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1948-12-11 第4回国会 参議院 本会議 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十二月十一日(土曜日) 午前十時十九分
開議
―――――――――――――
議事日程
第七号
昭和
二十三年十二月十一日 午前十時
開議
第一
國務大臣
の
演説
に関する件(第七日)(
委員長報告
) 第二
科学技術行政協議会法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)(
委員長報告
) 第三
水産金融
に関する
決議案
(
木下辰雄
君外九名
発議
)(
委員会審査省略要求事件
)(
委員長報告
) 第四
國民
健康川保険の
診療施費國庫補助増額
に関する
請願
(
委員長報告
) 第五
社会保障制度立法
に関する
請願
(
委員長報告
) 第六
社会事業基本法制定
に関する
請願
(
委員長報告
) 第七
社会保障制度
の
実現
に関する
請願
(
委員長報告
) 第八
戦争犠牲者遺族
の
援護強化
に関する陳情(
委員長報告
) ―――――――――――――
松平恒雄
1
○
議長
(
松平恒雄
君) 諸般の
報告
は朗読を省略いたします。 ―――――・―――――
松平恒雄
2
○
議長
(
松平恒雄
君) これより本日の会議を開きます。 この際、
日程
の順序を変更して、
日程
第三、
水産金融
に関する
決議案
(
木下長雄
君外九名
発議
)(
委員会審査省略要求事件
)を議題とする」とに御
異議
ございませんか。 「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
3
○
議長
(
松平恒雄
君) 御
異議
ないと認めます。本案は
発議者木下辰雄
君外九名より
委員会審査省略
の
要求書
が提出されております。
発議者要求
の通わ
委員会審査
を省略することに御
異議
ございませんか。 「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
4
○(
松平恒雄
君) 御
異議
ないと認めますこれより
発議者
に難し
趣旨説明
のため
発言
を許します。
木下辰雄
君。 〔
木下辰雄
君
登壇
、
拍手
)
木下辰雄
5
○
木下辰雄
君
只今上程
と相成りました
水産金融
に関する
決議案
につきまして提案の理由を
説明
いたします。先ず
決議案
を朗読いたします。
水産金融
に関する
決議案
戦災
により甚大な
打撃
を受けたにもかかわらず
眞先
に立ちあが
つた
わが
水産業
は、
政府
の
金融
対策
不充分なため、今や深刻なる
金融難
に直面し、
中小漁業
の如きは、
出漁
不能に陥るものが続出するの
現状
にある。 かくては
國民
の主要なる
たん白質給源
を不能ならしめ
國家再建
の
基礎
を危うする恐れがある。よ
つて政府
は、この際
緊急対策
として、
復興金融金庫
の債務の引受又は
保証
の
制度
を活用して、
即時生産方面
に
金融
の途を開くと共に、
漁業災害補償制度
と業界の
相互援助機関
たる
漁業信用保証制度
を確立し、その
経営
を安定せしめ、以て
国民保健
に遺憾なきを期することを
要求
する。 なお
政府
は、本
要求
に対し一週間以内に
具体案
を策定して、本院に
報告
することを併せて
要求
する。 右
決議
する。 かようであります。 次に、その
趣旨
を簡単に
説明
いたします。御
承知
の
通り
我が
水産業
は、戰事のため非常なる
打撃
を蒙
つたの
であります。殊に
漁船
の損害は最も甚大でありまして、その隻数において約二〇%、トン数においては四九%、殆んどその半数を
失つたの
であります。それで
政府
は
昭和
二十年十二月に
漁船建造
に関する
閣議決定
をいたしまして、三十三万二千トンの
補充
をすることに相成
つたの
であります。その後逐次
建造
を進めまして、本年八月においては殆んど三十万トンに近い
漁船
が
建造
されたのであります。現在動いております
漁船
は、
発動機船
が約九万隻、無
動力船
は三十七万隻を数えるのであります。もとより
戦争
中修理その他が不十分であ
つた
ため、その三分の二は
老朽船
ではありまするが、その陣容は戰前とほぽ匹敵するのであります。
従つて漁獲
も
漸次増加
いたしまして、戰争前には十五億貫を数えておりました
漁獲
が、
戰争中
段々減りまして、
昭和
二十年、即ち
戦争終結
の年には五億五千万貫、殆んど三分の一に減じたのであります。それが
漁船
の
建造
に従いまして
漸次増加
をいたしまして、昨年には七億七千万貫、殆んど五割の
増産
に相成
つて
おります。更に本年は九億五千万貫の
生産
を予定してお
つたの
でありまするが、遺憾ながら今年は
漁業界
において非常に大きな
打撃
を蒙むることに相成
つたの
であります。殊にその
主流漁業
、
花形漁業
をなすトロールその他の
以西底曳網漁業
、「
かつを
」、「
まぐろ
」
漁業
並びに
関東北
の
いわし
」
揚繰網漁業
のごときは、
不漁
のため非常な
打撃
を蒙
つて
おります。これらに従事する
漁船
はいずれも
優秀船
でありまして、その数四千隻を超え、
乗組員
の数は十万以上に相成り、平常時における
漁獲
は二百数十億円に達するのであります。その
漁業
が現在非常に不況に陥
つて
おりまして、これを、このままに放置いたせば壊滅の外はない
状態
であります。これらの
漁獲物
は、
國民
の
動物性蛋白質
の主要なる
給源
といたしまして重要なる
役割
を担うものでありまして、
國民保健
の上に重大なる
影響
を與えることを非常に恐れるのであります。然らば何故にかようなる
苦境
に
陷つた
かと申しますと、一つは潮流の異変のために、魚族の
廻遊
が非常に例年と異
なつ
たというためでありまするが、その主なる原因は、この
不漁
時に対する
金融
の
措置
がなか
つた
金融難
に
陷つた
という結果であります。 御
承知
の
通り豊凶常
なきは
漁業
の
特異性
でありまして、豊漁の際に
不漁
時の備えをなさなければなりません。然るに近年の非常なる高税は、次の漁期に対する
仕込資金
を残すことさえもできない
状態
であります。
利益
の七割以上は
税金
に取られるという有様でありまして、次の
出漁
にさえも非常な
支障
を來すというのが現在の
状態
であります。先程申しました
通り
、主流をなすところの
漁業
は、今日魚が見えましても、
仕込資金
の
調達
ができないために
出漁
が不可能になるというようなのが多数ありますので、それらの船は
金融
の
措置
さえ付けば、その困難を打開することも決して不可能ではないのであります。
大漁期
において、
不漁
時の準備ができない程の高率の
税金
を課しながら、これらの
漁業
をかくのごとき
苦境
に追込んで
金融難打開
の
施策
をなさないのは、
政府当局
の失態であり、非常な怠慢であると申さなければなりません、よ
つて政府
においては、取敢えず
復興金融金庫
の
保証制度
を活用して、
一般金融機関
に対して
支拂保証
又は
損失保証
を與え、現在絶対必要とするこの十七億円の
緊急資金調達
の途を開いて、今最も
苦境
に陷
つて
おります「
いわし
」
揚繰網漁業
、
以西底曳網漁業
、
定置漁業
並びに「
かつを
、「
まぐろ
」
漁業
の急場を
救つて
、正に崩壊しようとしている我が
漁業
の
基盤
を安定させる
方策
を即時断行されんことを強く要望するものであります。 次に、又
沿岸漁業
を主なる対象とする
相当額
の
水産金融
の新たな枠を
復金
り中に設定されんことを希望するものであります。
沿岸漁業
は総
漁獲高
の九〇%を占める我が
水産業
の
根幹
を成すものでありまして、これが
消長盛衰
は我が食糧問題に絶対的な
影響
を與うるむのであります。然るに従来の
金融状況
を見ますと、この
沿岸漁業
の
金融
は殆んど置きざりにされておるという
状態
であります。殊に
水産協同組合法
が透く
施行
の
運びになつておりまするが
、
本法施行
と相
俟つて金融
のしつかりした
裏付け
がなければ、折角の
漁業
の
民主化
も
漁民
の
生活
安定も画餅にひとしく、多数の
漁民
の協同体による
食糧増産
も不可能と相成るのであります。更に又
金融
の
裏付け
として必要なるのみならず、
漁業経営
を安定せし
むる方策
といたしまして、
漁業災害補償制度
及び
漁業信用保証制度
を至急制定する必要を痛感するのであります。これら一連の
方策
が完成して初めて
漁業経営
が盤石の礎の上に安定することと相成るのであります。 以上が大体この
決議案
の内容であります。我々は
従來
政府
の
施策
が
水山産業
に離して極めて冷淡であ
つた
ことを痛感いたしておりますが、今重大なる関頭に立つ我が
