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1948-12-15 第4回国会 衆議院 本会議 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十二月十五日(水曜日)
議事日程
第十二号 午後一時
開議
請 願 第一
自治体警察署長
の
親睦團体行動規正
に関する
請願
(第一〇九号) 第二
写真技術家
に対する
取引高税免除
の
請願
(第八八号) 第三
清涼飲料税法
の一部を改正する
請願
(第九二号) 第四 碾茶に対する
物品税
に関する
請願
(第九四号) 第五
新潟縣
の
豪雪地番住民
に対する
課税軽減
の
請願
(第一二七号) 第六
喫煙用具
に対する
物品税
の
免税点引上
に関する
請願
(第一六号 第七 岩松町の
甘藷澱粉工場建設助成
の
請願
(第四〇号) 第八
九州地方
の
干拓事業促進
の
請願
(第六七号) 第九
保有甘藷
に対し
生産者價格
と
消費者價格
との差金を
生産
から徴収する
制度廃止
の
請願
(第七〇号) 第一〇
供出配給
に無関係の雜穀を
食糧管理法
より
適用除外
の
請願
(第七三号) 第一一 主食以外の物資を原料とする菓子の
統制撤廃
の
請願
(第七四号) 第十二
山形縣北部
の
綜合開発促進
に関する
請願
(第七八号) 第十三 元五名
軍用飛行場跡開発
の
請願
(第八七号) 第一四
三重縣
の未
懇地開拓費全額國庫負担
に関する
請願
(第一〇四号) 第一五
三重縣下
の
開拓事業助成
に関する
請願
(第一〇五号) 第十六
供出容器
再使用の
請願
(第一四二号) 第十七
仙臺市
の
水害地復旧事業費全額國庫負担
の
請願
(第一五一号) ————————————— ●本日の
会議
に付した
事件
請願日程
第一乃至第一七
價格調整公團石砂部廃止
に関する
緊急質問
(
高田弥市
君
提出
)
ジフテリア予防接種事件
に関する
緊急質問
(
山崎道子
君
提出
)
外國向け
及び内
國海運復興
並びに
國際収支
の改善に関する
緊急質問
(
岡田勢
一君
提出
)
公職追放
について
政府
の
法令無視
に関する
緊急質問
(
齋藤晃
君
提出
)
公職追放訴願委員会設置
に関する
緊急質問
(
山中日露史
君
提出
)
予算案審査
に関する
緊急質問
(
西村榮一
君
提出
)
水産業復興促進
に関する
緊急質問
(
石原圓吉
君
提出
) 午後六時三十分
開議
田中萬逸
1
○副
議長
(
田中萬逸
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
田中萬逸
2
○副
議長
(
田中萬逸
君)
請願日程
第一ないし第一七を一括して議題といたします。 —————————————
田中萬逸
3
○副
議長
(
田中萬逸
君) 各
請願
は、
委員長
の
報告
を省略して採択するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
4
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて
各
請願
はいずれも採択するに決しました。 ————◇—————
今村忠助
5
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
高田弥市
君
提出
、
價格調整公團石砂部廃止
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
6
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
7
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
價格調整公團石砂部廃止
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
高田弥市
君。 〔
高田弥市
君
登壇
〕
高田弥市
8
○
高田弥市
君 私は、
價格調整公園
の
石砂部
の存廃に関し、
政府
の
所信
をお伺いするものであります。
現下
最も緊急を要する
災害復旧工事
に最も必要欠くべからざる資材が、無用なる
統制
によ
つて
、ことさらに煩雑なる
手続
に煩わされ、しかも納得のできない
中間搾取
を受けて、そのために
工事
の進捗に重大なる支障を與えつつあるという事実を指摘するものであります。それは、昨年の六月より実施せられております
価格調整公團石砂部
の
存在
であります。これは石や
砂利類
の
価格
の適正なる
調整
をはかる目的のもとに設置されたのでありますが、現在における石や
砂利類
の状況は、ま
つた
くその必要のないということは、
生産者
を初め諸
官聽
も、
主要消費者
たる
土建業者
も、ひとしく認めているところであります。中には、官僚の一部の説をなすものは、石や
砂利類
の
納入価格
を統一するために必要であると主張するのでありますが、これは
物價慶
が適当に決定すればよいのであ
つて
、何ら
存在
の
理由
はないのであります。 その
理由
を申し上げますれば、第一に、これが驚くべき
中間搾取
の機関であるということであります。すなわち
現行規定
では、
生産者
が直接使用するものでも、
公團
が一旦買い取
つて
、これを賣りもどさなければならず、そのために、
公團
は軍に書類の経由のみによ
つて料金
をと
つて
おるのであります。元來砂利、
砂等
は、
生産地
においては單に
採取人夫賃
と小運搬のみで多量に得ておるので、
価格
はきわめて安か
つたの
であります。
普通生産縣
においては、
公團價格
の三分の一で済むにもかかわらず、
公園
を経由するために三倍の
高値
となり、勢い
工事費
に大なる影響を與えるという点であります。第二は
価格
の不必要なる
高値
と
中間搾取
の結果、
工事量
の縮小を余儀なくされ、
從つて業者
の競争を刺激するということであります。第三は、煩雑なる
手続
と、わが國独特の非能率的な事務によ
つて
、いたずらに日を延ばし、
緊急工事等
はその重大なる時機を失い、遂には
工事
不能に陷るがごとき、たとえば短期間の工期をも
つて
懸念工事
を施行する場合に、これらの
手続
のために
工事
に着手することができないとか、また北海道、
東北地方
のごときは、今
降雪季
を控えて玉石の
採取
ができず、そのうちに雪のために
採取
が不能となる等のごとき、幾多の弊害を來しておるのであります。 以上の観点よりいたしまして、さらに
統制
の大幅なる
撤廃
を主張しておる現
政府
の方策より見て、可及的すみやかに
價格調整公團石砂部
の
廃止
をせねばならぬと信ずるものでありますが、これに対する
政府
の
所信
をお尋ねするものであります。なおいろいろな
事情
により、どうしても今ただちに
廃止
ができないとするならば、
公共事業
、特に
災害復旧工事
に、
現地
において
生産
使用する石材、
砂利類
はこれを適用しないとする
意思
があるやいなや。
現下最大
の急務と考える
災害復旧工事促進
のために、特に
本件
を取上げてお伺いするものであります。 〔
國務大臣周東英雄
君
登壇
〕
周東英雄
9
○
國務大臣
(
周東英雄
君)
お答え
をいたします。
砂利等
に関する
價格調整
の今の行き方はお話のような点がありまして、欠点もありますが、
特需方面
の需要を満たすために、ただちにこれを
廃止
することは困難であります。ただ今日におきましても、官職なり
公共團体
の
直営事業等
に関しましては、特に
債務調整公團
の手を経ずにやることを許しております。この
範囲等
を拡張することによ
つて
、できるだけ実際に合せるように
処置
いたしたいと考えております。 ————◇—————
今村忠助
10
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
山崎道子
君
提出
、
ジフテリア予防接種事件
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
11
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
12
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
ジフテリア予防接種事件
