○福島
説明員 今
委員長から概説をという
お話でありましたが、ごくかいつまんで、最近の
動きを
お話申し上げます。
物価庁は昨年あたりまではインフレーシヨンの上昇に從いまして、その適正なところをつかむということが仕事の中心でありましたが、生産増強等が進みまして需給の並行
状態を来しつつありますので、
物価行政の面が多少
変更されて参りました。その一番大きなのは最近の石炭に対する措置であります。あれほど生産増強をやかましく言われまして、その措置が非常にいろいろな
方面にわた
つて行われましたものが、各
方面の御努力によりましてほぼ生産目標に達し、また一面多少有効
需要の減退等によりまして、在庫が大分たまりました
関係もあり、思い切
つて配給
統制並びに価格
統制をはずしたのであります。これなどは
物価行政に当
つております者から見ますと、意外に早くその事態が参
つたものと見られるのであります。そういうふうに需給の平衡
状態を得ましたものにつきましては、ほぼ価格
統制、配給
統制がはずれて行く段階に至
つたと考えてよろしかろうと思います。
第二の大きな
変化は、補給金の
撤廃という問題が現われまして、これによりましての
物価の変動というものが大きく現われて参
つたのであります。一番先に国会でも問題になりましたが、銅の補給金の
撤廃の問題が各
方面に非常に大きな
影響を與えまして、わが国の産銅政策にまでその議論が及んだのであります。これなどは需給
関係から申しまして、毎月
相当数の在庫、売れ残りができました状況、また内地の生産費が国際価格に比較いたしまして非常に高いというところから、補給金の
撤廃並びに価格
統制の
撤廃がきめられましてその通り実施されました。但しそういうふうに、生産費の非常に高い
商品が補給金をはずされまして、はだかのままで市場に出ます場合に、はたして今日在庫品がふえつつある状況がいつまで続きますか。そのうち適当な整理が行われましたあかつきには、ことによると
日本の
需要量の及ばないという状況が起りまして、あるいは必要量を今度は逆に海外から
輸入しなければならぬという状況が起りはしないかという心配から、多少の助成金的な、必要限度における鉱山の保持という見地から、多少の手が打たれつつあるのであります。その他鉄鋼におきましても、御承知の通り段階的に補給金をはずしておりますが、第一に鉄鋼
製品におきまして、約三割五分価格改訂をいたしたわけであります。その他におきましても、肥料の問題につきましても、補給金の
撤廃によりまして、多分ことしの春肥から四割くらいの消費者価格の値上げをせざるを得ないような状況に至ろうかと思います。そのほかにつきましては、大して
影響のないものはそのまま補助金を一挙にはずして参りました。
輸入品でありまするけれでも、油脂あるいはゴム、皮革等につきましては補給金を
撤廃いたしまして、これをスト
レートで原料として使うように相なります。それはおのおのいずれも補給金のはずれましただけは、価格の面に
影響が出ているのであります。そういうふうなところまで今日来ております。ごくこまかい日用品につきましては、大体配給
統制も価格
統制ももはや必要のない事態に至りました物資が大分ございます。それぞれ大体状況をにらみ合せまして、価格
統制を
撤廃いたしました物資が大分ございます。さらに進みまして、本
年度中には
相当数に日用
品物資、比較的
影響の少い、生活費等にはね返ります心配の少いものは、どんどんこれを整理して参るつもりでございます。大勢はざつと申し上げますと、そういうふうなことでありまして、需給のバランスのとれました面からはずし、また補給金の
撤廃によります価格
統制をいたし、あるいは生計費等にあまり
影響のありません日用品は、大幅にこれを整理して行くという考えで今日まで参
つております。
そこで今後の状況に
ちよつと簡單に触れてみたいと思います。第一に、まだしばらく残ると思いますものは、独占価格になりやすいもので、しばらく価格
統制は続行されると思います。たとえますれば電気とかガス料金とか、あるいは鉄道料金等は当然独占価格でありまして、これは価格
統制が行われるものであります。諸
外国におきましても、鉄道料金は各国漏れなく
統制価格にな
つているのであります。
それから多少独占価格的なにおいがいたします物資、しかも非常に大きな設備、莫大な投下資本を要します工業につきましては、やはりある
程度の価格
統制をいたす必要があるかと存じます。たとえますれば製鉄業、製鋼業のごときはその部類に入るかと存じます。
それから第三には、その原料、材料の
相当部分、申しますれば七、八十パーセントを
輸入にまつ
商品などは、現在の
輸入資金の
関係、今日で言いますれば、エイド・フアンドで大部分
輸入されておりますが、これなどはある
程度価格
統制をはずすわけに行かない状況にあろうかと存じます。実例をも
つて申しますれば、油脂類は大体八〇%は
輸入しております。生ゴムは一〇〇%
輸入しております。それから皮などは
相当のパーテンテージの
輸入がございますが、油やゴムほどにはありません。正確な数字は覚えておりませんが、多分六、七十パーセントは
輸入品と記憶しております。これらは
輸入の外貨資金の性質上、しばらく内地の価格をおつぱなすわけに行かない状況にあろうかと存じます。
それから第四は、工業
製品でも生産がふえまして、いろいろなものが大分楽にな
つて参りましたが、まだ依然として生産増強を続けなければならないもの、それによりまして
