○林
経済安定事務官 昨年以來いろいろ各省寄りましていたしておりますところをこの機会に御報告申し上げまして、今後の
関係省といたしましての要望なんかをひつくるめて申し上げます。
昨年七月にで安定本部は
経済復興五箇年
計画第一次試案を、御承知の修正する
意見もございましたので、ここに初めて
観光含入
方針の一部として取上げたのであります。これにつきまして同
委員会は復旧
建設部会が他の部会との連繁においてこれを総合的に担当するということに定まりまして、八月上旬に
観光小幹事会の準備会議を安定本部
建設局に開催いたしまして、
関係各省寄り集まりまして第一回の会議をいたしました。このときに事前一箇年にわたり
観光関係の四省
連絡会議というものがございまして、これを中心に作成されておりました
観光施設五箇年
計画の
一つの策案、この素案の檢討より発足することを申し合せた次第であります。しかるところ間もなく御承知の
内閣に
観光事業審議会が発足いたしましたので安定本部は
経済復興五箇年
計画の中の
観光計画をまずこの機会にそつくり委託いたしまして、ここで成案を得ましてからこれを右
委員会の
計画の中に含入するという
方針に改めました。そこで八月より十月にかけまして
観光事業審議会の御承知の
観光施設整備五箇年
計画が進められまして御承知の五箇年三百四十七億円のうち前期二箇年は九十億の
観光施設建設の
計画が完成いたしました。しかしながらこれを顧みますときに、この五箇年
計画の性格はいわゆる要望
計画でありまして、
観光計画の総体が外的諸
條件により受ける掣肘を眺めますと、これを総合的
経済計画の一環に引致することの査定作業を欠いてお
つたのであります。この
ような結果に至りました原因は、本
審議会が発足当初に
一般に予期せられましたがごとき國民
経済、國民文化全般のうちにありまして、
観光経済や文化に位置を與える立場にいまだ成熟ずる時間を持ちませんために、右
計画をこうい要望
計画としてとりまとめた次第であります。
一方
経済安定本部といたしましては、まずこの
審議会におきまして
観光プロパーの立場におきまして、
観光界がいかなる理想を持たれるものであるか。これをまずそのものの形でおつくりいただきまして、これを総体的
計画の中につづめてはめるということが順序としてよくはないか。一方
條件となりますところの賠償の程度や、貿易優先の程度や、單一為替レートの程度などが、まだ当時としては全然見通しがつかなかつたために、あわせてこういう結果を來た次第であります。この報告が昨年十月に完成されまして、吉田総理大臣とマーカツト
経済科学局長に提出いたされました。これに対してマーカット
経済科学局長は早くも
審議会長にあてまして、五箇年
計画の趣旨は了解する、しかしながら現下の苛烈な
経済情勢にありましては、さしあたり二十四年度の重点的緊急
整備案を別に作成することが妥当ではないか。こういう旨の忠言を與えられました。吉田総理大臣よりは
関係各省大臣及び
経済安定本部長官に対しまして、この
計画により二十四年度
予算をしかるべく
配慮する
ように御通告をいただきました。ここにおきまして一方
予算編成の時間が迫
つておりましたし、それからそのしかるべき均衡のとれました按分を算定いたします
基準がいまだありませんために、各省といたしましてはこの
審議会の九十億の前半分というところをとりまして、総合計
昭和二十四年度といたしまして公共事業費に八億五千八百万円、教育文化費に四億四千二百万円、國有鉄道特別会計に四億八千万円、大蔵省預金部特別会計、または復金など十五億五千九百万円これの裏打となります地方財政支出が一億九千七百万円、市中銀行の
融資をにらみますものが六億七千三百万円、総計いたしまして
國家財政の支出が三億四千百万円、地方財政支出が一億九千五百万円、民間
資金が六億七千五百万円、以上のほかにCTSの覚書よります
計画道路中に要求いたします分十九億八千万円、これを合計いたしますと六十一億九千百万円、以上を省別にいたしますと、文部省が四億四千二百万円、厚生省が六億五百万円、
運輸省二十億八千九百万円、
建設省の分は以上のほかに
道路を加えますと二十億六百万円、こういうものを計上して要求
予算として提出いたしました。
一方安定本部といたしましてはこれを國内全般のコンクリートな
観光收入と見合います
観光事業総体及び個々の事業における
資金計画に持
つて参りますために、いろいろの模索をいたしたのでありますが、大様算定
基準といたしまして
関係の最も多い公共事業費総額がかりに一千億前後の場合におきましては、
