○神山委員 本論に入る前に先ほどの
委員長の発言の中に訂正してもらう必要があると思うのです。それというのは、この三つの件を
委員会で論議するという場合に、これは特殊の取扱いであるということは確かに
理事会で申合せましたが、これを
條件としてというふうなはつきりしたものではなか
つたと私は記憶するのであります。
從つてその議事録についてはあとで
委員長と、あるいは
理事会を開いた上で訂正をされる必要があると思うのです。なぜならば、それでなくとも
理事会においては多数派の
諸君が、その意図がどうであるかは別としまして、どうも横暴の傾向が最近ますます多いのであります。こういうことを明文の上に残されますと、後日たいへんな問題になると思いますので、一言ここにくぎをさしておきます。
本論に入る前に三人の今の
提案に対しては、もちろん私たちは
反対するのでありますが、まず第一に私たちはこの考査特別
委員会が特別
委員会であるということを思い起していただきたいのであります。この点については先ほど
猪俣君が強調された点とも関連しますので、こまかい点は省略しますが、書いて字のごとく、本考査員会は持別
委員会、現にここに出されておる三つの問題のごときはおのおの所管の
委員会があるわけでありまして、しかもこの三つの
事件が三つとも現に
労働委員会、あるいは
法務委員会で取上げている問題であるということ、このために
國政調査さえもわざわざ行われているという、こういう事実があるのでありますから、この点を十分考慮することを私は
要求するものであります。
第二に私たちが考えなければならないことは、本考査特別
委員会は超党派的な性格を持
つているといことが、まつ先にうたわれ、終始口には言われておるのであります。また第一回の
理事会の申合せに基きますと、本
委員会は第一に不当財委がか
つて取扱
つたような財界、官界及び政界における腐敗的な
事件、
法規問題に関連するようなもの、こういうようなものを摘発するということが第一に強調されている。このために六〇%の重点を置くということが申合せをされているのであります。
日本の再建を阻害する
行為については先ほどから論議されておりますが、これについては大体三〇%重点を置くというふうに申合せをされておる。
日本で表彰すべき善行——これがあるかないかは大いに問題でありましようが、ある人の意見では一体
日本にそんなものがあるかというようなことを言う人もあるらしいのであります。こういうような問題については一〇%重点を置く。こう言われておる。この申合せに
從つて本
委員会は活動しているにもかかわらず、私たちは最近の
委員会の
行動を見ておるときに、ま
つたく奇怪の念にたえないのであります。本
委員会の一番初めに、取上げたのは税務官吏の汚職の問題でありまして、それに続いて取上げたものは、石川縣における二つの耕作面積の不正
事件と言われておりますが、その
内容においては明らかに共産党に対する攻撃を目標としたものであることは、すでに今までの
委員会ではつきりしております。ただ一つ汚職に
関係のある、あるいは不当財委に
関係あるというふうに思われるのは弘済会の拂下問題に関するものでありますが、これは遅々として進まない。税務官吏の汚職の問題についてはすでに結論を出すべき時期に來ておるが、結論を出さないばかりか、逆にこの中に出て來た共産党の活動に対する特定な攻撃的の意図を持
つた調査にな
つたり、また中間報告もわれわれの
反対にもかかわらずそういうことにな
つておる。そういうことを考え合せますときに、
考査委員会が実際の活動の中で超党派的な性格を明らかに失
つて、共産党に対する攻撃の武器になりつつあるといわれても仕方ないのであります。
なぜならば
委員長なり事務当局がよく知
つておるように、今まで引継いで來た不正
事件は十四か十六、七にわたる大きなものであ
つて、これが一年半以上あたためられたままで何もや
つていない。これに対する促進もほとんど行われていないのではないかということをわれわれは考えざるを得ない。こういう一方的な問題だけを取上げる。しかも
日本再建を阻害する
行為として
労働者諸君に対する賃金不拂の問題がある。こういう問題を出すと特別
委員会、すなわち
政府支拂の特別
委員会でや
つておるからいいではないかというような形で実質上握りつぶしにな