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
山崎道子
君。 〔
山崎道子
君
登壇
〕
山崎道子
13
○
山崎道子
君 私は、今回
京都
市並びに
島根縣下
に起りました
ジフテリア予防接種中毒事件
に関しまして御
質問
いたしたいと存じます。 すでにこの問題に関しましては
同僚太田典禮氏
より、本議場において御
質問
があ
つたの
でありますが、可憐なる
犠牲者
及び
家族
の嘆き、
國民一般
の不安は申すまでもなく、今や
世界
の輿論は、
日本
に
ワクチン製造
の能力なしとさえ
不信
を買
つて
いるのでございます。この問題に関し
政府当局
のなされた
答弁
は、まことに誠意のない、不満足なものでありました。從いまして、
厚生委員会
といたしましては、事の重大であることをもちまして、ただちに
愼重協議
の結果、過
ぐる
七日、
現地調査
のため
委員長佐々木盛雄
氏、
理事野本品吉
氏並びに不省私が
現地
に派遣されたのであります。私
たち
は、本
事件
は空前絶後の
惨事
であり、実に
一大國難
とさえ考えているのであります。私
たち
は、
現地
の
調査
の御
報告
をただいまいたしつつ、あらためて
総理大臣
、
厚生大臣
並びに
大藏大臣
に対しまして、その
責任
ある御
答弁
を求めんとするものであります。 事の起りは、
新聞紙上
ですでに御
承知
のごとく、
京都
市において、過
ぐる
第二
國会
にて成立し、本年七月より施行に相なりました
予防接種法
に基き、全市の
乳幼児
、
学童等
に対し、十月半ばごろより
ジフテリア
の
予防注射
を
行つたの
であります。しかるところ、十一月四日、五日の両日に
接種
を受けた一万五千余名のうち、強烈なる
副作用
を呈する
患者
が発生いたしまして、今月七日現在におけるその数は八百四十七名に達し、このうち
重症患者
は実に三百二十八名を出したのでございます。これらは、ただちに市内の各
病院
に
入院治療
を受けましたが、昨十四日現在におきまして遂に可憐なる
生命
が四十七名失われたのでございます。なお今後
相当
の
死亡者
が出るものと考えられるのであります。
現地
におきまして、つぶさに
実情
を
調査
するとともに、
犠牲者
の慰問を
行つたの
でありますが、何分
犠牲者
のすべてが、いたいけな
乳幼児
でございますだけに、その
惨状
は目をおおわし
むるものがあり
、私も子を持つ親の一人としまして、実に同情の涙を禁ずることができなか
つたの
であります。同時に、
予防接種法
を
作つた
私
たち議員
としての
責任
を痛感し、胸をかきむしられる思いがいたしたのでございます。
病院
のベツドに横たわ
つて
おります
幼児
を見舞いますと
注射部位
はくさり落ちて、
こぶし大
の穴があき、中には骨が見えているほどひどいものもありますが、これよりも恐しいのは、
毒素
による
あと麻痺
のために、くび、のど、手足、背中、
横隔膜等
の
麻痺
を來し、身体の自由を失うと同時に、食物を嚥下することすらできないのでございます。呼吸は困難となり、
ただ死
を待つほかはないというかわいそうな
子供たち
も、多数見受けられたのであります。 ある母親は六才になる長男を失いましたが、今回の
副作用
の
原因
を一日も早く突きとめ、多数の
生命
を救
つて
もらいたいと、進んで
愛児
の解剖を申し出で、涙をのんで死体を研究の資にささげたのでありますが、今また、亡き子の妹が同じ症状に死を待つばかりという悲運に遭遇し、声を上げて慟哭いたしつつ、私
たち
に対しまして、切々としてその心情を訴えられましたとき、たれ一人として泣かない者はなか
つたの
でございます。あるいは
愛児
の臨終に、「
母ちや
んが悪か
つた
、三千円の
罰金
を恐れて、金がないばかりに
注射
をし、お前をこんな姿にした
母ちや
んをかんにんしておくれ」と、
狂氣
のごとく泣き叫ぶ母の姿もございました。 枕を並べて、ともに不運を嘆きつつ、一日も早き回復をと、お互いに励まし
合つたの
に、次々とべツドから、歯が拔けて行くように死んで行くありさまを見まして、ただじつとしていなければならない
親たち
の胸は、いかがでありましようか。もし
大臣
も代議士も、お子さんや孫がこうした
状態
に
なつ
たといたしますならば、どういうお
氣持
がなされるでございましようか。私は、今ここにあ
つて
御
質問
をいたしつつも、
現地
の
惨状
が胸に浮び、母の叫ぶ声が耳に聞えまして、ただ暗然といたすばかりでございます。当夜の宿舎におきましては
惨状
の夢にうなされ、ほとんど眠ることもできなか
つた
ようなありさまであります。 各
病院
では、
父兄代表
から忌憚のない意見を聞いたのでありますが、不幸にして今回の
被害者
は、そのほとんどが
生活困窮者
に多いことでありまして、皆一様に経済的不安を訴えております。
入院
の
治療費
はかさみ、
看護
のため
家業
はできず、
職場
も休み、収入の道とてなく、この先長く退院ができぬ場合は、
一体生活
はどうなることかと前途を悲観いたしておる
状態
でございます。
被害者
は一様に、
治療費
の支給、
栄養品
の
配給
、薪炭の
増配当等
を望んでおりますが、今日までのところ、これらの希望はまだ容れられてはおりません。その多くは家財道具を売り拂い、寒空を控えて冬の衣類さえも手放して
療養費
に充てている始末でありまして、子は毒薬のために病死し、親は子の
治療費
のために今や餓死に瀕していると申しても、あえて過言ではないのであります。 しからば、今回の
不祥事
の
原因
はいかなるところにあるかと申しますと、
ジフテリア毒素
が残
つて
いる
ワクチン
を
注射
したことにあるのであります。すなわち、
厚生省檢定合格証紙
を貼付してある
薬品
を
法律
に基いて
強制
的に
注射
した結果、かかる
惨事
を引起したのでありまして、
國家檢定合格証紙
を信用し、しかも適法に
注射
を
行つた医師
の側には、断じて
責任
はないのであります。 しかして、この
猛毒
を含む恐るべき
毒殺注射薬
は、
大阪
市にある
日赤医薬学研究所
で
製造
され、去る九月十六日付をも
つて
國家檢定
に合格しているのであります。
檢定合格証紙
をは
つた
薬品
が、なぜかかる未
曽有
の
惨事
を起したのか、ここに問題があるのでございまして、
調査
の結果、次のことが判明いたしているのであります。すなわち、その
製造工程
に誤りがあり、
毒素
が残
つて
いるものがあ
つた
こと、
毒素
が残
つて
いても、
動物試驗
を
規定通り嚴重
に行えば未然に発見されたはずでございますが、
製造者
はこれを省略したこと、
製造者
に不都合のことがあ
つて
も、
國家檢定
を行うのであるから、不良品はここで発見されなければなりません。ところが、
不幸國家檢定
に合格し、この恐るべき
毒藥
が
合格品
として販賣されたようにな
つたの
でございます。 どうして、かかる結果に
なつ
たかと申しますといささか専門的に相なりますが、二十リツトルが
檢定単位
でありまして、
同一
の
條件
において同時に
製造
された二十リットルを、二十グラムずつ千本の
小びん
に詰めるのでございます。この千本の中から八本を拔きとり、
厚生省
に送
つて檢定
をするのでありますが、今回の場合は、四個の
びん
で
製造
したものを一括して、第八号という
同一
の
製造番号
を付して
檢定
の申請をいたしたのであります。四個の
びん
で
製造
いたしましても、
最後
に
同一
の
びん
に移してまぜ合せるか、あるいは
製造工程
の中途におきまして
同一
の
びん
に混和すればいいのでありますが、
最後
まで四個の
びん
で別々につくり、それとまた別に二十グラム
づつの小びん
に詰めた結果、八本を檢査品として拔き
とつ
た際、四個の
びん
の
製品
全部にわた
つて
、まんべんなく拔き
とつ
たことにはならず、四個の
びん
の中で、あるものは拔きとられ、あるものは拔きとられなか
つた
結果、かかることにな
つたの
でございます。 なお
研究所
は、旧
大阪
八連隊の
松下兵舎
を改造したものでありまして、建物は粗末で、しかも不潔であり、
無菌室
あるいは
培養室
なども、
ほこりだらけ
、
すき間だらけ
でありまして、いくらでも外部から雑菌が入る
心配
があるのであります。しかも当所は、
昭和
二十二年の四月に
ジフテリア
・
ワクチン
をつくることを
許可
されておりますが、今日まで四十回の
檢定
を受けまして、実に十八回の不
合格品
