○東(龍)
政府委員 ただいまの御質問の第一のお答えであります。診療所に收容し得る時間を四十八時間と限定したことにつきまして、実際上いろいろな困難が起
つておるということは、御指摘の通り私ども各
方面から伺
つております。これらの処置につきましては、將來の問題として、この四十八時間制限の拡大もしくは
改正というようなことも
考えられるのでありますが、あの
法律のでき上りました当時の内外の情勢その他からして、一應四十八時間制限が設けられたわけであります。從
つてこれを嚴密に行
つて参りますると、ただいま御指摘のような医療の
目的に沿わない結果になることがあり得るのであります。しかしながら、元來
医療法、
医師法、私どもの金科玉條といたしますこの
法律は、医療が
目的であり、人命の救助が
目的であるのでありますから、その本來の
目的に反するような結果になることを
承知しながら、みすみすその法文の通りにしいてこれを強行いたそうとは思
つておりません。從
つてさような前提
條件が満たされます限りにおきましては、かねて次長から御答弁申し上げました通りの処置でけつこうだと思います。
それから第二の問題の診療科名の問題でありますが、これは医道
審議会における答申に基いて、厚生省としてはその当時までに申請のありました多数の診療科名を認めないということにいたしました。この医道
審議会におきましてさような結論に相なりました経過につきましては、ただいまの御質問の
内容とは多少違
つておつたように私は記憶いたしております。もちろんいろいろな診療科名がありまして、そのいずれを可とし、いずれを否とするかというようなことは、きわめて疑問のある問題であります。しかしながら今回の医道
審議会においてあのような結論になりましたのは、まずこの
法律案が制定せられました当時の
状況、ことにその根抵となりました医藥制度調査会におけるこの問題についての多数の方々の御
意見等の精神をくみまして、その当時十分に
審議せられたものと私は伺
つております。あいにく私はちようどその当時東京におりませんでしたので、医藥制度調査会の実際の
状況はみずからは
承知いたしておりませんが、詳しく
関係者から聞いてみましたところによりますと、十分に各
方面の権威の方々から御
意見があつた結果、かような條文が決定せられたのであります。しかもそのときに第四十條の第三項にあります前二号以外の診療科名であ
つて云々というこの條文の解釈でありますが、私の伺
つておりますところでは、この第一項にあります診療科名のいずれにも含まれないような診療科があつたならば、その意味は、これは私の私見でありますが、たとえばエツキス光線が発明せられた以前にあつた
医療法にかりにこういうふうな診療科名が幾つか上げてあります。エツキス光線ができて、これが医療上非常に有力な武器であるということが立証せられました後においては、その診療科名に理学療法科もしくはエツキス光線療法科というものを加えるというふうな
状況でありまするならば、この際この四十條の三項に基いてこれを可とするということがあり得るのでありますが、現在その当時に申請されておりました呼吸器科にいたしましても、胃腸病科にいたしましても、その他十数種の診療科名は、この第一項に掲げてあります診療科のいずれかに包含され得るものであり、それの範囲をはみ出しておると認められるものはない。從
つてこの四十條を忠実に守る限り、その当時申請せられたものは一つもこれを認めがたいということにな
つたのでございます。すなわちこの
法律の條文をきわめて忠実に、またその制定せられましたときの論議の精神をくんで、さような制定を下されたものと私は了承いたしております。從
つてその結果が
実情に非常によく合
つておるか、もしくは患者の便宜のために一番よい方法であつたかどうかということは、これはおのずから問題が残ると思います。そこで私どもといたしましては、この診療科名という問題についてはなお一層の愼重な論議が盡さるべきであると思います。すでに医藥制度調査会において一應の論議が盡されたと思
つております事柄が、わずか一年ならずして各
方面からののさような反対にあうことを見ますと、なおまだ盡されざる論議があると思うのでありまして、再びこれを医藥制度調査会において論議せられることは、近い將來において可能でありまた必要であると存じます。私どもといたしましては、まずその医藥制度調査会において最も有力なる発言権を持
つておる日本医師会
方面において、この問題についてあらためて愼重な御
審議とその御
意見を拝聽いたしたいと思うのであります。なお同時にこの問題は專門科名というものと連繋いたしますので、專門科名並びに專門員、スペシヤリストという
考えと合せまして、重ねて十分な御協議を経ました上の御
意見でありますならば、私どもは十分これを尊重いたしまして、もしも御指摘のように、これが診療上の実際面において診療を受ける人々の幸福のためにならないという点がありますならば、これの
改正の提議をいたすことにやぶさかでないのであります。