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1949-10-10 第5回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年十月十日(月曜日) 午前十時四十八分
開議
出席委員
委員長
中山
マサ君
理事
佐々木盛雄
君
理事
玉置
信一君
理事
冨永格五郎
君
理事
天野
久君 足立 篤郎君 安部 俊吾君 小川 平二君
山本
猛夫君 堤 ツルヨ君 並木 芳雄君 柳原 三郎君 風早八十二君 寺本 齋君
山本
利壽
君 吉川 久衛君
委員外
の
出席者
外務事務官
武野
義治君
厚生事務官
田邊
繁雄
君
厚生事務官
山本淺太郎
君
厚生事務官
桑原 益男君 十月十日
委員神山茂夫
君辞任につき、その補欠として風 早八十二君が議長の指名で
委員
に選任された。 九月二十四日
委員若松虎雄
君は死去された。 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
海外
同
胞引揚状況一般
に関する件
引揚者
援護
問題に関する件 —————————————
中山マサ
1
○
中山委員長
これより
会議
を開きます。 本日は閉会中にもかかわりませず、ここに御参会くださいましたことは、
委員長
といたしまして、まことに感謝の
きわみ
でございます。これも
引揚げ
がこうして盛んに行われておりますので、皆樣も喜んで御参集くださ
つた
ことと思いまして、重ねてお礼を申し上げる次第であります。
議題
に入ります前に、本
委員会理事
といたしまして、
海外
同
胞引揚げ
に絶大なる御盡力を賜わりました
若松虎雄先生
が、去る九月二十四日に死去されましたので、本
委員会
といたしまして、つつしんで
哀悼
の意を表する次第でございます。これにつきまして、本
委員会
といたしまして、何らかの形で御
家族
へ御
慰問
申し上げることを
議題
にいたしまして、皆
樣方
のお
考え
の御
発表
を
お願い
申し上げたいと思います。
天野久
2
○
天野
(久)
委員
われわれの
同僚若松先生
が死去されたということですが、まことにお気の毒の
きわみ
であります。これについて何か御
慰問
をいたしたいという
お話
でありますが、
委員長
に何か御腹案がありましたら、ひ
とつ
御
発表
願いたいと思います。
中山マサ
3
○
中山委員長
私といたしましては、東京の方に御仮寓がおありということを存じておりますが、どなたかまだこちらにいらつしやいますようでございましたら、この
委員会
を終りましてから、私が
委員会
の名によ
つて
御
慰問
に伺いたい。もしすでにお
引揚げ
が済んでしま
つて
おりますれば、長崎の方に文書で皆
樣方
の御
哀悼
の意を
発表
するような
手続
をとらせていただいたらどうかと
考え
ておりますが、いかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
天野久
4
○
天野
(久)
委員
それは形だけですか、何か御
香料等
を差上げるようなお
考え
はございま
せん
か。
中山マサ
5
○
中山委員長
その点についてはどうぞ御意見の
発表
を願いたいのでございます。
山本利壽
6
○
山本
(利)
委員
こういう場合に、他の
委員会
ではどういうような例がございましようか。お調べ願いたい。
中山マサ
7
○
中山委員長
それでは書記に調べさせまして、
あと
で申し上げます。 本日の
議題
は、まず第一に、
引揚げ
が再開されましてから三箇月余を経過いたしておりますので、この間の
引揚げ状況一般
につきまして
当局
よりの
説明聽取
、第二に、第五国会より本
委員会
におきましてたびたび問題になりました
ソ連発表
と
日本政府発表
の
抑留者
の数の相違につきまして、いま一度検討いたしたいと思います。第三に、
引揚者
の
援護
問題、以上三点を
中心
といたしまして、議事を進めたいと存じます。 ではまず第一の
引揚げ状況一般
につきまして、
引揚援護庁援護局長田邊繁雄
君から
説明
を聽取いたします。
田邊繁雄
8
○
田邊説明員
本年
ソ連
からの
引揚げ
が再開せられましてから、今日まで
引揚げ
て参りました
方々
の数について御報告申し上げます。
ナホトカ
からは六月に四隻、
人数
は八千人、七月には九隻、一万八千二人、九月には九隻、一万七千四百人が帰
つて
おります。
合計
は三十一隻でございまして、総数は六万一千四百二名とな
つて
おるのであります。 次に
樺太
からは六月に一隻、二千二百四十五名、それから七月に二隻、二千四百六十六名、
合計
三隻でございまして、
人数
は四千七百十一名でございます。それから
大連
から
中共地区
及び
大連地区
に残留しておりました
邦人
が、九月、十月にそれぞれ一隻ずつ
舞鶴
に入港しております。九月には一隻で
人数
は千百二十七名、これは全部
中共地区
でございます。それから十月には一隻、千七百三十四名、大
部分
が
大連地区
に居住してお
つた一般邦人
でございまして、
合計
二千八百六十一名と相な
つて
おります。 このうちで特に
中共地区
の
引揚者
につきましては、後ほどその概況を御
説明
申し上げたいと存じますが、
ナホトカ
及び
樺太
からの
引揚者
の
状況
につきましては、
新聞紙上等
においてそれぞれ
報道
せられましたところにおいて、大方
国民
に知れ渡
つて
おることと思いますが、
樺太
からの
引揚げ
につきましては、従来
通り
の
引揚げ風景
でございまして、
援護局
のそれぞれの
援護
を受けながら、それぞれの
定着地
に向
つて
おります。
定着地
は
開拓地
が多いのでございますが、まずバラツクを建てまして、とりあえずそこに入
つて
おります。その間
家族
は函館の寮で待機しております。それで先方での居住の
状況
が、それぞれ
相当準備
ができましたときに、
家族
がそちらに出向いて行く、こういうふうにいたしております。
ナホトカ
からの
引揚げ
は御
承知
の
通り
の
状況
でございまして、当初、長い間の
抑留生活
から、
国内
の
状況
に非常にうとか
つた
、あるいは
向う
での
生活環境
から来る影響によりまして、特異の行動が見受けられたのでありますが、その御法制的な
措置
と相まちまして、ま
つた
くそういう
状態
が
收まり
まして、今では平穩にすみやかに郷里にそれぞれ向いつつあるような
状況
であります。 特に申し上げたいと思いまする点は、
中共
からの
引揚げ
でございます。この点につきましては、
新聞
にもそれぞれ
報道
があ
つた
のでありますが、この
機会
に少し詳しく御報告を申し上げてみたいと存じます。 九月の末から
高砂丸
と
山澄丸
と二隻
舞鶴
に入
つて
おりますが、
高砂丸
は全部
中共地区
でございまして、
男子
が四百二十四名、
女子
が四百五十二名、
子供
が
男の子
が百十九名、
女の子
が百二十九名でございます。それから
山澄丸
、これは第二回目に入
つた船
でございますが、
男子
が五百七十五名、
女子
が六百十五名、
男の子
が二百六十七名、
女の子
が二百七十七名、総員千七百三十四名でございます。
山澄丸
の
引揚者
の中で、大
部分
は
大連地区
に残留していた
一般邦人
でございますが、そのうち百十五名は
中共地区
から
引揚げた
ものであります。大分前に
大連地区
に入
つて
おりまして。今度一緒に帰
つて
来た、こういう
状況
にな
つて
おります。帰
つて
来た人の内訳を見ますと、
病弱者
が多い。また
子供
をたくさんかかえている
婦人
が多いという
状況
でございまして、その他は
中共
の
建設
にあまり役に立たない人だけを帰したのではないかと思われるのであります。これは
中共
から
帰つた人
につきまして、いろいろ
引揚げ
のときにどういう人が選ばれたか、あるいはその
状況
をつぶさに伺
つて
みますと、異口同音にそういうことを申しているのであります。従いまして今回帰
つて
来た者の中には、
相当
病弱者
が多いのでございます。なお指名されない、帰るときに選に漏れた人が
引揚げ
を聞き伝えまして、
奉天
に集ま
つた
ようなこともあ
つた
ようでありますが、こういう
方々
はいわゆる不半分子として
鶴岡炭鉱
、これは満洲の北の方にありますが、ここに送られたというような悲劇もあ
つた
と言われております。
選定
は
東北政府
、それから省と特別市には
外僑管理委員会
というのがございまして、そこで
引揚げ
のことをや
つて
いるようでありますが、
各人
の
選定
につきましては、そこに働いている
日本人
の職員によ
つて
、いろいろな
調査
及び
選定
が行われたようであります。 この
引揚げ
の経過につきましては、非常に急であ
つた
ようでありまして、本年の六月二十七日に
東北中共
の
政府
から、突然
日本
に帰すという
通知
が
各人
に示達せられまして、
引揚者
は十分の帰国の
準備
をするひまもなく、それぞれ翌日各地に集結いたしました。それから
奉天
に集まり、
大連
に送られた、こういう
状況
でございます。
大連
では
相当
長期間にわた
つて
——八十日間滯留したのでありますが、その間四十日間は
強制作業
、他は
学習
と申しまして、青年には四時間、
一般
の人には二時間、マルクス、
レーニン主義
の
基礎理論
と、
日本
の国情についての講義を受けたようであります。それから
收容所内
での
食事
は
相当
おそまつであ
つた
ようでありまして、その結果
栄養
失調に陷
つて
いる者が
相当
多いのであります。但し、
大連
には
一般邦人
が居住しておりますので、その
一般邦人
は非常に親切に、いろいろ
慰問
あるいは慰労をしてくれたようであります。 なお
引揚者
から聞きますと、今回
中共
から
引揚げたいきさつ
につきましては、これは
中共
の
政府
が帰すのだということを、
向う
の
当局者
が
語つて
お
つた
ということを言
つて
おりました。多分国際的な
情勢
からの
措置
であろう、こういうことを申しております。もつとも
引揚げ
につきましては、
ソ連
から
配船
の
通告
がありまして、
中共
から
通知
があ
つた
のではないのであります。
ソ連
が間に入りまして、
連合軍司令部
に対しまして
配船
の
通告
があ
つた
のであります。
残留者
の
状況
につきましては、
数字
につきましては、今いろいろ調べてはおられまするが、大
部分
が
政府
に
留用
にな
つて
いるもののようであります。但し物価が高いために、その俸給だけではなかなか
生活
が困難のようでありまして、
食事
をするだけで、せい一ぱいということのようであります。 なお
終戰当時奧地
にお
つた
ような人々が、それぞれ
都会地
に集結する場合に、途中で力盡きまして、その
家庭
においてお
せわ
にな
つて
おるという女の方が
相当
あるようであります。また捨子、
孤子等
で満
洲人
の
家庭
に養育されている者も
相当
あるようであります。これらの
婦人
の中には、すでに入籍の
手続
をと
つて
いる者も少くないようであります。しかし少数の者を除きましては、いずれも
引揚げ
の日を待ちこがれているという
状況
のようであります。但し今回
引揚げ
て来た人からの話、その他の
状況
から判断いたしますると、單に
本人希望
だけの
引揚げ
ということは、非常に困難のようでありまして、
現地政府
からの強い命令がない限りは、
引揚げ
の
機会
をつかむことは容易ではないように判断されるのであります。 なお
現地
に残留しておりまする
邦人
の一つの
楽しみ
は、
日本内地
からの
ラジオ放送
だそうであります。通信が、今日正式には全然許されておりま
せん
ので、
ラジオ
を通じて
国内
の
状況
を知る、それを非常に
楽しみ
にしておるということであります。 次に今度帰
つて
参りました
方々
の
健康状態
でございますが、先ほど申し上げました
通り
、概して
病弱者
が多いのでございますが、そのうちで
入院
した
患者
が百六十四名でございます。
入院
をしないけれ
ども
、
病人
としていろいろ
措置
を受けました者が三百二十七名、
合計
四百九十一名と相な
つて
おります。この
入院
した
患者
の中でも、
結核
が半分以上でございます。
結核患者
が
相当
多数あるのでございます。もつともこれにつきましては、十六歳以上の
男子
、
女子
全部につきまして
結核
の検診をいたしまして、
所見者
につきまして兆候を認められるものにつきましては、それぞれ
入院
をさせる、あるいは今後の注意を與えるということをいたしております。それから
栄養状態
が非常に惡いので、
舞鶴援護局
に滯在期間中、いろいろと
ビタミン食
を與えたりなどいたして、
栄養
の補給に努めた次第でございます。なお
現地
の
状況
から判断いたしまして、いわゆる性病の
罹患者
が
相当
あると思われるので、この点につきましては、特に念を入れまして検査もし、また
相談
にも応じまして、今後帰郷した後におきましても、こうい
つた
方針
で治療するようにということを、詳しく
本人
にも指導いたしまして、
病人
と認められたものにつきましては、
本人
の病状を書きました書類を各県庁に送付をいたしまして、それに基いて
措置
をするように手配をいたしておる次第でございます。 なお今後
舞鶴
に着いた
中共
からの
引揚者
は、こうい
つた
ぐあいで、従来の
引揚者
とは非常に
違つた樣子
を持