を出しておるほどの
不良メーカー
であります。人的に見ましても、きわめて貧弱でありまして、所長が長い
間病床
にあるために、一獣医が、わずかに
中学卒業程度
の二名の助手を
使つて
行つて
いる
実情
でございます。
人間
の
生命
を左右する
注射藥
を、かかる貧弱な所で
製造
している
状態
に、私は驚いた次第であります。 そこでお伺いしたいのは、かかる
不良メーカー
に何
ゆえワクチン
の
製造
を
許可
したかということでございます。彼らは、
細菌
と取組む崇高なる
科学者
として当然行うべき
ワクチン
の
自家檢定
も、四個の
びん
のうち一個のみ行い、他はこれを省略いたしているのであります。試験に供する
モルモット
の
入手難
と、あるいは高價な
檢定手数料等
が考えられるとともに、長年
ジフテリア
・
ワクチン
はすでに使用され、何ら
心配
なき段階にあるをも
つて
、いささかなれすぎていたことから注意を怠
つた
ところに、今回の
不祥事
の
原因
があるのでございます。換言いたしますれば、可憐なる
乳幼児
が、
モルモット
のかわりに
ジフテリア
の
猛毒
によ
つて
殺されたのでありまして、
帝銀事件
以上の
惨事
と申さねばならないのであります。(
拍手
) ただいま
製藥責任者
は
警察当局
の取調べを受けておるとのことでありますが、
厚生省
は、当
研究所
に対して、いかなる
処置
をとる
おつもり
でありますか。また、かかる貧弱にして不都合きわまる所に大切な
ワクチン製造
の
許可
を與えたことに対し、いかなる
責任
をとられる
おつもり
でございますか、お伺いいたしたいのであります。 次に、かかる
人間
の
生命
にかかわる重要な
藥品
の
メーカー
に対しましては、藥事法の精神と
規定
に
從つて
、常時
嚴重
に綿密なる
監督指導
を行い、間違いなきを期さねばならぬことは申すまでもないのでございますが、
政府当局
並びにこれが第一次の
監督者
たる
大阪
府
当局
は、はたしてこの点に遺憾なきを期したのでありましようか。私は、この点に関して、
当局
は行政上の
責任
を痛感し、
國民
に対してその不明を謝し、その罪を謝すると同時に、
強制接種等
の特殊な
ワクチン
のごときは、
國立製剤所
を設置し、または國が
責任
あるメーカに
委託
して
製造
をなすべきが当然と考えますが、
総理大臣
並びに
厚生大臣
のお考えを承りたいと存ずるのでございます。 次に、
大藏大臣
にお伺いいたしたいのでありますが、前に申し述べました
通り
、
京都
市における
惨状
は目をおおわし
むるものがあり
、すでに四十七名の
幼児
がその
生命
を奪われ、なお多数の
子供
が
病院
のベッドに呻吟し、数千の
家族
が
家業
を離れ、
職場
を放棄いたしまして、ひたすら
愛児兒
の
看護
に当
つて
おる
実情
でありまして、これがため
京都
府市においては、今日まですでに二千万円に達する
経費
を支出いたしておるのでございます。なお今後、おそらく数千万円の
経費
を要すると考えられます。 これについて思い起しますことは、一九三〇年、ドイツのリユーベツク市におきましては、
結核予防
のため約三百名の
乳兒
にBCGを内服せしめましたところ、六十八名の
死亡者
を出した
事件
が突発いたしました。しかし、これは
國家
の
強制
ではなか
つたの
でございます。にもかかわらず、
ナチス政権下
においてすら、この
治療費
は申すに及ばず、その生涯のせいかつの保障をいたしておるのでございます。まして、
文化國家
として
再建途上
にありますわが
日本
といたしまして、この
治療費
あるいは
生活費
はもとより、そのすべてを
補償
することは、当然
国家
のなすべき義務と心得ますが、これに対しまして
大藏大臣
は、今回この
惨事
に対し、
国家
がその
経費
を全画的に
負担
する
意思
があるかどうかを伺いたいのでございます。(
拍手
)なお今日、病状は回復したように見えておりましても、一、二年後において、今回の
中毒
が
原因
とな
つて
発病いたした場合におきまして、当然
國家
の
責任
と思うが、この点に関しても
お答え
が伺いたいと存じます。 私は、
國家檢定合格
の
藥品
を使用し、
法律
に基きまして、しかも
罰金付き
で
國家
が
予防注射
を
強制
いたしました以上は、その
災害
に対しましても、
國家
がこれを
補償
いたすことが当然であると考えられます。(
拍手
)災厄の当事者または地方自治体にこれが
負担
をさせることが断じて適当でないことは、申すまでもございません。これによ
つて國民
の不安を除去いたしますと同時に、
世界
の信用をも回復することになるのであ
つて
、この際幼き
犠牲者
の冥福を折る
氣持
をも
つて
、また
家族
に謝罪する
眞心
をこめた、
責任
ある、明確なる御
答弁
を承りたいと存ずるのでございます。またその
補償
はいかなる
程度
においてなされる
おつもり
か、これまたあわせて伺いたいと存じます。 次にお尋ねいたしたいことは、
國民
全体の福祉のために、
予防接種法
に基き、罰則を設けて、
國家
が強権をも
つて
予防注射
を行わしめまする以上、万が一にもこのために
被害
をこうむ
つた
者に対しましては、
國家
がこの損害を償うことが当然でなけれぱなりませんが、この点に対し、この際
法律
をも
つて
國家補償
の
規定
を設くる御
意思
があるかどうか。これは
國民保健
上まことに重大な問題でありますがゆえに、
総理大臣
より
お答え
願いたいと存ずるものでございます。
占領軍
の援助によりまして、
傳染病発生率
はとみに減少し、
画期的法律
である
予防接種法
も施行せられまして、
健康日本
の
事業
もようやく緒についたやさきにおきまして、今回のごとき
事件
が発生いたしましたことは、返す返すも遺憾千万のことでありまして、
かく
ては
予防接種
に対する国民の協力を得ることはできず、
かく
ては、
注射
を受けて死にました
幼兒
のみなちず、
ジフテリア
の
注射
を受けないで
病氣
によ
つて
死んで行く数百万の
幼兒
の出ることを考えますとき、私
たち
は、この点を明確にいたし、
せつかく
の
法律
の施行できない
心配
を除去いたして行かなければならないと思うのでございます。この際すみやかに、これがよ
つて來
るところの
原因
を究明し、その
責任
の所在を明らかにいたしまするとともに、
國民
の
予防接種
に対する不安と
不信
を解消し、災いを轉じて福となす
処置
を講じられんことを希望いたし、
責任
ある、御親切なる御
答弁
を、
犠牲者
の心を体してここに要求いたしまして、私の
質問
を終りたいと存じます。(
拍手
)
田中萬逸
14
○副
議長
(
田中萬逸
君)
内閣総理大臣
は、やむを得ない要務のため出席いたしかねておりますから、適当の機会に
答弁
を願うことといたします。
——厚生大臣林讓治
君。 〔
國務大臣林讓治
君
登壇
〕
林讓治
15
○
國務大臣
(
林讓治
君) ただいま
山崎議員
から、
京都並び
に
島根縣
の
ジフテリア中毒事件
につきまして御
質問
があり、また
事件
の
眞相
について詳細なる御
報告
を賜わりましたが、
衆議院厚生委員会
が、御多用中さつ
そく本件
につきまして
調査團
を派遣せられ、詳細なる
調査究明
と、
被害者
に対してねんごろなる弔慰を賜わ
つた
ことに対しましては、深く敬意を拂いますとともに、厚く感謝の意を表するわけであります。なお
首相欠席
をいたしておりますから、関連をいたしました問題につきまして、私よりお答をさしていただきたいと思うのであります。
事件
の
原因
につきましてはただいま
山崎議員
がお運べになりました
通り
でありまして、いかなる
製藥上
の
欠陷
も、
最後
の
國家檢定
においては明らかに発見し得るような愼重なる
検定方法
を実施いたしておりますが、
本件
の場合は、
四つ
の
容器
、つまり
四つ
の
製造工程
ででき上りました
製品
を、
一つ
の
製造工程
からでき上
つた
ことく、
一つ
の
製造番号
を付しまして
檢定
を申請いたした点にあります。 次に、御
質問
の要点について
お答え
をいたしたいと考えます。まず最初に、
許可理由
と当時の
事情
の問題でありますが、本
研究所
は、
昭和
二十二年の初めに正式に
医藥品
の
製造業者
として
許可
を受けたものでありますが、御
承知
のごとく、
終戰後
すなわち
昭和
二十年末より
昭和
二十二年春にかけては、
一般
の
