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1948-12-19 第4回国会 参議院 懲罰委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年十二月十九日(日曜日)
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
懲罰権
の
適用範囲
に関する
調査
の件
—————————————
午後二時二十五分開会
太田敏兄
1
○
委員長
(
太田敏兄
君) それではこれから開会いたします。 本日付議いたしまする事項は
懲罰権
の
適用範囲
に関する
調査
でありまするが、この
懲罰権
の
適用範囲
に関しましては、
関係法規
の
解釈
上
疑義
の存しておる点が凡そ三つあると思うのであります。その第一点は、
憲法
第五十
八條
の二項に「
院内
の
秩序
をみだした
議員
を
懲罰
することができる。」とありまするが、ここの「
院内
」という字句は何を指すのであるかという問題であります。即ち
懲罰権
の空間的な
限界
の問題、それから第二点は
國会法
第百二十
一條
第三項に
議員提出
の動議については「
事犯
があ
つた日
から三日以内にこれを提出しなければならない。」と
規定
されてありまするので、この点は期日が明瞭でありまするが、同條第一項の「各
議院
において
懲罰事犯
があるときは、
議長
は、先ずこれを
懲罰委員会
に付し
審査
させ、」
云々
の
條文
がありまして、これではその
期間
が限定してないのであります。そこでその
期間
が問題となるのであります。これにつきまして
國会法
第六十
八條
の「
会期
中に
議決
に至らなか
つた
案件
は、
後会
に
継続
しない。」という
條項
に基きまして、
懲罰事犯
についてもやはり
後会
不
継続
の
原則
があると主張する人もあるのでありますが、ここに問題があると思うのであります。そこで即ち問題の第二点は、
議長
が職権を以て
懲罰
問題を取上げる
期間
の問題でありまして、即ち
懲罰権
の時間的な
限界
の問題であります。第三点は、
参議院規則
第二百
七條
に「すべて
議員
は、
議院
の
品位
を重んじなければならない。」とありまして、その「
品位
」とは何か。又同
規則
の第二百四十
五條
の「
議院
を騒がし又は
議院
の
体面
を汚し、」
云々
の
條文
の中の「
議院
の
体面
」とか何かという語句の
内容
の問題であります。そうして同時にこの
品位
及び
体面
に関しまして、
懲罰
問題が提起された場合に、先の
疑義
の第一点に
上つた院内
の
解釈
、第二点の
期間
の
解釈
に問題がこれとどう結び付くかということが疑点の第三点であります。 これにつきましては、去る十二月十三日に
委員打合会
を開きまして、
奧野法制局長
及び
事務当局
から一應の
見解
を承
つたの
であります。続いて十二月二十三日には正式の
委員会
を開きまして
事務総長
、
法制局長
及び
委員部長
より
意見
を聞いたのであります。更に昨日
委員長
及び
理事打合会
を開きまして
金森図書館長
、
入江衆議院法制局長
、
奧野参議院法制局長
、
河野委員部長等
を招きまして、それぞれ
意見
を聞きまして互いに檢討をいたしたのであります。本日はその結果に基きまして、その結果を大体取纏めましてここに皆樣に御
報告
申上げ、そうしてこれに対しまして
委員各位
の
意見
を承りまして、本
委員会
としての
解釈
を一應決定したいと思うのであります。併しこの問題は非常に重大な問題でありまして、今後における
参議院
の
懲罰問題処理
の基準ともなるものでありますから、最も
愼重
を期さなければならんと思うのであります。 そこで、これは私だけの
考え
でありまするが、本日は大体皆さんの御
意見
が一致いたしましたならば、それを取纏めまして、先ず
中間報告
としてこれを
議長
の手許に
報告
したいと思うのであります。そうして尚今後も
愼重
を期しまして
継続
して、十分これらの問題につきまして研究をいたしまして、最終的な結論を得るように努めたいと思うのであります。この点を予め御了承願いたいと思うのであります。昨日
委員長理事打合会
におきまして論議しました問題の
内容
につきましては、
便宜河野委員部長
から大体の御
報告
を願いまして議題を提供したいと思うのであります。
河野義克
2
○参事(
河野義克
君) 昨日いろいろ御論議があ
つた
わけでありますが、そのことについて整然とまとめる余裕がなか
つたの
でありますが、大体昨日の
話合
で、こういうふうに
考え
た、或いはこの点についてはこういう
考え
もあるし、こういう
考え
もあるというようなことについて一
應申上げ
たいと思います。 この
懲罰権
の
適用範囲
を
考え
る場合に、
懲罰
の
適用範囲
に連関する
限度
、
最少限度
において
懲罰権
がどういうものであるか、どういう目的のために設置されたものであるかということを吟味することが、
適用範囲
を吟味することに
関係
があると思うのでありますが、そのことにつきましては、
懲罰権
は大体役員の
選任権
及び
規則
の
制定権
と共に
憲法
に認めました両
議院
の
自律権
の
一つ
でありまして、即ち両
議院
は
院内
の
秩序
を乱した
議員
を
懲罰
することができるわけであります。そういうふうに、
懲罰権
は
議員
を
対象
とするのでありますから、
從つて議員
以外の者、例えば
政府職員
、
國会
の
職員
、
傍聽人
、証人、及び
公述人等
については
懲罰権
の
適用
のないことは明らかでありますが、
國務大臣
が
議員
である場合は、
嚴密
に言えば、その
國務大臣
としての
行爲
には
懲罰権
の
適用
はなく、その
議員
としての
