○
吉次政府委員 先日の
委員会の席上で長官から大体のところは御
説明申し上げておきましたが、もう少し詳細にわたりまして、私から御報告申し上げたいと存じます。ただいま
岡田委員からもお話がございましたが、
國有鉄道の運営において、專用
石炭の重要性は申し上げるまでもないわけでございますが、さらに財政的、経営的に見ましても、二十四年度のただいま
國会で審議されております
國有鉄道の
予算收益勘定で、千百五十二億、
工事費で百五十億、合計千三百億のうち、購入する物品の
経費が四百六十三億を占めております。約三〇パーセントが物品費に該当するわけでありまして、きわめて大きな
経費が物品費として必要とされるのでございます。その四百六十三億の物品費のうち、國鉄の
石炭の購入量は、金額にして二百八十億になるのでありまして、きわめて大きい
國有鉄道の物品費のうち、その六〇%強の二百八十億が
石炭を購入する
経費、こういうことに相なるわけであります。ただいまの御説にございました通り、この三百八十億で購入する
石炭が質の面において、あるいは私ども
國有鉄道の部内の
石炭の使い方、
運用の点において、あるいはまた
石炭の價格がどういう價格で購入できるかということは、非常に苦しい
國有鉄道予算の運営上、きわめて重大な性格を持
つておるのでございます。ただいま
國会で審議されております
予算の中におきましても、実は、
石炭費二百八十億、その
数字で参りますと、
先ほど車両の
関係で御
説明申し上げました
旅客六百六十億
人キロ、
貨物一億四千万トンの
輸送を完遂するためには、
予算的にはきわめて困難な計数に相
なつておるのでございます。この点はもちろん
石炭の質の問題、カロリーの問題、炭價の問題、この三点にかか
つて参るのであります。カロリーの点は、
昭和二十四年度は五千七百カロリー以上の熱量を私ども強く希望いたしております。かねがね当
委員会でもいろいろ御論議かございましたが、
昭和二十二年度は國鉄の使
つている
石炭は、カロリー的に申し上げますと、五千五百四十。五千五百前後のカロリーでございまして、昨年度政府
関係当局及び
石炭の配炭をや
つておられます配炭公團等の非常な協力を得まして、また当
委員会の強い推進も受けまして、逐次
鉄道の
石炭のカロリーは向上しつつある次第であります。しかし、か
つて戰爭前には國鉄の使
つている
石炭は平均六千四百カロリーの
石炭を使
つておりました。これが
昭和十五年度まで続いておりましたが、
昭和十六年度以降、
石炭の供給が非常に減
つて、しかも需要が非常にふえるというような
関係から、まず第一に所要量の、厖大な
國有鉄道の炭質が非常に低下して参
つた。昨年度逐次カロリーは上
つて参りまして、去年の七月当時、
國会の当
委員会からも非常に強い推進を受けたんですが、五千六百二十一、こういうような
実績を示しております。その後非常に徐々にではありますが、今年一月の
実績が五千七百十一カロリー、ここまで上
つて参
つております。と同時に、カロリーが上
つて参りますと、私ども当
委員会でも御報告いたしておきましたが、カロリーの上る比率を二倍しただけの國鉄の
石炭の消費量を節減できる。三%カロリーが上れば六%使用量を減らすことが可能である。こういうように、理論的にも、また実驗的にも、そういう結論をはつきり出してや
つて参りましたが、事実また昨年の十二月、あるいは本年一月以降、カロリーがおおむね三%ないし四%
程度上が
つております。実際消費
石炭の節約量は、前回の
委員会でも御
説明いたしましたが、十数%ないし二十%近く節約できているというのが現状でございます。おそらくそのうちカロリーの向上、炭質の向上によ
つて——炭質の向上が約四%前後いたしておりますから、それを二倍した八%前後のものは、炭質の向上によ
つて、國鉄の
石炭消費量が節減されているということが、はつきり推定されるのであります。さらに、炭質が上
つて参りますと、
石炭を取扱う機関助士その他すべての面で
仕事が能率化され、
仕事がしやすくなる
関係上、その節約率が一層プラスされて参りまして、現実には十数%ないし二十%近く國鉄の
石炭が節約されているという
実情でございます。もつとも炭質の点はただカロリーだけでなく、塊炭と粉炭の割口にもございますが、大体カロリーの上
つた程度の比率で、昨年來塊粉の割合は逐次上
つて参
つております。大体一昨年度あたりは塊の割合が三〇%、残りの七〇%は粉炭。
從つて、燃燒
効率が非常に惡くて、消費量がふえ、あるいは列車の遅延が特に多い。こういうような現状でございましたが、か
つては
國有鉄道の使用
石炭は五〇%の塊と五〇%の粉炭、これが長い間の國鉄の
実績でございました。昨年七月以降、この面についてもカロリーと同様の改善が漸次行われております。昨年の七月には三六・四%の塊の割合がございましたが、最近も大体三十四、五%の塊の割合というような