傳染病
、ことに
発疹チブス
の大流行が見られまして、それで
昭和
二十一年春ごろ、
連合軍司令部
より、
発疹チブス・ワクチン
の大量の
生産
に関しまして指示がありましたので、これに対する
生産計画
を樹立いたしたのでありますが、元来
発疹チブス
はわが國にはほとんど見られなか
つた
疾病であるので、閣内では本病に対するところの
ワクチン
の
製造
は
行つて
おらず、
従つて本病ワクチン
の
製造業者
はなか
つたの
であります。しかも、本
ワクチン製造技術
はきわめて困難なものでありまして、
製造
に際しまして使用するところの病原の
取扱い
は、はなはだしく危險を伴うものであります。 そこで
厚生省
といたしましては、
発疹チブス用病毒取扱い
について
学識経驗者
の存する
大学
その他の
研究所
を動員いたし、これに
委託製造
を
行つて
、
連合軍司会部
より指摘せられた
所要量
の
生産
をすることといたしたのであります。たまたま本
事件
の
大阪日赤医藥学研究所
には、当時適切なるところの
技術者
がおりましたので、本所にも依頼をすることといたした次第であります。当時は、もちろん他の
大学研究所
と同様に、
医藥品製造業者
として
許可
を有することなく、
厚生省
の
発疹チブス・ワクチン
の
製造
の
委託
を受けたのでありますが、その成績も良好であり、かつ当時といたしましては、従來
存在
いたしていたところの他の
製造業者
の有する
施設
に比較いたしましたならば中等の
程度
のことと認定されましたので、引続き
細菌製薬業者
として
許可
を與え、当時は
施設
として
相当
の整備をせられてお
つた
ものであ
つたの
であります。 次に、
大阪日赤医薬学研究所
に対していかなる
処置
を
とつ
たかということの御
質問
でありますが、この
研究所
に対しましては、ただちに学界の権威者を交えましたところの
調査團
を派遣いたしまして、
実情
を詳細に
調査究明
をいたしました結果、右のごとく
製藥上
重大なる過失があることがわかりましたので、去る十一月二十七日付をも
つて
同所は業務停止処分をいたしまするとともに、去る四日、藥事法違反のかどをもちまして
大阪
檢察廳に告発の措置を
とつ
たわけであります。 次に、
事件
を起しました
研究所
に対していかなる監督を
行つて
お
つた
かということの御
質問
であ
つた
と思いますが、
細菌
製藥につきましては、その重要性にかんがみまして、製剤所を
許可
いたします際に主任
技術者
の
嚴重
なる資格審査を
行つて
おりますが、右の主任
技術者
に対しましては、
昭和
二十二年に数回にわたりまして指示並びに講習を行い、また監視員に対しましては、三回余り打合せ指示を
行つて
おりますが、
製造
方法の指導並びに
檢定
申請の受理
手続
についても十分なる指導をいたしてお
つた
次第であります。なお府縣監視員は、月一回は必ず
細菌
製造
所の監視にまわ
つて
おります。また本省よりも、一
製造
所に対しましては年に三回ぐらいの監視を
行つて
お
つた
次第であります。
厚生省
及び
大阪
府の行政上の
責任
の点でありますが、
厚生省
及び
大阪
府がいかなる監督を
行つて
いたかということについては、ただいまお話をいたしました
通り
でありますが、
大阪
府の
責任
について申しますならば、
製品
から試驗品を拔き取りますことは知事の権限にな
つて
おりますが、実際上は
細菌
製剤監視員たる
大阪
府吏員が
行つて
おるものであります。そこで、試驗品を拔き取りに参りましたときに、
相当
高度の専門家としての注意をも
つて
いたしましたならば、
四つ
の異
なつ
た
製造工程
からつくられたものではないかということが発見できなか
つた
かという点が、問題になるところの焦点であると考えるのであります。これにつきましては、製剤をいたしますときは、その作業記録がありますので、その記録を見たか、またその記録を見てもわからなか
つた
かを詳細に調べましたが、
傳染病
予防
研究所
、予阪衛生
研究所
、北里研究属等の専門家に鑑定をしていただいたのでありますが、それだけでは発見できないだろうというようなことがあ
つたの
であります。しかしながら、問題が非常に重大でありまするから、なお研究いたしておりますが、いずれにいたしましても、行政上の
責任
の問題にとどまらず、刑事上、民事上(
責任
にまで及ぶ問題でありますし、問題がきわめてデリケートな事実問題にかか
つて
おりますので、
大阪
府をさしおいて
厚生省
が何らかの決定をする段階に至
つて
おらない今日の
実情
にな
つて
おるわけであります。 なお、
厚生省
といたしましても道義的の
責任
を痛感いたしておりまして、
被害者
に対しましては、できる限りの多額の國費を出しまして弔慰の方法を講じたいと、極力努力いたしておる次第であります。ただいままでのところでは、大藏省
当局
と協議の結果、さしあたり
京都
市に対しまして百三十五万円、
島根縣
に対しまして四十五万円を支出いたしましたるもののほか、
入院
費、
治療費
十二月十五日その他の
経費
に対しましては例外的の補助をいたすことにいたしまして、ただいま具体的な数字を檢討いたしております。そうして、
京都
府並びに
島根縣
などの御希望に沿いたいと考えておるわけであります。 なお、国立製藥所をつく
つて
この種の
藥品
を
生産
いたしてはいかがかとの御意見につきましては、まことにごもつともの点と考えまして、今後十分に研究をいたしてみたいと考えておるわけであります。 なお、
予防接種
によ
つて
生ずるところの損害を
補償
するよう
法律
で
規定
をしてはどうかということの御
質問
でありますが、きわめて重大なる問題と考えまして、今後十分に研究をいたしまして、適当の措置を講じたいと考えておるわけであります。 なお、
予防接種法
の実施早々の今日に、まことに申訳ない
事件
が発生いたしましたが、
予防接種法
は、
傳染病
から
國民
を救うためには欠くべからざるところの対策であり、すでに実績も、
終戰後
におきましてはきわめて顕著なる成績を上げておるわけでありまするから、この機会におきまして再びかかることのないようにう十分これらに対するところの最善の努力を講じて参りたいと考えておるわけであります。 以上、
お答え
をいたします。 〔
國務大臣
大屋晋三君
登壇
〕
大屋晋三
16
○
國務大臣
(大屋晋三君) 山崎さんの御
質問
に対しまして
お答え
いたします。
京都
におきまする
ジフテリア
事件
の
被害者
は、まことにも
つて
お氣の毒千万でございますので、大藏省といたしましては、誠意をもちまして御要望の趣旨に沿いたいと考えておる次第であります。
田中萬逸
17
○副
議長
(
田中萬逸
君)
山崎道子
君、時間が大分超過しておりますから、そこで簡單に願います。
山崎道子
18
○
山崎道子
君 私は、この問題は嚴粛なる
事件
でございまして、政党政派を超越してや
つて
いるにもかかわらず、一部やじを飛ばす不謹愼なる議員に対して、満腔の遺憾を持つものでございます。(
拍手
)そうしてまた、ただいまの
大臣
の御
答弁
には満足いたすことができません。なぜかなれば、重要なる問題だから愼重審議してやるとか、あるいは十分なる研究をして、ということでございまするけれども、將來のことはそれでよろしい。現実に起きて、食うか食われるか、生活まさに餓死に瀕している人
たち
に対しましては、ただちに救助の手が伸べられなければなりません。それに対しまして、
政府
ではどれだけの誠意を持
つて
おいでになるか。これは
現地
へ行かなければわかりません。從いまして私は、この際ただちに
政府
を代表した
責任
ある
大臣
を
現地
へ派遣されまして、
実情
をつぶさに
調査
し、あわせてその遺族に対し、あるいは
犠牲者
家族
に対しまして、心からなる弔問と慰問が行われてしかるべきだと考えるものでございます。(
拍手
)從いまして、この点に対しましての御
答弁
、あわせて、ただいま吉田首相がおいでになりませんけれども、いないからとい
つて
、私はこのままでは済まされませんので、
大臣
がお帰りになりましたならば、次の点につきまして、
総理大臣
かち
責任
ある御
答弁
を伺いたいと存じます。 まず第一に、首相は本問題が全面的に
政府
の
責任
であることを確認するかどうか、首相は本問題に対し根本的に解決をする用意ありやいなや、首相は、至急
政府
代表閣僚を派遣して、
被害者
に対し陳謝、慰問、弔問並びに善後策を講ずる
