○増田國務大臣
お答え申し上げます。ただいまの失業者が六十七万プラス十二、三万、八十万くらいの顯在失業者があると申しましたが、これに対する対策といたしましては、職業安定なりその他の仕事をいたしております。それから結局轉落者ということになりますと、
生活保護法によ
つて、一應は全部救われておる形に相な
つておるのでありますが、
生活保護をいやが
つて逃げておる向きもあります。しかし我が國の
社会政策は
相当徹底しておりますから、ほんとうに餓死しないでもよろしい仕掛だけはできているのであります。將來百五、六十万の顯在失業者に対する
処置いかん、という御
質問に
お答えする順序になるのでありますが、これについては、先ほども私が答弁の過程において申し上げた
通り、今いろいろの
計画をせつかく立案中でございまして、私が本
会議その他の機会においてしばしば申し上げておるところは、今野坂さんも
ちよつと触れられましたが、失業対策
委員会というような官民を網羅したものを一應私
考えておる次第であります。しかし職業安定法においては、すでに中央職業安定
委員会、それから各地方府縣に同じく地方職業安定
委員会というものができております。これはもつぱら雇用
方面を開拓する仕事であります。私の構想といたしましては、この雇用開拓としての職業安定
方面のことをする官民合同の失業対策
委員会のことを一應
考えておりますが、他の半分の仕事といたしましては、やはり積極的な受入れ態勢ということを、朝野の識者を網羅して、経営者も事業家も労働者の代表等も入れて、そうして積極的な受入れ態勢を樹立するためにこういうような
委員会を
つくりたい。こう
考えておる次第であります。この
委員会をつくる前に、しからばどういう失業対策があるかということになると、今申し上げた
通りでありますが、私が今
考えておりますところは、あらゆる機会においてしばしば申し上げておりますが、まず積極的の受入れ態勢を
つくりたい。この積極的受入れ態勢という点について、將來は割合に明るい展望が期待されると思
つております。というのは、野坂さんも同感されると思いますが、生産力は月々だんだん発展しつつあります。
昭和四年ないし八年を一〇〇といたしまして、十一月、十月のごときは六十数%というところまで復原しておりますから、雇用量がそういう
方面においてやはり増大しつつあるので、結局昔のようなデフレーシヨンであるからいたしかたなく産業合理化をするというのではありません。現在は企業の設備と、それからその企業の設備の包含しておる労働力との比率が合理的でないために、企業の自主性や健全性を確立できない、そういう見地からわれわれは産業合理化を要望しておる次第でありまして、デフレーシヨンであるから、不景氣であるから、先はまつ暗であるから、あるいは灰色であるから、産業合理化をするという意味じやありませんから、私どもは
相当大量に配置轉換によ
つて受入れをなし得ると
考えておる次第であります。また合理化をした企業体
自身が健全性を確立いたしますと、いよいよ生産力を発展し得る、こういうふうに
考えておる次第であります。抽象論としてはこうでございますが、具体論としましては、たとえば終戰処理費にいたしましても、事業量はだんだん減
つて参りますから、この
方面に使われた鉄だとかセメントだとかいうような重要生産資材にいたしましても、一般民需産業の
方面に轉換するということはきわめて明瞭でございますし、また一面、傾斜生産によ
つて、肥料にいたしましても、鉄にいたしましても、セメントにいたしましても、増産の一路をたど
つておりますし、これらが民需
方面に轉換できるということになれば、今の
内閣の與党である民主自由党がいつも言
つておりまする電源の開発であるとか、あるいは産業道路の整備であるとか、あるいは河川の大改修であるとか、あるいはその他治山の問題であるとか、あるいは開墾の問題であるとか、とにかくそういうふうな
公共的の土木事業でも、
相当吸收し得ると私は思
つておるのであります。しかし
公共的の土木事業というようなものは、
社会政策なんかに比べれば、よほど積極性を持
つておりますが、われわれはそれよりももつと積極性を持
つた、纖維産業であるとか、あるいは加工品工業であるとか、そういう輸出品工業が、外資の導入に伴
つてもつと増大し得る、こういうふうに
考えております。結局配置轉換の問題が一番大きな問題になりはせぬか。受入れ態勢はもちろんつくることは必要でありますが、われわれは先の見通しをそう悲観的にはいたしておらないのでございます。