行爲
のみに
懲罰権
の
適用
があるということを
考え
ることもできまするし、それから
憲法
の
規定
によりますと、
懲罰権
の
懲罰
を構成する
要件
といたしましては、
院内
の
秩序
を乱したということと、
議員
であるということの
二つ
が
要件
であるだけでありますから、たとえ
國務大臣
として
院内
の
秩序
を乱しましても、すでに
院内
の
秩序
を乱したという事実と、
議員
であるという事実がある限りは、そこに
懲罰
の
対象
になり得るというような
二つ
の
考え方
があるようでございます。それから
院内
の
秩序
とは何であるかということにつきましては、これを空間的、時間的、或いは
内容
的に分析して解明しなければならないと思いますが、ただそのことにつきましては、
懲罰権
が認められた
理由
が、そもそもどこにあるかということを
考え
なければならんのでありまして、
懲罰権
は、
立法機能
及びその他
憲法
が認めておる重要な
議院
の
機能
を適正に行使し得ることを確保するために、
院内
の
秩序
を維持する手段として認められたのでありまして、
從つて
その
適用
の
範囲
についてはこのことを先ず
考え
なければならんわけでありますが、一面
議員
が有する
憲法
第五十條の不
逮捕特権
、及び
憲法
第五十
一條
の
院外免責特権
と言われておる
そういつた
特権
と密接な
関係
があるのであります。そのような
特権
があればこそ、その
半面議員
は、自律的に
懲罰権
によりまして、
院内
の
秩序
を
嚴粛
に維持する必要が増すのであるということになろうと思うのであります。こういうことを
前提
といたして
懲罰
の
適用範囲
を
考え
ますと、第一は
場所
的な
関係
でありますが、
懲罰権適用
の
空間的限界
の問題は、
憲法
第五十
八條
のいわゆる
院内
の
秩序
の
場所的意義如何
、こういうことになると思うのでありますが、この
憲法
の
規定
を受けまして、本院の
規則
二百三十二條(これは
衆議院規則
で言えば二百三十三條に当るものであります)及び本
院規則
の二百三十三條、これは
衆議院規則
に該当するものはございません。本
院規則
二百三十四條、これは
衆議院規則
二百三十四條でありますが、それは本
会議
、
委員会
及びその他の
議院内部
において、
懲罰事犯
があり得ることを明らかにしておるわけであります。ここにいう
議院内部
の
意義
がどういうものであるかということが
從つて
問題になるわけでありますが、これは
議員
が、
憲法
によ
つて
與えられた権能を通常行使する
区域
というようなことで言われると思いますが、本
院規則
の二百三十四條の法文から行きましても
議事堂
、
嚴密
にいえば、
議事堂
の中、各
議院
について各
議院
が管理する
区域
を一應
意味
するように思われます。というのは、この
議事堂
の中で、
参議院
が管理する分と
衆議院
が管理する分がありますが、
そういつた
各
議院
が管理する
区域
を一
應各議院
についてはその
院内
というふうに、ここでは
考え
ておるのではないかと思うわけであります。このことは沿革的の旧
憲法下
の
議院法
或いは
貴族院規則
、
衆議院規則以來
の傳統的な
解釈
であ
つた
と思うわけであります。併しこの点だけについて見ましても、近時の実情に鑑みまして、例えば
議員
の
面会所
とか、
常任委員会廳舍
とか、
議員会館
とか、
議員宿舍
とか、
議長官舍
とか、副
議長官舍
とか、
議院分室
とか、
そういつた
ものが
議院内部
に含まれるかどうかという新たな問題が出て來ておるものでありますが、そういうことにつきましては或いは
院内警察権等
とも関連させまして、個々に且つ具体的に決定しなければならない問題であると思います。又地震、火災、その他事変、
内乱等
のために
國会
が
東京
以外の地で
召集
せられる、或いは
東京
のこの
議事堂
以外の
建造物
で開会するような場合におきましては、ここに言う
議院内部
というのは、その場合、
國会
又は各
議員
が集会する
場所
につきまして明確にか、或いは暗默にか表示された空間的な
範囲
ということであると考うべきことは固よりであろうと思います。例えば第一回
帝國議会
の時に、
議事堂
が火事で燒けまして、帝國ホテルかどこかで
議会
を開いたことがございますし、第七回の
帝國議会
でありましたか、
日清戰爭
の際に廣島の大本営で
帝國議会
が
召集
それたことがございますが、
そういつた
場合にはその場合に明確にか或いは暗默に表示された
議会
としての
区域
が、ここに言う
議院内部
になると思われるわけであります。併し
法規
は今申上げました
議院内部
以外に起り得る
懲罰事犯
を明瞭に
規定
しておるのがあるわけでありまして、即ち
國会法
第百二十四條によりますれば、「
議員
が正当な
理由
がなくて
召集日
から七日以内に
召集
に應じないため、又は正当な
理由
がなくて
会議
又は
委員会
に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、
議長
が特に
招状
を発し、その
招状
を受け取
つた日
から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、
議長
が、これを
懲罰委員会
に付する。」とな
つて
おりますが、この
事犯
は物理的な
意味
から言えば、常に
院外
で起るものであります。尚その場合、
國会法
第百二十四條は元の
議院法
第九十九條にもこれに相当する
規定
があ
つたの
であります。又
参議院規則
第二百三十六條によりますれば、「
國会法
第六十三條により公表しないものを他に漏した者に対しては、
議長
は、これを
懲罰事犯
として、
懲罰委員会
に付託する。」ということにな