意思
ありやいなや、あるいはまた、今後この
毒素
が
原因
となりまして不具廃疾者に
なつ
たような場合には、生涯これが生活を保障する
意思
ありや、
国家
補償
法をこの際制定いたしまして、文化
日本
のあり方を廣く世、界に宣明することのお考えを持
つて
おられるか、ということにつきまして、首相から
責任
ある御
答弁
を伺いたいと存じます。 〔発言する者多し〕
田中萬逸
19
○副
議長
(
田中萬逸
君) 靜粛に。 〔
國務大臣林讓治
君
登壇
〕
林讓治
20
○
國務大臣
(
林讓治
君) ただいま
山崎議員
からの御
質問
のうち、総理に対するところの御
質問
は留保せられておるのでありますが、議会が終了いたしましたならば、私ただちに出張いたしまして、親しく弔意を申し上げるとともに、
京都
府並びに市からの御要求に対するものにつきましては、許し得られるだけの範囲に、概算拂いなどによりまして、ただちに
京都
府並びに市に対して送金をいたすという計画を立てておりますから、さよう御了承願いたいと思います。 ————◇—————
今村忠助
21
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
岡田勢
一君
提出
、
外國向け
及び内
國海運復興
並びに
國際収支
の改善に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
22
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
23
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
外國向け
及び内國海運の復興並びに
國際収支
の改善に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
岡田勢
一君。 〔
岡田勢
一君
登壇
〕
岡田勢一
24
○
岡田勢
一君 私は、内外海運の復興及び国際収入の改善等に関し、以下若干の項目について、吉田
総理大臣
並びに小澤運輸
大臣
、大屋
大藏大臣
に対してお尋ねをいたしたいのであります。 まず、わが國の困難なる経済の現状を打開して
日本
経済の自立を達成するためには、國内の産業をすみやかに復興すべきことはもちろんでありますがびそれと同時に、海外に対する貿易及海運を復活せしめることによりまして、國内産業に必要なる各種の重要資材の輸入を旺盛ならしめ、さらに工業
製品
を輸出することに努力しなければならぬのであります。そのためには、対外収支の現状を改善して國際信用を高揚することが第一
條件
となるのであります。しかるに、
終戰後
の対外貿易の
実情
は、遺憾ながら著しい輸入超過を示しておるのでありまして、すなわち
昭和
十一年度末までにおきまして約一億五千万ドル、二十二年度においては三億五千三百万ドル、さらに本二十三年度は、この入超額は五億ドルに急増することが予想されておるのであります。
かく
のごとき
状態
を続けるにおいては、
日本
経済の自立は、とうていその目的を達することが不可能であると思われるのであります。吉田
総理大臣
は、これが改善に関しまして、いかなる方策を有せられまするやまた今日、現在における貿易じりの負債は約いかほどであるか及びこの貿易じりの決済の方法と時期的の見通しはいかがでありますか、
大藏大臣
から具体的の御
答弁
をお願いいたしたいのであります。 第二は、わが國の輸出入物資の
日本
船舶による輸送の問題であります。戦後、貿易額中に占むる海運運賃の割合は著しく高騰いたしまして、現在においては、輸入額の平均二割、輸出額の四分が海運運賃であると推定されておるのであります。わが國の輸出入の貨物は、二十三年度におきましては、大約一千三百万トンに上ると予想されておるのでありますが、これが船舶運賃は約一億五千万ドルという巨額の外資を支拂わなければならぬことになるのであります。しかも今後、この貨物トン数並びに運賃單價もともに
相当
に増加の傾向にあります。戰前においても、
國際収支
のバランスは主として海運運賃及び海運に関する保險料金の収入でその大半をまかな
つて來
たのでありますが、現在非常な逆調とな
つて
おる
國際収支
のバランスを改善するため並びに
日本
船員及び海運関係の從業員の失業を救済するためにも、われわれは、何とかいたしまして連合國の好意ある支援を得まして、わが國の輸出入物資のせめて半分
程度
でも
日本
船舶によ
つて
輸送させてもらうようにしたいものであります。もしこれが許されるならば、現在の輸入超過額の約六分の一見当は、これによ
つて
カバーすることができるのであります。現在までの
日本
船舶の外國航路配船は、連合國の好意を得て、樺太、朝鮮、台湾、南洋及びペルシヤ湾等に一部少数の配船を
許可
されつつあることは感謝するところでありまするが、
政府
はこの外國航路配船に対して、もつと積極的、大幅に配船増加を懇請する
意思
がありますかいなや、今後に対するこれが見通しはいかがでありますか、これまた小澤運輸
大臣
から具体的の御
答弁
をお願いしたいのであります。 第三には、リバテイ型の裸傭船懇請の件であります。本年の三月末にドレーパー使節團が來朝されました際に、アメリカのリバテイ型船舶の傭船に関しまして、当時私は運輸行政の
責任
者としてこれを懇請し、努力をして参
つたの
でありまするが、本問題に関しまして、小澤運輸
大臣
は、去る十日の参議院の本
会議
におきまして、小野議員の
質問
に答えられて、
相当
に交渉は進行中である旨の
答弁
をされたそうでありますが、その交渉進行の内容とは、いかなる内容でありますか。傭船のトン数あるいは傭船料その他の具体的の
條件
並びに傭船開始の時期の見通し等について、詳細なる御説明をお願いしたいのであります。 次にリバテイ型の傭船に関連して、クレジットによる船舶の回轄基金の設定をアメリカに対しまして懇請する用意がありますかいなや。また本邦保險会社のために、外貨建の海上保險の引受けを再開せしむるために、司令部に貿易資金の利用を懇請する
意思
がありますかいなや。これらの問題は、前に私の述べましたことく、いずれも
國際収支
の赤字を緩和する方策であ
つて
、
日本
経済の自立をすみやかならしむるとともに、一面米國の納税者にかけております対日経済援助の
負担
を軽減するものでありまして、現在わが國に課せられております最大の責務であると信ずるものであります。傳えられるところによりますと、アメリカの船舶業者の一部におきましては、リバテイ型の傭船及び
日本
船舶の
外國向け
の航路に進出することに対しましては反対の意向があまようでありますが、これは、私のただいままで述べました
理由
と
事情
を懇切丁寧に説明することによりまして、了解が得られるものと確信しておる次第であります。これらの問題は、いずれも要するに
日本
経済の再建に最も欠くべからざる必要なる問題であります。これらにつきまして、吉田首相は御不在でありますから、お帰り次第
答弁
をいただきたいのでありますが、小澤運輸
大臣
並びに大屋
大藏大臣
の明確なる御
答弁
をお願いいたしたいのであります。 次に、これまた小澤運輸
大臣
にお伺いするのでありますが、
日本
の船舶の民営還元への前進的措置といたしまして、去る九月関係方面から了承を得まして準備に着手手されておるのでありますが、
政府
はいつごろからこれを実行に移されるのでありますか。また、それに伴う予算等は今次の追加予算に含まれておるのでありますか。含まれておるといたしましたならば、その額は幾らでありますか、これまた具体的に、その方法と時期につきましてお伺いをいたしたいのであります。 以上をも
つて
私の
質問
を終ります。(
拍手
)
田中萬逸
25
○副
議長
(
田中萬逸
君)
総理大臣
の
答弁
は適当の機会に願います。——
大藏大臣
大屋晋三君。 〔
國務大臣
大屋晋三君
登壇
〕
大屋晋三
26
○
國務大臣
(大屋晋三君) ただいまの岡田君の御
質問
に対しまして御
答弁
申し上げます。 わが國の貿易じりは、僭越しは幾らであるか、またその決済の方法はいかようにする考えであるか、という御
質問
であ
つた
と存じますが、
終戰後
本年六月までの輸出は、ドル貨にいたしまし三億八千余万ドルでございます。輸入は十一億七千余万ドルでございまして、これのバランスは七億九千余万ドルとな
つて
おるのであります。この入超じりは、御
承知
