○
岩間正男君 この前に、実は今井給與局長の出席を求めまして、是非この
法案との連関において
質問いたしたいことがあ
つたのでありますが、今井給與局長は外の都合があ
つて見えられないということでありますから、文部省の
関係者におきまして、十分なる責任を以て御答弁を頂きたいと思うのであります。その問題は、この
法案の
條項と直接の連関は持たないのでありますけれども、この
法案の最も大きな裏付の問題であるところの給與の面において、重要な二三の点について質して行きたいと思うのであります。その前に先ずこの
法案を見ますというと、この特例法におきましては、その「職務とその責任の特殊性に基き、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修」と、こういうような面だけにおいて
規定されておるのでありますが、更に最も重要だと思いますところの給與の面において、生活権の確保の面において十分な裏付の
規定がないということが、この
法案全体にとりまして、この適用を受ける立場から
考えましても、又この
法案の立法された
趣旨から
考えましても、不十分な点があるんじやないかと
考えられるのであります。それはまあ一應措きましても、裏付としての、例えばこの前の國家公務員法のときにおきまして、両院においてやはり一番重要な問題となりましたのは、この
法案とその裏付としての給與の問題、これを不可分にするということが最も大きな課題であ
つたと思うのであります。で、無論この特例法が
提出されるというようなことにな
つた一つの原因は、言うまでもなくこれは過般のマ書簡によるものでありますが、マ書簡によりまして、はつきりその中に謳われておる
二つの
精神があるということは、言うまでもなく
法案を通すと同時にその給與の面においてはつきりとこの公務員が明日の勤務に差支えないところの労働力を再生産することができるような、十全なる保障をいるということが謳われておるのであります。從いまして、その点を私はこの
法案との連関において
一つの重要な課題として取上げて
質問申上げたいと思うのであります。
それで過般出されました
法律の第四十六号、これは
昭和二十三年の五月三十一日に
施行されておるんでありますが、その第十四條の第三項によりますというと、「現業に從事する職員、教育職員、税務職員その他その職務について特別に取扱うことを適当とする
事情のある職員については、職務の級の分類及びその各級における俸給の幅につき、政令で、前二項と異
つた定をすることができる。」というようなことがはつきりと謳われておるのであります。言うまでもなくこのような
規定を法四十六号においてした
精神というものによ
つて、昨年の十一月におきまして、
日本教職員
組合と文部省との間において、この
一つの交渉が持たれた、そうしてその結果、これは中労委に提訴された、その中労委の裁定案の中に、教員のこの給與については、他の一般の勤労者と比べて非常にこれは文化の面において、更に修養費の面において特設の考慮をしなければならない、文部
当局はそれについて鋭意努力をすべきであるというような
趣旨のことがはつきりと調停案として示されておるのであります。恐らくこの四十六号のこのような
規定をしたについては、やはり教員のそのような特殊性が認められた結果によ
つてなされたものと
考えるのであります。ところが過般のその後の給與
当局の
実施面を見ますというと、教員大衆からその
要求があり、又日教組の方からそのような切望があ
つたに拘わらず、給與局においては何らそのような特別な教員の給料に対する考慮をなして、そのような特例のようなものを別に
規定しなか
つた。数回の折衝が持たれたということは聞いておるんでありますが、それが大藏
当局によ
つて結局採択されないでしま
つたということを聞いておるんであります。これに対しまして、一体文部省は、法によ
つて謳われ、更に中労委の裁定案によ
つてもその
精神が明示されておるこの問題を、果してどのようにこれを聞き、そうしてこれを
実施しようとするのであるか、そうしてどのような努力を又過去において傾けられ、それがなぜこのような現在の形にな
つておるかというその経過についてお聞きしたいと思うのであります。言うまでもなく文部
当局としましては、このような
精神に則りまして、十全のこれは努力をすべきであると私は
考えます故に、その経過を委細承りたいと思うのが第一点であります。
第二点はその後の俸給の
調整に当りまして、二千九百円ベースから更にこれが三千七百円ベースに切替えられたその切替の
措置にの非常合点の行かない点があるのであります。それはこういうようなことでありますが、例えばある勤務年限、それから年齢、そういうようなものが大分違
つておる、三年か四年の開きがある、併しそういうような適用者を
一つに集めて、それを
一つの同じような俸給で縛
つてしま
つた、例えば二千九百二十円、それから三千二百円、こういうような
一つの幅を持
つておりますところの適用者を、その間はまあ大体年齢にしまして三年の開きがある、その三年の開きがありますものを、これを三千七百七十円という線において、同率に縛
つてしまう、同じようなことが、これは上の方においても行われておるんであります。その結果何が起
つておるか、つまり勤續三年の人の場合を例えば
考えて見ますというと、この勤續三年の者は勤續一年の者と同じような俸給で縛られてしまう、そうしていろいろなこれは待遇上で考慮さるべきものを持
つているに拘わらず、同じような俸給を抑えられてしまう、その結果どうしてもそこに割切れないものが残る。そして職務に対して何らかここに飽き足らないものがあ
つたのであります。これはどうしても、何といいますか、望ましくない
状態ではありますけれども、不公平な感じを持
つて勤務に対する熱情の喪失ということが始
つて來る。このようなことが起るような俸給の頭打ち、こういうようなことをなされて行くということならば、非常にこれは大きな問題が起るのではないか。更に又例えば一年違いによ
つて三千七百七十円で一方は抑えられておるが、ただ僅かに一年違うために別の俸給の標準をあてがわれまして、四千四百二十円の線である、ただ一年の違いがそのような大きな開きになる、そこに約六百五十円もの大きな開きが起
つて來る。これは職場に対して非常に均等しないところの不公平な感じがどうしても日常の職場を支配するのは止むを得ない情勢と思うのであります。而も私の更に心配いたしますのは、今度の俸給のベースがどう決まるか、これは一両日中に決定を見るのでありますが、五千三百円或いは六千三百円と、どの線で決まるにしましても、この適用を受けるときに、現在持
つておりますところの、そのような
一つのむらが、更に引延ばされて行くときには、もつともつと大きな開きにな
つて來る。さつき申しました六百五十円というような大きな開きが今度の新らしいベースの適用によりましては、その二倍ぐらいの大きな差額にな
つて來る。このような
調整を十分しない限りはここに今申しました私の心配は、ますます深められて行く事実を見るのであります。ここに例を申しますと、私がこの夏の間に用事がありまして、郷里に帰
つたのでありますが、若い教員層に会
つて、その話を実際聞いたのでありますが、どうもこういうようなやり方では馬鹿々々しくてもう実際勤務を一生懸命でやる氣にならない。三年も前に卒業している者と三年後の者が同じ俸給で縛られている。そして又ちよつとの違いでべらぼうに大きな差ができる。こういうことではどうも合点が行かないということを言い、どうして一体こんなことをや
つたのか、というようなことも私は
質問されたわけであります。実は迂闊にして私もこのような事実が職場に起
つておるということは知らないで、その
説明を聞きまして、そのような馬鹿なことは、まさかないだろう、これについては調べて見ようと言
つて実際調べて見ますというと、このようなことが行われておる。こういうようなことは実際に即應しない。勤務能率を決して高める
方法ではないのである。今度の
調整において少しでもこの点の問題を十分に解決するところの特別な
措置が講ぜられない限りは、今言
つたところの矛盾が職場を包むことを私は非常に憂うるものであります。その点について文部省はどのような
考えを持
つているか、どのようにこれを一掃されようとするか、職場に今漂
つているような不公平な観念をどのように一掃されようと
考えているか。この二点について文部
当局のしつかりした御返答を望むのであります。