○濱野
政府委員 私からお答え申し上げます。宮城縣におきます百日咳の注射後におきまして、結核菌が感染した疑いで
事件を起しましたことは、われわれとしてまことに残念に存じますが、ただいま御
指摘になりました皮膚の腫脹したところから膿をとりまして、それを調べた菌が抗酸性菌であり、これと同時にまた残
つたびんを持ち帰りまして、その他いろいろそういう資材を持ち帰りまして、ただいま予研の柳沢所員の
もとにおいていろいろ実験をいたしております。同時にこれは
相当時間がかかりますので、
患者を中心にいたしまして、その
患者の重症者三名をただちに仙台の抗酸性菌病
研究所、熊谷教授の
もとに送りました。あと続いてほかの
患者も移送し、また現地の岡本
病院にも運びまして診断の結果りつばな初期結核であることがわかりました。
從つて抗酸性菌は初めの
考えのごとく結核菌である。人型であることが臨床上において
はつきりといたして参
つたのであります。同時に臨床上において
はつきりいたしましたので、ただちに
ストレプトマイシンを
治療に使うことを開始いたしております。京都地方にたまたま押収されておりました
ストレプトマイシンを進駐軍の了解の
もとに、進駐軍とともにこれを現地に運びまして、ただいま申しました重症者は熊谷教授の
もとに仙台に連れて行き、軽い者は現地において岡本
病院に收容して
治療いたしております。きわめて順調な経過をたど
つておりますが、これはますます
はつきり文書であることがわか
つたわけであります。先に御
指摘になりましたX線の電力不足は現地でポータブルでいたしました。今度その関係者を仙台へお連れいたしまして、仙台でレントゲンを当てましたが、同時に注射されました先生のスプーターを調べてみますと、ガフキー二号であります。しかし御本人は今まで無自覚性結核で何も御存じなか
つた。同時にそれに
参加いたしまして衛生の方を手傳
つていた事務員並びに保健婦さんの胸に病巣のあ
つたのを発見いたしたのであります。注射いたしました先生からはガフキー二号という報告を受けております。現地に行きましては、この
事件の起きると同時に熊谷教授そのほかここには結核の大家がおります、縣会の方々その他を集めまして、
委員会を設けてこれについて
原因の究明並びに
治療にあた
つておられます。私の方からも柳沢博士その他係官を派遣してこれに
参加いたしまして、菌の培養その他をいたしておりますが、私たちの責任において予防の措置を講じておるのであります。どうして子供たちに感染したかという問題については、まだ実際において総合的な判断が今のところついていないのであります。兵庫縣でやはりこういう
事件が起きました。チフスの予防注射をいたしましたときにその後に子供さんが同じく結核の初期症状を現わして同じ症状を呈したことがありますが、このときはやはり注射せられた女医さんがガフキー五号であ
つた。まだ
はつきりと申しかねますが、注射した順番に見ていきますと、女医さんの針をも
つて注射された方から出ておる。助手をいたしました保健婦がや
つた順からは菌が出ておりません。それがだんだんと針が急がしくな
つて、交互にな
つて來て入り乱れのものが出ましたのと、並びにその女医さんのや
つた患者さんの中に、やはり注射された後に
変化のあ
つた方があ
つたという縣廳の
調査報告に基きまして、女医さんの注射のときに
原因があ
つたのではないか。こういう推定をしております。一方そのときに一般の関係官が
考えましたことは、しきりに痰をとりとり注射をされてお
つた。だからそのスプーターが今言
つた脱脂綿その他について、それで拭かれたのではないかという疑いを持つのであります。この点
はつきりしたものがつかまえられませんでした。今度の場合においても痰を拭き拭きということはないのであります。それからツベルクリン皮内反應をいたしておりますと、初めからある
程度まで陽性が出て、それがぽつと消えてこれがまた出る。こういうかつこうで液の中に
もともと初めから入
つておるものでなくて、何か器物についてお
つたという推定は
はつきりするのであります。要するに二百七名の方が注射をされたのでありますが、その内で六十四名がツベルクリン皮内反應が陽性であり、そのうち一名は家族感染をせられたのです。あとの六十三名というものがこういうかつこうで反應が出ておりまして、全体の
患者さんは七十六名であります。そのうち局所の腫脹が七十四名それから淋巴腺の肥大が二名。子供さんのレソトゲンのフイルムを取寄せて見ましたところ、確かに結核だと思うのですが、どういうところから入
つて来たのか、これは問題だと思います。それから兵庫縣の衛生部長をしております玉木という人が群馬縣におりました時分に、やはりこういう
事件があ
つたということを言
つておられました。こんなような関係で今現地において
調査会ができまして、熊谷先生が中心で縣会の人その他の
人々も入
つて調べておられます。また警察
当局も今入
つて調べております。そういう関係でまだこれという
はつきりしたものは申し上げかねるのです。ただいま注射器の問題が出ましたが、佐々木氏は新しい注射器を二本持
つて来て、おろして使
つたという
お話を最近しておられるように聞いております。あとで伺いましたところ、その注射器は学校にあ
つた膿盆で消毒している。これは
相当の時間火にかけたのでありますからこれも心配はない。それでこちらの
調査班が、それじや佐々木先生が見ておられた
患者さんに結核
患者があ
つたのかということで、佐々木先生の
患者を調べてみましたが、報告書の
通りで、その
患者から注射器が汚染されたとも
考えられません。そういう点でただいまのところいろいろ
調査しておりますが、まだ断定を下すまでに至
つておらないのであります。
それから次の問題の費用ですが今申し上げましたように進駐軍の好意によりまして、
ストレプトマイシンの注射をいたしまして、
治療内容については極力現地宮城縣において努力いたしております。この費用の問題でございますが、これはただいま縣と私の方と協議中なのでありまして、京都の場合は予防接種法並びに傳染病予防法に関係いたしまして、先般御
承知のように多額の補助費の形においてこれができたのでありますが、百日咳予防接種はまだ予防接種法の中に載
つておりません。百日咳は届出での傳染病ではありませんが、ほんとうの傳染病の中に入
つておりません。何とか國としてはお世話してあげたいというわけで、関係官が願を集めて縣からの陳情を聞いて考…死しております。しかし何とかしてこちらもできるだけ今申し上げたように、
ストレプトマイシンその他をどんどん取寄せてもらうことを進駐軍に頼みまして、その
治療万般に遺憾なきを期したいと
考えております。費用の問題その他についても、もう少し法規その他により好意的に
考えて御迷惑にならぬようにしたいと思
つておる次第であります。