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○
理事(
岡部常君) どうぞ御
宣誓の上は、それぞれ違いますと制裁がございますから、予め御承知置きを願います。
では
澁谷順誠さんだけ、他の方は……。
澁谷順誠さんでございますね。
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○
理事(
岡部常君) 分りました。それでこちらから承わりたいと
思つてお
つたのでありますが、こちらから通知は出しました、出ましたのが届かなか
つたのであります。それで更に
電報を出しまして……確かめて置きたいのでありますが、あなた樣の御
住所をこの際仰つしや
つて頂きたいのであります。先ず
お年は……。
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○
理事(
岡部常君) その他に何か公職はお持ちでございますか。
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○
理事(
岡部常君) それであなたはどなたに御面会になりました。
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○
理事(
岡部常君) そうですか。そのときにあなた樣はどなたにもお会いならないで、
梅原君が
会つた‥‥。
-
-
○
理事(
岡部常君) それでは何故御
一緒にな
つたのですか。何かあなたに紹介して貰いたいとかいうようなことですか。
檢察廳の誰かに紹介してくれ、或いはあなたの顔を通して氣安く行きたいという
意味なんですか。どういう
意味で
一緒に‥‥。
-
○
証人(
澁谷順誠君) 私の当時のことを追憶して見ますと、
加藤さんはそういうような
町内の
関係でもありましたし、六十二歳の年寄りでもありました
関係で、
起訴も既に済んでおる
関係から、
梅原さんの方から
保釈のことを
お願いした方がいいのじやないかという話が出ました。それで私も
一緒に
行つてくれないかというような
関係で参
つたような次第と私は信じております。
-
-
-
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君)
加藤さんがもう長く入
つておるのでありますから、それで
梅原さんも何とかして、
一つ保釈の方を
お願いした方が、いいのじやないかというようなことで、私の方に話されたのであります。それで私も行くが、あなたも
一緒に行かないかというような
関係で私は
参つたのであります。
-
○
理事(
岡部常君) 何もそれに工作しようというわけではないのですか。
-
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○
理事(
岡部常君) で
加藤さんとの御
交際は、
今ちよつとお話になりましたが、ここで更に改めてお聽きいたしますが、どういう‥‥。
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 親密と言えば、
梅原さんはもう昔からの
梅林であり、昔からの
加藤さんでありますから、私がその
住職をしたのが二十一年前のことでありますから。
-
○
理事(
岡部常君) それが、実際に
檢察廳に
行つて、何か頼むということは
梅原さんがやる、そのやる
運動というと
語弊があるかも知れませんが、その交渉はあなたも、心の中では同じ
考えでおられた、こういうわけですか。
-
-
○
理事(
岡部常君) それをただ
一緒に何かしようということではなく、同じ
氣持で行かれたのですね。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) そういう
保釈の
運動をされたか、それは何か述懐されたところでもお聞きになりましたか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 成る程‥‥それでなんか
梅原氏は
檢察廳に行くときに、誰々に頼むんだとか、誰に頼めば聞くとかそんな話はありませんでしたか。
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-
-
-
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-
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-
○
理事(
岡部常君) 大した御
関心もなく、ただ
知り合いのため何とか助けたいと、早く出て貰いたい、そう承知してよろしゆうございますか。
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 全然私は分りません。私は
梅原順治さんの住いまでに
はちよつと懸け離れておりますから、約十丁以上離れておりますから‥‥。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それとも或いは町のボスとか‥‥。
-
○
証人(
澁谷順誠君) そういうことは私は一向存じません。
旅館としての
宮城さんは承知しておりますが、そういうことに関しては一向に存じません。
-
-
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-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) その曲直問題に限らず、その外にいろいろ問題があるんではございませんか。
-
○
証人(
澁谷順誠君) 私はそのことについては、ここに申上げる点というものは私は
一つもないと申上げていいと思うんでございます。
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) ですから私今日ここに招請せられるということすら、どうも納得が行けないのでございまして‥‥。
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 誠に別世界の人間だと言えばそれまででございますが。
-
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) それがいかんということになりまして、最後に
一松総裁の御來仙を願いまして、断が下
つたようなわけでありまして、私はその
復興方面の事業は全然タツチしないのでありまして、主として
民生と教育の部門である
関係から、とかくその問題には余り触れなか
つたのであります。
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それが主たる原因じやないですか、どうですか。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) そのとき
直線問題で
宮城氏が敗けたと言うと
語弊がありますが、敗けたわけですね。そこで御本人も
相当損害を受けて、
運動費三百万円も無駄にしたというようなことも
言つたらしいのです。そういうようなことについて世の中の‥‥。
-
-
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 寮ではないですね。南町の
組合の事務所ではないかと思いますが‥‥。
-
-
-
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 今はいらつしやらないのです。よく存じませんが、何でも去年の七、八月頃まではいらつしや
つて、
青森の方にいらつしや
つたのじやないか、
盛岡方面に轉任なされたのじやないでしようか。
-
-
-
-
○
証人(
澁谷順誠君) 私は全然そういう、
檢察廳の方がそこにいらつしや
つておるということは一向私は耳にしておりません。聞いておりません。
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-
○
理事(
岡部常君) 一年何ケ月の間に両方やられた。
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-
○
理事(
岡部常君) 不動産はお持ちじやないですか。
-
-
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-
-
-
○
理事(
岡部常君) いつからです。どういう切つ掛けから。
-
○
証人(
南出一雄君)
昭和二十年の十二月に発令しまして、
子供が
千葉市の中学校に入
つておりますから、一学期が終るまで
子供を連れて行かれない。單身赴任しなければならないというので、たしかその暮れの押し
詰つてからだと思いますが、様子を見
かたがた仙台まで
行つた。駅に着いたのが午前二時だ
つたと思います。で、
駅前の
交番で宿を心配して呉れと
言つたのです。そうすると丁度偶然の一致ですが、
控訴の
司法檢事が夜二時頃來るなんて、出迎えできない。
駅前で然るべき宿を心配して呉れと言われておりましたので御案内しますと
言つて連れて行かれましたのが、当時
宮城氏の経営しておりました
竹屋旅館、そこで最初二晩程泊りました。
-
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) ええ、その時分はそこだけしか。おやぢのや
つておりますのはその
旅館だけです。元寺小路の……。
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 二晩泊りまして、
檢察廳なんかに御挨拶しました。それから私
竹屋旅館から恐らく三四丁の距離と思いますが、大拂前という所に家が一軒、借家があ
つたのです。それを
控訴院の判事が借りてお
つて、
青森に轉勤するので、すぐ入
つて呉れないとなくなるというので、そこを手配しまして、そうして一應
千葉に引揚げた。そうして正月に私一人で大拂前の家に
行つたわけです。
-
○
理事(
岡部常君) そのときに家を新らしく
仙台に持たれましたね。それの世話などは誰が……。
-
○
証人(
南出一雄君) それは
控訴院の山岸という判事が、轉勤する前から懇意な判事なものですから、その判事から私の所に手紙が來てお
つたのです。いつ幾日発つから、その前に打つ合せたいというので、まだ入
つておるうちにその判事さんと話をつけて、家主に交渉しました。これは別に役所にもどこにもお世話にならなか
つたと思います。
-
-
○
証人(
南出一雄君) まあ個人的の付き合い
つて、私は最初は知らなか
つたのですか、大拂前に家を持ちましてから、單身赴任だものですから、大概外で食
つたり何かしておりますから、風呂がないのです。
宮城氏の家は
旅館なんですから、よく風呂を貰いに行きました。そうして茶話で、お茶なんか飲んだときに夕飯なんか招ばれたことがあるものですから、そのうちにだんだん
知り合いになりました。それからどういう閲歴の男ですか、現職ですから私も当時の特高の連中に、あのおやぢはどういう男かということは聞いたことがございます。以前はまあ
相当町で
評判が惡か
つたが、近頃宿屋を始めてからは堅氣にな
つて、いろいろ警察や何かのためにもや
つて呉れる。その点は
檢事さんも御安心下さいという話でありました。会
つてみますと、そう以前のことは存じませんが、惡い男でないようでございますから、それで個人的に付き合う……。
-
-
-
-
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-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 今承わりまして、家を持たれた当初、風呂がないから風呂を貰いに行くかというようなことで
大分交際が深くなるわけですね、それから後の私の間の
交際というものは続いておりますか。私的
交際は……。
-
○
証人(
南出一雄君) 私的の
交際は特にあれでございます。その間に私
青森なんかへ
行つたりしておりますので、それと戰爭が激しくな
つて來て、仕事の方が、私
司法檢事だ
つたものですから、その仕事が忙がしくな
つたので、私的な
交際とい
つても、こと珍らしくしよつちゆう往復はしておりませんでした。ただ普通の付き合いはしておりました。
-
○
理事(
岡部常君) でも今度
弁護士をなさるについて、事務所を借りられるくらいな間柄ですから、
相当私的にも
交際があるはずですね。
-
○
証人(
南出一雄君) そうでございます、あるはずです。最初あそこへ事務所を借りたわけではないのであります。外に事務所を借りていたのですが、それが進駐軍のダンス・ホールというか集会所見たいになり、うるさくていけないと
言つて事務所で困
つておりました。自宅の方
はちよつと奥へ入
つておりますから、それを
宮城の息子の方へ交渉して、あそこを借りたのであります。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それでいろいろ
家庭的にもお付き合いでございましようか。
-
○
証人(
南出一雄君)
家庭的の付き合いとい
つても、なんと言いますか、盆ではないが、暮には向うから鮭の一本とか、下駄とか、歳暮とか又正月の贈答に、今年もそうでございましたが、年に一回ぐらいでございます。まあ今度こういうことにな
つていろいろ聞いたのですが、毎月、月々
相当に生活の補助を受けておるんじやないか、あそこにいるとそういうふうに思われても仕方がないというような話がありましたが、そういう何は一切ございません。
-
○
理事(
岡部常君) 御在職中はどうでございますか。
-
○
証人(
南出一雄君) ございません。ただ時々風呂を貰いに行きますから、それは夕飯の馳走を受けたこともございますけれども。私は酒はやらんものですから、甘いものぐらいはつまんだことはございます。
-
○
理事(
岡部常君) あなたは酒はやらないのですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 異常体質というのですか、二三杯よりいけないんです。
-
-
○
証人(
南出一雄君) そうでございます。本当に宿屋のおやじで、風呂なんかばつかり焚いておりましたから……。
-
-
○
証人(
南出一雄君) それは私たちが特にあそこへ出入りしてからは、昔のことは私の耳に特に入れなか
つたのかも知れませんけれども、そういう噂は敵も
相当多い人物とは
知つております。
-
○
理事(
岡部常君) それで何かそういういわゆるボス的の振舞いというものは眼につかなか
つたですか。
-
-
○
理事(
岡部常君) それから又あなたの御職掌柄に対して、何かこうして、くれああしてくれということはないですか。
-
-
○
理事(
岡部常君)
相当町の方では頼まれるのではないですか。そういうふうな氣配はなか
つたですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 私はこれはまあ余談ですが、
宮城が頼まれて、すべて私を介して
檢事局に働きかけたというようなことを言うている者があるそうだが、ところが私のところで
宮城氏の話で仕事をしたというのは、私の記憶に殆んど残
つていないのです、この
弁護士業務としても……。ですからまあ心外と言えば心外なんですが、ただあそこへ看板を掛けておる以上、そう疑われても仕方がないというふうに
考えております。
-
-
○
証人(
南出一雄君) 來ていい筈だと思いますが、この前もいろいろなお調べのときに申上げたんですが、こういう
事件について記憶に残るものはないんです。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それでも事務所が
宮城氏の家にあるために、何かいいことがあるだろうと
思つて來るようなことがございませんか。いろいろな紹介でなくても……。
-
○
証人(
南出一雄君) いや、一面そういうように惡くいわれておるが、それは私
駅前というこの場所ですね。この場所が外ですと、私は新らしいものですから、客の
関係で商賣が偏るんです。それを私一番恐れるんです。ですから私のところへ來ております依頼人、そういう方面は割合に偏
つていないんです。ですからそういうことをお調べ下されば、
宮城のあれで來たというようなものでないことはお分りになると思います。
-
○
理事(
岡部常君) 今お扱いにな
つておるのは民事と刑事とどちらが多いんですか。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 月千円はそれは相場でございますか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 千円というのは安い方じやないですね。
-
-
○
理事(
岡部常君) 前々から借りておる者は三百円では安いわけですね。
-
○
証人(
南出一雄君) まあもつといい事務所もありますけれども……。
-
○
理事(
岡部常君) 話は違いますが
宮城ホテルは戰災後建て直
つたんですね……建て直
つたというよりも新らしく始めたんですね
宮城氏が……。
-
-
○
理事(
岡部常君) その開業の際に
檢事正から花環が贈られたということがございますが、御承知でございますか。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) あれはたしか今のはこう問題になると申訳ないと思いますが、私があそこへ事務所を設けると、旁々花環を呉れないかということを、たしかこれは
宮城氏の息子からの話もあ
つて、私が
檢察廳の死んだ鈴木書記長だ
つたか、その点ははつきりしないんですが、若し差支えなか
つたら花環でも呉れんかというような話がありました。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) そうするとお祝いは
宮城ホテルのお祝いと、又あなたの事務所開設のお祝いにな
つたわけですね。
-
-
○
理事(
岡部常君) それで宛名は何も書いてないんですか。
-
-
○
理事(
岡部常君) そうすると見方によるとホテルのお祝いでもあり、又
弁護士開業のお祝いというふうにも見えるわけですね。
-
-
○
理事(
岡部常君) そこはわざと曖昧にしたんですか、両方兼ねるという
意味ですか。
-
-
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 大したものではありませんが、あの時分普通の……。
-
○
理事(
岡部常君) そのときあなたは自分に祝
つて呉れたと言われたのか、ホテルの祝いと思われたか……。
-
-
○
理事(
岡部常君) 景氣がいいと思いましたか。昔の仲間からも花環を贈られて……。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) それで私もですね。若し差支えなか
つたら……、勿論私もいろいろ
考えましたから
言つたのですが、あの当時は今とは違いまして、
仙台では宿がなくていろいろ泊り客やなんかの世話にな
つている宿屋は一軒くらいしかなか
つた筈です。それでまあその礼するのもこういうときじやないかというような氣がしたので……ただ差支えなか
つたらいいじやないかと……。
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 開業祝のときはどうも私も招かれたような……、あの時分ごたごたしておりましたので、招かれたような記憶がないのでありますが……。
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 祝いは別ですか。時期が同じですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 時期が同じです。私の開業祝は別個でございます。
-
-
○
証人(
南出一雄君) そうでございます。花環も両方に共通です。
-
○
理事(
岡部常君) 併しそのお祝いに、あなたは事務所を持
つておられるくらいだから招ばれないことはないのじやないですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 招ばれても差支えないのですが、どうも私はのべつ建前やなんとかでしようちゆう飲んだり食
つたりしておりましたから、いつの祝いがそうなのか分り兼ねるのです。
-
○
理事(
岡部常君) それとも余り
檢察廳の方の出入りが多いから分らんのですか。(笑声)
-
-
○
理事(
岡部常君) お祝いとい
つたら何人か
行つたら分りますでしよう。一人二人行かれるのと違いますから……。
-
○
証人(
南出一雄君) 私がこの前お調べ受けたときも、家に帰
つて、はてな自分も開業祝のときに出なか
つたように思う、開業祝があ
つたのかねというようなことを家に帰
つて家庭と話してみたのですが、どうもその点がいつのが開業祝であ
つたかはつきりせんのであります。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) そのときの御記憶は‥‥、何か
宮城君から祝物、引出物が出たとかいう御記憶ありませんか。
-
○
証人(
南出一雄君) 存じません。どんな引出物か、私も勿論貰
つたことはありません。
-
○
理事(
岡部常君) 話が違いますが、世間では
宮城氏と
仙台の
檢察廳とは
相当密接な
関係がある、それは宿屋の
関係、いろいろな面倒をみて貰う
関係から來るのでしようか、いろいろ
評判もあ
つたようですが、あなたの御覧にな
つた点をお聞きしたいのですが、
宮城氏と特に墾意にしておる職員はどんな人ですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 私は、これはここに齋さんもおられるのですが、外の
弁護士の方にも私のことはよく
知つておる筈ですが、そういう風評を特に私が
宮城氏と墾意だというので、隠したのか、耳に入れなか
つたのか、一切私に入
つてなか
つたのです。今度こういう
事件になりまして、そんな中には仲のいい
弁護士もいるのですから、そういう同僚が何故私にこういう問題が起る、こういう風評がある、注意しろということを
言つてくれなか
つたのだろう、私はむしろ逆にそう
考えるくらいなんです。私の耳には故意に入れなか
つたのかも知れませんけれども、私は聞いておりません。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 今日おいで願
つておりますね。この
証人にあなたが喚問せられておる。國会の問題にな
つておりますね。こちらから調査に
行つて初めて‥‥。
-
-
○
理事(
岡部常君) その前から
檢察廳あたりからなんにもお知りになりませんでしたか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 私は一切、知合い、知合いでないということは、私に
関係がないのでありますから‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) でもまあ第三者として御覧にな
つて往來なんかないのですか。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) これは御記憶願わなければなりませんが息子が経営しております。事実上経営は息子なんです。おやじの頃には元寺小路の竹屋ホテル‥‥。
-
-
○
証人(
南出一雄君) 離れております。五六丁、四五丁はありますか。お互いに、私も
一つの仕事を持
つているものですから、下の息子の方にも会うことが一月に何回くらいしか会わないのです。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それが主に
宮城ホテルを経営している‥‥。おやじさんは外のを沢山経営している。
