○
政府委員(
今井一男君)
相当長い
條文でありまして前に御
審議願つたものと余程変
つております。と同時にいわゆる
野党と言われるものとの間に実質的には文字、字句の
違い等に属する点も多々あるのでございますが、そういつたことの細目に亘りますと非常に
お話も長くなりますので、極く主な点だけを掻い摘んで申上げまして御
質問に應じまして十分お答えしたいと思います。
この
法律の第
一條に掲げてありますことは、今まで普通にございます成文に近いものでありまして、特別な
意味はございません。ただ
提案理由の
説明にございましたように、これは
一般職、
國家公務員法の
一般職に対する
原則でございます。ただ
國家公務員法に基く本格的な
給與の動きではありません臨時的のものでございまして明年一杯で効力を失うという
建前にな
つております。
法律を以ちまして別な
規定を定めておりますものは、
一般職でありましても外の
規定によ
つて、
檢察官等はその具体的の例でございます。
それから第二條は、
人事院の
権限が掲げてございますが、
人事院はこういつたいわゆる
國家公務員法に基きます
ところの
給與準則の
國会の御
承認を頂くまではこういつた
給與に対して
権限はないという理窟になります。それでは不都合を生じますので特に授権の
意味におきまして、こううい
つた規定が設けられております。
内容は概ね
技術的説明でありまして、
國家公務員法に掲げてあります
人事院の任務はそのまま引継いでここに書かれたこういつたような御
解釈を願いまして大過ないと存じます。
それから第三條は、
実施機関として新
給與実施本部というのがございます。それは第二
國会において御可決願いました、つまり二千九百二十円の
法律でありますが、その
法律によ
つて設けられて新
給與実施本部が、
人事院の
勧告案に基きまして、
明会計年度、
昭和二十四年の
会計年度まで延長されました。これの
内容は、これも前の
通りであります。一、二の変つたことが入
つておりますが、大した
意味のない
規定であります。
それから第六條、これが今回の
改訂では問題に
なつた
一つの
規定だと思います。これは、特に第六條の本文に
原則を決めまして、そうして第三項に、如何なる
給與も、
法律又は
人事院規則に基かないで
拂つては相成らない、こういつたプリンシプルを明白に謳
つております。即ち
從來とかく新憲法以前におきまして、
各省官吏におきまして、
雜多な
給與が行われまして、逐次整理されて参
つたのでありますが、ここで法文を以ちまして、
はつきり明瞭にされました。
第
七條以下は、
給與の
規定であります。第
七條の
俸給を決める
考え方、それは現在の
法律のままであります。即ち二千九百二十円の
法律四十六号そのままです。それから第
八條の第一項は、そのままであります。ここで問題になりますのが、第三項の
規定かと思います。即ち
現物給與、この
現物給與は、
給與の一部として、別に
法律の定める
ところによ
つてこの
職員の
俸給から差引く、併しながら、
予算又は
法令に基いて
支給される場合は差引かない、現在の
現物給與は、
給與であるか
給與でないかということも、実は不明確になります。勿論
予算又は
根拠法規のないものではないのでありますが、この
予算の建て方等におきましても、種々問題がございます。この
規定が設けられることによりまして、一切が
國会の御
承認を得て
支給され、又
給與としてこれが表面に現われまして、その人に対する
給與額として
考慮の中に入れられる。こういつたことがこの但書の
意味でございます。
現実には、結局
予算又は
法令に基かない
現物手当はないことに相成
つておりますから、
現実の問題としては差引かれる問題は起きないと思います。併しながらそれがすべて具体的に
一つ一つ取上げられまして、
給與として
考慮の中に入れられる。こういつたことに
從來の
現物手当よりも公正化される。こういつたことにこの
規定の
意味は取
つて頂きたいと思います。第四項では、いわゆる特殊な
勤務で、
居住制限のようなことを受けるような
職員に対しましては、只で
宿舍を