つて
おりますので、
各人ごと
に詳細な
調査
をいたしまして、それを一応集計いたしてみたのであります。その
各人ごと
の
調査表
は各
県別
にそれぞれれまとめまして、それを各県に送
つて
やりました。その
調査表
に基いて県が特別の
援護措置
を講ずるようにいたしておる次第でございます。その全体の
数字
をとりまとめましたのが、お手元に差上げました表でございますが、これによりますると、われわれが心配したよりも以上に、
援護者
の点につきましては
状況
が良好でございます。ここにほんとうの行先のないというものは、わずか六名でありまして、
あと
は全部
援護者
がありまして、それぞれ行先地に落ちついたような次第であります。 帰郷後の
生活方針
につきましては、こういう
状況
でございますので、
引揚者
は
相当
心配をいたしております。
持物といつて
も、そう持
つて
おりま
せん
し、こうい
つた
国内
の
状況
でありますので、この点につきましては、本省からさつ
そく地方庁
に詳細な
通知
をいたしまして、今度の
引揚者
の
特殊性
にかんがみまして、いろいろの
支給物品
はすみやかに支給するように、
生活保護法等
の
援護
の
手続
もすみやかに行うように、また
母子家庭
が多いという点から見まして、
母子寮
であるとか、
保育所
であるとか、あるいはその他の
兒童福祉施設
の利用については、積極的に特別の
措置
を講じなければならぬという点、あるいは
学齢兒童
の就学あつ
せん
の点、あるいは
病人
に対する
措置
の
点等
につきまして、積極的に
都道府県市町村
が
援護
の手を差延べるように
指示
をいたしたのであります。 なお
大連地区
からの
引揚者
につきましては、これは
高砂丸
の
引揚者
とはよほど
状況
が違
つて
おるようでございます。一人当り二個ないし三個ぐらいの荷物を持
つて
おるようであります。服装、装具、
持物等
から判断いたしまして、また
栄養状態
から見まして、
大連
でも
相当
の
生活
をしてお
つた
のじやないか、こう判断されるのであります。女の方はたいてい七、八十パーセントが時計、指輪、首飾りを持
つて
おられるようであります。
相当
いい
状態
でお
帰り
にな
つて
いるようであります。
病人
も
入院患者
はわずか二十一名でございます。もつとも付添が三十五名ございますが、
病人
は二十一名で、
高砂丸
に比較しましては、
健康状態
は非常に良好のように判断されるのであります。 以上概要を申し上げましたが、あまり長くなりますので、また後ほど御
質問
に応じ申し上げます。
玉置信一
9
○
玉置委員
ごく簡單にお伺いいたしますが、
援護
の手を差延べるように
指示
をされたということでありますが、この
援護
の
方法
は、
応急援護
と
恒久援護
があるわけでございます。さしあたり手を差延べられた
指示
というものは、
応急援護
でありますか、それとも恒久的な
援護
の件でありますか、その点をお伺いしたいのであります。 次は
中共地区
に在留する
邦人
の数というものは、おそらく実体はつかめないだろうと思いますが、しかしこうした
引揚者
について
調査
せられたことと思いますので、いまだ
中共地区
にどれだけの
邦人
が、
男女別
、あるいは
一般邦人
、か
つて
の
軍人等
の別によ
つて
、
数字
の想像される点がありますれば、その点をお伺いいたしたい。 それから
中共地区
からの
引揚げ
の
促進
に対して、いかなる
手段
をと
つて
おられるか。さらにまたこれと関連いたしまして、
ソ連地区
の
在留者
は、当時
ソ連側
の
発表
されたところによりますと、九万六千余人でございます。これはもちろんか
つて
の
軍人
を主としてあげられた数のように、当時伝えられておりましたが、その後
政府
として
ソ連在留者
に対して、何か正確な
数字
をつかむ
方法
として手を打たれたかどうか。今日なおどのくらいの
邦人
が在留しておるように思われるか、それらの点についてまずお伺いしたいと思います。
田邊繁雄
10
○
田邊説明員
援護
の面につきまして、私の方からお答え申し上げます。
中共地区引揚者
に対する
援護
は、今
お話
の
通り応急援護
と
定着援護
と両方ございますが、これは両面にわた
つて
手厚く
援護
するようにという通牒を出したのでございます。
応急援護
と申しますのは、とりあえずの
応急家財
と申しますか、落ちついてすぐいりますなべ、かまその他いろいろの
家財
、それから
越冬用寢具
、これを支給いたすことにな
つて
おりますが、こうい
つた
ものを至急支給するように、また
定着援護
の方面では、まず第一に
住宅
でございます。これは先ほど申し上げました
通り
、それぞれ
縁故者
がございますので、そこに落ちつくとは思いますが、本
年度政府
におきましては、外地から
引揚げ
て来ました無
縁故者
、つまり全然
縁故
のない
方々
のために
住宅
を建てております。各県にこれは新設ないしは
既存住宅
の転用によりまして整備いたしておりますので、その施設には優先的にこういう方を入れるようにという
指示
を出しております。それから
生活保護法
につきましては、
相当
該当者
が多いと思われますので、ただちに積極的に国の方からその
措置
をとるようにということを
指示
しております。その他
就職
の問題であるとか、あるいは今後の生業ないし事業を始める問題が残
つて
おりますが、この問題につきましては、従前とも労働省とも緊密に連絡をとりまして、
就職
あつ
せん等
、それから
国民金融公庫
を
中心
とする
資金
の貸出しという点について、お
せわ
いたしておるのであります。ことに
国民金融公庫
の
資金
の貸出しにつきましては、
申込み
によりまして、
資金
の
共給
が非常に不足しておる現状から
考え
まして、至急この
資金
を増額するように、いろいろと努力をいたしておるのでありまして、本
年度
におきまして、ある程度
補正予算
においてこの金額を増加するように、
財務当局
ともいろいろ
相談
もし、
手続
を進めておるような次第でございます。
残留者等
の
数字
の問題につきましては、外務省の方からお答え申し上げます。
武野義治
11
○
武野説明員
ただいま最初の御
質問
にございましたように、
中共地域在留邦人数
の想像した、あるいは
帰還者
からいろいろ
情報
を集めた結果の
数字
について、何らかの
情報
はないか、こう申されております。それに関しまして、われわれの方もいろいろ苦心して
情報
を集めまして、その
数字
も、従来
発表
しておりました約六万を若干上まわ
つて
おりますあの
数字
は、われわれの方が
情報
として得たところ、まさにその
通り
でございます。
中共地域
に残留する
邦人引揚げ促進
の
手段
につきましては、全
国民
並びに
政府当局格段
の苦心をいたしておりますが、今回のように、
中共政権
がみずからの
意思
に基きまして、たとい
病弱者
にせよ、あるいは若干
建設
に協力しない、したがらないという
意思
の者も含めまして、こうした
送出
を始めましたことは、
先ほど援護局長
からの御
説明
もございましたように、いろいろな
国際関係
からの
考慮
かと思いますか、われわれといたしましては、とにかく今後の第二次、第三次
引揚げ
の糸口をなすものだと信じております。 この
引揚げ
につきましては、
奉天
で千百二十七名の者が各
地域
から集まりまして、そこで編隊を組んで
大連
に向けて出発するその前日に、
中共当局
の
張安博
という方が、従来の労苦を多とせられつつも、諸君が今度は
中共政権
の自主的な
送還
の第一陣をなすものだという
意味
の
言葉
をのべたそうであります。また
旅大
の
海口検疫所
におきまして、いろいろ
学習
を受け、いろいろの
せわ
を受けていた間にも、そうい
つた
中共当局
の
意思
が
発表
されたそうであります。従いまして、
促進
というものにつきまして、
日本側
の
措置
はもとよりでありますが、
中共側
においても、その段取りができて来たというふうに、われわれは見てもいいのではないかという
状況
でございます。と申しますのは、御
承知
のように、
華北
の
人民政府
においても、
日本人
で自費でも
つて
帰れる資力があり、また
日本
において
扶養家族
が
相当
あるという個人的なやむを得ない
事情
があると認められた場合、また
華北政権
が特に
留用
しなければならないという絶対的の必要のある
人物
以外においては、その
人物
の
個人的申請
に対して、
出国証明
を與えている実情でございます。これは去る七月の中句並びに九月に帰
つて
参りました十何名かの
人たち
によ
つて
、もたらされた
情報
でありまして、現在も北京、
天律
には、それを上まわる数の、すでに
出国証明
をもら
つた
人たち
が残留している、こういう
情報
もございます。現在
中共政権
においても、
日本人
の
送還
という問題につきましては、各般の
考慮
から、送り帰したいというものも
相当
マークされているのではないかと
考え
られます。また
事情
においては、ただちにマークされ得るような態勢にあるのではないかと想像されます。
日本側
といたしましては、現在総
司令部
を通じて、この
中共地域
に残留する
日本人
の
帰還促進
につきまして、
お願い
をするほかはございま
せん
。総
司令部
といたしましても、おそらくは
中共政権
が現在国際的な人格を、特別な
ソ連
あるいは一、二の国を除いては、いまだ認めておらぬ、こういう
情勢
にございまして、
中共政権
とただちに接触してそうということはできないと思います。
従つて大連
におきます
高砂丸
の
送還
に見られましたように、
送出
から、とにかく
大連
における
せわ
から、船長に対する引渡しというところまで
中共側
の手でこれを行う。
ソ連
はそうした
中共側
の
送出
についての援助と申しますか、あつ
せん
の労をとる。今度の形ではそうな
つて
おります。以上その
送出
の
手続
については、われわれが
引揚者
から得た
情報
でございますので、その
確実性
につきましては、私がここで断言することはできま
せん
。しかし、もしそうい
つた
情報
が事実でありますならば、今後の
引揚げ
という問題につきまして、やはり
ソ連
が援助してくれるということにな
つて
、
中共地域
の方から、かなりの
人たち
が帰れるのではないかとこう
考え
ております。 それから
ソ連地区
に残留する九万五千の俘虜を今年十一月までに帰すという問題は、いろいろございまして、その御
質問
につきまして、どの程度まで私ここで御満足の行くように言えるか、その点は疑問でございますが、私
ども
といたしまして、あるいは
政府
といたしまして、
日本政府
がこの
残留数
について
発表
したことはございま
せん
。われわれが引用しております
数字
は総
司令部
の
発表
の
数字
を用いているわけでありまして、この点については、ひ
とつ
はつきりとした御認識をも
つて
いただきたい。もちろん御
承知
と思いますが、もう一度私の方の立場といたしまして申し上げたい。 それから九万五千の数も、当時五月の二十日でございましたか、あれはタスを通じて
発表
せられた
数字
でございまして、
日本政府
といたしまして、総
司令部
から
ソ連政府
が正式に回答して来た
数字
である、あるいは
発表
して来たことであるとかいう形で、われわれに連絡された
数字
ではございま
せん
。一に
ソ連政府
の
新聞報道
、こういうふうに
考え
ておりますので、われわれといたしましてこれを正式に根拠として云々することはできない、私
ども
はそう
考え
ております。この
発表
がございまして、ただちに
政府
といたしましては、総
司令部
を通じ
ソ連政府
に、この九万五千の問題に関連いたしまして
ソ連政府
に照会していただきたいという
意味
の
お願い
をしたことはもちろんでございます。しかしながら
ソ連政府
からは、この
数字
その他
残留数
、
死亡者
の数、行方不明の数、こうい
つた
数字
は、一度も正式に
発表
を受けておりま
せん
ので、従いまして数の問題におきまする御
質問
に対しましては、ここでただちにそれを取上げることはできないということを、ひ
とつ
御
承知
願いたいと思います。
中山マサ
12
○
中山委員長
私ちよつとここで
言葉
をはさませていただきます。これは超党派的に、帰
つて
来た人から聞いたことを申し上げるのでございますから、そのおつもりでお聞取り願いたいのでございます。私九月の二十九日に
舞鶴
へ参りまして、
中共
からの
引揚者
のお
方々
を、特に御
婦人
が多いというので迎えに行
つて
参りました。朝、二箱の車でも
つて
大阪府、奈良県へお
帰り
の
方々
にもごあいさつを申し上げました。今度の
引揚者
は七月の
引揚者
と違いまして、非常な深刻な問題を持
つて
帰
つて
来ております。すでに八箇月にな
つて
おる人の妊娠中絶もした。十何件かの妊娠中絶も行われておりますし、中国人の
子供
を抱いて帰
つて
来た
婦人
、その人の夫が迎えに来て、
家庭
的な悲劇の幕が繰り拡げられるとか、また
日本人
の
子供
ではありますけれ
ども
、夫の子でない子を抱いて、そうしてほんとうの夫の
子供
二人と
引揚げ
て帰
つて
来た。その
子供
を処理しない限りは、妻と自分の二人の
子供
も引取らないというような、実に悲惨な
状態
でございまして、七月の
引揚者
は実に勢いのいい
引揚者