-
-
○
理事(
岡部常君) そういうふうに
檢察廳と
宮城氏の
関係をお知合いにならないといえば、これはまあお聞きしてもなんですが、あなたの御
関係と同じような
意味でいろいろ出入は始ま
つたと思いますがね。この
宮城氏と
檢察廳の
関係ですね、やはり宿が少いときで、宿を借りたとか、そういうようなことから
交際が始ま
つているのでしようね。そういうことは
御存じでしよう。そういう程度のことは‥‥。
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) はい、それでこれも余談ですが、今度の
事件もなにか私が
宮城と組んで
檢察廳を動かして私憤を晴らすために檢挙さしたとかいうようなことを噂している者もあるそうですが、へえとい
つてびつくりしたのですが‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) なにかそんなことは疑でも受けることはありませんか。
-
○
証人(
南出一雄君) 看板が出ているから、あそこは家主だからそう思われても仕方がないなあと、それは私が元が元、私が出が出だから仕方ないと‥‥。それは私の
氣持を
知つている
弁護士諸君は了解ができているはずです。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 巷間ではいろいろ噂をしているようですね。
-
○
証人(
南出一雄君) あそこに事務所があ
つたために、そういう噂をする者があるかも知れません。
-
○
理事(
岡部常君) あなたが近くに來ていて、前職もあるし、
檢察廳と密接な
関係があるというようなことからいえば、
相当利きそうですね。そんなことは
宮城氏
言つていませんでしたか。
-
○
証人(
南出一雄君)
宮城には
言つたかどうか知りませんが、外の仲間の
弁護士から後で、こういう問題にな
つたからそう思われても止むを得んなあという話は聞いております。
-
○
理事(
岡部常君) あなたの御覧にな
つたところでは、
宮城氏はどんな人物ですか。人物とい
つては余り廣くなりますが、どういう性格ですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 一本氣な男のように私は
考えておりますが、義侠といいますか、義侠、それが封建的と言えば封建的かも知れませんが、可なり義侠心の強い、まあ或る場合には銭金に拘わらず救おうというような、そういういい面が‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) いわゆる、親分氣風がありますか。
-
○
証人(
南出一雄君) そうですね。これは親分と言えば親分かも知れませんけれども、まあ引揚者や何かで困
つておるという、そういう連中には宿屋のおやじ以外に、そういう金銭を惠んでや
つたり‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) 日常の行動については、実業家タイプという方ですが、親分タイプですか。どつちですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 最近のことは存じませんけれども、宿屋のおやじにな
つてからは、実業で伸びたいという
氣持が多いんじやないかと思います。
-
○
理事(
岡部常君) どんな方面に手を伸しておるんですか。
-
○
証人(
南出一雄君) それは私、おやじの方のことはよく分りませんけれども。
-
○
理事(
岡部常君) そうですか。あなたはそういうふうな御相談に乘りませんか。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) な
つていないんです。ただ息子は、おやじから、自分はこういう男だが、息子は最初からの堅儀で、それで息子には頼るものがないから、万事相談相手にな
つてや
つてくれと、こういう話で、私の
交際は主として息子にな
つておるわけです。
-
○
理事(
岡部常君) おやじさんの元の
交際というものが何か続いておるようなことはございませんか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) そうです。はたはそう思うんでございますが、これは
一つずつ見て参るとすぐ分るのでございます。併し世間ではそう
思つていないかも知れません。
-
-
○
証人(
南出一雄君) 私がタツチ……、
宮城は勿論生活の問題ですから、
相当然を上げてお
つたと思うのですが、私がタツチしたのが、建設院総裁がおいでになる直前ですから、もう殆んど終る頃でございます。
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君)
宮城氏が何かそれについてあなたに御相談でもありませんでしたか。
-
○
証人(
南出一雄君) ですから建設院総裁がおいでになる……。
-
-
○
証人(
南出一雄君) 終る頃ですね。地元から五人くらい代表を出して、それで公聽会といいますか、そういうものをやる。ところがこつちで喋る者がない、
一つ喋
つてくれんか。
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) はい。それはあの、併し意思を汲みましても
弁護士でございますから、自分の余り理窟に通らんことは喋らない。今までの資料を出して見ろというので、資料を出させまして、その資料によると、
宮城の言い分の方が正しいというように見えたものでございますから、それで私も一役買
つて出たわけでございます。
-
○
理事(
岡部常君)
宮城氏の意見に賛成だ
つた点はどんな点でございますか。いい点はどんなふうでございますか。御記憶でございませんか。
-
○
証人(
南出一雄君) 古くて、資料を済んでしま
つたのであれしたんですが、
原案の決め方が、
原案というのは曲る方でございますが、
原案の決め方が少し公正を欠いておるんじやないかというように思われました。尤もあの時分、終戰直後のことでございますから、いろいろ議事とかそういう方面で手落があ
つたのじやないかと思うのですが。
-
-
○
証人(
南出一雄君)
宮城の材料といいましても、向うで公に出された材料も、速記録とかいろいろなものを組み立てまして、それからこちらの言い分……。
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それであなたは地元代表の一人になられたのですね。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 三百万円使
つたという噂がありますが、一般にそう言われておる員‥‥。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) それははつきりしませんですが、なんと申上げたらいいのですか‥‥。
-
-
○
証人(
南出一雄君) そうです。建設院総裁の話のときはそうでございました。それから理論としては
直線がいいのかも知れないが、それでは動かせない建物があるから、これを動かすには莫大な費用が掛かる。それと
直線にすると、それに付いておる道路の周辺の肉の厚味に薄いところができる。そういうことからです。
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) そうでございます。
直線にすると動かないで済む、少し外れますが。
-
○
理事(
岡部常君) 先程來いろいろな方面から伺
つておりましたが、
宮城氏に対する一般の
評判は、民間とか官廳方面の批判をお聞きになりませんか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 一般的にどうです。分類しないで申せば‥‥。
-
○
証人(
南出一雄君) 一般的に‥‥、私の耳に特に入れないのかも知れませんけれども、私も成るべくそういうふうに
一つの党派とか
一つのあれに偏りますと、これは商賣上決
つてしまいますから、私も実際深入りせずにや
つております。
-
○
理事(
岡部常君) そうでございますか。又重ねてお聞きするようになりますが、あなたと
宮城氏の
関係というのは、事務所を借りておられるということが一番でございますね。その他になにか世話を受けておるようなことがございますか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 嘱託とか顧問をされておりますか。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 相談相手です。今度あすこに支店を開くがどうですかと相談などされますが、私は商賣のことは分りませんし、そういうときには殆んど息子さんの方で腹が決
つております。
-
○
理事(
岡部常君) 法律問題なんかの相談を受けておるわけですね。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) はあ、もう証拠のあるやつは皆処罰されております。
-
○
理事(
岡部常君) それは本当の博徒の博打ですか、紳士賭博なんですか。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) ああそうですか。それには
宮城氏や何んかが工作しているということは‥‥。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) ああそうですか、それは誰の紹介で行きましたか。
-
-
○
理事(
岡部常君) やはり
宮城君も紹介人の一人であるかのような感じがされますか、はつきりした‥‥。
-
-
-
○
証人(
南出一雄君) 親分は入
つておりません。大したものはなか
つたらしいです。どんなのが親分やらはつきり分りませんが‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) 八甫谷とか何とかいう人がいますか。
-
-
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それから後に八甫谷の息子が‥‥。
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それはどうなりました。二回檢挙されて‥‥。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) とにかく有罪の判決を受けたのですか。
-
○
証人(
南出一雄君) はあ、そうです。最近聽きましたらどこか外でやられて、そつちに引張られて行かれたように聞きました。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それから更に
保釈中に犯罪を犯してそれで今上訴しておるのですか。
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 窃盗というとどんな窃盗ですか。
-
○
証人(
南出一雄君) 空巣です。不良子の空巣みたいなようなものです。それほど四角張
つてお願いしなければならんような
事件じやありません。
-
○
理事(
岡部常君) 二度となれば不
起訴になるということは全然ないですか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 動産も大したものはございません。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 二十一年の七月からですか、二十二年の八月まででございます。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) それは最初ですね、私が首席
檢事をしておりました時分に、二十一年の六月か七月頃でございますが、あそこで東京から來ました
檢事の宿をとりましてあそこに一泊いたさせました。
-
-
○
証人(岡琢郎君) はあ、その当時はたしかそういうふうにな
つておりましたようです。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私はあそこを辞めまして一度泊りました。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私の時分には官舎がありました。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私の方には全然ございません。
檢事正室にはございません。
-
○
理事(
岡部常君) 併し
宮城氏はいろいろ宿屋だけでなく、飲食店など、そういう
関係のものを経営しておるようですね、それに
檢察廳の方が
相当行かれるように聞いておりますが、
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私は宴会はあそこでや
つたことがございます。鉄道檢察官の会合をやりまして、その晩に慰労会をやりました、そのときにあそこに参りました。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 駅の前の
宮城氏の経営しておる料亭ですか、何というのですか。
-
○
証人(岡琢郎君) やはり竹屋と申してお
つたと思いますが。
-
○
理事(
岡部常君) それは何度もおいでになりましたか。
-
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) その辺私よく注意しておりませんですが。
-
○
理事(
岡部常君) 今
宮城ホテルというのがございますね。その直ぐ傍ですか。
-
○
証人(岡琢郎君) 駅の前にあるのがその
宮城ホテルでございますか、あそこの直ぐ離れた所にありますね。
-
-
○
証人(岡琢郎君)
仙台ホテルというのはどれですか、私はよく存じません。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 役所では、そう、一回ぐらい來たかと思います。それもよく私は覚えておりませんけれども。
-
○
理事(
岡部常君) 若し行くとすれば、どんな用で行きますか。
-
○
証人(岡琢郎君) それはたしか宴会のあ
つた後でございまして、或いはお金せ貰いに來たのかなにか知りませんが参りました。大変有難うございましたという挨拶だけに來ました。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) 官舍なんかには全然出入りをいたしませんか。
-
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私のおりました時分は、別に
関係はそうなか
つたと思いますが。
-
-
○
証人(岡琢郎君) あの時分に、
仙台の方は随分燒けまして、宿がないものですから、よくあそこに宿を頼んでお
つたようでありました。
-
○
理事(
岡部常君)
檢事が新任して來られた時など、あそこに足を留めるということ‥‥…
-
○
証人(岡琢郎君) 私の知る範囲内では、あそこに泊
つた者はなか
つたと思います。私共も、廳舍の裏になんとかいう小さい下宿のような宿がありまして、そこに漸く宿
つたような次第でありまして、あそこを使うようにな
つたのは
相当後だ
つたと
思つております。
-
○
理事(
岡部常君) それでも、外からの出張者などは、そこに紹介されるのですね。
-
○
証人(岡琢郎君) よくあそこに頼んでお
つたようであります。
-
○
理事(
岡部常君) その機会に宴会をするということは、あなたは
御存じなくても‥‥。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) その点で、なにか附け届けなんかしやしませんか。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうことは全然やりません。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) さあ、私共の知る範囲の、
関係とはどういうような
関係でございましようか。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 指定
旅館という趣旨で、いろいろ宿をとるということについてならば
関係がありましようが。
-
○
理事(
岡部常君) とに角出入りはしているわけですね。
-
-
○
理事(
岡部常君) そういうふうな
関係から、職務上のなにか便宜を要求するとか、それに頼まれたのでしようがないからというので、おやりにな
つたようなことはなか
つたですか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 世間はそういうことを
相当疑
つているようですけれども、そういうことはございませんか。
-
○
証人(岡琢郎君) 私のいる間では、そういうことは全然ございません。
-
○
理事(
岡部常君)
宮城ホテルが開業いたします時に、あれは戰災の後からできたのですが、開店祝の時に、
檢事正の
名前で、或いは
檢察廳の
名前で、或いは
檢事一同とかいう
名前で、なにか花を送
つておられる。或いはお祝の金も送られたということですが、そのことを
御存じですか。
-
○
証人(岡琢郎君) それは私は、
宮城ホテルにそういうふうなことをや
つた覚えは全然ありません。金の問題は全然ございません。それから花環の問題は‥‥、たしかあの当時、
南出弁護士が開業をすると、そのお祝をやるという話がありまして、
次席檢事から、
南出君の將來を祝
つて上げたいから、
一つ檢事正のお
名前を借りて、花環を出してやりたいと思いますが、いいでしようか、ということで、私は非常に結構だと
言つたことはあります。恐らくその問題じやないかと思います。
-
-
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) ええ、稻葉君は、たしか
南出弁護士と
檢事時代の同僚かなんかでありまして、例の
追放で、たしか
南出君は辞めたと
思つております。そんな
関係で、將來を
一つ祝
つてやりたいという話でありましたものですから、そういうことで祝われたことと思います。
-
-
○
証人(岡琢郎君) どういうことでや
つたか、私はたしかに存じません。
-
○
理事(
岡部常君) その時あなた様は、若し出ているとすれば
南出さんのために‥‥。
-
○
証人(岡琢郎君) 私はそういうことで承諾しました。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) そうですか。その点存じません。
-
○
理事(
岡部常君) 開店祝のときに、あなた方、御招待を受けたのではありませんか。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) なにかその時も、大変にぎにぎしくや
つたように傳わ
つておりますが、そんなことはありませんか。
-
-
○
理事(
岡部常君) こちらで調べましたところによりますと、
南出さんの開業と、ホテルの開業祝と
大分離れているそうですね。
-
-
○
理事(
岡部常君) 何ヶ月か離れている。だからこの
弁護士の花環だというの
はちよつとおかしい。
弁護士の開業祝に花環もおかしいし、ホテルの方がぴ
つたり合いそうですね。
宮城氏自身も、
檢事團から貰
つたと
言つているそうですね。それから現に鏡なんかが残
つているというですね。
檢事團から
宮城さんに
行つた。つまりそれはやはり開業の祝いじやないかと思われます。そんなことは
御存じありませんか。
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 全然そのことは聞いておりません。花環の点だけは、私は次席に、よかろうと
言つて許しましたが、その外は許しておりません。
-
-
○
証人(岡琢郎君) その時は存じません。
南出の話を聞いたときは、そのときが始めてであります。同僚のためで、よかろうと
言つたので‥‥。
-
-
○
証人(岡琢郎君) ありません。そのあとだ
つたと思います。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 知りません。私は
檢事控訴の、各管内を、
追放のことで廻
つたことはあります。そのときにお目にかか
つてお
つたかも知れませんが、私、御本人の
名前を記憶しておりません。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 私は、それは最初知りませんでしたが、何かなんの機会でありましたか、
仙台を出る前か何かに、そういう話を聞いたことがありますね。
-
○
理事(
岡部常君) けれども、ああいう宿屋の主人がどういう人間だというような噂なんかもあ
つたのではありませんか。
-
○
証人(岡琢郎君) そうですね。噂は‥‥私は、それに
関心を持
つていなか
つたために‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) ボスとかなんとかいう、
相当噂がありそうに思いますが。
-
○
証人(岡琢郎君) そういう話は聞きませんが、ただこういう話を聞きましたが、人の面倒を見る、義侠心を持
つている。
-
○
理事(
岡部常君) あなたが見たところでは、ボス的な何か臭いが。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうことはありません。会
つたのは、機会が少いが、感じたところでは、ボス的の臭いはないと感じております。
-
○
理事(
岡部常君) そうすると、普通の実業家という感じで。
-
-
○
理事(
岡部常君) そうすると、むしろ
宮城氏に対しては、一種の信頼感をお持ちにな
つて‥‥。
-
○
証人(岡琢郎君) 別に信頼をするわけではありませんが、私などは、
檢事正である以上、実際公正な立場に立たなければなりませんので、よくよくの場合でなければ、信頼するというわけには行きませんが、併し人間としては‥‥。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 感じは惡くないと感じております。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それがホテルを経営しているらしいが、その方は御承知ありませんか。
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) そのときが始めてであります。そのときはお顔も全然知りません。
-
-
○
証人(岡琢郎君) そのとき初めて聞きました。それは
南出弁護士の事務所がないので、非常に困
つていたところへ、
宮城氏がそれは非常に氣の毒だ、特に
一つ部屋を提供しようということを
言つて仕事ができるようにしてくれたのです。こういう話を聞いたのです。
-
○
理事(
岡部常君) 何か前に
檢察廳に勤めていた方でもあるし、そういう人がそういうところに事務所を持つということについては、何か
ちよつと危惧の念をお持ちにな
つたようなことはありませんか。
-
○
証人(岡琢郎君) 私自身何も感じませんでした。その当時は‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) 併しそういうように、
檢察廳と
関係のある方がそういうところに行く一方、
宮城ホテルの方も、
檢察廳が
相当関係があるのですから、そういうところに事務所を
弁護士が持つと困るというような、何かまずいことがありはしないかという御懸念はございませんでしたか。
-
○
証人(岡琢郎君) 私自身としてはそういう懸念は別に持
つておりませんでした。
-
○
理事(
岡部常君) 例えばそのために