つておる。また埼玉縣における二合半領における不当供出に対する、また全國にわたる不当供出の問題を出せば、これは
調査中だと言
つて逃げてしまう。こういうようにして私たちが見て來ると、
考査委員会の実質は非常に一方的な民自党的なものにな
つておるということは明らかであります。今の
國電ストの問題に関連してその性格ははつきりして來たと思う。この
國電ストの問題について、ます考査特別
委員会にかけようと言
つたのはほかでもない
民主自由党の幹事長である廣川弘禪君でありました。彼はその際に單に
考査委員会を開くというだけでなく、考査
委員長を呼びつけて彼にやらせるということまで言
つておる。
委員長自身の意図はどこにあるか知らないが、その
委員長はあわてて十五日に上京して來た。二十日から
理事会を開くということはわれわれの申合せでありましたが、二十日から招集された
理事会を世間では國電問題のために招集されておるとはつきり言
つておる人が多い。こういう空氣であ
つた。しかもこういう際に声明を発して当
考査委員会は超党派的な性格を持つものであるということを強調した口の下からこの
提案を取上げておる。その
提案者の
小川君のごときは、
民主自由党の
考査委員会の一方的取扱いはけしからぬということの草案の起草を委託されたのに、草案よりも先に
國電ストを取上げるということを出しておる。これは
民主野党派の微妙な政治的地位からいたしまして、また
小川君の政治的見解からいたしましてまことに当然かもしれませんが、うがち過ぎた観測をする人は、
小川君の意思に反したことまで——あまり芝居をするなというような実情にな
つて來ておる。しかもこの問題を急いで一方的にかけようとする事実があ
つたために今日まで延びて來ておるのでありますが、とにかくこの
考査委員会の空氣を全体として見ておりますと、
國電ストの問題を絶好の機会としてとらえたところの
民主自由党の指導者
諸君が治安閣僚
会議、さらには地方自治体の中に
考査委員会的のものをつく
つて行こうという方針とからみあ
つておるばかりではない、現在行われておる
警察を強化して専制的な支配をして行こうという活動と緊密に結びついてその一部にな
つておる。ここに私は
考査委員会の性格を眞劍に私たちが考えるならば愼重に考慮すべき問題があるのではないかということを強調せざるを得ない。
あまり前置きが長くな
つてもなんだから
内容に入りますが、まず
國電ストの問題が起
つて來たということを私たちが本格的に徹底的に
調査しようと思うならば、現在の
日本の
國鉄がどういう状況にな
つておるかということをはつきりしなければならない。この点私はできれば非常に簡單にしたか
つたのでありますが、大橋君、この賢明なる官僚出身の大橋君のごときが、現在の列車事故をあたかも共産党がや
つておるがごとき誹謗的言辞を弄された今とな
つては、いかに
國鉄が崩壊しておるかというこの事実は、簡單にでも指摘しておかなければならない。そうでないと、現在
日本歴史上初めてと言われる列車事故がま
つたく共産党の一方的
行為のようにな
つてしまう。この点については地方行政
委員会において國営の長官がそういう事実はないということを言
つておる。また増田
官房長官がそういう言明をしたふうに傳えられておるが、私自身はそういうことを言
つたことはないということを言
つておる。親玉がこういうことを言
つておる。親の心子知らず。大橋君のごときがこういうことを言うのでありますから。
國鉄がどれほど荒れているかということを簡單に言
つておきたい。関東地方の現状を見ますと、利根川の洪水が大きな
影響を残しておりまして、東北本線、常磐線の大動脈はいつも危機にさらされておる。北
日本を結ぶ信越線のアプト式急勾配は
諸君御承知の
通りほとんど崩壊の寸前にある。東海道線も
諸君いつも乗りつけているように新橋、東京間の高架線には大きな亀裂が生じ、地盤降下が起
つて危険な
状態にある。信越線、常磐線は波浪や落下に脅かされておる。大阪地方は地盤沈下によ
つて橋梁がだめになり、路線が崩れようとしている。山陽線は荒廃して、
諸君も御承知のように顛覆事故の一番多い所にな
つておる。九州から北海道の橋梁、トンネルはほとんど老朽しておる。四國では地滑りが文字
通り國鉄を麻痺しようとしておる。このような現状に
