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岩間正男君 この問題は先程から、別な観点から河野君から質問がなされておるのでありますが、私はこの條項に対しまして、
期間の問題を問題にしたいと思います。無論特に
教員のこのような措置を
文部省が採られた、殊に
教員の
立場からいうと、單に
教員自身の個人だけの問題でなくて、その及ぼす
影響は被
教育者、六十人、七十人相手にする子供たちに感染する率が非常に多い。これも的確な現在統計はございませんけれども、
結核に罹つた先生と罹らない先生の場合の、子供の感染率というものを見ますというと、これは新潟辺りで大体の統計が出ておるのでありますが、この統計を見ますと、非常に開きがあるという恐るべき事実が現れておるのであります。そういう点から
文部省が当然この
法案を、特に
教育立法の中に
特殊性として謳われたことの
趣旨に対して私は賛成する者であります。その面のことが
一つと、又もつと廣く
考えましても、当然日本における
結核受患率というものは世界でも有数なもので、甚だ不名誉な特長を持
つておるのですが、殊に現在の生活條件が非常に
惡いことからしまして、勤労階級に中で
結核患者が栄養などの
関係もありまして非常に多い。
教育労働者がこういうような
一つの職務上の特質からでもありますけれども、それだけでなくて、又
教育労働者自身の
立場から、この二面からして、
文部省がその途を開かれるということは、やがてそれが他の労働組合なんかに
適用されることでありまして、非常にこのことは喜ばしいことじやないかとむしろ
考えられる次第であります。何故かというならば、言うまでもなく、
結核は事前の予防ということが非常に重要なのであ
つて、このような
一つの厚生機関が置かれることによ
つて、実はこの
適用を余り使う必要がないというようなことが起るのじやないか。このような、何といいますか、罹病した場合に、当然ここに身心の安定がもたらされると、そのようなことが又
結核の療養に取
つては
一つの重要な條件になる。
簡單な言葉で言いますというと、そういうような保障があることによ
つて、早く直る。こういうようなことでありますから、この
法案なんかの
趣旨が他の組合なんかに及ぼすというようなことがあつたならば、非常に喜ばしいことであると思うのであります。
さてこの
期間の問題でありますが、これがそのような防護の
立場、殊に教職の
特殊性、
対象に対するところの被害の
程度、こういうようなものを
考えますときに、果してこの二年が妥当であるかどうか。これは我々の
立場からしますというと、二年では、この
法案の精神というものは生殺しにされておるということをはつきり言いたいのであります。これについて、いろいろな專門家の
意見を、実は時間があれば公聽会なんか開いて、当然專門家の
意見を徴するということが必要だと思うのでありますが、とにかく
簡單な
結核、助膜のようなものであ
つても、感染してから本当に完全に治癒するには相当な年月が要る。ましてこれが正当な診断をされましたところの
結核性疾患の場合でありましたならば、その感染から完全な治癒までには、三年でも完全な
期間じやないということが言えるのじやないか。先ず感染してから大体一年の
期間があ
つてそれが現われて來る。それからそれが大体の病巣を喰い止めて、そうして何とか病勢が進行しないというようなところまで持
つて行くには大体二年かかると言われます。それだけでは併しこれは何も
結核の治療としては効果がないのであ
つて、その後における完全治癒まで
行つて更に空洞が固まり、普通の今度は労働に復帰することができるということが、
結核の療養に取
つては重要な問題なのであります。
從つて二年間ということは非常に中途半端である。大体医師なんかの話を聞いたのでありますけれども、二年では
結核の病勢が右に行くか左に行くか、つまり生きるか死ぬかということが分らない。大体三年を要するというと、
結核患者として助かるか助からないかという見当がつく。その三年という境が非常に重要な
意味を持
つておるのでありまして、当然
文部省がこういうような立法を先立
つてされる精神を活かすためには、二年を三年にされることが重要であると私は
考える。殊に三年にするということは、必らずしも三年全部使うということを
意味するのじやなく、実はさつきも申しましたように、精神的な
一つの保障というものが、非常に
結核療養の場合には必要なんでありまして、
病氣に罹か
つて、あと二年しかないというような氣持では、落着いて療養ができないのでありまして、これを三年あるということで、却
つてその治癒を精神的にも早める。そうして当然治れば、その三年を非常に軽い場合には使
つていないのであります。そういう点から
考えますと、三年にするということは、むしろこの
病氣の特質から
考えて、又精神的な
一つの保障を與えるという点から、非常に重要じやないかというふうに思われる。
更にもう
一つ問題にしたいと思いますのは、これは五十万
教員のこのような問題の
適用を受けておりますところの日本教
職員組合と文部大臣の間に締結された團体協約においてはこれは三年である。これが昨年の三月において調印されたその施行後の状況はどうであるか。このような統計が果して
文部省に現在できているのであるのかどうか。そうしてそれが一体どのような実績を挙げているか、こういうようなことの根拠も実は伺いたいのであります。その根拠がありますと、尚はつきりするのでありますが、結局この前の
説明もありましたが、これを二年にしたのは予算措置の面においてこれはうまく行かなか
つたのだということが主な原因のように聞いたのでありますけれども、併しこの予算の大体の輪郭はどの
程度のものであるか。こういうことを伺えば、我々のこの問題に対する決定的な
意見が出ると思うのであります。とにかくいろいろなこの中には問題があるのでありますが、私はとにかく日教組との團体協約の線をもつと後退して、これを二年にしたということの
意味が甚だ分らない。こういうような後退した形において曖昧にすることでなくて、この
趣旨をどこまでも徹底するような科学的な裏付のある措置を財政的にも確立して、この
法案を私は改正すべきじやないか、こういうことを提案したいと思うのでありますが、これに対する
当局の
意見を伺いたいと思います。