宮城氏が働いて、
事件の揉み消しとか、
貰い下げをやるとか、
運動がましいことをやるというようなことはお感じになりませんでしたか。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうことは私自身にと
つてはございませんでしたので、別に心配いたしておりませんでした。その後
南出弁護士にも会いましたけれども、決してそういうような人ではなか
つたようです。
弁護士と申しましても、申上げてはいけませんが、非常に人格の点においては、高い人もありますし、低い人もありますが、
南出弁護士さんは立派な
弁護士だと、こう私
考えておりました。
-
○
証人(岡琢郎君) あなたの在任中余り
御存じなか
つたということですが、
檢察廳の方は
相当宮城氏のところで飲食する機会もあ
つたと思うのですが、度数の多募は
御存じないかも知れませんが、その宴席のときなどは、何か特別に便宜を図られておらなか
つたでしようか。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうことはなか
つたと思います。大抵役所のなんでやります場合、全部皆の世話でやらさせ、且つ酒などの不足についても、後で皆届けさしてある筈であります。
-
○
理事(
岡部常君) それが、そのとき料理を不当に安くしたり酒を不当に出させるということは‥‥。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうことはないと思います。ない筈です。これは全部書記長に任せ切りでございますから、具体的なことを一々私見ておりませんから、そういうことはないと思います。
-
○
理事(
岡部常君) 御在任中はとにかく特段のことはなくても、
宮城氏と‥‥。
-
○
証人(岡琢郎君) 私としては
簡單に、そういうふうな程度で付き合
つていただけでございますが‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) その当時何も
宮城氏の行動におかしいと思われることはありませんでしたか。
-
○
証人(岡琢郎君) 私別に不審を持ちませんでした。
-
○
理事(
岡部常君) 任務を離れるときに、後に間違いがなければいいがなということはお感じになりませんでしたか。
-
-
○
理事(
岡部常君) 今にな
つていろいろ問題が、実は噂かも知れませんが、起
つておるのですが、それで思い当る節はございませんか。
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) あの人のテキ屋の
関係の親分の襲名祝というようなことがございましたね。あのときに
皆さんおいでにな
つた‥‥、あなたもおいでになりましたか。
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) これは最初鑓水という
弁護士がおりまして、その
弁護士から私共の方の
次席檢事に、今度テキ屋の親分が襲名披露する、それで
一つ見られたらどうか、こう
言つて來たそうです。
次席檢事が私の方に参りまして、珍らしいものだから
檢事局全部
一つ御覧にな
つたらどうでしようという話だ
つた。それじや行こう、こういうことを言いまして、そけで一度
行つたのです。
-
-
○
証人(岡琢郎君) 総出とまで言えないと思います。行かなか
つたのは二三人あ
つたと思いますけれども‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) どういう所でやりましたですか。
-
-
-
-
-
-
-
-
○
理事(
岡部常君) どういうふうに招待されたのですか。
-
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) その点はどういうふうにな
つてお
つたか存じませんが、私共には別に公の招待はなか
つたわけです。
-
-
-
○
理事(
岡部常君) それで式が済んでからどんなことがありましたか。
-
○
証人(岡琢郎君) 何にもございません。私共直ぐ帰りましたから‥‥。
-
○
理事(
岡部常君) 何か宴会か何かございましたか。
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) 何か折かなんか呉れたように
思つております。
-
○
理事(
岡部常君) 特に仲間の宴会なんかにはおいでにならなか
つた‥‥。
-
-
○
理事(
岡部常君) それとも随分珍らしいことがありそうですが‥‥。
-
○
証人(岡琢郎君) そういうものは、私共としては飲食というようなものについては特に
関心を持
つておりますので、全部差控えておるわけです。又別に向うからそういうことを申出たこともありませんのです。
-
-
○
証人(岡琢郎君) いいえ、そのときは持
つて参りません。
-
-
○
証人(岡琢郎君) そのあとで折なんか呉れたものですから、貰いばなしじやいけないというので、酒かなんか持たせてや
つたと思います。
-
-
-
-
○
証人(岡琢郎君) それの謝礼として‥‥、私共貰う
理由も何にもありませんから、そういうことはや
つて置いて筈であります。
-
○
理事(
岡部常君)
皆さん、よろしゆうございますか‥‥それではどうも有難うございました。これで休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
午後零時二十七分休憩
—————・—————
午後一時三十九分開会
-
○委員長(伊藤修君) それでは午前に引続き開会いたします。
〔
証人管原弘毅君着席〕
-
○委員長(伊藤修君) 管原弘毅さんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの御経歴は。
-
-
-
○
証人(管原弘毅君) 父親とそれから母親、それから私の家内、それから
子供、今年三つになります
子供と私、これだけです。
-
○委員長(伊藤修君) 何れも赴任地に御
一緒ですか。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) いつ頃からどういう
関係で
御存じですか。
-
○
証人(管原弘毅君) これは私が赴任をして來て十日ぐらいだと思いますが、佐々木
檢事のところに何か魚釣だ
つたと思いますけれども、そのときに、打合せに
行つたときに
宮城竹三郎なる人が來ておりまして、佐々木
檢事から、この人が今度新任の管原
檢事ですと、こういうようなことで、私紹介を受けたように記憶しております。
-
-
○
証人(管原弘毅君) 別段
関係というようなものはありません。
-
○委員長(伊藤修君)
宮城が何か経営しておる
旅館とか飲食店とかがありますね、そういうところへおいでにな
つたことがありますか。
-
○
証人(管原弘毅君) 九月だ
つたですか、私が今の家内と
一緒になるときですから、昨年の九月頃に、家内が栗原郡の岩ヶ崎から
仙台に参りまして、汽車が遅れたというので
駅前だ
つたと思いますが、そこに泊
つたので、そういう通知を受けて私が
行つて一晩あすこで泊めたことがあると思います。それだけであります。
-
○委員長(伊藤修君) それ一回切りですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かのいろいろな会合か、そういうことで
宮城の経営しておるところに
行つたことがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) おいでにな
つたことがありませんか。何か
宮城から品物とか、お金をお受けにな
つたことがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か職務上のことで
宮城があなたに御便宜を
お願いしたことがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
宮城は何ですか。
檢察廳に頻々出入りするのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 私が
檢察廳で見たというのは二回ぐらい見たと思いますね。
-
○委員長(伊藤修君) これは他の
檢事の方を訪問するわけですか。何の用事で來たか分りませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳の
檢事官の方、若くは事務局の人と
宮城というのは非常に懇意ではないのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) さあ、それ
はちよつと分りませんが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) あなたに最初にそうや
つて宮城に引合わしたということから察しても
仙台の
檢察廳に赴任しておいでになる本官の人は何れも
宮城にそうや
つて引合わされて、懇意にな
つて行くのではないでしようか。
-
○
証人(管原弘毅君) さあ、そこは私分りませんね。ただ私が赴任して來たときに、そう紹介を受けたのですが、あとで
宮城というのは何しておるのだと言うと、何か
檢察廳の指定
旅館とかなんとかということを聞きました。
-
○委員長(伊藤修君) あなたに赴任したときに
宮城にお世話になりましたか。
-
○
証人(管原弘毅君) 赴任して來るときですか。私は世話になんかなりません。
-
○委員長(伊藤修君) 他に轉任されるお方な赴任される方はいずれも
宮城の世話になるんじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは聞いておりませんね。分りません。
-
○委員長(伊藤修君)
仙台檢察廳にお勤めになれば
宮城と非常に心易くなるということが
一つの傳統的にな
つておるじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは私來たばかりですから分らないですね。
-
○委員長(伊藤修君) 一般に
宮城という者が
檢察廳に対して非常に懇意であるということは御承知ですかその程度は‥‥。
-
○
証人(管原弘毅君) まあ、指定
旅館だということ、聞いておりましたから。ですから何というのですか。
檢察廳だけでなくて、最高檢なんかから來たときは行くのじやないですか。私は
行つたことはありませんから。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると
檢察廳の、高檢若しくは地檢の何かいろいろ会合のときに、
宮城の所を利用するのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 最高檢が來たときに利用するのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) というようなことは聞いておりました。あすこのお客さんを泊めるのだということを聞いておりました。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳の何かいろいろ会合とか或いは会食する場合に、
宮城の所を常に御利用になるじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 私は
行つたことがありませんから分りません。
-
○委員長(伊藤修君) 外の方は御承知ありませんか。
-
○
証人(管原弘毅君) どうですかね。それ
はちよつと分りません。
-
○委員長(伊藤修君) あなたに
宮城を紹介する程ですから、佐々木
檢事は心易いわけですね。
-
○
証人(管原弘毅君) まあ、心易いかどうですか、その点は‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 今度あなたが赴任して來た場合、こういう人だということを紹介する程ですから、まあ先輩顔して‥‥。
-
○
証人(管原弘毅君) 内部の点は分りません、どんな
関係があるかということを聞いたことがありませんから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君)
相当心易くなければ一私人を紹介の労を取るわけもないでしようから。別段に
檢察廳の上役ならばとにかく‥‥。
-
○
証人(管原弘毅君) その点分りません。聞いておれば申上げます。けれども、私は何も聞いておりませんから。
-
○委員長(伊藤修君)
宮城に紹介されましてどうお感じになりましたか。
-
○
証人(管原弘毅君) どう感じたとい
つて、私はそうおりませんでしたから、私は土曜日の日だ
つたと思うのですが、何処に行くのだというようなことから、何かあの人は鯉釣りが專門ですから、何処か鹿島台とか何とかに行こうかというような話で、直ぐ別れたと思います。
-
○委員長(伊藤修君) 大体
宮城という人は
檢察廳を背景にして、自分の営業上とか或いは仕事の上において便宜を得たいとか、或いは少くともそういう威力を肩に着たいとかというような
考えを持
つておるのではないですか。
檢察廳はそれに利用されておるわけじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) さあ‥‥。それは分りませんね。私には‥‥。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳の方でそういうことを意識しないでも、
檢察廳の人が皆頻頻お出入にな
つておる、そういうことから、そういう利用を受けるのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) どうですかね、その点は‥‥。併し竹三郎という男はそんな男なんですかね。私は実際のところ分らないのですからね。
-
○委員長(伊藤修君) あなたのお勧めにな
つておる同僚諸君、若しくは事務局の人で
宮城のところへ出入する人を
御存じですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 若しくは檢察事務官、或いは職員で。
-
○
証人(管原弘毅君) 聞いていませんね、そういうことは。
-
○委員長(伊藤修君) ただ
宮城の開店する時には花環を
檢察廳から贈るという程ですから。余程
檢察廳と懇意でなければ、そんなことをする筈はありませんね。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、その花環の点は法務
委員会の方ですか、この間
仙台に來られた時に、その話を聞いたのですが、私は全然知らないのです。
-
○委員長(伊藤修君) そういう点から見ても
相当懇意であるべき筈ですね。花環を贈る程だから。
-
-
○委員長(伊藤修君) ただ
檢察廳から花環を贈るということは余程の名誉ですね。
-
○
証人(管原弘毅君) さあ、どういう経緯で花環を贈
つたものかよく分りませんですが。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると
宮城とあなたが会食なさ
つたということはないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなた失礼ですが
相当お酒いけるそうですね。
-
○
証人(管原弘毅君) 酒
つて、まあ軍隊にいた時は
大分酒を飲みましたけれども、南方へ
行つてマラリヤを始終起しまして、帰
つて來てからも大阪で三回程やりまして、あまりやると直ぐ足の方に響きますのでやりません。
-
○委員長(伊藤修君)
大分お飲みになるとかいう話ですが。
-
○
証人(管原弘毅君) まあ、それは
一つの噂で、事実上飲むと左の足が殆ど駄目になりますから。
-
-
○
証人(管原弘毅君) 怪我
つて‥‥四つの時に父親が台湾におりまして、信濃丸という船に乘
つて‥‥丁度四つの時、内地にいた時、母親を失くしまして‥‥四つですから、
ちよこ
ちよこ歩き二等デツキから落ちた。それからずつと左の足が惡い。特にマラリヤというのは関節が非常に酷くな
つて來ますから、そういうふうに刺戟物を與えると、とてもたまらないのです。
-
○委員長(伊藤修君) 何だか明けて昨年末、あなたは
大分御酩酊で、その結果何だか松尾の子分連中から暴行を受けられたということがあるじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、そんなことはありませんね。
-
○委員長(伊藤修君) あなた醉
つていらして投げられたということがおありではないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) お飲みになると
相当飲めるのでしよう。
-
○
証人(管原弘毅君) まあ、飲むことは飲みますね。
-
○委員長(伊藤修君) 一升ぐらいゆくですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 一升‥‥さあ、そんな‥‥一升飲めば当時だ
つて七百円、今だ
つて千円、我々の俸給では、とてもいけません。
-
○委員長(伊藤修君) あなた
千葉知事の招宴は御出席になりましたね。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 何処か招宴に
お出でにな
つたことはないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 知事の招待を受けて
お出でにな
つたことありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 一回もありませんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなた何だか招宴を受けまして、その招宴の席上で醉ぱらわれて何か醜行があ
つたとかいうようなこと。
-
○
証人(管原弘毅君) 醜行ですか、いやそんなことはありません。
-
○委員長(伊藤修君) そういう噂もありますがね。根本的に招宴に御出席にな
つていなければそういうことはないことにしてそれ以上お尋ねいたしません。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは何か山口屋酒店の招待を受けていらつしや
つたことはありますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは、どういう
理由だ
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは、何か石巻の司法保護委員の、
名前は忘れましたですけれども、その人が何か青梅寮の開店‥‥と言うとおかしいですが、國からお金を貰
つて、その披露宴とかなんとかいう名目だ
つたと思いますが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、そのときの話は。
-
○
証人(管原弘毅君) 話は、私なんかは後に行きましたから分りません。
-
○委員長(伊藤修君) それはどういう‥‥名指しで招待されたのですか、どなたからか誘われたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 上の方から出ろと言われましたから出ました。
-
-
○
証人(管原弘毅君) ええ、回覧が廻
つて來ましたから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) そのときは廳員の人全部招ばれて
行つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 殆んど
行つたと思いますが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 本官の人だけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 事務官の人は行かなか
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 事務官の者はあのときはどうだ
つたですかね。
檢事だけは兎に角行きました。
-
○委員長(伊藤修君)
仙台の
檢察廳は、よく
檢察廳全体が招かれてそういう席に絶えず御出席になるのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、私はそれが一遍ですから。
-
○委員長(伊藤修君) そういう風習があるのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そのときの宴会はそういう司法保護の宴会としては相應しくない豪華な宴会だ
つたそうですね。
-
○
証人(管原弘毅君) 豪華な宴会とい
つても、あのときは三皿ぐらいしか出ておらなか
つたと思いますが、料理が。
-
○委員長(伊藤修君) そう大したものではないですね。
-
○
証人(管原弘毅君) まあ、私が戰地……私は昭南におりましたので、あのとき話をしたのが、確か青山
檢事だ
つたと思いますが、そのくらいの蝦が
一つ出てお
つた。私は昭南に長くお
つたことがありますから、戰地の昭南の蝦の話をして、これ
はちよつと珍らしいというような話をしてお
つたのですがね。料理としてこのくらいの蝦が出てお
つたので、それが
ちよつと珍らしいなと思
つたくらいです。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、その宴会は普通な、儀礼的な招待として見られるものですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 儀礼的とい
つてまあその程度のものですかね。私は一遍しか出ていないのですから、
ちよつと……。
-
○委員長(伊藤修君) あのときは大変な御馳走だ
つたというふうには思われなか
つたですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは松浦正隆の
事件を御担当になりましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) これは最初からお取扱いにな
つたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) どんなような概要ですか。
-
○
証人(管原弘毅君) これは昨年の六月十日ですね、
仙台の近くに鹿島台というところがあるのですけれども、その鹿島台の農業倉庫に元の陸軍糧秣廠のゴム袋……ゴム袋というのは、投下用の糧秣投下用のゴム袋ですが、そのゴム袋が約二千トンとい
つておりますが、そのくらいのものが隠匿されておる。こういう、佐藤善吉郎というテキ屋だと思いますが、それの申告、投書が來たのです。それで私は赴任して間もない話ですが、六月十日の日に臨時物資需給調整法違反
事件として、鹿島台の農業倉庫に押收搜索に
行つた。ところが、その鹿島台の倉庫に行きますというと、米だけ積んでおりまして、現品はそれらしいものが全然なか
つたのです。それで農業庫倉の長に、ざつくばらんに君と話をするのだが、こういう投書が來ておるが、そういう件について知らないか、ということをいいましたが、自分は轉任して來たばかりでよく知らない。前にいた人が近くにいるから、その人に話をして見てくれというので、その前任者の人を呼んで聞いたのですが、六月十日に
行つて、その年の二月初旬頃までその品物が倉庫に
相当沢山あ
つた。ところが、丸通会社のものの委託によ
つて、それを北海道であるとか、それから小樽というようなところに運び去られたというようなことを、私が聞いたのです。そこでその品物の性質は、どういうものであろうかと
思つて、直ぐ近くの
駅前に丸通がありますから、丸通の会社に
行つて帳簿を見せられた。ところが、その帳簿に、一昨年、
昭和二十年の五、六月項から