でございましたけれ
ども
、今度は日の丸の旗こそ立てて下船して参りましたけれ
ども
、そういうふうな、いつにな
つた
ら解決がつくかというような問題ばかりを持
つて
おられるのを見て、ことに女としてそぞろ胸うたれるものがあ
つた
のでございます。
帰り
に汽車の中では、満鉄の局長をしていらりしやいました関さん、
向う
の鉱山監督局長とかをしていらつしやいまして、三十年中国にお
つた
という大西さんというお二人の方、この奥さまと私京都まで御一緒して参りましたのでございますが、このお
方々
の
お話
を聞きますと、朝立つ命令が出て、晩の五時にはもう汽車に乘
つて
しま
つた
ので、ほとんど持つ物もない。この三日に
引揚げ
て参りました
引揚者
の
人たち
は、千百トンの荷物を持
つて
帰
つて
来る。一人当り六箇ほどの荷物がある。荷揚げだけでもたいへんです。しかし今度の人はほとんど小さいふろしきぐらいしか持
つて
帰
つて
おりま
せん
が、その満鉄の局長をしていらつしやいました関さんの
お話
では今度帰
つて
来た人は、さつき
お話
もございましたが、
病弱者
——性病は比較的少い、しかし胸の病を持
つて
帰
つて
来た人が大
部分
です。からだの弱い人、女、
子供
、特にその中には八十才になるおばあさんも帰
つて
来ていらつしやいました。私はその
方々
をお
慰問
して参りましたのでございますが、その関さんの
お話
によりますと、今後どうしたならば
中共
の人々が早く帰れるでしようか、これまで私たちは
ソ連
の関係だけを
考え
ておりましたが、こうして思わず
中共
から
引揚げ
をいただいたのですが、どうしたらこの
促進
ができるでしようかと言
つて
質問
しましたところ、関さんのお答えは、共産党の野坂參三先生が
中共
の方にわたりをつけて、そうして何とか手を打
つて
くださ
つた
ならば、それが一番理想的に御一緒であるから、早いのではないかというふうに、私
ども
中共
に残留しておりました者はみんなそう
考え
ております、こういうことを聞かせていただきましたので、もしできることならば、そういう面からも私は手を打
つて
いただきたい、こういうことを
考え
ておりますような次第でございます。まことにみじめなほんとうに何とも言えない気持をも
つて
、私はこの
人たち
と帰
つて
参りました。どうぞひ
とつ
援護局
におかれましても、こういう
人たち
に対して一日も早く明るい見通しをつけていただきたい。 もう一つ七月に、私がお迎えに行
つた
ときの京都の染物工の話をここでいたしまして、皆
樣方
に御認識いただき、いろいろな方面で御援助が願いたいと申し上げましたが、その人は、
向う
のソ同盟の方の政治形態が一番いいんだと言
つて
おられました。なぜですかと言いましたら、持てる国のアメリカすらも失業者がある。むろん
日本
にも失業者があるだろう。ソ同盟においては失業はないのだから、この政治形態がわれわれは一番いいと思う。企業整備にかか
つて
、自分の父は長い間ののれんをとられた。あす自分が京都に着いて、これからどうして行きて行くかということが問題だ、失業ということが一番苦痛だ、だからどうぞ
日本
の政治形態をりつぱにしようと思うならば、失業者をなくしてくれ、ことに
引揚者
に対するこのお仕事のお
せわ
が一番大事でないかと自分は
考え
る。こう言われまして、私もいろいろ
お話
をいたしましたが、感無量のところがあ
つた
ような次第でございます。もう一つ渡航課長の
武野
さんにお伺いいたしたいのですが、今度私が三十日に参りましたときに、
相談
部で伺
つた
問題でありますが、沖繩の人であります。この人は今度
引揚げ
て帰
つて
参りましたが、このまままつすぐ自分の国へ帰れば帰られる。しかし、その
家族
がどこにおるかということが問題になる。一ぺん帰
つて
しまえば、また出て来ることはできないのだから、もし
家族
が内地に疎開して来ておる場合には、
家族
との会合が非常にむずかしくなる。だからその点に対して、何とか
家族
のありかをぜひ知せてもらいたい。こういうことは、どうしたらいいであろうか、
向う
にいらつしやる連合軍の
方々
が、それを探すことに同調してやるという話は聞いたけれ
ども
、いよいよそれをいつ実現していただけるか。自分は
引揚げ
ていつまでも待
つて
いるわけにはいかないのだから、その点を東京に帰
つた
ならば、ぜひひ
とつ
促進
して、
家族
のありかを探す
方法
を講じてもら
つて
くれ、こういう御
相談
にあずか
つて
参りましたので、渡航課長にその方の問題に関連があると思いますので、何とかそれをお聞かせいただきたいと思います。
田邊繁雄
13
○
田邊説明員
沖繩出身の復員者が、
舞鶴
に上りましたときの
措置
がどうな
つて
おるかと申しますと、これは
引揚げ
に関する基本指令によりますると、そのまま佐世保に
送還
いたしまして、佐世保から沖繩に
送還
する。これは強制
送還
と言
つて
おりますが、そういう建前にな
つて
おります、ところが沖繩出身の方の中には、
向う
に帰
つて
、はたして
家族
ないしは身寄りがおられるかどうか、あるいは近親者が内地に残留しておられるか、それがはつきりしない方が
相当
多いのであります。従いまして、こういう
方々
の御希望といたしましては、その
状況
が判明するまで
舞鶴
に置いてほしいということと、それから一定期間残留している間に、そのことの
調査
をいたしたい、どつちかということを一応
調査
してから、
向う
に帰るか、
国内
に残留するかということをきめたい、こういう御希望があ
つた
のであります。ことに各府県からは駐在員が
舞鶴
に派遣されておりまして、いろいろ
引揚者
の
方々
の御
相談
に応じております。ところが沖繩には、御
承知
の
通り
県がありま
せん
ので、沖繩出身の復員者に対して、いろいろ
相談
相手になる沖繩県の方は、今おられないわけであります。従いまして、何とかそういう方を
舞鶴援護局
に入れましていろいろ御心配をし、いろいろごめんどうを見てあげたい、こういうふうに沖繩県関係の連盟の方から御希望がありましたので、私
ども
といたしましては、まず第一に一定期間
舞鶴
に滯在するという点につきましては、二月ぐらいそのまま
舞鶴
に滯在することを認めるようにしなければならない、そういうふうにいたしております。それからその間にいろいろ
本人
の御依頼に応じ、その
家族
、親戚等を
調査
する方といたしまして、
舞鶴援護局
の職員として沖繩県の連盟の推薦する方を採用いたしまして、沖繩は県がありま
せん
ので、その代行を
政府
がしようというわけでございます。そういう希望がありましたので、正式に
舞鶴
局の職員に採用してお
せわ
を申し上げるようにいたしたいということで人選を依頼しております。近いうちに決定を見るだろうと思います。 なお沖繩県出身の復員者の中で、内地に親戚、身寄り、留守
家族
のおられる
方々
に対しましては、そういう
方々
から
一般
の
家族
の
方々
と同樣に、
舞鶴
の留守宅通信というものを出すことがかんじんじやないか。まず
舞鶴援護局
に帰
つた
ときに見るものは、留守宅からの通信でございますので、留守宅からの通信が
舞鶴援護局
に来ておりますものを見せれば、それでいずれに帰るべきかという判定がつくわけでございます。それでその趣旨を各府県に徹底するようにすることが必要でございますので、沖繩連盟の方から、各府県にその趣旨を十分徹底するように、その処置をと
つて
おる次第でございます。先ほど
委員長
の
お話
になりましたような点につきましても、もし
舞鶴
に御
相談
相手になる方がございま
せん
ければ、沖繩連盟ないしは大阪にその支部がございますので、そこが
中心
とな
つて
留守
家族
の方を御
調査
申し上げるようにいたしておる次第でございます。
中山マサ
14
○
中山委員長
ここで
援護
庁の関係の
方々
に、この
委員会
として感謝の意を表したいと思いますのは、御自分の仕事をしてお
つた
らいいというのが、大体の世間
一般
の
考え
でございますけれ
ども
、平の
援護局
に働いていてくださいます
方々
は、実に徹底した同胞愛に燃えて活動していてくださいます。
お話
を聞かせていただきましたところ、荷物を揚げるところにその作業人夫がいないとき、この
援護
次長さんがお呼びかけになりましたところが、
援護
庁の職員全部が埠頭に走
つて
行
つて
、
引揚者
の荷物を、
相当
の道がございますのに、持
つて
行
つて
くれた。ここの
人たち
はよく働いてくれるということを聞かせていただきましたときに、私はほんとうに感謝の気持に滿ちました次第でございます。この
委員会
として、どうぞその線に沿
つて
非常に感謝しておるということを、
向う
に御取次くださいますように、ここに私は皆さま方にこれを御報告申し上げまして、
援護
陣の健在をここに表明したいと思います。
佐々木盛雄
15
○佐々木(盛)
委員
二、三お聞きしたいのであります。
中共地区
からの
引揚げ
はもとより、他の地区からの
引揚げ
も同樣でありますけれ
ども
、マツカーサー
司令部
を通じて懇請する以外にないことはわか
つて
おりますが、従来
中共地区
からの
引揚げ
を懇請するときには、総
司令部
を通じて、おそらくは
ソ連
の
政府
に伝達方を
お願い
されてお
つた
のじやなかろうかと思います。今までその交渉する相手方が、今言
つた
ようなことであ
つた
かどうか。それからまだ
中共政権
というものは、
一般
には承認されておりま
せん
けれ
ども
、
ソ連
あたりは承認をしておるわけでありますから、
ソ連
から言うならば、国際的な人格を持
つて
おると言うことが言い得ると思います。そこで今後の
中共地区
からの
引揚げ
といことが、おそらく第一次に引続いて行われるのではないかということは、今日の国際環境から申しまして、想像し得るところでありますが、逆にもう
中共政権
というものができたのだから、おれのところは関知するところではないということを、ソビエト
政府
の方で言
つて
来たという場合におきましては、どこを対象として
引揚げ
問題を交渉するかというような点につきまして、外務
当局
の御見解を求めたいと思います。 それから次には、政治教育と申しまするか、共産主義の教育というものが、先ほどの
お話
によりますと、
大連地区
に結集してから後滯留している期間に、一日に数時間ずつ行われたという話でありまするが、奧地におりますときにも別に手放しに放任したわけではないと思います。どういうふうな政治教育をや
つて
おるものか、また
引揚げ
て来られた人々の思想的な傾向というものについておわかりの点がありましたなれば、お知らせを願いたいと思います。 それから、これは別に共産主義教育とは全然関係ないわけでありまするが、
中共地区
におきまする
日本人
の子弟の教育、学校教育というようなものは、どんな
状態
にな
つて
おるのか。
日本人
の間で何か自治的なものがつくられて、そこで学校教育をや
つて
おるものかどうかというような点につきてましても御
説明
願いたいと思います。 それから全然別箇の話でありまするが、先ほど性病に対する対策の遺憾なきを期しておるというような
お話
でありましたが、
引揚げ
て来たときの上陸地における検診というようなことについても、強制検診というようなことが行われておるのかどうかということにつきまして、任意によるところの届出主議であ
つた
のでは、かなり隱れたものがあると思うのでありまして、むしろこういうものについては、強制的な検診も必要ではなかろうかとわれわれは
考え
るわけであります。これに対する実情並ひに御見解を伺いたいと思います。
武野義治
16
○
武野説明員
一番最初の御
質問
の
中共政権
を対象とする交渉の問題という点につきまして、私
ども
といたしましては、最も単純な答えではございますが、総
司令部
を通じ、総
司令部
を頼
つて
お願い
するということしか申し上げられないと思います。 それから政治教育の問題でありますが、実は
大連地区
におきまする
山澄丸
の
引揚者
の話を
情報
としてお伝えいたしますと、
日本人
、中国人一樣に、この
学習
は行われているそうでございます。むしろ中国人は、
大連地区
においては、さらに
学習
の強さが
日本人
よりも強いということを言
つて
おりました。 それから奧地におきまする思想教育と申しますと、やはり
引揚者
の一
情報
でございますが、いわゆる民主連盟というものの組織で、
日本人
の共産系の指導者、この民主グループが非常にこうい
つた
共産教育の浸透に努力しておる、一段と努力しておる。この民主グループが当初非常な勢いで
日本人
に接し、いろいろ御
承知
の告白をさせる。つるし上げとい
つた
ような問題で非常に活躍したそうでございまして、むしろその行き過ぎが
中共政権
の幹部からたしなめられまして、行き過ぎは少しやめいというようなことで、
日本人
の思想教育におきましては、一応そういう民主グループが奧地では非常に積極的な役割を占めていた、こういうことを一
情報
としてわれわれは聞いております。
田邊繁雄
17
○
田邊説明員
現地
におきまする
邦人
の
子供
の教育の問題でございますが、大きな都会には、
日本人
の
子供
を、專門とする小学校があるようでございます。但し教師及び教材が不足いたしております。関係から、教育の内容程度は非常に低いのでございます。しかしそこでの共産主義の教育というものは、
相当
徹底して行われておるようであります。それで両親たちはその点も非常に心配をしておるように伺
