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滿尾委員 今回の
運賃値上げの案を拝見いたしまして、私
ども委員の率直な感じは、いかにもこれは不満足な案である。納得の行きかねる案であるという感を深く持
つておるのであります。また
大臣並びに
政府委員の御説明の言外にあふれるところを察しまするならば、
政府当局側におきましても、必ずしもこれが非常に満足した案だというふうにも、
考えておられないのではないかと感ぜられる。その間に一種の諦観と申しますか、あきらめというものが流れ出ておるように私は拝察するのであります。この点につきまして、
大臣の御所見をひとつ伺
つてみたいのであります。たとえば先ほど
米窪委員の
質問に対しまして、
大臣は
予算の
わく内においての
修正につきましては
相当政府として感ずる用意がある。しかしながらその筋のことに関してはわからぬという
お話があ
つたのでありまするが、この点について私はちよつと疑問を持つのであります。もしこの
委員会が何がしか技術的な
修正をする、建設的な
修正をいたしました場合に、
大臣はその筋との折衝について、その責めを負わないというお
考えであるのか。
委員会でもつぱらや
つてくれという
意味なのであるのか。
政府もまたこの
修正に應じて大いに努力するというお
考えであるのか。はなはだその点を捕捉しがたいように拝聽いたしたのでございます。さらに事務当局にお伺いいたしまするが、結局
委員の率直な感じを申せば、
政府当局がもう少しその折衝について、身を入れると
言つては語弊がございまするが、何とかならなか
つたかしらというような感じが、どの
委員の方の心にも流れておるのじやないか、私はそれを、はなはだ僭越ではございまするが、代弁するのでありますが、一体今回の
運賃改正の案がいつごろ具体的なかつこうをと
つたものであるか、いつごろからその筋との折衝は始ま
つたものであるか、大体何回くらいの会合をせられ、延べ何時間くらいの御努力を御傾倒に
なつたものであるかということについてお漏らし願えれば、われわれ非常にその点の
了解が行くと
考える次第であります。これが
質問の第一点であります。
第二点につきましては、
大臣にお伺いいたしますが、
國有鉄道が近く
公社の形態になる。しかしながら明治三十九年に出ましたところの
鉄道國有法というものは、現に存在しており、將來もわが國の
鉄道に関する最も基本的な法律として行くものであり、
運輸大臣がわが國の運輸行政をおとりになる上におきましては、これが一番大な原則であると
考えておりますが、それじついての
大臣のお
考えを伺いたい。これが第二点でございます。
第三番目のお尋ねは、もし
鉄道國有主義というものが、今後ともわが國の陸上運輸の根本原則でございまするたらば、私は今回の改正のうちで、どうしても
旅客運賃の遠距離逓減を御採用にならねばならぬように
考えるのでおります。昨日の私のお尋ねいたしましたところで、
大臣からなぜ遠距離逓減をとらなか
つたかということにつきましては、
旅客運賃の理論的構成をも
つてお答えがあ
つたのでありますが、私はわが國が
鉄道國有主義をと
つておりまする建前からいたしまして、單なる
旅客運賃の理論的構成のみをも
つて、遠距離逓減を排除すべきものではないと
考える。ことに今回の御改正のごとく、ま
つたく理論を無視して、
赤字の
貨物運賃はそのままで、黒字の
旅客運賃にのみ
負担をかけられるということは、ま
つたくこれは理論から脱線していると思う。しかるにこの遠距離逓減の一点に関してのみ理論をも
つてさように
考えて、とりがたいとおつしやるとするならば、これは矛盾撞着もはなはだしいものであると私は
考えるのであります。さらにこの
数字を見てみますると、こういうことにな
つておる。頂戴いたしましたこの
関係資料の第七表というものを拝見いたしますると、今回改正せられまする
運賃の原價
関係が出してある。そういたしますると、
旅客の
定期につきまして——
松本委員からも盛んにつつ込まれておりまするが、今回の突然の厖大な
値上げにもかかわりませず、
定期は六割程度の収入原價にしか当
つておらぬ。四割の
赤字を出しておる。しかるに
定期外は二倍七分で、十七割というものの黒字を出しておる。これは前年の現行制度から申しますると、現在は十三割であ
つて、三割の黒字であるのでありますが、まずまず
定期外の
旅客にのみ黒字をかけておる。
旅客運賃の黒字と申しましても、
定期外の
旅客運賃でも
つて、ま
つたく全
鉄道の収入をささえているということになる。しかもかように大きな
負担を
定期外の
旅客にかけているこの場合、今回の
値上げによ
つて最も深刻なる苦痛を感じます者は遠距離
旅客で、それが全面的にかぶるのであります。しかるに五百キロ以上の
旅客の数量を御当局からいただきました資料で見ますと、五百キロ以上旅行いたします者は、実に全旅行者の一分三厘九毛しかおらぬ。百人のうち一人しかおらぬ。これを人キロに計算いたしましても、全人キロの六%八三にしか当らぬ。でありますから、この一%三九の人間、人キロにいたしまして六%八三の面に対しまして、
運輸大臣はどうしてもこの際、
値上げの苦痛を軽減してやる方策をとることが、政治的にも非常に賢明であり、かつまた
鉄道國有の精神に照らしましても、これはどしてもや
つていただかなければならぬことのように
考えるのであります。また、私
どもはさしでがましい話でありまするし、今に及んでというような考もございますでしようが、この程度の収入の相違というものは、今回の
値上げによる収入減のお見込みの
数字を、一割七分に見てもよろしいが、それらの点に対して、私は現在の
段階において
調整可能であることを確信いたしているわけであります。遠距離逓減に対する
大臣のもう一ぺん御再考をいただきたく、そのお
考えを伺いたい。
第四番目に
定期券につきましては、私から申し上げませんでも、もうほかの
委員からとくと
お話がございましたが、私の
一つの感じを申し上げますならば、なるほど
定期券はまだまだ
赤字ではありますが、とにかく今回のように、非常に出し抜けに大幅の
値上げをせられるということは、その筋はこれを理論的と思
つているかもしれませんけれ
ども、私は実際政治として、そこに漸進的な、ステップ・バイ・ステツプというお
考えがなくては政治にならぬと思うのであります。どうしてもこの点について私は格段の御努力を切望してやまない次第であります。
〔岡村
委員長代理退席、
委員長着席〕