相当の数量の、そういうゴム袋があ
つて、それが昨年の二月初旬頃までの間に、東北戰災者更生團の松浦正隆とか、それから大村義夫、こういう名義で、その品物が送られておる。こういうところから、東北戰災者更生團というものの
事件の発端にな
つたのです。
-
○委員長(伊藤修君) それからその処理は。
-
○
証人(管原弘毅君) そうして先ず大村義夫を呼んで、実際東北戰災者更生團というものは、私は知らなか
つたのですが、大村義夫を
檢察廳の方に任意の形式で呼んで、話を聞いたが、事実その品物はあ
つた。それは
宮城縣知事だ
つたのですが、そういう人のところから特殊物件として讓り受けたものである。ところが、それを最初讓り受けたそのときには、戰災者更生團のゴム靴だ
つたと思いますが、そういうものに全部更生をして、戰災者或は引揚者にそれを分配をしてやるのだ。こういう名目で、それを讓り受けたものである。ところが事実その品物が北海道であるとか、或いは札幌、小樽方面に賣却をされておるという点は、これは戰災者更生團の
理事長であるところの、松浦の指示によ
つて一切や
つたものであ
つて、自分の関知するところではない。こういうようなことを彼がいうのです。それで先ず戰災者更生團というものについて知りたいが、一体誰を呼んだらいいか。大村義夫は常任
理事ですが、そのメンバーについて聞いたところが、佐藤至立、それからもう一人渡邊儀之助。こういう人々に聞いたならば、特に渡邊儀之助は戰災者であ
つて、非常に戰災者更生團のために、盡力しておる人であるから、その人に聽いたらよかろう、こういうことで早速渡邊儀之助を呼んで、そうして主として戰災者更生團の内容、それから今問題にな
つておるところのゴム袋というものの性質、而して賣却したところの
理由、それから賣却代金、それから代金の支拂状況、それから御代金のいわゆる経理の方面、こういう各項目に亘
つて聽いて
行つたのですけれども、そのときに渡邊儀之助の言うのには、そのゴム袋の件の外に、兎に角松浦という人間は
相当ひどい人間である。要するに彼は戰災者更生團というものの
名前によ
つて、何というのですか、自分の利を得るというようなことをや
つておる人間である。特に戰災者更生團のために貨物自動車が、これは新品の貨物自動車だと
言つておるのですが、この新品貨物自動車が拂
下げにな
つた。これは七万五千円だ
つたと思いますが、それを二ヶ月くらいの内に、二十五万円で賣却してしま
つた。而もそういう賣却の件に関しては、戰災者更生團の
理事会に全然かけておらん。更にその全員の川納というものについて、全然戰災者に対して発表もしておらない。それから又母子寮の建設のために使用する木材約二千石、これを農林省の方から切符制で以て、拂
下げを受けることにな
つてお
つたのだが、その木材の行方というものが全然分らん。果してその木材を闇で流したのか、或いはその切符を闇で流したものであるか、全然そういうことについて報告をしておらない。それから又現在入
つておるところの、松浦正隆の戰災者更生團の事務所なるものは、
相当立派な二階建の中に、彼は住み込んでおる。それから家財道具を見ても、
相当な品物が新品ばかり揃
つておる。それから又彼のところにある骨董品というものも、時價に見積れば数十万円に上るだろう。渡邊儀之助が言うのには、そうしたような我々戰災者或いは引揚者が本当に品物がなくて、食く米もなくて喘いでおるのに、彼自身は、戰災者更生團の團長であるというような
名前によ
つて、そういう宏壮な建物に入
つて、而もその宏壮な建物の中にお
つて何をしておるか、
評判によれば大村とか、或いは二、三の者とばくちをや
つておる。こういうのでは、我々戰災者更生團というものの名目が立たない。要するに彼の專断的な行爲によ
つて犠牲になるのは、戰災者更生團の團員だけである。こういうようなことを言うて來たのである。それでこれでは、とても戰災者更生團というもの、特にこの松浦正隆の行状というものが、どうも不明朗である。要するに、一應戰災者更生團の一件は取上げて見て、而も更生團に、そういう不明朗な点があるならば、これは明らかに両客のために、更生團の團員のために、而もそういうような疑念を受けておる松浦のために、明らかにしてやらなければならない。こういうようなところから松浦の
事件の取調べをするようにな
つたのです。それで貨物自動車の件につきましては……。
-
○委員長(伊藤修君) 細かいことはよろしいですから……それでどういうふうに処理なされたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それでこのゴム袋で作
つたところのゴム長靴五十足を彼の選挙費用のため借財の弁済のために使用したというので、いわゆる業務上横領で
起訴しました。それから又このゴム袋一枚四円で受けたものを、一枚七十円だ
つたと思いますが、それで賣却したというので、高檢の方に打合せして、いわゆる不当利得、不当利得というとおかしいのですが、不当高價なもの、いわゆる物賣統制令違反、これで以て
起訴をしたのです。
-
○委員長(伊藤修君) この
事件の端緒は何によるのですか。投書によるのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) そうです。鹿島台倉庫の投書です。
-
○委員長(伊藤修君) それは
宮城の密告によるのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) いえ、この六月十日の佐藤善吉郎という人の投書がありますから、押收搜索をするとこにはこれを必ず附けて参りますから、これはまだ
檢察廳に残
つております。
-
○委員長(伊藤修君)
宮城の密告によ
つてこの
事件が釀してされたとか……。
-
-
○委員長(伊藤修君) この
事件に対して
宮城は
関係ありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それから萩原の
事件で発展して
行つたのは、どういうところから発展して
行つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) こういう渡邊儀之助のいわゆる私に対する取調べにおいて、こういう貨物自動車であるとか、それから木材の横流し、今申上げましたようなことを調査をしておるときに、私は渡邊儀之助にこういうことを頼んだことがあるのです。現在問題にな
つておるところのゴム長靴というようなもの、或いは君が言うところの被服修理材料であるとか、或いは木綿の布が四十ヤールある、そういう品物が果して戰災者更生團の團員の方に分配されておるかどうか、その点は須らくこのブロツクがありますから、例えば長町だ
つたら長町、或いは北出町だ
つたら北出町のブロツクにな
つて、これが
一つの戰災者更生團にな
つておりますから、それで渡邊儀之助にブロツクごとに調査をして呉れないか、そういうことを私は頼んだことがあるのです。一々そういうように、例えば一人二人というようなところならば、自分のところに直接葉書が何かで、手紙でもよろしい、自分は何月何日にこういう品物を受けた、或いはこういう品物は受けないというようなことについて詳細に書いて來て呉れ、こういうことを私は頼んだことがあるのです。ところが頼んでから約一週間ぐらいしたときに、私のところに投書とは見られなか
つたのですけれども、何とか悩める團員とか何とかいうので、私が戰災者更生團の
事件をや
つておるので非常に御苦労である。自分たちはこの戰災者更生團の團員として、この貴官の努力を
お願いして止まない。こういうようなことから、現在の更生團の役員というのは実際な
つておらない。而もその名簿に、名簿といいますかそういうような誹諦したようなものなんですけけども、その中に松浦正隆が長町だ
つたか、どこかに妾を囲
つておる、而も彼の行状は、更生團を
名前にして私の利益を図
つておるようないわゆる團長である。それから彼は元松浦天外と言いましたが、天外というような
名前は金山活牛から受けた
名前であるが、彼の行状にいわゆる反感を持
つて金山活牛が止めたというようなこと。それから大村義夫はたまたま彼の家で博打を打
つておる、そういうような役員であるということ。それからさつき申上げた佐藤至立、これが何か小樽で石炭の横流しをや
つた、そういうようないわゆるブローカー的な人間である。それから萩原富雄は戰災者更生團の会計主任であ
つて、自動車を、恐らく貨物自動車だろうと思うのですけれども、貨物自動車を選挙のときに、團員に告げないで勝手に使
つた。而も新品の物が古くな
つてしま
つて、彼が團員に諮らないでそれを賣
つて、そうして彼の使
つたところの選挙費用が七十万円と
言つておりますが、その七十万円の選挙費用に使
つて、その費用は松浦から貰い受けたものである。その一部が長町の菊田友吉という者に、十万円か七万円か知らんけれども、それを贈賄した。こういうようないわゆる役員同士であるから、この際貴官の盡力によ
つて須らくこの更生團を解散をして、新らしいいわゆる團員のための更生團を作つい貰いたい。こういうような私に対する手紙が來たのです。それから貨物自動車の不正使用ということについて荻原を調べたのが大体のそもそもの始まりであります。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、その投書が來てから逮捕するのに、どれだけ期間があ
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) そうですね。荻原に一度來て貰
つて、佐藤を呼び、それから渡邊も呼び、大村も呼びましたから、一週間くらいはあ
つたのじやないかと思います。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、その投書を取上げまして、その荻原を一週間の間調べたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 調べました。というのは、私は贈賄という点は初めから問題にしておらなか
つたのです。それで自分の重点は、どこまでも戰災者厚生團のゴム袋という点ですから、その点にずつと集中して
行つたのです。ところがゴム袋の点は、今申上げたように、自分で勝手に使
つたと言うから、それは一段落終
つて、その次に貨物自動車の件です。これも
一つの問題にな
つておりますから、それで貨物自動車の件について、一体不正に使用したのかどうか、それからそれを賣
つたところの賣先、それから賣却代金、それからその経理の方面、こういうような方面について聽いて
行つたのです。
-
○委員長(伊藤修君) いや、一週間の間にそれをおやりにな
つたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それで犯罪ありと思料されたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 貨物自動車の方はなくな
つたので、それで要するにその自動車の件を片付けてしまうのに二日か三日かか
つたと思いますけれども、それで菊田という者が出て來ておりますから、それで自分で呼んで、お前実際そういうものを貰
つたのかどうか、十万円貰
つたのかどうかということを聽いたのですが、それから二度ばかり菊田を呼んだと思います。そうしたところが、実はここで申上げられないことであるけれどもというような話から、贈賄の点が出て来たのです。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、そういうような点についてお調べの上、本人を逮捕したのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それで逮捕状にはそういう
理由はお書きにな
つているのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 逮捕はされて警察かどこかへ預けたのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 刑務所ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 最初いきなり刑務所に
行つたのじやないでしよう。
-
-
○委員長(伊藤修君) 警察に一晩泊めたのじやないでしようか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 最初は。
-
-
○委員長(伊藤修君) その晩にあなた本人に会われたですね。
-
○
証人(管原弘毅君) 本人には……警察で会いました。
-
○委員長(伊藤修君) そのときに、大変あなたが御酩酊にな
つて、こういう机の上の腰掛けられて、煙草をそつくり返
つて喫
つて、そうして本人に対してお前はこれからどういうふうにして料理
つてやろう、何から料理
つてやろうかなどと、そうまつしや
つたのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは最高檢の橋本
檢事が聞いたときも言われたのですが、私も
ちよつと記憶にないのです。何のために彼がそんなこと言うのですか、そんなこと大体できる筈ないのです、私は。
-
○委員長(伊藤修君) そのときに酒を飲んでいらつしや
つたのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 飲んではおりません。但し私の家でよくコーヒーにウヰすキーを入れて飲みますから、それで酒を飲んだというようなことを
言つてるのじやないのかと思うのですけれども。
-
○委員長(伊藤修君) まあ飲む飲まんは第二といたしましても、あなたがそういう……。
-
○
証人(管原弘毅君) 正式には酒は飲んでおりません。
-
○委員長(伊藤修君) そういう態度ですね。本人にそういうことをおつしや
つたという……。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、言いません。私はそんなことは大体言える筋合いのものじやありませんから。
-
○委員長(伊藤修君) 常識から
考えて
ちよつとおかしいですがね。
-
○
証人(管原弘毅君) そんなこと、最初から何も私は荻原自体に恨みもあるわけでも何でもないですから、如何にしてやるかということは、
ちよつと
檢事としてもこれは言えないです。
-
○委員長(伊藤修君) 本人はそう
言つておりますがね。
-
○
証人(管原弘毅君) ははあ。まあ
皆さん方の、檢察官というもの、
檢事というものが果してそういうことが言えるものかどうか、まあ御明察
お願いします。
-
○委員長(伊藤修君) まあそういうような仮に言葉があるといたしますれば、何かあなたが含んでこの
事件を取扱われたとかいうようにも
考えられるし、又その投書というものが何かのためにするためになされたとかいうふうにも
考えられますわね。
-
○
証人(管原弘毅君) それは荻原さん自体はどういうように
考えておられるか知りませんけれども、私の信念としては、いわゆる
檢事というものは、私
司法官試補時代も盛んに言われたのですけれども、
檢事というものは、罪はどこまでも憎まなければならん、併し人間というものは、女房もあるし
子供も皆あるのであるからして、そういう人間についてのいわゆる憎みというものを持
つてやれば、
事件そのものが面白くなくなるというようなことを以てや
つているのです。私も荻原
事件のみならず、天外を調べるときにも、強盗
事件或いは殺人
事件を取扱うときにおいても、どんな小さな罪でも自分がこれはおかしいと思
つたときにはがつとどこまでも食い附いて放さないのですが、一面人間というものを
考えると、やはり氣の毒だというような点も十分に考慮してや
つているのです。
-
○委員長(伊藤修君) そのときに、警察にいらつしや
つたときに、どういうお話をなさ
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) あの点は、要するに、まあどういうことを言うたか
つて詳しいことは分りませんですけれども、中橋組から十万円貰
つたのかどうかという点ですね。
-
○委員長(伊藤修君) その日にお調べにな
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) その日一應聞いたのです、私は。聞いてとにかく犯罪の嫌疑が濃厚であれば、これはもう直ぐに強制処分にしなければいけませんから、それから濃厚でないとすると直ぐ釈放してやるのが
檢事の立場ですから、そういう
意味で私は聞いたのです。
-
○委員長(伊藤修君) 今の投書というのは、
宮城の投書じやないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 当時曲直問題というのが起
つておりましたね。いわゆる反対側の有力者たる荻原を陷れるためにそういうことがなされたのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 私ですか。いや、そんなことは私はしません。大体私は赴任して來たのは六月の
ちよつと前ですから‥‥そうして大阪に二年間おりまして、もう判決々々で、判決の起案ばかりや
つておりますから、そういうことは実際分らないです。まあ橋本
檢事もそういうことは突つ込まれましたけれども、私は橋本
檢事も、ここで申上げるのも皆同じですけれども、事実上私は知らない。
-
○委員長(伊藤修君) 曲直問題が起
つているということは
御存じですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは大阪におりましたときに‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 赴任された当時ですね。
-
○
証人(管原弘毅君) こつちですか‥‥
仙台ですか。
-
○委員長(伊藤修君) ええ。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、知りません。大阪におりますときに、
一松総裁が來て解決をせられたという点は、あれは父親から、何か、下駄か何かを送
つて貰うのに
新聞紙に包んであ
つたの、あれに
ちよつと書いてあ
つたのを見ました。そのときです。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると荻原を逮捕したときにそういうような政爭の渦中にある人物だということは
御存じなか
つた‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 調べておるうちに分
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それが、参議院の方が來られてから、たしか
新聞社の方だ
つたろうと思うのですが、聞いたのですが、荻原と、それから松浦天外がその反対側の人であるということを私は聞いたと思います。
-
○委員長(伊藤修君) 荻原を四十日勾留されたそうですね。どうしてそんな長くかか
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) それは、あれは最初に贈賄の件と、それから金融緊急措置令違反と、それからもう
一つは脱税だ
つたと思います。その脱税の件で、税務署の方とよく打合せてや
つたのですけれども、そういうような三つの、いわゆる方向に
事件がばつと進んで行きましたから、そのために長くな
つたと思います。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、
檢事勾留の期間が十日間でしよう。それをどういうふうにおやりにな
つたのですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 一部分追
起訴したのです。最初追
起訴しまして、それから脱税の方面について捜査をして
行つて、それからやりました。
-
○委員長(伊藤修君) 前の
事件が不確実であ
つて、とにかく本人を挙げて置いて、それで搾り出そうとなさ
つたのじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) 私ですか。いや、そんな
考えはないですね。それでは大体不当拘束ですから‥‥。現在新憲法が出てからそういうことはいけないということが言われておるのですけれども、そんな
考えは私はないです。
-
○委員長(伊藤修君) 微々たる
事件で
起訴して置いて、あとどんどんほじくり出すというやり方を多く
檢察廳の人がやられますがよくないことだと思いますけれども‥‥。
-
○
証人(管原弘毅君) それはよくないですけれども、併しまあ、私も前にも申上げましたように、とにかく荻原さんに対して私は恨みも何もないですから‥‥。ただ檢察官として工合が惡い、おかしい。
一つの犯罪があ
つておかしいと思えば、とにかく私は犬のようにガ誠と噛みつきます。そうして絶対に放しません。併し放さないでいるうちに、不当にそれを長くするということは、私も大体今までも
考えたことはない。
-
○委員長(伊藤修君) とにかく法律上御承知の
通り短期間に仕事をなせということは、基本的に守らなくちやならんと思います。だから追
起訴という手段によ
つて荏苒として勾留期間を長くせしめるということになれば、以前とちつとも変らんということになりますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) どうもこの
事件の取扱い方はそういうふうに見られますがね。
-
○
証人(管原弘毅君) はあ、私も非常に‥‥主任の
檢事で、とにかくこういうところは自分の性格の現われじやないかと思いますが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、あなたが
一つの
事件を捉えると絶対離さんというお
考え方も治安維持の上においていいことでありましようが、だからと
言つて基本的人権を無視していいという
考え方は是認できないですね。
-
○
証人(管原弘毅君) そうです。私はそういうような人権を無視するというようなことは
考えてや
つたわけじやないのですから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) けれども職務に御熱心の余りそういう結果に至りますれば、これは又非難すべきことですね。
-
○
証人(管原弘毅君) そうです。非常に教えられて、自分の間違
つているところは、いわゆる新憲法に即してこれからは大いに改めたいと
考えております。
-
○委員長(伊藤修君) お仕事はおえらいでしようが、又
事件の取扱の上において思うように運びのつかん場合もあるように思いますが、成るべくは期間を尊重して頂いて、速かに本人の身柄というものは拘束を解くような方向に進んで頂いた方がやはり新憲法の精神じやないかと思います。そうして得てして余り長い間でございますと、或いは非難が出て來るわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それで
事件はどういう
事件が立
つたわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) ええ。
-
○
証人(管原弘毅君) 荻原の
事件は贈賄とそれから金融緊急措置令違反、それから脱税の件です。
-
○委員長(伊藤修君) 贈賄の件は何か
相当影が薄いようじやないですか、我々
考えて見ましても‥‥。
-
○
証人(管原弘毅君) ええ、まあ彼に対して恨みを持
つておれば、無罪ということになれば、それは
檢事控訴というようなことも
考えられますけれども、併し一應そういうふうに、いわゆる世評がそういう工合にな
つておるということにおいては、一應晴らさなければ、これは
檢事としての役目が立たない。それで公判に立
つてお互いにいわゆる公判鬪爭をして、一應自分の方の法律的な見解が間違