つて
おりますが、これも物理的に言う
院内
において起り得るのみならず、
院外
でも起る、むしろ
院外
で起る場合が多いかも知れないと思うわけであります。況んや
國会法
第百二十四條の場合も、その
懲罰権
というものは
國会法
が新たに創設したものではなくして、
憲法
第五十
八條
に淵源しておるものであるということは議論の余地がないと思いますし、
参議院規則
第二百三十六條の場合は、それが法律ではなくして
規則
であることから
言つて
も、尚更然りであろうと思うわけであります。然らば、こうい
つた
場合の
事犯
が、物理的な
意味
においては
院外
でなされましても、それが
憲法
第五十
八條
のいわゆる
院内
の
秩序
を乱した者として
懲罰
の
対象
となると
考え
ざるを得ないのでありまして、逆に申上げますれば、
院内
の
秩序
は
院外
の
行爲
によ
つて
も乱されることがあるということは認められなくてはならないと思います。こういうふうに物理的に
院外
の
行爲
が
院内
の
秩序
を妨げることがあるということは、
憲法
の
規定
を見ましても、
憲法
の
規定
は
院内
で
秩序
を乱したということにはな
つて
おらないので、「
院内
の
秩序
をみだしたと」いうことでありますから、
秩序
を乱すことが外部であ
つて
も、それが
院内
の
秩序
を乱したということになれば、そのことは当然
懲罰
の
対象
になるということになろうと思います。尚附言いたしますれば、
日本國憲法
の
英訳文
には、この「
院内
」という言葉はなか
つた
と存じます。
從つて院外
における
行爲
におきましても、
議員
としての公の職務を遂行する
行爲
、例えば
議員派遣
の場合とか、そういう場合につきましては、そのときに著しく不都合のことがありましたときには、それが「
院内
の
秩序
をみだした」ということになることもあり得るのでありまして、
そういつた
場合も
懲罰
の
対象
になるということが
考え
られるわけであります。然らば半ば公的な
行爲
、或いは全然私的な
行爲
についてはどうなるかということにつきましては、これはむしろ第三の、
懲罰事犯適用範囲
の第三に分けて
考え
るべき
内容
の
方面
からもう一遍研究した方がよろしいかと存じます。 第二は時間的な
関係
でございますが、これはいわゆる
後会
不
継続
の
原則
というものがこの
懲罰
の案外に
適用
があるかどうかということでございます。
後会
不
継続
の
原則
ということは、或る
議会
で審議されてお
つた
、或いは論議されてお
つた
、或いは問題とな
つた
、そういうことがすべて次の
議会
にはそのままでは
継続
しない、そのままでは問題にならないということを言
つた
ものであろうと思うのでありますが、
國会法
第六十
八條
は、いわゆる
後会
不
継続
の
原則
を
日本
の
議会制度
の中に
表現
されておるものと普通言われておりますが、その
規定
は「
会期
中に
議決
に至らなか
つた
案件
は、
後会
に
継続
しない。」ということにな
つて
おります。
從つて
この
國会法
第六十
八條
を如何に
解釈
するかということにつきましては、第一は第六十
八條
に使われております
表現
に忠実に從いまするならば、「
議決
に至らなか
つた
案件
」ということであるから、すでに
審査
が開始されて、その
議決
に至らなか
つた
ものだけが不
継続
になるので、そもそも
審査
もしなか
つた
ものは、この
國会法
第六十
八條
が直接に
言つて
おるのではないという説と、それから「
議決
に至らなか
つた
」ということは、とにかく
議決
に至らなか
つた
ものすべてを含むのであ
つて
、
從つて
或る
事柄
が起きた、例えば
懲罰事犯
が起きて、そもそもこれが
審査
の
対象
にならなくても、
議決
に至らなか
つた
ことは事実であるから、
そういつた
ものも第六十
八條
が包含しておるんだという説と両方あります。併し後の場合におきましては、それは
案件
でもなか
つたの
であるから、客観的に
懲罰事犯
であ
つた
かも知らんが、それを誰も提起した人はないのであるから、
案件
でもなか
つたの
であるから、第六十
八條
の
規定
しておる限りではないというふうにも
考え
られるわけであります。何れにいたしましても、さつき申上げたように、
審査
中の
案件
だけが
後会
に
継続
しないのであるという立場から申上げますと、これは
懲罰事犯
にも無論
適用
があるのでありまして、
懲罰事犯
が起りまして、これが
懲罰委員会
に付託されて
審査
中の場合に
閉会
になりますと、これは
後会
に
継続
しないでその儘になるということだけを第六十
八條
が
言つて
おるのであ
つて
、全然
懲罰事犯
として
懲罰委員会
に付託されなか
つた
問題については全然触れてないということになりますから、
後会
においてその
懲罰事犯
を提起することは第六十
八條
が禁止しておるものではないという
解釈
ができることになるわけであります。
國会法
第六十
八條
の
関係
だけにつきましては
そういつた
解釈
が或いは正しいのではないかという御説が多か
つた
ように存じますが、そうした場合につきましても、
國会法
第六十
八條
の
規定
を含み、更に一般的な
後会
不
継続
の
原則
、一種の
議会政治
における
そういつた
原則
が存在してお
つて
、これは
國会法
第六十
八條
の
表現
よりももつと
廣汎
なものであ
つて
、
そういつた
、いわば慣習的な
原則
が
懲罰事犯
にも、
適用
があ
つて
、
從つて懲罰事犯
を次の
國会
で提起することもその慣習的な
原則
に触れるのではないかという
考え方
や、或いはそういうことは別としても、
懲罰事犯
というものの
性質
、或いは
特定
の
懲罰事犯
の
性質