のように米國からの救済基金並びに復興基金によりまして決済をいたしておるのでございます。さて、このバランスをいかなる時期に、いかようの方法で決済いたしますかという問題につきましては、目下のところ、はつきりいたしませんが、私は多分、これは講和
会議
の際に決済されるべき性質のものではないかと考えておるのでございます。 次に第二問は、わが國の國際バランスの改善に対する対策いかんというお尋ねであ
つた
と思うのでございまするが、この点に対しましては、御
承知
のように、現在の対國際間の輸出入の
状態
におきましては、早急に収支のバランスを合せることは困難であると私は考えております。御
承知
のように本年度におきましても、救済基金並びに復興基金でも
つて
アメリカから援助資金としてわが國が受け入れまするドル貨は、四億六千二百万ドルとな
つて
おる次第でございます。これらの入超に対しまして、しからばいかなる方途をも
つて
これを決済するかということでございまするが、ただいまのわが國の輸出あるいは内地の
生産
復興計画の観点から申しますならば、五箇年後におきましては、若干の輸出のプラスをもちまして輸入をカバーし得ると考えておる次第でございます。これを達成いたしまするためには、國内の
國民
が消費生活を十分節約して行かなければならないし、アメリカのタックスのペイアの
負担
を早く軽減するように
日本
八千万の
國民
が努力しなければならぬと考えております。この他に、岡田君御指摘の
通り
、海運でございまするとか、あるいは保険でございまするとか、あるいは國際観光というような種類の事柄によりまして、わが國の外貨獲得に努めなければ相ならぬと考えておる次第でございます。 〔
國務大臣
小澤佐重喜君
登壇
〕
小澤佐重喜
27
○
國務大臣
(小澤佐重喜君)
お答え
申し上げます。 お話のように、
日本
海運の再建が、
日本
経済の復興あるいは貿易の振興、あるいはただいまもお話のような
國際収支
の改善に大きな貢献をなすものであることは、お説の
通り
であります。
從つて
、まず
日本
海運の再建について考えてみたいと思うのでありまするが、御
承知
のように、過般の戰争によりまして、
日本
の商船はほとんど壊滅
状態
に入りました。従
つて
、まず船舶の新造ということが
日本
海運再建の大きな要件であります。こういう点から、前任者である岡田君も留意されまして、極力本年度の造船計画を立てられまして、現に十六万トンの新造計画を前内閣で立てまして、私もこれを踏襲して、極力その目標実行に邁進して参
つて
おるのでありまするが、この経過はきわめて順調に進みまして、目標
通り
に造船が完全にでき得るものと確信いたしております。 さらに明年度の造船計画でありまするが、大体二十五万トンの新造船をやろうと今計画をいたしまして、極力準備中であります。その以後の年度におきましては、経済復興五箇年計画に大きく含めまして造船計画を進めようと思うのでありまするが、何しろ資材・資金等の面におきまして、なかなか理想
通り
に参りませんことは、まことに遺憾至極であります。 さらに船舶の問題でありますが、お話のように、外國より船舶の貸興を受けて、國際貿易あるいは航行の用に供したいと考えておりますが、お話のリバテイ型の貸與の件でありますが、これまた前任者である岡田君も熱心に主張され、その行動に移してお
つたの
でありますが、これまた私は、ごくけつこうであるという主張のもとに、岡田君のお考えを引継いで、極力交渉中であります。しかし、これにつきましては、その交渉の経過あるいは見通し等を詳細にお話しろという御意見でございまするが、岡田君すでに御
承知
の
通り
、この問題はこういう場所で具体的に経過を
報告
することは、あるいはどうかと考えますので、適当な時期に
報告
さしていただきたいと存ずるものであります。 さらに、経営面から見ましたところの
日本
海運の両建でありまするが、これもやはりお話にありました
通り
、現在のような船舶運営会に一任いたしまして経営するというようなやり方では、とうでい
日本
海運の再建は不可能であると思います。つまり私どもは、昔の民営に還元することが経営上における重要な考えであると思
つて
おります。その意味におきまして、これまた前任者である岡田君が、すでにその第一段階といたしまして、いわゆる定期傭船に切りかえるという方向に向われたことも、私はごくけつこうだと思いまして、その線に沿うて努力しております。この経営面、新造船面、あるいは船舶の貸與というような面を考えまして、何とかして
日本
海運の再建に協力をいたしたいと考えているのであります。 さらに、ただいまお話申し上げました定期傭船の切りかえがいつできるかという御
質問
でありますが、私どもといたしましては、大体これが切りかえに要する総額の費用は約二十三億いるという予定のもとに、大藏省の方にこの予算を要求いたしまして、ただいま御審議を願
つて
おります追加予算に計上しようと思
つたの
でありますが、諸般の
事情
から、これが計上にはな
つて
おりません。しかしながら、私が先ほども申し上げました
通り
、この定期傭船切りかえが、やがて理想の経営面であるところの民営に還元する
一つ
の前提であるということを考えますと、二十三億の予算というものは計上してありませんが、船主側と極力了解を得ることに努力しながら、予算という措置をあとまわしにいたしまして、どうしても來年の一月、遅くも二月中には定期傭船の切りかえを実行したいと思
つて
、船主側と今交渉中でございます。 さらに、船舶回轉基金を設定する気持があるかどうかというお話でございますが、申すまでもなく、かりにリバテイ船が貸與に
なつ
たということを仮定いたしますならば、現在の
日本
の財政面におきましては、かりにこの船を借りましても、基金がありませんから、とうてい理想的な運行は困難であります。従いまして、当然の結果としまして、ただいまのお話のような船舶回轉基金というようなものを適当に設けて運行するよりほかに道はないと思いますが、ただ順序といたしましては、リバテイ型の貸與に全力を注ぎまして、この見通しとにらみ合せながら船舶回轉基金の設定ということを考慮いたしたいと考えているような次第であります。 以上、私の所管について
お答え
申し上げます。
岡田勢一
28
○
岡田勢
一君 大体了解いたしましたが、先ほど大屋
大藏大臣
が、貿易じりの決済を、講和
会議
の際に決済せられるであろうというような御
答弁
でありますが、これは私は了解ができません。講和
会議
の際に、どういう方法で、何によ
つて
決済されるのでありますか、もう一度御
答弁
願いたい。
田中萬逸
29
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
答弁
がないようです。 ————◇—————
今村忠助
30
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
齋藤晃
君
提出
、
公職追放
について
政府
の
法令無視
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
31
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
32
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
公職追放
について
政府
の
法令無視
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
齋藤晃
君。 〔
齋藤晃
君
登壇
〕
齋藤晃
33
○
齋藤晃
君
公職追放
は、全國約二十万の該当者を指定したといわれまして、これこそ連合國最高司令官の覚書に従
つて
発せられました
昭和
二十二年勅令第一号によるものでありまして、最も嚴正かつ公平に行わるべきものであるにもかかわらず、か
つて
一世の疑惑の焦点となりましたあの平野農相の追放問題、あるいは当時の林
國務大臣
の追放、なお公職適否審査委員会の事務終了直前において、與党の大立物が突如として追放解除せられたがごとき、いずれも政治的策謀の具に供せられたにあらずやと考えられるのは、民主政治の汚点として、まことに遺憾にたえない次第であります。
公職追放
は、個人の社会的
生命
を剥奪するものであ
つて
、最も愼重を期さなければならないのであります。しかるに、数が少いからとい
つて
、
同一
人を二度にわた
つて
指定し、加うるに、本人に通知が発せらるべきものであるにかかわらず発せられざる者が数千名の多きに至りましては、いかに