つているというならば、潔く、それはもう何と言いますか、いわゆる彼のために無罪を祝福することは吝かでないと私は思います。
-
○委員長(伊藤修君) その贈賄で最初
起訴されたわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それで期間内に
起訴されたわけでありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それから今の税務署の
関係で
一つ追
起訴されたわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 税務署
関係の分も何だか無理遣に掘じくられたような‥‥あなたの御性格からであるかも存じませんが、したように感じられるのですが、そうじやないですか。
-
○
証人(管原弘毅君) いや、それは違います。それはですね‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 何か
一つの
事件が、基本的に
起訴された
事件が不確実だと、支え棒のためにあとからから追
起訴するというのは從來の
檢察廳のやり方ですね。そんなふうにも
事件の立て方が見られますね。そうじやないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かかつちりしたもので、かつちりと
一つで叩きつけてもよいのですがね。そんなような非難を臆測的に言われる人もありますから‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) そんなような
関係上、この
事件が時恰かも曲直問題が政治的に発展しておる中途に、そういうような事情からして
宮城がこの
事件に
相当タツチしておる、蔭で動いておる。それであなたがそれに動かされておるというような非難もあるわけでありますがね。そういうことは毛頭ないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
宮城が何だか電話を掛けて、この
事件で
相当荻原の方にもお礼する、この
事件というわけでもないけれども、お礼してやるというようなことを
言つておるらしいですがね。
-
-
○委員長(伊藤修君) いいえ、荻原の方に電話を掛けて、曲直問題に対するお礼をこの
事件でしたというふうでありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういう蔭の働きによ
つてあなたが動いておるということはないですね。
-
-
-
○
証人(管原弘毅君)
南出さんという人は、この
事件にな
つてから初めて知るようになりました。それまで顔を合せたことがないです。
-
○委員長(伊藤修君) あなたは松尾啓三の襲名披露に出席されましたですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 荻原の
事件を御取扱中に
加藤という被疑者がありますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それを
梅原や
澁谷があなたのところに頼みに來て釈放の懇請をしたことがありますか。
-
○
証人(管原弘毅君) 記憶にありませんね。ないです、そういうことは‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 本人たちは
行つておるようなことを
言つておりますが‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) ええ。
-
-
○委員長(伊藤修君)
加藤はどういう手続で釈放されたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると勾留はどのくらいされておりましたか。
-
○
証人(管原弘毅君) 勾留は荻原と
一緒でないかと思いますね。
-
○委員長(伊藤修君)
保釈によ
つてなされたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは意見書に同意されたのですか。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 公判は聞かれていないですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 公判前に
保釈したわけですね。
-
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 年はお幾つですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) お住いは呼出状を差上げた所でございますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 現在のお職は何ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 公職は何か就いておられますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か委員か‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) それから司法
関係では何か‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か沢山仕事を御経活にな
つていらつしやいますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) どういうことをや
つていらつしやいますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると
旅館と喫茶店と‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) それから‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの支配下といいますか‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなた個人はそうですが、あなたの投資によ
つて仕事をなさ
つている部分があるでしようが‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) え、
旅館にキヤンデー、それから娘の方はパーマネント、それから麻雀クラブは今止めましてございます。そんなものでございます。
-
○委員長(伊藤修君) 何か料理店もや
つておりますのですか。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 今できないことにな
つておりますからね。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたが経営していらつしやるのですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 経営しております。貸席、そんなものでございます。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると四つですか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
旅館と喫茶店と、料理屋とパーマネント、麻雀は止めたと‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) そんなものでございますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) もつと沢山経営しているのじやないですか、何か‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの身内の人とか、子分衆とか、あなたの資本で以てや
つている人はないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 失礼ですが財産はどのくらいおありになるのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 借金もございますけれども、この前も申上げましたが一千万くらい皆であるかと思います。皆家財道具から入れて‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 建物は皆あなたのものですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 法律上の問題は別として、要するにあなたの実力支配下にある財産ですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 時價に見積ればもつとあるのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 收入は
相当おありになりますか、收入はどうですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 月にどのくらいありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ全部から取上げる‥‥一ヶ月にどのくらい‥‥百万円ぐらい入
つて來るとか、五十万円ぐらい入
つて來るとか‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 全部で七、八十万ぐらいあるかと思いますが‥‥六十万ぐらいあるかと思います。
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 経費をお拂いにな
つて剰るのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 剰るでございましようね。今のところはとにかく
旅館の方が本分でございまして、キヤンデーも休んでおりますし、使用人も多くおりますけれども、今のところ暇になりました。
旅館は三軒や
つておりますから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 何か前にお間違いが一、二回ありますのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何回ぐらいあるのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 一番終いはいつ頃ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それが一番終い‥‥それから間違いはありませんね。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは元西方組とどういうような
関係があ
つたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) それは今から十五年か、二十年ぐらい前でございまして、西方親分というのがありまして、私と同年で友人
関係でございます。
-
○委員長(伊藤修君) 西方何というのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 数字の四郎ですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 一、二、三、四の四郎ですね。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 東北一番ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると縄張りというのはどの範囲ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 奥州一円というわけでありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 当時の子分衆は
相当あ
つたのですか。身内は‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) どのくらい。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) どういう御
関係でお入りにな
つたのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 入
つたというわけでございませんけれども、入
つて子分だとか、兄弟分という盃をしたわけじやございませんで、小さいから、
仙台で生れまして友達
関係でございますから、それで手遊びをして遊んだことがありますから、勢いそういうことに‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 今のあれじやありませんが、その当時では、あなたはどういう地位ですか、客分という地位ですか、兄弟分という地位ですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは盃をしてない‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 五分々々ですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 五分々々というわけでもございません、やはり親分と
言つておりましたから、子分というわけでもございませんが、遊びに來れば親分々々と
言つておりました。
-
○委員長(伊藤修君) あなたの方が歩が少いわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると何か代貸し見たいなこともやるのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
仙台市だけですか、縄張りは‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 市外には及ばないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 外にありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 外に、
仙台市外には別の親分があ
つたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かそういう縄張りで爭うことはありましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) その時分は‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) その外に、西方にいらつしや
つた関係上、いわゆる親分衆とのお附合いはあるのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それとも、お附合いをしておる‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) その外にある‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたのお附合いは‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 横田組との附合いを親密にしてお
つたわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君)
仙台の方のそういう團体の人はおとなしいのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か出入り等があるのじやありませんか。賭場の爭いや何かで‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 血を見るようなことはありませんでしたか。あなたの
関係しておるうちに‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 斬
つたり、は
つたりしたことはありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたはいつ足をお洗いにな
つたのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そのとき私カフエーを営業中でございましたので、私は最後に執行猶中になりまして、
昭和十四年に、それから直ぐ
旅館に轉向いたしまして、それからでございます。
-
○委員長(伊藤修君)
昭和十四年から足を洗
つた‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 依然としてそういう人はあなたのところに出入りするでしよう。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 今、西方親分は松島におりますし、殆んど出入りが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 子分衆とか、身内の人があなたのところに頼
つて來ることはありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは何かお仕事する
関係上、そういうものに手を貸せとかいうことをなさ
つたことはありませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 私の方で謝
つて遠ざか
つております。私の方で‥‥。それでもやはり興行師とか、何とか來ますけれども、興行師だからと
言つて招待券なんか持
つて参りますけれども、切りがありませんから成るたけ遠ざか
つております。
-
○委員長(伊藤修君) そういうお附合いはやらないのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、旅人やなんかあなたのところに草鞋を脱ぐとか、あなたのところに仁義をきりに來ることはありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) よく來るでしようが。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 多少は來ますけれども、私のところには絶対参りません。
-
○委員長(伊藤修君) 來ないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、殆んど忘れられたようなもので一人も‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 世間ではあなたがそういう團体のまあ背景があるとこう
思つてやしませんですかね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 今では
思つていないかと思いますが、成るだけ遠ざか
つておりますから‥‥私はこの戰爭になりましてから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) あなたは西方化の身内の一家衆とか、まあ準というか、或いは客分とかいうようなふうに見てやしないでしようか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 現在は失礼ですが、博打はおやりになりませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの使用人やなんかやりやりませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) やる者は一人もありません。私はやかましくしておりますから。尤も番頭一人二人ですか一軒には‥‥。生は女中だけで女が多いですから。
-
○委員長(伊藤修君) あなたが
仙台の
檢察廳に出入りされた最初はどういう動機からですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) はあ、その人は‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) その前にはやはりお客さんお泊りにな
つたことはございますけれども、開業してから
南出さんが私のところにお泊りにな
つてから主に出入りするようになりました。
-
○委員長(伊藤修君)
南出さんが
弁護士を開業されてからですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、
千葉から轉勤になりまして、
仙台檢察廳に
お出でにな
つてから。それから夜中に來まして私のところにお泊りにな
つたものですから。それから近所に家を見付けてお引越しにな
つたものですから。そのとき夜なんか
お出でにな
つたりなんかしておりました、風呂入りに‥‥。それから今度
檢事さん方
お出でにな
つたこともあるのですから、それからずつと出入りしております。
-
○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それから始終
檢察廳の人が出入りするわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると新らしく赴任して來る人は皆あなたのところに御厄介になるのですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、外もお泊りになりますが、多分私のところに泊ります。
-
○委員長(伊藤修君) 轉任する人も大体あなたのところに‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 荷物なんかの世話もしてやるわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 生活や家の面倒も見てやるわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 好意的にね。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ醤油が足らんとか、味噌が足らんとか‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) お米が足らんとか、いろいろ不自由しますから‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君)
ちよつと
宮城君頼むと言いやしませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 家を探してやるとか、そういう面倒は見てやるのですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、家を探して、
南出先生の家だけ私は何しましたが、後は家というものを探してや
つたことはありません。ただお嬢ちやんとか、お坊つちやんとか耳鼻科の医者をどうとかと電話で來るのはお世話申上げたこともございますが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君)
檢事局はあなたの方が便宜があるからいろいろ市井のことに交渉になることは頼んで來るわけですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、そのお医者さんとか、或いは家がなかんべかぐらいの御相談にな