水産業
のために、
政府
全体の責任において、この
決議案
の
趣旨
を速かに
実行
に移されんことを切望する次第であります。何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。(
拍手
)
松平恒雄
6
○
議長
(
松平恒雄
君) 別に御
発言
もなければ、これより採決をいたします。本
決議案
に賛成の諸君の
起立
を請います。 〔
総員起立
〕
松平恒雄
7
○
議長
(
松平恒雄
君)
総員起立
と認めます。よ
つて
本
決議案
は
全会一致
を以て可決せられました。(
拍手
)
只今
の
決議
に対し、
大藏大臣
「
農林大臣
より
発言
を求められました。
泉山大藏大臣
。 〔
國務大臣泉山
三六君
登壇
、
拍手
〕
泉山三六
8
○
國務大臣
(
泉山
三六君)
水産業
に対しましての
金融
の
重要性
につきましては
政府
におきましても十分認識いたしておるのみならず、その緊迫いたしました
事情
についてもこれを
認むるところでございます
。よ
つて
ごの
方面
に対しましては、
一般金融機関
からの
融資
を促進せしめると共に、その
特殊性
に帥應するため、すでに農林中央金庫から必要な
資金
を特別に融通する等の
措置
を講じておる次第でございまするが、本
決議
の御
趣旨
を尊重いたしまして、今後一層の努力を傾けたいと存ずる次第であります。尚、
漁業災害補償制度
、
漁業信用保証制度等
につきましても、
十分研究
をいたす所存でございます。(
拍手
) 〔
國務大臣周東英雄
君
登壇
、
拍手
〕
周東英雄
9
○
國務大臣
(
周東英雄
君)
國民食糧
の
増強確保
に関しまして重要な
役割
を占めております
水産業
が、
資金
の枯渇或いは不円滑のために着業が不可能と
なつ
たり、或いは操業を短縮しなければならないということになりますことは、今日の食糧問題の重要なときにおきまして誠に由々しい問題であると
考え
ます。
只今
の御
決議
の御
趣旨
を尊重いたしまして、
主管大臣
といたしましては、
只今財政当局
のお答えの
通り
御
趣旨
を尊重いたしまして、その
実現
に努力いたすつもりであります。(
拍手
) ―――――・―――――
松平恒雄
10
○
議長
(
松平恒雄
君)
日程
第一、
國務大臣
の
演説
に関する件(第七日)、昨日に引続き質疑を許します。
中平常太郎
君。
中平常太郎
11
○
中平常太郎
君
総理大臣
は
如何
いたしました。まだ見えないのですか。
松平恒雄
12
○
議員
(
松平恒雄
君)
総理
は間もなく見えるそうでございます。
中平常太郎
13
○
中平常太郎
君 それでは
総理
の分を後にしまして他の
閣僚
の分をいたします。 〔
中平常太郎
君
登壇
、
拍手
〕
中平常太郎
14
○
中平常太郎
君 丁度
総理大臣
がお見えになりませんから、
総理大臣
に対する
質問
は見えまして後にいたしまして、時間の空白を置かない意味におきまして、他の
閣僚
の分を御
質問
いたします。
泉山安本長官
は
生産増強
のために
企業
の
合理化
を強調していられますが、
企業
の
合理化
のために必然起きて乗るところの
失業者
の
援護方策
については何ら四日の
施策
の
方針
に言及されなかうたことについては、昨日
平野議員
からも指摘された
通り
であります。
企業
の
合理化
は
生産
の
基盤
であると言うておられますが、その反対に
労働者
の
労働意欲
は
生産
の
基盤
であると言
つた
らどうなさる。否定されますか。
企業
の
合理化
は、
企業
に
利潤
を得せしめるために
労働力
ある
人間
をその
企業
から掃き出すことを意味するものであります。
政治
の
根本
は
民生
の安定にあります。その
民生
安定を招來せんために今、目の前の何百万という
人間
を飢餓に追込むという
考え
方でありまするか。高
能率
、高
賃金
ということは、誠に私なども
年祭
の主張でありまして、賛成いたします。が、その
方法
を誤られておりはしないかということであります。例えば百人の工員が八〇%の
能率
しか上げない場合において、二十人を
切つて能率
の八〇%を出すというのであるなれば、その八十人は又六〇%の
能率
しか上がらない。だから百人のときの八〇%の
能率
に
合理化
するなれば、八〇%に下
つた
八十人を高
能率
、高
賃金
に切り換えなければ、元の八〇%の
生産
は上がらない。だからその筆法から言いますというと、百人のうち二十人切らずして、百人のときの高
能率
、高
賃金
でやるなれば、
従來
の八〇%の
生産能力
が一〇〇%になるという理論が成り立つのであります。而もそれは
総掛り費
がそれだけ減少いたしまして、二十名を整理して得られる
利益
よりも百人にな
つて
一〇〇%の
能率
の方が
利益率
は多大なものがあるのであります。かかる方式こそ
生産増強
、
完全雇傭
と正比例するところの
生産増強
ではありませんか。現在においてさえ、
失業者
は潜在と
顯在
と
合計概略
六百万人と称せられております上に、ただ一方的な
企業利潤増加
のために多数の
失業者
を掃き出すという以上は、
不安状態
に置かれておる
國民大衆
に何故
十分安心
の行くような
説明
をなされなか
つた
か。ここに一つお尋ねする。一、
企業合理化
と
労働者
の
配置轉換
は同時に行わるべきものであると思うが、御
所見如何
。 次に
泉山安本長官
にお尋ねすることもありますが後に残しまして、
國土計画
問題について、
益谷建設大臣
にお伺いする。
丁度差支
があるそうでありまして、赤木君がおられますが、現在我が
國土
は、他の
議員
も申されました
通り
、非常に荒廃しておる。
戰争中
十年の間、
森林
は
濫伐
に
濫伐
、河州は土砂の堆積著しく、河床を浅めて、少し降り過ぎると直ちに洪水になり、田畑、
道路
、橋梁の
破損
は挙げて数うることができません。
政府
は毎年
相当
の補修を行な
つて
おり、又本
予算
にも六十億を
計上
してありまするけれども、その
工事請負事情
、
人夫賃
など、
マル公
と闇との開きのあるために、到る所
工事
に
支障
が起きております。誠に進捗していない。そのうちに又々
破損
を招來しておるというようなことでありまして、
人間
の弱さを天は笑
つて
おると思うのであります。又
戦災家屋
は
引揚者増加
という
特殊事情
を加えまして、ますます逼迫告げて、現在四百万戸の不定に対しまして、ここ数年粗雑な
建築
の
破滅率
或いは将來の
増加率
などを計算に入れまするならば、今後十五ヶ年の
完成計画
にいたしましても、約八十万戸毎年
建築
しなければ完成できないのであります。然るに現在のように二十万や三十万戸なれば
自然増加
と
自然破滅補充
の域を脱せない。四百万戸は依然として
不足
をすものであります。今にして十分な
予算
を
計上
し、本格的に
國土計画
並びに
建築計画
を樹立しなか
つた
なれば、
國土
といい、國内の思想といい、
禍い
は加速度的に加わ
つて
参りまして、
將來
恐るべき
状態
に相成ることは火を見るよりも明らかであります。而も
マ司令部
から
道路
五ヶ年
計画
の
勧告
も参
つて
おりまして、これも差迫
つた
問題とな
つて
いるのであります。幸い
日本
に
ば労働力
は余りあります。
森林
も四十億石あると言うております。年々七千万石の輪伐は可能であります。
政府
はこの際本問題を進捗せしめるために特別なる
機関
を作り、労務の
大量配置轉換
を行い、費用は
建設公債
など
有産階級
に割当てる
方法
を考慮し、大幅の
予算
を以て直ちに
実行
に移す
考え
はないか、この点をお伺いする。 第四、
インフレ
対策
問題、
政府
は
インフレ
を抑制するために、
経済
三
原則
によりまして先ず
賃金統制
を強化してこれを抑え、一方
企業
の
採算性
を唱えて
生産増強
を図らんとする
方針
りようであるが、それではその日の
生活
に喘ぐ
勤労大衆
の
犠牲
においてのみこの
インフレ
を克服せんとするのであるか。何故に
予算処置
か
通貨処置
かの
方法
によ
つてインフレ
の
防渇
をしないか、それでは
有産階級
に障るのであろうかどうか。生きた
人間
の
生活
を押えて
インフレ
の
防渇
をやるのでは、大体
労働者
を何と心得ておられるのであります。
労働者
こそ
生産性
の
基盤
ではありませんか。
労働者
に圧迫を加え、先ず沈黙せしめつつ
企業
の
採算
を期せんとするが、それで
労働者
の
生産意欲
が出ると思うのでありますか。一方
経済再建
に当りまして外資の
援助
は絶対に必要であるが、これを確保するためには先ず自主的の
対策
を樹立して
計画
的にこれを進め、
労働者
の
生産意欲
を
根幹
として、労資相俟
つて
組織的に積極的な
方策
を示すべきでありましよう。
経済再建
の
担当者
が
勤労大衆
である以上、
本格的再建
の