状況に相
なつております。さらに二十四年度、
石炭四千二百万トン増産において——
國有鉄道のカロリ一が、か
つては六千四百カロリーの
石炭を使い、また機関車にしても、あるいは運轉用の
石炭を取扱うあらゆる設備からしても、六千四百カロリーの
石炭を使用するという
前提で、國鉄の施設がおおむねつくられてお
つたのであります。これが五千六百とか五千七百とか、きわめて低下したカロリーの
石炭を使うということになると、すべての職場の分野において、
作業上非常に大きな矛盾が現われて來る。
從つて作業能率が低下する、経済的に見ても非常に不経済な結果に相なる、こういうような事情であります。そこで何とかして二十四年度はとにかく五千七百カロリー、さらに五千八百カロリーの
石炭を
國有鉄道として使用することができたならば、どんなに
輸送の能率も上るかわかりません。また從業員の労苦もどんなに少くなることが可能に
なつて來るかわからない。こういうぐあいに考えておる次第であります。その方面に対して、政府各機関と十分な連絡をとり、目下努力しておる次第でございます。
なお炭價の点につきましては、
先ほど申し上げましたように、非常に大きな負担が
石炭費にあるわけであります。現在審議されつつある國鉄の
予算から参りましても、從來の
石炭の炭價では、
先ほど御
説明申し上げました二十四年度運
輸送量を完遂するということになりますと、七百六十万トンの
石炭を使用するわけでありまして、この
経費を支出し得るだけの十分な
予算が盛られてないのでございます。そこでただいま私どもの購入しております
石炭の炭價の点でございますが、先日の当
委員会の席上にお配りいたしました、その
資料の中に入
つておりますけれども、実は配炭公團の事情によりまして、
國有鉄道は一般の配炭とは実際の配炭の方法が違
つておりまして、
石炭の
生産される山元で直接現物を受取る、そうして実際に使用する機関区にみずからの手で直結して、これを使用して行く、こういうような特別な方法をと
つております。ところが現在の國鉄の購入しておる
石炭の炭價は、マル公によ
つてそのまま契約いたしております。先日も本席上で御質疑がございまして、長官からも御報告があ
つた次第でありますが、國鉄は二十四年度競爭公開入札によ
つてすべての物品の購入をする、こういうことに相
なつておりますけれども、
石炭に関しましては、配炭公團から一本で購入する建前にかわりがないわけであります。実質的にはただの炭價につきましては、配給を受けるルートが特殊な方法によりまして、山元で直接
鉄道自体が受取る、こういう方法に
なつておりますが、現在買
つておる
石炭の値段は、公國の販賣原價にいろいろプール
関係の
経費を加算いたしましたもので、
日本全國の平均で参りますと、二千七百四十三円、この平均のべースで
國有鉄道は購入いたしておりますが、実際には配炭公團の販賣原價は二千三百八十八円で、ここに配炭公團の販賣原價と、坑所の
貨車積み販賣炭價の間に約三百五十五円の開きがあるのでございます。この三百五十五円は、
石炭販賣統制上の諸
経費のプールの代金及び料金が加算されて参
つておるのでありますが、実際は、販賣統制
関係による配炭公團の手数から参りましても、そこまで配炭公團に依存しない分野が非常に多いのでございまして、何とかしてこの差額の三百五十五円のうち、私どもといたしましても、配炭公團の実質上
経費の含まれる
関係に依存しなければならぬような点を差引きました三百十何円、こういうようなものだけ、現在のマル公より下まわ
つた値段で
國有鉄道に賣
つていただくことが、一番
内容的には現実に即する合理的な方法であろう。こういうぐあいに実は考えておりまして、それらの点につきまして、
関係政府部内において、ただいまも折衝いたしておりますが、もしこういう現在のマル公より、そうしたプール手数料、しかも実際
國有鉄道の指定配給ルートの
関係からいうと手数がかからない、この面を生かして炭價を引下げて購入できるようになりませんと、三十四年度の國鉄の
予算は
石炭費の支出を十分にまかなうことができない、実はこういうような
実情に相
なつておる次第でございます。もつともこの点につきましては、
石炭の販賣のマル公全般に関連するいろいろの問題がございまして、いろいろただいままでも折衝はいたしておりますが、
國有鉄道としては、
予算にはそういう値段が差し引かれて盛られてある。実際のそうした値段で買う点につきましては、いろいろの関連につきましての十分な打合わせがととのわないと、そういうことが実施できない。こういう点につきまして、三十四年度
石炭費の購入
予算の実施という面について、困難な問題が包含されておるのが現状でございます。以上簡單でございますが、
説明を終ります。