國鉄を追い込んだ者はだれか。これは現にわれわれが当
考査委員会で
國鉄の不当拂下問題の一角としてとりあげておるあの弘済会
事件の
調査の中にも現われておるところでありますが、こういうふうに
國鉄を追い込んだ最大の
責任者は、今まで
國鉄にがんば
つていた高級官僚
諸君と、これと結託する一部の御用商と、この背後にある特殊の政党の
諸君であります。これはこの
考査委員会が本式にかか
つた場合にどなたかに不幸になるかもしれませんが、根本的に大勢の
調査を出しますから、きようは要綱だけ述べておきます。今まで
國鉄の資材
関係は使えぬ資材を買
つておる。ここで証明されたように、たとえば使えるニッケルのごときを古品とい
つて拂い下げておる。現場に送られる石炭は実際の帳面づらの量よりも減
つておる。また不当な價格で拂い下げておる。これも弘済会の
調査で一
部分わか
つておる。また特殊物件の取扱いの上にも多くのふしぎが残されておる。こういう事実がまず第一に大きな
影響をしておる。かてて加えて予算が次から次に削減されておる。しかもこの予算が不当に使われておるという事実がこの裏づけにな
つておるということを強調せざるを得ない。このことのうえにかてて加えて
政府側が今まで労働基準法その他に違反してや
つておる
行為は無数にその例をあげることができるのであります。
從つて現在の
國鉄の從業員
諸君にと
つては今度の定員法に基く十二万五千の首切りがなくても文字
通り鉄道は崩壊し、自分たちの生活水準は下り、これらが関連して文字
通りどうにもこうにもや
つていけないという
状態です。ここから
國鉄防衛の声が自然
発生的に起らざるを得ない
根拠があるのであります。こういう点を先ず私たちが考えて、しかもこういう
條件の上に十二万五千人の首切りという定員法が強行的に通されておる事実があるのであります。民自党の
諸君は口に
民主主義を言う。毎日毎日
民主自由党は
民主を言い、自由を言う。しかし第五
國会における定員法通過の手際はどうであ
つたか。閉会の日の食糧確保臨時措置法に
関係する終結のし方はどうであ
つたかということになれば、いかに勇敢な佐々木君といえ
ども、
民主主義とは言えないだろうと思います。こういう実情にあるのであります。
從つてここから起
つて來る
労働者の苦情、
労働者の苦悩、こういうようなものの上にかてて加えて今度の新交番制が強行されたのであります。これが強行されますと、
労働者諸君にと
つては、直接一時間以上の労働強化になる。しかも問題の紛議の起
つた東神奈川、千葉、中野のごときは労働時間が長くな
つただけではなく、そのために必要な宿泊の設備その他がほとんどめちやくちやなんであります。このために自然
発生的に鬪爭が起
つて來たのであります。
小川君はあたかもこれを共産党の
暴力革命の予行演習だと言われたのであります。
暴力革命と言うことがそもそも不可怪きわまる言いがかりであります。いわんや
脅迫暴行というがごときはちやんちやらおかしい。これは後にいくたの事実によ
つて立証されますが、中野の場合における採決の数字、一体どういう方法で決定したかを
諸君が見られるならば、問題はきわめて明らかであります。三百三十対十八という数字で大衆自身が決定している。わが党から言えば共産党の勢力の弱い所でこういうことが起
つている。
東神奈川の一連の
行動も、大衆の自然
発生的な盛り上りによ
つて起
つたことは事実であります。しかも今さつきから声を大にしているところの
人民電車その他の問題についての
内容を調べたら一層はつきりするのであります。あの電車の運行を即時始めようとした十日の日、さらには十一日の日、これを阻害したのは一体だれであ
つたか。まさに管理部長であり、区の区長である。こういう事実が明らかにな
つているにもかかわらず、こういうことは知らぬ顔をして、あたかも共産党の
暴力革命の準備だと言うがごとき人の心臓を私は一ぺん解剖してみたいと思うのであります。言えばきりのない問題でありますので、もう一ぺんあとでこの点について意見を述べるとして、その次に
小玉君の
熱海決議は
不法行為であるという点について、一言見解を述べたいと思います。
小玉君は判事だけあ
つて、各国の
憲法を引用されたりして博識振りを発揮されたのであります。遺憾なことには、日に日に滅びつつある中国の