支給する。こういつたことを掲げまして、これは從
つて差引くという
観念が、この場合はないということを
意味したものであります。
第九條には、
俸給表の
根拠を掲げてございますが、これは現在ございます
俸給表を、
政令等に掲げてございましたものを全部
法律に成文化して、
別表にそれぞれ書いてございます。
第十條は、
別表を使いまして、現在何
号俸を貰
つておる人は何
号俸、同じ
号俸で新らしい六千三百円
ベースに切替わるという切替えの
方法を謳つたものでございます。從いまして、現在の
号俸が分れば、今度幾ら貰えるということが直ぐ判明できるように、
別表第六にその
切替法を示しております。ここで問題になりますことは、級の
変更が第二項によりまして許されませんので、從
つて定められた級のいわゆる
枠外に出るという場合が起りますが、その場合でもやはり
俸給額は上
つて行くということを第三項で謳
つております。但しその
枠外のものは、昇給しないというのが第四項でございます。これは
職階制の立場から当然のことかと
考えます。第十條に、いわゆる
野党案には後第五項と第六項が付いておりますが、これは極く事務的なものでありまして、大して深い
関係はございません。
第十
一條は、いわゆる十四級以上の官職につきましての
規定で、これも第十二條も事務的な問題でございます。
第十三條は、これも
職員の昇給その他の
関係が、將來は
人事院規則に移るのでありますが、
人事院規則ができますまでは、
從來通り実施本部が
政令でや
つて行くということを
規定しただけのものでございます。
第十四條も、
俸給の
支給規定でありまして、これも
現行のままを書き直したということでございます。
第十
五條に、今回の
人事院の
勧告に基く新らしい構想が出ております。即ちでき得る限り
本俸を
中心にしまして、
雜多の
給與を排うて行くという
考え方から、あらゆる
職員及びその職務に属するすべての
職員に共通な
勤務條件の際は、これは
本俸ら織り込む、これは当然のことでありますが、更にそれより一段進んだもの、即ち同一の職に属するもので、一部の
職員だけが特殊な
勤労條件等を受ける場合には、その間だけ
本俸を殖やす。具体的に申しますと、例えばお医者さんなどで、
一般の
病院に
勤務する場合と、或いは
精神病院とか
傳染病院に
勤務する場合には、幾らか月給を上げる、そういつたことを
規定したものでございます。それからその
割合は、第二項に二十五と
最高限を押さえております。第三項には、これは
人事院の機能として当然のことでありますが、
教育職員でありますとか、或いは
外交官でありますとか、
檢察官でありますとか、こういうような特殊な職業に対しては、やはり
俸給表を別に作るか作らないかといつたことを
研究をするという
規定が入
つております。
第十六條の
扶養手当は、これも
金額の外は
現行の
考え方のままでありますが、ただ新らしく
観念として変りましたのは、先の
政府案と
從來の慣行では、
配偶者という
言葉を使いませんで、妻だけを
対象にしたのでありますが、今回は
配偶者、即ち
女子職員が扶養しておる場合、この場合同じように取扱うということが
一つの
改正であります。
第十
七條は、
勤務地手当の
規定でありますが、これはまあ一切は
現行通りであります。
地区の
区分は
人事院において
勧告案ができますまで、
地区の
区分の
変更も行わないということに相成
つております。
第十
八條、
特殊勤務手当、即ち
本俸に繰入れることができない
そういつた勤務條件の
差異等を
規定したものでございますが、これは
現行の
政令を
使つて、や
つて行く技術的な
規定でございます。
第十九條は、問題の
規定であります。
勤務時間を現在は
事務職員につきましては、一年
平均しますと、一週間が三六・五時間、こういつたことに相成るのでありますが、これに今回の
ベースの上る機会に
民間並みの最低であります一週四十時間まで繰上げる、こういつた
原則を確立しようというのです。
第二十條は、
給與の
減額方法ですが、これは特に
承認のあつた場合の外は、
勤務しなければ引くという
建前でありまして、特に
