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野坂委員 簡單に私にちの
意見を申し述べたいと思います。戰爭犠牲者を
救済しなければならぬ点においては、われわれはもちろん賛成であるし、積極的にしなければならないと思います。この
法案のその
意味における精神は、われわれま
つたく賛成でありますけれども、しかしきようの
質問及び答弁を見ましても、
政府の方の提出される材料というものは、非常に漠然たるものであ
つて、われわれにと
つてはまだ一体どういう
條件のもとに、だれがどういうふうな犠牲を拂
つているかという点について、正確な材料を提供されていないと思うのです。この
意味では私は、この
法案についての
審議はきよう当然打切るべきでないと思います。もう少し愼重に
審議すべきではないかと思います。と申しますのは、これは全然
うわさですけれども、二、三年前に聞いたところでは、ある
外國から
終戰後すぐ
引揚げるときに、その
在留邦人が貴金属を領事館の役人に託して、これを領事館側の借金にした、そうしてこの託されたものは安全に
日本に送り返す、その託したものはこれを債権として、証書を持
つて帰
つた、こういうような
うわさもあるのであります。こういうような点も十分われわれは
審議しなければならぬ。当然
支拂うべきものは
支拂わなければならぬし、これは
國家の
債務であるから、われわれは責任を持たなければならぬと思う。
第二には、この
法案を見ますと、
別個の
法律によ
つて條件をきめるということが言われておりますが、その
法案が全然まだ出ていない。つまり
別個の
法案というものが現在もこの
法案の精神にな
つて來ると思うのです。これを並行的に
審議しないで、ただこれだけをお出しになる。この点においてもわれわれは
政府側の
やり方について
了解に苦しんでおる。これがない限りは、これにわれわれはそのまま賛成しにくい。
第三に申し上げたいことは、この
法案を
確認するということは、
先ほど松岡君が言われたように、
政府が
債務を持ち、そうしてこれを
支拂つてやるということを
意味しておる。その
意味において、われわれとしては現在の今言
つたような段階のもとでは、
確認ということをこの
委員会の
権限に與えるのは行き過ぎではないか、この
委員会としては
審査するという程度にとどむべきである。その結果において新しく
確認するような
権限を持
つた委員会をつく
つても、
別個の
方法があり得ると思う。だから
確認するということはここでやるべきではない。
審査にとどめるという点が第三の点であります。
第四点は、この
委員会に六名の者を
外務大臣が任命するということにな
つている。これは
政府側の御
意見では、
海外の
事情を知
つているような人を六名任命する。こういうふうに言われておりますが、この点においても、よほど運営をうまくやらないと、いろいろ問題が起りはしないか。むしろこれよりも今各種の
在外同胞の同体がありますが、こういうようなところから民主的に選んだ者を、この
委員会に六名ではなくて、もう少したくさん出して、
ほんとうに公平に現実に即したような
審議をや
つて、この賠償をやるというふうにすべきである。もつと民主的な
委員会にするのでなければ、遺憾ながらこのままこの
法案を受入れることはできないわけです。私たちの方としては、具体的に修正案を出したいのですけれども、時日の問題、
手続の
関係上きようこれができませんので、簡單に申し上げれば、第
一條の二項を全然削除したらよろしい。それから第三條の
外務大臣云々とありますが、それ以下を削
つて、そのかわりに引揚邦人その他民主的團体より選出された
委員若干名で組織する、つまり民主的
委員会でやる、こういうふうに修正すること。それから第六條を削
つて確認ということを削る。
手続上これは正式に今提出するわけに行きませんので、
政府側としてはそういう
趣旨に基いてこれを修正されて、もう一度起草し直してもらうということを私たちは要求したいと思います。