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進藤説明員 ただいま
田中さんからお尋ねがございましたことについてお答え申し上げます。
電力問題は、御
承知のように
昭和二十三
年度におきましては、総
発生電力量が
日本の今までの
最高記録であつた
昭和十八年の二億キロワツトを突破しております。しかもなお
電力が
不足であるというのが現在の
状態でありまして、ことに
北海道地域並びに
九州地域は
電力不足が一番ひどいところであります。これに対処いたしまして、前から論ぜられておりまする
経済安定本部の五箇年
計画の線に大体浩
つておりますが、あれを土台として
開発計画を立てまして、本
年度におきまして三十
三箇地点の許可をとりました。すでに十四箇地点に対しましては
電力局から
建設命令を出しておるわけであります。これに対しまして本
年度の見返
資金は大体百四十五億一—これは自家用の
日本窒素並びに
昭和電工、あるいは
大分縣等が入
つておりますが、
電氣業といたしましては百四十五億であります。しかしこれだけではなかなか足りませんので、
自己資金の
調達等もや
つて電源開発をやらなければならぬ。しかし御
承知のように見返
資金が今
手続中でございます。すでに本年は半年を経過いたしておりまして、少し
建設の
期間がずれて來ているというふうな
状態でありますが、これはできるだけ早くやりまして、
建設を促進し、
電力不足を何とかしてなくしたい。ただ問題はいままでいろいろ
議論されますところは、
電源を
開発すれば
経済の
復興ができるという総括的の
議論でありますが、しかし
発電所を起しただけでは
経済復興にはなりませんので、起した
電氣を何に使うか、起した
電氣を
使つてほんとうに
経済復興に役立つものにしなければなりません。実は私の
考え方としては、まだ起した
電氣を何に使うか、
発電と
利用面とを連絡する
考え方が全体として薄いように
考えます。つまり五箇年
計画によりまして、全國的に見て何
年度は
幾ら、これに対して
幾ら、
これだけ電氣を起してこういうふうにして、足りないところはこうや
つてやるという
総括論で行
つております。しかし今日はすでに
電源開発に入
つておるのでありますが、これだけの
電氣を起したならば、何に使うかという、需要と結びつけましてこれは眞劍に討議さるべきで、その例として今
お話のありました熊野川にいたしましても、
奥只見の
建設にいたしましても、特に熊野川は
政府といたしまして檢討中でありますが、あの
計画を見ますと
電源と需要とを直結いたしておるという形がとられておりまして、これは全國的に見てこういう形が当然とらるべきである。そういうふうに
考えます。そこで今
お話のありました
奥只見の
電源開発は、
日本のこれから先の
開発としては一番大きなものでございまして、
考え方によりましては、大体二百四十万キロ、または百六、七十万キロといういろいろ
考え方がありますが、一應二百四十万キロ案というのが世間に出ております。しかし今申しましたように、
奥只見で起した
電氣を何に使うかという、その
電氣を最も有効に使うということの結論を得ませんと、これは何キロの
発電所にするかということは未決定なのであります。今一應案が出ておりますのは百七十万キロ、地点数にいたしまして十九箇地点、あるいは二十
三箇地点という地点でございますが、そのうち六箇地点はすでに
建設がされた。上の方に
発電所をつくると出力に影響がありますが、六箇所でございます。いずれにいたしましても影響する
発電所、今後つくる十九箇所、あるいは二十三箇所の
発電にいたしましても、百七、八十万キロから二百四十万キロ
程度になる非常に大きなものでありまして、大体キロワット時は五十七億キロワット時、石炭にいたしますと四百万トンというような非常に大きなものであります。今の
建設費にいたしますと、実は八百七、八十億かかる大きなものでありまして、
日本の今の
経済から申しますと、この
建設計画は國の非常に大きな
建設計画として当然取上げられるべきものでありまして、そうして引起された電気は、
日本の
経済復興に
ほんとうに役に立つように使われなければならない。これから先の
建設の
考え方、あるいはこの電気の利用の方法につきましては、今のような点を突込んで
ほんとうに
研究いたしまして、それから
建設にかかりませんと、この
発電所を起したことが
経済の
復興になるかならぬかという点に立ちますと、たとえば卑近な例で申しますと、
発電所をつくりましても、それが都庁の消費
方面だけに使われてしまう。都会へ持
つて来て電燈へ
——電澄は消費とは言いませんが、大体消費
経済に使われる。すでにさつき申しましたように、
昭和二十三
年度は二百四十五億キロワット時くらいで、今までの
最高記録を出して、
昭和六年の
電氣の平均の約二〇〇%を出しておるにかかわらず、
日本の鉱工業生産が
昭和六年の五、六割というふうなことで、
電氣は消費
方面に相当に使われておる傾向が強いのでありますから、今後起される
電氣はやはり生産都市、輸出振興
方面に使われる、こういう方向に持
つて行きたい。こういうことで、尾瀬の
開発につきましては徹底的な検討をして、自主的の
計画を発揮しなければならぬ。これは今の
お話のように、新潟案もありますし、また福島案の
政府案もございますし、日発の案もございますが、この間国土
計画審議会でも御
意見が出ましたけれども、國として大きな問題でございますから、
電源開発委員会というふうなものをつくりまして各
方面の権威を集め、各
方面の御
意見を検討しまして、國家として一番よろしいという結論を出して、それによ
つて開発したいというふうに
考えております。もちろん一部一番下の方にあります沼沢沼というのが、本年着手することにな
つております。これは下流の
発電所でありまして、これから先にだんだん上流の方へ入
つて参りますから、一應の
考えはでき、一應の設計はできておりますが、今申し上げたような点で、今後十分檢討いたしまして、
開発に間違いないようにいたしたいと思
つております。ごく概要でありますが、御
説明といたします。