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1949-01-27 第4回国会 参議院 法務委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年一月二十七日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件(昭和電工事件に関する件)   —————————————    午前十時五十三分開会
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これより法務委員会を開会いたします。藤井さんに丸山さんでございますね。御証言を願う前に宣誓をお願いいたします。宣誓書を朗読して頂きます。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 藤井  孝   —————————————    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 丸山 四郎
  3. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井さんからお聞きしたいと思います。丸山さんは控室でお待ちを願います。    〔証人藤井孝君着席〕
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井孝さんですね。
  5. 藤井孝

    証人藤井孝君) さようであります。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年はお幾つですか。
  7. 藤井孝

    証人藤井孝君) 四十二才であります。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事は。
  9. 藤井孝

    証人藤井孝君) 昭和電工総務部長であります。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出状を差上げたところですね。
  11. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの御経歴を簡單にお述べを願います。
  13. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私は昭和五年に高岡高商を卒業いたしまして、そうして常盤生命に入社いたしまして、以後日本自動車鎌倉山住宅地旭写眞、それから昭和化成秩父木材、これを歴任いたしまして、一昨年の五月に電工に入社したものであります。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原節三氏とはいつ頃からお知合ですか。
  15. 藤井孝

    証人藤井孝君) 常盤生命に入社いたしましたときに、その当時日野原君が課長代理をやつておりましたので、その頃の友人であります。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃から。
  17. 藤井孝

    証人藤井孝君) 十五年以來であります。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからの日野原さんとの関係程度は。
  19. 藤井孝

    証人藤井孝君) 大体以後……まあ三月や半年の狂いはありますが、日野原さんの入つておりますところは大体附いて廻つておるような状態であります。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和電工へはいつからお入りになつたのですか。
  21. 藤井孝

    証人藤井孝君) 一昨年の五月であります。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入られた理由は。
  23. 藤井孝

    証人藤井孝君) 当時、私昭和化成社長をしておりましたのですが、日野原さんが電工に入社いたしまして、金融機関のことを手傳つて貰うから電工に入つて貰いたいという話がありまして、それで五月に入社したようなわけであります。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入社されてからのあなたの地位は。
  25. 藤井孝

    証人藤井孝君) 当時財務部長をやつておりまして、七月に総務部長に送つたのであります。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重役ではないのですか。
  27. 藤井孝

    証人藤井孝君) 七月の総会で取締に選任されたのであります。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和電工には重役室祕書課総務部、こういうのがありますね。この職制の大要をお述べ願いたいのですが。
  29. 藤井孝

    証人藤井孝君) 職制と申しますと総務部のですか。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重役室祕書課総務部と三つありますね。
  31. 藤井孝

    証人藤井孝君) 重役室という職制はありません。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実上存在するのでしよう。
  33. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういう部屋はあります。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 部屋というか、機構めいたものはあるのでしよう。
  35. 藤井孝

    証人藤井孝君) 機構めいたものはありません。重役室には重役が入つておりますから、重役室と申しておりますけれども、別に機構にはなつておりません。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に重役附というか、そういうものはないのですか。
  37. 藤井孝

    証人藤井孝君) 女の子が一人か二人ありますが、それは雜用めいたもので、機構めいたものはありません。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書課と申しますのは。
  39. 藤井孝

    証人藤井孝君) 社長室とも言うております。これは他の会社祕書課というものと同じであります。総務部は私部長になつておりますが、文書株式厚生庶務渉外、この各課に分れておるものを統合しておるものが総務部でございます。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書課の主だつた人は。
  41. 藤井孝

    証人藤井孝君) 祕書課には砂原佐藤という二人の社員がおりまして、あとは大体女の人と若い子供みたいな者がおるだけであります。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 砂原と誰です。
  43. 藤井孝

    証人藤井孝君) 砂原佐藤であります。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 総務部の主だつた人ですね。総務部はあなた。
  45. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私が部長であります。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 下の人は。
  47. 藤井孝

    証人藤井孝君) 下に株式厚生渉外文書庶務これに分れております。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その主任の人は。
  49. 藤井孝

    証人藤井孝君) 次長吉田というのがおります。文書北岡庶務吉田が当時兼任しております。最近は変つております。それから渉外名前を度忘れいたしました。それから株式が福岡と申します。厚生名前ちよつと度忘れしたのですが。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 文書は。
  51. 藤井孝

    証人藤井孝君) 文書北岡
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渉外は思い出せませんですか。
  53. 藤井孝

    証人藤井孝君) ちよつと度忘れしたのですがね。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渉外は。石井というのは。
  55. 藤井孝

    証人藤井孝君) 石井部附であります。部附と言いまして。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 部附
  57. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ、総務部附であります。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 地位はどのくらいになるのですか。
  59. 藤井孝

    証人藤井孝君) 大体次長課長の中間になります。
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次長課長の。
  61. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは祕書課と兼任しておるのではないですか。
  63. 藤井孝

    証人藤井孝君) 祕書課は兼任しておりません。
  64. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書課仕事を多くやつてつたようですね。
  65. 藤井孝

    証人藤井孝君) 部附というのははつきりした担当する仕事がありませんので、丁度野球で言えばシヨートみたいなものです、どこへでも手傳うという意味仕事をしております。
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主に祕書課若しくは社長室仕事をやつてつたんじやないですか。
  67. 藤井孝

    証人藤井孝君) 主にというわけでありませんが、まあ祕書課手傳いをしておりました。
  68. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚社長室花田という人がおつたんじやないですか。
  69. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあおりました。
  70. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはどういう仕事をしておりましたか。
  71. 藤井孝

    証人藤井孝君) 総務部附きになつております。
  72. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとやはり石井君と同じような……。
  73. 藤井孝

    証人藤井孝君) 花田君は大体なんでございますね、新聞関係のまあお客さんに應待するということになつております。
  74. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それであなたのこの担当職務は何ですか、内容ですが、主だつた責任というものどういうものです。
  75. 藤井孝

    証人藤井孝君) 大体総務に属する仕事監督指導ということになつておりますが、私が最初財務部長をしておりましたから、当時私の後任者である財務部長の鳥巣君が非常に身体が弱いので、よく会社を休んだりしますので、市中銀行との金融関係なんかを私がやつておりました。
  76. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはよく世間で言うておりますが、いわゆる日野原直系としてですね、一切の機密に参画しておつたわけですね。
  77. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ世間でそう言われておりますね。
  78. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実もそうでありますね。
  79. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ大体において知つておりますけれども……。
  80. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和二十二年七月より同二十三年五月までの間において昭電制限会社令違反として支出した金額が約七千六百万円となつておるそうですが、どうですか。
  81. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私も檢察廳でその点大分嚴重なお取調べを受けたんです。それは機密費総額がそれだけと言われましても、その中に何が含まれているのかにもよるのです。例えて申しますと、社宅を建てたなんかも制限会社令に違反するという関係上、社宅を建てたというふうに帳簿に載つておらんものですから、それも機密費というふうに解釈されると、そのくらいになるんじやないかと思うのです、で、世間で言われるところの機密費というものと、そういうものとはちよつと意味合いが違うと思いますけれども、そういうものも含まれているだろうと思います。併し正確なる金額というものは、私にもちよつと計算が……、記憶というよりもむしろ計算ができておらんわけです。
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その間に、いま先に申上げました日にちの間に、帳簿上、正当に交際費会議費、それから秘書課雜費、いわゆる機密費、そういうような性質を有する支出が、約二千万円あるようですが、そうですか。
  83. 藤井孝

    証人藤井孝君) そのくらいはあるかも知れません。
  84. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで以上申上げました二口に合計は約一趣円弱の金員になりますのですね。
  85. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ檢察廳で話を聞きますと、そのくらいになるらしいのですが、私もその金額につきましては、何しておらないのですが……。
  86. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでその内訳を申しますと、大体費途は、使い途は寮とか社宅購入費、それから何にお使いになるのか分りませんが、株式購入費、それから秘書課の諸雜費重役高級社員顧問嘱託の諸手当及び賞與、それから眞正意味機密費、即ち接待費贈答品費贈賄費用等ですね、こういう五つ費目に分けられるのですね、大体の……。
  87. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  88. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その五つの中で、寮、社宅購入費とか、株式購入費とか、秘書課の諸経費ですね。それから重役及び社員顧問嘱託手当というのはどうしてこの費用から出したのです。
  89. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局制限会社令に違反すると思うのですね。まあ嘱託その他の手当にしても、役員の手当にしましても、制限会社令に違反するので、その許可を貰わなければなりません。その許可がなかなかちよつと貰えそうにないというので、そういうようなやり方をしておつたのです。
  90. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 名目はどういう名目で出したのです。
  91. 藤井孝

    証人藤井孝君) そのやり方は、私は経理の方は現実の面はよく分らないのですが、大体仮拂で出して、領收書をよそから貰つて來て、その費目使つたということにしておると思います。
  92. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この例えば第一の寮や社宅が余りに多過ぎるのですがね。
  93. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私の所の社員の数から申しますと、別に多過ぎるとも思いません。
  94. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社員はそこに泊めておりますのですか。
  95. 藤井孝

    証人藤井孝君) 泊つております。一部の寮は來客接待に使つております。
  96. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來客接待用として、いわゆる寮として、料理屋直営みたいのことをやつておるのでありませんか。
  97. 藤井孝

    証人藤井孝君) 料理屋直営じやあ……。
  98. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料理屋に行くわけにいかないので、寮という名目お客樣を呼ぶ。そこで社の人が飲んだり食つたりするという、そういう名目でこれを使つたのではありませんか。
  99. 藤井孝

    証人藤井孝君) 一部あります。
  100. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 随分遠方にありますね。箱根とかどこか、そういう所にもありますね。
  101. 藤井孝

    証人藤井孝君) あります。
  102. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全くそういうのが必要だつたのですか。
  103. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ自分たちは必要と思つたのです。
  104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 株式購入というのはどういうために……。
  105. 藤井孝

    証人藤井孝君) それも社長機密費のなにということについてはよく知らない点もありますが、結局ストライキになれば、組合員に全部喉首を締められてしまいます。すべて会計の方のいろいろなものが捕えられてしまいます。それに対する準備の必要があるということは、まあ考えておつたわけです。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 準備の必要というのは、株式に金を換えておつたのですか。
  107. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ結局株式に換えて置くかどうかということは一つのアイデアであつて、それと社長考えたプランなんですが、そういう必要があるということは私らも承知しておるわけです。
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうしても会社経営のために、株式を買つて置かなければならんというわけじやないのですね。
  109. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局ストライキや何かの準備ですね。
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことをされた場合に資金が止つてしまう。その場合に持つていた株式を金に換えて何らかに使用する。將來を慮つて貯藏しておつたというわけですね。
  111. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういうわけですね。機密費の貯藏は段々社内的にもうるさかつたのです。結局贈答品費というものにしましても、その金を出すということが非常に骨が折れておつたのです。多少ずつ用意して置こうという、こういう考え方はありました。
  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 必要なときにはそれを処分して、その金を運用するわけですね。
  113. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この秘書課の諸雜費というのは非常に多いわけですね。
  115. 藤井孝

    証人藤井孝君) 秘書課のですか。
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はあ。
  117. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ私ども考えまして、それは見解もいろいろありますけれども、何分私の所も図体が大きいものですから、雜費という点も他社から比較して見れば多いようではありますが、止むを得ざるものばかりだと思つております。
  118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この顧問というのは非常に多いのですね、主に顧問というのは官僚の古手の人ばかりを顧問に頼んでいらつしやいますがね。
  119. 藤井孝