基礎條件
たる
インフレ
の克服は
労働者
、
農民
、
一般市民
、
中小企業者
など
大衆
の手によ
つて
遂行せらるべきは申すまでもありません。その
生産意欲
を阻害して先ず
企業
の
採算性
を主とするなれば、決して今後の
労働攻勢
を防ぎ得るものではありません。ついては三つの
質問
について
泉山安本長官
に御明答願います。
政府
は、
労働賃金
を抑制して
勤労者
の
生産意欲
が旺盛になると思惟せられるや、次に、
賃金対策
は当然
労働力
の再
生産
を可能とする
賃金
を以て
最低水準
とすべきであると思うが、
政府
の
所見
は
如何
。次に、
インフレ
の
処理
は
人間
を出血せしめず
予算処置
か
通貨処理
によ
つて
行うべきであると思うが、
政府
の
所見如何
。 次に厚生問題。
吉田総理
は……林
厚生大臣
おられますか。まだ見えていないのですか。(「
総理大臣
も
厚生大臣
もいやせんじやないか」「
空氣
に
質問
した
つて
駄目だよ」と呼ぶ者あり)それじや厚生問題は後にする。
引揚問題
も後にする。
引揚問題
は
外務大臣
、やはり
吉田
が出なければいかん。 第三次
農地改革
問題、
泉山安本長官
は第三次
農地改革
は行わないと言明されました。現在全図の
耕地
は二百六十万
町歩
ありまして、うち約二百万
町歩
は整理されまして、あと六十万
町歩
くらいが今尚
封建制
の残滓としてボス的に温存放置されているのであります。
民主主義
を
根本
とせられるなれば、何故
農村民主化
のために働く
農民
に
土地
を與えよという
民主的原則
を破られるのであるか。又第二次
改革
の進行に伴い、零細な
土地所有者
のばらばらに散在せる
耕地
の
交換分合
は、その
生産能率
から
言つて
絶対に行わなければならないのでございます。又
日本人口増加
の
現状
に対し、必要な
耕地
の絶対
面積
は増大していない。
日本
は現在
耕地
としては全
面積
の一六%を占めるに過ぎないのであります。未だ耕件可能の原野が廣く未利用のまま放置せられております。最近帰還せる数百万の青年は徒らに手を空しうして農閑期などは随分
風紀
も紊れておる
状態
であります。
食糧増産
のために
農村
の
余剰労力
を傾注し、
治山治水
と睨み合せまして画期的なる開墾を実施すべきであります。
農林大臣
にお伺いする。第三次
農地改革
は
農村
の
民主化
を完遂せんとするものであるが、これを行わぬことは
封建制度
を温存して置くということになるが、
農村民主化
の精神に反しはしないか。 次に
中小企業
振興問題、商工大臣見えているな。
従來
の
中小企業
は大
財閥
の
下請工場
であ
つた
が、この
財閥
がなく
なつ
た以上、
中小企業
は
貿易
する
方法
さえ十分に知得せず、
資金
、
資材
に窮しまして、今や
破滅
に瀕しておるのであります。これに対しまして、
政府
は先に
中小企業廳
を設置し、
苦情聞取り
に当
つて
おるが、
日本將來
の
貿易
は全く
中小商工業
に課せられている
現状
から、
如何
にしてもこれが
発達助成
を図らなければなりません。
政府
の
説明
によると約二十五億円の
融資
の枠を取
つて
おられるのでありまして、一應その
重要性
を認識せられておりまするのであるが、
貿易
の中枢を担当する立場にある
中小企業
に対しては少くとも当分五十億程度の
融資
を必要とするように
考え
るのであります。これまで大
財閥
に何十億と苦もなく
融資
せられたことから
考え
るなれば、全國のために、全民衆のために、五十億ぐらいは当然と思われるのでありまするが、
政府
の
所見
は
如何
。又
日本労働力
が余
つて
おる手工業は世界一の好評を博しております。然らば
貿易廳
の斡旋で許されたる可能の範囲の
外國
から商品のサンプルを蒐集いたしまして、各縣持廻り
展示会
その他などを開き、
業者
にその
適品
を選択せしめ、
資金
、
資材
の
援助
を矢幅に與え、
業者
の
生産意欲
を高あ、
貿易
の進展に資せし
むる方策
を行うお
考え
があるかどうか。 次に
補正予算
と
徴税
問題であります。
政府
はこの度の
補正予算
五百八十六億円のうち三百七十億円は
所得税
の
自然増収
として
計上
しておられるが、かかる
予算
の
計上
は、他の
議員
も申された
通り
、いわゆる
水増し予算
であると思われる。その証拠には、十一月二十二日には六百二十五億円の時にさえ
自然増収
を二百二十億と
計上
なさ
つて
お
つたの
に、五百八十六億に圧縮されたなれば、
所得税自然増収
も二百億くらいになさるべきでありましよう。それに何ぞや三百七十億に
増額
されておるのは
水増し
と言わずして何ぞや、又
徴税
ができるとすれば、現在でさえ苛斂誅求で、正直な
納税者
は遂に廃業し又は轉業しておる。一方
闇成金
は自家用の自動車で風を切
つて
飛ばしておる。
大衆
の
生活困窮
は空吹く風と世間を跋扈しておる。それは
戰争成金
であり
敗戰様々
の徒輩であります。
政府
はかかる
現状
を直視しておられるか。二つの
質問
を発する。善良なる
納税者
の衷情を酌んで、
所得税
の
更正決定
に対する
審査請求
については実情に即して是正を行い、追
徴税
についても正直なる者には
相当
考慮を拂う
考え
があるかどうか。一、一方
新興階級
の
増加財産
の
臨時調査
を行い、
不当収入
を摘発して以て課税の公平を維持する
考え
はないか。 林さん見えたな。それでは厚生問題をやりましよう。
吉田総理
はその
施政方針演説
の中に、厚生問題については引揚者問題以外については殆んど触れられていなか
つたの
であります。
凡そ政治
の要諦は
民生
安定にあります。これを第一義とすべきでありましよう。然るに悩み拔いておる
民生
に何を與えんとなさるか。ただ
生鮮食料品
や
料飲店
の開業を調い、これも今にも
実行
するがごとく宣博して
業者
を喜ばせ、
國民
に飲めや歌えの
廃頽的空氣
を作り、
人氣
を煽り、(「そんなことはないですよ」と呼ぶ者あり)ボスと富者と
階級
に媚を賣
つて
おるような政策を大言壯語しておる。
勤労者
は低
賃金
に甘んじて、インテリは子供に着物一枚さえ買い得ない悲惨な
生活
、いわゆる
日本再建
のために
耐乏生活
をしておる中に、所構わず絃歌湧く酒池肉林の巷を作り、困窮せる
大衆
に指をくわえて見せし
むるような方策
を喜んで採らんとするのでありますか。さなきだに
悪化
の一途を辿
つて
おる
青少年
の
風紀
は尚更に
悪化
を助長し、滔々として堰を
切つた水
のごとく止まる所を知らんでありましよう。
政府
は
將來
を託すべき
青少年
の
悪化防止
には
如何
なる
方策
を持
つて
おられますか、お伺いする。今度の
補正予昇
に
刑務所
の
予算
の追加六億五千万円
計上
なす
つて
おられるが、
悪化
せる
青少年
は手取り早く一方から
刑務所
にぶち込むお
考え
なりや。 次に
國民
の医療問題についてでありますが、
英國
やアルゼンチンのごときは
医療設備
が完備して
國民
のために
全額無料
であります。然るに我が國においては、一度病に罹らんか、
中産階級
と雖も一朝にして轉落する者が多い。この
國民
の
家庭経済
から
医療費
だけでも
無料
にするなれば
如何
に喜ばれることでありましよう。この問題に対して
如何
なる
方策
をお持ちに
なつ
でおられるか、お伺いする。
國立病院
、
國立療養所
の
建設
も少く、又
戰争以來
、
腐朽荒廃
も次第に目立つで参りました。
待遇費
か少額のために
癩療養所
とか
肺療養所
という所は待遇問題で医者も
看護婦
も大欠乏を告げておるが、これに対してどうなさるお
考え
か。又昨年
実行期
に入
つた児童福祉法
は先ず全國に
施設
を
建設
しなければならない。本
補正予算
に一億五十万円
計上
してあるが、これは
必要量
六十億の五%にも達しない。併しこれも
林大臣
のお骨折りで
補正
に
計上
せられたものと思うが、二十四年度に十分
計上
せられるお
考え
があるかどうか。又
生活保護法
も
物價
にスライドいたしまして
補正
に十五億五千五百万円
計上
をいたしておりますけれども、これでは無論
不足
であります。二十四年度に
増額
をせられますお
考え
があるかどうか、これもお伺いする。 厚生省は、とかく
從來伴食大臣
などと称せられまして、閣内でも割合軽視される傾向がありましたが、
民生
安定ということが
政治
の
根本
であるという以上、十分な
予算
を
計上
せられなければならないのであります。
英國
などでも非常に大きな
予算
で活動している。
文文化
の進むに
從つて厚生
の
予算
は大きくなるのであります。
英國
などは
社会保障制度
のごとき実に完全で、一家に
如何
なる出來事ができましても、盡く
政府
の
施設
によ
つて
保障されております。いわゆる
生活
が安定いたしております。
日本
にも数種の
社会保障制度
