○三浦
法制局参事 それでは、私から
退職金の法案の概要を申し上げます。
退職金を支給します根拠は
国会法にありますが、その法制的措置がとられておりませんので、ここに
国会議員の
退職金に対する
法律案を一応立案いたしたわけであります。
この
制度に盛られておりますおもな点を、かいつまんで申し上げますと、
退職金を年金と一時金の二つの種類にわけてございます。これを一方的にするか、両方併合して行くかという点については、いろいろ問題があろうかと思
つておりますが、これは併合がよいだろうと思
つてや
つております。
それから
退職金の支給の年限につきましては、第九条に書いてございますが、在職八年以上で満五十五歳に達した後に退職した者に年金を支給することにな
つております。一時金につきましては、第十二条に書いておりますように、存職年四年以上八年未満で、年金を受ける資格に該当しない人、そういう人に対して一時金を支給する、大体こうな
つております。
それから年金の金額につきましては、第十条に書いておりますが、八年以上九年未満というこの基準を
原則として、それに在職当時の歳費年額の百五十分の二十五に相当する金額とする。かようにな
つております。一般公務員の恩給につきましては百五十分の五十、約三分の一にな
つておりますが、この年限を八年ということにいたして、公務員等は十七年で恩給を受けられることにな
つておりますので、それらとの比較考量の上、百五十分の五十を百五十分の二十五に減らしてあるのであります。しかし、百五十分の二十五をやはり百五十分の五十にするがよいかという問題はあり得ると思
つております。たとえば、国務大臣等については七年で恩給がつくことにな
つておりまして、これは百五十分の五十の率で払いますので、それらと勘案して百五十分の五十にすることは一応の案であろうかと思
つております。
次には一時金の金額についてであります。これは十三条に書いてございまして、退職当時の
議員の歳費月額の二分の一に相当する金額ということにな
つておりますが、これを二分の一でなくして、そのまま歳費月額に年数をかけるということも
考え得ると思
つております。これは先ほど申したように、八年未満で一時金をもらい得ますので、年限が公務員等は十七年でもらえますのとの率事を比較して、額において、二分の一に減らすということにこの案は一応な
つております。
それから
あとの点は支給上の取扱い手続等に関するものでありますが、これは恩給法その他これに類する
法律の
規定等を勘案いたしまして、この案に
規定をいたしたのであります。
それから第二十八条に納付金に関します問題がありますが、これは歳費月額の百分の二に相当する金額を毎月国庫に納付することにな
つておりまして、その率は公務員等の恩給納付金の率と同様であります。大体かような構想に本文はな
つております。
それから附則の方でございますが、これの経過的の取扱いについて二、三御参考に申し上げたいと思います。附則の第二項でありますが、この適用範囲の問題でありまして、一応二項の前段において、
昭和二十一年十一月三日現在
帝国議会の
議員であつた者にも適用することにな
つております。この範囲までこの案を適用するがよいかどうかということは、いろいろ問題があり得ると思
つております。なおこの
法律施行前
国会議員であつた方で退職した人についても遡及して適用する。かようにな
つております。
それから附則の第四項におきまして、「前二項の
規定は、この
法律施行の際現に
国会議員である者については、適用しない。」と申しますのは、
帝国議会時代の
議員であつた方で、新らしい
国会の
議員にな
つておる方があるのでありまして、そういう方については前のような
規定を適用せず、この
法律の本文の適用を受けるということであります。つまり、その人たちがいつかやめられるときにこの
規定が働いて来る、かようになります。
なお第五項においては、但し、その人たちの在職年の計算においては、
帝国議会時代の在職年を計算いたしまして在職年とする、かようなことにな
つております。
それから第六項におきまして、先ほど申した納付金を百分の二の率にいたしまして国庫に納めることにいたしましたが、
帝国議会時代に
議員であつた方等にも遡及しますと、その人たちは百分の二の納付金を納めておりませんので、実際にそういう人に
退職金を払う場合には、過去にさかのぼ
つて百分の二に相当する金額をその在職年にかけたものを控除する、かようなことにな
つておるわけであります。年金の場合は十五分の一をかけることにな
つておりますが、これはこの
規定を適用いたしますと相当額控除せられることになりまして、手取りが相当少くなりますし、将来新しくこの
法律が施行になりました以後は百分の二を納付させないことにいたしまして、過去にまで遡及しない方がいいのではないかと
考えておりますが、一応さようにな
つております。
内容は以上であります。