    証人藤井孝君) その顧問と申しますか、まあどこの会社にも嘱託というのはございますが、その人たちの名誉のために顧問というふうに言つておるのでございまして、事実は嘱託という意味合のものでございます。
  120. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 無論あらゆる方面の人を嘱託にして置いて、そうしてお手当を出しておるらしいのですがね。
  121. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  122. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような費用内訳は……、その寮の購入費が約二千万円ですね。
  123. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  124. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 株式購入費が約二千二、三百万円ですね。
  125. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  126. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから秘書課の諸雜費が月約五百万円、それから重役社員顧問手当及び賞與が平常の月で五十万円ぐらいで、中元、年末等のあれをよせるというと、約一千万円ですね。
  127. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これらのあれが合計五千七百万円ぐらい出た、こういうことになるんですね。
  129. 藤井孝

    証人藤井孝君) 只今申しました通り、金額の点は私もはつきり分らないのでございます。
  130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し大体こんなような見当のことは聞かれたでしよう。
  131. 藤井孝

    証人藤井孝君) 大体そういう項目があることは分つておりますけれども、金額は今おつしやつたよう金額であるかどうかは私もよく分らないのでございます。
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 数字の違いはあるかも知れませんけれども、大体この程度のことは承認できますか。
  133. 藤井孝

    証人藤井孝君) そんなには金額はいつていないように思いますけれども、まあ略々近い金額があると思います。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですね。
  135. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、今の金額を大体控除いたしますと、まあこれは一つ目的が大体はつきりしておるのですけれども、勿論法令には違反することですけれども、それらの金額を除いた以外の純粹のいわゆる機密費というものが約四千万円ぐらい使われておるわけですね。
  137. 藤井孝

    証人藤井孝君) そんなには要つていないと思うのでございますがね。
  138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一億円近い……いわゆる九千六百万円ばかりの金から今の大体分つた金額を差引きますと、いわゆる機密費というのは四千万円ぐらい、こういうことになるのじやないのですか。
  139. 藤井孝

    証人藤井孝君) 数字の面の計算ではそうなりますけれども、私共の考えではそんなに要つていないように思いますけれども……。
  140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) で大体この四千万円の機密費内訳ですね。
  141. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現金で他へ送つた金額、これが約五百万円……。
  143. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その残りの三千五百万円は接待費贈答品費として使つておる、その接待費贈答品費割合は、いわゆる接待費が六割ぐらいだというふうに計算されるのですが、どうですか。
  145. 藤井孝

    証人藤井孝君) そんなものかも知れませんですね。割合で行けばですね。
  146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前に述べられました祕書課の諸雜費というのは、会社内で行う程度の小口の接待費贈答品費が大部分であつたんですか。
  147. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうであろうと思いますが。
  148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで今度これを外の角度から区別しますと、これらの接待費及び贈答品費合計賃五千万円ぐらいの中で、その五割が渉外関係に使われておるというのは。
  149. 藤井孝

    証人藤井孝君) 渉外関係の方は、私は殆んど英語をしやべれないせいもありますが、渉外関係面は私には殆んど分らないのでございますが。
  150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 半分ぐらい使われているんじやないですかね。
  151. 藤井孝

    証人藤井孝君) 可なり要つているということは考えられます。可なりの費用が要るということは考えられますが、その詳細は私には分らないんです。
  152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから今度違つた方面から角度を変えて計算しますと、この接待費贈答品費賞與現金の中、社長が直接扱つた分が千五百万円から二千万円、その他は祕書課渉外課、そういう方面で使つていると、こういうことが言えるですか。
  153. 藤井孝

    証人藤井孝君) 今のお話は大体それで当つているんじやないかと思います。
  154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電融資問題で、日野原社長昭電乘つ取り問題について、業界とか政界その他各方面でいろいろな疑惑を生じ、芳しくない風評が立つたのは、それはいつ頃からですか。
  155. 藤井孝

    証人藤井孝君) 乘つ取り事件なんぞという問題は、一昨年あたり、もうすでに社長が入りましてからそういう話があつたことは事実であろうと思います。
  156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それがやかましくなつて來たことは……。
  157. 藤井孝

    証人藤井孝君) 融資問題が一番うるさく言われたんだろうと思います。それは民自党の高橋氏が武藤委員長宛調査請求書ですか何かいうものを出された頃が始まりじやないかと思います。
  158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これに対して何か対策を講ぜられたですか。
  159. 藤井孝

    証人藤井孝君) 対策といつても、結局誤解に事は発しているわけですから、成るべく政界の人、或いはジヤーナリスト諸君会つて誤解であるということを話したいということがまあ私の考えであつたのであります。
  160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、これらの疑惑やそういう風評に対して何らかの了解運動をするとか、或いは情報を蒐集するとかいうことを感ぜられたわけですか。
  161. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局会つて話すれば誤解というものは解けるという考え方から、成るべく今申上げたように、会つて話をしたいという程度であつたのであります。
  162. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると会つて話したいという、了解するその目的事項はどういうことですか。
  163. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局高橋英吉氏の何とかいう……調査請求書ですか、それも一遍私誰かに貰つて見ましたんですけれども、殆んど誤解を羅列したようなものなんです。ですからそういう問題ですから、説明すれば分るというふうに考えておつたんです。
  164. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その説明すれば分るという事項ということを主として説明しようとするのですか。
  165. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局大体において融資問題は、十二億八千万という一昨年の暮パーミッシヨン貰つたという、まあ一般に十二億八千万の融資を受けたということと非常に混同されたわけであります。枠を貰つたということが融資を受けたのであるというように考えられた。ですから一昨年の兌換券の発行を二千億に止めたいという情勢のときに、何が故にそれだけの融資現実行なつたかというふうに非難されるわけであります。そこがすべての問題の端緒にされたのであります。現実には融資を受けたのでなくして融資の枠を貰つたのであるということのわけを説明すれば了解されるであろうと思いました。あと電工が車を二十台持つておるとか、日野原個人スキャンダルなんかが問題になつておりましたが、そういうことを話すれば、車が二十台もないことははつきりしておる。日野原個人スキャンダルの問題にしても話をすれば分るというふうに考えておりました。
  166. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 融資問題を中心にしていろいろ世間で批判することについていわゆる話をしたい、それで了解を得たい、こういうことが目的つたのですか。
  167. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうであります。
  168. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことをどういう方面にしようとしたのですか。
  169. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ大体專ら攻撃されるのはジヤーナリスト諸君と、それから政界といえば不当財委関係人たちがやかましく言つてつたわけですが、こういう人たちに話をしたいと思つておりました。
  170. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると新聞界とそれから政界とそれだけですか。
  171. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ほかにないですか。
  173. 藤井孝

    証人藤井孝君) ほかにはありません。
  174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この問題がいわゆる刑事問題にまで発展するということはお考えにならなかつたのですか。
  175. 藤井孝

    証人藤井孝君) 当時は考えておりませんでした。
  176. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃からそういうことを考えるようになつたのですか。
  177. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは闇事件理由に私のところの本社に捜査が行われましたが、そのときにまあ闇事件というものはすでに取調べの終了したものであつて、それを理由捜査ということは、これはほかに目的されるところがあるんだろうというふうに考えるようになつたわけです。
  178. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもあなたが関與しておつて制限会社令違反闇事件銀行への贈賄官公吏銀行員に対する接待贈答品等刑事事件に触れるとは思わなかつたのですか。
  179. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私は銀行員贈賄という問題でございますけれども、私はまあ法律の專門家でないせいもありますし、殊更に私も杜撰な人間なものですから、余りそういうことは氣をとつておりませんけれども、從來の日本の慣習から考えれば、銀行員歳暮を送つたくらいで刑法に触れるということは毛頭考えておらなかつたのであります。
  180. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特別の法律があるのですがね。
  181. 藤井孝

    証人藤井孝君) その点については私誠に申訳ないのですけれども、歳暮程度金品を贈つても、それは特別の莫大なものを贈れば別だが、歳暮程度のものが刑法に触れるとは考えておらなかつたのです。
  182. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しあなたの方の会社は大きいから、他の会社から比較すれば僅かのものと考えたろうが、世間一般常識から考えれば相当なものだというふうに考えるのじやないですか。
  183. 藤井孝

    証人藤井孝君) ざつくばらんに申しますと、昔、今から十年や十五年前ですと、盆暮にビールの五ダースや十ダースお使いにするということはあり得たと思う。併し今日五ダース、十ダースビールを揃えるということもできないから、ビールをお贈りする程度のものは別に私は特別に意味あるものとは考えておらなかつた歳暮だというふうに考えておつたのです。
  184. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 歳暮程度のものというのは、例えばどんな物を持つて行きましたか。
  185. 藤井孝

    証人藤井孝君) 銀行員にやりましたのは、そのときの金品檢察廳の調を受けた金額を贈つたわけでございます。まあ大体酒の三升とか、ビール五ダース、三ダース程度のものを贈るのは常識じやないかというふうに考えておつたのです。
  186. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昔ならビール五ダースは僅かのものですが、今では相当の金額になります。
  187. 藤井孝

    証人藤井孝君) 昔の考で、頭の切替ができておらなかつたのは申訳ないのです。
  188. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそういうことは罪になるとは思わなかつたとおつしやるのですが、それ以外に昨年の五月本社の家宅捜査を受ける前に、刑事問題に発展するだろうという予想をされたのではないでしようか。ですからこれに対するところの諒解運動をする必要がある、こういうふうにお感じになつたのではないですか。
  189. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私は当時はそう考えておらなかつたのです。
  190. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは法律を御存じないから、そういうふうに軽くお考えになつたかも分りませんが、すでに各工場に対する闇事件が起つて來るし、世間風評も高くなつて來るし、少くとも制限会社令違反という重要な事項もあるのでありますから、金銭の贈賄ということは慣行だから法律に触れることじやないと、こうお思いになるのは無理からんと思いますけれども、二、三大きい事例を取上げても刑事事件に発展するであろうということは考えられるのではないでしようか。
  191. 藤井孝

    証人藤井孝君) 工事の闇事件と申しましても、その程度は大したことはなく、私のところの工場でやつておりましたことは、それはそれまでに摘発されておりまして、それはそれまでに工場所在地の問題として大体局限されて取調が終了しておつたのですから、それが電工事件として取上げられるとは考えておらなかつた制限会社令違反という問題も過去において外の例を聞きましても、止むを得ずやつたものは、大体行政処分を受けたということを聞いておりますから、これが刑法上の問題になるというふうにまで考えておらなかつた
  192. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは他の制限会社令違反というのは金額も少いのですが、あなたの会社の方は相当の金額ですね。それは昭電としては僅か一億程度のものはなんでもないとお考えになるかも知れませんが、他の会社から見れば相当の金額ですね。そういうことが軽く済むとは考えられんと思いますが、常識的に……。
  193. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは他社に比較して金額は勿論大きいのです。その代り会社自体も大きいということを考えて比較して貰えば、それ程問題になるとは思わなかつたのでございます。
  194. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日一億円というと相当大きい金額ですね。これを全部機密費使つたということは相当問題になるのではないですか。
  195. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局他の会社なら小さな家一軒買えばいいところを、四、五十軒買わなければ社宅の用をなさんというような状態から、結局金額は上つたのですが、その点は自分も遺憾に思つておりますが、趣旨から言えば他社と何ら意味は違わないのだというふうに考えておりました。
  196. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体会社運営についてそう寮が三十も四十も要るということもちよつと常識を外れているように思いますがね。幾ら会社の機構が大きいからといつても、そういうことがどうしても世間にも問題になるし、從つてそういうことが刑事事件に発展して行くということは相当考えられますがね。お考えにならなかつたのですか。
  197. 藤井孝