、例えば本
会議
で乱闘をしたとか、或る
会期
にいわば專属的な
懲罰事犯
は、その
性質
からい
つて後会
不
継続
の
原則
の
適用如何
に拘わらず、本來次の
議会
において問題とするのはふさわしくないものではないか。
從つて
この場合においては
懲罰事犯
というものは、その
性質上次
の
議会
においては提起できない問題であるという
考え方
と、
懲罰事犯一般
についてはそういうことはないけれども、
懲罰事犯
の中、
特定
のものについては
後会
においてこれを問題にすることはふさわしくないとする
考え
とが出て参ります。又実質的に不
継続
が望ましいという説がございますが、これは
一つ
には
懲罰事犯
というものは、とにかく
議員
を
懲罰
しようということでありまするから、その時間
的関係
において前に起
つた
事犯
を如何なる時期においてもこれを提起することは、
議院
の
運営
に暗影を投じて、わだかまりを残して面白くないということとか、或いは
議員
の
身分
を不安な
状態
に陷れることになるので好ましくないということや、或いは元來
そういつた
議会政治
を含め、あらゆる
政治
というものは生々流轉して膠着しないことを旨としなければならないのに、
特定
の
懲罰事犯
が何年後にな
つて
も起り得るようなことでは、
政治
のいわば非
膠着性
というようなことと矛盾しはしないかというようなことと、実質的な判断から
懲罰
については
後会
に
継続
することはどうかというような説もあるわけであります。これに反しまして、例えが
閉会
の直前の日に行な
つた懲罰
は、未來永却これを問題にすることができないというようなことはどうもおかしい、並びに
秩序
の破壊
行爲
に対しては、
会期
の更新に拘らず、これを
懲罰
の
対象
とすることができると
考え
る方が妥当ではないかというように、
懲罰
については、少くともこれを提起することについては、
後会
不
継続
の
原則
の
適用
を、それ程
森嚴
に
考え
なくてもよいのではないかという説もあるわけであります。いずれにしましても、
後会
不
継続
の場合の
会期
の
観念
が、
帝國議会時代
の、天皇の大権によ
つて
開閉される、その
会期
も
通常議会
において三ヶ月とすると、その間九ヶ月の
閉会期間
があ
つた
ような場合の
会期
と、現在のように、
議会
が殆ど年中事実上開かれているような場合の
会期
との間の
関係
とが、同一視してよいものであるかということには、多くの問題があるし、立法論的に言えば、なんらか
任期
を
限つて
、よく
立法期
というようなことを申しますが、
そういつた
一つ
の
立法期
というような
観念
があ
つて
、その
任期
から次の
任期
には、いわゆる
後会
不
継続
の
原則
のような
関係
がある。その
任期
内においては、
後会
不
継続
の
原則
のような
関係
がないというような
考え方
もできるのではないかという
考え方
も出ております。又前
会期
における
事柄
につきましては、これをなんらかの
議会運営
の技術的な方法によりまして、今
会期
における問題とすることが事実上できるから、それによ
つて後会
不
継続
の
原則
の
適用
があるとしても、そう支障はなくやり得るかも知れんという技術的な
方面
からの
見解
もございますし、又逆に
一つ一つ
の
行爲
は、それ程重要な
懲罰事犯
でないといたしましても、
特定
の人がそれを爲した場合には、それは相当惡質のものと見なすこともあり得るし、又段々累積して來ますと、刑法の累犯的な
考え
で、相当重くこれを
考え
なければならんというような
事柄
も実質的には
考え
られるといういろいろの
見解
も出てお
つた
わけであります。 次に
懲罰
の
内容
の
方面
に参りますと、要するに、これにつきましては、
憲法
では、
院内
の
秩序
を乱したということだけにな
つて
おりますし、それを受けた
國会法
、
規則等
には、
懲罰事犯
ありたるときはということで、客観的になんらか
懲罰事犯
というものの
意味
が決
つて
いる。それが客観的に起ることを予想して、そういうものが起
つた
ら
云々
ということを
規定
しておりまして、どういうことが
懲罰事犯
であるかはつきり書いてないのでありますが、大体
規則
だけで分りますることは、
参議院規則
二百三十
五條
の「
議長
の
制止
又は
発言取消
の
命令
に從わない者に対しては、
議長
は、
國会法
第百十六條によりこれを処分するの外、なお、
懲罰事犯
として、これを
懲罰委員会
に付託することができる」とありまするから、
議長
の
制止
又は
発言取消
の
命令
に從わないような
行爲
は、
懲罰事犯
であるということが間接に言えると思いまするし、同條の第二項は、
委員長
の
制止
又は
発言取消
の
命令
に從わない者に対して同樣の
規定
もございますから、
委員長
の
制止
又は
発言取消
の
命令
に從わない者についても、これが
懲罰事犯
であるということは言えます。それから第二百三十六條も、先程も申上げましたが
祕密会議
の記録を公表した者は、これも
懲罰事犯
であるということが
言つて
あるわけであります。その外、
國会法
の方に、先程も申上げましたように、
特定
の段階において、
招状
に應じて尚出席しない者についても、それが
懲罰事犯
になり得ることを
規定
しております。その外「
議院
を騒がし、又は
議院
の
体面
を汚し、その
情状
が特に重い者に対しては、
登院
を停止し、又は除名することができる」ということが、第二百四十
五條
にございますが、このことは、
議院
を騒がし、又は
議院
の
体面
を汚すことが、一
應懲罰事犯
となり得るということを
前提
としていることで、その
情状
が特に重い者は、
登院停止
とか、除名とかいうような重い
懲罰