公職追放
のずさんきわまるものであるかに驚かざるを得ないのであります。すなわち、去る十一月二十五日、東京高等裁判所において有罪の判決を受けました田中澤二氏の政令違反
事件
を例として申し上げますが、この種の政令違反
事件
が最近ひんぴんとして続出し、しかもこれが、最初の判決として重大な意義を持つものでございます。田中澤二氏は、
昭和
二十二年十一月三十日に立憲養正会総裁として、また本年三月二十二日には著述家としての仮指定を受けたのでありまするが、右仮指定及び本指定は、本人に何らの通知がなか
つたの
でございます。
昭和
二十二年閣令・内務省令第一号の第五條によりますれば、正規の軍人及び住所不明の者以外は、覚書該当者の指定は「本人に対する通知で、これを行う」と明示されておらにかかわらず、
政府
みずから省令に違反し、政令を無視したといわなければならぬのでふります。 何ゆえに通知しなか
つた
か、総理廳事務
当局
にて
調査
をしますれば、人数が多数であ
つた
ことと、費用が莫大にかかるから、あるいは発表の期日が迫
つて
お
つた
から、と言
つて
おるのでございます。いやしくも社会的
生命
を永遠に葬らるべき重大事が、費用がかかるとは何事であるか。かりに費用が何百万かかろうとも、基本的人権擁護尊重のためには当然なすべきであるにかかわらず、すなわち
政府
の怠慢によ
つて
適正な
処置
がなされなか
つた
ことは、断じて許さるべきではないのであります。また、事務
当局
の
答弁
によりますれば、関係
当局
の意向により、期日切迫のため住所不明なものとして処理せられたというのでありまするが、田中澤二氏のごときは、政党総裁として明瞭であるばかりでなく、何らの
調査
すら行われず、しいて適用したと考えられるのであります。しかして、事務
当局
の弁明によりますれば、
事情
やむを得なか
つた
というのでありまするが、当然法令を改正すべきが法に忠実なゆえんであると思うのでございます。
政府
は、
政府
みずから法の履行を怠り、それによ
つて
生じたる罪を問わんとするは、憲法に明示せられたる基本的人権を蹂躙するもはなはだしいといわなければならぬのでございます。民主主義の原則は人権の尊重にありとするならば、右のごとき
政府
の
法令無視
によ
つて
生じ、目下公判中の田中澤二氏の政令違反
事件
に対しては、
政府
の
責任
において無効とすべきであると信ずるのであります。これについて、
総理大臣
の明快なる
所信
をお伺いいたしたいのでございます。 次に法務総裁にお伺いしたいことは、第一に、勅令第一号の第十五、覚書該当者は「選挙運動その他の一政治上の活動をしてはならない。」との
規定
がありますが、ここにいう政治上の活動について、先般私の出しました
質問
主意書に対して、
政府
は、政治への影響一切を阻止せんとするにあるといい、政治上の活動として、選挙運動、政治團体の支援、反対の行為、政策の論議批判等をあげておりまする[が、たとえば政策の論議といいましても、日常の社交的会話でも政策の論議とも言えるし、あるいは選挙権の行使のごときも、これ明らかに政治行動として、政治への影響があるものと考えられる。
かく
のごとく、漠然たる
規定
によ
つて
法の運用がせらるるのでありましたならば、今や二十万の追放者の生活権までも脅かされ、ひいてはその政治的謀略に悪用せられるおそれが多分にあると考える次第でございます。よ
つて
政府
は、この政治上の活動のことについて正しい基準と限界を明示しなか
つた
ならば、將来において、かかる憂慮すべき
事件
が多々起るではないかと考える次第でございます。 なお
最後
に、本
事件
に関連して一言お伺いいたしたいのでありまするが、右の田中澤二氏の高等裁判所における公判において、総理購恥監査課長の証言によれば、本人に通知をせず、かつ法令の改正もしなか
つた
ことは、関係
当局
の意向によるがごとき言がありましたが、
かく
のごときは、私の信じ得ないことであります。また、同課長の証言によりますれば、追放は原則として一回行わるるにかかわらず、追放者の数をふやすために二重の指定を
行つて
おるという事実があります。
かく
のごときは、覚書に反し、占領目的に違反するものであります。この点も関係
大臣
よりお聞きしたいのであります。すなわち本問題は、民主政治下の重大問題として、二十万追放者のためにも
政府
の明快なる
答弁
を願いたい次第でございます。(
拍手
) 〔
國務大臣
殖出俊吉君
登壇
〕
殖田俊吉
34
○
國務大臣
(殖田俊吉君) 私が
総理大臣
の御
答弁
も兼ねて申し上げたいと思います。 ただいまの御
質問
にありまする問題は、昨年十一月及び本年三月中に行われました事実についての御
質問
であります。覚言該当者としての仮指定の実施は、
昭和
二十二年閣令。内務省令第一号第五條によりまして、本人に対する通知によ
つて
行うこと、が原則でありまするが、同條但書の
規定
によりまして、注所を知ることができない者及び陸海軍将校等につきましては、官報に掲載して行うことが許されておるのでございます。
本件
の場合におきましても、当時関係方面から急速に多数の者の追放実施を求められておりましたので、本人の住所の
調査
を盡すことができませんので、右但書に該当する合と認定いたしまして、官報掲載の方法によりまして処理いたしたのであります。何ら同省令を無視したものではありません。なお、田中澤二氏の政令違反の
事件
の場合におきましては、田中氏自身におきまして、その指定が官報に掲載されておることを
承知
しておられるのでありまして、このことは、御本人も政令違反
事件
につきましてよく認められておるところであります。 覚書該当者に政治上の活動を禁止しておるのは、
昭和
二十一年一月四日の覚書及び
昭和
二十二年勅令第一号の趣旨にかんがみて、覚書該当者の政治への影響一切を阻止せんとするにあるのであります。従
つて
その範囲は、連合軍総司令部によ
つて
、きわめて広く解せられております。しかして、勅令第一号の運用上いかなる事実が政治上の活動に該当するかは、前述いたしました法令の趣旨に照しまして、個々の具体的
事件
について決定さるベきものでありまして、今日までに政治上の活動として認められている事項をあげますれば、先ほど御
質問
にもありました
通り
選挙に関する活動、政治團体の支援、反対に関する行爲、政策の論議批判または政策実現に関與する行爲でありまするが、これはきわめて廣いのでありまして、単に中央の政治ばかりでなく、地方の政治についても同様でありますし、これが公の席であろうと、個
人間
のプライベートの議論であろうと、あるいは野菜の
統制
廃止
であろうと、主食の
配給
の問題であろうと、料飲再開の問題であろうと六・三制の問題であろうと、いかなる問題につきましても、事政治に関する限りは廣く適用されるのであります。これは十分御注意を願いたいと思うのであります。前項の政治上の活動の意義と範囲は、
公職追放
の特殊
事情
によりまして、公務員法改正に関する人事委員会の試案に示された政治的行為とはおのずから解釈を異にすることも、御
承知
願いたいのであります。
齋藤晃
35
○
齋藤晃
君 ただいま法務総裁の
答弁
によりますれば、本人が官報において
承知
してお
つた
からというようなことを言いますが、しからば、法令において住所不定なる者、あるいは正規の軍人以外は、これを本人への通知をも
つて
行うという法令があ
つた
がいやしくも法令にあるにかかわらず、その法令を無視して、本人が
承知
したということによ
つて
、この法会をみずから
政府
が破
つた
ことを認めるならば、私は法治國として断じて許すことはできないと信ずる次第であります。ことに、
最後
の政治活動の点でありまするが、もしも政治活動において、日常における会話をし、これにおいて政治の論議に入るといたしましたならば、おそらくその追放者というものは、何ら法における
規定
がないと考えなければならない。私どもは、ここに二十万の追放者の将来にかんがみまして、
かく
のごとき原則によるものではないと思うのでありまして、あまりにも見解があいまい模糊であると考えまして、私ども將來憂うべきものがあると思うのであります。もう一度明快な
答弁
を私は要求するものであります。 〔
國務大臣
殖田俊吉君
登壇
〕
殖田俊吉
36
○
國務大臣
(殖田俊吉君)
お答え
をいたします。田中氏がこの事実を知
つて
お
つた
かいなかによ
つて
私は正当視しておるわけではありません。ただ、それをつけ加えて申したのでありまして、官報に掲載されておりますことによ