    証人藤井孝君) その当時は考えておらなかつたのですが。
  198. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 方面を変えて、政界方面はいつ頃から了解運動にかかられたのですか。
  199. 藤井孝

    証人藤井孝君) やはり高橋英吉のあれを見てからだと思います。
  200. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その点はどこを通じてやつたんですか。
  201. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私の友人に、……日本経済におつた丹羽君等は私の友人であります。それから川俣清音氏が私の友人であります。その関係で紹介して貰いたいという話は私はしたんでありますが……。
  202. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは丹羽氏の方面ではなくして、政界方面は重政氏を通じ、松岡松平氏を通じ、大野伴睦氏を通じて民自党方面了解運動をしたわけではないのですか。
  203. 藤井孝

    証人藤井孝君) 重政氏関係は私は分らないのです。重政氏とは日野原は非常に親しく御交際願つておりますが、私は重政さんは、面識がある程度でありまして……。
  204. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたは……日野原氏がその方面を担当されたのですか。
  205. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。
  206. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この線はですね……。
  207. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。
  208. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから佐藤昇氏を通じて福家元代議士、この線を通じて西尾氏、社会党とこういう方面に働きをかけたのもこれは日野原氏ですか、あなたですか。
  209. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは私です。
  210. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたですか。
  211. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。
  212. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この右翼團体を担任されたのはあなたですか。
  213. 藤井孝

    証人藤井孝君) 別に右翼團体という意味でもないのですが。
  214. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体顔触れを見ると右翼團体ですね。
  215. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  216. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに丹羽氏を通じて頭山氏、津雲國利、こういう方面へは働きかけたのですかどうですか。
  217. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは丹羽君に頼んだのですが、別に右翼團体というふうに考えてやつたわけではないのです。
  218. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲やなんかは頭山満に亘る昭電に対して相当の非難を浴せかけておつたんではないですか、むしろ摘発するというふうに考えておらなかつたのですか。
  219. 藤井孝

    証人藤井孝君) 頭山氏は……そういう考えを持つておりません。私は……。
  220. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲が……。
  221. 藤井孝

    証人藤井孝君) 津雲氏は私が聞くところによりますと、いろいろ情報を檢察廳、警視廳へ持込んでおるという話は聞きました。
  222. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに対する了解運動をしなければならなかつたというように考えましたか。
  223. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは考えました。
  224. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こいつに対して働きかけるということは必要ではないのですか。
  225. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは考えております。
  226. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの直接ですね。
  227. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。
  228. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 石井を通じ、赤松を通じ、頭山氏の方へ入つてつたのは、日野原氏ですか、あなたですか。
  229. 藤井孝

    証人藤井孝君) 頭山秀三とは前から知り合いで、石井や赤松を通じなくても交際はあるわけです。で別にそういう考えはないのです。
  230. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは幾分かそちらから話をしろというふうで、お金は赤松の所で止つたらしいが……。
  231. 藤井孝

    証人藤井孝君) 初め私は赤松氏に金をやりましたかな。
  232. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一十万円かやつておりましたね。
  233. 藤井孝

    証人藤井孝君) 赤松氏にはそんなにやつておらないつもりでございますが……。
  234. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはあなたか日野原氏か。日野原氏がやつたのではないですか。
  235. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私はそんなにやつたことはありませんが……。
  236. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十一万円ということですよ。
  237. 藤井孝

    証人藤井孝君) そんな記憶はありません。
  238. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 赤松氏のところに止まつているのですね。
  239. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういう金額の記憶はありません。多少の金は赤松氏に行つているかも知れませんが、十一万という金額は記憶にありませんね。
  240. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 系統的に言うと、丹羽氏はそうすると右翼團体ということと、一面には又警視廳関係のことも含まれているのではありませんか。
  241. 藤井孝

    証人藤井孝君) 別に警視廳という意味はないですが、津雲氏が情報を警視廳に持ち込んでいるというような話を聞いたから、警視廳関係というふうに考えられてもいたし方ないと思いますが……。
  242. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに丹羽氏を通じ津雲國利、田中伊三次元代議士、それを通じて警視廳の藤田刑事部長その面へ行く線と、丹羽五郎氏を通じて元特高部長ですか、岡崎氏を通じて警視廳へ行く線と、それから水池、入江両顧問ですね、これを通じて警視廳ほ行へ線と、この三本の線を辿つたのではありませんか。警視廳は……。
  243. 藤井孝

    証人藤井孝君) 水池さんなんかは私は分りません。
  244. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏の方から……。
  245. 藤井孝

    証人藤井孝君) 日野原の方からは……。
  246. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですから日野原氏を通じて……。
  247. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは分りません。
  248. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳とか、右翼團体とかいうことを包括して、要するに丹羽氏の方に七十万円行つたのですね。
  249. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうでございます。
  250. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それがどう使われたかお分りになりませんね。
  251. 藤井孝

    証人藤井孝君) 聞いておりません。
  252. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丸山氏に対するものはどういう関係です。
  253. 藤井孝

    証人藤井孝君) 丸山君は結局私電工におりまして、政経部のジヤーナリスト諸君とは割合に知合いがあるのでございますが、社会部の人たちには殆んど知合いがないのでございます。丸山君に、社会部の人たちと丸切り交際がないから、ちつと紹介して呉れよというふうな話をしておりましたが、何かなんでございますな、時事新聞でございましたか、二面一ぱい大きく問題を、事件を出しましたときに、こういうふうに大きく取扱われちや我々としても困る場合も出てくるので、ジヤーナリスト諸君が事の眞相を述べられるということは、これは仕方ないのでございますが、成るべく会社側の人間とすれば事を穏便に取計らつて欲しいという考えから、丸山君はジヤーナリスト諸君に友人関係が多い者でありますから、丸山君に一つ何とか話をして欲しいというふうに話をした結果なのでございます。
  254. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 依頼された趣旨はそうでしようが、依頼した頃はいつ頃のことです。
  255. 藤井孝

    証人藤井孝君) ですから、時事新聞に記事が出てからだと思いますが……。
  256. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに費やされた費用は四十八万円というのですか。
  257. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは何か私が……。丸山も正直に申しまして、金はなくて生活費をちよつと貸して呉れといつてつてつた金が入つていると思います。
  258. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれいろいろな名目で渡されたんでしようが、結局個人に使われた金もありましようし、運動に使われた金もありましようが、要するに丸山氏に渡された関係の金は四十八万円ですか。
  259. 藤井孝

    証人藤井孝君) それくらいに亘るらいしですね。数回になつているものですから、私もはつきりした記憶がありません。
  260. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは先程からおつしやる、要するに新聞界方面に対するところの了解運動に費やした費用でございますね。
  261. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういうふうに考えております。
  262. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この丸山氏を通じて以外には言論界方面に運動をなさつていないんですね。
  263. 藤井孝

    証人藤井孝君) やつておりません。
  264. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程ちよつと系統的にお伺いした場合に出ましたこの丹羽五郎氏ですね、遠山秀三、この関係を簡單に述べて頂けませんか。
  265. 藤井孝

    証人藤井孝君) 丹羽五郎君と藤山秀三ですか。
  266. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  267. 藤井孝

    証人藤井孝君) それの関係でございますか、私の知つております範囲は、丹羽五郎君は遠山氏と何と言いますか、昔の言葉で言えば親分子分と言いますか、まあ盟友と言いますか、そういう関係だと思つておりますが。
  268. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでこの両氏に頼まれたんですね。目的は。
  269. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ、結局津雲氏の件が皮切りになつたと思つております。
  270. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで押えるというわけですか。
  271. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  272. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲氏のその何と言いますか、摘発運動を押えるという意味ですか、そういう意味で……。
  273. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういう意味です。
  274. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう過程でお話になつたんですか。
  275. 藤井孝

    証人藤井孝君) その話した順序ですか。
  276. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  277. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは結局丹羽君が私の所へ訪ねて來たときに、丹羽君にその話をですね。私、それまでに津雲氏がいろんなそういう動きをしているという話を聞いておつたんで、丹羽君に、あれ何とかならないかというふうに話をしたと思いますが。
  278. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで実際やつて呉れたんですね。
  279. 藤井孝

    証人藤井孝君) 話はつけてくれたと思います。
  280. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲氏の話は、それは着いたわけなんですか。
  281. 藤井孝

    証人藤井孝君) 着いたと思つております。
  282. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは丹羽氏と遠山氏と両方から話したんですか。
  283. 藤井孝

    証人藤井孝君) 丹羽君に話せば遠山秀三に話をし……。
  284. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 遠山氏に話かけて呉れたんですね。
  285. 藤井孝

    証人藤井孝君) 押えて呉れるわけです。
  286. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その目的はそれで達したんですね。それと一面には、それから警視廳関係ですね、了解運動をして貰うように附随的に併せて頼んでいるわけじやないんですか。
  287. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ、それはよろしくという程度であつて、具体的には頼んでおらんと思うのでございますね。
  288. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中伊三次ですか、警視廳へ話をしたのは、あなたの依頼の趣旨に入つているんですか。
  289. 藤井孝

    証人藤井孝君) 田中伊三次の件は私は知りません。
  290. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向うがあなたの意思を体して、よろしく頼むという包括的な依頼に基いて、そういう人を選定して……。
  291. 藤井孝

    証人藤井孝君) やつて呉れたとすればですね。そうであろうと思うんです。
  292. 伊藤修

    委員長伊藤修君) やつてつたことは事実らしいですがね。
  293. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうですか、やつておることに、よろしくと言つたことでやつて呉れたんだろうと思います。
  294. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 包括的趣旨を体してですね、具体的にそういう人を、適当な人を選定して、そして警視廳方面へ話かけて呉れたわけなんですか。
  295. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうだと思いますな。
  296. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは具体的のことは御相談になつていないんですね。
  297. 藤井孝

    証人藤井孝君) 相談しておりません。
  298. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 報告はどうですか。
  299. 藤井孝

    証人藤井孝君) 報告も聞いておりません。
  300. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全くあなたの包括的の御趣旨でやつて、そのままになつているわけですね。
  301. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうだと思いますな。
  302. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この丹羽五郎氏から今度は津雲を経て、田中を経て警視廳へ話した線でなくして、丹羽五郎氏から岡崎英城ですね、この人を通じて警視廳へ話したことはどうですか。
  303. 藤井孝

    証人藤井孝君) それはあります。
  304. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはあなたが選定したわけですね。
  305. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私も日野原もそれは遠山秀三の所で飯を食う会か何かがあつたときに、一諸になつたときに私が、どうも最初会つた記憶ははつきりしていないんですが、遠山秀三の所で飯を食つたのが始まりじやないかと思うんですがね。
  306. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで一つ警視廳の方へ頼むということになつたんですか。
  307. 藤井孝

    証人藤井孝君) それであの人は警視廳に居た人だということで、それで私は頼みに行つたと思うんです。
  308. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それであなたは直接頼んだわけなんですか、岡崎氏に。
  309. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうです。頼みに行きました。
  310. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような趣旨で。
  311. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局問題になつていることは先程申しましたように、誤解が非常に多い。それでまあお取調べを受けるに当つては、何とか一つ穩便に祕密裡に金融関係なんかもあるものですから、祕密裡に何とかお願いしたい。そういう意思を傳達して欲しいという意味であつたんです。
  312. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことでございますか。
  313. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは確か、捜査を受けた以後であろうかと思うんでございますが。
  314. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家宅捜索を受けた……。
  315. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  316. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは祕密裡に捜査して呉れということですか。
  317. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ、まあその意思を傳達して欲しいというふうに頼んでおるんでありますがね。
  318. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうわけでそういうことになるのですか。祕密裡にやつて呉れというのはどういうためですか。
  319. 藤井孝

