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鬼丸義齊君 先ず第一点として伺いたいと思いますることは、本日提案されましたこの
裁判所職員の
定員に関する
法律の一部を
改正する
法律案でありますが、いよいよ來年一月一日から新
刑事訴訟法が施行されますに当
つて、
只今の
提案理由によりますると、全体の判事さんだけで見ますると、約九十六名ですか、私共新
刑事訴訟法と申しますか、
改正刑事訴訟法を審議する当時から、非常に心配いたして今日に及んでおるのでありまするが、審理方式が著るしく変
つて参ります。法廷中心主義の徹底を期しまする結果としましては、審理上において、
從來から見まするというと、非常に多数の時間と手数とを要すると思います。差当
つて、これに対しまする備えとしては、人事
関係におきましては、
相当量の職員の増員をやらなければ到底運用はできないのじやないかということを心配いたしてお
つたのであります。本日の提案されましたところを見ますると、
刑事訴訟法の
改正に伴いまする増員としては、判事が三十三名ですか、二名ですか、それから
民事訴訟法の
改正に伴いまする
関係において、判事さんが二十五名、家庭
裁判所の新設によりますることによ
つて、判事さんの増員が三十三名、余りにも私はこの増員の少いことに驚いておるのであります。果して、一体この
程度で運用できるかどうか、折角よい
制度に改めて、この運用のよろしきを得るか否かということは、掛か
つて今後の
裁判所に対しまする國民信用を高めるゆえんにもなり、
裁判所というものが非常な高信用を得るに至るのであります。若し予算の不足等を
理由といたしまして、折角の新らしい
制度が、この面において甚だまずい結果を見たといたしましたならば、これは大変なことだと思います。私共すでに数回の刑事
裁判に関する
改正法案の審議等におきまして、常に論議いたしておりましたが、新
制度を施行いたしますることは実に容易ならんことであろう。殊にこれまでの施設、これまでの人員を以ては到底これを賄い得ることはできないのでなかろうか、故に來
年度からいよいよおやりになるとするならば、定めて行詰りを生ずる場合が多々あるのじやなかろうかと心配いたしております
がために、恐らく來年一月一日から施行することはできないのじやないか、
準備が整
つていないのであるから……と思
つておりましたところが、止むを得ずこれを実施しなければならんことになりました。それにいたしましては、すでに実施を目捷の間に控えておりますときに、而も数日のうちに
議会は解散されるというようなことにもな
つております。この場合にこれだけの僅から
定員の増加によ
つて、この大事業に対して
裁判所においても法務廳においても果して自信ありや、戰後に我々に課せられたる大きな事業の
一つとして、殊に何とかして治安の回復をしなければならんということに対しましては、
從來食糧
事情等のために、主として
政府の方も先ず食糧というようなものに対して非常な力を注いでおりました
がために、治安の面に対しましては残念ながら右手に置かれて來た感がありました。この治安の全きを期するということは、我が國が進みまする上においてむしろ第一義的に取上げなければならんことだと思います。今後の日本の現状から見ますると、この刑事
関係に対しましてはますます憂うべき状態に進みつつある感がいたします。これに対する備えといたしましては、一方
裁判所の非常な高信用を高め、そうして新らしい
制度をいやが上にも生かして行かなければならんという当路者としての大きな責任があると思う。厖大なる全予算の上からいたしましたならば、治安に備える予算というものは、私共に言わしめるならば物の数でないと思う。果してこの
程度の増員によ
つて今日の
事件処理が全きを期し得るかに対しまして私は非常な不安を感ずる。故にこの増員に対しまする
法律案というのは、取敢えずという
意味のことであるか、或いはこの
程度において
改正刑事訴訟法運用について自信満々たるものがあるかということに対して、一應法務廳並びに
裁判所の御両氏にお尋ねしたいと思います。