承認があつたとか、何とかいう
解釈は現在の
通り續けて行く方針でありますので、これも現在の
現行に何らの
差異を設けるものではございません。
第二十
一條は
超過勤務手当、これも
現行の
建前そのままを
法律化したものだけであります。
第二十二條は休日給は、これはやや
言葉が余りよろしくないと思いますが、第三項にございますようにこれは日曜日等を
意味するのではありませんで、
國民の
祝日の
勤務、或いは
祝日の場合の
勤務しなくても
給與が貰えるといつたことを
規定したものであります。
第二十三條は、俗に申す深夜
手当でございます。これはすべてこの二十
一條、二十二條、二十三條は
労働基準法をそのまま適用し、その
内容を織り込む、こういつた
考え方でできております。
第二十四條は、これは一時間
当りの
金額を殖やしたり、減らしたりする場合の
基礎でありますが、これは技術的な
規定でございます。
第二十
五條は、現在
通り、二十六條も現在
通りでありまして、二十
七條も趣旨は違いますが、
建前は
異議の申立の
処理方法で、別に変つたこともございません。
第二十
八條に新らしく
非常勤職員につきまして、どれだけの
給與をやれるかということが、これは
從來根拠法規がなか
つたのでありますが、この際明確にする、すべての
給與は明るみに出すという
建前からここに新らしく
規定が入
つたのであります。
勤務一日千円を超えないということは、現在の一應の
最高を三万円と押さえまして、その日額一千円というのを
最高にしまして、それぞれの
内容に應じその人に應じて
國家公務員であるいわゆるいろいろの
委員、顧問、
参與という
方々に
支給して行こうという
考え方でございます。
第二十九條は、これも
人事院が
勧告して
國会の御檢討を願うという
規定でありまして、当然の
規定であります。
第三十條に
罰則がございます。この
罰則は今までこうい
つた規定がなか
つたのでありますが、
國家公務員法の
施行によりまして、ここで新らしく加えられました。
附則の方にむしろ問題がございます。
第三十
一條で、この
政府案は一月一日から適用することに相成
つております。一月一日に適用いたしますと、年末に
職員の
生活が苦しくなりますので、一月分と二月分を繰上げて
支給する、こういつた
建前を第二項に掲げました。ただこの繰上げの場合に、六千三百七円の何割というふうにいたしますと、計算が極めて面倒でありまして、
支拂が遅れますので、現在貰
つております三千七百九十一円の六・六三割、この六・六割というのは、これで丁度六千三百七円になるという
意味で決められた
数字でありますが、それを
支給するということになりますれば、各人別の
金額が分
つておりますので、そういつた
方法で年末に
支拂いまして、その前
拂いを受けたものは翌年の一月と二月に返す。從いましてこれを平たく申しますと、
政府の案は、十二月が六千三百七名、一月が五千四十九円、二月も五千四十九円、こういつた
方法相成ります。これに対しまして問題になりました、いわゆる
野党案におきましては、十二月は六千三百七円で同じでありますが、一月と二月は六千三百七円から一七・五%を差引いたものを拂うという
建前にな
つておりますので、
政府案の五千四十九円が五千二百四円に相成ります。即ち十二月は同じく六千三百七円、三月も同じく六千三百七円、一月と二月が一方は五千四十九円で、一方は五千二百四円に相成るわけであります。ただ
政府案におきましては、本來明年の一月、二月の
所得に属するものを繰上げて
拂います
関係上、いわゆる
源泉課税を受けますが、その
所得は本年の
所得に属しませんので、その
給與に属するいわゆる年末
調整が本年の年末において行われません。即ち明年の十二月までその年末
調整が延ばされることに相成ります。その額がこの突つ込みで
平均で申しますと、六千三百七円という頭で参りますと、二百八十円という
数字が出て参りますので、年末の手取としては
政府の方が若干多い。併し四ケ月を通ずれば、いわゆる
野党案の方が多いというようなことが
衆議院におきまして
一つの議論の
中心点に
なつた
ところであります。
それからその次に三十二條、これが又問題の