もありますが、皆区々まちまちで統一を欠いておる上に、到底あらゆる
方面
に
社会保障
ができていないのであります。この度
マ司令部
が
日本
のために
米國
よりその筋の権威ある五名の博士を招かれまして、
調査
の結果が
廣汎
なる
勧告書
とな
つて政府
に渡されております。
政府
におきましてもこれを動機といたしまして
審議会設置法案
を提出されております。又
議員側
といたしましても、強力なる
調査機関
を設けることにつき、すでに
厚生委員会
を通過し、
決議案
を上程することに相成
つて
おるのであります。これは
社会立法
といたしまして最高の
民生
安定の理念を表現するものでありまして、
相互扶助
の原理を織り込み、是非とも
実現
しなければなりませんが、
政府
は審議会を作りお座なりで日を暮し、
実行
を遅延するのではないか、この点お伺いする。
引揚問題
は、昨日矢野委員が
相当
述べられたということを聞いておりますから、この点は省いて、ただ
引揚問題
が
如何
に深刻であり、すでに十二月は結氷期のためにソ連の方からは配船の通知が來ていない。して見れば又明年四月まではもはや帰還はないと思われるのでありますが、四十万になんなんとする未帰還者がソ連において又々三十度、四十度の零下の寒さで強制労働に服さなければならない、誠に断腸の思いがあるのであります。大体敗者は正義を主張することができないか。ソ連の未帰還者問題はそれ自体が正義と解されるか。これをお伺いする。世界の輿論に憩え、世界赤十字連盟、國連、或いはユネスコ、或いは世界婦人各國体等に愬え、その輿論と道義力によ
つて
側面的に帰還を促進する
考え
がないかどうか。
吉田
総理大臣
の
演説
……お出でになりませんから進行してお
つて
呉れといつことでありまして、後から答弁があるそうですから申上げます。
吉田
総理大臣
の施政
方針
は誠に抽象的で平凡、政策の面よりも組閣当時の
事情
やら解散問題に重点を置かれて、施政
方針
に対しては誠に簡單である。この困難なる
日本再建
の中に
耐乏生活
をしておるところの
國民
に固い覚悟と希望とを持たしめる何らの施政もなか
つたの
であります。又現
政府
の性格が
如何
に保守的であるかは世界の現代流れている思潮の動向に何ら触れていられないとさえ感じさせられたのであります。ただ
日本
古來の封建思想の惰性と、無反省にして旧式的な表面口先は別として、精神の上において嚴粛なる
民主主義
に付に徹することを喜ばざる旧來の保守派を満足せしめんとする一部の
國民
、それらの方から起
つて
來る
人氣
を温床とせられておるようであります。この敗戰
日本
の困難なる再建途上におきまして、
國民
に一種の弛みを見せるがごとき甘
つた
るい放漫政策、施政
方針
に高度の眞実性と、
國民
に反省を求め自粛自戒せしめる高き指導性の見えなか
つた
ことも亦当然と思われるのであります。組閣当時の世界の論調は、他の
議員
からも述べられました
通り
、
日本
政治
の逆轉と断じ、後退と評し、かかる情勢では
日本
の
民主化
はここ百年もかかるのであろうとか、実に講和会議を一日千秋の思いで期待している心ある
國民
に暗い悲観的な
考え
を持たしめたことは、争うべからざることであるりであります。 そこで第一に思想問題についてお伺いいたします。我が國はポツダム宣言り受諾によりまして平和的
民主主義
に切替えなければ
根本
的な思想の樹て直しはなし得ないのでありますが、法の上では極めて簡單でありますが、事実
國民
の心の中に
民主主義
を徹底せしめることについては、
政府
は
如何
なる
方策
よりも政策よりも、第一番にこれを取り上げ、みずからその範を示し、以て
國民
に臨まなければなりません。然るに
吉田
首相は、ただこの点を言葉の綾に又他の言葉の枕言葉ぐらいに止められまして、何ら、改ま
つた
嚴粛な氣持で一つの重要事項として
民主主義
の徹底の極めて重要なるゆえんを議会を通じて
國民
に呼びかけられなか
つたの
であります。これは
吉田
首相に望むのか或はこちらが無理であるかも知れませんが、苛くも一國の首班として
國民
の思指を指導せられる立場として、誠に遺憾であ
つた
と思うのであります。
民主主義
は申上げるまでもなく、個人が個としての尊嚴の中に社会的共存の理念を理解し、
人間
の生存権を尊び、個人の権利、全世界にも替えられない一個の生命價値、かかるものの集團が高度の社会思想となり、
民主主義
はここから生れて來るものであることを十分に理解しなければ、民主
政治
の
根本
理念とはならないのであることは、賢明なる首相の十分御
承知
のことでありましよう。然るにこの理念より生ずる
民主主義
を、厳粛に
日本再建
の眞諦だとして
國民
に呼びかけられなか
つたの
であります。
民主主義
は
大衆
を閑却しておりません。
有産階級
は
國民
の五%もないのであります。九五%は
勤労大衆
でありますが、資本家の喜ぶような
政治
を行い、以て
大衆
を第二義的になされるお
考え
のごとくに感ぜられるのであります。
勤労者
の一家のことを御
承知
でありましようか。恐らく
総理
には一生御幸福に上流の御
生活
をなさ
つて
おられまするから、
吉田
首相には到底
勤労者
の家計のことはお行りになりますまい。
勤労者
は一生かか
つて
も貧乏は食つついておるのであります。闇をやるか不正をしなくては容易に金持にはなれない。親子数代生れ替り死に替
つて
も貧乏は付き纏
つて
おるのであります。額に汗して終日働き、
如何
に職場を変えようと思うてもその暇さえない、疲れ切
つた
身体で狭い暗い一間に帰
つて
雑炊を啜る気持を、一日でも首相がお味わいに
なつ
たなれば、一遍に画期的な政策の変更があるであろうと思うのであります。さなきだに終戰のどさくさの中に六百万の帰還者を迎え、戰災家屋と併せ四百万戸の住宅は
不足
し、思想は動揺し、節制を必要とする
民主主義
の育成途上において、却りて刹那主義、利己主義に陷りつつあることを痛感するものであります。首相においては
民主主義
を
國民
に徹底せしめる
方策
についてお伺いいたします。 又ここに改めて、首相がお見えになりましたから首相にお伺いすることがある。本日附の夕刊東京日日新聞の一面に、
吉田
氏百万円貫うという二号活字の見出しで、加藤女史が、繊維事件のうち他にも梅村清氏から献金を受けておる者があるとし、
吉田
首相も同氏から百万円を受取
つた
事実があり、その確証を握
つて
おるということを記者團に発表しておるということであります。誠に青天の霹靂と申しましようか、私は、少数党内閣とな
つて
おる
吉田
首相に、こういう問題が今日出たことは誠にお氣の毒で、(笑声)少くともこういう問題は今大事な場合に出なか
つた
らよか
つた
と思うのでありますが、(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)この綱紀粛正は現内閣におかれても重要政策の一つでありまするから、こういうことが発表せられましたることは誠に遺憾に堪えんのであります。これにつきまして首相の答弁を、弁明をお願いいたします。終り。(「お手柔らかに願います」と呼ぶ者あり)(
拍手
) 〔
國務大臣
吉田
茂君
登壇
、
拍手
〕
吉田茂
15
○
國務大臣
(
吉田
茂君) 中平君にお答えをいたします。お話の問題のことは、我が党に献金があ
つた
から、それで私から礼状を出して呉れということで、礼状を出したことはあります。併し梅村という人も会
つた
こともありませんし、直接交渉は何らないのであります。(
拍手
) 〔
國務大臣泉山
三六君
登壇
〕
泉山三六
16
○
國務大臣
(
泉山
三六君) 中平さんのお尋ねにお答えを申上げます。 先ず
企業合理化
と
労働者
の
配置轉換
は同時に行わるべきではないか、かようのことでございまするが、
企業合理化
に伴い生じます
失業者
の
配置轉換
につきましては、公共事業その他の面にでき得る限り適正なる労務配置を行うことが必要と
考え
、具体的に
対策
を考究いたしておる次第であります。次に
インフレ
の
処理
に関連いたしまして種々御
質問
があ
つたの
でありまするが、第一点、
政府
は
労働賃金
を抑えて
勤労者
の
生産意欲
がそれで向上することができると思うか、かようなお尋ねでありますが、
労働賃金
を不当に抑えることは勿論
生産意欲
の同上には相成らないのでございます。
企業
の能力を越えて、或いは他
企業
とのバランスを考慮せずに、名目
賃金
を徒らに引上げることは、我が國
経済
の現段階におきましては必ずしも望まないものではなく、その意味におきまして、
賃金
は一定の
企業
能力とバランスのとれました実質
賃金
を元にしなければならないものと思うのでございます。尚、
生産意欲
及び
企業
能率
の向上によりまして支拂能力が増加いたした際におきましては、
企業
の自主的責任によりまして
能率
賃金
が支給せられることは、もとより当然と認めらるべきものと
考え
