○吉武
委員 去る七月一日から本
考査委員会におきまして取上げました
國電スト、それから平
騒擾事件及び廣島
日鋼事件は、いずれもか
つてなき暴力不法行為でございまして、
日本の再建に重大なる悪影響を及ぼすばかりでなしに、民主政治確立のために徹底的に
調査をいたしまして、その根源を絶たなければならないところの重大
事件であ
つたのであります。
まず第一に取上げられましたる熱海の違法決議でございますが、本
報告書にもありますごとく、この決議に関しては、実力行使は正当防衛である、
從つて法律を侵すもやむを得ないと言
つております。
國会が民主的によ
つて決定したるところの法律を、暴力、不法によ
つて打ち破ろうとするがごときは、議会政治を否認し、暴力による政治権力の獲得を意図することでなくして何でございましよう。また
國電ストの端緒が新交番制を一日わずか十分程度延長したにもかかわらず、これを從來の八時間制が十時間制に延長されたがごときデマと虚偽の
宣傳をいたし、また新交番制は馘首の前提だ、かようなデマを飛ばしておりまして、
共産党員の謀略的煽動によるものでございます。
さらに平
騒擾事件に、單なる
警察署が占拠されたという問題ではございませんで、署長初め警察官に幾多の
暴行を加えている。
警察署には十数箇所にわた
つて石を投げ、ガラスをこわしている。その上に留置場を破
つて、中に檢東されているところの
共産党員を奪い出して、かわりに警察官から拳銃を奪
つて、警察官を押込めたという、今までに見られざる暴力沙汰でございます。このことの発端は、一つの掲示板の移轉問題であ
つたのでありますが、これも個人名義で許可したものが、後に
共産党の
宣傳に用いられ、交通に著しい障害を及ぼすために、
警察署としてはその移轉を勧めたのであります。しかるに、それが不服であるからとい
つて、突如多数を集めて押かけ、暴力によ
つて警察に乱入し、
警察署を占拠するということは、今日の憲法治下において断じて許されざるところでございます。これこそ意識的な、計画的な戦術といわないで何でございましよう。これが計画的に行われましたその証拠は、数日にわた
つて証人から聞いたところでも明らかですし、同じく三十日に福島の縣廳を襲
つている。また同じく若松、郡山にも同様に
共産党及びその友誼國体が押かけで行
つております。また明らかなことは、仙台駅から應援に來ようとした警察官を仙台駅で食い止めようといたしたる事実等を見ましても、それがいかに計画的に行われたかということを実証するものでございます。これらの問題は、單なる一福島縣下の地方的な問題ではなくして、時を同じくいたしまして
國電ストといい、あるいは廣島
日鋼事件といい、これらを総合的檢討いたしますならば、その背後におどる重大なる陰謀を察知せざるを得ないのであります。しかもこれらの
事件は、本
委員会の
報告書でも明らかなことく、いずれも
共産党員が指導している。今回のこれらの
事件を、
共産党の人人は吉田内閣の経済政策が元であるとい
つております。しかしながら、今日経済安定の九
原則を実施する責任にある政府として、この九
原則の実施の目的は、一にかか
つて日本経済の再建にあることは、いまさら言うまでもございません。終戦以來三年の間の水ぶくれの経済、竹馬の経済を一刻も早く請算し、インフレを收束するために、國家財政の均衡をはかり、歳入の合理化をはか
つて、も
つて自律ある経済に建直さなければ、
日本は永久に再建することはできないのであります。かくのごとき政策に、かりに反対の
意見があるといたしましても、これは國民の輿論に訴え、民主的な方法によ
つてこれを決すべきであるにもかかわらず、一部少数の者が暴力によ
つてこれを主張せんとするごときは明らかに暴力革命の前提であり、断じてわれわれはこれを黙過することはできないのであります。
これらの
事件にかんがみまして、私は去る七月四日マッカーサー元帥が声明されましたことを思い起さざるを得ません。すなわちこう言
つておられます。「政治治権力の行使による私有財産並びに個人利益の廃止を通じ資本主義経営に基く経済制度の打倒主張した極端なマルクス的社会主義の学説から由來する共産主義は、運動を実践するに必要な政治的権力を正常な平和的または立憲的過程によ
つて信來者逹が獲得できないことを早くさと
つたのである。なぜならば、人類の本來の良識はマルクス主義の平和な円満な普及に対し有効な防塞とな
つたからである。この防塞を打破するために、政権を獲得する手段として暗殺及び暴力で現存政府の破壊を試みた虚無主義として知られたテロ的概念との合同が窮極的に行われた。しかしながら、現在唱えられている共産主義は政治的学説または経済的学説にも基くものではなく、またこれらの学説の眞面目な眞似事にも基かないものである。立憲的手続の下に支配している多数派のものから政権を、窃盗により、また浸透、欺瞞により少数派のものが奪いとることができるための暴力及び脅迫の手段として共産主義に出現したのである。」「共産主義は混乱、不安及び暴力を廣めることにより秩序だ
つた社会の團結および力を破壊しようとするために、社会のこれらの変態的分子を一つの組織だ
つた規律ある有力な力に鍛合するのである。人類の中で共産主義の犠牲にな
つたものに対しては、最後に奴隷にするほか何ものも與えない共産主義は、かくして眞の哲学的基礎を持たない國家的及び國際的民件剥奪運動として出現したのである。共産主義が成功するためには、破壊しなければならない諸自由のタテの影で、その背信的目的を前進し続けていることは、この時代の矛盾の一つであり、かかる運動に対し法律の効力、是認及び保護を今後與えるべきや否やの問題を提起する」とい
つておられるのであります。まことに至言であるといわなければなりません。
本日提案されました
中間報告及びわれわれが数日にわた
つて取調べました結果を総合して見ましても、今回の諸
事件はいずれも
共産党員によ
つて指導されている。これらの
事件がいずれも六月前後の時期に集約的に行われている。そして、その手口が人民裁判の
やり方といい、あるいはまたサイレントを使
つて外郭友誼團体を動員している点、あるいはまた縣廳、あるいは
警察署とい
つたような権力闘爭へ発展さして行く点を総合勘案いたしまするならば、これこそ明らかに吉田内閣の打倒に結ばれ、またおのが欲する政権獲得のためにいどむという感じを多分に表明し、まことに露骨に現わしておるということができるのであります。暴力に訴えて政治の変革を意図する、こうした一部の團体に対しては、民主政治の共通の敵として断固これを排撃し、かくのごとき非合法團体に対しては断固たる処置を講じなければならないと信ずるものであります。
本
報告書において
結論として出されましたことく、「以上を総合すれば、個個の労働爭議においては
労働者側にも種々の理由があり、言い分もあるものと認められるが、それかとい
つて、これをきつかけとして暴力行為に出ることは許さるべきではない。しかるに
共産党等の唱える人民政府樹立に向
つて進行しつつある暴力革命の前哨たる感を深くするものがあ
つたことは重大関心事といわなければならない。」と結んでありまする点は、われわれのま
つたく同感とするものでございまして、本
報告書に対しては私ども
賛成いたす次第であります。(拍手)