つたことはあります。でも家がないものですから頼まれても迷惑です。家が拂底なものですから頼まれることは頼まれますけれども家がないものですから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君)
檢事局としては結局便利だし、あなたのところへ御厄介を持
つて來るわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 厄介か厄介でないか知りませんが‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そういう相談を持
つて來ることもございますが、何もかも皆何するというわけではございません。ただお泊りになるというお電話がございますから、そのときはとにかく夜でも部屋を空けましてお泊めするようなことはございますが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 指定
旅館とな
つているのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 指定
旅館のつものでおりましたが、別に看板を上げたわけだはございませんが、とにかく大事なお得意さんと
思つております。
-
○委員長(伊藤修君) お得意さんですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君)
檢事さんばかりではありませんで、判事さんも電話で來ますからお泊めしておるわけです。
-
○委員長(伊藤修君)
裁判所及び
檢察廳に來てお泊りになる人は皆あなたのところへお泊りになりますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは勿論縣下の判
檢事の人が打合会とか、何とかいうことで招集された場合も勿論來るわけでございますね。
-
-
○委員長(伊藤修君) その外に何か
檢察廳や
裁判所でいろいろ会合する場合もありますが、打合したいとかで料理屋に行くわけにも行かんし、あなたのところの席を借りるようなこともありましようね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 事務局やなんかの頼みによ
つて席を貸すようなこともあるのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そういうことはございません。席を貸して呉れというようなことはございませんが、多分お泊りのお客さんのときは
皆さんお出でになるようです。
-
○委員長(伊藤修君) あなたの方は今休んでいますけれども、表の営業はできないですけれども、料理屋の方もお使いになるのでしよう。
-
-
○委員長(伊藤修君) その貸席もお使いになるのでしようが‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、多分私の方に、私の元寺小路の方へ参ります。
-
○委員長(伊藤修君) どちらですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 元寺小路が私の住いで、
駅前は忰の方ですが、私の家の方へ、お客は電話で元寺小路の竹屋の方へお出になります。
駅前の方は
宮城ホテルとな
つておりますので、多分私の方へお泊りになります。
駅前は‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 宿屋が二つあるのですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、ホテルはどうも終戰後建てたので‥‥。竹屋の方が少し体裁がいいものですから、元寺小路の方へ
お出でになります。
駅前はうるさいものですから、竹屋ホテルの私の方がよいように
思つております。
-
○委員長(伊藤修君) 竹屋ホテルの方に‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 料飲店の方も使うわけですか。貸席は‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 貸席は空いておるのですから使
つてもいいじやないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、忰の方では使
つておりますが、元寺小路では貸すことはしません。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると、そういう
関係でありますと、自然
檢察廳の人は、新らしく見えた人が順次あなたの方へ顏出しされておるわけですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 顏出しというわけではございませんけれども、
お出でにな
つて知らない
檢事さんもございますけれども、まあとにかくお泊りになる方はお泊りになると
思つております。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、いずれも
檢察廳の人は全部あなたのところへ御厄介にな
つておるわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、こういう時節柄ですから、どうも料理屋に
行つて飲むわけに行かないから、まあ、お互いに宿屋に
行つて便宜飲むということもございますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 持参かどうか分りませんけれども‥‥。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) その外まあそういうような赴任、轉任及び会合という以外に個人的にまあ一人々々遊びに見えるということもあるのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) ない‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君)
ちよつとそこまで來たから寄
つたというような人はありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あるように聞いておりまかが‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そこまで來たからというようなことはございません。
-
○委員長(伊藤修君) あなたの留守のところへ來るのじやありませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) ただ会合の帰りにやはり、一人ずつということはありませんけれども、四、五人くらい
お出でになることはあります。
-
○委員長(伊藤修君) 先程のお話の宴会帰りに一人とか二人、どつかの宴会の帰りとか、会合の帰りに一服しにお寄りになるということはあり得べきことですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 五、六人ぐらいでお寄りになるということもあります。
-
○委員長(伊藤修君) そういうように親しくすると結局何か面倒を見てやらなければならん‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 随分私は面倒を見て、とにかくお部屋でも何でも無理をして、そういうときには何してただお返しするということは絶対しておりません。
-
○委員長(伊藤修君) いや個人生活に対しても
檢察廳は貧乏ですから、いいお得意でないから、ですから結局面倒を見てやらなければならんことになるでしよう。
-
-
○委員長(伊藤修君) 少くともお客さんとしては闇價格を取れますまいし、いわゆる公定價格でサービスしてやらなければならん、そうじやないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 料理の方ですか。それは酒でも何でもお持ちにな
つておりますから、料理やそうした物を煮て呉れとか何とかしてと言われて差上げたことがございます。
-
○委員長(伊藤修君) 料理の材料を持
つて來る場合もありましようし、あなたの方で便宜立替えてやらなければならん場合もありましよう。
-
-
○委員長(伊藤修君) 表面上は持込みということにな
つておりますが事実上は‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 立替えることがございます。若し立替えるときは返して貰う建前で‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) そういう場合は結局実費でしようね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 一般のお客さんなら千円とか千五百円取れるが‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳のお客さんの場合は、結局公定價格以下しか取れますまいね。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうでないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 公定價格以上取れないでしようと言うのです。
-
-
○委員長(伊藤修君) 普通のお客が、仮にお邪魔すれば普通のお客さんとして千円なり千五百円取られますが、そういう場合は、この人々が
お出でになるときは、公定價格以上取れないでしようと言うのです。
-
-
○委員長(伊藤修君) それだけ利益するわけですね、勉強して‥‥從
つて御無理をするということになる。余所に行けば高く取られるから‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) はあ、安いし、便宜がいいから
お出で下さるのでございましよう。御贔負下さるのでございましよう。
-
○委員長(伊藤修君) 今時公定價格で飲まして呉れればみんな行きますよ。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) お客さんは無理をしても竹屋さんに行けば泊めて呉れる。電話を掛ければよろしうございますというので直ぐお泊めするわけです。随分遅くなど電話を掛けまして、お部屋のことで苦しいことがございますが、始終のお得意樣でございますから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) つまりあなたのところに行けば無理が利くということですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 最初あなたは
南出さんを通じて
檢事長と親しくなられた、その当時の
仙台のそのときの
控訴院長でしたか、その時分は
控訴院檢事長と
言つておられましたか、一木さんという人が見えておりましたでしよ。その時分は親しか
つたのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、親しいわけではございませんけれども、私の初孫の
名前を頂戴しました。名附けの親にな
つて頂いたわけでございます。
-
○委員長(伊藤修君) そんなところも
家庭の最も親しい事柄をみずからなさるくらいですから非常に親しか
つたのでしよ。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、そうじやございません。余り親しいことはございません。けれども書記長さんに
お願いいたしまして、今度初孫ができたのだから
檢事長閣下に、お
名前を頂戴したいものだと
お願いしましたら、
宮城さんどつちがいいんだね、閣下は男爵でもあるし、
お願いできないものでしようか、こうかこう
お願いしたところが喜んでお
名前を下さ
つたのです。
-
○委員長(伊藤修君) おめでたのことですからね、結構なことですけれども‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、そんなような
関係上お親しくしていらして、何か電蓄とかそういうようなものをお貸ししておるようなこともあるのですね。
-
-
-
○
証人(
宮城竹三郎君) や
つたんじやないのです。実は私は疎開をするので、それでよもや
檢事長閣下のところは焼けることは私も思わなか
つた。それで書記長さんに
お願いしまして、そうして新らしい大きな電蓄があ
つたものですから、私はそのときに吉岡の方にやろうと思いましたけれども、焼けると思わなか
つたものですから、それで書記長さんに
お願いしまして何とかお預かりできないでしようかというのでそのときは方々で皆疎開中ですから、私の方で
お願いしたのです。
-
○委員長(伊藤修君) 電蓄だけを一木さんの方に疎開するということはどういうのです。
-
-
○委員長(伊藤修君)
相当なものらしいけれどもね、今買えば大したものですね、何万というものですが……。
-
-
○委員長(伊藤修君)
お願いしたんだけれども、電畜だけを一木さんにお預けするということはどういうことです。もつと外に大事な物もあるでしよう、そういうものも
一緒にそこにお預けしたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 差上げたわけではないのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 差上げたわけではございません。随分いいものです、カフエーで使
つて……。
-
○委員長(伊藤修君) あなたたちが商賣上カフエーでお使いになる電蓄と言えば、当時としても
相当の價格のものです。我々素人にも手に入らないのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 一木さんは借りたと
言つておりますね。あなたから……。
-
-
○委員長(伊藤修君) 借りたと
言つておる。あなたは疎開でお預けしたというのですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 預か
つたということと、借りたというここと、や
つたということと違うのです。あなたは預けたと言うんだけれども、向うから見て借りた、貰
つたとは言わんが借りたと
言つております。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 私はお預けしたつもりです。それは全部焼けました。
-
○委員長(伊藤修君) 結局なくな
つてしま
つたわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か一木さんのところには
相当家庭上物資が不足してお
つて、極度に苦しいときですから、いろいろお勝手許のものも
相当お贈りしてや
つたらしいですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いえ、なにしません。初孫のときに祝に上げましたけれども……。
-
○委員長(伊藤修君) この頃こそ俸給も上
つて相当暮しもよくな
つて來ましたけれども、当時は非常に司法官が苦して時代でしたからね。あなたが面倒見てや
つたわけではないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、そんなふうに面倒見たということはありません。
-
○委員長(伊藤修君) 面倒見たということは惡いことではありません、普通のことで……。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 面倒見たということはございません。私も本当に苦してときでございましたが、孫のときに御祝儀のものを持
つて行きました。
-
○委員長(伊藤修君) 向う樣が、いわゆる一木さんからはあなたから頂いたと
言つておりますけれども、野菜物とかお勝手許のものを貰
つたと
言つておりますよ。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 孫のときから、とにかくお祝を上げたし、向うからも人形なんか貰
つたりしております。
-
-
-
○委員長(伊藤修君) それから孫の祝のときに野菜みたいなものを持
つて行くわけはないですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 私の聞いておるのは平素の生活に必要な味噌とか、野菜とか、お米とか、そういうものを補給してや
つたかどうかということを聞いておるのであります。お祝の返礼で名附親としての祝餅を持
つて行くということは、これは当り前のことですが、そのことではないのです。向う樣は貰
つておるというが、あなた贈
つておるのでありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 御子息や御家内の方が持
つて行つたことはありませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) それは分りません。私は二十一日に桃太郎の人形を頂いたということで、私のところへ見せたことがありますが、後は
子供のことですから分りません。私は上げたことはありません。
-
○委員長(伊藤修君) 一木さんが退官されたときには、あなたのところへ郷里かどこかにお帰りになるために御厄介にな
つたそうですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 長く
泊つていらつしやいましたか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 一晩か二晩かお泊りにな
つたと思います。参議院の方が來られたときに家内の者が二晩お泊りにな
つたということを申上げたということを後で聞いております。それは十番丁の方の
旅館に泊りました。
-
○委員長(伊藤修君)
宮城ホテルというのは
駅前の方ですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) その開店のときに
檢事正から花環か何かを贈られたそうですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それはどういう経路で頂いたのですか、ただ向うから持
つて來たのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そのときあなたの方から頼んだわけではないのですね。
-
-
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そうでございました。随分他の方からも花環を頂きましたが、
檢察廳から頂いたもので喜んでおりました。
南出先生の事務所の方のお祝だか分りませんが。
-
○委員長(伊藤修君) 花環は御覧になりましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) やはり岡
檢事正と書いてありましたね。
-
-
○委員長(伊藤修君) いずれにしたところが贈主の
名前の店くべきものですから、
仙台檢察廳一同か、若しくは岡
檢事正と書いてあ
つたと思いますが、それはあなたの店の箔をつける
意味においても必要なことですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かあなたが
宮城ホテルにお客樣用の寄贈鏡を贈られたことがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういうことはないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か他に貰
つたことはありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういうふうに向うから祝物を呉れる程ですから、余程あなたの方も好意を盡してある筈ですね。
檢察廳の方にね……。
-
-
○委員長(伊藤修君) 花環を貰
つた程ですから、あなたの方からも
相当いろいろ面倒を見てや
つておるわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 池田
檢事長か清水
檢事正の官舎へあなた
行つたことがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) ないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かいろいろ先程申したようなお勝手許のものを贈られたことはありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 御家内の贈られたのはありませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 池田
檢事長閣下には
裁判所の裏の方におりますから、お加減が惡いというので私が持
つて行つたことがあります。扁私腺を患
つておりましたから水飴を罐に入れて‥‥。そうして掛図を頂戴したことがあります。勝手許へ
行つて下の婆さんのところへ渡して來たことはあります。
-
○委員長(伊藤修君) 役所へ
お出でにな
つたことはありますか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 役所はあります。役所では会います。役所へはたびたび参ります。
-
○委員長(伊藤修君) 一月の何回くらい行かれますか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 一月に何回ということでなしに一月に一回も行かないこともございます。二月、三月に一回も行かないこともございます。一月に何回も行くこともございます。
-
○委員長(伊藤修君) 用事がなくても訪問するようなことはございませんか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) ございません。書記長さんから御勘定とか、或いは補佐官の方から用事というときには、そういうときには電話でやるのでそういうことに参りますけれども外に‥‥。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳自体にいろいろお客さんを宿直室へ‥‥お客さんなんかをせんければならんという場合もありましようが、味噌醤油を補給したようなことはございますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) してや
つているようなことはありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたのところで先程お伺ねしたようにいろいろ飲み食いしたり、泊
つたりするときはその支拂は‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) どつから呉れるのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君)
裁判所の書記長さんから、或いは勘定を取りに來て呉れというので私が
行つて頂くこともありますし、お持ち下さるときもあります。
-
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの曲直問題というのはやかましいのでありますが。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたが
