○内田
政府委員 ただいま大藏大臣から御説明がございました通貨の状況につきまして、補足的に若干詳しく申し述べます。大藏大臣からお述べになりましたように、年末の通貨の発行額は大体三千五百億円ぐらいになる
見通しでございます。これは
経済安定本部等の当初の
見通しでは、三千三百億円
程度でございましたが、その後大臣の
お話の通りに、供米の成績がきわめて順調に進みましたために、当初七百億ないし八百億円くらいの食糧管理特別会計の米の買上げの資金の放出が、約四百億円ぐらいふえる
見通しになりまして、主としてその
関係で二百億円ほど増発に相なることになりまして、年末三千五百億円ということになります。これは一年間を通してみますと、約千二百億円くらいの増発になるのであります。しかしながらこれも大臣から
お話のように、
年度末までを通してみますと、一月から三月までの間におきましては、むろん税金の徴收もございますけれ
ども、また食糧の
関係におきましても、通常ならば第四・四半期まで及ぶところの食糧の供出が、非常に繰上
つて年内に來ておりますために、食糧の供出
関係の資金の放出は逆になりまして、むしろ三、四百億くらいの減少を來して参る。そのかわりもちろん
産業資金も出て参りまして、かれこれ調整をいたしてみますと、むしろ
年度末には十二月から百億くらい通貨が減
つて、三千四百億くらいにとどまるという見込みに相なります。なお、これを、本年末までについて、財政資金がどのくらい出るか、
産業資金がどのくらい出るかということを申し上げてみますと、財政資金はこの十二月まで、すなわち十月から十二月までの三ヶ月間に、一千四百四十億円の財政資金が出るのであります。しかしその中で供米の
関係で出ますものが、実に一千三十六億円に及びまして、その他の差額につきましてはこれは一般財政等であります。これを
年度末、つまり來年の三月まで引延ばして見ますと、財政資金は一月から三月までの間におきましては、むしろ二百五十億ほど引上超過という形が出て参ります。これは税金の
関係及び供米の
関係でありまして、米は一月から三月までは買うものもありますけれ
ども、むしろ消費に向けられて、食糧管理特別会計が一般から引上げる資金が出て参るという形に相なります。
産業資金の総額を申し上げますと、大体十月から年末、ことに年末にかけましては
相当の
産業資金も出るものと見ますと、この純計が十二月までにおいて一千二百億くらいになります。それに一月から三月までなお八百五十億くらいの
産業資金の純貸出が、復金あるいは一般金融機関から行われることも見通されるのでありまして、
年度内総計三千六百十七億というものが
産業資金として放出される。さようにいたしまして本年の第三・四半期、すなわち年内だけで申し上げますと、先ほど申し上げました一千四百四十億の財政資金の放出、つまり財政資金の赤でございます。それと
産業資金の貸出超過分が一千二百億ほどございますから、大体合計で二千六百億余りの金が出るのであります。一方貯蓄の成績もきわめて好成績でありまして、貯蓄で
相当額をカバーいたす。しかしながらなおその間にギヤツプがございまして、先ほ
ども申し上げますように、約九百億くらいの通貨の増発とな
つて、年末が三千五百億ということに相なるわけであります。これを
年度内を通算してみますと、つまり今年の四月から來年の三月までの一年間を通じて見ますと、財政資金として出ます総額が、一千五百五十億、
産業資金といたしまして三千六百十七億、合計いたしまして五千百六十七億という通貨がよけい出るわけであります。貯蓄の面におきましても、一般のいわゆる貯蓄のほか、公團の預金であるとか、公金の預金であるとかいうような、要するに金のたまりが四千億近く出て参りまして、差引通貨の増発を要する部分が
年度内を通算いたしまして一千二百三十三億円というものが出まして、その結果、通貨のしりにおきましては、先ほ
ども申し上げますように大体三千四百億内外ということになる見込みであります。これが
インフレーシヨンであるかどうかということにつきまして、一言付言さしていただきますと、昨
年度におきましてもやはり一千億
程度の通貨の増発がございました。これを割合にいたして見ますと、きわめて明瞭でありますが、昨
年度におきましては通貨の増発率は八九%でありますが、本
年度は、ただいま申し上げました
年度末までの
見通しによりますと、その割合では五七%の増発ということになるのでありまして、増加の割合は昨年よりも少くな
つておる。これは通貨増発の総額においては大体似たものでありますが、パーセン・テージにおいてはそれだけ増発率が減
つて参る。言いかえますと、インフレの足並みがはなはだ弱
つて参
つておる。これはもちろん五七%にいたしましても、通貨の増発は好ましくないのでありますが、実態的に見ますと、一昨日もちよつと触れましたように、今回
國民所得の推計をやり直してみますと、
國民所得が昨年の一兆一千億に対して、本年は二兆三千九百億になる。これは
物價の上りとか賃金の上りというものもございますが、生産の上り、つまり実質上の
國民所得もふえているのでありまして、実質上の
國民所得が昨年から今年にかけて約一八%ふえている。そのほかに
物價の値上り、実効價格をと
つてみますと、その値上りが四一%あるのでありますから、
國民経済の実際上の増進と申しますか、生産の上りの一八%と、実効價格の値上り四一%とをかけ合せてみますと、生産の上昇及び
物價の増加をまかなう資金においては、六六%ほどふえなければ、この生産と
物價をまかなうことができないことにもなるわけであります。それが通貨の面においては五七%でとどまるであろう。
從つてその間通貨
事情は緩和している。これは無論通貨の面でむりに締めているのではないのでありまして、その間、信用取引の回復であるとか、あるいは死藏された通貨が流通面に入
つて参
つたとか、さような
関係もありますから、
経済の実態及び
物價の値上りに比べて、通貨の増発率はむしろ少いような形を示しているのであります。それらの
事情を
考えてみますと、まず通貨は
経済の
関係からもこれより多くてもいかぬし、少くてもいかぬというような形であろうかと
考えます。こまかい
資料等もございますが、一應さように御説明申し上げておきます。