○三戸部證人 それは去年二十三年度の
税金の更生
決定が來る前に、
税務署の係の方から、古物商の衣道部に対する課税について協力してもらいたいというお話を受けました。そのときに、われわれとして過大な、不適正なことをされるようなことがあ
つたのでは協力はでき得ないということを申し上げたところが、でき得る限りあなた方の御希望に沿うように
自分もやる、こういうようにおつしやいましたので、そういうことならば、一應
組合員諸君にお諮りいたしまして、しかる後御返答しましよう。それで後に総会を開きまして、それを各
組合員諸君に話しました結果、
向うでそう
言つて來られたならば、こちらも誠意をも
つて協力してほしい、だが不適正な、過大な課税の來るようなことがあ
つた場合には、できるだけ闘
つてもらいたいという
組合員各自の御意見だ
つたわけです。それでその結果は、大体序列を定めてもらいたい。各地区から税務
委員というものを選びまして、各地区から選んだ税務
委員が出してくれた資料に基いてABCDにわけまして、序列をつく
つたのであります。それを
税務署に提出いたしまして、
税務署がそれを参考として仮
更正決定を出してくれました。その仮
更正決定を内示として各
組合員にお見せしたのであります。そのときに非常に過大だというので、紛糾いたしましたので、私
たちは一應手を引いたのであります。
その結果
組合員の中から、また十数名、各税務
委員が
税務署へ相当強硬に掛合いに
行つたらしい。その結果は、
税務署の方としてもなかなか應じてくれなか
つたそうです。その結果また私
たち呼び出されまして、今までの行きがかり上もあるから、今度ひとつしつかりや
つてもらいたい。そういうことを、総務
委員会の席上言われましたので、私は仮
更正が皆さんのおこごとを頂戴したのに、聞くところによると、今度予算も國会で相当大きくな
つている。それにつれて結局
税金の方も相当かか
つて來るのではないか。そうすると、本
更正については、また大きな紛議をかもすことがきつとあると思うから、
自分たちとしてはこの際とめたいということを申したのでありますが、各税務
委員の方も、今までの行きがかりもあるし、内容もよく知
つておるのだから、そこのところはできるだけ努力してや
つてもらえないかということにな
つたのであります。それで仮
更正をいただいたのが十月だと思います。そうや
つていますうちに、一月に入りまして、一月にまた各役員会を開いた結果は、それでは各自が
税務署へ
行つて堂々と
自分の意見の披瀝もできない、またしかるべく資料も提示して、減額訂正もでき得ないというようなもの等については、区によ
つて、ぶつか
つてやろうじやないかということになりましたので、正副
組合長もこれを受けたのであります。その結果本
更正決定が今年の二月と思いましたが、そのときに
税務署の方へ呼ばれましたので、
行つたところが、本
更正は非常に大きく出るのだ、それを仮
更正さえあんなに、もんちやくを起したのだから、今度はかなりうるさいと思うが、しかし
税務署としては
税務署の引受けた額があるのだから、とても諸君の言うようには同意できないと思うが、どうだ、こういうように
税務署係が言いましたので、仮
更正さえあの通りだから、本
更正はわれわれはとうてい大きく出せないと思うが、何とか話ができないものですかと
言つたところが、とにかく國会の予算も大きく通
つているのだからできないというので、それでは一應どんな額だか見せていただきたいと
言つて見せていただいたところが、非常に厖大な数字なので、これはわれわれとしてはのみ切れないということで、その日はほとん
どものわかれにな
つて、一旦帰
つたのであります。今度は各幹部諸君を集めていただいて、その結果を報告したのでありますが、われわれとしてはその額ではとてものめない、一生懸命各自各自でやる方がいいのじやないかと申したのでありますが、いや、各自々々と
言つても思うようにできないから、何とかする方法はないかということで、寄り寄り協議したのですが、いい知恵もありませんでした。その結果はまた一生懸命交渉したのでありまするが、それでは一應
組合としての希望額を出してくれないかということでございましたので、その希望額を皆さんにはか
つて、大体仮
更正決定で行くか、あるいはそれ以内ということで出したのでありまするが、それは
たちまち一蹴されてしま
つたのであります。その結果今度はいよいよ猛烈に
運動しなけばならぬことにな
つたのは、—東京財務局の方からも應援が來られまして、三月の二十六日が納期期限でありまするが、その前に通知を受けた者が納付ができないと、いうと差押えをびしびしや
つたのでありす。そういう建前から、これでは一生懸命交渉しなければいけないというはめにな
つてしま
つたのであります。その間におきまして、なお何とか円滑に持
つて行きたいという建前から、去年約三回にわたりまして、私の宅でその係の
小松榮一郎氏を呼んで酒食をいたしました。金額はたいがい一回が千三、四百円かと思
つております。その前は正副
組合長宅でや
つたのでありますが……。それから今年の一月ごろ、
小松榮一郎氏のうちを訪問しまして、こちらから酒を一升持
つて行きまして、二、三品のさかなで飲んだことがあります。そのときに何とか
組合員の課税を緩和していただきたいということを再三申し上げてありましたので、—その前に、話が少し前後すると思いますが、カバンが欲しい、くつが欲しいということを何回か言われたそうであります。それは私と同じ副
組合長をや
つております
小林繁次郎氏のところに來て
言つたのでございます。それで
小林君の方から、どうしよう、金を贈るということもおかしいから、カバンを贈ろうじやないかということで、
組合長にも話をして、それから古着の市場を運営している運営部長にも
相談したところが、そういうものはもちろん贈
つてや
つた方がかえ
つて有利に行くのじやないかという話もありましたので、そういう方法をとろうということになりまして、
ちようど
税務署側の
小松君の希望する赤革の牛皮のカバンがなか
つたのでありますが、中古品のきれいなのがありましたので、それを贈ることにな
つたのであります。