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中原委員 大臣の御見解にもあるように、実際一般
國民という廣い立場から考えますと、電氣産業のごとき、あるいは
石炭産業のごとき、特に復金融資等もかなりゆたかに、しかも言いかえれば、思う存分と言いたいほどに融資を利用いたしておるのであります。それにもかかわらず、なおかつその
企業に
関係する
労働者の最低の生産を維持するだけの給與を與えることができないというようなことであ
つてみれば、われわれから考えますと、どうもその間にとんでもない穴がほかの方に明いているのじやないか、その
方面に向
つてどんどんそれらの融資を抜かしておるのではないか、あるいはその他
國家の
補給金にしても、そういうような扱い方にな
つておるのじやないか、という疑念が当然これに伴うて起るわけであります。というのは、経営が困難であろうと考えられる節が、どちらかといえば独占
企業なるがゆえに特に少いのでありまして、むしろ困難というよりは、このときを
一つの機会として、そういう見のがすべからざる
一つの
方法が織り込まれておると見ることができるわけでありまして、今後私はこの点について一層強く國が手を加えて行く。そして願わくばそういう眞相を
審査するために
一つの特別な民主的な
機関を設定して、その
機関が容赦なく檢討して行くだけの権限と機会が與えられるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。これは話が少し横道に入りましたけれども、そういう見解を持
つているということを付言いたしておきます。
ここに私が氣づか
つておりまするのは、その財源の捻出の
方法いかんは、これはもう全然別にいたしまして、今日問題にな
つておりまする給與の増額分というのは、決してゆたかな余分な増額分ではない。いわばぎりぎりの最低の線を要求しているにすぎないのでありまして、その最低の線が確保されないようなことでは、
労働者が眞に次の
労働問題に備えることができない。つまり不可避、必死の状態に追い込まれて要求をいたしておる給與の増額であるわけでありますので、この点については
労働大臣は
大臣の首にかけても、あくまでもその線を守るために御
努力が願いたい。ことに私は今度上程されました追加補正予算の中を拝見しますると、どうもそういう意味においての
努力がはなはだ不十分なのではないか。もしほんとうに十分な
努力が拂われておるならば、人事院の勧告ベースの六千三百をさらに一千円も下まわるような数字をも
つて、この予算が編成されているというようなことはないわけである。これはもちろん
國家公務員に関する問題でありまするけれども、しかしそれの関連がやはり他の
企業にも及ぶわけでありまして、そういうような考え方で――しかもいわゆる寒冷地手当等のごときが非常にやかましく問題にな
つております矢先に、その寒冷地の手当等の問題はまつたく表面に出ておらない。むしろその五千三百三十円とかいわれる
政府の予定ベースの中に、寒冷地手当が織り込まれているというようなことをも聞き及ぶのでありまして、もしそういうようなとりはからいでは、おそらくどの
企業部面に対しましても、やはりほんとうに誠実を盡して御
努力を願うことがむずかしくなるのでやないか。ほんとうに
労働者の最低生活線を維持させなければならぬという熱意を持つならば、こういう点において、もはやすでに私は相当議論が起
つて來るはずのものではないか、このように考えているわけであります。聞きがごとくんば、
労働大臣はこの予算の編成についても、相当
意見をお持ちになられたということは、私もこれを了承いたしておりますが、
労働大臣としては、
労働階級がほんとうに背水の陣をして要請している最低の一線は、あくまでこれを確保せしめるように御
努力を願わなければならない。たとえば今度の
法律案から受ける権限がかなり織り込まれている。
從つて労働階級は
労働大臣にある程度まで期待を寄せなければならないような
関係に、たとえば今回のこの
労働関係法にしましても、置かれておるわけでありまして、その期待を寄せなければならない
関係に置かれておる
労働者の立場から、
労働大臣が
労働者の立場から、閣議その他機の関において
意見を強く持
つてくださるということであれば、当然ここに
労働階級としては
一つの頼みを失うことになるわけでありまして、こういう点についても
大臣としてはいろいろ御意解もあると思いまするが、私が氣づか
つて特にお尋ねいたしておりまする中心点は、その給與の基準をどの線に、あるいはどういうふうな
努力によ
つて、
労働者の要方に近づかしめるように、あるいは少くとも要請にこたえるように、
努力しようとしておいでになるかということなんであります。その点についていま一度御見解と、その間の
事情を拝聽いたしたいと思います。