つて
おります。 なお
現地
におきまする共産主義の教育という御
質問
でございますが、
日本人
だけの組織というものは、原則として
中共
では認めておらぬようであります。但し例外的にハルピン、瀋陽では、民主青年連盟と称する左翼団体がいまだに存在、活躍しておるようであります。原則としては、
日本人
だけの組織というのは、民族平等の見地から認められてはおらないようであります。但し
日本人
に対する社会教育の機関紙といたしまして、
日本
字の民主
新聞
というものが発行せられておるようであります。現在では三千部ほど発行せられておるということでございますが、帰
つて
来た人の話では、自分たちはそういう記事の内容は必ずしも信じていなか
つた
ということを言
つて
おります。どの程度までそれが普及徹底されておるか、その点は秘密でございますが、現在教育機関紙としてそのような
状況
でございます。 それから最後に性病の点でございますが、先ほど私が申し上げましたのは、強制検診という
意味
ではなか
つた
のであります。これは法規の建前から、強制検診はできないのであります。できるだけ自主的に先方より
相談
を申し出るように仕向けまして、
相談
指導といたしまして、病気の発見と治療に努めておるような
状況
でございます。その中でも、ばい毒につきましては井出反応を行いまして、その結果病気と認められるものに対しましては、それぞれ
相談
をいたしまして、そのうち特に必要と認められるものにつきましては、病院に
送還
するという
措置
をいたしたものもあるのであります。それから淋疾につきましては、これは
向う
の梯団長に話をいたしまして、あなた方の方の
考え
で、こういう
方々
にはいろいろ従来の職業その他の関係から病気が多いと思われる人については、
援護局
の医療係の方に
相談
に出向くように指導していただきたいということを申し出ました。先方で
選定
をせられまして、こちらに七十人ばかりの昔のダンサーとか女優みたいのを差向けてよこしたのですが、これも強制検診ができなか
つた
関係から、全部についてそうい
つて
措置
をとることができなか
つた
のでありますが、
相談
をいたしましたものについては、先ほど申し上げましたような施療上の指導等を與えたのであります。なお先ほど
委員長
から
お話
のありました妊娠中の
婦人
は十六名ございましたが、そのうち五名の方は正式に結婚をされて夫のある方であります。他の十一名については正式結婚によらざる妊娠者でございます。希望に応じまして人口分娩の
措置
をいたしたような
状態
でございます。なお性病の点については今後の
国内
への影響が
相当
大きいのでございますので、特に念を入れて調べたのでありますが、
山澄丸
は
高砂丸
とま
つた
く
状況
が違いまして、そうい
つた
懸念はなか
つた
のであります。
玉置信一
18
○
玉置委員
援護局
長にお伺いしますが、今回
引揚げ
られた同胞の
方々
で、
縁故者
と無
縁故者
の比率を一応伺いたい。 それから
援護
の点でありますが、
応急援護
については私第五国会の劈頭に
引揚げ
現地
について
調査
いたしましたところが、大体において遺憾なきを期しておられるように見まして、
政府
としての
措置
に対して非常に私は満足したのでございますが、当時も申し上げましたように、恒久的すなわち
定着援護
の点になりますと、非常に行き届いていないものがあるのであります。もちろん今日のドツジ・ラインによる均衡予算編成の関係上、予算が非常にきゆうくつにな
つて
おりますので、そうした予算を獲得する面においても、お骨折だろうとは思いますけれ
ども
、これをただ北海道の例をと
つて
見ましても、今日約四千戸ぐらいの
住宅
を
建設
しなければならない、これに対する
建設
費用としても約五億円くらいは要るのじやないかということで、道庁並びに
援護局
等では、
政府
に対して、この予算の要求をしてお
つた
はずであります。しかしながらこれがとうてい満足するような予算の配分は得られない
状態
でありまして、今日なお前に
引揚げ
て来た無
縁故
の
方々
、あるいは町村に配分された定着する人方におきましても、
相当
まだ悲惨な
生活
をしておるのがあるはずであります。これらに対して速急に
住宅
の
建設
をして
生活
の安定を得しめる、少くとも明るい気分で再出発をさせる必要があると思いますが、遺憾ながらこれが満足に行
つて
いないわけであります。こういうものに対して、
政府
としては一体どういうような
措置
をと
つた
らよいか、また全国的に見て
住宅
の足らない数がどのくらいあるか、こういう点をお伺いしたい。 その次は、先ほど申し上げましたように、
応急援護
の点においては、船から上陸いたしますと、衣類、薬品、あるいは化粧品、この他茶菓等に至るまでも、非常に行き届いた施設ができておりますので、上陸したとたんは、非常に喜んでおるわけであります。これは帰
つて
来てよか
つた
と喜んでおるのでありますが、さて各施設に配分されて定着の面になりますと、そうした予算関係において、なかなか満足するというような
状況
に至らないわけであります。できることならば、この定着の第一歩において、一歩進めてもう少し身のまわり品、
家財
道具も持たない者に対して、ある程度の
家財
道具も必要じやないかと思いますが、そうした面についてだれだけの
考慮
が携われておるか、こういうことを伺いしたいのであります。 それから先ほど佐々木
委員
からも御
質問
がありましたが、これに対してまだはつきりした御答弁はないようであります。外務省の
武野
課長にお伺いするのですが、
中共地区
に在留する
邦人
の
引揚げ
促進
の手を、いかなる
方法
によ
つて
やるか、また現在までにどういうような
方法
で
促進
について
考慮
を携われておるか。さらにまた
ソ連地区
に在留する
邦人
の
引揚げ
促進
に対しても、先ほどちよつと触れてはおられましたが、引続き総
司令部
を通じて間断なき努力を拂われておるかどうか、こういう点を、お伺いしたいのであります。
田邊繁雄
19
○
田邊説明員
引揚者
の
定着援護
の中でも、特に
住宅
問題が最も緊急解決を迫られておる問題であるとすれば、この問題については、第二国会で二十万戸の
引揚者
住宅
の
建設
の強い決議がなされたのでございます。その後引揚同胞対策審議会におきましては、その二十万戸の
住宅
建設
の問題の中で、
建設
省は
一般
の
引揚者
の
住宅
建設
をやる、
引揚者
の中でも内地に身寄りのない無
縁故者
につきましては、引揚
援護
庁で
住宅
援護措置
をするということをきめられて、それぞれ
引揚げ
決議が行われたのでありますが、今日におきまして
措置
いたしました
数字
は、そのごく一
部分
でございまして、
お話
の
通り
まだ
住宅
として
措置
しなければならぬものが
相当
残
つて
おると思います。実は今年の七月六日に、厚生省の引揚
援護
庁で担当するという
住宅
の数を調べたものでありますが、その数は六十一万以上にな
つて
おります。その中でも特に都道府県知事が緊急に
住宅
を與えなければ、
援護
の十全を期することができないとい
つて
強く要求しておる数が二十四万九千人であります。この
措置
について、財源その他の制約がございますので、全部について
措置
をすることがもし困難であるとするならば、とりあえずは十九万人分は何とかしてほしい、こういう要請があ
つた
のであります。それで私
ども
の方では、それに対しまして二十四
年度
の当初予算で、四万一千人分の
措置
をいたしておるのでございます。残りは来
年度
の予算によ
つて
措置
しようということで、目下それぞれ交渉中でございます。しかしこれは来年を待たずに、できれば今年の
補正予算
ないしは予算の流用によ
つて
、できるだけ
措置
をいたしたい、こういうことで今しきりと折衝を進めております。 なお、ただいま申し上げました点は、新しく
住宅
をつく
つて
行く分でありますが、そのほかになお既存の
住宅
の補充の問題があるのであります。これは終戰直後、大量に
引揚者
の方が内地に帰還せられまして、また
国内
の当時の
住宅
の
状況
がきわめて逼迫してお
つた
関係から、おおむね旧兵舎であるとか、工場であるとかいうようなところにちよつと手入れをして、その後大した
措置
をしないで今日まで使
つて
来ておりますので、破損の程度が非常にはなはだしくな
つて
おりまして、私
ども
、とうていこれでは
住宅
と言えないものがたくさんあるような
状況
でございます。この際そうい
つた
施設も十分——十分と申しましても、完全とは申せま
せん
が、できるだけ
住宅
らしいものに整備いたして、今後そこに定着して更生の基礎にするようにいたしたいということで、その集団の費用につきましても、目下
財務当局
に交渉中でございます。何とか本
年度
内に、こうい
つた
方面についても
措置
をしたいとせつかく努力中でございます。 それから定着後の
家財
道具を何とかやれないかという
お話
でございますが、これはその趣旨によ
つて
応急に必要なものを、大体一世帶千円程度でございますが、差上げているような
状況
でございます。まことにわずかばかりで、われわれも増額は希望いたしておるのでありますが、なかなか困難な
状況
でございます。しかし県、町村に参りますると、各方面に
引揚げ
に対する
国民
の理解と援助が深ま
つて
参りました関係から、
引揚げ
援護
愛の運動の一環ともいたしまして、いろいろと、ふとんであるとか、あるいはその他の物品を支給してくれる向きがだんだんと多くな
つて
来ているようでございます。
樺太
からの無
縁故者
が東北その他いろいろの地方に移
つた
り、あるいは徳島県あたりへ行
つた
その事例を聞きますと、地元で
相当
の援助をいたしておるようでございます。今後ともこうい
つた
方面につきましては、府県を通じ、市町村を通じ、
一般
国民
の方に御援助、御協力を
お願い
したい、こういうふうに思
つて
おります。
武野義治
20
○
武野説明員
先ほどから再度御
質問
をいただきました
中共地域
からの
促進
の点について、いかなる
方法
を講じて来たか、あるいは今後また講ぜんとするかという問題になりますと、また先ほどの回答を繰返すほかないのでございますが、従来満洲に、おきましては、中央軍と
中共
軍が対立しておりましたあの熾烈な間にも、
政府
といたしましては総
司令部
を通じまして、
国民
党関係の
地域
からの
送還
につきまして非常な努力をいたしました。その結果、
国民
党
政府
の管下におきまする
引揚げ
は、ほとんどわれわれの要請
通り
に参
つて
参りました。
中共
の占領によ
つて
、
国民
党の
留用
者がそのまま
中共
は
留用
されるということに、若干はな
つて
おるようでありますが、今後あるいは現在までも
政府
といたしましては、
司令部
にできるだけわれわれの得まする
情報
の正確なものを差上げまして、そうして
司令部
を通じ、あるいは
司令部
の各段のお骨折をいただきまして、
中共側
に通ずるように関係国との間に折衝してもらうというほかはないのであります。
ソ連
におきまする
残留者
につきましても、数年来もみにもんだ
引揚げ
問題でもございまして、
政府
側といたしましては、これまた
ナホトカ
関係の
引揚者
の
情報
をできるだけ正確なものをつかみまして、
司令部
の方に連絡し、
司令部
の御盡力を期待しておるというわけでございます。ただいまのところ、どういう名案があるかということは、私
ども
ここでお答えすることはできま
せん
。そういう名案がありましたら、御
指示
を願いたいと思います。
佐々木盛雄
21
○佐々木(盛)
委員
先ほ
ども
外務省の
政府
委員
の方に
質問
をいたしましたが、きわめて不満足な回答でありましたので、
あと
で懇談的に
お話
をしようと思
つて
保留しておいたのですが、たまたま御答弁になりましたので、この際もう一つお聞きしておきたいのですが、従来は
中共地区
からの
引揚げ
を総
司令部
を通じてどこに懇請されてお
つた
か、総
司令部
はどこを対象にしてこの
引揚げ
問題を講じてお
つた
のか。特に
中共政権
が出現して以来、
国際関係
の上におきましても、
相当
変化があ
つた
のでありますから、今後はどうなるか。もしそれが
中共政権
という新しい政権ができたのだから、その
中共政権
と交渉してくれということにな
つた
ときに、一体どういうことになるのかというような点について、お伺いいたしたいと思います。
武野義治
22
○
武野説明員
非常にむずかしい御
質問
で、どう答えてよいか。とにかく一国の
政府
の承認という問題は非常に法律的の問題としてアメリカ
政府
の根本的な問題でもあると思います。従
つて
中共政権
を相手にどういうふうに実効的な折衝
方法
があるかという具体的な問題は、今お答えできかねます。
佐々木盛雄
23
○佐々木(盛)
委員
従来はどうだ
つた
のですか。
武野義治
24
○
武野説明員
従来は
中共
との関係は
司令部
を通じ、中国
政府
に連絡してもらう、結局中国
政府
の実力の問題になるわけです。中国
政府
の勢力下に
中共地域
が入れば、そこからただちに帰るというぐあいに、総
司令部
を通じ、中国
政府
に
お願い
していたということになるわけです。
佐々木盛雄
25
○佐々木(盛)
委員
司令部
の方に頼むときにも、相手方のどこの
政府
に、早く
引揚げ
