○岡
委員 私
どもはただいま御提案の修正案には
賛成をいたしまするが、それを除く部分には反対の意思を表示いたしたいと思います。
私
どもは先般党大会で、
社会保障の実現ということを採択し公約をいたしております。かかる観点から、なかんずく私
どもは、この
改正案に反対の意を表明いたしたいのであります。現在
日本の
社会保險制度の最大の欠点は、万人のひとしく指摘するところは、その制度と運営の不統一、並びにその運営のやり方が非民主的であるという点に盡きると思うのであります。ところが昭和十六年に創設されました船員保險、あるいは健康保險、あるいは失業保險、老廃保險等を含めまして、ま
つたく総合的な保險制度といたしまして、いわゆる制度運営の
法律に対しては、サンプルといたしまして、從前の保險制度に比べましては進歩的な姿を持
つておるのであります。かかる
意味からいたしましても、この船員保險が
一つのサンプルといたしまして、いよいよますます理想的な
社会保障制度のサンプルを実現するには、あらゆる運営や
機構の統一なり、またその他の從來の他の保險の制度と比べましてのマイナスの点を持
つておりませんので、これをより一層強く前進せしめてもらいたいというのが、私
どもの衷心よりの願いであります。
ところで現在は海員組合等の調査によりましても、
遺族年金保險は、年額五千四百円から五千五百円の間を往來しておる。あるいは失業保險につきましても、昨年の十一月の統計におきましては、その受給件数が二百二件である。かつまたその保險金は六百八十四円というようなことでありまして、現在のインフレの高進に伴いましては、なかなか
生活標準にも足りないというような事情からいたしまして、これらの是正につきましては、海上労働者の諸君は声を大にして
政府に要求しつつあ
つたのであります。かかる事情に即しながら、なおかつ今日いわゆる保險
財政の窮乏、ことには医療
財政の窮屈が増大いたしたために、保險
財政が窮地に陥
つたというようなことを大きな理由といたされまして、多少なりともこの保險料率の増額を企図せられたということについては、私
どもは絶対に承認をいたし得ないことを遺憾といたすのであります。先般の健康保險の
改正につきましても私は論及いたしましたが、何と申しましてもいわゆる保險制度の
運用の
精神的支柱は、制度に対する被保險者大衆の心からなる信頼であります。從いまして今日海上労働者が現行の
職員保險につきましては、
政府負担等において何とか
遺族年金を引上げてもらいたい、あるいはその他の点についても是正を要求しておられるときに、そうした措置をとらないで、むしろ保險料率の引上げを策するというようなことは、われわれは
社会保障の実現という大局的な観点からいたしましても、いかんとも承認することができないのであります。
第二点の反対の理由といたしましては、今度の
改正に関連いたしまして、その手続上きわめて非民主的な点を指摘いたしたいのであります。それは現在海上労働者はそれぞれの
決議等をもちまして、あるいは
厚生年金との通算を要求しております。あるいはまた業務外の傷害年金につきましても、
遺族年金制度におきましても、保險給付につきましてはその五倍引上げ、陸上の労働者を対象とする
厚生年金保險におきましてはそれが実現しておるのでありますから、相当の引上げを要求しておる。なおかつそういうような
結論が船員保險
委員会において決定を見ておるとも承知いたしておるのであります。從いまして船員の諸君は、かかるものが今度の
改正を通じて実現されるであろうということを心から念願し、また期待をいたしてお
つたのでありますが、かかることが実現されないで、かえ
つて保險料率は一方的な引上げによ
つてなされるというようなことについても、私
どもは衷心から遺憾に
考えざるを得ないのであります。
かかる事情をもちまして私
どもは本
改正案に対しましては反対の意思を表示いたすのでもあります。