を科することができるということを
言つて
いるわけでありますから、
そういつた
ことも
懲罰事犯
であるということが言えますし、更に「
登院
を停止された
議員
がその
停止期間
内に
登院
したときは、
議長
は、直ちに
退去
を命ずる。その
命令
に從わないときは、
議長
は、必要な処分をなし、更に
懲罰委員会
に付託することができる」。この二百四十四條によりましても、
登院停止
の
懲罰
を科せられた
議員
が、
停止期間
内に
登院
したときに、
議長
がこれに
退去
を
命令
して、その
命令
に從わないときは、一
應懲罰事犯
であるということがはつきりしております。こういうように、
法規
上
懲罰事犯
というものは、いわば例示的に示されているだけでありまして、一般的にどれが
懲罰事犯
の
内容
の構成するものかは、定義づけられていないのでありますが、
参議院規則
第十六章第一節に「紀律」として、第二百
七條
、「すべて
議員
は、
議院
の
品位
を重んじなければならない」。第二百十
五條
に、「散会又は休憩に際して、
議員
は、
議長
が退席した後でなければ、退席してはならない」と
規定
してある。この
一連
の
規定
に違反する
行爲
、
一連
の
行爲
が
懲罰
になるかならんかということが
一つ
の大きな問題であろうと思います。それでこの二百
七條
から二百十
五條
までのことに違反した場合には、つまり
内部規則
に違反したことになりますから、それに
院内
の
秩序
を乱した
行爲
であるということになる。
從つて懲罰
をしなければならんということではないけれども、
懲罰
をなし得る
行爲
、
懲罰
の
対象
となり得る
行爲
であるというふうに
考え
るべきだという
考え方
が述べられてお
つたの
でありますが、それに対して、例えば二百
七條
の
議院
の
品位
のことにつきましては、これはいわば
訓示規定
であ
つて
、これに反したということだけで、直ちに
懲罰
の
対象
になるというべきか、やや
疑義
があるという
見解
を漏らされてお
つた方
もあります。いずれにいたしましても、
議院
の
品位
を重んじなければならないということは、二百
七條
によ
つて
規定
されておりますことで、二百
七條
に違反した場合に、
懲罰
の
対象
になる得るということは確かでありますが、この
規定
が如何なる
院外
の
行動
に及ぶべきかということにつきましては、いろいろな
見解
があるわけでありまして、私的な
行爲
につきましても、それが
議院
の
秩序
、
議院
の
品位
を汚すということに
相当因果関係
があると
考え
られるようなものは、それはこの
議院
の
品位
を傷ける、或いは
憲法
でいえば、
院内
の
秩序
を乱したということになると
考え
られると言われた方もあります。併し私的な
事柄
については、大体
関係
のないことであ
つて
、第一の
場所的関係
のときにも申上げましたように、
議員
の公の
行動
についてのみ
懲罰
の
対象
になるのであるというように
見解
を漏らされてお
つた方
もあ
つた
わけであります。いずれにいたしましても、この
場所
的な
関係
につきましても、時間的な
関係
につきましても、この
内容
の公表という問題につきましても、
懲罰権
が深く今まで吟味されておりません
関係
上、いろいろな
見解
が出るわけでありますが、要は
院内
の
自律権
である
懲罰権
というものと
國民
の
公選
によ
つて
取得せられた地位であるという
議員
の
身分
を、どういうふうに重く
考え
るかということに帰着され、
院内
の
自律権
を強く
考え
、
院内
の
秩序
の保持を
嚴粛
に
考え
る場合には、相当
懲罰権
の
適用範囲
についても、これを彈力性を持
つて
考え
るべきであるという
考え
が出て参りますし、又
國民
の
公選
である
議員
の
身分
ということを強く
考え
ますときには、
懲罰権
の
範囲
については相当嚴格に
考え
なければならない。又
懲罰権
の濫用が
少数者保護
に遺憾なる
状態
になる虞れがあるというようなことも
考え
なければならんということから申しますれば、
懲罰権
の
適用範囲
については、相当嚴格にそれを
考え
なければならんというようなことになるわけでありまして、いろいろ申上げましたが、
事柄
の
性質
上、又
調査
の進行過程であることから申しましても、いろいろな説が出ておりまして、帰一するところに到
つて
いないことはむしろ当然かと思うわけでありまして、
議員
各位の御討議を願
つて
、更に御檢討を煩わしたいと思うわけであります。
太田敏兄
3
○
委員長
(
太田敏兄
君) 只今
委員部長
から述べましたのが、大体昨日までに研究しました結果の大要なのでありますが、これにつきまして一應皆樣の御
意見
を伺いたいと思います。今河野さんから述べられたことは全般に亘
つて
おりますので、これは討議の便宜上、私が先に申しましたような問題を重点的に三つに区分しまして、第一に
院内
ということの
解釈
、これの問題からいたして、先ず
意見
をお述べ願いたいと思います。
大野幸一
4
○大野幸一君 御説明を伺いまして、非常に有益であ
つたの
であります。そこで第一の問題から私の
意見
を申上げますれば、
憲法
の
院内
の
秩序
という
意味
は、空間的において、やはり御説明のように、各
議員
の支配する
建造物
の内部、こういうように
解釈
するのが素直な
解釈
と私は思うのであります。それと、いわゆる一般警察権が
議院内部
に及ばないというその建前と相一致してそう
解釈
すべきである、いわゆる
委員部長
の空間的
意味
においては私はそう
解釈
したいと思うのであります。そこで空間的の問題と
懲罰権
の問題とに亘りましてそういう
解釈
を生ずると、いわゆる例示的に申されましたところの二三の点で、
院内