    証人藤井孝君) やはり金融関係や何かにもああして新聞にでかでかと出ると、結局金融関係なんかにも直ちに影響するものですから、そういう意味で、成るべく祕密裡にやつて欲しいというふうに希望したわけなんでございます。
  320. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは留置するとかそういうことをしないようにということも言つているのじやないですか。
  321. 藤井孝

    証人藤井孝君) それも私の希望としては述べてあると思います。
  322. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 述べてあるのですね。
  323. 藤井孝

    証人藤井孝君) 述べたと思います。
  324. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 恐らくそうでしようね。祕密裡にやつて呉れというくらいだから、それは岡崎氏を通じて藤田氏に話したのですか。
  325. 藤井孝

    証人藤井孝君) 藤田氏に話して呉れたと思うのですが、その際の方法については私は別に口を出していません。
  326. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秦野捜査第二課長にも話したわけですか。
  327. 藤井孝

    証人藤井孝君) さあ、話したかよく知りません。
  328. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは御存じない。
  329. 藤井孝

    証人藤井孝君) 知りません。岡崎さんの言つた策については私の方でどなたにそういう了解を求めて呉れとか、頼んで呉れとかいうことは言つておりません。
  330. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳に話して呉れという問題はその主管の、係の人に話して呉れということはその言葉自体で分りますね。
  331. 藤井孝

    証人藤井孝君) ですから、もうあとは藤田さんか、秦野さんかそういうことは私も分らないのです。
  332. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方は指定する必要ないわけですね。然るべき当面の責任者に話して呉れることは当然のことですからね。
  333. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  334. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その報告はあつたわけですか。
  335. 藤井孝

    証人藤井孝君) 別にありません。
  336. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お聞きにならなかつたのですか。
  337. 藤井孝

    証人藤井孝君) 聞いておりません。
  338. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頼みつぱなしですね。
  339. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうでございます。
  340. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頼んで置けば効果はあると思つたのですね。
  341. 藤井孝

    証人藤井孝君) そのときは私の方ではそう思つてつたのです。
  342. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この十五万円は誰が渡したのですか。
  343. 藤井孝

    証人藤井孝君) 岡崎氏に金が行つているということはですね。私が渡したのはないのでございます。
  344. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰から渡したのですか。
  345. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局日野原が渡しているのじやないかと思われることと、丹羽君が岡崎氏に届けたかも知らんと思つております。岡崎氏に金が行つているとすればですね。その点私はつきりした何は持つておらないのでございますが。
  346. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 苦し日野原がしたとすれば、石井、赤松、丹羽を通じて岡崎に行つたと、こういうことになるですね。
  347. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういうふうに考えられます。
  348. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれにしても岡崎に十五万円は渡つているらしいですがね。
  349. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  350. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは岡崎氏個人の運動費ですかね。警視廳に行つているのですか。
  351. 藤井孝

    証人藤井孝君) 個人の運動費だと思います。お車代だと思うのですが、丹羽君もそんなことを言つたことがあるのですから。お車代届けなきや惡かろうというようなことを丹羽君言つた記憶がありますから。
  352. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると結局はね、今申されました、この渡邊、津雲、岡崎とこういう方面了解運動をされたということは、刑事問題になることが結局はつきりして來たわけですね。
  353. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうでございます。
  354. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから捜査についての情報をとるということも大きな一つ目的になるわけですね。
  355. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ聞かれれば、得られるならば情報を得たかつたわけです。
  356. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 得たいわけですね。あなたの方としては。そうしてかたがた仮にそれが進展して來るにしても祕密裡にして貰いたい。且又拘留逮捕というようなことも極力避けて事件捜査して貰いたいと、こういう希望を拘いておつたのですね。
  357. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。希望は持つております。
  358. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だからその趣旨もお願いしたわけですね。通じたか、通じないかは別問題として、あなたとしては。
  359. 藤井孝

    証人藤井孝君) 通じたつもりでおりますけれども。
  360. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 通じたつもりで依頼されたわけですね。
  361. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  362. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政を通じて、あなたは政界方面と直接関係していないんですね。
  363. 藤井孝

    証人藤井孝君) しておりません。
  364. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですから、その方法とか、結果とかいうものについては御存じないわけですね。
  365. 藤井孝

    証人藤井孝君) 知りません。
  366. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本件に対して弁護士を沢山頼んでおられるんですがね。この弁護士の選定が、多く前大官の人を依頼されておりますね。追放関係にある前大官の人を依頼されていますが、これがいわゆる、そういう人を殊更に選んで、檢察の第一陣にある人に対して、過去の職責上の地位を利用して何らかの圧迫運動に資するのじやないかという疑いがあるのですがね。
  367. 藤井孝

    証人藤井孝君) それはやはり誤解なんでございますね。
  368. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この選定方法は、どうしてこういうような人ばかり選定したのですか。
  369. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局でございますね。太田耐造君が私の所の顧問弁護士になつておるわけです。顧問弁護士になつて、それでまあ太田耐造君が顧問弁護士だから、それで太田耐造君に私どもが……、太田耐造君が選定したというよりも、太田耐造君にどういう弁護士さんがおるかということを聞けば、やはり彼も知り合の人を言うわけですね。それではあの人も頼もう、この人を頼もうという結果にもなつたんです。又一面日野原の友人関係の紹介の人もあつて、偶然に前大官が揃つたというのであつて、必ずしも前大官を揃えるために揃えたというわけじやないのでございますよ。その点は可なり誤解があると思うのです。
  370. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程から伺つておりますと、あなたの方でいろいろの情報をとりたいということが一つあるでしよう。それから、でき得べくんば事件了解して進展を阻止したい。万止むを得んければ、仮に進行するとしいも、いわゆる逮捕とか勾留とかいうような結果に至らんように事件を処理して行きたいという大きな目的があるわけですね。そのためにいろいろな、各方面に手を延しておいでにおるのですね。從つて弁護士陣の方もその趣旨に副う、又利用價値のある人を選ぶということが常識的に考えられるのですね。意識的にそういうふうになさつたのじやないですか。
  371. 藤井孝

    証人藤井孝君) 意職的じやないですね。
  372. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうしてそれを利用されたんじやないですか。
  373. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういう意味じやないのです。結局前大官が揃つたということは偶然なんですね。
  374. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうして、檢察方面のいわゆる情報を蒐集されたんじやないですか。
  375. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういう意味じやないのです。
  376. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又依頼されたんじやないですか。
  377. 藤井孝

    証人藤井孝君) それも勿論弁護士には依頼はしますけれども……。
  378. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士に依頼されることは当然だけども……。
  379. 藤井孝

    証人藤井孝君) 併しそういう意味であの弁護士さんを頼んだわけじやないのです。
  380. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体あなたのお分りになつておる……、大体お分りになつておるでしようが、どんなような人ですか、名前は。
  381. 藤井孝

    証人藤井孝君) 松坂、黒川さんですね。それから太田耐造氏、それから太田耐造氏の所に玉澤、桃澤、秋山氏、清原氏それから島田さんと、このあたりを記憶しております。
  382. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 依頼された時間はまちまちですか。
  383. 藤井孝

    証人藤井孝君) まちまちでございます。
  384. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家宅捜査を受けたときを標準にしますと……。
  385. 藤井孝

    証人藤井孝君) 家宅捜査を受けたことを準備にしまして……。
  386. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家宅捜索というのは、昭電の本社を捜索されたこと。
  387. 藤井孝

    証人藤井孝君) あれから間もなく弁護士さんを頼んだのだと思います。
  388. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前は……。
  389. 藤井孝

    証人藤井孝君) その前田太田耐造君がずつと顧問弁護士をしておりますから、別に頼んでおらんと思います。
  390. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから外の人に頼んだのですか。
  391. 藤井孝

    証人藤井孝君) はい。
  392. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護團に対する費用は。
  393. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私、入りますまでは、接待費や何かで二十五、六万くらい出ておるのではないかと思います。接待と申しますか。打合会費その他で二十五、六万出ておつて、まああとは個人で車代を持つてつたのが、日野原があるのではないかと思うのですが……。
  394. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もつと何百万円というものが出しておるというような噂があるのですがね。
  395. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは全くのデマですね。まあそう考えられるという意味のデマであると思つております。
  396. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電で多数の顧問嘱託を置いたということを先程お話があつたですね。その目的は一体どういう目的ですか。
  397. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ目的は何でございますね、いろいろありましようけれども、義理合いというような問題もありましようし、まああの人を嘱託に頼んで置けば又何か役立つ場合もあろうというような軽い意味で頼んでおるのではないかと思います。
  398. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうじやなくて、いわゆる昭電を乘つ取つてから、世間の非難も多いし、反対も多いし、それから又融資問題という大きな問題もあるわけですから、そういう便宜を得るために、それをスムースに運ぶために、あらゆる官界方面の古い人をこういう顧問嘱託に採用して、これらの人を全部機会あるごとに動かす、必要のたびに動かすと、こういう趣旨から陣容を整えたのですないですかな。
  399. 藤井孝

    証人藤井孝君) 必ずしもそうではないと思いますがね。
  400. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうも水池、入江というような人は前歴から言つても、その人を動かした範囲から言つても、警視廳方面にそれを利用するというために嘱託にしたように思われるのですがね。
  401. 藤井孝

    証人藤井孝君) それはそうでもないと思うのですよ。
  402. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ほかのことにちつとも使つていないですな。
  403. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ水池、入江両氏については、私は余り附合いがないものですから、どういうふうに動かしておつたか、私にはちつとも分らないのです。
  404. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたには相談なかつたのですね、
  405. 藤井孝

    証人藤井孝君) 相談ありません。
  406. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年六月の二十三日日野原節三氏が逮捕されましたですね。
  407. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  408. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前日からの事情を一つ詳しくおつしやつて頂きたいと思います。
  409. 藤井孝

    証人藤井孝君) 前日、二十二日でございますね。二十二日は、これは随分檢察廳、CIE方面からも聞かれたのですが、二十二日夕方に麻布の羅久という旅館で弁護士の打合会があつたのです。その弁護士の打合会に、私が一番先にあの旅館に行つてつたと思うのです。そうして弁護士も揃つたので……。
  410. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰と誰。
  411. 藤井孝

    証人藤井孝君) 松坂さんに黒川さん、太田氏と、玉澤君は來なかつたと思います。清原さん、秋山さんも見えたのではないかと思いますが、この人数ははつきり覚えておらんのです。太田氏が來たことは確かです。そのときに、私先へ行つてつたときに太田氏が來てまして、日野原危險なりという話を私にしたわけです。
  412. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰が。
  413. 藤井孝

    証人藤井孝君) 太田君が、そのときに太田君が私にした話の概要を申上げれば、結局津田を引つ張られて、商工省の津田君ですね、津田君を引つ張られて、贈賄という事実が日野原にあるということが分つて、逮捕されるかと思つていたが、日野原は逮捕されなかつた。然るに今度野見山という新事実が現れたという形になつた。そうすると、自分の長い間の過去の経驗から言えば、津田だけで日野原に逮捕状を出す理由にはいささか小さ過ぎる。野見山という新事実が現れた場合に、併せて一本という場合はあると、それは過去においてそういうことは幾らもある。それと逮捕されるということは通常相手方が起訴されるか否かというその寸前に逮捕されるのが常識だから、この二、三日は非常に危險であるという話をした。それで私も、是非日野原にもそういうふうに話をして呉れ、太田君にそう言つてつて、間もなくほかの弁護士さんも見えたものですから、打合会が始まつてしまつて……、その日は日野原は非常に遅く参りまして、可成り打合会の話が済んで酒が廻つた時分に日野原が來たのです。
  414. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは何時頃行つたのですか。
  415. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私は五時という約束であつて、宿屋に五時に行つて、一番先だつた思うのです。
  416. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士さんが揃つたのは何時頃ですか。
  417. 藤井孝

