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野田政府委員 このたびの
予算の体制が御
承知の通り非常にかわ
つて來ましたので、今後の金融の
見通しその他につきましてはまだ不確定な要素が非常にありまして、今のところ具体的な作業に着手することは不可能な
状態にあるのであります。と申しますのは、
一般の産業
方面の金融源というものは、從來の復金を通じての脈を断ち切られまして、全然別箇な方法で、つまり貿易
資金の見返り
資金をこちらへ充てるという体制に大きく切りかえられてしまつた。しかもその
わくは十七億五千万円というので、年間額としては
わくがきま
つておるわけです。そのほかは民間における貯蓄の増加というようなものが新たな
資金として見込まれるだけであります。政府の
資金としましては、
予算面で御
承知の通り何がしも産業
資金としては出ないというような結果にな
つております。しからばその見返り
資金がどういうふうにな
つて出るかということになりますと、見返り
資金は強力な管理下に置かれますので、これの運用その他の手続、それから流用
方針などにつきましては、目下のところまつたく不明であります。從いまして産業
資金に対する
計画というもの自身が、われわれとしては目下のところ立て得ない
状況にあ
つて、現在金融局長も今日もそのことで
交渉に行
つておるようなわけでわります。でありますから大きな筋道は、貿易
資金の見返り勘定が國債の償還、あるいは復金債の償還というような形で市中なり産業金融面に流れて行く。そのほかにあの
資金を直接に産業
資金として使い得るかどうか、また使うとすればどういう金融機関を通じて使うのかというようなことは、まだまつたくわか
つておりません。ただ
関係筋の意向では、あの
資金は一件々々について審査して一件々々について可否を判定するということだけが示されておるわけであります。その一件々々というのはどういうたちの一件々々であるのかわからないのでありますから、目下のところそれに対するどれだけの政府としての
計画性を與えるか。言いかえれば今年の金融統制というものを、どの
程度政府の考えでや
つて行けるかというような点も、まだはつきりいたしてはおらぬのです。しかしその見返り
資金の運用についての原案の作成ということは政府がいたすことにな
つております。その後それを持
つて行
つて折衝の上で、初めてその用途なり、具体的の金額がきまる。こういうようなわけなんです。しかもその見返り
資金というものが実際に出て來ますのは、非常に時のづれがあるということを考えなければならぬ。それは当然貿易の差金——貿易勘定で輸出品を買い上げ、輸入品を國内で拂い渡したその差金がたま
つて來るのが
資金になるのであります。それがたま
つて相当の額とな
つて、それが市中なら市中に流れ出す。相当に使い得るようなフアンドになるのは相当の時を要する。それでその間それらの
資金ができるまでの間のつなぎをどうするかということが、目下の差迫つた問題でありまして、この問題も解決しなければならぬ。いろいろ複雑な根本的な問題がさように未解決に残されておりますので、ただ大筋がそういうふうになるということがわか
つておる
程度なのであります。