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田代委員 なお四月二十八日の午後七時ごろ、山本副院長を先頭に約百名近い從業員が動員されて、そうして三名の部屋に来て、強制退所をせしむるという理由で、うむを言わさず荷づくりをするとか、あるいは三名の重症患者を手取り足取りして退所さした。特にこの三名のうち一名の患者の部屋におきましては、ドアをたたき破
つて入り、また裏から窓をはずして進入し、そうして寝ている患者を引きずり起し、窓から突き落す。そして胸ぐらをつかんでひつぱり出して、時間が遅いから待
つてくれというのも聞かずして患者さんが報告しております。そうしてこの騒ぎの中で、非常に安静を乱されましたこれに
関係のない患者が、この山本副院長に、どうか静かにする
ようにとりはから
つてくれという
ように申されたにもかかわらず、副院長はそれを拒否した。ためにこの患者さんは翌日死亡いたしております。こういう点を
考えますと、医者としての立場を無視して患者に多大の迷惑をかけており、みずから治療
生活を踏みにじつたる山本副院長こそが、まつたく人権蹂躙をや
つているのじやないかということが言えるのであります。全体のこの患者あるいは付添、あるいは外部の第三者という
ような人たちが、この事件に関しましては非常に憤慨しておるのであります。その当日從業員は実は酒を飲んだりしておる。あるいは看護婦は当直をしておらず、まつたく所内の秩序は乱されておつたという
ような実情であるということが、私たちの
調査では出ておるのであります。命令退院が大体不当であるという
考え方から、患者会は大阪地方裁判所に訴えまして、その第一回の公判が四月二十三日に行われたのでありますが、患者会におきましてはそれによ
つて黒白が
はつきりついたら、その上で善処したいという
ような譲歩的な意向であり、第二回公判が五月の中旬くらいにあるということにな
つておつたにもかかわらず、その前の四月二十八日にこういう暴挙があえて行われたのでありまして、人道上から申しましても、また
社会の保障、あるいは遺憾的な観点から申しましても、私たちは断じてこれは納得できないのでありまして、
医務局長の
お話では自分の部下を信頼する、それはもつとものことでありまして、ぜひとも信頼していただかなければなりませんけれ
ども、こういう
ような事態が起
つておることに対しまして、これを信頼されるということは、はなはだ不可解なことにな
つて来るのであります。從いましてこういうことが起れば、当然
厚生当局といたしましては直接に行
つて、自分みずからでも行
つてこれを詳細に
調査されて、ただ一方的に院長なりあるいは
医務局長という
ような人たちの
意見ではなくて、なぜ患者側の、むしろそれに当面しておつた
人々からの客観的な冷静な判断なるものを聞かれないか。御答弁によりますと、最もわれわれが同情しなければならぬ患者諸君の
調査、患者をいかに救わなければならないかという立場から
解決策がとられておる
ようには見えないのであります。実はもうすでに
先ほどお話がありました
ように、当日は出張所長の藤原九十郎という人もそれに行
つておるのであります。そうしてこれは厚生省の出店の長でありますから、端的な責任者であります。それが副院長と一緒の所に行きながら、それを傍観してお
つて、そうして何らの手も打
つていないという
ような点は、いかに一方的に不正が行われておるかということを私たちは言わざるを得ないのであります。私はこういう点に対しまして、
厚生当局としてはどういう
ような処置をなさるつもりかということをお尋ねいたします。