ができるように伝達してもらうという相手方があるわけでしよう。従来はそれをどうしてや
つて
いたわけですかまた今後どこを通じてやられるのですか。
武野義治
26
○
武野説明員
現実の問題といたしまして、今度のように
引揚げ
が具体的に
大連
から行われたということが、やはり今後の
方法
に示唆を與えるものだと思
つて
おります。ちよつとこれに対してはすぐに御満足行くようにはできま
せん
。
堤ツルヨ
27
○堤
委員
まず第一に
委員長
に
お願い
申し上げておきたいと思うのでございます。私は十三日に視察に参りますが、これで五たび正式または非公式に参ることになります。なぜ私が参
つて
おるかと申しますと、
引揚げ
の当初におきましては、衆参両院を初め、
援護
庁の関係の方がどんどん
舞鶴
へかけつけるのでございますけれ
ども
、帰
つて
来る
人たち
は、全部境遇が違うのでございます。こうした点におきましても、国会を代表し、われわれその任に当る者が忠実でなければならない。大きな戰争犠牲者に対するわれわれの一応の務めとして、私は絶えず国会を代表しておるべきであるという信念を持
つて
おりますので、私は非公式に行
つた
のでありますが、公式な出張がこの
海外
同胞引揚特別
委員会
に許されないということは、まことに残念であります。議院運営
委員会
におきまして、出張が国会閉会中一議員に対して一回しか認められないということは、国庫の都合上、これは理の当然でありますので了といたしますが、特別に設けられました、しかもあの平の沖に
帰り
ますところの
引揚者
の特別
援護
に関するわれわれ引揚特別
委員会
の性質からいたしまして、むしろ、ここで論じているよりも、あの沖合いにおいて、われわれが目を通し耳を通してあそこで手を打たなければならない問題が多いのであります。特別の出張ができるように
委員長
の手腕をも
つて
、
政府
に御交渉あらんことをこの席を通じて切に願うものでございます。なぜならば私費を投じて非公式に
現地
にお出かけにな
つた
議員は、私たびたび参るのでございますけれ
ども
、そうお見受けいたしま
せん
。
委員長
がその責任上二回ばかり行かれましたけれ
ども
、他の先生方はお見えにな
つて
おらないような事実も、正式に認められないからではないか。また一面から言えば、そう熱心におやりにな
つて
いないような気がいたしまして、私は残念に存じます。同時にこの
海外
同胞引揚特別
委員会
の召集にいたしましても、長い閉会中に今回が初めてであるということは、はなはだ遺憾に存じますので、
委員長
の攻撃みたいでまことにすみま
せん
が
委員長
に抗議を申し入れておきたいと思います。
中山マサ
28
○
中山委員長
一回目ではありま
せん
、前に一回やりまして、今度が二回目でございます。そのときあなたは御出席がなか
つた
と記憶いたしております。
堤ツルヨ
29
○堤
委員
二回でも数が多くないように思います。
中山マサ
30
○
中山委員長
それではこの
機会
に弁明いたしておきますが、第一回目に
委員会
を召集いたしました際に、はるばる遠くから来たけれ
ども
、大したことはない。これくらいのことならば、
委員長
において処理いたしてくれないかという御希望の方もございましたので、何か大きな問題にぶつか
つた
ときにやろうと思
つて
おりましたところ、実は横田
委員
から、八月でございましたかお申出がございました。それをここで申し上げますと、あの政令をはずしてもらいたい。なぜならは共産党の方の出迎えができないような建前にな
つて
不便だからという御意見でございましたけれ
ども
、私はこういう回答を差上げておきました。初めに
引揚者
が帰
つて
来たときには、政令はなか
つた
。しかしあの引揚
状況
がまことに治安を乱すような——私
ども
実際
現地
へ行
つて
見ておりましたが、そういう
状況
があるので、私はそのときに、むしろあそこへ行くよりも三箇月待とう。その
家庭
に帰
つて
、実際を自分で見ていただいて、結論に達していただかなければならぬ。私
ども
が、
国民
の税金を使
つて
行
つて
も、それは大した結果をもたらさない。よく
事情
を見ていただいた上で
お話
をした方が、好結果を得るのではないかという結論に達しましたので、私はそういたしました。そうして引揚後二箇月という見出しのもとに
新聞
紙上におきまして、これは申上げにくい点もございますが、帰
つて
来た当時は八六%の共産党ばりの人でありましたが、今日では二十何パーセントかにな
つて
来たということを見まして、それで私が三箇月待とうと言
つた
見込みに対して、はずれはなか
つた
という結論に達しましたので、私はその後、はじめは皆さん方に
お願い
して、どなたかに行
つて
いただこという建前をと
つて
おりましたけれ
ども
、これは無
意味
だという結論に達しましたので、そういう処置にいたしました。今度
中共地区
から
引揚げ
がありまして、女の人がたくさん参りましたので、それを見まして、これはひ
とつ
委員会
を召集して、この
状況
を聞いていただいて、いろいろな対策を立てなければならないという建前で、今日召集いたしましたということでございます。どうぞ私の気持を御了承願います。
堤ツルヨ
31
○堤
委員
委員長
個人の御意見は、確かに拜聽いたしますが、どうか
委員長
として公平に聞いていただきたい。 それでは次に
田邊
長官に御
質問
いたしたいと思うのでございます。
海外
同胞引揚特別
委員会
が召集されま
せん
ので、厚生
委員会
の席上、あなたがお見えになりましたときに、私は幾多の問題を提出して質疑し、参考意見を申し上げたはずであります。そのうちでも最も私が今日お聞きしたいと思いますことは、この
人たち
の
就職
問題であります。帰
つて
来た
人たち
の
就職
状態
はどうであるかという
質問
を、さる九月十四日の厚生
委員会
で私がいたしましたときの
政府
側の御答弁によりますならば、今のところ手元に全部は集ま
つて
はおらないけれ
ども
、しかし大体十一府県から集ま
つて
おるところの
情報
によれば、三分の二が
就職
した形にあるというような御報告だ
つた
ようにたしか記憶いたします。それから約二十五日間経
つて
おりますので、しかるべきデータをお持ちにな
つて
今日ここにお臨みにな
つて
おると思いますので、わが党といたしまして正式に御
質問
申し上げたいと思うのであります。なぜならば、
引揚げ
て来た
人たち
の問題は、ただいま
委員長
が申されましたけれ
ども
、健全なる思想も、今後のあり方も、すべて食うか食えぬかにその根拠を持つのであります。私も
中山委員長
とま
つた
く同じく、ソ同盟の組織下においては失業者がない、富める国アメリカにおいて五百万の失業者があるということを見たときに、どうしてもソ同盟の組織が世界中で一番いいと信ずるというような
引揚者
の話を聞きましたときに、特に痛切に感じたのでございまして、
政府
の
方々
が一番熱心にこれに予算を投じて、そうして今後の思想の健全を期さなければならないのでございますが。このデータいかんによりましては、私は
政府
の政策に対するわが党としての検討を加えさせていただきたいと思います。正式の御報告をまず承りたいと思います。
田邊繁雄
32
○
田邊説明員
先般の厚生
委員会
におきまして御
質問
がございまして、私から堤
委員
にお答え申し上げたのでありますが、そのとき、ただいまの
お話
ですと、三分の二が
就職
をしたというふうに御解釈にな
つた
ようでありますが、そのときは
就職
及び自営業に就業した人とを含めて、おおむね三分の二だ、こう申し上げたのであります。その後各府県からの報告がだんだんまとま
つて
おりまするが、現在までのところ全部の府県からまだ参
つて
おらないのでありまして、約十一府県ばかり脱けておりますが、十一府県を除いた府県についての現在まで集ま
つた
数字
を申し上げたいと思います。
一般邦人
と復員者と両方ありますが、特に復員者について申し上げます。各県からの報告によりますと、復員者の総数は一万二千百四十九名とな
つて
おりますが、そのうちで自営業についた者、原職に復帰した者、新規
就職
した者、
合計
しまして六千七百四十一名と相な
つて
おります。そのうちでも特に自営業におきます者が四千百十名と相な
つて
おります。従いまして
就職
終了した者の過半数は自営業についております
状況
であります。原職復帰、新規
就職
した者だけで申しますと、その数は約二千八百名程度に相な
つて
おるのであります。現在未
就職
ないしは未就業の中で、現に休職中である者が三千百八十九名と相な
つて
おります。その他病気あるいは
状況
を見ておる
方々
でありまして、現在
就職
しない者の総数は五千四百八名と相な
つて
おります。新規
引揚者
の
就職
問題は今次
引揚者
の
定着援護
上、最も深刻な問題である、従
つて
最も強力な手を打たなければならぬ問題であるということは、先般開かれました引揚同胞対策審議会における決議にも載
つて
おるのでありますが、その審議会の決議といたしましては、
一般
失業対策をこの際強力に実施するほかに、
引揚者
の
就職
斡旋については、一層職業安所の積極的な活動が望ましいということが決議されておると同時に、今度の
引揚者
の表面的な言動にとらわれて、これが雇い入れを拒否することがないように、誤解の一掃と、啓蒙指導について
政府
は適切なる方途を講じなければならぬ、こういう決議がなされたのであります。この点につきましては、さつそく労働省の担当部局に連絡をいたしまして、労働省からも、その点について詳しい
指示
が各都道府県の主務課に通達されております。なおこの問題につきましては、職業紹介所の機能に頼るということだけでなしに、それぞれの地元において復員者の
就職
促進
について、
国民
の自主的な
援護
として、そうい
つた
方面を一層強化していただきたいという希望を、われわれは持
つた
のでありますが、民生
委員
等が
引揚者
の保証人とな
つて
、それぞれ
縁故
開拓というようなことをや
つて
いる向きも
相当
あるようであります。この点につきましては、
引揚者
のいわゆる愛の運動というのが全面的に展開されておりますが、その運動の一環として新規
引揚者
の
就職
促進
の問題に一段と力を入れるようにしていただきたい。これは純然たる
国民
運動でありますが、そうい
つた
希望をその方面に申出をしておるような次第でございます。しかしながら現在のような
就職
難の
状況
でございますし、これだけではとうてい万全を期し得られま
せん
ので、引揚
援護
庁といたしましては、
引揚者
の失業対策の一環といたしまして、現在
引揚者
に
国民金融公庫
を通じて融通しております更生
資金
の増額ということを、どうしてもこの際やらなければならぬということで、本
年度
において、この金額を
国民金融公庫
本来の
資金
の増資とあわせまして、とりあえず緊急に増額を強く
財務当局
の方に要望しておるような
状況
でございます。目下せつかく努力中であります。この点につきましては、この答申にもあります
通り
、特に今次
引揚者
の
就職
難の
状況
にかんがみ、
引揚者
の
就職
対策の一環として、本
資金
に対する財政支出を増額してやらなければならぬということが書いてありますので、この増額にな
つた
本
年度
の
資金
の運用につきましては、本
年度
新規
引揚者
を重点として貸し付けるようにいたさなければならぬ、かように
考え
ておる次第であります。
堤ツルヨ
33
○堤
委員
次に今
委員長
が触れられたのでございますが、私は
婦人
議員の立場から、特に今日の
委員会
で問題にしていただきたいと、実は発言を用意してお
つた
わけでございますが、
中共地区
より
引揚げ
て参りました
婦人
の問題でございます。強制的な性病に対する検診は、人権蹂躪という建前からできないという御答弁がありましたごとく、いろいろな問題からみまして、やみからやみに葬られつつあるところの幾多の社会悲劇を持
つて
帰
つた
婦人
が、非常に多いのでございます。ことに二回私もあちらに参りまして、
中山委員長
が今日に涙をためて申されましたような、いろいろな悲劇を見たのでございます。武器を持たざる占領下のわれわれ弱い
日本人
の、ことに女性の立場からでありますが、どこの国も戰争のときには女性の蹂躪ということをやるのだから、ありがちな話だとい
つて
、これを片づけられるということは、国を超越して人道上の重大なる問題であると思うのであります。私はこの
中共
より
引揚げ
て来ましたところの、ことに自分の
意思
によらずして妊娠してお
つた
人、またみずからの
意思
によらずして拉致され、誘拐され、強制的に貞操を奪われたような、この
婦人
の
方々
の問題を、特にこの
委員会
で取上げて、国会を通じ、さらに全世界に向
つて
呼びかけ、今後こうした禍根を戰争の渦中において生じないような、国際的な協約でもつく
つて
もらわなければ、どうも
承知
できないというような心境に私はな
つて
いるのであります。国会内におります
婦人
の立場から、特に私はこれを叫びたいと思うのであります。 そうしてさらにもう一つ、これを
国内
の問題として
考え
ましたときに、私は厚生
委員
をも兼ねておりますが、性病予防につきましては、また弱き母子世帯
婦人
の擁護につきましては、今日大きな社会問題として取上げられつつありまして、転落いたしました
婦人
を
中心
としたところの性病の問題、また残された遺兒の育英の問題など、大きな問題が浮び上
つて