    証人藤井孝君) やはり六時頃だつたのじやないかと思いますが……。
  418. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原さんが來たのは……。
  419. 藤井孝

    証人藤井孝君) 日野原が來たのは帰る頃ですから、私の記憶では八時か九時頃に終つたのですから、八時頃だろうと思いますが、時間の関係ははつきり分りません。酒になつてから日野原が來たというふうに記憶しております。そうして太田君にその話をしておりましたですから、その幾羅久での会合の後日野原に話をしてやろうということになつておりまして、それでほかの弁議士さんが帰られて、私ども幾羅久を出たのですが、近くに私の元いた会社の寮がありますから、そこへ三人で行きました。
  420. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰と……。
  421. 藤井孝

    証人藤井孝君) 日野原さんと太田さんと私の三人だと記憶しております。そこで太田君の観測を日野原に話をしてやつたわけです。太田君と別れたそのときの話は、その寮での話は、こういう状態で、君はともかく逮捕寸前にあるという考え方をしなければいかんから、自分の態度なり考え方もそういうつもりでなければいかんというふうに太田君に言われたわけですが、それはどう言われたところでもうしようがないことですから、先ずともかく在宅調でも一つ先生骨折つて呉れと言つて別れたのです。それでそれぞれ自分の家に帰つたのですが、太田君が翌日の朝黒川先生をお訪ねしたいのだけれども、車を貸して呉れんかと日野原に言つたら、日野原は貸しましようと言つて別れたわけです。私が家に帰つたのは、その時間がはつきりしておらんのですけれども、大体九時か十時頃であろうと思うのですが、家に帰りまして、そう言つてはおかしいが、一杯飲みまして寢んだのですが、そのときに他所から電話があつたわけです。その電話は私は丸山だろうと思うが、これは自分の記憶ですから、はつきりした証言ではありません。そこで電話があつて日野原危險なりという電話だつたのです。太田君にそう言つて驚かされた後又そういう電話があつたので、私は自分の氣持としては可成り何と言いますか、相当苦慮しておつたわけです。それでそのまま寢んだのでございますが、ちよつとうなされたらしいのです。寢つきが惡くて、……それで家内に起されると、どうも氣になるのです。で、それから運轉手を起して日野原の家に参りました。
  422. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 朝ですか。
  423. 藤井孝

    証人藤井孝君) 夜です。
  424. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時頃……。
  425. 藤井孝

    証人藤井孝君) 夜十一時か十二時頃だつたと思いますが、時間は分りません。それで行きまして、日野原に、自分はともかく明日松坂先生の所にもう一遍行つて頼んでみようと思う。在宅調なんかを弁護士として一つよろしくやつて貰いたいと言つて頼みに行こうと思います。あなたも明日太田さんのところに車を廻すのだから、それに乘つてつて頼んだらどうかという話をした。それではそうしようというので、その晩は帰りまして、私は家に帰つて寢んだわけです。それから二十三日のことですが、よろしゆうございますか。
  426. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、よろしゆうございます。
  427. 藤井孝

    証人藤井孝君) その日はもうそれで日野原に会いませんで、翌日の朝松坂先生のお宅に伺つて……。
  428. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた一人ですか。
  429. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私一人です。
  430. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏は行かなかつたのですね。
  431. 藤井孝

    証人藤井孝君) 日野原氏は行きません。前に申しましたように、太田さんの所に車を廻すのなら、一緒に乘つてつて頼めと言つて別れたのです。私だけが松坂先生のお宅に伺つたのです。先生はまだ飯前で、何ですか、こんなに早く……逮捕状でも出たのですかと言うのです。いや、そういうわけじやないですけれども、太田さんが昨日こういう工合に言われたし、私もどうも不安でしようがないから、先生に在宅調ということを何とか頼んで貰えんでしようか、というようなことで來たのですということを話しました。それじや車で一緒に出て、檢察廳に私もう一遍行つて見ましようか、こういう話で、それで私その車に乘つて、そうして途中で私は会社の前で降りたのです。松坂先生は檢察廳へ行かれたわけです。私が会社へ行つて間もなく、警視廳の渡邊警部補が入つて來たわけです。社長は來ておるかと言うから、來ておりません。いつ頃來るかと言うから、いつも九時までには大体來るのだが、用事があれば遅くなる場合もあるという話をしておつた。すると、今日は部屋ちよつと見せて貰うかも知らんと言うから、私立会う必要がありますかと言つたら、立会う必要はないと言つた。それで何かそのとき弁護士からの電話があつたと女の子が言つたものですから、太田君の所だろう……。それは前日太田さんの事務所からかかつた電話を私に傳えるのを忘れておつて、その日言つたらしいのですが、そういう話があつたものですから、私は渡邊警部補に出てもいいと聞いたら、出てもよろしいと言うので、太田君の事務所に行つたら、まだ誰も來ておりません。暫く待つてつて、凡そ十時ごろじやないかと思いますけれども、松坂先生と太田さんとどつちが先に入つて來たのか記憶がありませんが、事務所に見えたわけです。
  432. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 太田さんの事務所にあなたが待つているところへですね。
  433. 藤井孝

    証人藤井孝君) ええ、太田さんが入つて來たのが早いのか、松坂さんが見えたのが早いのか分りませんが、見えたのです。そのときに始めて逮捕状が出たということを私聞いたのです。
  434. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どつちか聞いたのです
  435. 藤井孝

    証人藤井孝君) どつちか先に來られた人から聞いたのです。逮捕状が出たのだということをそのとき始めて聞いたのです。もう十時か十一時だつたろうと思います。はつきりした時間の記憶はありません。
  436. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから……。
  437. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局そのときに太田氏から電話……、日野原に太田氏が言づけと言いますが、何か電話のメモみたいなものを私貰つた記憶があるのですが、それに電話の番号が二、三書いてありまして、日野原の行く先は、ここか、司令部かどつちかだというふうに私聞いておつたわけです。間もなく伊尾檢事からも、日野原を探して出頭させろという電話が太田君のところへあつたわけです。余り遅れると困るぞと太田君が言うものですから、その電話の番号のところを順番に当つて見ようと思いまして、それで私出かける前に、私の友人の事務所へちよつと寄りまして、糸川という友人に來て貰つて、そうしま電話の番号の順に從つて探しに行こうというわけだつた。それで一番先に行つたのが重政の家だつたのですが、丁度重政と日野原と二人で飯を食つておりました。ですから一時か二時ごろであつたのじやないかと思いますが、二人で飯を食つておりました。そこへ入つてつて、逮捕状が出たということを日野原に傳えて、ともかく電工社長として余り見つともなくないように行動して呉れというように話をした。併しそのときは日野原の車がそこにありませんでしたし、私の車に乘つて出頭しようかという話だつたのですが、日野原が車を変えて逃亡でもしておつたと思われるのもいかんから、会社に電話をかけて車を呼べばいいじやないかということで、電話を掛けて見たり何かしておつたのですが、なかなか車が参りませんで、遅くなるからと言うて私の車でそれじや行こうということで出掛けたわけです。そうして新宿のところだと思うのでございますが、丁度日本水素の日野原氏の義弟の車とぶつつかりました、そこで丁度秋山さんもその車に乘つてつたわけでありますが、それじやわしの車に乘つて警視廳へ行こうと言つて私の車で秋山氏と日野原氏が乘つて警視廳へ出頭したとこういう状態であります。
  438. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると最初に幾羅久で打合会ということで前から決まつてつたのですか。
  439. 藤井孝

    証人藤井孝君) 決まつておらないです。
  440. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはそのときの電話で打合会を開くということは……。
  441. 藤井孝

    証人藤井孝君) そういうわけじやない筈です、前から決まつておるのです。その前から二、三日中に打合会をやろうということを話しておつた筈です。
  442. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 連合打合会ということはまだあり得ないのですが、どういう打合会なんですか。
  443. 藤井孝

    証人藤井孝君) 結局事件の進展に合わせて、先程申しましたような在宅調や何かのことを頼もうじやないかというような程度の話だつたのです。私も簡單な打合会の会議事項をそう沢山記憶しておりませんが、余りそう混み入つた会議じやなかつた筈です。
  444. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 打合会というのはときどきやつておるのですか。
  445. 藤井孝

    証人藤井孝君) ときどきやつてつたのです。
  446. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると普通の打合会だつたのですね。
  447. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうでございます。
  448. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主たる事項というものはないわけですね。
  449. 藤井孝

    証人藤井孝君) 別にこれという大した事項はなかつた筈です。
  450. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに一番初め、酒が出てから日野原氏が來たとこういうのですね。
  451. 藤井孝

    証人藤井孝君) 私はそのように記憶しておりますが。
  452. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その席上で危いということを言つてつたのですか、太田氏に話してやつたことは……。
  453. 藤井孝

    証人藤井孝君) いや、私と太田君とそこでは言つておりません。
  454. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 寮へ行つてから話したのですか。
  455. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  456. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そのときに寮へ行つてから話があつたというのですが日野原氏のいるときは出ておりませんか。
  457. 藤井孝

    証人藤井孝君) 日野原氏のおるときは出ておりません。
  458. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちつとも。
  459. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  460. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 寮へ行つてから太田君の話をした場合に日野原氏はすでにそのことを知つていなかつたのですか。
  461. 藤井孝

    証人藤井孝君) 別に知つておるようではなかつたのです。
  462. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏はそれは会社から來たのですか。
  463. 藤井孝

    証人藤井孝君) 会社から來たか、自宅から來たかは分りません。
  464. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏はすでに、掛けた人の不明な電話が三本あつて、そのことは聞いておるのじやないですか。
  465. 藤井孝

    証人藤井孝君) その点は私何にも言つておりません。
  466. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 話したときにびつくりして……。
  467. 藤井孝

    証人藤井孝君) 電話三本ということは今聞くのが初めててございます。
  468. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、すでにそういうことは外から情報が入つて來て了承済みのところにあなたたちが話したのじやないかと思うのですが。
  469. 藤井孝

    証人藤井孝君) そうじやないと思います。
  470. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのうち、要するに情報網というのはあらゆる方面に張つておりますから、そこら中から情報が入つて來ますから。
  471. 藤井孝

    証人藤井孝君) 太田君のは理論的の話ですか。
  472. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 太田氏の話は先程伺つておれば、いわゆる過去の経驗上それは理論的にそういうふうにさせると、こういうお話ですが、すでに日野原氏としては外から情報が入つていてそのことを了承しておつたのじやないですか。
  473. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは私も人の精神的な……。
  474. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときの話振りとしてはどうだつたのですか。
  475. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ、やはり陰鬱な顔をしましたから余り知つてつたとも思わないと思いますね。
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 意外だというように感じておつたのですか、そうでもないのですか。肚を決めておつたのじやないですか。
  477. 藤井孝

    証人藤井孝君) あのときの情勢というものは、やはり今ちよつと事実をもう一遍感じて見せるということはできませんけれども、あのときの感情というものは、陰鬱な氣持でおりましたから、何とも言えませんが、私は知つてつたとも思わないのでございますけれども。
  478. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 初耳のようだつたですか。
  479. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあそのときに、危險だ危險でないということは電話くらい幾らでもありますから……。
  480. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 逮捕状がすでに出たということは……。
  481. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは知らないです。
  482. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 逮捕状は会合しておるときに出たわけです。
  483. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは知らないと思いますね。
  484. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するにあなたたちは集まつた時間が逮捕状が出ておる時間頃に……。
  485. 藤井孝