における
行爲
、例えば
國会
の
召集
のような場合、こういうようなことも
懲罰事犯
と書いてありますが、併しそれは私は空間的に
院内
の説を採
つて
、そうしてその以外に、特に
規定
のあるものについては、事が
院外
に関する場合であ
つて
も、これを強いて
院内
の
秩序
に影響あるからという
意味
で例示的にこれを解したものである。そう
解釈
して、その他の場合においては
懲罰事犯
はないものである。こう
考え
ております。 もう
一つ
これを追加いたしますれば、何と
言つて
も民主主義國においては
國民
の信頼即ち投票を以て選挙せられて來たところの先程の特典と言いますか、
國民
主権の立場から我々同僚が同僚の
行動
を責めるにはその同僚の
議員
が
國民
から選出されて來ておるということに対して一歩を讓らなければならない、こう
考え
るのでありまして、こういう思想からいたしまして、
議院
の
懲罰権
というものはやはり
嚴粛
に
解釈
したいと思うからであります。
太田敏兄
5
○
委員長
(
太田敏兄
君) そうすると、大野さんの御
意見
は、
原則
的には
議員
が職権を行使する
場所
に限定する。それから例外的にはこの
院内
の仕事に
関係
を及ぼすような
事柄
については、
院外
で行われたことでも
院内
という範疇の中に入る、こういうことになるのですね。
大野幸一
6
○大野幸一君
秩序
と影響のある場合……
太田敏兄
7
○
委員長
(
太田敏兄
君)
院外
で行われても、
院内
の
秩序
と影響のあることはその中に入る。それで大体今の大野さんの御
意見
を……。別に御
意見
ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
太田敏兄
8
○
委員長
(
太田敏兄
君) それから次に、時間的な
関係
でありますが、それにつきまして御
意見
をお述べ願います
後会
不
継続
という問題に関して。
大野幸一
9
○大野幸一君 六十
八條
の「
会期
中に
議決
に至らなか
つた
案件
は、
後会
に
継続
しない。」これは確かに、この前、法制部長の説明されたように、議案として提出されて
議決
に至らなか
つた
案件
は
後会
に
継続
しない、こういう
意味
で、議案として提出されなか
つた
ものについては、この
規定
の
範囲
外だということは御尤もでありますが、併しただこれが直ちにこの
懲罰事犯
の場合に
適用
あるかどうかということは、最初私はあるようにも
考え
ましたのですが、今はこれは
懲罰事犯
については、あながちそう
解釈
することの必要はないかと
考え
ます。その
理由
は、先程
会期
の切迫した瞬間に起
つた
事件、そういうような場合が
継続
的に増加されて來たような場合、そういう場合でも、例えば第二
國会
、第三
國会
、第四
國会
と、こういうように
継続
的になされて來た場合でも、第二
國会
の
事犯
を取
つて
第四
國会
に問題としてもいい、こういうように
考え
ます。
從つて
これは私は
会期
不
継続
の六十
八條
の説明はお説の通りでありますが、事が
懲罰事犯
に関する限りは、敢てこれに拘束される必要はないかのように
考え
ます。
太田敏兄
10
○
委員長
(
太田敏兄
君) 他に御
意見
は……。速記を止めて。 〔速記中止〕
太田敏兄
11
○
委員長
(
太田敏兄
君) 速記を始めて。
奧野健一
12
○
法制局長
(奧野健一君) 今の問題は、場合が幾つにも分れるかと思います。即ち前の
会期
時代に
懲罰事犯
があ
つた
場合に、後の
会期
でその
事犯
を取上げて
懲罰
に付託し得るかどうかという問題と、それから前
会期
からいろいろ
継続
してや
つて
尚この
会期
まで続いてや
つて
おる場合に、この
会期
の分だけの
事柄
を取上げてそれだけを問題にし得るか、或いはその場合には前の
会期
の分も併せて
懲罰
の
対象
となり得るかという問題と、もう
一つ
は、前の
会期
におけるまあ
行爲
と言いますか
事犯
については、直接の
対象
とはならないが、今
会期
における
事犯
の
情状
として、まあ参考としますか、まあ
情状
としてそれも含めて
考え
て
懲罰
として取上げ得るかどうかという問題と、三つに分れるかと思います。そうして又
事柄
の
性質
によりまして、或る議場を騒がしたというようなことは、むしろその
会期
の議場を騒がしたので、その
会期
で專属的に処置すべきであり、或いは後の
会期
で以てそれを取上げるということはどうかという問題も
考え
られますし、又
國会
の
品位
を傷つけたというような場合と、單に或る
事犯
……乱闘があ
つた
という問題と、一緒に
考え
ていいかというような問題、或いは又秘密にしようという秘密
会議
のあれを公表した。ところがそれは前の
会期
で公表したのであるけれども、それが分らなくて、後の
会期
でそういうことが分
つて
來たような場合には、それは前の
行爲
であるけれども、後で問題にし得るというふうなことも
考え
られるので、或いは問題は簡單に圧縮することはできませんが、結局前の
会期
の
事犯
を後の
会期
で問題にし得るかということが一番先ず
原則
的な問題にな
つて
來るのであります。それと関連して先程言
つた
いろいろな場合があるという問題になると思います。
太田敏兄
13
○
委員長
(
太田敏兄
君) 御
意見
はありませんか。
奧野健一
14
○
法制局長
(奧野健一君) 結局、更に具体的に申しますと、この
会期
だけの
事犯
が、仮にそれだけでは
懲罰
に價するかどうかというような問題でないにしても、前のいろいろな
行爲
と併せて取上げ得るかどうかというような
事柄
、併せて取上げないにしても、今
会期
の分だけを取上げるにしても、前の
会期
の
行爲
も参考として決定し得るかどうかという問題、それとも前の
