○菅家
委員 二三お尋ねいたしますが、
先ほどの
証言の中に、
警察云々だけでは取締りはできぬ、
國民の
協力と支持を得なければならないという
証言があ
つたのであります。これは当然なことでありまして、
警察がいかに
制度がかわりましても、
國民の
協力と支持がなければいけないということは言うまでもないと思います。そこで
國民の支持と
協力を得るのにはやはり
警察の信用というものが一番大切になるだろうと思います。
警察というものの威信を失墜したところに
國民の
協力、支持を求めることはできないのであります。そこでお尋ねしたいのは、
國民の支持と
協力を受ける第一條件は
警察の信用であるが、その次に報道機関の
協力というものが
警察に対して大きな力を持つと思うのであります。
福島縣下に行われたこの
騒擾事件から、
福島縣下各都市における新聞通信業者が
一つの陳情書を出しておるのであります。これによりますと、平市をめぐる
騒擾事件その他郡山、若松、
福島における
騒擾事件に対して、各新聞社の報道陣営が無届デモのためにおどかされて、当然なる写眞の撮影であるとか報道の上において支障を來した。これに対して
警察が少しも取締りをしてくれなか
つたということの陳情を受けております。これは文書が出ておりますので、適当な機関を経てそれぞれに提出するつもりでおりますが、実際本員が現地を見たところにおいても、郡山市において群集が無届デモをして
警察署に押しかけて来た。これを新聞にとろうとしたところが、群集の中から今フラツシユをたいた新聞社はどこだ、この記事と写虞は載せてはいけないということを團体の代表者が押しかけてこれを威圧しておるのであります。目撃したのでありますが、かくのごとく新聞報道機関というものは、無届のデモ等の
騒擾の起きた場合に、完全にその
職務を行われなか
つたことについて、どうして
警察に
協力することができましようか。
福島においては二つの日刊新聞社がありますが、
福島民友、
福島民報の両社長ともわれわれのところに來て言うのには、今の場合
警察に
協力しよう、
一つの記事を書こうと思
つても書けない。何かというとすぐに四、五十人なり百人の共産党員が中心にな
つて新聞社に押しかけて来る。新聞社を守るのはだれか。暴力團を頼んで工場を守
つておくわけには行かない。社員だけ不寢番をしておるわけには行かない。まことに不安であり、輪轉機に少し砂でもかけられれば一週間の新聞発行が不能になる。活字のケースを二、三十人でひつくり返されればまた活字をそろえるまでに一週間なり十日は運轉不可能になる。まことに不安な
状態である。ということを
福島縣の三つの新聞社の代表者はわれわれに陳情しております。
福島縣ばかりではない。おそらく全國において最近起りました
事件を見ましても、正当なる報道機関が無届デモその他の暴力による威圧を受けてお
つたという事実を認めるのでありますが、こういうことに対する
警察の法の
執行というものはまことに弱か
つた。この
事件を何ら取上げないのみならず、取調べもしなければ、これを阻止することもしなければそのままにされてお
つたという事実があるのであります。これが
一つ。もう
一つは仙台の管区の者が平に
應援に行きますとき、駅頭においてこれが阻止されたという事実が明らかにな
つておるのであります。それに対する何らの法の
措置がないということになれば、いかに
警察制度などをかえてみましても、かくのごとく
執行力の弱いことでは、私はおそらく
警察の威信、信用というものは保てない、また
國民の
協力支持は得られないと思うのです。また平市におけるあの
警察署全体のことでありますが、これは市警の問題であるからとい
つて國家警察は二階にお
つてこれに
協力をしなか
つた。しかも留置場は破られて、そこにおりました
警察官の腰に下げてお
つた拳銃を奪われて、その
警察官が留置場に入れられて
犯人は出されたという暴挙があ
つたにかかわらず、その二階にお
つた國家警察は
協力をされなか
つたという、これはどういうわけであるか、われわれにはのみ込めないのであります。かかる
事件が度重な
つて行
つてどうして
警察が
國民の信用と支持を得ることができるでありましようか。また全國において無届のデモが行われております。届出をしないで二、三百人、四、五百人の者がスクラムを組んで革命歌を歌
つて一晩中町を練
つて歩く。これくらい不安なことはありません。しかも
警察に自動車を貸すと四、五十人の者が個人の住宅を襲
つて、何ゆえに
警察に自動車を貸したかということで、多数をたのんで威圧をされて一般市民は不安に陥
つてお
つたが、
警察のこれに対する
措置は何ら行われておらないのであります。かくのごときことでは
國民の支持、
協力は決して得られないと思う。いかなる形でこの
警察制度を改正しようとしても、
警察が弱体であ
つては、もしそんなことをしたらわれわれがばかをみてしまうのであるから、泣寝入りして黙
つてお
つた方がいいということにな
つてしまうと思うのでありますが、これらに対して
長官としてはいかなる御
意見を持
つておられるかを承りたい。