る次第であります。 第二点といたしまして、
賃金対策
は、当然
労働力
の再
生産
を可能とする
賃金
を
最低水準
とすべきであると思うが
如何
と、かようのことでございましたが、
賃金
の
最低水準
の決定につきましては、種々の議論があるのでございまして、一概にこれを決し難い
事情
があるのでございますが、
経済
の
現状
に照しまして、要請いたされまする
生活
水準を支持し得るに足るだけのものであることにつきましては、もとより異論のあるべき筈はないのであります。 第三点、
インフレ
処理
は
人間
を出血せしめぬ
予算
措置
、
通貨処理
等によ
つて
行わるべきであると思うが
如何
、かようのお尋ねでございましたが、
インフレ
処理
の
方策
といたしましては、均衡の取れました健全財政の確立、
企業
の
経済
性、自主性の回復による
生産能率
の向上、
勤労者
家計の樹立等によりまして、
経済
の安定を図ることが急務と
考え
られるのでございまして、その過程におきましては、
企業
の
合理化
により
失業者
を出す等の止むを得ないこともあるかと存ずるのでありまするが、それには、もとより適切なる失業
対策
を同時に考慮いたし、その
犠牲
をなからしめることに努力いたす所存でございます。この際、
通貨処理
のごときは、現在の
経済
、
金融
各般の情勢に鑑み、適切なる方途とは
考え
られないのでございます。 尚、納税に関連いたしまして、
所得税
の
更正決定
に対する
審査請求
については、その実情に即して是正を行い、追
徴税
についても同様考慮を拂う
考え
があるか、ということでありますが、
更正決定
につきまして誤謬が認められました場合には、又不適当であると認められました場合には、
政府
はこれを是正するにもとより吝かではないのであります。能う限り速かに必要なる訂正を行いまして課税の公正を期したいと存ずる次第であります。尚、追
徴税
につきましては、税法の規定によりまして、これを徴収いたすものでございまするが、その
実行
に当りましては、納税の実情に即するように行わなければならないものと
考え
ておる次第でございます。 尚、
新興階級
の
増加財産
は、概ね公正とは言えないと思うのであるが、よ
つて
財産の再
調査
を行い、不当收入を摘発して以て課税の適正を維持する
考え
はないか、かようのことでございました。もとよりその御
所見
に対しましては同感の意を表する次第でありまするが、その
新興階級
に対しまする課税につきましては
政府
もあらゆる努力を拂
つて
おるのでございまするが、これらのものは、その所得の把握はなかなか困難なる
事情
がございまするので、先般國税査察官
制度
を設けまして、所得の著しく増大いたしたものなどにつきまして集中的なる
調査
決定を行うと共に、悪質なる脱税者に対しては國税犯則取締法等によりまして徹底的にこれを摘発することにいたしておる次第であります。以上お答を申上げます。 〔
國務大臣
大屋晋三君
登壇
、
拍手
〕
大屋晋三
17
○
國務大臣
(大屋晋三君) 中平君の御
質問
に対しましてお答えいたします。 第一点は、中小工業の
金融難
に対して、すでに決定されておりまする二十億の
融資
の
措置
は過少に失するが故に、五十億見当までこれを
増額
する意思はないかという御
質問
のように拝聴いたしました。誠に中平君の御提案の
通り
でございまして、中小工業全体の要望は優に六、七十億にも達しておるような実情でございますので、
政府
といたしましても五十億見当ぐらいまでは是非これを
増額
いたしたいと
考え
ておる次第でございます。尚、中小工業が輸出の
方面
に非常に重点を置いた
生産
であるが故に、速かに世界各地の見本を蒐集して
展示会
を各地に設けるような
施設
を
考え
ていないかという御
質問
でございましたが、これも誠に御尤もな御提案でございまして、在來も中央並びに地方に対しまする
展示会
に対しましてへ多少の
予算
を取
つて
いたしておりまするし、又各
業者
の團体のかような催しに対しましては
援助
をいたしておりまするが、更に
將來
に対しましては十分この点に留意いたしたいと
考え
ておる次第でございます。 〔
國務大臣周東英雄
君
登壇
、
拍手
〕
周東英雄
18
○
國務大臣
(
周東英雄
君) 中平君にお答えいたします。 第一点は、一
町歩
未満の地主の
土地
を開放しなければ、
農村
の
民主化
は徴底しないではないかという御意見であります。私共は
只今
のところそういうことを
考え
ておりません。いわゆる小作農というものに対して非常な
影響
力を持ち、いわゆる封建的な、非民主的な行き方であると
考え
てお
つた
ものは、主として大地主の問題でありまして、それらに対しましては御指摘のように第一次、第二次の
農地改革
を経まして、今日大部分その所有
土地
が小作農家に移轉せられ、又移轉せられつつある段階にありまして、これで大体自律自営農家の
建設
については目的を達して来ておるのであります。従
つて
今後の問題におきましては、むしろこれら折角できましたところの自作自営農家につきまして、その農家
経営
の安定と農業
生産
力増強の方向が探れるように、あらゆる農地
施策
を
考え
て行くことが喫緊の要務だと
考え
ております。第二点のお尋ねでありますが、今日
土地
の開墾政策を強力に進める必要はないか、こういうお尋ねであります。勿論適地につきましては、或いは引揚者に対して
土地
を與えるという点からいたしましても、
食糧増産
の立場からいたしましても、これは必要であると存じますけれども、今日まで行われておりました未墾地買上等り行き方は、ややともいたしますると、その
土地
の候補地につきまして科学的の研究はされず、ただ机上において割当買上が決定されておるような状況であります。この点は中平さんも御指摘のように、今後の
日本
の
國土
保全という立場からいたしますと、どうしても
治山治水
上、そこを開発して差支ないか、又は屯田屯地との関係において何らの
影響
を持たないか、或いは開きましても灌漑用水について
考え
られておるかというような面を
考え
て、適地を嚴選しで行くことが正しいと思います。その上におきまして、これは
政府
といたしましても開墾につきまして力を入れて行くべきだと、かように
考え
ております。もう一つのお尋ねは、
土地
の
交換分合
ということについて、どういうふうに
考え
ておるかということであります。これも第一に申しましたように、今後における農家の
経営
安定、
経営
の
合理化
というような点からいたしまして、是非
考え
なければならん問題であります。理論的にも
土地
の
交換分合
を進めて行くことが正しいと思います。ただ
実行
上におきましては地方の問題等いろいろの問題がございますので、目下それらの
実行
問題を考慮しつつ成案を急いでおりますから、立案ができますれば、いずれ御協賛を得ることになると思います。(
拍手
)
松平恒雄
19
○
議長
(
松平恒雄
君)
大藏大臣
より
発言
を求められました。これを許します。
大藏大臣
。 〔
國務大臣泉山
三六君
登壇
〕
泉山三六
20
○
國務大臣
(
泉山
三六君) 途中で失礼でありますが、昨日私にお尋ねがございました点につきまして、小野
議員
、矢野
議員
に簡單にお答を申上げます。 先ず小野さんのお尋ねの第一点、國有鉄道の会計
制度
は速かに公共
企業
体に帥慰した
制度
に改むべきではないか、かようのお話でございましたが、國有鉄道の会計間度は差当り國の会計
制度
についての諸
原則
によることにな
つて
おるのでございますが、御
承知
のように今回の改組によりまして、鉄道事業の高
能率
に役立つような公共
企業
体に朗應した会計間度をば樹立する必要を認める曉におきましては、これを改むるのに吝かではないのでございます。
質問
の第二点、観光事業振興につきましてのお尋ねでございましたが、観光事業は
貿易
外收支を稼ぎます上にも大きな事業の一つでございます。そこで
資材
と
資金
の許す範囲内で大いに振興いたしたいと
考え
ておるのでございます。次にタイヤの配給官廳の一元化についてお尋ねがございましたが、
政府
といたしましては、先般來自動車輸送力の適切且つ重点的なる運用を図るため、自動車等輸送
資材
等の有機的、総合的な運営を期する方途を
考え
ておるのでございます。それから自動車に関連いたしましてガソリン税のお話がございましたが、ガソリン税は現在のところでは、かようの新税を設けます
考え
はないのでございます。 尚矢野さんのお尋ねは、第一点、教育用品の
生産
、荷受
機関
等に対する
融資
に特別な
金融
機関
を設ける意思はないか、かようのことでございましたが、教育用品の
生産
、配給に対しまして、これを円滑にするために適切なる
金融
的
措置
が必要であることは御指摘の
通り
でございます。
政府
といたしましては御
趣旨
に副い得るように努めて参りたいと
考え
ておるのでございますが、ただ御要望の特別な
