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小澤證人 これは私が着任します前にきまりました方針でありますが、先ほど申し上げましたように、一般の
資材の非常な不足の状況と、それから國鉄のある種の赤字とを対應いたしまして、この際いらないものは一掃して民間で利用していただく方がいいということになりまして、それでは
拂下げをしようということにな
つたのであります。たとえば軍から一括引取りまして
鉄道では全然使えないものがございますし、また
鉄道で戰爭中に買いましたものでも、防空的な
資材はそのままで平常の
鉄道業務には使えませんので、これはしかるべき方面に利用してもらう方がいいということで
拂下げを決定したわけでありますが、それにつきましてどういう方法がいいか、当時非常にたくさんの人あるいは
会社が、
鉄道にこういう品物を
拂下げてくれということをあちこちに押しかけて來たようでありますし、あるいはまた軍から引受けました倉庫を見せろというので、何と申しますか、世間の狹い役人から見ますと、どれを信用していいかわからないとい
つたような実情にありましたし、しかも全國的に散在しておりますので、これを整理しなければならぬというような観点から考えまして、
鉄道自身がやるよりも、信用の置ける機関を通じて整理をしてもらうと同時に、
拂下げの事務も代行してもらう方がよい。こういうことから
鉄道弘済会が選ばれたのでありますが、
弘済会は、いずれ
岡田さんから御説明があるかもしれませんが、
昭和五、六年
鉄道退職職員あるいは公傷者、あるいはその遺家族の救済を
目的としてつくられた機関でありまして、
從つて在職中いろいろな仕事をした人がそこに吸收をされておりますので、たとえば
鉄道の倉庫の整理にいたしましても、あるいはまた輸送の
関係にいたしましても、割合に
鉄道の
事情に通じており、また現場におきましては顔見知りの人も多い、それから公共的な仕事をしておりますので配当をする必要もないし、あるいはまた儲けてどうしようという必要もないので、そういう公共的な性質を持
つた機関に代行的な仕事をしてもらうことが
目的にかなうのではないかという趣旨から、
弘済会が選ばれたわけであります。この
弘済会が選ばれましたのも私が着任します前でありますが、私
自身としましては、そういうふうに
承知いたしております。