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中村訴追委員長 裁判官彈劾法の一部
改正に関しまするこの案は、昨年数度
司令部を訪れまして、大体の
了解を得たのであります。
議会に御
提案くださる順序の日取りがなか
つたために、本
議会に持出した案でありまして、わが
訴追委員会におきましては昨年度においても、
全員満場一致の
改正案としての
方針を
決定いたしてお
つたのであります。今回の新たなる
訴追委員会においても、
満場一致この
改正案を決議いたしておる次第でありまして、昨年度大体
了解を得てお
つたのでありますから、この案は
司令部においても
オーケーが参
つておるという次第でございます。一言よけいなことでありますけれども、実は
運営委員会に
オーケーをとる前に諮るのがほんとうだと思いましたが、昨年來の縣案でありましたから、
委員会独自の
立場においてこれまで進めているという案であります。
まず第一点、第三條の「
彈劾裁判所及び
訴追委員会は、これを東京都におく」という中におきまして、「
訴追委員会は」という
文字がしばしば社会的にも問題になりまして、
訴追委員会というのは一体何を
訴追するかというのが、一年有半実施して参りました過去の実際から、一般に聞く多くの
意見であ
つたのであります。そこでこれを
はつきりと「
裁判官訴追委員会」として、この
訴追委員会は
裁判官を
訴追するのである。これを
はつきりさしたいとうので「
裁判官」という
文字を加えてもらいたいという点でございます。
それから第五條の第五項、「
訴追委員会及びその
予備員は、
衆議院の
許可を得て辞職することができる。但し、
國会の
閉会中は、
象議院議長の
許可を得て辞職することができる。」こう
現行法にな
つておりますが、実際一年余運用してみた場合におきまして、この案が惡いという実際の問題にはぶつか
つておりませんが、それに近い問題にはぶつか
つたのであります。学問的に
考えまして、
改正しなければならぬという問題にぶつか
つたのであります。すなわち
訴追委員会は特殊の
立場に独立して、特殊の事柄を
專門的に
取扱つている
建前でありますが、
常任委員会の
委員が交代されるような
立場において、簡單に交代ができるのであります。そこで小
委員的にある
事件を取調べますために、あるいは公判に立会うために、その
委員の中から何人かを指名しておくような場合に、都合があ
つてやめる。あるいは
現行法では十五人集まらなければ、
議事を開くことができぬという
制限規定があります。こういう場合において
衆議院が、
委員会ないしは
委員長が全然知らぬ間に
委員の
辞任を
許可してしまう。ことに
訴追委員の任命は
衆議院の選挙によ
つておるという
建前から、
議会閉会中においては
委員の
補充ができない
建前にな
つているのであります。しかるにこの
現行法から見てみますと、
閉会中は
議長の
許可を得て辞職することができるとな
つております。そうすると
委員会あるいは
委員長がある問題を
取扱つている場合に、
閉会中は
補充もできないという
関係におかれているという立法の
建前から見ましても、
議長の
許可だけで全然辞職してしまうというようなことがあり得ると仮定いたしますと、十五名なければ
議事を開くことができぬということになるのであります。それでありますから
辞任の
許可を願い出ずる場合には、
改正案のような
趣旨に従いまして、「
訴追委員及びその
予備員が、辞職しようとする時は、
訴追委員会にその旨を申しいで、
衆議院の
許可を得なければならない。但し、
國会の
閉会中は、
訴追委員長を経由し、
衆議院議長の
許可を得て辞職することができる。」すなわちこの
委員会とつながりを持たしていただくというだけの問題でありまして、権限を持たしていただくという
意味ではないのであります。
それから第八條の第八項中「
手当」を「
日当」と改めるという点があります。それから「
國会の
開会中
訴追委員及びその
予備員が、その
職務を行う場合の
日当については、
衆議院議長の