輸入品を少くする、
輸入の必要量を少くする必要のありますものは、たとえますれば、硫安のごとき、コーライトのごときものは、どうしても内地の
生産設備、また生産資源を鼓舞激励いたしまして、必要量を国内生産に仰ぐ、それで充足するという建前をとらざるを得ない物資だと存じます。そしていろいろ生産状況が違います硫安について考えますれば、電解法とガス法とによ
つてコストが違います。これは安いものだけで、高い製造
方法によるものはやめてしまうというような価格政策をとるには、まだ少し早いじやないか。それをやりますれば、
輸出肥料をふやさなければならないというふうな状況にありますので、外貨を使
つて輸入するよりも、国内生産をふやす必要がある物資だと存じます。硫化鉱にいたしましても、本
年度は多少の硫化鉱を
輸入しておりますが、大体必要量は年に百五十万トンくらい、さらにもう少しありますことが望ましいのでありますが、今日の生産状況からいたしますと、まず百四十万トンを供給し得るのがかつかつであろう。よほど努力しないと百五十万トンは行かないというふうな状況でありまして、ことにこれなどは鉱産物でありますので、ピツトの種類、場所々々によりましてサルフアー・コンテント——純分が違いますので、そこに生産増強の必要から多少増産奬励的な考えを入れませんと、増産ができません。従
つて価格
統制を持ち、同時に価格調整をいたしまして、これを奬励して行きませんと、生産が充実いたしません。これなどはやはりしばらく価格
統制をいたさねばならぬものであろうかと思います。その次は主要食糧の問題、これは御
説明申し上げるまでもないことと思います。そういうふうな大きな筋で価格
統制をすべき物資が残るであろうと思います。その他のこまかい物に至りましては、できるだけ早い機会に整理してしかるべきものだと思います。
これは余談になりますが、野菜の
統制をはずしました。その結果は皆様方よく御存じであろうと存じますが、今年の天候がたいへん惡か
つたために、都会における野菜の価格が不幸にして上りまして、見込みとは多少違
つて参りましたが、その反面
品質などがたいへん改善され、
需要者の
方面ではその効果を喜んでおられる向きもおられまするけれ
ども、その反面には価格はまさに高く
なつた、安くならなか
つたという結果でございます。これは天候に支配されました
関係がよほどございますので、必ずしも価格
統制をはずしたからそう
なつたとばかりは申し上げられませんが、事実そういう結果が現われております。また魚の
統制をはずすという問題で
ちよつといやな前例が出ましたので、勇敢にこれをはずすわけには進んでおりません。
関係方面などがそれについて多少考慮を拂いつつあります。それにいたしましても、大分ありましたものを十八種類まで整理いたしまして、現在十八種類残りました。大衆に必要な魚だけを残しているような次第であります。できれば本年中あるいは本
年度中には、あとのものも整理したいと思
つております。
そういうことでありまするが、私
どもといたしまして現在一番心配しておりますることは、補給金をはずしますればこれはまさに見かけの価格は高くなります。米価についてはこの間米価審議会があり、
政府の案をつくりまして、今
関係方面と
折衝中でありまするが、消費者価格は安くなりません。すえ置きというわけには参らず、多少高くなると思います。それから電気料金につきましても、補修費の
関係でありますとか、あるいは火力発電用炭の問題でありますとか、いう問題からいたしましてやはり二、三割は高くなるはずであります。それから鉄道運賃につきましても、今しきりと論議されておりますが、これも
相当値上げをせざるを得ない状況であろうかと存じます。その他私
どもの方にまだ重要物資につきまして数件値上げをしてもらいたい、こういう状況にな
つているとの申出のものもあります。先般来石炭の
統制をはずしたころは多少
物価が下るのではないか。また事実
物価の下
つたものもございます。そうして有効
需要がこれに伴
つて参りませんので、マル公割れの
商品も日用品、雑貨におきましてぼつぼつ出ておりまするが、そういうふうに電力、運賃あるいは紙類、主食等におきまして、あるいは補給金のはずれました基礎物資につきましておおむね値上りを見ましたし、また見つつあるのであります。この趨勢から生計費あるいは賃金等へのはね返りが、どういうふうな
影響にな
つて出て来るかということは、私
ども担当者といたしまして非常に心配いたしておるところであります。それで日用品、雑貨の末端の雑多なものにつきまして、これの価格
統制をはずして町由取引にまかせますことは、他面
品物がよくなり、また
企業者の
競争によりまして価格も安くなるという見込みが立ちますけれ
ども、さような値上げをする要素がずらつと並んでおりまする今日におきましては、基礎物資、原料物資につきましてはたしてどういう手を打
つたらよかろうか。どうせ行く先は
統制のない自由経済に入りますることは事実でありますが、その段階、その時期、
程度等につきましては、私
どもとしては非常に
愼重にこれをいたしませんと、今日までせつかく安定して参りましたものが、再びインフレーシヨンに向うやの心配もないでもありません。そういうような心配を持ちまして、今日の
物価の成行きを見ております。またそういう見地でいろいろ御相談申し上げております。
以上ごく
一般のことだけ申し上げまして、また御
質問がありましたらお答え申し上げることにいたします。