大分運動なされましたですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、大体筋は分
つておりますが、
運動された主なものは‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 主として
新聞にも三十二名の請願者を出して地元から何してやりましたがとうとう負けまして、
宮城ホテるの屋敷を取られました。随分
運動しましたけれども
檢事局の
檢事正から二、三回呼び出されまして、私の側に朝鮮人も三百人もおるものですから、そのときに浜松
事件、神戸
事件ということで非常に御心配にな
つて駅前の巡査は呼ばれる、とにかく池田
檢事長閣下からも騒ぐなと再三電話が掛か
つて來ておりましたので、六十人ぐらい市役所へ参
つて随分に私の方でも朝鮮人のことがありますので
一松総裁閣下も
お出でにな
つたときに、これを
檢事局もそういうことを言われるものですから、まあ、御約束の
通りそういうことはしない、しませんというのでとにかくそういう
運動をしないでとうとう負けてしま
つたのであります。
-
○委員長(伊藤修君) 外にどういうことを‥‥上京をして
運動したこともあるのでありますね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 上京は東京の方へ請願に参りまして、そうして建設省だの運輸でございますか、汽車の方の汽車の蒸氣を引くとき参りました。
-
○委員長(伊藤修君) 市会の方も働き掛けましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 最初はあなたの方が‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 大体切り崩されたのでありますね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君)
市会議員が半数以上‥‥とうとう
一松総裁が
お出でになるというの非常に喜んでおりましたけれども、総裁閣下の御賛同で
直線が至当であるということを申されたということで、今協力しております。
-
○委員長(伊藤修君) 市会の方へは何か
運動するためにお酒や何か贈
つたそうですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたと御相談ございませんで。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういうようなことで
相当お金をお使いにな
つたのでありますね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) とにかく向うでは会費を集めましたけれども、私の方では会費は絶対に集めちやならんというので叱りつけましたのであります。
-
○委員長(伊藤修君) 百万円使
つたとか、三百万円使
つたという人もありますが。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 三百万円というのは、この前参議院の方の申上げましたが、議事堂で
宮城竹三郎は三百万円ばら撤いたというような怪文書を差上げて置きましたが、ああいうデマは飛びましたが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) どのくらい使いましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 百万も使いましたか。
-
-
○委員長(伊藤修君) どのくらい使われたのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 少くとも二、三十万使
つておるとか‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何でも大きな話ですね。世間の話では‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 怪文書では三百万円ばら撤いたというが、三百万円も使
つて負けて黙
つているわけはありません。とにかく負けたからというので泣き寝入りです。怪文書にございます三百万というのは‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 併し何十万という金が要るでしよう。
-
-
○委員長(伊藤修君) ええ、今の物の高いときですから。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 曲直問題ですか。そんなに何十万という金は使いません。
-
○委員長(伊藤修君) あなたの家では
曲線になると取られるから、壞さなければならんから、それを
考えると
相当使
つてもいいわけですね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 別に金を使う必要もないですから、紙代だの何だの随分それはかかりました。とても紙なんかも一枚七円とか七十銭とか上る。そういうものを随分印刷なども刷りましたが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) それを印刷されるのに
相当、当時の印刷費としては高いですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたは荻原、松浦という人を
御存じですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは
曲線問題の反対側ですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) だからあなたが曲直問題に負けたものですから、これは腹いせのために、
檢察廳にあなたは申告をなさ
つたことはないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そういう噂でございますが、そんな卑怯ことは絶対にいたしません。ただ私は荻原氏、松浦氏と友達で二十年の友人
関係でございますから、松浦氏は何もございませんけれども、荻原氏はとにかくこの前お目に掛けましたが、布の三百万円ばら撤いたという怪文書、怪文書というのは電信柱や塀などに夜中に貼るものと
思つておりましたが、堂々と議事堂で
議員方に配付したものでありますから、余り‥‥どうも布の家内とか仲がいいのでして、親類で、荻原の妻君とは‥‥それにも拘わらず余りじやないか。何も荻原氏に恨まれることはない。それがああいう怪文書を廻すのは卑怯だというので恨んでおりましたが、負けてしま
つたものですから‥‥
一松総裁閣下が來たときに議長が欠席したので、副議長でありましたから、
一松総裁のところでも反対論をや
つたわけであります。
-
○委員長(伊藤修君) それだけあなたは恨んでいるから、結局何か松浦のところ、荻原氏のところに電話を掛けましたね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何かお礼するとか何か‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) お礼じやない。怪文書のことで申しました。お礼とい
つて、別に私は命を取られるとかいう問題ではなくて、道路問題でございますから。
-
○委員長(伊藤修君) 忿懣遣る方なく、鬱憤を晴らそうというので電話をしたのですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 電話で鬱憤を晴らそうというような、そんな大した問題ではございません。
-
○委員長(伊藤修君) それは何とおつしや
つた‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、随分家の家内とも仲がよいのに、親類とも仲がよいのに、あなたの父さんも何だ、道路問題に殺氣立
つて、最初は四十何名満場一致で決めたものを、途中でそういうことをして、怪文書を廻したのは余りひどいじやないか、何もあなたに恨まれることはない、よく
言つて下さい。その三百万廻したなんという怪文書も、そう恨まれることはないからと
言つて、直接に電話を掛けたことがございましたが。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、そのようなことから荻原氏のことを
檢察廳へ耳打ちしたのじやないですか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) いや、そんなことは絶対ありません。そんな卑怯なことはいたしません。人をこうだというようなことなんかは‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 何かあなたは先程お伺いしたように、
檢察廳へお出入りにな
つておるから非常に親しい。これは人情として、外の人があなたに頼んで、有利に展開して貰うとか、在いは
保釈して貰うとか、釈放して貰うとか、揉み消すというよなことを、いろいろなことを持込まれるでしようね。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 話されたとか、そういうことは私は聞いたことはございません。
-
○委員長(伊藤修君) 底通そういうことを持込みそうなものだな。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 持込みそうなものだとい
つて、私はとにかくそういうことをしたことはございません。ただ一回、この前お手紙を見せましたが、私も執行猶予の身ですから、この執行猶予を非常に私も感じて、今日
旅館ということについても、絶対一人でも善良にしたいというのでや
つておりました。でそのときに社会党の菊地養之輔先生からですね、引受人あれば執行猶予、それからなければ八ケ月の懲役であると言われたものですから、執行猶予というのは今尚非常に感じておりますから、それで私は判事さんの方から引受人にな
つて貰
つたことがあります。人尚模範使用人として使
つております。
-
○委員長(伊藤修君) それは結構です。私のお尋ねするのは、まあ、そうや
つて檢察廳に非常に心安いから、世間の人は、あなたは非常に心安いと見ておりますからね、いろいろなことをあなたに頼みに來ることがあると思いますが。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) ございません。又そういうことをしたことはございません。
-
○委員長(伊藤修君) あなたが頼んで、現に釈放して貰
つた人もあるというのですがね、どうですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、世間ではあなたが非常に
檢察廳に親しいですから、であなたがまあ、
檢察廳という権力を持
つておる官廳を背景にして、商賣上有利な地位に立
つておる、或いはまあ顔が利く。一面においては西方組の
関係がある、遠い
関係でしようけれどもね。というので非常にあなたの顔を恐れておる人もある‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 恐れて、それがどうも今尚古疵ですから、昔西方でありますが、西方とは出入りしておりませんし、尚どこをお調べにな
つても何ですが、尚顔役とは出入りしていないようにしておりますから‥‥、私は今尚困
つておるわけであります。その古疵が。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、
檢察廳を背景にして、虎の威をかるようにして、いろいろなお仕事の上に有利に‥‥。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) そういうことは絶対に。私は
檢察廳を背景にして云々ということは絶対にいたしておりません。そんな卑怯なことはいたしませんから。尚
駅前の
交番にお聽き下されば分ると思います。曲直問題に負けまして、そうして私は認識不足であ
つた、今まで騒がして済まなか
つたと
町内会で申上げたところが、去年の十一月から防犯会というものを置きまして、そうして敵側のその旗頭にな
つた福島さんという人が発言しまして、そうして向うも区画整理の、私も
会長にな
つておりますから、で協力します。で
仙台駅前のためと申して、そうして私は
皆さんの満場一致で、御遠慮申上げましたけれども、防犯
会長にされたわけでございます。尚
駅前の
交番はよく分
つておりますから、随分一昨年あたり二百人の浮浪兒も
駅前におりまして、二時、三時頃御飯をや
つたり、或いは随分汽車賃なども立替えてや
つたりしたのを
駅前の
交番の巡査も見て
知つておりますが、私は、そういうことをしております。そんな
檢察廳を背景にして云々ということは絶対いたしません。若しありましたら、どうぞ証拠でもお出し下さればどんな制裁でも受けます。そういう卑怯なことは絶対いたしません。今日
檢察廳或いは縣廳とか市役所とか、税務署とか、それから
宮城ホテル、竹屋ホテルのあるあの辺は皆燒野原でした。あの当時十番丁辺が一番早か
つたのです。
旅館の経営をしたのが‥‥。それで去年、一昨年あたりは非常に食糧事情も惡く、税務署の方も、
檢察廳の方も、米を持
つて來ない方がありました。そういうときは私は自分で食べる物を上げたり、闇米を買
つて足りないところは上げました。それで
宮城ホテル、竹屋ホテルと言われますが、この檢察庁の方が
お出でになるのは十番丁が主に多か
つたですから、それで私はそんな檢察庁を背景にしてこうだ、この前もおつしやれましたが、鏡を貰
つたということは根も葉もないことです。そんなことはありません。花を貰
つたことは確かでございますが‥‥。
-
○
齋武雄君 参考までに伺いますが、いわゆる世の中で博徒という者が足を洗うときには何か披露をするとか、触れを出すとか区切りをつけるものでしようか。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 私は本当の遊び人ではございませんで、根が鉄道の機関士の出でございまして、二十八歳のとき
仙台の機関区を振出しに、それから農機具株式会社の支配人をやり、カフエーに轉向して手遊びを覚えただけでありまして、本当の遊び人ではありません。カフエーをやるようにな
つてから西方というのと遊んだだけでありまして、別に盃をどうのこうのということはございません。世間樣では
宮城竹三郎は遊び人だ、親分だなどと
言つておりますが、根が本当の‥‥私の父親は暫く刑事をや
つておりまして、警察官をや
つて來ましたので、警察官の方々も出入りしておりますが、親父の顔もございますので、それでいつも足を洗
つたらどうだと言われて嫌にな
つてしま
つたのです。又戰爭にもなりましたし、又カフエーになりましてから自警團長などになりました。成る程東京方面では、随分足を洗うとか、盃を交すとかいうようなことがあるそうでございますが、私はそういう本当の根からの遊び人でないのでございます。
-
○
齋武雄君 もう
一つ、今お聽きしていると、浮浪兒に対して給食をしてや
つたというようなお話でありましたが、
檢察廳関係や、役所
関係以外に、何か慈善事業などに寄附されたことがございますか。
-
-
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 一昨年の水害のときも、女中から番頭から、率先してお見舞金をや
つたことがあります。
-
○
齋武雄君 その外公益法人なんかに出したとか、市役所に出すとか……。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) 公のことは私はやりません。公に
新聞に載
つたり、受取を頂いたというようなことは私しませんけれども、とにかく人さんのために、苦しんでいる方には私や
つております。
-
○委員長(伊藤修君) それではどうも御遠方を御苦労様でございました。
-
○
証人(
宮城竹三郎君) どうもお手数を掛けて済みません。本当に
檢察廳の
皆さんに御迷惑を掛けて衷心よりお詫びを申上げます。お手数を掛けて……有難うございました。
皆さんどうも済みませんでございます。
〔
証人清水直君着席〕
-
○委員長(伊藤修君) お掛け下さい。清水さんの御経歴を
簡單に
ちよつと……。
-
○
証人(清水直君) 私は神戸の
司法官試補を振出しに、それから奈良に行きまして、高知に行まして、それから徳島、大津、長崎、名古屋、それからもう一遍長崎に帰りました。それから樺太、函館、福島、
仙台と、これだけです。
-
○委員長(伊藤修君)
仙台はいつ
お出でになりましたか。
-
○
証人(清水直君)
仙台は、二十二年の八月の末頃でございます。
-
○委員長(伊藤修君) 御家族は。
-
○
証人(清水直君) 家族は、家内、長男、次男、三男と、目下これだけの数です。
-
○委員長(伊藤修君)
皆さん仙台にいらつしやるのですね。
-
-
-
○
証人(清水直君) 去年頃……、いつ頃だ
つたか……二十三年くらいからですがね。二十二年のときにはまだ知らなか
つたと思いますが……。
-
○委員長(伊藤修君) どういうような動機から……。
-
○
証人(清水直君) あれは、あそこが宿屋にな
つておるので、本省の人、それから最高檢の人なんかがや
つて参りましたときにあそこに泊られるようなことが二、三度あ
つたと思いますが……それで
宮城にそのときに二、三度くらい会いましたか……そのくらいの知合いです。
-
○委員長(伊藤修君) そういういろいろな御職業柄御用事以外に個人として
お出でになることがありますか。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうするといつも
お出でになるときは、本省とか、そういう
関係の人が來て泊るという場合だけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か会合なんかそこでお催しにな
つたことはありませんか。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 事務局かなんか会合をそこに持込んだことはありませんか。
-
○
証人(清水直君) いや、ありません。私の方の分としてはありません。
-
○委員長(伊藤修君) 事務官とか檢察の人だけで私的にや
つたようなこともないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) お聞きにもならんのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなた個人として
お出でにな
つたこともないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 向うから來るようなことはありましたですか。
-
○
証人(清水直君) 役所でやはり二度やそこらは見掛けましたですな。
-
○委員長(伊藤修君) あなたの許へ來るようなことはなか
つたですか。
-
○
証人(清水直君) あれはいつ頃でしたか、昨年の何月頃でしたか、丁度浜松
事件、それから、犬山
事件、鮮人のところの露商店かなんかの騒動がございましたですね。あの頃にやはり何でも
駅前の曲直問題がありまして、あのときに
宮城氏の方は
直線になる方だ
つたと思いますが、そうするというと、その附近にやはり戰災者とか、或いは、引揚者とか、鮮人とかが露店をや
つておるので、朝鮮人も何人お
つたか今記憶しませんけれども、朝鮮人がおる。そうするというと、自分の生活権を奪われるということになるので、そういう連中が騒ぐようなことがないか知らんということを
考えたものですから、二度くらいでしたか、
宮城氏を呼んで、
一つ鮮人が附近におるそうだから、浜松
事件もあるし、犬山
事件もあるから、騒動を起さんように注意して置いて呉れということを忠告したことがあります。忠告というか、氣をつけて呉れるようにと言うたことがあります。
-
○委員長(伊藤修君) それ以外に何か職務上のことであなたに頼みに來たようなことはないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
宮城は御承知かどうか存じませんが、あなたが御赴任になる前から
檢察廳と繁々出入りしてお
つて極く親しいですがね、そういうことは
御存じですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの前任者の時から
檢察廳と
関係ができていて、出入りして、
檢察廳も
宮城にいろいろなことを頼み込むとか、お客さんがあ
つた場合とか、会合のある場合によく利用したらしいですが、そういうことは
御存じないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたにな
つてからそういうことは……。
-
○
証人(清水直君) 私のときには、今申上げたように、私にな
つてからあすこを利用したことはありません。
-
○委員長(伊藤修君) 個人的には余り
交際しないわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたのお宅にお伺いするようなことはございませんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 前任者の人は
相当親しくしてお
つたらしいですがね。
檢事長と
檢事正も
相当親しくしていらつしやいましたようですがな。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういう
一つの流れがあなたが赴任なさ
つてからも引続き継続されたわけではないでしようか。
-
○
証人(清水直君) ございませんですね。私としては……。
-
○委員長(伊藤修君) そういう御
関係だというと、
宮城さんから何か物を持
つて來たということはあり得ないわけですね。
-
-
○委員長(伊藤修君) そうすると
宮城という男を特段に信頼しておるということもないのですね。
-
○
証人(清水直君)
関係がないので、特に
関心をしたとかですね。特に氣をつけたというようなことはございませんですね。
-
○委員長(伊藤修君)
檢事局のためによく世話をして呉れるから感心な男だと思
つたこともないのですね。
-
○
証人(清水直君) 別にそういうことも感じません。
-
○委員長(伊藤修君) そんなに余り
交際していらつしやいませんから……
大分元の方は世話にな
つたらしいですがね。まあこれは
宮城が意識的にや
つておるか。ただ
宮城が、得てしてああいあふうな社会の人は、権力
関係のあるところと極く親しいということを、まあ看板にするか、世間に吹聽もしまいけれども、世間に知れることによ
つて、自分の箔がつくというような
氣持から、極く親しいということを世間に見せておるわけですね。そういうようなことで、何か弊害のことがお耳に入りませんか。
-
○
証人(清水直君) さあ、そういうごとき氣がつまきせん。ないと思います。
檢事局を嵩に着てですとか、そういうことはあ
つたことはないのですね。
-
○委員長(伊藤修君) 世間ではそういうことをよく言うのですがね。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたの現在の部下の人で、
宮城の世話にな
つておる人はありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたが御赴任にな
つてから、轉任したとか赴任した人がありませんか、管原氏だけですか。
-
○
証人(清水直君) 轉任した者‥‥本田という
弁護士の人が辞めましたがね。それくらいのもので、その外轉任したのは石原という
檢事がおりましたですね。
-
○委員長(伊藤修君) そういう人がいつも御厄介にな
