○首藤
委員 ち
ようど今日は長官もおいでに
なつておられまするから、四点ほどお尋ねしたいと思います。
予算案がすでに通過をいたしております今日、これについてとかくの意見を述べるということは、さしひかえたいと思います。しかしながら、いかに檢討いたしましても、本年の
予算案を実行いたしますれば、デイス・インフレを通り越して、むしろパニツクが來はせぬかということを、依然として私は心痛しておるものであります。課税が高率に引上げられたこと、はたしてか
ような担税力ありや否やという点を、現実の姿から見て非常に私は憂慮いたしておるのであります。しかも反面歳出の面において、地方
財政の引下げあるいはまた公共事業費の縮小という面を、非常に憂慮しておるものでありますが、当面の問題として最もわれわれが憂慮いたしておりまするのは、
金融機関の二千五百三億という見積りがしてありまするが、はたしてか
ような
金融機関の融資ができるものであるかどうか。すでに昨年末以來でありまするが、金融は非常に梗塞いたしまして、一般商取引の面における現在の取引状態をながめますると、半分以上は手形決済に
なつております。同時に
あと二割ぐらいはいたずらに支拂いを延ばすということで、辛うじてつじつまを合せておるのでありまするが、この手形決済も、当初は三十日であ
つたものが六十日になり、最近は九十日になんなんとするという
ような状態に置かれておるのであります。そこで何が急激にか
ように金融を梗塞さしたかということを檢討してみますると、現在最も大きな原因と
なつておりまするのは、税が苛斂誅求された結果、銀行の預金がほとんどその
方面に拂い出されてしま
つた。同時に預金すれば何どき税務署の課税の対象となるかもしれぬ、追求されるかもしれないという大きな不安から、多少余裕を持
つている者もことさら預金しないのであります。それからもう一つは、
政府の支拂いが非常に遅延して参
つている。私最近各
方面を視察したのでありますが、現在
政府支拂いの遅延している額はおそらく五百億、
石炭の方を加えますれば、あるいは六百億円ぐらいの支拂い遅延に
なつておりはせぬかと思われるのであります。もう一つは
通貨措置に対する不安が、最近また急激に濃厚に
なつて参
つたのであります。今日まで、
通貨に対して何らかの措置をとられはせぬかというふうな揣摩臆測が、何回も行われましたが、しかしながらインフレ過程におきましては、さ
ようなことはあり得ないことであると、多少経済的に地位のある者は否定して参
つたのでありますが、本年の
予算が安定経済を目的としている以上は、今度こそ
通貨の措置が当然行われるのではないかという説が、最近非常な勢いで各
方面へ廣が
つて参
つたのであります。今日までは先ほど申しましたごとくインフレ過程でありまするから、おそらくか
ような措置はとらないであろうということは考えられるのでありまするが、しかし
財政が安定する。そして安定したならば当然次に來るべきものは
通貨の措置であるということは、常識的にも考えられますので、か
ような不安が急速度で各
方面に廣が
つて行きつつあるのではないかと思うのであります。そこでできる限りか
ような不安を除去いたしまして、できるだけデフレ的なパニツクの襲來を防ぐ
ような方法を講ずること自体が、当面
政府のとるべき最も重大な使命であると私は思うのでありますが、それにははたして安定後に
通貨措置をとるのであるかどうか。もしとらないならば、その際さ
ような民間の不安を打消す何らかの対策を必要とすると考えまするが、これに対してどういうお考えを持たれているかどうか、これを私は伺いいたしたい。
それから
政府支拂いの遅延でありまするが、最近どの業界に参りましても、異口同音に強く叫びまするのは、実に
政府支拂いの促進であります。從
つて総合企画の官廳であるところの
安本では、この問題に対して
政府に対して支拂いの促進をやれるかどうか。願わくは毎月末の各官廳の支拂い未済の残額を報告させて、その次に幾ら支拂
つたかということを見て、この支拂い促進をやることが、当面の金融梗塞を緩和する面において、最も重要な措置であると考えておるのでありますが、そういう措置がとれるかどうかということをお伺いしたい。
もう一つは徴税であります。すでに私から申し上げるまでもなく、昨年秋から至るところに差押えの強政処分がある。また十人、二十人、はなはだしきは三十人という税務署員が、ま
つたくギヤングに等しい
ような行動をも
つて、各
方面で徴税の追求をいたしておりまするが、か
ようなことをしなくても、もつと合理的に一般を安心させ、かつ得心の行く徴税方法が必ずあると私は思うのであります。しかも最近は各税務署の徴税担当者の素質が非常に低下して参
つた。年齡も各
方面を調べた結果、大体二十一才から二十二才が平均に
なつておるのでありまして、徴税のごとき複雜な事務を、か
ような若年の者に当らせるということ自体が、すでに私は非常にむりだと思うのでありますが、こういう
方面について何らか改善の措置をとる御意思があるかどうかという点をお尋ねいたしたい。
もう一つは
貿易であります。ただいまも拜聽いたしましたごとく、
貿易は非常に順調に伸びているということで非常にけつこうでありまするが、しかし現実の各サツプライヤー、あるいは各メーカーの実情をながめますると、これまた非常に金融に圧迫されまして、これがためにできるべきところの
輸出ができないという面が、非常に多く
なつて参
つたのであります。特に
貿易公團から受取るいわゆる貿手でありまするが、この貿手が非常に遅れるのみならず、また
金額が非常にふえて参りました結果、
金融機関の手元
資金もまた非常に不如意であるという
ような理由から、ほとんどのものがこれを
現金化するのに困難を來しているのであります。從
つてこの貿手に対してもつとたやすく
簡單に、各金融面でこれを
現金化するという措置をとることも、これまた緊急の対策として最も必要だと信ずるものでありますが、こういう面についていかなるお考えを持
つておるか。この四つの問題についてお尋ねしてみたいのであります。