憲法、あの笑うべき
憲法をかつぎ出しているというところに彼の
世界情勢に関する認識のほどがうかがわれる。またあの大韓國——そういう國があ
つたのかと朝鮮の人が言いますが、そういう大韓國の
憲法を引張り出して、得々として
人民の
権利に
制限があると言うに至
つては論外であります。ここでは
人民の
権利が束縛されていることが、特長なんであります。そうしてそういう國が滅びつつあるのが特長であります。現に
諸君の目の前に毎日滅びつつあるこの事実を見ないで、古くさいものをかつぎ出すなどはちやんちやらおかしいのであります。さらに北朝鮮の
人民民主共和國の
憲法を引用されたのはまことにけつこうでありますけれ
ども、それにもかかわらずその
内容の根抵をなすところのものは、あすこが
人民民主共和国であり、主権は
人民に、
労働者に、農民に、働く全勤労大衆に、さらにまじめな産業資本家
諸君にあ
つたということ、
日本のように一部の独占資本家及びその手先が握
つているものでないということを知らないところに、彼の学問の浅薄さがあるのであります。また
日本の
憲法を引用して、第十
二條を云々されたのもまた一りくつあるように見えるのでありますが、
小玉君の、不幸は、第九十
八條を終始お忘れにな
つている点にある。第九十
八條には何と書いてあるか。「この
憲法は、國の
最高法規であ
つて、その條規に反する
法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の
行為の全部又は一部はその効力を有しない。」と書いてある。この事実を
諸君は都合のいいときはすぐお忘れになる。
從つてこれを忘れている
小玉君はこれを一ぺんぐらい読んだ方がよろしい。定員法の問題について、現に国鉄の
労働者諸君が、これは
憲法違反だという根本的な観点に立
つており、また
猪俣君の指摘されましたように、定員法、
公共企業体関係法規の第十
七條、こういうようなものの関連についても大きな疑惑が持たれている。この点は單に
國鉄の
労働者諸君が持
つているというだけでなく、連合軍
最高司令部の
関係者
諸君、たとえばエーミス氏その他が先月の十二日に意向を表明しているのもこのような点に関連している。
從つてこういうような問題について、一方的に
國会がきめた
法律だから正しいというがごときはちやんちやらおかしいのであります。もしも
諸君がそういうことを言うならば、なぜ取引高税撤廃なんという大きなことを言うんだ。すでに
法規がきま
つており、その
法規を撤廃するという意思を持つことがおかしいということになる。それで
熱海のあの
会議の問題でありますが、あの決定が法に反するかどうかということについては、
諸君の党の中央におる
諸君も必ずしも
小玉君のごときあわてた見解を
発表していないのであります。現に鈴木労相の声明の中にはこの点に触れており、今のところこの
決議を取上げてすぐ処分するというような意図はない模様だ、これは朝日新聞の言うところであります。声明文の中には、右の
決議は
法律に違反する結果を來すという表現を用い、政治的な含みを残している。これはあたりまえである。これに
國鉄六十万の
労働者諸君の決意が含まれている。しかし、そういう意思を持
つたということがどうしてすぐ犯罪になるか。もし意思というものが犯罪になるのであ
つたならば、
諸君がどういうことを考えるかということがすぐ犯罪になるならば、
日本の情勢はもつとかわ
つていたと思う。こういうように労相自身が含みをも
つて扱
つている問題を、お先走りの忠義立てをして、何の必要があ
つて考査委員会が取上げなければならないか。これこそ親の心子知らずの、ま
つたく非政治的な、法
学者的なやり方である。さらに加えて特定の政党という、これは率直に言えば
日本共産党に対する一方的な攻撃であり、一方的な挑発であるということは明らかである。なぜならば、今大橋君が並べられた
事件の例をあげればよくわかるのであります。たとえば都の自由
労働者諸君が食えなくな
つて、何とかしてくれとい
つて東京都廳に押しかけた。これが怪しからぬと言う。東京都側が全國の知事及びその他の申し合わせに
從つて保安
條件という
憲法の基本的な人権を阻害するような
法律を作ろうとした。その企みに対して