    証人藤井孝君) 併しそれを氏つておれば私が夜わざわざ日野原の家に行つたときに何らかの話をすべきじやないかと思います。私はそれは知つていなかつたのじやないかと思います。逮捕状が出たということは知らないのじやないかと思います。私は夜わざわざ訪ねて行つたわけですから、それに対しても知つておれば言わなければならんと思いますがね、それを言わないところを見ると現実に知らない……。
  486. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夜訪ねて行つたときに言わなかつたのですか。
  487. 藤井孝

    証人藤井孝君) 言つておりません。
  488. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松坂さんに行つて見ようと……。
  489. 藤井孝

    証人藤井孝君) 君が松坂さんに行くなら私も太田さんに行つて見ようというときに逮捕状が出たことを知つておればそんな白々しいことは言わないです。
  490. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 行つて見ると言つておるけけども、尚その逮捕状が執行されないように一應逮捕状として出頭するけれども、勾留せられないようにという……。
  491. 藤井孝

    証人藤井孝君) その点はちよつと私には……。
  492. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこまでの運動はしなくちやならん。出た以上はそういうことになるのじやないでしようかなあ。
  493. 藤井孝

    証人藤井孝君) そこまでは私供は判断がつかないですがね。
  494. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何だか檢事局方面からそれが漏れておるように聞くのですがね。
  495. 藤井孝

    証人藤井孝君) 併し私は逮捕状が出たということは日野原氏は知らないと思いますね。
  496. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 人に言わせれば名前まで指してその檢事から漏れたという人もありますがね。
  497. 藤井孝

    証人藤井孝君) 併しそれはデマじやないでしようか、私はそう思いますがね。知つていれば夜わざわざ日野原氏の家に行つたときに何らかのことを言う筈だと思いますなあ。
  498. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だからあなたは直接関係しておらないというのですね。要するに重政さん、松岡、松下こういう線を通じて檢察方面も相当手を延ばしておりますから情報は蒐集できる態勢を備えておりますからね。それからそういう面から相当情報が入り得る可能性があるのですがなあ。又警視廳の方面にも相当手が延びておるし……。
  499. 藤井孝

    証人藤井孝君) 併しまあ情報が入り得る立場にあつても知つておれば私が夜あの時間にわざわざ行つたのに言わんわけはないと思いますがね。
  500. 大野幸一

    ○大野幸一君 もう一遍申上げます。西尾末廣氏に渡した百万円はどういう趣旨でやつたのですか簡單でいいのですが……。
  501. 藤井孝

    証人藤井孝君) 稻村順三氏が議会が何か反電工的な質問演説をされたわけでございますね。その場合にまあ我々の立場から言えばどうもそういう空氣がまあ私政治の方面のことは余りよく分りませんが、政党に肥料なら肥料ということに関する専門家はそう数は沢山おらんと思うのですが、それで稻村順三氏のような考え方が社会党で完全な意見になつてしまうということはまあ会社に取つて不利だといい私の考え方から誰か社会党の有力者に眞に会社のことについて了解をして欲しい、こう思つて前以て私の友人の誰か社会党の有力者に紹介して呉れまいかと言いましたときに西尾氏を私に紹介して呉れたわけです。
  502. 大野幸一

    ○大野幸一君 金をやつた趣旨は……。
  503. 藤井孝

    証人藤井孝君) それは結局挨拶のしるしです……。
  504. 大野幸一

    ○大野幸一君 挨拶のしるし。
  505. 藤井孝

    証人藤井孝君) はあ。
  506. 大野幸一

    ○大野幸一君 挨拶のしるしというと政党の資金かね。
  507. 藤井孝

    証人藤井孝君) まあ政治資金といいますか、私共は御挨拶に行くときに、西尾さんのことだから何といいますか僅かの金を持つては行かれん、こういうふうな考えから百万円持つてつたのです。
  508. 大野幸一

    ○大野幸一君 いや、不当財産で問題になるときにそういうことを揉み消して貰らうというわけじやないですか。
  509. 藤井孝

    証人藤井孝君) そのときにまだそういう状態に立ち到つておらなかつたです。
  510. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじやどうも御忙しいところを……。これで休憩いたします。今度は一時から。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後一時四十一分開会
  511. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは午前に引続き法務委員会を開会いたします。丸山四郎さんですか。
  512. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうでございます。
  513. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お歳は幾つですか。
  514. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 四十三でございます。
  515. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住居は呼出書を差上げたところですか。
  516. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。その通りです。
  517. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事は。
  518. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 今昭和化成工業の取締法と東北肥料の役員待遇の嘱託をやつております。
  519. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴を極く簡單におつしやつて頂きます。
  520. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 大体文部省で育ちましてずつと文部省におりまして、終戰と同時に文部省を辞めましたのです。それから会社の方に入りましたのです。
  521. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今社の方は今おつしやつた昭和化成と……。
  522. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 昭和化成工業です。東北肥料は昨年からですけれども、それまではずつと昭和化成です。
  523. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 終戰後ずつとですか。
  524. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  525. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 文部省でどんなことをやりましたか。
  526. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 文部省ではいろいろなことをやりました。各局を廻りまして最後は五年ばかり大臣祕書をやつておりました。
  527. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大臣祕書……それが最後ですか。
  528. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうでございます。
  529. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和電工と東北肥料とはどういう関係になつておりますか。
  530. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) どういう関係……はつきりしたことは知りませんけれども、東北肥料に入つてから東北肥料の方の重役に聞きますと、東北肥料が一昨年技術的に非常に失敗があつたと言いますか、生産が非常に落ちたのです。生産が非常に落ちてしまつて昭和電工から技術陣の注入をやつて生産の向上を図る。その関係昭和電工から技術陣の注入をやつた。人的の繋りだけだということを聞いております。
  531. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 資本の繋りはないですか。
  532. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 資本の繋りは全然ありません。
  533. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆる子会社というわけですか。
  534. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうじやありません。
  535. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電から重役は皆そちらに送り込まれたのですか。
  536. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 大部分が技術重役です。工場長とか、資材部長とか、そういう技術重役だけです。中に一、二事務重役もおりますけれども。
  537. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような重役陣になるのは多くは資本系統から來るのではないのですか。
  538. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。資本系統が多いと思いますが。
  539. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから昭和電工が親会社として流動資本なり何なり廻すのじやないですか。
  540. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いやそうじやありません。この東北肥料との関係はそうじやないように思いますが。
  541. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆるいずれにしても子会社ですね。
  542. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 昭電の子会社ではありません。資本も全部違うのですから、昭電の方から資本的に融資は一銭も受けていないのですから……。
  543. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東北肥料のあなたは嘱託になられたのですか。
  544. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうでございます。
  545. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう関係ですか。
  546. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 昭電日野原社長の推薦でございます。
  547. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 嘱託というとどういうことをするのですか。
  548. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは別に今のところ仕事しておりませんけれども、去年の十一月の東北肥料の株主総会のとき、私が東京支店長になるという約束だつたのです。それが去年の五月に、初めから東京支店長に入るという約束で推薦された。ところが東北肥料の株主とか、それから資本関係などのためにいろいろの差障りが起きて、それで五月の株主総会には延期する。十一月の株主総会には、それまでそれでは一時東京支店詰の嘱託ということにしておいて呉れという東北肥料の社長のお話で、そういう形でおつたわけです。
  549. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最初の目的は東京の支店長というのですね。
  550. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 初めは東京支店長というお話でした。
  551. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それがいろいろな事情で実現できんために、取敢えず嘱託という名目を以て支店詰になつたわけですね。
  552. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  553. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仕事を何かなされたのですか。
  554. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 仕事は、取敢えず東北肥料に行きまして、東北肥料の勉強をしておりました。肥料とか、それから資本系統、技術系統ということをその間勉強しておつたわけです。
  555. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に第一線に立つておるわけではありませんね。
  556. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 第一線には立つておりません。
  557. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは日野原節三氏、或いは藤井孝氏とどんなような関係であられたのですか。
  558. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 藤井さんは私が文部省におつたときからの知合いで約十年以上の家庭的にもお附合いをしております。その関係日野原さんと知つたわけです。
  559. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井さんを通じて日野原さんを知つたのですか。
  560. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  561. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原さんを知つたのはいつ頃からですか。
  562. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 東北肥料に入るときです。
  563. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに紹介されたのですか。
  564. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  565. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
  566. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 二十二年の十一月の初めだと思います。その話の起きたのは。
  567. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると一昨年の暮ですね。
  568. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  569. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お附合いは親密ですか、交際は……藤井さんとの関係は。
  570. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 非常に親密です。
  571. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原さんとは。
  572. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 日野原さんとは、ただ電工藤井さんから紹介を受けて知つた程度ですから……。
  573. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いろいろな御相談に乘るのですか、日野原さんからの。
  574. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 相談に乘つたことはありません。藤井を通じての知合いです。
  575. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に呼ばれていろいろな相談を受けるようなことはありませんか。
  576. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ありません。
  577. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつも藤井さんからいろいろな話があるわけですね。
  578. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  579. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆる昭和電工事件……ごてごてしておりましたのですが、それはいつ頃から御存じですか。
  580. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 昨年の五月頃だつたと思います。新聞に出まして、それで知つたわけです。
  581. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本社の家宅捜索があつて……。
  582. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それから聞いたわけです。ちよちよい噂は聞いておりました。
  583. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから藤井さんから相談を受けませんですか。
  584. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 何も受けておりません。
  585. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電問題についていろいろ揉み消しとか、或いは了解運動とか、いずれかは存じませんが、そういうような相談を受けたのはそれから後のことですか。
  586. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) あれは新聞に大きく出ましてからですから、昨年のあれは五月の終り頃ですか、時事新聞か何かに大きく出まして、その後です。
  587. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは日野原氏からですか、藤井氏からですか。
  588. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 藤井氏からです。
  589. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どの方面を担当して呉れ、どの方面了解運動をして呉れという話だつたのですか。
  590. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) あのときは五月の終りですか、時事新聞か何かに非常に大きく出ましたですね。それで昭電とすれば社内に及ぼす影響も大きい。社に対する動揺を來す。その結果において生産も下る。非常に電工としては困るのだというので、その方の一つ了解を誰か知合いがあつたらやつて呉れぬかというような話だつたような記憶がするのであります。
  591. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、一口に言うと言論界方面と、こういう意味ですか、新聞方面というのですか。
  592. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 言論界方面という強い意味藤井さんから話はなかつたのです。それまでははつきり線を限定しての話ではなかつたのです。
  593. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新聞に出るから困る、それで事実をよく話して貰いたいというわけですね。
  594. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) あれだけ大きく出されると、昭電としては社員が動揺して困る。それから生産が事実ぐんぐん下つて來たんですね。それで生産上にも困る、あれだけ大きく出されないように何とか話をして呉れる知合いがないか、そういう程度でした。
  595. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとその理由は、生産が低下するからという理由だけですか。それとも余り新聞に取上げられると結局は司直の活動を促すようなことになるから、そういう意味も含まれてるのですか。
  596. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ちよつと分りませんでしたが……。
  597. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに了解運動をして呉れというのは、生産が低下するから困る、社内が動揺するから困る、だから了解運動をして貰いたいというお話だつたというのですか。
  598. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  599. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外に新聞に大きく取上げられて摘発されて來ると、司直の活動を促すということになる。
  600. 來馬琢道