来るのでありますが、この大きな戰争犠牲者、弱き
人たち
に対するところの今後の
生活
の保障について、特に何か
政府
としてはお
考え
を持
つて
おいでになるか、一応承りましてまた次の御
質問
をさせていただきます。
田邊繁雄
34
○
田邊説明員
引揚
援護
庁といたしましては、とりあえず今度の
中共地区
からの
引揚者
に対する
援護
の
措置
につきまして、各都道府県知事に対しまして、先ほど申しましたような内容の
指示
をいたしたのでありますが、こうい
つた
方々
の今後の更生につきましては、
一般
婦人
の問題ないし
一般
兒童の問題の一環といたしまして、解決をして行かなければならぬではないか、かように
考え
ているのであります。この点につきましては厚生省の内部の問題でありますので、その方面にも緊密な連絡をとりまして、ことに孤兒ないし多数の
子供
をかかえました
婦人
の今後の更生問題につきまして、
一般
の未亡人の問題とあわせまして推進するようにして行かなければならぬ、かように
考え
ている次第であります。
堤ツルヨ
35
○堤
委員
これは厚生省の問題であると言
つて
しまえば、そうであるかもしれないのでございますが、よほど緊密な連絡をと
つて
いただいて、徹底的な国家的救護の手を延ばしていただきたいと思うものでございます。これはどうか思いますが、よりよりあそこにいられるところの役員の
方々
、また今まで
引揚げ
に非常に盡力して来られた特に関係の深い
方々
などと、私たちが意見の交換をいたしてみますと、性病は
入院
している者また保護されている者には、非常に少いという御報告であ
つた
ように思いますけれ
ども
、しかし潜伏ばい毒などを加えましたならば、私は帰
つて
来た人の八〇%ぐらいは、この性病の持主ではないかという見解を持
つて
いるのであります。この国際的な性病が、特殊
婦人
の予防対策が十分でない今日、これとからみ合いまして、今後
国民
の保健に大きな影響を及ぼすということを
考え
てみましたときに、実に慄然といたします。かてて加えて、
生活
の根拠のない、弱く、しかも
子供
をかかえたような女の
方々
の今後の
生活
が保障されない限り、転落以外の道はないのでございまして、私は、今後の社会を左右するものであると思うのでございます。厚生省の、ことに関係の深い局長などと御連絡をとられまして、国家的な救護の手を延ばすべく、ひ
とつ
即刻
方法
を講じていただきたいということを、私はこの席上で正式に
お願い
申し上げておきたいと思います。これは特に
中山委員長
も女性であらせられますので、こうした問題に対しては御共鳴だろうと思います。私はこれは先ほど申しましたように、全世界の男性を
向う
にまわして、けんかをしようというのではございま
せん
けれ
ども
、戰争の渦中においては、こうしたことは当然であるというようなことで、今までやみからやみに葬られましたこの犠牲を、徹底的にこの地球の上からなくしていただかなければ、眞の民主主義世界を実現することはできないと思いますので、私はこの
委員会
の席上において、世界の人道に訴えるわけであります。そうしてこれは
国内
において国家的な特別な救護を延べていただきたいということを重ねて申し上げます。
吉川久衛
36
○吉川
委員
二、三お尋ねをしてみたいと思います。
中共地区
から
送還
される人々を
調査
選定
するのは、
日本人
がまかされておるというような
お話
を局長さんから伺
つた
が、それはどういうような立場の人々が選ばれているかというような、
情報
を伺
つて
みたいと思います。
ソ連地区
においては、民主團体というのが盛んに特殊な教育をや
つた
り何かそうい
つた
ようなことにも関連をしているやに伺
つて
おりますが、そんな点を伺
つて
みたいと思います。 それから特殊教育を受けて帰
つて
来られた
人たち
が——私ある一部の地方においては少し
調査
をしておりますが、全国的に見て、帰
つて
来てからの
状況
は、特殊教育を受けたことによ
つて
、ただいまどういうような傾向にあるか。それについて何かお調べにな
つて
おるかどうか。 次に佐々木
委員
からも堤
委員
からも御
質問
が出ておりましたが、強制檢診の問題は、これは人道上の問題とか何とかいう、その人に対する権利の問題というよりは、広く社会に及ぼす影響か大きいのです。その上にまた罹病されている人々の今後の更生のためにも、これは重要な問題でありますので、私は不勉強でその辺の法律についてはつまびらかでないのですけれ
ども
、ただいまの法規で拡張解釈をされることによ
つて
強制檢診ができるとすれば、そういうような
措置
がとられなければならないし、もしそれもできないとするならば、国会において何らかの
措置
をとらなければいけない。強制檢診ということは、社会のためにも、また罹病された
本人
のためにも、これは人権蹂躪ではない、むしろ適切な
措置
である、こういうように私は
考え
るのでありますが、その辺の法規がどんな建前であるかお聞かせを願いたいと思います。 それから先ほど外務省の課長さんが、九万五千人を
ソ連
から帰すと言われたのは、
ソ連政府
の正式な
発表
ではない、これはタスの
発表
だ、だから責任ある
ソ連
の
発表
ではないということを言われました。当初において、そのようなことを今日
お話
にな
つた
程度にはつきりお答えがあ
つた
ならば、共産党の横田
委員
は、あのようにしつこく何時間繰返し繰返し数の問題について
政府
当局
に
質問
をされるはずはないと思う。何か今までの
当局
のこうい
つた
問題についての答弁が——あまり大事をとり過ぎているかどうか知りま
せん
が、非常に明瞭を欠いていたと思うのです。その点は、先ほ
ども
ちよつと外務省の課長が、
日本政府
で
発表
する
数字
は
司令部
で
発表
したものですと言われた。それに対して共産党の横田君は、いや、その
数字
は
日本
でも
つて
ある程度資料を提供してあるはずだ、だから
日本政府
として出したある
数字
に基いて
司令部
の
数字
が出て来ているのだ、だからはつきりと、
司令部
はこう言うが、
日本政府
の
調査
によればこうだということが言えないはずはないというようなことを言われて、いるのだが、私もま
つた
く同感で、そのくらいの責任を持
つた
調査
は、
日本政府
当局
がしてなければならないし、今後もして行くだけの努力を拂われなければならないと思う。決してそういうことが
司令部
の忌諱に触れることはないと私は思うから、どうぞ今日外務省から
発表
されたような、ああいうはつきりした表現をも
つて
や
つて
いただければ、誤解が少く、また無用な
質問
を繰返さないで済むのじやないかと思いますから、念のために申し添えておきます。
田邊繁雄
37
○
田邊説明員
今度の
中共地区
から
引揚げ
て来た人々の
選定
に当
つた
日本人
は、どういう立場の人かという御
質問
でございますが、今度
引揚げ
て来た方からの
情報
によりますると、急進的な思想の人であ
つた
ということであります。 それから特殊教育を受けた人のその後の思想をどうこうという御
質問
でございますが、これはおそらく
ソ連地区
からの
引揚者
についての御
質問
と思うのであります。これにつきましては、
政府
として
調査
をいたしてもおりま
せん
し、またいたす権限もございま
せん
ので、まとま
つた
資料はないのでありますが、民生
委員
等その他地元の方からの断片的な
情報
を総合いたしますと、やはり
抑留生活
中にいろいろ勉強もし、また見聞体験したところを基礎として、大いに
日本
再建に働きたい。しかし
日本
は大分国情がかわ
つて
おるので、十分自分の目で、また自分の頭で国情の認識を深めた上で、それぞれ自主的に今後の立場をきめて行こう、こういう心境の人々が大
部分
ではないか。これは断片的な
情報
でございます。 それから強制検診の問題でございます。これは
お話
の
通り
国内
に及ぼす影響というものを重点として
考え
てみなければならぬと思いますが、現在のところ強制検診を行う法規はないのであります。従いましてあくまでも自発的に
本人
から検査を希望するという建前にいたしておるのであります。その間微妙な関係がありますので、帰
つて
来られた
方々
の幹部の方と、十分話合いをいたしまして、
引揚げた
方々
の中には医者の方も
相当
いられるのでありますので、そういう
方々
とも十分連絡を緊密にいたしまして、自発的に検診をいたすようにしておるのであります。なお尿の検査を行う。これは全員についてできることであります。こういうことによ
つて
も、病気を早期に発見するように進めておるような次第であります。
風早八十二
38
○風早
委員
実は今日の
委員会
は、特にわが党から
委員長
に急に開いていただくように
お願い
してあ
つた
最初の
委員会
でありまして、わが党としましても、いろいろ緊急に
委員会
にお諮りしたい諸点があるのでございますが、今日はいろいろさきの
委員
の
方々
の御
質問
が非常に熱心でありまして時間もた
つて
しま
つた
ので、私は今これからすぐ簡單にと言われましても、はなはだ迷惑いたしますので、休憩して、午後再開していただきたいと希望するのでございますが、いかがですか。お答えいかんによ
つて
は簡單に済むと思います。実は先ほどから佐々木さんよりいろいろ御
質問
がありましたが、これに対して外務省の
武野
政府
委員
には十分のお答えができないのです。しかしああいうふうな問題は、
政府
の答えられない問題ではないのでありまして、ただ
武野
政府
委員
ができないだけの話であります。従
つて
答弁のできる
政府
委員
を呼んでいただきたい。少くとも増田官房長官を午後のこの
委員会
へ呼んでいただきたい。そうでないと何ら政治的な問題に対する責任ある回答が得られないと思いますので、この点ぜひ
お願い
したいと思います。
中山マサ
39
○
中山委員長
官房長官は、昨日総理と御一緒に大阪に行かれたと思
つて
おりますが……。
風早八十二
40
○風早
委員
おられなければやむを得ま
せん
。しかし官房長官でもいてくれないと、これははつきりしないと思うのです。しかしいずれにしても、緊急にいろいろお尋ねしたいことが数点ありますから——時間はなるべく短くしたいと思いますが、それでもこれからや
つて
何時何分までということはちよつとわかりかねますので、皆さんお疲れでなければ、午後に再開していただいたらいかがでしようか。
並木芳雄
41
○並木
委員
風早さんの要求される
政府
側の答弁者がいなければ、また
委員会
を開かなければならぬ。ですから、
委員長
はよく要求を聞かれて、どういう人をここに連れて来たらよいかという段取りをつけて、再開されたらどうかと私は思います。ほんとうに責任のある答弁のできる人がいなければ、せつかく開いてもむだだと思いますが……。
中山マサ
42
○
中山委員長
それではそのことはもう一ぺん尋ねていただくことにして、簡單なようですから、足立
委員
の方から
質問
していただくことにしましよう。
足立篤郎
43
○足立(篤)
委員
私の
質問
いたします点は、前の話とダブル点があると思いますが、二、三御
質問
並びに御希望を申し上げます。
ソ連
に抑留されております同胞の数の問題は、今までのたびたびの
委員会
において、特に共産党の横田君と私
ども
の方とで、議論の的にな
つて
お
つた
わけでありますが、最近
引揚げ
て来る
人たち
と接触していろいろ
質問
をしてみますと、その
情報
が大体二つにわかれている。まだ
相当
いるという意見の
引揚者
と、タス通信が非公式ではありますが、
発表
したああい
つた
数字
と同じだという、ま
つた
くとらわれた
考え
方でものを言
つて
いる人と、二つにわかれておりますので、われわれとしてもつかみようがないのですが、
援護局
におきましてく御
調査
なす
つた
点並びにその後の
情報
である程度の内容が外務省としておわかりかどうか、この点をひ
とつ
伺
つて
おきたいと思います。 それからただいまも
お話
が出ましたが、
引揚者
の
定着援護
と申しますか、特にその中で
就職
援護
の問題につきましては、さきに厚生大臣から各県に郷党の有志によるところの
就職
あつ
せん
その他についての通牒が出ているということもちよつと聞いております。私実際にいなかに入りましてこうい
つた
問題にぶつつか
つて
、つくづく感じますことは、
政府
が
就職
のあつ
せん
をすると言いましても、限度がありますし、なかなかむずかしいので、結局先ほ
ども
援護局
長からも
お話
がありましたが、郷党の有志によるあたたかい気持で、そのふところに抱くような気持で、熱心に、しかも
相当
腰をおちつけた
援護
対策がなければならないと痛切に感ずるので、これは政党政派を超越しまして、特に
政府
も直接やることはもちろんでありますが、これに対して十分な気構えをも
つて
音頭をと
つて
いただくという気持で今後の処置を
お願い
したい。たとえば先ほ
ども
お話
があ
つた
民生
委員
あるいは各市町村の議員というようなものを
中心
にして、各地区で
就職
のあつ
せん
をする懇談会のようなものでも、協議会のようなものでもつく
つて
行くというようなことを、実際にや
つて
おるところもございます。
相当
成績を上げておるところもありますし、
引揚者
の個人々々にについて、その性格とか思想とか、あるいは技能とかいうようなものを
調査
して、この人間はここにあつ
せん
しようというような具体的な
方法
