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間嶋説明員 対外観光宣傳の概況について御
説明申し上げます。
昭和の初年に逐次來訪の
外客がふえて参りまして、
対外観光宣傳にとりまして絶好の
機会と認められましたので、当時の
鉄道省及びジャパン・ツーリスト・ビユーローが提唱いたしまして、
対外宣傳、特に対
米宣傳を大いにやろうということに相なりまして、
昭和四年に
鉄道省、満鉄、郵船、商船、あるいは
朝鮮鉄道という
ような
團体が
拠金いたしまして、約二十万円の資金をも
つて、対
米共同廣告委員会をつく
つたのであります。それによりましてアメリカを主とする
対外宣博をや
つたのであります。その後
昭和六年に
國際観光協会が生れまして、これが当時すでにできておりました、
鉄道省の外局の
国際観光局の
姉妹機関といたしまして、もつ
ぱら対外宣博に従事することに相な
つたのであります。その結果対
米共同廣告委員会は、その
事務を
国際観光協会に移したのであります。
國際観光協会は逐年その
事業を発展させまして、パンフレツト、映画、あるいは
写眞等によりまする
対外宣傳、あるいはまた
海外各地に
宣傳事務所を設置いたしましたり、また世界の
主要都市に
宣傳嘱託員を置くという
ような方法によりまして、活発な
活動をいたしました。当時の
予算といたしましては、
最初は
鉄道特別会計から十万円、その
地関係團体の
拠金が十万円、
合計二十万円で
事業を
行つてお
つたのであります。一番多かつた
昭和十五年におきましては、
一般会計から五十万円、
鉄道特別会計から八十万円、その他の
團体から三十万円、
合計百六十万円という
予算をも
つて、
海外宣傳を実施いたしたのでありますが、
戰争が激化いたしましてから、
海外宣傳が活発にやれなくなりましたし、またその
海外宣傳の重点、
東亜の
地域に変更いたさざるを得なくな
つたのであります。その結果、当時の
國際観光局も、
行政機構の改革によりまして消滅いたしました。また
國際観光協会も存続ができなくなりまして、当時の
東亜交通公社——現在の
日本交通公社の前身でございますが、その
東亜交通公債と合併いたしたのであります。それまでは
日本交通公壁はもつ
ぱら内外人の
旅行のあつせんを主たる任務といたしておりましたが、
昭和十八年からは
内外人の
旅行あつせんとともに、
対外観光宣博をも合せてやるという国体にかわ
つたのでございます。その後
戰争がますますはげしくなりましたので、ほとんど
中絶状態にな
つております。
終戰後再び観光事業を大いに取上げなければならぬという声が各
方面に起りまして、当時はまだ
海外へ
宣傳をするという
段階ではございませんでしたが、
日本に進駐して参りました将兵及びその家族を
中心といたしまして、これに対する
宣傳に
中心を置き、また将来の
観光事業のために、國内の
啓蒙運動という
ようなものを
中心にや
つて参つたのであります。
政府といたしましては、その
必要性を認めまして、
補助金といたしまして、
昭和二十
年度におきましては
日本交通公社に
対外宣傳経費といたしまして、百七十万円を支出いたしたのであけます。その後
昭和二十二
年度におきましては、
日本交通公社に対しまして
補助金を三百万円に増額いたしました。それから同
年度からは新しく生れました全
日本観光連盟、これが國内の
観光機関の総合
團体といたしまして、
施設の
整備及び
観光観念の普及という
ような、國丙の
啓蒙運動をも使命としておりましたので、これに対しましても二百万円の
補助金を支出いたしまして、これは主として國内
啓蒙運動に使われたのであります。
合計昭和二十二
年度は交通公社に三百万円、全
日本観光連盟に二百万円を投じたのであります。二十三
年度におきましては、
日本交通公社の
補助金を五百万円にいたしました。また全
日本観光連盟に対しましては、
補助金を一千万円に増額いたしました。それから当時海運界におきまして
——戦争前におきましては御承知の
通り、海運
事業が
日本の
観光事業に非常に大きな役割を果してお
つたのでありますが、将来の海運の面から、
観光事業を大いに促進し
ようということで、
日本海上
観光協会というものが生れたのであります。それに対して
昭和二十三
年度は新しく七十五万円の
経費を支出いたしました。これは海上
観光事業の面における啓蒙
宣傳の
経費に投じた次第であります。その後
昭和三十四
年度におきましては、当時御承知の
通りドツジ政策によりまして、完全な均衡
予算を組まなければならないという
ような建前で、
補助金的性質を持つものは非常に大なたを振われました結果、二十四
年度本
予算におきましては、全面的に削除を受けたのであります。その結果、せつかくつちか
つて参りました
対外宣傳及び國内の啓蒙
宣傳も、ほとんど中絶のやむなきに至
つたのでありますが、幸い今回の補正
予算におきましては、全
日本観光連盟に対します
補助金といたしまして一千万円、それから海上
観光協会に対しまして七十五万円の
補助金だけは、
ようやく認められるという
ような
状態に相な
つておるのであります。まだ
政府案の内定でございまして、もちろん
決定は見ておりませんが、案といたしましては一應は計上せられておるのであります。交通公社の
対外宣傳補助金が復活を見なかつたことは、非常に遺憾であります。この点につきましては私
どもといたしましては、
関係團体かちの
宣傳経費の
拠金という
ようなこともできるでけあつせんいたしますと同時に、