労働者が抗議するがなぜ怪しからぬ。そうして東交の
労働者がこれによ
つて殺された。これに対して東交の
労働者が立ち上る。これも怪しからぬ。
諸君のすべての計画に対して、それに
反対の意思表示をする者はことごとく怪しからぬということになる。これはいかに民自党的な一方的な考えを持
つているかということが、すでに明らかにな
つたと思うのであります。
從つて熱海におけるこの
決議も、
小玉君たちが強調するように、決して
日本の
平和國家の再建ということを、阻害する
行為ではない。まさに
日本の
平和國家への発展を阻害しているものは、失業
対策を文字
通り何も立てないで三十一万近い官公廳
職員の首切り、各地方自治体の
職員の首切りをやり、このために
政府発表によ
つても百八十万の失業者を出す。この連中こそ
日本を
平和國家でなくしている連中である。その
責任に
從つて民主自由党の
諸君こそ負うべきものである。さらにこういう行き方を強行するために、現に行われつつあるように、
日本を
警察国家にしつつある連中も
民主自由党である。この点を帰
つて廣川幹事長、吉田君に教えてや
つてほしい。
労働者諸君、農民
諸君、中小商工業者の生存権を脅かしているから彼らは立ち上るのである。この生存権の問題は、
憲法に明らかなように、
日本臣民は生存の
権利を持
つている。健康にして文化的な生活をすることができるとうた
つてある。こういうことを読んで、その上で
國民大衆の前で
諸君の見解を述べた方がお身のためになると思うのであります。
さて廣島の
事件であります。
内藤君が先ほどから廣島の
日鋼事件について述べられた中には、もつともらしいこともありますが、大いに間違
つている一方的なこともたくさんあります。こういうこまかいことは不幸にして
本件が考査特別
委員会にかけられますならば、われわれは徹底的に眞相を明らかにする準備は持
つておますけれ
ども、
労働委員会の專門
委員会で出しておる資料、
日鋼事件概況、廣島市
警察局の出した報告の写しでありますが、もしこれでも私たちが冷静に読むならば、
日鋼が單に
日本の資本家のものではなくて、これがアーム
ストロングの手が入
つておるということをまず第一にはつきりしなければならない。その上で
賠償工場であるということを言うことがいいと思うのであります。先ほど大橋委員にしましても、あるいは
内藤委員にしましても、
賠償工場であるから進駐軍側が命令を発したというようなことを大きく言われておりますが、これに対して
責任を本当に持つか持たないか、これを私は聞きたいくらいだ。これは眞相の
調査をすれば明らかになることでありますが、縣知事そのものさえもこういう命令があ
つたというとは今日否認しておる。さらに
日鋼がこういう苦しい
状態にな
つた原因はどこにあるかと言いますれば、現在の
吉田内閣の政策の結果、
日本の中小炭鉱が崩壊しつつある。このために
日鋼で特殊な大きな役割をや
つていたところの、中小企業向けの炭鉱用の器材の発注がとま
つたということが大きな
原因であり、さらに直接の
原因は運輸省の予算が削減されたために、ここの一番大きな仕事であ
つた車輌生産がとま
つたということであります。
從つてもしこの
責任を追究するならば、車輌生産をここに追い込んだ、あるいは炭鉱をここに追い込んだところの元兇である
吉田内閣こそが、その
責任を負わなければならぬということになる。さらにこの
事件の全体については別の機会に十分述べますけれ
ども、
事件の全体を通じて特徴的なことは、
日鋼の
会社側が
労働者諸君を終始だましたということであります。実はタイ國から來ておる車輌の注文でありますが、この車輌の生産中にすでに紛議が起
つている。この紛議の最中に
労働者諸君が
ストライキをやろうという
決議をや
つたという。シャム車輌さえ終れば何とかして君たちの
要求は通すし、首も切らないからがまんしてくれと言
つて、この車輌生産だけはや
つてしま
つた。終るやいなや七百三十名の首切りだ。こういうやり方は一つ一つ例をあげるといとまがない。要するにこういう一方的なごまかしをや
つて、
労働者階級の意思を押えつけだまして來ておるのであります。さらにもう一つ大事なことは、
工場再建のプランについて、
労働者側はミシンを製造することによ
つて、現在の
日鋼のこの廣島