金融
機関
、かようのことになりますると、現在ではその
考え
は持
つて
おらないのでございます。尚、引揚者の現地におきましての
政府
貸上金の返済を早急に
実現
されたい、かようのお話でございました。この問題につきましては関係
方面
等の意向もございまして、又講和條約との関係、財政上の関係など各般の関連が非常に多いのでございまして、目下これが解決に鋭意研究を重ねておる次第でございますが、遺憾ながら早急なる解決は当面困難な
事情
があるのでございます。尚、最後に
水産金融
に対しまして切なる御要望とお尋ねがございましたのでございまするが、
水産金融
につきましては、
水産金融
の当面の切迫した問題につきまして先刻本院の御
決議
がございまして、私より
政府
としての決意を被瀝いたした次第でありまするが、尚更に先刻私の申上げました以上に、
復金
からの
漁業
関係への直接
融資
、この点につきましても、実は積極的に目下これが
実現
をせしむべく努力をいたしておる、かように御了承を願いたいのでございます。 〔
國務大臣
林讓治君
登壇
、
拍手
〕
林讓治
21
○
國務大臣
(林讓治君) 中平
議員
にお答えいたします。先程兒童の福祉の問題についての中平
議員
のお説御尤もでありまして、今日全國的にその機構の十分でないということを
政府
といたしましても認めております。現在のところでは兒童福祉
施設
が、公私合せまして二千五百四十六ケ所、これは本年の七月現在でありますが、一懸平均いたしますと五十ケ所の程度でありまして、未だ全國の町村中においても何らの設備のないようなものが尚存在いたしておるという誠に残念な実情にな
つて
おるわけであります。それで不良兒であるとか浮浪兒等の保護を要すべきところの兒童が尚昨今においても増加をいたすような傾向にあるのでありますから、これに対しましては、兒童福福法による兒童の保護等について十分考慮いたして見たいと
考え
ております。從いまして地方からの非常な要望もありまして、
昭和
二十四年度におきましては、この新設或いは拡張のために
相当
の経費を
予算
に
計上
いたして、そうして兒童福祉の増進に一段の努力をいたして見たいと
考え
ております。尚御参考までに申上げますと、養護
施設
、精神薄弱兒
施設
等に約五億七千万円ばかりのものを
計上
いたしております。それから保育所、母子寮、兒童厚生
施設
などに十五億足らずのものを
計上
いたしておりまするし、尚、乳兒
施設
、助産
施設
、虚弱兒
施設
などにつきまして六億五千万円と、それから兒童相談所、一時保護所というようなものに対しましては約三千二百万円ばかりのものを
計上
いたして、明年度の
予算
におきまして、できまするだけその筋とも了解を得まして、これらの
施設
を完全にいたしたいと
考え
ております。 尚、医療
施設
の問題につきましては、本年五月医療測度審議会の答申があり、又先に
社会保障制度
の実施に関するところの連合軍総司令部からの
勧告
もありましたので、致府といたしましては、これらの点を勘考いたしました上、第二回國会に医療法案を提出いたしまして御審議を願
つたの
でありますが、すでに医療法も
施行
せられましたが、同法においては今後都道府縣を中心とする公的医療
機関
の整備に努力することにな
つて
おります。併しながら医療法の
趣旨
は決して本來の医療
機関
の
経営
主体に変更を加えようとするものではないのでありまして、各
経営
主体が從前の
通り
國民
の医療確保のためにお互いに協力をして行くことが望ましいのでありまして、公的医療
機関
の運営に関し相互の連絡調整を図るがために、各都道府縣に運営審議会を設けることとしておるのでありまするが、從いまして
政府
といたしましては、医療のすべてを國営で行うというような意味における医療國営というものは今日のところ
考え
ておらんわけであります。尚、
國立病院
或いは
國立療養所
に対するところの問題でありまするが、
國立病院
は元の軍の病院をそのまま移管されたものでありまして、一般病院用としての設備が完全しでおらない。又戰時中より十数年間補修しないがために、各病院とも一時に補修せねばならない
状態
に実はな
つて
おるのであります。又
國立療養所
の場合も、旧療養團より移管されたものでありまして、建物も古くな
つて
おりますし、新設のものでも未完成のものなどがありまして、いずれも至急に完備する必要があると
考え
ております。一方、
予算
は補修用といたしまして、本年度においては公共事業費或いは営繕費等合ぜまして、約一億三千万円ばかりのものでありまして、これによ
つて
逐次整備をいたしておるわけでありますが、明年度におきましてば約二十九億八千万円を
計上
するように目下
予算
の
要求
をいたしまして、これが準備をいたしておるようなわけであります。次に
待遇費
につきましてはい新給與の切換に際しまして、一般共通の職員より優遇をいたしまして切換を行な
つて
、又癩であるとか、或いは結核、精神病等の療養所の勤務の
看護婦
その他直接患者に接しまするところの職員に対しましては、更に特殊勤務加俸を附加することに一應の了解を得ております。外に結核病棟であるとか或いは病理細菌検査室勤務者に対しまして、特殊勤務手当或いは往診手当、救護手当などを設けまして、目下その関係
方面
と折衝中なのであります。 次に
社会保障制度
の問題でありまするが、これは去る七月の十三日に先程もちよつと申上げたように連合軍最高司令部からの要望もありましたのと、アメリカ
調査
團の
報告
に基きまして、
日本
においても是非共にこれが実施をいたしたいという点から、
社会保障制度
の
調査
研究をいたしまする一つの
機関
といたしまして
社会保障制度
審議会を設置するの法律案を本議会に提出いたしたわけであります。従いまして今明日のうちに皆さんの御審議を願うようになると
考え
るのでありますが、これは多額の費用も要しますることでありまするから、その審議会の答申等を十分検討いたしまして、その厖大なるところの
社会保障制度
の完全を期したいと
考え
ておるわけであります。 尚中平
議員
から御
質問
の中に、
日本
が敗者たるが故に正義を主張して残留者の帰還を促進することができないのかという御
質問
もあられたように伺いましたのでありますが、そ連関係の地区におきましても、亦或いはその他の場所からも、尚帰還のできない方々のあることは誠に御同情に堪えないばかりでなく、私共も残念なことと痛感いたしておるわけであります。
政府
といたしましては、連合軍総司令部に今後も引続き帰還を促進いたしまするように懇請をいたしたいと
考え
ております。次に赤十字、ユネスコ、國連に想えて残留同胞の帰還を図る意図はないかというお話でありますが、御尤ものお話であります。先に万國赤十字その他の團体で、今次大戦の俘虜を速かに帰國させることに大いに御努力をして頂いたということは、常々誠に
政府
といたしましても感謝をいたしておるわけであります。今後におきましても、かような團体に一層の御同情を願いまして、速かに帰して頂くような工合に、この上とも努力をいたして見たいと
考え
るわけであります。(
中平常太郎
君「
青少年
の
悪化
問題」と述ぶ)昨今におきましては、
青少年
が次第に
悪化
する傾向にあるようでありますが、これらの点につましては、いろいろ保護を加えますとか、或いは里親
制度
というようなもの等も設けまして、その兒童の
悪化
せざるように、今後努めて見たいと
考え
ております。(
拍手
) 〔
政府
委員赤木正雄君
登壇
、
拍手
〕
赤木正雄
22
○
政府
委員(赤木正雄君)
建設
大臣に対する中平さんの御
質問
に対して、私からお答えいたします。第一の災害復旧が非常に不備で、これでは水害を防ぐことが困難である。こういうお話でありますが、御尤もであります。災害復旧は
原則
といたしまして、このまま放置して置くと又交通に直ぐ
支障
を來し、或いは
耕地
に非常に害を及ぼす。であるから取敢えず原形にこれを復旧するというのが災害復旧の
原則
であります。でありまするから災害復旧だけでは決して治水の完全を期することはできないのであります。もとよりこれに対しては、種々の
根本
計画
を樹立して、ぞの結果災害を防ぐ、こういうふうに持
つて
行かなければ本物にならないと思
つて
おります。でありますから
建設
省といたしましては、今後は治水の
根本
計画
によ
つて
仕事を重点的にや
つて
、その結果自然に災害をなくする、こういう本道に持
つて
行くという
方針
であります。次に戰災その他に関しまして、住宅の
建築
は、非常に少い。本年九月までに建てましたものは百三十七万戸であります。併し今以て三百余万戸の直ぐ建てねばならん家があります。殊に庶民住宅或いは重要産業労務者の住宅、これに非常に急を要するのであります。取敢えず本年といたしまして四十万戸を建てることにしています。この
資材
は十分確保する見込があります。この
資金
