○師岡
説明員 庶民住宅のことにつきまして申し上げます。
國庫補助によります庶民住宅の建設が、現在の住宅不足に対処いたしまする
政府の住宅政策といたしまして、きわめて重要なことは、ただいま御
説明のあつた通りであります。從いまして、
政府といたしましても、
國庫補助による賃貸住宅の建設につきましては、從來非常に力を入れておるところであります。二十三
年度におきましては、総建設戸数約一六万八千六百戸建
つております。これは
終戰後に建ちました貸家数の約八八%を占めておるわけであります。さようなわけでありまして、
予算としましては、必ずしも十分でないのでありますが、現在の住宅建設
状況から申しますと、この貸家の建設につきましては、
政府といたしましては相当な力を入れておるということが申されると思います。しかしながら今後におきまして、なお住宅難というものは継続いたすのでありますから、この二十四
年度以降におきましても、大いに建設をや
つて行かなければならぬと考えるのでありまするが、二十四
年度の
予算につきましては、当初におきまして、私どもといたしましては相当の金額を見込み、建設戸数を予定したのでありまするが、御承知のような
予算全体の編成
状況でありまして、從いまして公共
事業費の中で約二十五億というものがこの住宅建設に向けられることに
なつております。從いまして二十三
年度に比しましては、多少建設戸数は減少するわけであります。これに対しましては、合理的な対策をいたしまして、一戸でも多く建てて行きたいと思
つております。
なお全國のどこに家を建てるかという問題になりまするが、これにつきましては、昨
年度住宅
調査を行いましたので、これを基礎といたしまして、住宅不足の最も深刻な
地方に重点的に配置して行きたい。なお
災害等も考慮いたしまして建設を進めて行きたい。かように考えておるわけでございます。
それから第二点でありまするが、住宅建設の上から資金問題がきわめて重要なことは、これまた申すまでもないわけであります。從いまして
政府といたしましては、昨年來この問題の解決に
努力しておるわけでありまするが、三十四
年度の
予算要求といたしましては、全額
政府出資によりまして、住宅金庫を設立したい、住宅金融公社ということで新聞に発表に
なつておりますが、住宅金融公社の設立をいたしたいというように考えておりまして、相当に話も進んで希望を持たれたわけでありますが、最後の段階におきまして、
政府出資金が非常に大巾に減りましたので、この中に盛り込まれなかつた次第であります。はなはだ残念なことでありますが、ただいまも申しましたように、この住宅融資というものはきわめて重要な問題でありますので、さらにこの実現に向
つて現在第二段の対策を檢討中でございます。
それから重要
産業労務者住宅につきましては、一昨年來おもに石炭
関係の労務者住宅につきまして、相当建設して参りました。二十三
年度におきましては、約九十六億円の金が出ておるわけであります。二十四
年度といたしましても、石炭初めその他の重要
産業につきまして、相当住宅問題が大切でありますので、各方面と折衝いたしております。これが現在まだお話いたすところまでまとま
つておりません。九原則下の資金
事情が相当きゆうくつでありますので、あるいは昨年よりも減少すると思いまするが、いずれにいたしましても、現段階においてはまだまとま
つておりません。
それから手持
資材の問題でありまするが、これは現在の臨建の規則に基きまして、その許可準則により、正当なルートよ
つて入手した木材ないしは自家山林を伐採しました木材あるいは建物を解体しました古材、こういうものを使います場合には許可を要することに
なつておりまするが、別にやかましいこともなく許可されております。これをさらに一歩進めまして、そういう場合には許可を要しないことにしてはどうかというお話でございましたが、この点につきましては、現在全体としまして臨建規則の改正を檢討中でありますので、できますればこの中に織込んでみたいと考えますが、なお檢討を要する点もありますので、十分にただいまのお話の点を考慮に入れて行たいと考えております。
敷地問題でございますが、これはお話のように農地との
関係を生じております。増産ということも大切なのでありまして、農地問題の解決はそう簡單には参
つておりません。ただ現在戰災都市等におきましては、相当まだ焼跡で利用されておらない所もございます。そういう所のいわば遊休地の利用ということも相当考えて行かなければならぬ。さらにそういう点で不十分な所は、一歩進めて農地問題との調整もはからなければならぬ。かように考えております。しかしこの点は全体の土地問題とからみまして、土地政策全体が確立いたしませんことには、根本的な対策もまだ十分に確立できないというような情勢でありまして、この点につきましてはせつかく研究を進めておりまして、今後何らかの対策をと
つて参りたい。かように考えております。
最後に貸家住宅の
助成のお話でありましたが、現在の資金
事情ないしは御承知のような地代家賃統制令におきまして、非常に低家賃政策がとられておりますので、かような情勢下におきましては、なかなか貸家が建たないのであります。しかしながら戰前におきましては、都市について申しますれば、貸家というものは約七〇%から八〇%もあつたようなわけでありますから、貸家を建設いたしませんでは、住宅問題は解決しないと申してもよろしいのであります。そこで貸家を
助成するということになりまするが、これには結局長期低利の金を貸付けてやるということが第一段に必要であります。この長期低利の金を貸付ける問題になりますれば、先ほど申しました住宅金庫問題が解決いたしませんと、これは解決いたさぬとに相なります。
それから低家賃問題でありますが、これは現在残
つている家の方が結局多いのでありまして、これに入
つております借家人の立場から申しますれば、低家賃の方がよろしいのであります。住宅建設供給の上から見ますれば、高い家賃の方が採算がとれますから、結局その方がよいということになります。この問題の解決ということは、結局におきまして、家賃の
補助ということになろうかと思いますが、これは私どもといたしましても、從來
予算要求もいたしておりますが、現在におきましては、まだ民間の貸家の
助成というところまでは手が届きませんで、先ほど申しました
國庫補助による貸家の
助成という段階にあります。しかしながらだんだんと経済
事情もよくなり、
産業界が回復いたしますれば、この民間の貸家による貸家経営というものも復活の機運に向いましようし、これに対しまして
政府としましても、さらに
助成方策を講ずべきかと考えております。