つていませんか。
-
○
証人(清水直君) いや、厄介にな
つたということは聞いておりません。
-
○委員長(伊藤修君) 轉任、赴任の節は荷物の世話まで
宮城がして呉れるのではありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
檢事局長は世間に余り親しくないのですから、いろいろな世間的に頼むことは、お医者の世話だとか、或いは経済上の物資の購入の世話だとか、そういうことまでさせるのではありませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなた御自身は勿論ありませんね。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か
宮城が
仙台檢察廳がそういういろいろな前任者時代からいろいろ親しくしている
関係上、
檢察廳に顏が利くという、世間の
通りが通
つておるのですね。そのためにそれを利用していろいろの
貰い下げだとか、或いは揉み消しだとか、そういうことをあなたの部下の人に頼んで不正な利得をしておるというようなことがお耳に入りませんか。
-
○
証人(清水直君) 耳にしたことはございませんがな。
-
○委員長(伊藤修君) そういうような疑いを抱くような人もございませんか。
-
○
証人(清水直君) 今までそういうことを
考えたこともありませんし、そういう者もおらんと思いますが。
-
○委員長(伊藤修君) まあ
宮城氏が、先程あなたのお言葉からもありましたが、例の曲直問題ですね、について
宮城が
相当力瘤を入れたらしいのですね。それがために、
檢察廳の威をかかるとか、手をかりるとか、若しくは利用するというようなことをしたことはないですか。
-
○
証人(清水直君) 私の耳には入
つて來ませんがな。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、そういうような
一つの流れとして、いわゆる松浦
事件とか、或いは荻原
事件というものが起
つて來たのではないですか。
-
○
証人(清水直君) そういうことはないと思いますがね。私としては‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) そういう非難はお耳に入りませんですか。要するに政争の具に供らせれたと‥‥。
-
○
証人(清水直君) 今度のなんか荻原さんとか、松浦さんとか
起訴されておりますね。ああいう
事件に或いは疑いを持たれたかも知れんと思いますね。そういうような
考えの下であ
つたらば‥‥けれども私はもう別にそういう
評判ということも聞いたこともないんですがね。まあ、その後その人たちがそういうふうに
考えてお
つたかも知れませんが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 何とか荻原の
事件のごときは、非常に薄弱な、いわゆる贈與
事件ですな、法律上の見解から
言つても多少疑義があることと思いますが、そういうものを
起訴して、そしてそれを利用して、四十日も勾留して何かないかとほじくり返して、やつと税務に関する
事件を附加して迫
起訴さして、四十日も勾留さしておる。曲直
事件の鬱憤がそこで晴らされたというようにも世間で言うておるのですがね。あの
事件の取扱い方としてはどうでしようか。
-
○
証人(清水直君) 私はその四十日も拘束しておるかどうか、そういうことも知らなか
つたんですが、まあ、大体
事件は主任
檢事及び次第
檢事でや
つておるものですから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) あれは、次席さんは佐々木さんですか、西海枝さんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
宮城と佐々木
檢事とは非常に心安いそうですな。
-
○
証人(清水直君) そうですか、私よく知りませんが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、そういうところへ息が掛か
つて、そういう
事件が殊更に強く敢行されたんではないですかな。
-
○
証人(清水直君) いや、
檢事局としてはそんなことはないと思いますがね。
-
○委員長(伊藤修君) ええ、まあ公平であるべき筋合ですから‥‥。
-
○
証人(清水直君) そんなことはないと思いますがね。私たちは長くや
つておりますけれども、そういう
事件で左右されるようなことはないと思いますがね。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、
ちよつと外形的の事実から見ますと、
事件の内容等を
考え合せまして、四十日も勾留するということは、
ちよつと度が過ぎておるように
考えられますがね。
-
○
証人(清水直君) まあ、当時は御承知の
通り、いろいろな
事件——そんなことは理窟にもなりませんけれども、御承知の
通り縣農会の
事件から、それから食糧営團の
事件から、それから水産物、まあ三崎旋風から出てですね、大掛かりな鮮魚介の取締をやりまして、それから二百一号
事件をやりまして、その外現在の
檢察廳の実体は
御存じでしようが、もうとにかく報告ものとか、実に人数は沢山おるようですけれども、殆んど寧日ないくらいにや
つておるので、幾らかその拘束が長くな
つたようなことがあるかも知れませんけれども‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) お忙しいことは重々我々としても了承できるんですが、だからとい
つて四十日も拘束して、そしてその期間を利用して、いわゆるほじくり返すと、まあ不正のあるところは、これに勿論摘発しなければなりませんが、殊更に何かないか知らんとい
つて、埃を叩き出すというやり方は、余り感心しないと思うのですが‥‥。
-
○
証人(清水直君) それは感心しません。殊更にや
つたかそこは分りませんが‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) どうも
起訴する專案を発見するために非常に苦心されたようですがね。それはいいか惡いか別問題といたしまして、そういうやり方ですね、殊にそれが最初逮捕して來て、最初の調べをするときに、まあ係
檢事の人が、お前をこれから料理
つてやるから‥‥何から料理
つてやろうかというような言葉から思い合せますと、何か意趣があ
つてその
事件というものが進行されたようにも
考えられますがね。
-
○
証人(清水直君) その点なんかについては、御承知のごとく、あの最高
檢察廳から橋本
檢事が來まして、そして引つ繰り返したように、まあ、いろんな点から、勿論書類その他多くの人を沢山呼びまして、詳細に調べましたのですがね。
-
○委員長(伊藤修君) それは拜見して承知しておりますが、一應念のために伺
つて置きたいと思うのです。
-
○
証人(清水直君) それだけで、私としては別にそういうことで何かこう別に目的があ
つてや
つたと、そういうようなことはちつとも
考えてもおりませんでした。
-
○委員長(伊藤修君) 何かその係
檢事の方がお酒が大変好きだ
つたらしいですね。
-
○
証人(清水直君) とにかく元氣なことは元氣です。酒はどのくらい飲んだか、一向酒の席がないですから‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 若氣に委せてや
つたんじやないですか。
-
○
証人(清水直君) いや、まあ元氣がいいものだから、言葉も荒いということで、世の中の人から誤解される、或いは実際調べられる者としては誤解もあ
つたかも知れませんけれどもね、そういう点があ
つたかも知れませんけれどもね、普通まあ
檢事は
御存じの
通り元氣に‥‥おとなしく調べる人もあれば、なかなか元氣に調べる人もおりますし、性質で‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、その人の氣質によ
つて違いますが、どうも食いついたら放さんというような元氣を以ておやりになるらしいから、
相当お調ベも荒つぽいらしいと想像されますがな、あなたの御調査ではそういうことはなか
つたわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何だか先程の管原さんですかね、年末に酒に泥醉して、路上で以て松尾の子分か何かに袋叩きにな
つたとかいう話、そういうことはお聞きになりませんですか。
-
○
証人(清水直君) 聞きませんですな、そんなことは。
-
○委員長(伊藤修君)
宮城と池田
檢事長とは非常に親しくしていらつしやるんですか。
-
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か
檢事長の官舎へ、
宮城のところの女中がしよつちゆう手傳いに行くというようなことは……。
-
○
証人(清水直君) 聞きませんですね。あれは
御存じの
通り構内におられますがね。
-
○委員長(伊藤修君) だから
宮城に池田さんが御病氣のときも非常にお世話にな
つたとか……。
-
-
○委員長(伊藤修君) ええ。
-
-
○委員長(伊藤修君) そんなことも聞きになりませんか。
-
-
○委員長(伊藤修君)
宮城本人の言葉によりましては、
檢事局へしよつちゆう出入りするらしいですね。
-
○
証人(清水直君) しよつちゆうはどうか知りませんが……。
-
○委員長(伊藤修君) しよつちゆうというのは、毎日という
意味じやありませんがね。
-
-
○委員長(伊藤修君) ときどき出入りするらしいですがね。そういうことについて、廳内で御不審にお思いにな
つたことありませんか。
-
○
証人(清水直君) いや、ございません。それというのが、やはりときどき泊る人があるものですから……。そういうふうな金取りに來るのが……。
-
○委員長(伊藤修君) あなた山口屋酒店の新築祝と、そう後にもう一遍
お出でにな
つたんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは新築祝は向うから何か招待があ
つたんですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) それは單なる新築祝だ
つたんですか。
-
○
証人(清水直君) 新築祝でした。それであれは前にも調査員の方に申上げたと思いますが、皆お祝か何か持
つて参りました。
-
○委員長(伊藤修君) それは面識も何もなか
つたわけですね。その前に挨拶に來られたことがあると思います。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳一同を招待したわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か
関係がなければ
檢察廳一同招待するということはないですね。何も
関係ないのですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 招んだ趣旨がお伺いしたいのですが、どういう趣旨で……。
-
○
証人(清水直君) あの酒なんか今まであそこから取寄せたのじやないかと思いますね、そういう……。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳のお出入りというのですか。出入り商人……。
-
-
○委員長(伊藤修君) まあ、そんな繋がりで招待したわけですね。二回目のは又趣旨が違うのですね。
-
○
証人(清水直君) あれは調査員のときにはその趣旨を忘れて曖昧なことを言うておりますが、あとで
考えて見るというと、西條さんですね、あの人が
昭和十八年、
昭和十九年頃からか、清海寮という保護團体をや
つておられましたですね。まあそのことで私も承知しておるのですが、御下賜金を頂かれたので、その披露というような
意味で招待を受けました。
-
○委員長(伊藤修君) そうすると外に他意はなか
つたわけですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) あなたが福島に御在任中ですね、北島、矢萩、森山の三名が司法保護委員に任命せられました
理由はどういう
理由ですか。
-
○
証人(清水直君) あれはですね、北島という人は十年ばかり前科がなく、そうして戰爭中は同じ
町内でありますがね、官舎がある所と同じ
町内ですが、戰爭中に私はおりませんでしたけれども、あすこに
行つて評判を聞くところによると、防空壕を掘る場合にも非常に骨を折るとか、燈火管制のときなんかにも非常に骨を折る。それからルンペンというようなものですね。それから浮浪兒、こういうのを自分の家に連れて來て飯を食わして見たり、それから旅費がないというたならばその親許とか親威のところまで旅費を出して送り届けてやるとか、非常にそういう方面に骨折
つた人だと私は聞きました。それから相撲の興行なんかをして、その利益金は何でも警察の後援会か何かに全部寄附してですね、そうしていろいろその留置場の改築だとか、そういう方面に盡してや
つたというふうなことも聞いてですね、まあ町では非常な
評判がいい人にな
つてお
つたんです。それで保護の方から言うて見ますと、そういう人を保護委員にして置くというと、非常に浮浪兒、ルンペン、職業のない者というような者に対して非常に便利である。又町の有志もああいう人を保護委員にして置く方がよいという意見も聞いたものですから、まあ適当な人だというふうに
思つて北島氏を保護委員にすることにしよう。それから矢萩という人は商工会議所の会頭で、まあ福島市では一番資産家でありまして、これは私は立派な人だと
思つてお
つたのです。森山という人もまだ四十にならんと思いますが、青年事業家として非常に賣出したこの人も実直な人なんです。この三人を司法保護委員にと、そういうわけでこのなには森山氏あたりはいろいろな仕事をしておりますから、仕事をさせるには、まあルンペン、或いは浮浪兒とか、当時やはり仕事がなかなかないし、監督するというような人も必要だ、そういう
関係で司法保護委員にしたのです。
-
○委員長(伊藤修君) 北島については何か推薦があ
つたのですか。
-
○
証人(清水直君) これは町の有志の、森山とか或いは矢萩というのが、それから
評判も聞いたのですが、前には前科があ
つたけれども、改悛するというとあれだけ立派な社会のために盡すものかと、改悛すればあれだけになるかというようなことがあ
つたものですから、それで結局まあ保護委員としては適当な人だというふうに思いまして任命したわけです。
-
○委員長(伊藤修君) その後ですか、その前ですす存じませんが、北島と
相当親しくお附合いにな
つておりましたね。
-
○
証人(清水直君) 親しくというのではありませんが、仕事上のこともあるものですから、それにあの人は
相当信用されておりました。今度でもあれは
大分いろいろな事実で
起訴されているようですが……。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、いろいろな
理由で以て北島と会食をなさ
つているようですね。
-
○
証人(清水直君) 私は会食したというのは送別会のとき一回、それからもう一回くらいのものです。
-
○委員長(伊藤修君) 何か北島から日用品の供給を受けていらつしやるとか、或いは難小舎くらいは作
つて……それから難を受けたとか……。
-
○
証人(清水直君) 難小舎を作
つて、難を受けたとかですね。
-
○
証人(清水直君) 難小舎を
ちよつと手助けして貰いました。それから家の材料でなにして、
ちよつと來合せたものですから……。
-
-
○
証人(清水直君) いや、全部作
つて頂いたわけじやない、材料が全部あ
つたものですから。
-
-
-
○委員長(伊藤修君) 鶏を呉れたわけではないですか。
-
-
○委員長(伊藤修君) 何か日用品を送
つて呉れたようなことは‥‥。
-
○
証人(清水直君) ありませんね。私はこの向うから頂いたものは果物とかですね。果物一遍‥‥梨くらい貰
つたことはあります。その代り私の方でもいろんなものを向うに上げております。
-
○委員長(伊藤修君) 御承知の
通り、何か問題にな
つておりますがね、北島というのが‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) 今日から見るというと
ちよつと推薦が間違
つてお
つたと‥‥。
-
○
証人(清水直君) そうですな、私はその点においては、今日ああいう者を任命したということは、これは又私の目の誤りだと、こう
思つております。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、それに附加えまして、あなたといろいろそれから親しくなられたものがですね、いろいろあのときには出入りされましてですね。いろいろあなたにお世話しているというようなことが、関連いたしまして‥‥。
-
○
証人(清水直君) 向うが私を世話したというんですか。
-
○委員長(伊藤修君) ええ。
-
○
証人(清水直君) 世話にな
つたということはないですがね。
-
○委員長(伊藤修君) ないのですか。
-
○
証人(清水直君) それはその、どのくらい
起訴されておるかどうか知りませんけれども、犯罪事実が三十なら三十おるとしまして私、の時代に、私がおりました在職時代に、まあそれが惡いことになるのかならんのか、有罪の認定を受けるかどうか知りませんけれど、何か私の時代の月日からいうて見ましたら
一つか二つくらいは私の時代に
起訴されたような事実があるようですが、後は私が出た後の事実であ
つて、私のおる時代は、私はがつちりとして
一つも惡い人間だとは思わなか
つたのです。
-
○委員長(伊藤修君) まあ、あなたのお見込のように改悛しましてですね、より以上の人になられる人も沢山ありますですけれどもこういうような人はたまたまそういうような権力を利用して、それを背景にして自分の利害にそれを供しようとかいうような人もあるのですが‥‥。
-
-
○委員長(伊藤修君) この
宮城の場合もやはりそういうような状態であ
つてですね、
檢事局へいろいろなお世話をしたり、出入りしたりして、恰かも
檢事局の最も親しい内輪の人のごとく世間に見せびらかして、そうして自分の商賣上とか、或いは
交際上にそれを利用していたというようなことはないですか。
-
○
証人(清水直君) そういうことは見受けられませんし、あの人
はちよつとも惡いことをするような人じやないというような
評判なんですな、一方から言うと‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 街の顔役として通
つているのじやないでしようか。
-
○
証人(清水直君) 顔役というような者じやないのじやないでしようか。
-
○委員長(伊藤修君) まあ
一つのボス的存在というような‥‥。
-
○
証人(清水直君) 今のボスというような言葉は、私たちの時代にはなか
つたのですが、この頃ボスと言われておるが、ボスとは私は見ておりませんですがな。別に権力を張
つて‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 自己の権力ではなくして、この場合にはいわゆる
檢察廳という後ろ立てを利用して顔を利かして、そうして自分の意のままにいろいろなことを支配して行こうとか‥‥。
-
○
証人(清水直君) そういう政治性のあるような人でしようか。私はそう思いませんけれども‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 或いは政治的にでなければ経済的に、或いは自分の営業の上において、あそこへ行けば
檢事局がついているから、いわゆる治外法権であるというような、安心して商賣ができる、お客さんも余計來るというような恰好じやないでしようかね。
檢事局が知らんうちに利用されておるかも知れませんけれどもね。
-
○
証人(清水直君) 私はただ
知つているだけですけれども、
評判もまあいろいろあるでしようけれども、少くとも私の今まで見てお
つたところによると、別に
檢察廳を利用して、或いは経済上においても、それからボス的存在に一層力をつけるというようなふうにも見ていませんし、そういうふうに思えんとは思いますね。
-
○委員長(伊藤修君)
檢察廳から花環をや
つたりすると、世間ではそういうふうに誤解しやしませんですかね。
-
-
○委員長(伊藤修君) そういう開店祝に花環をや
つたりするとそういうふうに思いしやませんかね。
-
○
証人(清水直君) それは開店祝のときに
檢察廳から花環をや
つたというようなことがありますか。
-
○委員長(伊藤修君) あるんです。世間の人は
檢察廳から花環を贈られるんだから余程の勢力があるだろうと、こういうふうに思いやしませんかね。
-
○
証人(清水直君) どういう
考えでやりましたかねそれは‥‥。
-
○委員長(伊藤修君) 外に何かお聽きになることがありますか。
-
○大野幸一君 その花環の問題ですが、あなたは長い間
檢事に奉職されておる経驗上、参考までに‥‥これは本件の
事件とは違
つて、異な
つた意味で、管内の
旅館業者が開店をする、そこで
檢察廳の指定
旅館見たいにな
つておる、こういう場合においてでも花環を贈るということはどうお
考えになりますか。これは一般的な場合です。あなたはそういうことをしても構わないと思いますか、こういうこと
はちよつと遠慮すべきだと、こう
考えられるか。
-
-
○大野幸一君 個人としてでなく、
檢察廳として‥‥。
-
○
証人(清水直君) どんなものですかなあ、それはいろいろその事実が出て來て、そういう場合を問われると、どつちを答えていいか分らなくなりますけれどもね。どんなものですかなあ、何氣なくやる場合もありましようしね、景氣をつけてやろうと
思つてやる場合もありましようし、それはその時代によ
つても違いますしね。
-
○大野幸一君 それではお伺いしますが、今あなたが部下からそういう相談を受けられたらどうしますか。
-
○
証人(清水直君) 今だ
つたら
ちよつと遠慮した方がいいと思いますね。
-
○大野幸一君 その程度の御認識ですか。
-
○
証人(清水直君) 今だ
つたらそういうところですね、特に‥‥。
-
○大野幸一君 私の期待するところは、言下にそういうことは誤りである、こう私はお答えになるかと思
つたんですが、併しそれはまあ認識の相違で、それは併し何でしようか、今でなくても十年前の
檢察廳も、二十年前の
檢察廳も、
ちよつと
檢察廳の威信として、開店祝に花環を贈るというようなことはよくないようにも
考えられますが、
檢事正の方がそういう御認識では‥‥ともかくとしてこういうことを私は経驗として聞きたいんですが、塩野
檢事正というのがありましたね。不幸にして今度亡くなられたようですが、要するに司法保護事業については、先程
ちよつと御証言にもあ
つたように、いわゆる博徒であ
つても、足を洗
つたと世の中から見られておるような人を利用することが、却
つて毒は毒を以
つて制するというような
考えで、
相当博徒仲間に面倒を見ておられた人じやありませんか。
-
○
証人(清水直君) 博徒ということは詳しく知りませんけれども、
相当保護事業に力をしておられたことは承知しておりますね。
-
○大野幸一君 保護事業はどの
檢事正でも、別に塩野
檢事正ひとりでなく、その保護事業に力を入れるために、例えばいわゆる根岸の三ちやんというのがありましたね。
-
-
○大野幸一君 そういう人が丁度福島に起きたような
事件を公々然とされた時代がありますが、そういうことは
御存じないですか。
-
-
○大野幸一君 あなたは塩野さんが東京の
檢事正をしておられたときはどこにおいでになりましたか。
-
○
証人(清水直君) 塩野さんが
檢事正時代は私は関西辺りにおりました。
-
○大野幸一君
一緒に部下になられたことはありませんか。
-
-