を講じておるというような、まことに喜ばしい動きも、私
ども
地方へ行きまして拝見いたしまして喜んでおるわけでありますが、必ずし軌を一にしておりま
せん
、非常に冷淡なところと、熱心なところとあるわけでありますので、これを全国的に愛の運動と一貫して、こうい
つた
運動を起していただくように、
政府
の特段のごあつ
せん
を願いたいと思うわけであります。 なお希望を三つ申し上げておきます。この
委員会
は
促進
委員会
というような関係上、何べんやりましても、つい上すべりにな
つて
、要領を得たような符ぬようなわけで終
つて
しまうのであります。先ほ
ども
お話
がありましたが、
国民
公庫の予算
措置
の問題について、
援護局
長は、極力努力しているという
お話
でございますが、私も
引揚者
の一人として、今までこの金をみなのために借りようとして努力したことがありますが、なかなかうまく行かないのでありまして、さんざん苦労したあげく、とうとうさじを投げてしま
つた
経験があります。そうい
つた
点から
考え
まして、しやくし定規な運用と申しますか、第一に予算が足りないから、ああいうことになるのだろうとは思いますが、結局苦しいながらも
政府
において予算をと
つて
もらいまして、
相当
思い切
つた
運用ができるようにしなければ、何にもならないと思うのでありまして、われわれも国会の一員でありますので、この
委員会
としても
委員長
を
中心
として応援する必要がありますれば、決議でも何でもいたしまして、この予算をとることについて応援をいたしたいと
考え
ますし、また
援護局
においてもこの上とも御熱心にこの問題についで善処されんことを御希望申し上げます。 次は堤さんからも
お話
がありましたが、戰争未亡人あるいは遺
家族
等の問題につきまして、遠見の教育の問題やら、年金の問題、いろいろな問題がたくさんございます。われわれも地方において多数の陳情を受けております。この
引揚げ
と切
つて
も切れない関係にあるわけでありまして、今後社会人によるところの社会事業の
援護
という問題についても、予算的な
措置
も講じまして、万全を期していただきたいということを強く御希望申し上げておきます。 第三は、民生
委員
の活動につきなして、私は非常に疑問を持
つて
おるのであります。これは非常にいい制度だと思
つて
おりますが、実際に末端において活動をします場合に、何といいますか、いわゆる穩健着実過ぎる
人たち
がや
つて
おりますので——これは少し
言葉
はおかしいのでありますが、きわめておざなりで、しかもただお勤めにすぎないというような表現が当ると思いますが、ほんとうに
生活
に困
つて
お石
人たち
に対しては、あの
生活保護法
の許す範囲において重点的に十分これを活用して行く、そうして総花的にならないように注意して
援護
の徹底をはかることが最も望ましいと思うのであります。たとえげ
引揚者
であるとか、あるいは遺
家族
であるとかいうような立場の者に、総花的にわずかはかりの月二百円か三百円の金を
生活
資金
として支給するということで、ま
つた
く死金を使
つて
いるような面が、私は見受けられるのであります。これはひ
とつ
政府
においても、各県を通じて十分御
調査
願
つて
、出し惜しみをしないことと重点をはずさないこと、これを御指導願いたいと思います。町村に行きますと、町村負担の一割が非常に惜しくて、出し惜しみをする町村もあるということで、われわれ陳情を受ける場合もあるのであります。この点をよく御指導願いたいと思うのであります。 以上三点を御希望申し上げておきます。
中山マサ
44
○
中山委員長
それにお答え申し上げます。この
委員会
は引揚
促進
であるから、看板を塗りかえなければ
援護
問題には手が出ないという
理事
会の
お話
でございましたので、
促進
にのみ参
つて
おりますが、またこのたびはもう九万五千の人が
引揚げ
て参りました。
ソ連地区
からのシビリヤンの問題はまだよく存じま
せん
けれ
ども
、あるいはまた
中共地区
からはこれからでございますけれ
ども
、二つの問題を合併して、それからやるべきかどうかということは一ぺん
理事
会を招集いたしましてお諮りをして、ただいまの申出におこたえ申し上げたいと思います。 それでは今の御答弁を
武野説明員
からも
お願い
いたします。
武野義治
45
○
武野説明員
足立
委員
から
お話
がございました
残留者
の
調査
でございますが、昨年九月以降、正確に言えば十一月でありますが、外務省といたしまして、
一般邦人
に関する未引揚
邦人
調査
というものを真剣にや
つて
おります。御
承知
のように、限られた予算と限られた人員で
調査
をいたしております。御
承知
のように
方法
としては留守
家族
の届出がまず第一であります。それから
引揚者
のいわゆる覚えと申しますか、
ナホトカ
並びに
大連
からの一切の
引揚者
に対しまして、どういう人が
現地
に残
つて
いるかということについて、徹底的に調べておるわけでございます。この努力いかんに——少くとも
一般邦人
に関しましては、外務省が非常な責任を感じておるような次第であります。
調査
の最も困難な点は、率直に申し上げまして、
樺太
地域
のごときは、最近の場合は、ほとんど八、九割というものが無
縁故者
でございまして、従来
家族
からの届が出ていないものが意外に多いのでございます。従いまして、思いがけない
残留者
をわれわれは発見することになるわけであります。特にシベリア関係につきましては、かなり届出は出ておるのでございますが、
ナホトカ
港から来られて、
舞鶴
に上
つた
瞬間というものは、いろいろな従来の緊張した気分から帰
つて
来られた方が、思い切
つて
しやべ
つて
くれないのです。従
つて
われわれといたしましては、
家族
並びに留守宅届——
一般
に知人でもよろしいのでございますが、留守宅届というものがない。しかも
現地
に残
つて
死んだとか生きたとかいうことの
情報
が
ナホトカ
からの方からは、現在まで非常に改築困難なのであります。いかに
日本政府
が一方的に非常な努力をいたしましても、その氏名を克明に、だれがどこで死んだということにつきましては、非常にむずかしい点がございます。特に一
情報
によりますと、せつかく数千の名前を記録した名簿も、
ナホトカ
港から来るときには全部取上げられているということもございまして、
情報
といたしましてわれわれが得るものは、こうした割合に積極的でない
人たち
からの
情報
ないし留守宅
家族
からの届出でございます。従いましてその
数字
は、
大連
等を合せて目下
調査
中ではありますが、その
数字
というものは、未知の材料が今後
相当
残
つて
いるという
意味
でお聞きとり願いたいと思う次第であります。 それから先ほどの点で、外務省でも
調査
を真剣にやれいという
お話
が
委員
からございましたが、それもわれわれ真剣に
考え
てや
つて
おります。
風早八十二
46
○風早
委員
官房長官は来られないのですね。
中山マサ
47
○
中山委員長
在京だそうですけれ
ども
、一時から
司令部
へ呼び出されていらつしやるそうですから、残念でございますけれ
ども
、その重要な御
質問
は、またの
機会
に延ばしていただきまして、関連
質問
だけ簡單に
お願い
申し上げます。
風早八十二
48
○風早
委員
要するに私の伺いたいのは、今度の
引揚者
に対するポツダム政令の問題が一つあ
つた
のであります。これについては、この
委員会
だけが直接一番関係のある
委員会
だろうと
考え
るのでありますが、今までのいろいろな御
質問
の中にも、この問題が少しも取上げられておらないのは、われわれとしてはなはだ遺憾であります。先ほど
委員長
からちよつと横田
委員
に対する
委員長
個人としてのお答えがあ
つた
ようでありますが、これは決して
委員長
と一
委員
との間で坂済ます問題ではないと思うのでありまして、当然この
委員会
として取上げて検討していただきたいと
考え
るのであります。言うまでもなくこのポツダム政令というものは、われわれの見解といたしまして、憲法違反である。と申しますのは、これはかねがね国会でも問題にな
つて
おりますポツダム政令第五百四十二号に基いて出されておるわけでありますが、この五百四十二号はわれわれの見解として新憲法公布以後は当然無効であるという理論に立
つて
、この問題を提起したいのであります。しかし今これにつきましては、官房長官もおられないのでありますから、ただ内容について
援護局
当局
に伺いたいわけであります。この内容が非常に人権蹂躪にわた
つて
おりはしないか。今までこういうふうな政令もなく、非常な歓喜をも
つて
故国に帰
つて
来たのであるけれ
ども
、この政令が出ましてから、まるで縛り上げられてしま
つた
ようなかつこうで、囚人扱いにされておるという実情をわれわれは報告を受けておるわけであります。この内容につきまして、
援護局
の
当局
としては、こういう政令が出たということに対して、どういうふうに
考え
ておられるか。これは
援護局
から出されたわけでありま
せん
から、
援護局
にその責任は問うわけではありま
せん
。ただ
援護局
として実際に運営される場合におきまして、はなはだ迷惑千万であるという意見も聞いておるわけでありますが、この点について忌憚のない御所見を伺いたいわけであります。 時間の関係上、引続いてほかの問題、
援護
関係の問題も若干伺
つて
みたいと思いますが、今さしずめ他の
委員
の方からいろいろ御
質問
のありましたことに関連いたしまして、
国民金融公庫
の中にある
引揚者
用の更生
資金
の実際の運営についてであります。これはいつの間にか戰災者、未亡人、
一般
の
生活
困窮者をも含めた広いわくの中にすりかえられておるように聞いており、実情もそうな
つて
おるように
考え
ておるわけでありますが、一応この
引揚者
用の更生
資金
、大体三億円と言われた更生
資金
の実際の運用
状況
をもお調べを願いたいわけであります。またそれでなくても、三億円でも非常に不足しておるに加えて、こういうようにわくを広げられ、従
つて
引揚者
自身に対する更生
資金
としてはあまり出ておらない。その出ておらない実例はたくさん持
つて
来ておりますけれ
ども
、今日は時間の関係もありますから残念ながら省きますけれ
ども
、こういうような点について内訳を伺いたいわけであります。 それから全体としまして
就職
と未
就職
におわけになり、
就職
を、
就職
もしくは自営というふうにわけておられますが、それらのわけ方自身にも、
相当
問題があるように思うのであります、
就職
と申しましても、大体は非常に不規則的な土方人夫とい
つた
ようなところに主として徴用せられておるように
考え
るのでありますが、その
就職
も、これは
就職
してしま
つた
のだから、これでよろしい、これはもうらち外であるというふうに、簡單に片づけられない内容を持
つて
いるのではないかという疑問があるのであります。そういう点については、もう少し明確にお答え願いたいと思います。なお自営の場合におきましても、今帰
つて
すぐ自営ができるというようなのは、非常に限られた、恵まれた
人たち
だけでありまして、ここに上
つて
おるような多数の、全体の過牟を占めるような比率で自営ということになりすまと、その自営の内容がはなはだ問題になるのであります。そういう点についても、ただ自営だ、だからこれは食
つて
行かれるというような
意味
でこれをおとりになると、今後の
援護
活動についても、また従
つて
は
引揚げ
促進
についても、非常な支障を来すのではないかと
考え
るのであります。 最後に
就職
の問題であります。これは堤
委員
からいろいろ
お話
がありましたが、私が特にこの際
政府
にただしたいのは、これは今までわれわれが受けておりますいろいろな
情報
によりますと、
引揚者
を特に首を切るとか、あるいは復職を拒否するとか、こういう例多くの大経営にしばしば見受けられるのであります。その実例は多々ありますけれ
ども
、たとえば昨年には東芝の川崎とか、あるいは三井の三池、こういうところでこの問題が起りまして、非常に
帰還者
や留守
家族
の
方々
の憤激を招いたわけでありますが、その後引続いて今年に入りましてからも、
日本
鋼管川崎製鉄所、それから群馬県の日光製鋼所、秋田の帝石、東京の古河電気愛知の
日本
車輌、大阪の堺化学、神戸の三菱電機、あるいは日鉄の八幡というように、続々と末復員者に対してあらかじめ、あるいは帰
つて
来て、さて復職しようとするとそれを拒否する、こういう問題が起
つて
おるわけであります。こういうような実情について、
援護局
としてはどういうふうにお
考え
になるか、またどういう手を打
つて
おりますか。これをそのまま看過しておられるのか、どうか、この点をはつきりとお答え願いたいと思います。 あまりたくさんになりますから、大体それくらいにしておきますが、最後にこれはただ
数字
の問題でありますが、今度の三千人は、これは
司令部
の
発表
の六万人の中に入
つて
おるわけです。その六万人の中から今度二千八百数十名が帰
つて
来られたわけであります。そういう点は、ちよつと
数字
の点でありますけれ
ども
、一応はつきりさせておいていただきたいと思います。
山本淺太郎
49
○
山本
説明
員 風早
委員
からの、
引揚者
の秩序保持に関する政令についての御
質問
は、非常に大きい問題でありますので、私が答弁するのは適当でないかと存じますが、存じておる範囲においてお答え申し上げます。 引揚