といたしまして、或いは國庫の補助金もか、地方の起債とか、或いは復
金融
資、これらを似て先程申上げました庶民住宅或いは引揚者、或いは重要産業の労務者住宅、これに充てますが、約それが十二万戸であります。ところがあとの二十八万戸は殆んど自分の
資金
で建てる、こういう情勢であります。ところが、こういう
インフレ
の傾向にありまするからして、この自分の
資金
が段々欠乏する故でもありましよう、むしろこの許可を申請して來るんが毎月減
つて
いる。こういう
状態
であります。でありますからして、この
資金
の面をどうするかということを我々は非常に研究しております。尚、今申したように四十万戸では非常に
不足
でありますから、來年度はこれをもつと建てたいという希望を持
つて
おります。以上お答えいたします。
松平恒雄
23
○
議長
(
松平恒雄
君) 中平君の残余の御質疑に対する
総理大臣
の答弁は後刻いたされるお申出であります。 ―――――・―――――
松平恒雄
24
○
議長
(
松平恒雄
君)
日程
第二、
科学技術行政協議会法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。先ず委員長の
報告
を求めます。内閣委員長河井彌八君。 〔河井彌八君
登壇
、
拍手
〕
河井彌八
25
○河井彌八君
科学技術行政協議会法案
の内閣委員会における審査の経過及び結果を御
報告
申上げます。 この案は前回の國会におきまして
相当
精細な審査を行いまして、最終の目に委員会の可決
報告
書を
議長
に提出して置いたのであります。然るに不幸にして同日の会議に上程することはできませんのでありました。そこで今期國会におきまして、昨日委員会を開きまして、前回における委員会の審査そのままを踏襲いたしまして、直ちに採決に入りまして、
全会一致
を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。 これより大体の
説明
を申上げます。科学技術の面上と普及とは一我が國再建の上において最も必要な條件であります。そこで科学技術の向上のために、先きに第二國会におきまして可決せられましたところの
日本
学術会議法、これは去る七月十日に法律として公布せられておりますが、それによ
つて
科学技術の向上をはどこまでも進めて行くという、この構想であります。而してその科学技術の向上をば行政面に徹底的に行わせる
方法
といたしましては、
政府
との間に立ちまして特殊の
機関
の必要があるのであります。即ち科学技術行政協議会、これがその役目を勤めるものであります。我が國の科学水準というものは、まだ先進國に比べまして遺憾ながら甚だ低いと言わなければなりません。殊に戰争におきまして大いに進歩が妨げられた観があるのであります。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 又その科学技術も、行政面において或いは又民間等におきまして本当に徹底して利用せられておるかと申しますると、そういうことは遺憾ながら甚だ不十分であります。即ち科学の向上と、それから科学の実施ということが、ばらばらにな
つて
おるというのが今日の実情であるのであります。そこで、その欠点を補いまして、どうか行政面において先ず以てこれが徹底せられるようにするために科学技術行政協議会が設けられるのであります。 そこで科学技術行政協議会はどういことをするのかと申しますと、
日本
学術会議から
勧告
した事項、或いは行政廳から学術会議に諮問をいたしまして、その諮問に基いて答申を得たその事項をば、
政府
各省各官廳等の行政機構に十分に反映させるような必要ね
措置
をとるという事柄、それから次には行政機構相互の間におきまして科学技術の連絡をいたし、十分なる調整をなすということ、又その外、
政府
が行うべき科学技術に関する國際的の事業を実施する
方法
などを審議する
機関
であります。審議
機関
でありまして議決
機関
ではありません。而してその
実行
者は
政府
或いは行政廳等がこれの
実行
に当るものであります。 協議会の組織は会長、副会長各一人、委員二十六人以内といたしまして、委員は関係行政官廳の官吏及び学識経験者の中から内閣
総理大臣
が任命することにな
つて
おるのであります。尚これに幹事二十人以内を置きまして、委員と同様、各行政職の官吏及び学識経験者から内閣
総理大臣
が任命することにな
つて
おるのであります。そしてこの委員にいたしましても幹事にいたしましても、いずれもその半数は学識経験者より選定せられるものとな
つて
おるのであります。更にごの事務を取扱うために事務局を置きまして、
総理
廳の所管とするのであります。尚この協議会を設置するところの経費につきましては、すでに第二回の國会において議決せられております総
予算
、即ち二十三年度の総
予算
に
計上
せられておるのでありまして、本年の六月から明年の三月まで十ヶ月分百二十万円を
計上
いたしてあります。而うしてその主要なるものは人件費であるのであります。又その法律の
施行
期日は明年一月二十日であります。これは、この協議会と不可分の関係にあるところの
日本
学術会議が明年一月二十日から出発するのであります。それと同時に
施行
する必要があるからであります。現に
日本
学術会議の
議員
の選挙は來る二十日にこれを行うことにな
つて
おることは諸君の御
承知
の
通り
であります。 委員会におきましては行政機構の簡素化、
能率
の増進、又同時に経費を節減するという等のことを最も大切に
考え
ておりまして、この点がら本案を考重に審議いたしたのでありまするが、すでに
予算
も通過しておることでありまするし、その経費も意外に謹少であるのでありまするので、これを認容いたしたのであります。又科学技術の研究に関することは最も今日の國策の
根本
として必要なことである、而してそれを行政面に十分に延ばして行くということは、又最も大切なことであるという点から、本案は
全会一致
を以て可決すべきものと決めたのであります。委員といたしましては、かように審議会の
重要性
を認めて、そうして積極的に更に活動をするようにという希望を述べた委員もおありにな
つたの
であります。その
予算
上の経費は割合に少額であるけれども、どうかこれは
國民
の負担をできるだけ少くするという意味において、少い経費であるけれども、十分なる活動を希望するという
考え
が強か
つたの
であります。大体かような意見を以て
全会一致
可決したのであります。この段御
報告
申上げます。(
拍手
)
松本治一郎
26
○副
議長
(松本治一郎君) 別に御
発言
もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君は
起立
を請います。 〔
総員起立
〕
松本治一郎
27
○副
議長
(松本治一郎君)
総員起立
とめます。よ
つて
本案は
全会一致
を以て可決せられました。 ―――――・―――――
松本治一郎
28
○副
議長
(松本治一郎君) この際、
日程
に追加して職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費至急額改訂に関し議決を求めるの件(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松本治一郎
29
○副
議長
(松本治一郎君) 御
異議
ないと認めます。先ず委員長の
報告
を求めます。労働委員長山田節男君。 〔「早く頼みます」と呼ぶ者あり〕 〔山田節男君
登壇
、
拍手
〕
山田節男
30
○山田節男君
只今
議題となりました職業安定湛第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件につきまして、委員会におきます審議の経過並びに結果について御
報告
申上げます。 先ず本議案の内容につきまして申上げまするが、先に第二國会に提出せられました職業安定委員会委員の旅費支給額は、本年六月三十日國会の議決を得まして直ちにこれを実施いたしましたのでありますが、最近の
経済
事情
、特に現在進行中の
物價
改訂等による
影響
によりまして、甚だしく低額に失するに至りました。これがため支給額の改訂につきまもて、職業安定法第十二條の規定に基き、これを両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならないことにな
つて
おりますので、ここに提案せられたものであります。その改訂支給一顧は一應官吏の旅費額を基準として定められたのであります。即ち今回官吏の旅費支給額につきまして、暫定的の改訂が行われましたので、職業安定委員会委員に対する支給額も、それに準じて改訂しようとするのでありまして、その増加額は一律に官吏の
相当額
の増加と同等に増加ぜしめた次第であります。その改訂旅費額はお手許に配付せられました印刷物の別表によ
つて
御覧願いたいのでございます。次に、本議案の目的とするところは、職業安定委員会の委員が委員会に出席する場合、又は実情
