○木村禧八郎君 私はこの
予算に四つの理由から反対するものであります。
第一の理由は、この
予算の根本的性格に対して反対せざるを得ない。この根本的性格というのは、この
予算が極めて不純であり、不まじめなる
予算であるということであります。と申しますのは、泉山
大藏大臣事件に現われておりますように、あの性格がこの
予算に現われておる。(「この
通り」と呼ぶ者あり)それはこの
給與ベースを決定に当りまして、
給與ベースを眞劍に主義政計の立場からこれを決定するのではなく、これを政略的に党略的に選挙目当に、自党に如何にしてこれを有利にするかという立場においてこれが
編成されたということは、もう周知の事実であります。そういう立場からこの
予算が
編成されたということは、これは決して純粋な氣持でこの
予算が
編成されたということを示すものではない。即ち非常に不純な
予算である。不まじめな
予算である。そういう意味において先ず私はこの
予算に反対せざるお得ない。
それから第二の反対に論点は、この経済再建の見透し
計画と殆んど
関係なく、漫然とこの
予算が組まれておる。今の
日本の現状は、漫然とこの
予算を組むような現状でないのであります。経済再建
計画を中心として
計画的に
統制を強化しつつ、この経済再建をしなければならんということは、先にマッカーサー元帥から寄せられた十原則によりましても、今回の九原則によりましても明らかなことなのであります。然るに民主自由党は、自由主義的な方向に経済政策を持
つて行こう、そういう立場においてこの
予算を
編成しておるのでありまして、これは明らかに
日本経済が今後向う方向と逆行している。矛盾しているものであると思う。そういう立場において
編成されたこの
追加予算はどうしても我々は賛成できない点であります。
それから反対の第三点は、これが
予算制度の民主化に反するということであります。この民主化に反する論点は四つあります。いうまでもなく、新憲法において、わざわざ第七章において、
財政という
項目を設け、それに基いて
財政法というものを作
つたのは、
予算を民主化するためであ
つたのであります。ところがこの
財政法、憲法第七章及び
財政法に基いて
予算の民主化というものがどれだけ行われたか。この
追加予算を見ましても、次に述べるごとき諸点において、この民主化に反しておるのであります。
その第一は、
予算民主化の第一條件として、
予算の均衡性、バランスの問題であります。この点については、先程高瀬
委員も言われましたが、形式上はバランスが取れておるようでありますが、
歳入面においては、
自然増收四百十何億という非常に無理な増收を挙げておりますが、これは名目的には増收にな
つておりますが、実際には増收と徴税との間にこれがギャップができまして、そうして結局これはインフレを促進することになると思います。又特別会計においてもバランスが取れておりません。又金融面においても、復興金融金庫の資本金を又殖やしまして、そうして金融面からインフレを促進する、そういう方向にあります。これは
予算民主化の第一條件である
予算の均衡性、バランスを取るという点に反しております。
第二には、先程高瀬
委員も言われまして
予算の民主化の條件である公開性と明朗性に反しておる。
予備費的なものが非常に多い。而もこの
予備費的なものについては、先程
大屋大藏大臣が、これは緊急支出的なものであると言われたが、緊急支出を止めるというのが、この
財政法の主眼なんであります。今度の
財政法をそもそも作つたその一番重要な点は、緊急支出的のものを止める、これは旧憲法の支出であります。
從つてこれは
予算の公開性、明朗性に反しておる。
次に、
予算の民主化の條件としては、
國民生活の安定に資し得なければいけないということでありますが、この点については時間もございませんから、その理由は省略します。
それからその次に、
予算の民主化の條件としては、これが再生産に役立たなければならんということが、
予算民主化の條件でありますが、これにも反しておる。
更に、
予算民主化に反するという理由は以上の
通りでありますが、
最後に我々が反対しなければならない論点は、若しこの
予算を、
追加予算を我々がここで反対して、そうしてこの
予算が通らなかつたときに、混乱が生ずるではないかという意見に対して、我々は今
日本の現状はそんな時期ではない、本当に民主化をする場合には、乱を見るに卑怯であ
つてはならない。一時の摩擦混乱は、これは堪え忍ばなければならん。それよりも、もつといい
予算を作
つて、一時多少混乱はあ
つても、もつと立派な
予算を作
つて、
日本経済の再建に本当の寄與をしなければならんと思う。それを当面の非常に姑息な現状維持的な状態にいつも引きずられるから、もう理窟としては反対せざるを得ないに拘わらず止むを得ず認める。そういう状態にあると思うのであります。これではいつまで経
つても
日本経済の民主的な再建はできない。以上の理由によ
つてこの
予算に反対いたすものであります。