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賀屋説明員 台風の通過しました直後に
九州におりまして、大体のところを見て参りましたから、その
状況を
お話いたします。
台風は二十一日の四時ごろに大隅半島に上陸しまして、
赤線で書いてございますが、ほぼこの経路を
通つて九州から
山口縣、これを通
つたわけでございまして、
山口縣にいきます途中
九州ではすでに2つにわかれてお
つたというような想像であります。そこで
雨量でございますが、このたびの
雨量は大体
九州地区ほとんど全域にわたりまして、五月間の
雨量を申しますと、
年平均の五月の
雨量の二倍ぐらいが、
九州地区でほぼ各縣に降
つておるのであります。五月だけが
雨量が多か
つたということと、それから
台風の前、もう十六、七日ごろから
降雨が続きまして、十八日ごろから特にひどくなり、さらに二十一日に
台風を
伴つた豪雨が來た、こういう
状況でございまして、
雨量は
台風のときの
雨量、二十、二十一日、この
雨量は大体大きなところで三五〇ミリ、三〇〇ミリというように、これは二日間の
雨量でありますが、こういう
状況であります。こういうふうな
雨量はほかにも実例があ
つたと思います。こういう
状況でございまして、すでに五月から六月にかけて
相当雨量が多うございまして、
台風の時期ににわかに降
つて來た雨は、ほとんど土地に吸収されずにすべて流れ出た、こういうふうな結果、
河川に出た
雨量は急激に大きくな
つたと
考えられるのであります。さつきも
大分縣の
お話がございましたが、
大分縣の
雨量が大体多か
つたのは、この別府の
うしろの
由布山、この
中心が特別ひどか
つたようでございます。大体この
由布山から北に流れまして、ここに流れているのが駅館川という川がございますが、この
上流が非常に破堤しております。それから中津に出ます
山國川は、これは二十一日の
デラ台風でほとんど出水はありません。それから
由布山を
中心に雨に流れて
大分川があるのでありますが、
大分川も
相当な
雨量でございます。
大分市の隣村に
堤防がございますが、この
堤防は乗り越しております。非常に高い水の時は短時間でありましたので、破
堤直前にとま
つております。それで
堤内地の民家で幾分浸水したのがありますが、破
堤直前にとま
つたという
状況でございます。それから
宮崎縣でありますが、
宮崎縣は大体
宮崎市から南が
災害が多うございまして、その他は比較的少か
つたのでございます。南の方は大体
宮崎市を
中心にいたしまして、
宮崎の付近を流れております清武川、それから
宮崎からさかのぼります
大淀川、
大淀川も
下流地区は大体
工事ができておりますので、比較的
被害が少くありますが、
上流の
都城地区は、非常な
氾濫でありまして、
本川はもちろん
支川もほとんど
復旧しておりまして、これは
河川が比較的大きくございますから
周囲一帯にわたり、二十
町歩、三十
町歩というふうに
氾濫し、さらに
土砂を埋めておるという
状況であります。それから
鹿児島縣から入
つて來ております川内川の
上流地区は
宮崎縣でありますが、この
地区も小林とかいうような
地区にな
つておりますが、非常な破堤をいたしております。これも
本川並びに
支川がたいへん破堤をいたしております。
農耕地の
氾濫が非常に多いのであります。それから特にひどか
つたのは
宮崎縣でありますと、都井岬というような方がひどいようでありますが、これは全然こちらは二日、三日ごろまでも
交通杜絶でありまして、行かれない
状況でございました。縣の情報ではここは特にひどいという様子であります。
それから
鹿児島縣でありますが、
鹿児島縣の
デラ台風の
影響は、ここを通
つております
関係で、大隅、
霧島、こういう
方面に
デラ台風の時期は雨が降
つたのであります。
鹿児島のほうはもちろん薩南の方にも
デラ台風の
影響で
相当降
つておるようでありますが、
台風の直接
通つたのはここであります。それから引続きまして、二十八日に雨が降
つておりますのは、この
地区であります。
鹿児島、川内という方でございます。