会期
のことは全然これはその
会期
だけで解決すべきもので、後の
会期
で取上げるべきものではなくて、後の
会期
で起
つた
事柄
のみを
事犯
として取上げなければならんものである。そういう実質的な
意味
で今
会期
に
継続
しないという
意味
を
言つて
いるのだろうと思うのであります。即ち苟くも
会期
というものは、その
会期
と後の
会期
は全然殆ど人格が違うに近いものと
考え
るならば、丁度
衆議院
が解散された場合に、前の
衆議院
と後の
衆議院
が全然人格が違うと同じように、
会期
が違うとそれに近く人格が変るのだということになると、前の
会期
の
事柄
は前の
会期
の
事柄
で、後の
会期
の
事柄
の分だけについて後の
会期
が処置し得るのだというふうに……
從つて
院の本面、或いは院の
品位
を傷つけるという、院というのがその
会期
の
品位
というので、後の
会期
の
品位
とは別だというふうなことが
考え
られるかどうかという問題に帰著すると思います。
大野幸一
15
○大野幸一君 ちよつと
法制局長
にお尋ねしますが、例えば不
召集
の場合には、前
國会
に
召集
に應じなか
つた
からとい
つて
、後の
國会
に
議長
が
懲罰委員会
に付託することができるでしようか。先程の御説明で例を挙げられた祕密漏洩の場合に、祕密漏洩したことが前
國会
の祕密を漏洩して、今
國会
に、前
國会
に祕密漏洩した事実が発見された場合には、今
國会
でもできるということでしたか。不
召集
の場合はどうでしよう。
奧野健一
16
○
法制局長
(奧野健一君) 私の個人的な
考え
では、その場合はもうできないのではないか。前の
会期
に
召集
されて應じなか
つたの
を、後の
会期
で処罰するということはできないように、まあ
考え
ます。
太田敏兄
17
○
委員長
(
太田敏兄
君) ちよつとお尋ねしますが、祕密漏洩の場合はそれとは少し趣きが違うのですか。
奧野健一
18
○
法制局長
(奧野健一君) 祕密漏洩の場合は、これはいろいろ議論があると思うので、公表しないというのは、その
会期
だけ公表しないという
意味
ではないのではないか。その
会期
以後でも公表されては困るという
意味
で公表しないということであるので、そういう
行爲
が前にあ
つた
場合が今問題で、多少問題を違えましたが、どうも祕密漏洩というような場合には、祕密漏洩があ
つて
、分らなくて後の
会期
で分
つた
というような場合は、やはり感じとしては取上げ得るのじやないか。
從つて
この
対象
となる
事犯
によ
つて
稍稍そこに違
つた
ものがあるのじやないか。
從つて
議院
の
品位
を傷つけるというようなことは、ただ議場を騒がしたその單独な
事犯
とは又別に
考え
得るのではないかという想像を持
つて
おります。
太田敏兄
19
○
委員長
(
太田敏兄
君) そうすると
品位
が傷つけられたというような場合は、その場合、いろいろの場合がありますが、前の
國会
、前の
会期
で傷つけるような
行爲
があ
つた
が今度もあ
つた
そういう場合はそういうことが
継続
しておると見れば、それを
一連
の問題として現在のものとすることができるか、前
國会
、前々
國会
では
品位
を傷ける
行爲
があ
つた
が、現在の
会期
では全然なか
つた
というような場合にもやはり取上げ得るかどうか、そういうようないろいろな場合があると思いますが。
奧野健一
20
○
法制局長
(奧野健一君) どうも
品位
ということになると、やはり
國会
が
継続
して人格が続いている以上は、その
品位
を汚された、或いは傷けられたということは、
継続
的な人格を
対象
として
考え
得るので、各
会期
各
会期
の
品位
というふうにむしろ区分すべきではなくて、人格が統一した
議院
としての
品位
というものがあるのじやなかろうか。そうしてその
品位
がいろいろ
継続
的に少しずつまあ傷けられて行く場合に、ただ初めの一、二の
行爲
ではそうでもなか
つた
が、だんだん度重な
つて
來るに
從つて
、
議院
としてはどうも
体面
を汚された、或いは
品位
を傷つけられたと感ずるに至る場合もあるのじやないかと思うので、
品位
というふうな……
継続
的な人格を
対象
とする場合と、個々の議場を騒がしたというようなことがやはり多少趣きの違うような感じもするというのであります。
太田敏兄
21
○
委員長
(
太田敏兄
君) そうしたしますと、時間的には、
対象
となる
事犯
によ
つて
、或いは問題として取上げて行くのが
会期
中に限るようなものもあるし、それから又
事犯
の種類によ
つて
は、
会期
を超えてもこれを
懲罰事犯
として提起することができるというふうに
解釈
して……
解釈
という
一つ
の説が成り立つのでありますが、これに対して御
意見
はどうですか。
大野幸一
22
○大野幸一君
委員長
のようにして、その場合はまだ実を言うと研究は未熟であるから、具体的な場合に遭遇して
考え
なければならん。こういうふうに留保して置いたらどうでしようか。
太田敏兄
23
○
委員長
(
太田敏兄
君) そうすると、大体はそういうような
考え方
でいいわけですね。尚その点は
愼重
に……。
大野幸一
24
○大野幸一君 具体的な場合に檢討する。
太田敏兄
25
○
委員長
(
太田敏兄
君) 具体的な場合に檢討すると……今大野さんの大体御
意見
を一應の
委員会
の意向として、異議はありませんか。それで、実はこういう重要なことをこの際取急いで
一つ
の結論を得ようとすることは無理な話でありまして、もつと
愼重
を期して十分檢討すべきであると思うのであります。ところが
議長
といたしましても、こういう
懲罰事犯
を取扱う上におきまして、いろいろ
法規
の
解釈
上に
疑義
がありますと、どのように措置していいか、取扱