    ○來馬琢道君 刑事問題。
  601. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 刑事問題の発展を促すのではないか、そういうことも慮つて了解運動をするのではないですか。
  602. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そういう話はありませんでした。刑事問題という話は藤井君からなかつたです。
  603. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 具体的にどことどこに話して呉れということはありませんでしたか。
  604. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 別に具体的にはありませんでした。どこの誰に話して呉れというように指摘されたものはありませんでした。
  605. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 運動の対象はあなたに一任ですね。
  606. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。一任されたような形でした。
  607. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、運動資金の出所は藤井さんからですか。
  608. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうでございます。
  609. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いろいろな意味においてあなたの手に四十八万円渡つているのですね。
  610. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 四十八万円くらいだつたと思います。
  611. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような内容ですか。
  612. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 内容と申しますし、費途でございますか。
  613. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、渡された趣旨ですね。どういう方面にやつて呉れとか、これはどういうふうに使つて呉れとかいう趣旨をお伺いしたいのです。
  614. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) まあ、私の運動資金として呉れたわけです。運動資金と、もう一つは生活上困つてつたものですから……それも先生が今までにそういう意味で呉れておりましたですから、それを含んでという意味つたと思います。別にどこの誰に渡して呉れ、別に誰にどうして呉れというような條件附ではなかつたのです。
  615. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、從來は生活の補助を受けていらつしやつたのですか。
  616. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 補助という程でもないのですね。
  617. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 面倒を見て呉れておつたというのですか。それは毎月やつて呉れておつたわけですか。
  618. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 毎月じやなく、私が何か困つておるとき先生に申出て貸して貰つたというふうな、そしてそのままになつたというのが一、二回あります。
  619. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一、二回ね。その額はどのくらいありますか。
  620. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 額ははつきりしませんけれども、二万円か三万円だつたと思います。
  621. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二、三万円というのは、四十八万円の中にはそういうものもあるわけですね。
  622. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私もそのつもりでおります。
  623. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 從來二、三万円貰つたということは別にして、四十八万円の中にもやはりそういう性質のものもあるわけですね。
  624. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それもあると思います。
  625. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それにしたところが四十五万かそこらの金ですね。というのは純粹の運動資金ですね。あなたの生活の面倒を見るというのが三万としても、あと四十五万というのは運動に使つた金ですね。そういうことになるわけですね。
  626. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 二、三万が生活費の補助というわけではないのです。それを含んでという意味で……。
  627. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だけれども從來の例から見れば……。
  628. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 前は二、三万ずつ二、三回あるのです。
  629. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二、三万二、三回というのは相当の長い年月の間でしよう。毎月ですか。
  630. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いいや、そうじやない。一年ぐらいの間です。
  631. 伊藤修