鹿児島縣の最もひどいのは、先ほどの
お話がありましたように、私は行
つておらぬのでありますが、ここは交通不能であります。また薩南方も交通不能でありますので、
現地で聞きました
状況は、この方が一番ひどいということでございます。ただ
雨量としますれば、比較的
霧島を
中心とした
雨量が多いのでありまして、ここを流れております
霧島川、
大淀川というような川があります。これは昨年も
相当な
被害を受けております。この方の
状況は四箇村の川をみたのでありますが、
復旧が十分行
つておらぬというせいもありまして、非常な破堤をいたしております。
それから
熊本縣は
被害が非常に少ないと
考えてお
つたのでありますが、二十八日、二日、五日というような
被害があるようでありますが、これは主として
球磨川上流の
人吉本町の
被害であります。
それから
福岡縣でございますが、全縣で十三億というような
報告が來ております。そのうちの約十億近くのものはここでございまして、ここは築上郡、京都郡、こういう郡のところが大部分であります。ここは山間部の川でありまして、
昭和十九年にもこれに匹敵したような
災害をこうむ
つておるのでありますが、今回の
被害は
昭和十九年よりもさらに大きいというような
実情であります。そうして十九年の
災害の
復旧の施設が
相当にできておりました
関係で、これがほとんど目も当てられぬようにこわされておるというような
状況であります。
昭和十九年の
災害の
復旧は戦時工法で経費も少く、資材も不十分であ
つたという現況のもとで仕事をしたものでありまして、やむを得ぬと思うのでありますが、築上郡のごときは、百十二橋という橋梁がほとんど流失しておる。そうして残
つたものはわずかに二十か、二十二、三という
状況である。そうして道路もまたこの山間部に行きます道路が、沿岸線は道があるのでありますが、
上流に入りますと、ほとんど横断する道路がありません。川添いに一本土
つて行くという道路があるだけでありまして、これが川添いの
堤防を兼用した道路でありまして、破堤しております
関係で、道路は全然交通ができない。学校も水害以來休校している村もあるという
状況であります。それでここはわずかな地域に
被害が比較的大きいということは、結局施設が
相当あ
つたというためであろうと想像するのであります。一般にわれわれが見ました
関係では、耕地の
氾濫その他の
被害の
状況を見まして、耕作地の
復旧が比較的少いというような感じがするのでありますが、これは先ほど
お話がありましたように、一般に土木施設が、
河川、橋梁、道路というような土木施設が行きわた
つていないという結果ではあるまいか、かように
考えます。
それから今度の
台風の特色といたしまして、
台風が
通りました直後、
降雨がぴしやつと止ま
つております。これは
鹿児島もそういう
状況でありますし、
宮崎もさういう
状況でありますが、
台風の最中はすでに雨はやんでおりまして、そのために南風、東風の風が潮風を吹きつけまして、これは主として、
宮崎、
鹿児島でありますが、
大分に至
つては比較的少いようであります。大体海岸から十キロ、多いところは二十キロ
程度の作物はみな眞赤にな
つております。松とか杉とかいうものですら眞赤にな
つておる
状況であります。これは
台風が潮風を吹きつけた、しかしそのとめは雨はやんでお
つたという
状況の結果だろうと思います。
それから農作物はどういうふうな
状態にな
つておるかという
お話でございますが、
河川が
氾濫して流失、埋没したところの耕地は、これは各縣とも植付の時期でありますので、村民総出にな
つて被害地の
土砂をとりのけまして、再度植付けを実施しておるところであります。それから畑作のごときものは、この海岸線でありますが、これはとうてい収拾の見込みはない。
それからとくに
被害のひどいのは
鹿児島、
宮崎のタバコの
被害でありまして、これは
鹿児島の副知事の
お話でございますが、大体年収穫が二十三億くらいのものがあ
つたが、そのうち現在わか
つておるのは七億くらいの減収である、かような
状況であります。大体氣がつきましたことを一言申し上げておきます。