観光施設費に公共事業費を含む総わくを数億円と見積ることがあるいはできはせぬか、こういう一部の
見解を得るに至りました。かかる
事情のもとにおきまして、一方
観光事業審議会とせられましては、先ほどのマーカツト局長の忠言もあり、安定本部、大蔵省のかかる動向も看取の後、二十四年二月上旬に至りまして、御承知の
昭和二十四事業年度
観光施設整備計画を緊急に
関係各省及び安定本部係官会同の上で作製せられました。これを吉田首相及びマーカット局長に再度提出いたしたのであります。この二十四年度緊急
計画の骨子は、
國家財政支出に前記のごとき約六億円を
基準額とすること、
昭和二十四年國際
観光收入分を、やや希望的ではありますが、約二十九億と見積もること、これを骨といたしまして、できるだけの短期回收をも
つてバランスする支出総わくを押える、こういう
考えでできたものであります。この縮小レポートに対しまして、マーカット局長は
審議会長あてに、まず五箇年
計画よりも單年度緊急
計画を立てたことはすこぶる妥当である、但し收入二十九億円、当時かりに三百三十円レートで計算いたしまたが、この二十九億円は過大見積もりであると思われる。それから
計画にはそれぞれ財源ををも合せ
計画すること、ESSの担当セクションでは、いつでも
観光につき話を聞く準備がある。以上の旨を書面をも
つて回答せられました。
内閣の方は、官房長官名をも
つて各省次官、安定本部次長あてに適当に
配慮すべき旨の通告がありました。この二十四年度案は、先の五箇年
計画を総合的
経済計画の一環に引寄せる
一つの階程ではありましたが、そのわくづけが、目標といたしました財政支出六億目標は、作業時間の不足と判定資料の不足その他から若干ゆがみ、かつふくれております。合計が十八億四千五百万円、その内訳を申しますと、
道路が二億一千四百万円、
便所その他の小
施設が五千二百万円、優等客車が四億二千四百万円、國宝等の保存費支出が一億五千一百万円、すなわち國庫及び地方費の負担が以上合計いたしますと八億四千三百万円。そのほかに地方債、國のあつせんする
融資によりまして、宿泊
施設が三億二千七百万円、自動車の整理が六億七千五百万円、これを合計いたしまして、十八億四千五百万円と相なるのであります。かかる形に切りつめたのでございますが、依然として、旅客が一体どこを通るかとうい旅客フローシートを下地とするごとき
観光地方
計画や、個々の事業に対する
資金の均霑ぶり等につきましては、これらの不完全を調整するいとまがなかつたものでございます。
かくてこの二十四年度
計画はただちに安定本部にも回付されましたが、安定本部におきまして全般にわたる数次の会議を経まして、これに対しては次のごとき態度が一應採決されました。
道路につきましては、CTSがみずから監督し計上しつつあるところの
道路計画に対して極力要請を発すること、宿泊
施設につきましては復金、市中銀行にプロジェクトごとに要請を発し、または何らかの保証をなすこと今後
考えること。小
施設等につきましては、公共事業費でなるべくこれを容認する。それから優等客車につきましては、すでに
考えある国鉄工事勘定の車輛費、客車費、これは公共事業費の査定にな
つているわく外でありますが、とにかく別に
観光事業費のわくを何とか
考える道は立たぬものであるか。それを模策する。自動車につきしては、すでに市中銀行にはこれに対して十分のめんどうをみる余地はなかろう。國宝等につきましては、たまたま法隆寺が燃えましので、大蔵省の教育文化費というもの、國宝その他の保存費をもう一度
考え直すというときでありますので、これに対して安定本部といたしましても強い要請を発するということで進もうということにきまりました。結局、
経済安定本部といたしまして、さしあたり急ぎます査定計上は、小
施設費五千三百万円を公共事業費に計上いたしますことと、あたう限り
観光車両費四千三百万円を復活計上いたします
よう、その可能性をさがすことでございます。そうしてこのことは究極において公共事業費総わくの決定に伴うべきものでございます。当時公共事業費は当初の一千億円を超える案にあ
つたのでございますが、これが次第に縮小され、その結果は御承知の五百億円と切り詰りまして、遂に
観光施設は総つぶれとな
つたのであります。
しかしながら一方、
経済復興五箇年
計画の方といたしましては、
観光に関する財政
計画及び
資金計画といたしまして、
昭和二十四年度に六億七百万円を総わくとする
計画を用意しているのであります。その内訳を申し上げますと…