○浦口鉄男君
委員外の質問を許していただいたことを謹んで感謝いたします。本多國務大臣がたいへんお忙しそうでありますので、その点だけについてとりあえずお尋ねいたします。
結論をまず先に申し上げますと、公務員で
結核のために自宅あるいは
病院で
療養中の人を、このたびの行政整理にあたりまして、
政府当局はどういうふうにお扱いになろうとお
考えに
なつておられるか。あるいはもし特殊なお扱いをされるような気持があるならば、具体的に、どういうふうな線に沿
つてお進めに
なつておられるか。そういうことを結論的にお尋ねしたいのであります。実は今度の行政整理は、長期欠勤者などがまず最初に目標になるであろうと思うのでありますが、そういうことも
考えられますときに、
結核療養者だけを目標にして特段のおはからいを願うということは、数から申しても、何かたいへん小さな問題で、片寄
つた一部の人のことのように
考えられますが、御
承知のごとく
結核というものは日本の國民病あるいは亡國病とまで言われまして、遺憾ながらまだこれがだんだん減
つて行くというふうな
傾向に
なつておりませんで、むしろ幾分でもふえつつある。しかも
國家的にはまだ、これの根本的なる対策が講じられていないという
現状にあります。ただ幸いに
昭和十九年の二月の次官
会議の決定によ
つて、公務員に対してだけは特に
結核予防健康管理体系というものが確立されておりまして、この実施によ
つてたいへん成績を上げておるのであります。ところが、あとで人事院総裁にもお尋ねることと関連するのでありますが、現在のいわゆる有給出勤停止
期間が一年であるということと、もう
一つは、やはり定員の中に入れられているという二つの
事情がありますので、いつ首を切られるかわからないという非常な不安がありますので、ともしますと経済的と職を失うという両方の
意味から、治療に当る
医者の良心的立地から申しますと、とうていこれを退院させることができないという
事情にありましても、無理に出勤する。出勤しなければ首になる、首になれば家庭も、もちろん自分も困るということから、むりに職場に出ます結果、御
承知のように公務員は國民大衆と接する
機会が非常に多いのでありまして、そこに勢い社会的に見て
結核菌を振りまくというふうな結果となるのであります。なおまたこの公務員の健康管理体系の中の
一つの
仕事といたしまして、早期檢診ということをや
つておりますが、早期檢診をして、お前は
結核であるという焼印を押されると、すぐ斬首の対象になるのではないかという
一つの不安と恐れのために、ともすればこの早期檢診をすら避けるという
事情が事実あるのであります。こういうことが続けられますと、せつかく打建てられました
結核予防健康管理体系というものがく
ずれて、せめて日本の現在の経済
状態においてこれだけを何とか完全に守
つて行くならば、消極的ではありますが、國民の
結核全体に対して相当の役割を果たして行く。こう思われるその体系がく
ずれて行くという非常に危險がありますので、あえてこのことを特にお願いするわけでございます。差迫りました行政整理については、定員法もおそらく通過することを予想されますので、定員外から
結核療養患者だけを除外しようとか、あるいは今急に現在の有給出勤停止
期間の一年を三年に延ばすとか、こういうことを急に今
要求いたしましても、
現状からできないと思いますが、せめてこのたびの差迫
つた行政整理に対して、
結核患者の社会的な重大なる影響をお
考えになりまして、
政府は何かこれに特段の御
考慮をお
拂いに
なつておるか。あるいはもしお
拂いに
なつておらなければ、この際特に御
考慮をお願いしたい。こういうわけで御質問申し上げる次第であります。