工場だけは維持する
工場再建計画をつく
つておる。この計画は資材によ
つても、あるいはその他の補助物資によ
つても、貸金の
関係でも可能性があるのであります。それに対して会社は一顧の價値も與えないでこれを蹂躙しておる。こういう例をあげて行けば無数にあるのであります。
從つて工場側のあるいは
会社側のいろいろな言動に対して、
労働者諸君が信頼を置かなか
つたことは当然だと思います。しかもこの七百三十名の首切りを行うにあた
つて、
会社側はその首切りの通告をする前後、すなわち六月二日に首切りを
発表する前に
船越公安
委員会を開き、ここの公安
委員会は文書をも
つて廣島
警察署長に、公安
委員会に警備の動員方を依頼しておるのであります。しかもこの
船越の委員たるやどんな連中かというと、根石と言い、日吉と言い、ことに日吉のごときは日吉組と言い、この会社と特殊
関係にある土建業者であります。こういう公安委員
諸君が、六月二日首切りの
発表以前においてすでに彈圧の準備をしておる。また六月十二日、十三日には連合軍の人が一部出て來ておりますが、これはおくとして、六月十四日の
事件の前には公安委員、縣知事、それから岡谷
檢事等が彈圧に関する種々の打合せをしておる。この点については岡谷
檢事や公安委員がすでに言明しておるのであります。
從つて六月十五日のあの
事件が起る前に、
警察当局がすでに万全の攻撃準備をしている。しかも先ほど言いました
マイクを通じて言い聞かせてその上で
労働者を逮捕させたと言いますが、その
マイクに対してはまた
労働者側からサイレンを鳴らして答えておるために、一般の人に十分聞きとれない。聞きとれないというよりも、
マイクの放送が終るやいなや警棒の一撃を頭に
労働者は受けていたのであります。こういう事実を
諸君が知
つておられて、しかもこれを
考査委員会で調べるというほどの心臓があるのかないのか。しかもこのためには吉武君初め、各党派から特別の
調査委員を派遣されるということが決定されておる今日でありますから、この点については特に本
考査委員会は冷静なる、しかも超党派的な
態度をも
つて臨まれることが一層必要であると思うのであります。
さて共産党に対する一方的な誹謗をこれは大橋君個人の見解だと思うが、述べられたので、この点について一言お答えしておきたい。それはわが党が
日本の復興を阻害する、そのために
暴力革命を行う、これは民自党の
諸君が最近非常に愛好される宣傳でありまして、それは大いにおやりになるがよろしい。必ずや事実がいかなるものであるか、その
状態をはつきりすることと私たちは確信しておる。しかし
日本の政界を今日のごとき
状態に追い込んだところの最大の
原因は何であ
つたか。それは名前や相手方は言う必要がないが明らかだと思う。
日本のあの隠退藏物資を食い、
日本の再建を阻害したあの政界、財界、そういうところに巣食
つていた特殊の勢力ではないか。現にこういうふうな不正、腐敗な
事件が無数にあることは天下周知の事実ではないか。こういうものを本
考査委員会が少しも摘発しない。現に麻生君に関連する復金融資の使い方に対して疑惑があるということを言われておるが、この事実について一ぺんだ
つてまじめに
調査しようというふうに考えたことがあるか。また全國の山林に関連して、林友会その他について
民主自由党の
諸君が
関係しておるという宣傳は、わが党が先頭にな
つてもちろんや
つているが、事実として一部では立証されておる、
警察当局が事実として取上げておる。こういう問題に対しては指一本でも加えたことがあるか、加えたことがないし、加える氣もない。現に殖田法務
総裁のごときは、閣僚の中から汚職
関係者が出てもかまわんということを放言しておる。こういう連中の尻馬に乗
つて、この
考査委員会がこの三つの重大な
労働者階級の動きに対して、さらに
日本人民全体の
権利に関する問題について、一方的な特定のものに対する攻撃の道具になろうとしていることは、本
委員会の性格にも反しておるから私は絶対にこれに
反対するものであります。もしこれを
諸君がかけるならば、結果は
諸君の意図に反して、こういう問題を取上げ、こういう問題を
提案するならば、それに対する
労働者階級を先頭とする当然の反撃が來ることを覚悟の上でや
つてもらいたい。
〔発言する者多い〕