日本交通公社の方におきましても、そのあつせん
事業なり附帶
事業なりを活発にいたしまして、そうしてできるだけ
対外宣傳経費の方に繰入れるという
ような方策によりまして、この一年は切り拔けたい、こう考えておるのであります。
來年度におきましては、お
手元に差上げました
予算書にございます
ように、
來年度からは本格的に
対外宣傳並びに國内の受入れ態勢を
整備いたしたいという
考え方で、この三者の国体に対する
予算及び当
観光部における若干の行政費等につきましては、要求をいたしておるのであります。特に
対外宣傳につきましては、
日本交通公社の
予算を
ごらん願いますと、この中で特に
來年度から
計画をいたしておりまするのは
——從來は御承知のごとく、まだ
海外に参りまして直接
宣傳するというかうなことが、できなか
つたのであります。主としてこちらにおりまする進駐軍将兵その家族、及びこちらへ参りまする各種のシビリアンに対して
宣傳いたしますると同時に、アメリカン、プレシデント、ラインはノース、ウエスタン、パン、アメリカンという
ような、
海外の飛行
機会社、船会社の
ようなものと提携いたしまして、その手を通じてアメリカ及びその他の各地における
宣傳をしてもらうという
ような、間接
宣傳の方式をと
つてお
つたのでありますが、すでに欧米各國がアメリカその他の各地に
事務所を出しまして、活発な直接
宣傳を開始いたしまする現状におきましては、
日本といしましては、やはり間接的な
宣傳では隔靴掻痒の感がありまして、十分な効果別上りませんので、
來年度におきましては、ぜひとも
宣傳並びに案内
事務所の
ようなものを、少くともアメリカに一
箇所は設置いたす、そういつた
経費と、それから御承知のごとく、向うの新聞、雑誌の廣告は非常に大きな効果を発揮いたすものでありますが、これは非常に莫大な
経費を要しまして、一
民間團体のよくし得るところでございませんので、こういつた新聞、雑誌等に対する廣告という
ような
経費も相当見込んでおりまして、八千万円程度の金額を要求いたしておるのであります。また全
日本観光連盟の從來やつた
事業といたしましては、毎年春に緑化運動というものをやりまして、終戰後荒れております
観光地を緑化し
ようという
ようなことで、もうすでに三回やりまして、大分大きな國民運動になりつつありますが、これをさらに拡充いたしますると同時に、本
年度から國土美化運動というものを積極的にやりまして、國土の美化清掃に大きな努力をしたいということで、来
年度からはこれも本格的な國民運動の
ようなものに展開いたしたいという
計画でございます。そのほか各地の
施設がまだなかなか
整備いたしませんが、全
日本観光連盟を通じて、傘下の各種
團体に対し模範
施設をつくりまして、各地にちやちな
施設ができない
ように、せつかくつくります以上は、それぞれの
観光地に適合した、りつぱな
施設ができる
ように設計をし、そして一部の
経費を
補助するという
ような
考え方で、模範
施設の
整備という
ようなことに力を注いで行きたいと思
つているのであります。こういつた
経費を
合計いたしまして五千万円程度要求いたしているのであります。また海上
観光協会に対しても
來年度は積極的に
宣傳及び
啓蒙運動をやる
考え方で、五千万円程度の
経費を要求いたしているのであります。
こういう
ような状況でございますが、御参考までに
海外各國の
補助金、
海外宣傳のやり方について一、二私の方で調べたものを申し上げてみますと、英國においては一九四七年の初めに
観光休暇局といえ
團体をつくりまして、これも半官半民的な
團体でございますが、この
團体は、主として
海外宣傳、そして國内に受入れ
施設の
整備を
中心とする
團体でございますが、この
團体に対しまして
政府は一九四七
年度には、三十五万ポンド、一九四八
年度には四十二万ボンドの
補助金を支出いたしております。その大
部分は
海外宣博
経費でございます。またスイスにおきましては、やはり半官半民的な
観光宣傳機関といたしまして、中央
観光局というももがございますが、これに対しまして連邦
政府から農近
年度におきまして約三百万フランの
補助金を支出いたしております。また南阿連邦におきましてはサウス、アフリカのツーリスト・コーポレーシヨンというものができまして、これもコーポレーシヨンの名のごとく半官半民的な公的色彩を持つた
團体でありますが、それがやはり
海外宣傳機関でございます。これに対しましては、総
経費が十万ポンド以下の場合は半額
國庫から
補助する、また総
経費が十万ポンド以上の場合は、その
部分に対して三分の二の
補助をするというふうな、
経費を支出いたしておる
ようでございます。大体私
どものわか
つております外囲のやり方及び
経費の支砥の程度は、現在までのところその程度でございます。
海外宣傳につきましては、もちろん
観光事業の振興によ
つて受益する
團体もございますが、現在はまだ過渡期でございますし、先ほど申し上げました駿事前の相当盛んなときにおきましても、やはり国家的
事業として、國家が相当の
負担をしなければ、
海外宣傳というものはできない
実情でございました。ことにまだ過渡期にありまして、
観光事業の各種の
機関、会社等におきましても、そう直接多くの受益がございません現在におきましては、民間の資金のみにこれを依存するということはできがたい
実情にあるのであります。私
どもといたしましても、この際ぜひとも
來年度からは本格的な
宣傳を実施するという建前で、現在
関係方面と
宣傳経費の問題につきましては、交渉いたしておる
ような現状でごごいます。