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專門員(
山本友太郎君)
請願の要旨につきましては、お手許に配布いたしました大体要領で畫きているわけでありまするが、
終戰後非常にこの窮窟な操業をや
つて参りました
特殊鋼関係が、最近に至りまして、すつかり手持ちストックも食い潰してしまいまして、非常に操業が苦しく
なつたために、このような
請願が参つたわけなのであります。これの打開策といたしまして、願意に掲げて置きましたように、普通鋼と同じような性質の價格差補給金を支給して貰いたい、それが
一つでございます。
次に
特殊鋼向けの
石炭の價格を、これも又普通鋼と同じように、特定
産業價格として取扱
つて、実質的に言いますと、値引して貰いたいという点でございます。
第三点といたしましては、これはまあ
特殊鋼だけに限つた問題ではございませんが、價格差補給金等の制度がございませんために、手許
資金が非常に窮窟に
なつておりますので、
資金運用上に特典を附與して貰いたいというのであります。
次に生産割当の額を増加して貰いたい。
大体以上四点に畫きておりますが、この機会に、いずれ
政府側からも御
説明があろうかとも存じますが、手持の資料によりまして、
特殊鋼につきまして、少しく御
説明申上げて置きたいと思います。
現在
特殊鋼といたしましては、製造会社が全國で、小さなところまで入れまして、約四十七社、その工場は全國に散在いたしまして、六十五工場くらいがございます。主として関東、信越、並びに近畿、並びに東海
方面に沢山あるわけなんでありますが、最近の生産の
状況は、一、四半期に約二万トン
程度でございます。これに対しまして、先程生産割当の増加の要望が第四点に出ておりますが、生産割当といたしましては、本年の最近の例をとりますと、第一、四半期には一万六千トン。第二、四半期には一万八千トンの割当があ
つてわけなんであります。それに対しまして、実際生産は、本年度の第一、四半期には二万一千二百五十五トン、第二、四半期には二万一千三百三十九トンということで、表面から見ますと、生産割当よりも、実際生産の方が遥かに上廻
つているというような
状況でございまして、一見
特殊鋼の方がうまく行
つているんだと、普通鋼の方から申しますと、生産割当と実生産との間には
相当な開きがございまして、マイナスの開きが出ているわけなんでありますが、
特殊鋼については、逆に生産割当よりもオーヴァしておりまして、これは極く最近だけだけの実例ではございませんので、
終戰後段々業界が復帰して、操業を再開いたしました後の、ずつと引続いての傾向でございます。この面から申しますと、
特殊鋼は、先程申上げましたように非常に順調に行
つているかのごとき感を與えるのでありますが、最近までこれを持ちこたえて参りましたのは、先程も申上げましたように、このストック
関係を食い潰しておりました点が非常に大きな支柱と
なつていたわけなのでありますが、最近に至りまして、完全にこれを食い潰しまして、業界内部の
状況が非常に惡化して來て、このまま
請願に
なつたわけなのであります。尚價格等につきまして一例を申上げますと、この價格を釣り上げたらどうかという問題も出て参るわけなのでありますが、一例を最も代表的な炭素工具鋼にと
つて申しますと、現在マル公として決められておりますのが、トン当り三万円でございますが、それが市場におきましては、遥かにマル公を割りまして、トン当り二万七、八千万円というような
状況でございます。然るに一方それを原價計算いたしまして、工場原價を出してみますると、大体三万五千円
程度の何が出て参ります。さように実際上工場生産におきましては、赤字に
なつておるわけなんでありまするが、これを仮に上げて見ましても、先程申上げましたように、市場價格がマル公を割
つていると、即ち要需者がとてもそういう高い値段では追つついて行けないというところに、この價格差補給金を提案されるところの
一つのまあ
理由があるわけなんであります。併しこの点につきましては、すでに皆さん御承知のように、普通鋼
自体につきましても、價格差補給金制度に再檢討の問題が出ておりますので、業界としまして、私の調べましたところにおいて、非常に強き要望がないようであります。ただ問題は、第二点の
石炭の價格を特定
産業向けとして、普通鋼並みに扱
つて貰いたいという点については、せめてこれだけなりともや
つて貰いたいという要望が非常に熾烈なものがあるようでございます。簡單でございますが、附随いたしまして御
説明申上げた次第でございます。