つて
いいか、ということにつきまして困るような次第もありまするので、実は先にも申しましたように最終的な結論と申しますか、決定版でなくとも取敢えず大体の本
委員会
のこれに対する
解釈
につきまして、
中間報告
的なものでもここでいたして置いたら、
議長
はこういう問題に対して職権を行使する場合の
一つ
の重要な参考になりやしないかというような
意味
で、今回は一應の
中間報告
でもしたい、かように
考え
ております。それで尚これらのことにつきましては後日更に
継続
しまして
愼重
に
審査
を
継続
、
調査
研究したいと思うのでありまするが、
そういつた
ような事情の下に本日の結果を大体取纏めまして、
中間報告
を
議長
のところまで提出いたしたいと思
つて
おります。それにつきましては
中間報告
をするということに対して御異議ありませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
太田敏兄
26
○
委員長
(
太田敏兄
君) そうしますと、
中間報告
の作成につきましては、大体只今いろいろ御発言のありました
内容
に基きまして、
委員長
の手許で適宜
報告
書を作成するように、
委員長
に御一任を願いたいと思います。
大野幸一
27
○大野幸一君 ちよつと私希望したいのですが、これは第一回の懇談会のときに問題になりましたのですが、
懲罰委員会
はみずから
懲罰事犯
の
調査
をする責任がなく、
議長
、
委員長
若しくは動議によ
つて
懲罰事犯
が付せられてから後に
懲罰委員会
はその付託から活動を開始することには、この前の懇談会のときには大勢の方が異論なか
つた
ようなわけです。その後、
懲罰委員会
はただ研究事項として、研究して置こうじやないか。今まで
参議院
が開かれましてから一度も
懲罰事犯
がないし、万一のときに困るからというので研究して置こうじやないかというので、や
つて
頂くと、こう了承してお
つて
よろしゆうございますか。
太田敏兄
28
○
委員長
(
太田敏兄
君) その通りで結構と思います。
大野幸一
29
○大野幸一君 それから私はこの第三の
内容
です。この空間的、時間的、
内容
的の説明でありましたが、こういう感じがするのです。
議院
の
品位
を汚したる者、こういう場合の議「イン」の「イン」は、いわゆる
参議院
の
品位
を我々としては汚した場合、こういう場合とよく混同し易い
観念
は、一
参議院
議員
としての
品位
を害した場合、こういう場合とが混同され易いのでありまして、一
参議院
議員
としての
品位
を害した場合には
懲罰
の
対象
にはならないで、事が
参議院
全体の、いわゆる
國会
の一院である
参議院
の
品位
を害したという場合には、
議院
の
品位
を汚したもの、そこで仮に
院外
において刑事
事犯
に相当するような場合を我々が想起しましても、それは一
参議院
議員
としての
品位
を汚したものであ
つて
、
議院
全体の
品位
は、これによ
つて
汚されておるものではないと思います。こういう点も
一つ
参考までに、今日申上げて置きたいと思うのであります。
太田敏兄
30
○
委員長
(
太田敏兄
君) この
品位
の問題につきましては、昨日も
意見
が出まして、例えば英國或いは米國等では、詐欺事件若しくは公文書僞造とい
つた
ような破廉恥罪に問われた。
院外
で破廉恥罪に問われておる。それを除名することができると、非常に
品位
の問題については
廣汎
な処置をや
つて
おるらしいのです。ところが
日本
での過去における
議会
史上の慣例と申しますか、やり方は、極めて
場所
的には狹義な取扱をしてお
つた
ということで、こうい
つた
ことも今後における、
國会
運営
の上におきまして、いろいろ研究すべき問題は多々あると思います。そういうものは、今日一日でそういう諸般の問題の結論を得るということは、いろいろ困難なものであると思いますから、今日のところは今
会期
も切迫しておりますから、過日
議院
運営
委員会
の席上で、もう
一つ
の
懲罰
問題が付議されたときも、今
懲罰委員会
の方で、
懲罰
の
適用範囲
に関する
調査
ができておるそうだから、その結果を見て判断しようじやないか、というような話も出てお
つた
こともありますので、まあ
そういつた
関係
からしましても、
愼重
な研究をしますと、時日もかかりますので、
一つ
の参考として一應の
中間報告
程度のものを出して置いたら、
議長
の方でも便宜じやないか、かように
考え
る点もありますので、今日は
委員会
の審議としては甚だ不十分であると思いますけれども、その
意味
での
中間報告
の作成ということをして置いて、これを
報告
することを御了承願いたいと思います。
大野幸一
31
○大野幸一君 理事はお二人おいでになるようですが、理事会を開いておいて、そうしてそのまま本
委員会
にはおいでがない。最初の墾談会にも理事がおいでにならないので、その墾談会の結果には無関心、やはり理事というものは
委員会
をリードして頂くものですから、理事を成るべく理事会の結果から、引続いて本
委員会
に出てやる。本日のごときは日曜で、定足数を欠くから是非出て來いということで我々は出て來た。出て來て見ると、理事の方はおいでにならん。こういうことでは甚だ困ると思います。どうか理事諸君にお傳え下さい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
太田敏兄
32
○
委員長
(
太田敏兄
君) 承知しました。十分注意することにいたします。それではこれで散会いたします。 午後三時四十四分散会 出席者は左の通り。
委員長
太田 敏兄君 委員 大野 幸一君 齋 武雄君 大山 安君 野田 俊作君 事務局側 参 事 (
委員部長
) 河野 義克君 法制局側 局 長 奧野 健一君