調査
等公務のために本邦内を旋行ずる場合におきまして、それに要する鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料等の旅費を増加支給して、職業安定委員会の機能を十分に発揮せしめんとするものでございます。 本委員会は十二月六日予備審査を行いまして、愼重に審議をいたしたのでございまするが、次いで十二月八日、衆議院との合同審査会を参議院において開催いたしまして、衆参両院双方の労働委員会理事が当該議案に関しましてそれぞれの労働委員会における審査の模様を
報告
したのでありますが、別段に
質問
もなく、討論に入り、採決の結果、右議案は合同審査会におきまして、
全会一致
を以て原案
通り
可決せられたのであります。次いで十二月十日、衆議院より本院に送付せられましたので、即日、本審査を行な
つたの
でありますが、本議案は
趣旨
内容が極めて簡單明瞭でございますので、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入りましたところ、
全会一致
を以て原案
通り
可決せられたのでございます。以上御
報告
申上げます。(
拍手
)
松本治一郎
31
○副
議長
(松本治一郎君) 別に御
発言
もなければ、これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の
起立
を請います。 〔
総員起立
〕
松本治一郎
32
○副
議長
(松本治一郎君)
総員起立
と認めます。よ
つて
本案は
全会一致
を以て可決せられました。 ―――――・―――――
松本治一郎
33
○副
議長
(松本治一郎君) この際、
日程
第四より第七までの
請願
及び
日程
第八の陳情を一括して議題とすることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松本治一郎
34
○副
議長
(松本治一郎君) 御
異議
ないと認めます。先ず委員長の
報告
を求めます。厚生委員長塚本重藏君。 〔塚本重藏君
登壇
、
拍手
〕
塚本重藏
35
○塚本重藏君
只今上程
せられました
請願
四件、陳情一件に関する
厚生委員会
における審議の経過並びにその結果を御
報告
申上げます。
請願
文書表第七号、
國民
健康保険の診療
施設
費國庫補助
増額
に関する
請願
、右の
請願
の要旨は、和歌山縣下は既設医療
機関
の乏しい山間海辺部である関係から、充実した
國民
健康保険による診療
施設
が必要であるので、これら
施設
の
建築
を
計画
いたしまして、創設費の三分の一の國庫補助を申請したのであるが、本縣のように災害が多くて財政の貧弱な縣では、地元の三分の二の負担は困難であるから、これら創設費については二分の一を國庫より補助せられたいというのがその
趣旨
であります。本委員会におきましては審議の結果、第三國会におきましても、すでに同一の
趣旨
の
請願
十二件と陳情二件を内閣に送付したのであります。本
請願
の事項は、地方財政法第十三條によ
つて
当然必要な財源についての
措置
が講じられなければならないのに拘わらず、これが
実行
できないことは甚だ遺憾であります。併し
政府
は二十三年度追加
予算
及び二十四年度
予算
において努力する旨の言明がありました。委員会は重ねて
政府
にこれが善処を要望し、本件は本会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
請願
文書表第十一号、
社会保障制度立法
に関する
請願
並びに
請願
文書表第十三号、社会保険
制度
の現実に関する
請願
、右の
請願
二件は、いずれも
社会保障制度
に関する
請願
でありますので、一括してその要旨を申上げます。健康にして文化的なる国民
生活
の保障を図ることは、民主國家
建設
の必要な要件であ
つて
、憲法に明記せられたる我が國家の基本
方針
の一つであります。然るに現下の
國民
生活
は辛うじて旧態そのままの救貧的立法による部分的
施策
に依存しているのでありま事。ために、
國民
は常に暗濃たる
状態
のままに放置ぜられていることは誠に痛歎に堪えないところであります。よ
つて
速かに
國民
の最低限度の
生活
を保障し、その福祉の増進を図るため、
社会保障制度
を樹立し、諸般の立法化を促進せられたいにいうのがその
趣旨
であります。これに対する
政府
の意向は、
只今
中平
議員
の
質問
に対し
厚生大臣
の答弁がありました
通り
であります。本委員会においては、すでに第一回國会以來、本
制度
確立促進に関する各種資料の蒐集を図り、逐次その
調査
研究をいたして來たのでありますが、その結果といたしましてう國会内に強力なる
調査機関
を持つべきであるとの強い要望が起りまして、目下その
実現
に関する手続を進めておる次第であります。よ
つて
本
請願
は、委員会の審議の結果、現下の
日本
における民主安定の
方策
としましても、
國民
最低
生活
の保障を目途とする融会保障
制度
の速かなる
実現
を図ることの必要を痛感いたしまして、本件はいずれも妥当なものとして、
議員
の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
請願
文書表第十二号、
社会事業基本法制定
に関する
請願
、右の
請願
の要旨は、現行の社会事業法が死文化されているために社会事業
施設
の運営が困難にな
つて
いるから、新時代の社会情勢に即應して、斯業の強力なる推進を図るため、あらゆる社会事業を網羅して、その基本的憲章たるべき社会事業基本法を制定し、例えば厚生、司法両省の保護事業等ま、これをすべて社会事業としての一元化を図ると共に、一切の公私の社会事業に適用し、その民主的運営を図るようにせられたいというのが、その
趣旨
であります。これに対しまして
政府
の
所見
を聴取いたしましたところ、本法制定に対しては、かねて現行の社会事業法の改正についても研究しおり、適当なる法案の提出を考慮している旨の答弁がありました。本委員会においては、第一回顧会以來、我が國社会事業振興に関する
調査
研究を続けておりまして、すでに一懸の成案を得て、その結果を諸君に御
報告
いたしましたところであります。かような次第でありまするので、議院の会議に付して、これを採択し、内閣には送付を要しないものと決定した次第であります。序でに申上げまするが、委員会におきましてはいこの問題について姫井
議員
、山下
議員
を中心として、本件の立法
措置
が
相当
に進んでおられることを申し博えたいのであります。 次に、陳情文書表第四号、戰争
犠牲
者遺族の
援護強化
に関する陳情について申上げます。この陳情は青森縣、茨城縣、福島縣、山梨縣、神奈川縣、静岡縣、大阪府、兵庫縣、岡山縣、山口縣、福岡縣、宮崎縣の各縣の遺族代表者から、一万六千六百十五名の署名を添えて陳情せられたものであります。その要旨は、戰争
犠牲
者中最も惨めな境涯にあるところの遺族に対し、その
生活
保護が公平を欠き、或いはその取扱に不徹底を極めていることは甚だ遺憾に堪えないから、これら遺族の
生活
実態を
調査
して、その援護
対策
の強化を確立せられたいというのが要旨であります。本委員会におきましては、審議の結果、第三回國会におきましても、すでに同一の
趣旨
の
請願
一件、陳情一件を内閣に送付しておりまするが、重ねて
政府
にこれが
対策
につき善処を要望いたしまして、本件は議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。以上簡單でありますが、御
報告
を終ります。(
拍手
)
松本治一郎
36
○副
議長
(松本治一郎君) 別に御
発言
もなければ、これより採決をいたします。これらの
請願
及び陳情は
委員長報告
の
通り
採択し、
社会事業基本法制定
に関する
請願
の外は、内閣に送付することに賛成の諸君の
起立
を請います。 〔
総員起立
〕
松本治一郎
37
○副
議長
(松本治一郎君)
総員起立
と認めます。よ
つて
これらり
請願
及び陳情は
全会一致
を以て採択し、
社会事業基本法制定
に関する
請願
の外は内閣に送付することに決しました。 これにて本日の
議事日程
は終了いたしました。次会の
議事日程
は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後零時二分散会 ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件 一、
日程
第三、
水産金融
に関する
決議案
一、
日程
第一、
國務大臣
の
演説
に関する件 一、
日程
第二、
科学技術行政協議会法案
一、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件 一、
日程
第四乃至
日程
第七の
請願
及び
日程
第八の陳情