    委員長伊藤修君) して見ますればこの僅かの間に四十八万円頂いたなら、それを一回と見てもあと四十五万というものは純粹の運動資金ということになるのじやないのですかと言うのです。
  632. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 四十五万が運動資金とは自分は考えておりませんけれども、それも含んでと考えております。
  633. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、それによつてあなたはどういう方面へ運動されたわけですか。運動の依頼を受けて、而して運動費用を受取つたのですね。それでどういう方面へ運動されたのです。
  634. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 最初の目的である新聞の方ですね。言論の方です。
  635. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だからそれを具体的に……抽象的でなくですね。
  636. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうするとその金の費途でございますか。
  637. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 費途じやない。費途のことは又あとでお伺いするかも分りませんが、具体的にどういうように動かれたということを聞いておるのです。そのとき頼まれたのですから……それでお金を頂いたのですから、動かれたのでしようから……。
  638. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私の知合いに坂崎という人がいまして……。
  639. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 坂崎謙介ですか。
  640. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) その人に殆んど一任したのです。
  641. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人は元読賣新聞の記者でしたね。
  642. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうだろうと思います。
  643. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人に一任したのですか。
  644. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 大部分先生に委しました。
  645. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうわけでそういう人に一任したのです。
  646. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 不断から坂崎さんとは相当懇意に附合いしておりましたし、それから坂崎さんの言によると、言によるとというよりも坂崎さんを私は相当信じておりました。坂崎さんは言論界に知人が非常に多いということをいろいろ聞いておつたものですから、その相談を坂崎さんにしたのです。藤井さんから話を受けたときに相談をして、それから私だけでもどうも余り納得行かん。それは誤解を招くといかんと思つたものですから、藤井と三人で会つていろいろ話したのです。その趣旨を藤井さんからも話したのです。こういう趣旨で頼みたい。それならやつて見ようということになつたわけです。
  647. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると坂崎さんに依頼するときには藤井さんも立会の上で、あなたと二人でよく話したのですね。
  648. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  649. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで、坂崎さんに二十万円渡してありますね。
  650. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  651. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはあなたが頂いた金で渡したのですか。
  652. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私の手を通じて渡したのです。
  653. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたの四十八万円の中から渡したのですね。
  654. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  655. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから坂崎さんの方から新聞にいろいろ運動されたということは、具体的なあれはお聞きになつたのですか。
  656. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 別に報告は聞きません。その後ちよいよい行つていろいろニュースは聞きました。併しそれはどういう工合に使つたとか、どういう工合にされたとか、どういう工合に効果に現われて來たというようなことは、別に報告は聞きませんでした。又私も聞こうと思いませんでした。もう委した以上は坂崎さんに一任と思つておりました。
  657. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、坂崎さんがどういうふうに運動したかということは知りませんですね。
  658. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いろいろ始終状況だけは入手しておつたのですね。
  659. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ときどき会つて食事をしたりしておりましたから、そのとき座談的に話をいろいろ聞いておりました。
  660. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どの新聞社に、どういうふうにしたということをお聞きになりませんか。
  661. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 聞きません。
  662. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたみずから直接に運動されたことはありますか。坂崎を通じてなさつた以外に。
  663. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 自分自身で運動したということは余りありません。
  664. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ないのですか。
  665. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ。
  666. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに依頼されたことを、あなたは全部坂崎に委して、あなたは何も動かなかつたわけですか。
  667. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 別に言論界には動きませんが、別の方で、檢察廳で前にお話をいたしました外の方に動きました。
  668. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どちらの方面ですか。
  669. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 自分の知人を通じて田中さんに……。
  670. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中誰ですか。
  671. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 田中隆吉です、接近したのです。
  672. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知人というのは秋永氏ですか。
  673. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  674. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋永月二というのですか。
  675. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  676. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう人ですか。
  677. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 秋永さんという人は、前に企画院の次長か何かやつておりました。
  678. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 元陸軍中將ですね。
  679. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ、
  680. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人を通じて田中隆吉氏に働き掛けたわけですね。
  681. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ。
  682. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうわけですか。
  683. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 情報を取つて貰らうつもりでした。
  684. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはGHQの情報を取るわけですね。
  685. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは田中さんは、田中情報機関というものは作つておられて、いろいろ國内情報を取つておられるということを聞きましたから、的確なるいろいろの情報を貰す。それからいろいろの情報を教えて頂くという意味であります。
  686. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中情報機関というのは、主として財界ですか、政界ですか、GHQの方面ですか。田中情報というのは、情報機関を作つておるのは、目的は、どこにあるのですか、又目的を利用するためにあなたの方が働き掛けたのですから、主としてどういう情報を取ろうとしたのですか。
  687. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 國内國外全部を通じての機関だと思います。
  688. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 機関はそうでしようが、その中で田中情報はどの方面の情報を取るのが主たる目的でありましたか。
  689. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 大体國内の方ですね。
  690. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 國内なら外からも沢山情報が取れるでしよう、随分情報網を組織しておりますから。
  691. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 昭電に関する情報ですか。
  692. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電に関するあらゆる面について手が伸びておりますから、特に田中さんの情報を取ろうというのは、國内情報を取るのではなく、GHQの方面の情報ではないのですか。
  693. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それも含んでおると思います。
  694. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 含んでおるのではなくて、それが主たる目的ではないのですか。それにあらゆる面に情報網が組織されておりますから。
  695. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ。
  696. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうではないのですか。あなたのそちらに働き掛けられた趣旨は、そこに重点が置かれてあるのじやないのですか。
  697. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 重点は、昭和電工に関する情報ですか。
  698. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論昭和電工に関する情報ですけれども、昭和電工に対する情報か。GHQ方面にあるのじやないか。その方面の情報をこの線から引き出そうというのではないのですか。さもなければこの線を迫る必要はないと思いますが、國内情報ならば、ここに私共が作つた図面がありますけれども、あらゆる面に手が延ばされております。何も國内の情報は田中隆吉から取らなくとも差支ないと思います。いながらにして情報が取れますが。
  699. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ。
  700. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この線を煩わしたというのは、対象はGHQではないでしようか。どうでしようか。
  701. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そういう目的では、私はなかつたのですけれども……。
  702. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは、どういう情報をそれでお取りになりましたか。
  703. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 結局何も取れなかつたのです。
  704. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはやかしいですね、元陸軍中將の田中隆吉という相当の人に対して、情報が取れないということはないでしよう。
  705. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 実際何も取れなかつたのです。
  706. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことを提案したのは、誰が提案したのですか、それは藤井氏ですか。
  707. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) その田中情報をですか。
  708. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  709. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは私が提案した。
  710. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井氏に相談して……。
  711. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  712. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井氏は、それを承諾したのですね。
  713. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうでございます。
  714. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでその費用は……この情報入手に対する費用は。
  715. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) その費用藤井に話して、藤井に貰いました。その費用は、さつきお話しになつた四十八万円、その中から私が適当に出すことになつてつた
  716. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾らやつたのですか。
  717. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) その情報網は、接近したけれども駄目だつたのです。駄目だつたから止めたのです。
  718. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金をやらなかつた……。
  719. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  720. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金をやらなかつたから……。
  721. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私自身田中さんをよく知らないから、間に入つた人に、その人の請求があつたときに出すことになつてつたので、その必要がないだろうというので止めたのです。
  722. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋永元中將が……。
  723. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 秋永さんと熊御堂という人がおられて……。
  724. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この方面のあれは不成功に終つた……。
  725. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  726. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでなくて、実際は相当の情報を入手しておるのじやないか。
  727. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 成功したらお礼を持つてつたのですが、成功しなかつたからお礼は持つて行かなかつた
  728. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お礼は、もう持つてつておるのじやないか。
  729. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 持つてつておりません。
  730. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この線は、あなた以外に誰が担任したのですか、若しくは働き掛けたのですか。
  731. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは私は知りません。
  732. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この方の情報は、この線を通じて相当入手しておるという話を聞いておりますが、そうでないのですか。
  733. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私は日野原藤井が別に私と関係なしに動いておる線は、全然話を知りません。
  734. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの線で、相当成功しておるというように聞いておりますがねえ。
  735. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは私知りません。そういうことはないと思います。
  736. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたは二十万円さつき言論界方面の方へ費しておりますけれども、あと二十八万円というものがありますね、それはどの方面使つたのですか。
  737. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは、さつきお話した田中情報の方へ使うつもりでおつたのですが、不成功に終つたから止めたので、使わずに持つて……。
  738. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがお持ちになつた……。
  739. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 使わずに残しております。
  740. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それをお返しになつたのですか。
  741. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) この前は、それが檢察廳で押えられてあつたのですから、藤井が出て來ないし、そのままになつておる。
  742. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金は押えられた……。
  743. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 檢察廳の方へ出しましたのです。
  744. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾ら出したのです。
  745. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 十五万円です。
  746. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後十三万円というのはあなたが雜費に使つちやつたのですね。
  747. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。
  748. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは日野原に対して逮捕状が出たことはいつ知つたのですか。
  749. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) あれは、日野原が逮捕された日に、私は藤井と会う約束をしておつたものですから藤井のところに会いに行つたのです。そこで聞いたのです。
  750. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは二十三日のことじやないのですか。
  751. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 二十三日の逮捕された日に……。
  752. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳に出頭した日ですね。
  753. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。十時頃でしたか、昭和電工藤井を訪ねて行つたのですが、どうも樣子がおかしいのです。藤井はいないのです。藤井はどこへ行つているのか聞いたら太田のところに行つた、こういう話だつたので、直ぐ太田のところに私が行つたので、逮捕状が出て日野原が逮捕されておるということをそのとき聞いたのです。二十三日の午前中です。
  754. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 訪ねて行つたときに知つたわけですか。
  755. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうです。昭和電工藤井を訪ねて行つたのです。そうしたらどうも樣子が少しおかしいのです。藤井はいないのでどこへ行つたのだと聞いたら太田さんのところじやないのですか、というので直ぐ太田のところに行つたのです。そこに藤井がおつたのです。藤井から逮捕状が來ておるということを聞いたのです。
  756. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはその前の晩に二十二日ですね、日野原のところに、或いは藤井のところにそのことを電話したのじやないですか。
  757. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いやしませんです。
  758. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 電話をお掛けになつたことはないのですか。
  759. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 掛けたことはないのです。
  760. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前の晩に。
  761. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) ええ。日野原とは電話で話したことはないのです。
  762. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原でなくても藤井と……。
  763. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 藤井の家と私の家とはしよつちゆう電話で話していますけれども、逮捕のことは藤井と話したことはありません。
  764. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前夜に電話を掛けたのじやないですか。
  765. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 掛けませんです。
  766. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井氏があなたから電話があつたということ、前夜電話があつたということを言つておるのです。
  767. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは何かの間違いじやないのですか。
  768. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特に記憶しておるということは、少くとも電話があつたことだけは明らかじやないですかね。藤井氏が言つておるのですから。内容は別として……。
  769. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 前の晩に私は電話した覚えはありません。それは藤井の記憶違いじやありませんですか。
  770. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特にそれだけのことを記憶しておるということは、あれだけの人がそう間違えるということもないでしようからね。電話の内容は別問題として、次の問題といたしまして、少くともあなたが前夜電話を掛けられたということは事実じやないですか。
  771. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 私は電話いたしません。その前の晩は藤井も遲く帰り、私も遲く帰つたのです。あれは幾羅久で別れたのです。遲かつたものですから電話しておりませんです。
  772. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾羅久ではどういう話をされたのですか。
  773. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 幾羅久でその前夜弁護士の打合会があるというので、それに出て呉れないかという話がその二、三日前にあつたのです。たしか藤井からと記憶するのですが、それははつきりしないのですが、今まで数回幾羅久で弁護士の打合会というものをやつていたのです。それに大低出ていたのです。この関係の者は昭電以外の者も大低出ておつたのです。私も出ていたのです。そのときも打合会があるということだつたのですが、私は何か用事があつて、遲く行つたのです。たしか七時頃か七時半頃か、時間の記憶がありませんが、行つた日野原藤井あと弁護士の方も三人ばかりおられたように記憶しますが、そこで話というよりも、座が崩れてしまつてつて、纏まつたような話はなかつたように思います。
  774. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが行つたときは、もう酒が出ておつたのですか。
  775. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 酒が出て、帰る人は帰つてつた
  776. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは日野原は來ておつたのですか。
  777. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) どうも日野原がおつたような記憶があるのですが、私が行つたときにはおつたのか、私が行つてから日野原が來たのか、散会するときは日野原藤井はおりません。
  778. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが行つたときどうか。
  779. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) どうもそこの記憶がはつきりしないのですが、行つたときはおつたような記憶もあるし、私が行つてから來たか、そこのところははつきりしないのです。
  780. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで纏まつた話はなかつたのですか。
  781. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 別に纏まつた話はなかつたように思います。ただ非常に急險だ急險だという話は……。
  782. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 急險だ急險だということは、どういうことを根拠にして急險だと言うのですか。誰か情報を持つて來なければ……。
  783. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは弁護士の方が弁護士の感において急險だということを言つておられたようです。
  784. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 感だけですか。
  785. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それから警視廳に……。
  786. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、そうやつて皆さんがお寄りになつて、当面の問題としては、事件をどうするとかこうするということは、まだある筈はない。起訴されておるわけじやないのですから、弁護士が打合せをするといつても、そのくらいのことですね。それから何か情報を持ち合つて、始めてそこで以てそれに対する対象を考えるということは、常識的に考えられますがね。それからあなたがそれを入手して來たか、誰か逮捕状が出たということを入手して來たのじやないですか。あなたが七時頃とおつしやれば、六時頃に逮捕状が出ておるのですからね。祕密裡に出た逮捕状がそこに少くとも話題に上つておるのじやないですか。
  787. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そのとき逮捕状の話は別になかつたですよ。
  788. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、急險だということは、要するに逮捕されるのが急險だということで……。
  789. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは、その席におられた松阪弁護士が、急險だ、もう自分の判断から言つて、明日、明後日、明後日までは持つまいという判断を松阪さんが下されたように私は記憶しております。
  790. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、逮捕状が出ておるので、逮捕されるのを免れるのが明後日までくらいほかいかないというのですか。
  791. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そんな意味じやないです。
  792. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 引延ばすことができんという意味じやないですか。
  793. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そんな意味じやありません。
  794. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 逮捕状が出ておるという前提の下に、いろいろその対策をその晩講ぜられたのじやないですか。
  795. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それはそうではなかつたようにはつきり記憶しております。松阪さんからそういう話があつたように記憶しております。いろいろ情勢判断をして。
  796. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、散会してから、あなたがお宅へ帰られてから、どこからか入手して、あなたが藤井さんに話をしたのではありませんか。
  797. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) そうではありません。私は藤井には電話しておりません。
  798. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井氏は、電話を掛けられたと言つておるのですが。
  799. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) もう一遍よく藤井を調べて見て下さい。
  800. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはどうして弁護團の打合会にそう始終出たのですか。
  801. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 藤井から、いろいろ相談に乘つて呉れと言われておつたものですから。それと、私ばかりでなく、昭電以外の関係の者も今まで弁護士の打合会には皆出ておつたのです。
  802. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 打合会には、どういう人がいつも出るのですか、弁護士の外の人としては……。
  803. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 顔も知らない人も大分出ておつたようです。
  804. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 対策本部ですから、しよつちゆう出て來る人は重要な人ですから、名前くらいはお分りでしよう。
  805. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 名前はどうもはつきり記憶しておりません。
  806. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何回くらいお出になつたですか。
  807. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 二回くらいです、私は。弁護士の人は二十人くらいおられたのですから、席は一ぱいなんです。
  808. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士以外の人……。これは委嘱ですわね。
  809. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 弁護士以外の人は、昭電の人が大体主でしたけれども……。
  810. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士團の打合会に出るというのは、司法部門に対して相当の情報が入手される必要の人の外入つて來ないと思うのですがね。関係者といえば相当沢山ありますからね。その関係者全部網羅しているとすれば別段ですが、そうじやないのですから。
  811. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは身辺を心配しておつた者が、一應弁護士團のそういう打合会なら相当細かい話が出るだろう、相当的確な話が出るだろう、弁護士の判断の上に立つた的確な判断が出るだろう、その情報を聞きがてら顔出しをしないかというので行つたのです。
  812. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士團の情報を聞くならば、特にあなたを同席させる必要はないじやないですか。むしろあなたの方の情報を弁護士團が知りたいのじやありませんか。
  813. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 弁護士会の打合会に出席したけれども、私は今までに一言の発言もやつていないのです。
  814. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは田中隆吉氏に会われたのでしよう。
  815. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いや会いません。私は会わないのです。
  816. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会つたことないですか、一遍も。
  817. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 会つたことないです。
  818. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋永氏は始終会つているのですか。
  819. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 始終かどうか知りませんが、秋永さんは非常に懇意のようでした。
  820. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋永中將からか態御堂からか、田中隆吉氏の話として昭電問題については太田弁護士からもGHQの情報蒐集を頼まれているという話があつたのじやないですか。
  821. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) いや、それは私が熊御堂と非常に懇意ですから、熊御堂のところへたまたま遊びに行つたことがあるのです。そのときに、昭和電工問題の話が出て、それでは俺が秋永と非常に懇意だから、秋永は田中と懇意だからあれに話せばあれが田中情報機関を作つており、いろいろな情報が全部そこに入つて來る。それは正確な情報だから、その方の話を聞いて見てやろうということで、それじや頼むということで行つたのです。行つて、私は外に待つてつたのですけれども、後で秋永、熊御堂の話を聞くと、二、三日前に太田耐造というのが俺のところへ來た、何か頼みに來た、情報を取りがてら情報を聞きに來たということを田中が言つてつたということを秋永さんが後で私に話をしたのです。それだからその記憶があつたわけです。
  822. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから田中情報というものはあなたの線及び他の線から太田氏を通じても入手しようとしたことは事実ですね。
  823. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) それは併しそのとき秋永さんがそう言われたですけれども、はつきり田中がそう言つたかどうか私は知らん、知らんけれども、秋永さん、熊御堂氏はそういう話をしておつた。太田が來たという話をしておりました。
  824. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又話は先に戻りますけれども、結局逮捕状の出たということはあなたの方の情報から得たのじやないですか。
  825. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 得ませんです。
  826. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井に電話を掛けないというのですね。
  827. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 電話に掛けません。
  828. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうも何の用事もない、発言もしないという関係が非常に薄いようなお説ですけれども、その人が弁護團の打合会に出席するということは常識的に考えられないですがね。何か情報を持つて行けばこそあなたの出席を求められるのじやないですかな。あなたが法律家でもなし、又会社の実体に携わつている人でもないのだから、昭電のあなたが祕書だとか重要な椅子にあるというならば別問題だけれども、そうでもないのだから、どの点から考えてもあなたが弁護團の打合会に出席しなくちやならんという理由は我々にはどうも首肯ではないですね。
  829. 丸山四郎

    証人丸山四郎君) 藤井は、これは私はどうも記憶が明瞭じやないですけれども、藤井は私に弁護士の顔を一つつて置いて呉れ、それから後自分が若し何かあつたときに一つ相談相手になつてつて呉れということを頼んであつたのです。弁護士の顔を知りがてらそういう会に出ておつたらどうかという話だつたのです最初の話が。最初に弁護士の打合会があつたけれども私は出なかつた。二十三日の前に一回出て、それが二回目だつたと思います。そのときでございます。いろいろ問題になつておるから、若し万一のときがあつたら後一つ助けてやつて呉れんか、相談相手になつて呉れということを私に頼んでおつたのです。そういう意味から私に弁護士の顔を知つて置いて呉れ、そういう意味つたと思います。別に深い意味はなかつたように思います。
  830. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に何か……それじやどうもお忙しいところ……。お諮りいたしますが、本庄事件関係の重要な証人である田上檢事が再三病氣で出頭できかねるのですが、同事件は当人を取調べることによつて大体完結すると存じますから、明日出張して取調べたいと存じます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  831. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では出張する者の人名は……。    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  832. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう決定いたします。では本日はこれを以て散会いたします。明後日十時から昭電証人取調べをすることにいたします。    午後二時二十七分散会  出席者は左の通り    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            遠山 丙市君            來馬 琢道君            松井 道夫君            松村眞一郎君   証人    昭和電工株式会    社取締役総務部    長       藤井  孝君    昭和電工株式会    社会社顧問   丸山 四郎君