規定でございます。最も問題の
規定かも知れません。これは現在
政府職員の中には実に
雜多ないろいろな職種がございます。
炭坑夫もあれば、百姓もあり、漁師もあるというような、いろいろの種類を含んでおりますので、すべてが
勤務時間を八時間とか十時間とかいうふうに一律に決めかねておるのです。
労働基準法におきましても、警察官は六十時間、又船員につきましては、
國際條約等におきましても一週六十五時間というものが謳められておるのでありますが、その他いわゆる
間歇労務のようなもの、こういつたものに対しては一
晝夜勤務で一晝夜休むというのが廣く行われております。これらの
職員はその長い
勤務時間を
基礎にいたしまして
本俸が決められております。從いましてその場合に直ぐさまこれを四十八時間という枠の中に嵌めるということは、
相当に困難な問題もございまするし、且つ又これが切替えには
相当技術的な
調査調整を要します
関係から、取敢えずの措置といたしまして、少くともその
俸給がこの長い
勤務時間を
基礎にして計算せられておりますものにつきましては、
勤務時間もそのままにし、
俸給もそのままにして置く、こういつた
建前を採
つておるのであります。いま
一つの
理由といたしまして、若しこれを切下げますと、今回は
事務職員が時間の延長に相成りまするのに、これを率直に申しまして、その
割合をとにかく特別な
考慮をすることなく、一律に新らしい
号俸に切替えるという
建前を採
つておるのでありますが、一方にそういつた
職員があり、又一方に長い
勤務から短
かい勤務を
基礎にして切替えるという
方法を採りますと、例えば
間歇労務等に十二時間の
勤務をしております者が、八時間の枠の中に嵌められますと、四時間分だけ、十二時間が
基礎にな
つて決められました
給與が、そのまま八時間の
勤務に対する
給與に相成りまして、四時間分がオーバー・タイムになるという
関係から、
職員間に大きな不権衡問題を起す。從いましてこれは余程愼重にやる必要があるといつた
関係等も織り込みまして、この
規定が入
つたのでありますが、この
規定が
野党案と称されるものの中には載
つておりません。ここが非常に大きな問題にな
つておることは御存じだろうと思います。
それから三十三條は、これは
從來の
通りで特に申上げることもございません。三十四條、三十
五條もほんの事務的な
規定でございます。
別表はこれは申上げることもございませんが、
人事院の
勧告に從いまして、いわゆる等比級数線を取
つておるということが、今回の
俸給表の特徴かと
考えます。公比二・八七%という率で彈きまして、その
関係から止むを得ず端数をつけることにいたしました。その
関係から端数整理の
支給規定を前の方に設けております。まあ大要はこの
程度かと存じます。
野党の
修正案というものの中で字句は随分いろいろな
関係から、
意味は変らなくても表現の変
つておる
ところが沢山ございますが、重大な点で本質的に変
つておりますことは、先程申上げました三十
一條の一月から
施行するか十二月から
施行するか、実際の手取額は十二月が同じく六千三百七円でありまして、その
支給方法も、この
野党修正案の方も同じく現在の
ベースの六割六分三厘、こういうことに相成
つておりますので、その点も同じであります。ただ先程申しましたように、一月と二月の額が違
つております。ただ
政府案は、それが十二月でなく一月から
施行のために、年末
調整の
関係が起
つておる点が、これが大きな相違点であります。それからその次の相違点は
只今申上げました四十八時間を超えて
勤務しておる
職員、これが実は
相当の数になりますが、この
職員は、今回は取急ぐ
関係もあ
つて、
政府の方では現在の
俸給の
割合でそのままで計算表を別にしないで上の
ベースに切替えるということで、その
関係から
勤務時間もそのままに延ばしておる、こういつた
関係でありますが、
野党案の方はこれを直ちに四十八時間に切替えるというような
意味合におきましてこの
條文がない。この二つ以外には
修正案の
差異について特に申上げることは、技術的の点におきましては皆無かと思います。