をし、また公共
事業の割当をするという
程度のことではいけないのであります。
私はここにやはり今回の
災害の特殊性を知
つていただきたいと思います。すなわち、たびたび
災害が來るということ、また
災害の種類が非常に特色を持
つておる。また
地方はそのために非常に疲弊しておるというようなことは、特に今回の
災害対策については重視さるべきであるということを私は申上げたいのであります。この点十分に留意せられまして、
災害対策を立てていただきたいと思いますが、御所見を承りたいと思います。
次に、
山口大臣は、農産物その他の
被害も多いことを述べられております。前回の
委員会におきましては、簡単に農林
対策の一部について御
報告がありましたが、
河川に次いで、ほとんどそれと匹敵するがごとき
損害を與えておりますところの農業
関係について、まだ
政府の御
説明を得ておらないのであります。この
根本対策に対しましても、ひ
とつ御意見を承りたいと思
つております。特に
山口大臣、また
益谷大臣が仰せになりましたことくに、今回の
災害は単なる
災害復旧で終始す、るものではなくして、
災害の
復旧より一歩進みまして、こり予防をなさなければならない時代にな
つておる。ただいまも
治山治水に対して、将来の恒久
対策を講じたいという
お話がありましたが、まことにこれは緊急なことでありまして、当然
治山治水に触れなけねぼ、今回の
災害復旧対策は成立たないと私は
考えております。これに対しまして、御当局ははつきりした態度をも
つて臨んでいただきたい。しからざれば
災害復旧事業というものは、まことに無意味であると私は
考えておるのであります。
次に、
先ほど釜谷
大臣から過去の
災害復旧事業について、特に
九州地方におきましては、
昭和二十
年度以来
災害というものがない、ほとんど
災害復旧は
終つておる、その後に
災害があ
つた、しかも、従来以上の大きな
被害を出して、まことに遺憾であるというような
お話がありましたが、今日までの
災害復旧事業の実情を見ますと、過去の
事業が依然としていまだ完了しておらない。二十二年、二十三年と引続き
事業が繰越しにな
つておる。なお國庫から来るべき、
補助も十分もらえずに、これを地元で立替えて工事をや
つておる状態であります。過去の
災害のために
地方民が非常な圧迫を受けておるということをお忘れにな
つておるように私は
考えるのであります、この点はまことに遺憾であります。過去の
事業さえも十分できておらないのであります。しかるにもかかわらず、さらに今回
災害を受けたこの事実をよく知
つて、今後の
復旧事業に対して、
予算措置を早急に立てられなければいけないということを、私はお願いいたしたいのであります。
次に、財源の問題でありますが、ただいま
特別会計等をつく
つて予算の
措置をはか
つたならばどうかということに対しまして、お答えがありましたが、地元におきましては、
災害がありまじたときに、ただちにどういう仕事をしてこの秋までの
台風の
対策を立てるか、さらに將來の
対策を立てるかということを決定いたさなければほんとうの仕事ができないのであります。一應の
融資によりましてあの
融資の範囲内において應急の間に合せはいたしますが、これは借りる額にしばられておるのであります。これは安心できる
程度の仕事ではないのであります。
從つて私
ども将來の
災害対策を完璧にいたしますためには、ある
程度の金を
政府においてすみやかに決定して、その工事に着手し得るような
措置がとられなければいけない。特に九月の
台風期を控えております今日にありましては、かかる
予算措置は一日も早くきめるべきであると
考えておるのでありますが、いまだにその
金額がきまらないというような状態でありましては、
地方民といたしまし七は、まことに落胆せざるを得ない立場にあると思います。
從つて私
ども、ここに
特別会計その他特別なる資金を
災害のために保有して、將來の
災害復旧事業に対して遺憾なきを期するということが大きな問題として、取上げられなければならないと
考えるのであります。
政府におきましては、手持の
公共事業費があり、これをある
程度融通して行くから、それで應急には間に合う、大して
予算獲得の見込みのない
特別会計を置くことについてはどうかという御懸念も、持
つておるようでありますが、これは
政府当局の
考えに過ぎないと思う。私
どもは今日の國庫の立場から見まして、國民全体の立場から見まして、治山、
治水並びに
災害復旧はまことに重大である。今日
災害復旧を中途半端にいたしましたならば、次の機会にそれ以上の
災害を來し、年々
災害を重ねることは目に
見えておるのであります。今日
災害復旧費に出したものは、必ずや生産的なものとして、それだけの収穫は確保し得るものと
考えておるのであります。これがために
相当の
予算を確保することは、これは理解してもらえるのではないか、
政府も努力せらるべきことであると
考えまするが、
政府がそれができないと言う場合におきましては、当然國会として
考慮すべきものであると
考えます。
政府の御
答弁によりますれば、
政府としてむずかしいというような御
答弁のようでありまするが、國会といたしましては、強い要望を
関係方面に出し、國会自体といたしましては、將來の
災害の予防の確保を期するために、ある
程度までの資金を確立しておくという方策をつくることが緊要であと存ずるのであります。今日までの
災害の
状況を見ますると、各
地方とも同様でありましようが、すでに治山、
治水の
見地から見まして、ほとんどどこも
現状のままでよいというところはないのであります。放置いたしましたならば、必ずや大きな
被害になるということは目に
見えておるのでありますから、年々これに対して
相当の額を
支出しなければならないということは、明らかな事実であると思います。
從つて、たとい多額の命でありましようとも、それだけのものを特別にと
つておきまして、いざというときにすぐ
支出できて、一月、二月の荏苒をせずして
災害がありましたときにただちにこれが適当な
方面に使い得ることになりましたならば、それだけでも
つてよほどこれは
復旧に役立つものと
考えておるのであります。決して
金額が多いから
特別会計がとれないというべきものではなしに、事柄の性質上、れはすでにかかる特別の基金をも
つて災害の発生に対処するということが追まられておるのだと思います。この点に対しましては、
山口大臣がすでに
GHQに対して御交渉に
なつたとは承りまするが、特にこれは國会といたしましてもこの問題を取上げまして、將來の予防
対策に努めなければならないというふうに私
どもは
考えるのでありまして、この点に対しましてあらためて
政府の御意見を、承りたいと思います。
さらに農林
大臣が來られました場合に、農林
大臣の立場より
治山治水の問題を承
つてみたいと思うのでありますが、
治山治水の問題に対しましては、これまた
河川その他
建設省関係の
災害復旧費よりも、さらに多額の金がいるのではないか。これを
公共事業費その他より流用して参りましたならば、必ずや現在必要とする
事業に支障があるばかりではなしに、将来の
事業におきましても、十分のことができないと思うのであります。この点特別なる財源を持つということは、明瞭であると存じます。
なお起債の問題につきましても、
災害に関する起債に対しましては特別の
わくを設けておく。一般の起債の
わくの中からこれをやりくりいたしまして認めるというのでは、すでに事態は不十分であることは皆様もお察しになることと思います。財源を確保して
災害復旧に遺憾なきを期するという意味におきまして、起債の
わくも同時にと
つておく。また
災害復旧に対しましてはあるいは、富くじをするもよかろうし、その他の財源を確保する方法によりましてその
措置に遺憾なきを期するようにひ
とつ努力をお願いいたしたいと思
つております。これに対しまして、
政府の御意見を承りたいと存じます。