承認を得なければならない。」というのを一項加えるという案であります。
手当を
日当と改めるという問題は、実際上の問題にぶつか
つたので、御
了解を得たいという案であります。すなわち
手当という文句の場合においては、
税金がかかるのでありまして、これは
司令部から注意をしてくれました。
現行法ではともかく三百円の
手当をもら
つて來ると、百円ばかり
税金にとられてしまう。そこでいろいろ
研究しました結果、
手当という
文字では
税金がかかるので、
実費弁償をしてもらうという
趣旨から、
手当を
日当という言葉にかえていただきたいという案であります。それから「
國会の
開会中
訴追委員及びその
予備員が、その
職務を行う場合の
日当については、
衆議院議長の
承認を得なければならない。」これを一項加えてもらいたいというのは、
議会の
開会中でもどうしても
議長の
承認を得て、この
日当をやらなければいかぬという事案があるのであります。たとえば
訴追委員の中から一入ないし三人くらい、公判立会いの
責任を持
つてもらうという場合、二千ページ、五千ページにもわた
つて幾十人の
証人を
專門的に調べておかないと、立会いができません。現に今や
つているものは、
弁護士が十一人もついておりまして、この
弁護士が
專門的に調べて來て、どこか
訴追委員をつつ込んでやろうというので來ておりますので、勉強して行きませんと太刀打ちができぬ。それでありますから
議会の
開会中でも、この
職務につく場合は
議長の
承認を得れば、
日当を與えられるということに御
了解を願いたいのであります。
それから第十條中「十五人以上」を「十一人以上」ということにする。これはたとえば
裁判官を
訴追するかいなかという
議事を開く場合において、十五人以上なければ
議事が開かれぬのであります。ところが
閉会中など十五人で、全國から集まるということになりますと、なかなか出かけて参りません。はるばる九州から参加していただいても、た
つた一人不足するために
議事が開かれぬということにになりまして、なかなか困難なことが起つで來たのであります。そういう
関係からこれを十一人ぐらいにするならば、どういう場合でも何とかして
議事が開かれるというような
事情になるからということを
研究しまして、
オーケーも参
つております。十五人を十一人以上に改めていただきたいというのであります。
第四十四條は
罰則の
規定の
改正であります。これは昨年暮におきましても
淺沼さんが、ここの
委員長をしておられるころにも御
説明申し上げたのでありますが、
罰則の
規定のことはかなり重大であるから、いま少し
運営委員会でも
研究をしようということでありまして、われわれは
引下つてお
つたようなわけであります。しかしこの際はぜひ
改正案のように、第四十四條中第一項の「三千円以下の
過料」を「一年以下の
禁錮又は一万円以下の
罰金若しくは
過料。」同條第二項中「千円以下の
過料」というのを「一年以下の
禁錮又は一万円以下の
罰金若しくは
過料」ということに改めていただきたいと思います。その理由は、今日
過料千円ということは、
罰則としてはあまりに軽きに失しまして、問題にならぬ。千円というものは今日の
貨幣價値から
考えてみまして、小さい額にな
つてしま
つているのであります。また今日
機会あたりでや
つておりますところの、
証人に対する
規定の
罰則から
考えましても、一年以下の
禁錮及び一万円以下の
罰金ということにな
つてお
つたと記憶しております。そういうふうでありまして、この点もどうかこの
程度に改めていただきたい。今日御
承知の
通り地方自治法の
條例の
罰則でさえも、二年以下の懲役若しくは
禁錮又は十万円以下の
罰金を、
地方議会でも定め得るというようなことでありますから、重大な
裁判官の
訴追をしよう、あるいは罷免の裁判を開こうという場合において、
手続上重大な偽証をしてみたり、あるいは書類の
提出に應じなか
つたりするような問題に対しては、相当なる刑罰を用意して、法の権威も幾らか徹底せしめておく必要がありはせんかというのでお願いをする次第であります。どうか御
研究の上御採用くださるようにお願い申し上げます。