援護
庁といたしましては、言うまでもなく、
引揚者
が
なつ
かしい祖国の土を踏んでそれぞれの故郷に帰るまでに、このような法的規制がなくて済むということが望ましいことは、申すまでもございま
せん
。しかしながら今年再開せられまして後の
引揚者
の
状況
を見ますと、はなはだ遺憾ではありますが、皆樣御承相のようなはげしい行動に出まして、
政府
が用意いたしました計画輸送が全然行われない。従
つて
各地で弁当を大量に手配いたしましたのが腐
つて
むだにな
つて
しまう。あるいは主要駅頭におきまして大勢の
家族
が出迎えております、その
家族
との対面が十分にできないというような、いろいろな問題が起きたがであります。このような事態に対処いたしまして、
政府
としては、でき得る限り
引揚者
の自律的な本意によ
つて
、このようだ問題が発することのないように念慮したのでありますが、以後引続いてこのような
状態
がやまなか
つた
のであります。もともと
引揚者
が秩序正しくすみやかに各自の家郷に帰るべきことは、終戰直後出ました基本指令の
一般
指令第二号によりまして、当時の大本営に課せられておる義務でありますが、その後大本営が解消いたしまして後は、それぞれの業務を吸収担任すべき他の
政府
機関に、その責任は続いて課せられておるような
状態
であります。従
つて
引揚者
のこのような事態は、その
一般
指令第三号の趣旨から著しくはずれたことにな
つて
お
つた
のであります。関係方面におきましても、
引揚者
のこのような
状態
が望ましくないということで、
日本政府
の首脳部を招致いたしまして、今次の政令の内容と同じ新しい指令を受けたのであります。この指令に基きましてこの政令は発布されたのであります。もともと今御意見が出ましたように、ポツダム政令が憲法違反であるという根本問題は、すでに最高裁判所において昨年の公務員の争議権剥奪の問題で
措置
済みでありますので、
政府
としてはポツダム政令は有効であるという見解をと
つて
、そのような指令に基きまして、今次の政令が出たのであります。 今度の政令が公布せられた後の運用問題について、お尋ねがございましたが、現在まで私の方でわか
つて
おりまする政令違反は、全国で六件あります。そのほとんど全部が、駅立入禁止に違反したものと、それから引揚專用列車に同乗できないのを、むりに乗り込んだというものであります。それからこの政令が出まして後は、
舞鶴援護局
及び
引揚げ
途上の
引揚者
自身によりまする政令違反は全然ございま
せん
、きわめて平静にそれぞれの家郷に帰
つて
いるような
状態
であります。 なおいろいろ
定着援護
の面で御
質問
がございましたが、指導課の方から続いて御答弁申し上げます。
桑原益男
50
○桑原
説明
員 風早さんから御
質問
がございましたが、公庫の貸付対象及び本
年度
の公庫に出資しました予算の運営
状況
についての御回答を申し上げます。更生
資金
の貸付対象は、当初からこれを
引揚者
とは限
つて
おりま
せん
ので、
一般
生活
困窮者に対する更生
資金
の貸付ということで始めております。ただしかし、その困窮度なり貸付の條件なりが、
引揚者
に特に需要が多く、また借受けの適格を備えておりますので、現実の需要の面において、
引揚者
の
方々
の占める割合が特に多いという
状況
になることを御
承知
願いたいと思います。これは
生活保護法
も同樣でございますが、
引揚者
だけにとか、
引揚者
に特にというような
政府
の
援護
施策というものは、公平の原則から認められておりま
せん
ので、かような
状況
にな
つて
いるということを御
承知
願いたいと思います。 大体借受者の内訳を大きくわけますと、
引揚者
が八〇%から八五%、残りの一五%程度がその他の
一般
生活
困窮者である戰災者、末亡人というような
方々
に利用されている実情でございます。本
年度
の予算は三億円でございますが、既往に貸し付けました償還金がもど
つて
来つつありますので、今年は
政府
出資が三億円、既往の貸付金の償還金を二億円と予定しまして、計五億円の計画で、今、事業運営をしているところでございます。特に本年運営を改めましたのは、従来の一世帶七千円を一万五千円に上げましたことと、それから一応事業を始めまして、企業中途において運転
資金
の欠乏によりまして行き悩みの
状態
にありますのを、ここで一雨降れば吹き返すというような将来性のある事業体には、さらに追加の貸付制度を認めまして、これは一世帶一万円を限度として、新たに今
年度
から始めたわけでございます。大体以上で更生
資金
を終りたいと思います。 次に
就職
状況
の内訳について、自営業その他の内訳のわけ方がはつきりしていない、これは重要な問題であるという御
質問
でございましたが、私の方で一応この自営業、原職復帰、新規
就職
というようにわけました基準を申しますと、自営業は農業とか開拓、魚田というように大きくわけまして、この三種類を自営業といたしまして、その他原職復帰はおわかりになると思いますが、それ以外の
就職
をすべて新規
就職
ということで、一応この三種類に大別したわけでございます。その他この内容の詳細な分界については、私らの方では、一応
就職
問題、労働問題は專門外でございますので、大体の動きを
調査
するために調べた資料でございますことを、御
承知
願いたいと思います。 それから
就職
拒否の傾向があるが、
一般
事業体、企業家などに対する
援護
庁としての対策はと
つて
いるかという御
質問
でございます。
先ほど援護局長
からも御
説明
いたしましたように、かりそめにも今回の
引揚者
の表面的な当時の動きなり何なりによ
つて
、雇用者側がその原職復帰なり
就職
を拒否するというようなことがあ
つて
は、まことに
本人
にとりましても、また
一般
社会問題といたしましても、よろしくないことでございまして、特に民生
委員
、市町村長等、郷党の人々を通じて、
縁故
開拓といいますか、個々人についての保証をしていただいて、一人心々をひ
とつ
解決していただくように、先ほど足立
委員
からも
お話
がございましたように、
縁故
就職
ということに重点を置いて、労働省を通じて行われます
政府
の施策と相ま
つて
、
国民
皆さんが力を合せて
就職
に御協力願いたいというふうに進んでいるわけでございます。この夏にかけて、全国八箇所で民生
委員
のブロツク
会議
を招集しまして、後期
引揚者
、特に今期
引揚者
の
就職
問題を
中心
といたしまして、全
国民
生
委員
の代表者にこの点を特に
お願い
し、要請した次第でございます。簡單でございますが、さよう御回答申し上げます。
風早八十二
51
○風早
委員
三千人は六万人の中に入
つて
いますか。
武野義治
52
○
武野説明員
三千人と申しますのは
高砂丸
の千百二十七名、
山澄丸
の千七百三十四名の
合計
を言われたのでございますが。
風早八十二
53
○風早
委員
二千八百幾らですね。
武野義治
54
○
武野説明員
司令部
の今までの統計表を見ますと、満洲とソビエト・コントロールド・エアリアズとありまして、その中のソビエト・コントロールド・エアリアズの中に
大連
がございます。従
つて
司令部
の方でどう取扱うかという問題でございますが、これは私
ども
回答する筋ではございま
せん
。ただ
山澄丸
は
大連地区
からの
引揚げ
でございまして、
高砂丸
は
中共地域
から
引揚げた
ということは、今まではつきりした
情報
がございます。それで御
承知
願いたいと思います。
風早八十二
55
○風早
委員
今の中国から
引揚者
の内訳が、いろいろ議員連盟なんかによ
つて
発表
されておりますけれ
ども
、六万人というのは大分
数字
が食い違
つて
おるのです。六万人よりもずつと多く出ておるわけでありますが、六万人の内訳というのは大体おわかりでしようか。そのうちでどの
部分
が今度帰
つて
来たのか、そういうのを伺いたか
つた
のです、もう一度その点を……。
山本淺太郎
56
○
山本
説明
員 私も
高砂丸
の
引揚げ
の
現地
に参りましたのですが、いろいろ話を聞いてみますと、
高砂丸
で
引揚げ
ました者の主要な引揚地は、新義州の対岸にあります安東、それから瀋陽、長春、ハルビン、鶴岡、通化、以上の地が主要な引揚地のようでございます。
風早八十二
57
○風早
委員
その引揚地も伺
つて
けつこうですが、たとえば
留用
であるとか、難民であるとか、遁残であるとか、いろいろ区わけにな
つて
おりますが、その中でどの
部分
がどれだけ
引揚げた
のかということは、おわかりでしようか。
武野義治
58
○
武野説明員
正確なことは申し上げられま
せん
が、傾向としましては、たとえば東安地区から、十名が病院関係でございます。それから鶏西炭鉱というのは炭鉱、工場で十九名、これはほとんど
留用
でございます。佳木斯は紡績関係で十二名、鶴岡が炭鉱並びにその付属病院で、百四十三名、非常に多うございます。牡丹江が病院関係で十五名、チチハルが病院関係で三十六名、ハルビンが病院関係並びに雑業が若干入
つて
おりまして三百二十三名、非常に多くな
つて
おります。一面坡が病院関係で十二名、公主嶺が雑業二名、長春が雑業二十七名、吉林が雑業二名、蛟河が雑業二名、敦化が雑業三名、延吉が雑業二名、通化が病院、工作関係で二百二名、二道工、これは病院そのほか十二名、北安が病院関係一名、鉄嶺、雑業一名、瀋陽が電気関係、医療関係、自動車修理関係、それから雑業で二百五十四名、安東が紡績廠関係で四十二名、阜新が雑業一名、
大連
が雑業六名、こうでございまして、
援護
課長が申されたように、ハルビン、鶴岡、通化、瀋陽、安東、こういうのが大口でございます。六万人の内訳については、今つまびらかにしておりま
せん
。
風早八十二
59
○風早
委員
六万人との関係はわかりま
せん
か。その中から帰
つて
来たかということは……。
武野義治
60
○
武野説明員
約六万人の数でございますが、これはしかし最低六万というのが
情報
でございます。
中山マサ
61
○
中山委員長
行方不明者とか、言いにくい話ですが虐殺された人もある。また道でも
つて
部隊がほとんど半分にな
つて
ソ連
に行
つた
のもいるから、何とも甘えないということを、私が国立病院の人を
慰問
しましたときに言
つて
おりました。
風早八十二
62
○風早
委員
それではお答えに対する私の希望を述べておきたいと思います。このポツダム政令の問題については、これは結局今そうや
つて
意見が
政府
側とわれわれとはま
つた
く対立しておりますが、しかし少くともこの
委員会
としては、この問題の改廃をめぐりまして、そういう政令が出たのは、とにかく出たのであ
つて
、実際に
政府
としては、これを適用しておられるのでありまするが、その実情によ
つて
、どうしてもこれは廃止すべきものである、あるいは存置すべきものである、この点の判断をして行かなければならぬといと思います。われわれは法律論も、最初からこういう政令の憲法違反性をはつきり認めておるわけでありますが、それを皆さん方は一応どういうふうにお
考え
になりますか、この
引揚げ
の
委員会
としても、やはり
引揚者
援護
あるいは
促進
の立場から御検討くださらんことを切に
お願い
したいのであります。いずれ官房長官が来られましたならば、本格的に政令の問題については
質問
いたしたいと思うので、保留しておきます。 それからいろいろ
援護
関係について御答弁がありましたが、これは一
通り
の御答弁でありましても、もちろん非常に不満足でありますが、今の金融公庫の問題などにしましても、今まで非常にこれは実際も借りにくい、それから各府
県別
に実情を見てみますと、ほとんど借りている者はないというくらいひどい。たとえば秋田におきましては四人、山形及びその附近では三人とか、仙台及びその附近では三人とかいうように、どこでもほとんど実際にこれをどのくらい利用しておるかということは、実情を見ますと、ろくにだれも利用しておらないような関係にな
つて
おります。こういう点では、少くもその予定の五億円は十分に利用できるように、そして指導課としましても、御指導あらんことを
お願い
したいわけです。 それから先ほど民主
引揚者
の首切りとか、あるいは就業拒否問題を出しましたが、これについてはそういうことがあ
つて
はならないという御答弁でありました。しかし事実これは出てしま
つた
のです。こういうことに対しては、やはり今後はもとより十分これを防がなければなりま
せん
が、今まで復職を拒否せられた人、あるいはまた帰
つて
おらないのに首にな
つて
おる人、こういう
人たち
に対する
措置
についても、
政府
としては十分お
考え
願いたいと思います。つまり
帰り
ましてからの
生活
の安定と言いましても、具体的にそういう形で、事実上これがま
つた
く安定しておらないのでありますから、その点については、なお指導課なり
援護
課におきまして、十分にその指導
援護
の実をあげていただきたいと思います。そういう点、いろいろまだありますけれ
ども
、非常に時間も急ぐようでありますから、一応これくらいにしておきますが、最後的にそういう点について、もし
政府
に何か御所見があ
つた
ら、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
中山マサ
63
○
中山委員長
御答弁ございま
せん
か。——ございま
せん
ようですから、本日はこの程度で散会いたします。 午後一時二十八分散会