つて
十分なのでございます。 それから、政治上の活動は非常に廣いのでありまして、今お話のごときことが事実ありますれば、必ずそれは政令違反として処分さるべきものであります。ただ、非常にそれが範囲が廣いから、国民生活に影響することが多いかもしれませんが、これは連合軍艦司令部の命令でありまして、いかんともいたしがたいのであります。 ————◇—————
今村忠助
37
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
山中日露史
君
提出
、
公職追放訴願委員会設置
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
38
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
39
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
公職追放訴願委員会設置
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
山中日露史
君。 〔
山中日露史
君
登壇
〕
山中日露史
40
○
山中日露史
君 私はきわめて簡單に、
公職追放
に対する訴願委員会復活の問題について
政府
の
所信
をただしたいと思うのであります。 最近新聞紙の傳えるところによりますと、
政府
は、追放に対する
異議
の申立てが、去る五月十日訴願委員会の解消とともに期間の終了を途げたるにかかわらず、再び訴願委員会を復活して、まず政治関係の再審査の要求に應ずることとして、目下官房長官の手元で同委員会の委員の人選などが行われ、所要の準備を進めているということが傳えられているのであります。これはきわめて重大な問題でありまして軽々に看過することのできない問題であると思うのであります。 申すまでもなく
公職追放
は、ポツダム宣言に基いて、わが國を眞に民主主義
國家
として再建するために、過去において軍閥あるいは財閥に協力し、軍國主義思想のもとにわが
日本
を今日の破滅に陷れたこれらの政治家あるいは指導者を徹底的に究明して、今後再びかかる人物の擡頭によ
つて
日本
民主化の障害を来さざるようにという深遠なる考慮のもとに行われましたところの、
國民
的の
処置
であるのであります。
從つて
、終戦後におきましても歴代の内閣は、過去三年間にわたりまして愼重にこれが審査を遂げまして、追放すべき者は追放し、また解除すべき者は解除し、もつともその間に、追放問題に対する二、三の疑惑を起した問題もありましたけれども、かえ
つて
これがために審査を厳重にいたしまして、ようやく今年五月に、訴願委員会はその任務を終了して、
日本
民主化の大役を果したのであります。しかるに、今回再び訴願委員会を復活し、しかもそれが政治的関係者に重点を置かれたというに至
つて
は、この
政府
の意図に対して深き疑惑を抱かざるを得ないのであります。(
拍手
) 仄聞するところによりますると、一たびかかる訴願委員会復活の問題が
新聞紙上
に報道せられまするや、過去の
国家
主義的反動・分子が、陸続として追放解除の要求をなさんとし、またなしつつあるやに承
つて
いるのであります。私の想像にして、もし誤りあれば仕合せでありますけれども、もしかかる訴願委員会の復活が、来るべき選挙を目ざして、追放によ
つて
苦しむ人々に解除の道を與えることによ
つて
恩恵を施し、一党一派の党利党略のために利用することがあるならば、これはゆゆしき問題でありまして、実にわが
日本
民主化の敵といわなければならぬと私は思うのであります。(
拍手
)
公職追放
解除の問題は、やがて行わるべき平和條約において、
日本
國民
としてあらためて考慮すべき問題でありますが、今日すでに、五月に訴願委員会が解消し、まだ日なお浅きにかかわらず、早急にこれを再び復活せんとするところの
政府
の意図は那辺にありやこれをまず明確にしていただきたいと思うのであります。しかして、なお
政府
は、将来のこの
公職追放
の解除という問題について、どういう考えを持
つて
おられるか、この方針、その考え等についても承りたいと思うのであります。 なおまた、かかる訴願委員会復活のごとき重要なる問題は、当然関係筋の了解がなくてはならないものと思うのであります。私の
承知
いたしておるところによりますと、かかる問題については、関係筋は何ら関係しておらぬというふうに聞いておるのでありますが、こういう重要なる問題が新聞紙に堂々と発表ざれるに至りましては、結局
政府
がこれを
新聞紙上
に知らしめたにすぎないのでありまして、この影響するところは、きわめて重大であります。
從つて
政府
は、かような問題について関係
当局
のあらかじめの了解を得たものであるかどうか、この点を明確にしていただきたいと思うのであります。 以上三点について
政府
の明確なる御
答弁
を要望して、私の
質問
を終る次第であります。(
拍手
) 〔
國務大臣林讓治
君
登壇
〕
林讓治
41
○
國務大臣
(
林讓治
君) 山中君に
お答え
いたします。
公職追放
訴願委員会の設立につきましては、この問題は決して総選挙などに間に合せるような心持をも
つて
や
つて
おるのではありません。現在までの追放者につきまして、実際において、きわめて追放者として該当すべき者でないような方々も、幾らもあるのでありますが、その方を解除する目的をも
つて
行うものでありまして、現
政府
としては、今日におきまして必要なものと考えております。 なおその組織につきましては、あるいは先ほど森君が云々のお言葉がありましたけれども、森君が
委員長
にな
つて
やるような構想は抱いておりません。そこで、
一般
民間側からしかるべき人を七名だけ選任いたしまして、過去における訴願委員会の組織と同様、公平なる
調査
に基きまして追放者を解除いたしたいという心組みで計画を立てたものであります。
山中日露史
42
○
山中日露史
君 ただいまの林
大臣
の御
答弁
の中に、追放に該当ぜざる者がたくさんあるということを言われましたが、それはいかなる根拠に基いてそういうことを言われますか。 それからもう一点は、先ほどお尋ねをいたしました関係筋の了解を得てなされておるかどうかということ、この点について、もう一度お尋ねいたします。 〔発声する者多し〕
田中萬逸
43
○副
議長
(
田中萬逸
君) 静粛に願います。 〔
國務大臣林讓治
君
登壇
〕
林讓治
44
○
國務大臣
(
林讓治
君)
日本
において、こういう政策をとることはさしつかえないという点より、このたび設けるようにな
つて
おるわけであります。 なお、該当者がたくさんあるかどうかという点につきまして、きわめて形式的の問題であ
つて
、当然これは追放者として該当すべき者でないような方方が幾らもある。そういう点について、私どもは訴願によ
つて
解除するような方法をとりたいと考えておる次第であります。 ————◇—————
今村忠助
45
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
西村榮一
君
提出
、
予算案審査
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
46
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
47
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
予算案審査
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
西村榮一
君。 〔「総理はどこに行
つた
」と呼び、その他発言する者多し〕
田中萬逸
48
○副
議長
(
田中萬逸
君) 先ほどお断りした
通り
であります。 〔
西村榮一
君
登壇
〕
西村榮一
49
○
西村榮一
君 私は、吉田
総理大臣
に
質問
の予定でありましたが、欠くべからざる用事で席をはずしておられるということでございますから、その点を了承いたしまして、内閣の統一せる
責任
ある
答弁
を、列席の閣僚の中から求めたいと存ずるのであります。
政府
は、現在
提出
しておる追加予算案を組みかえるか、あるいは補正第三号予算を
提出
しなければならない段階に、今日は立ち至
つたの
であります。しからば、その
原因
は一体どこにあ
つた
か。私の問わんとする第一点は、本追加予算を
提出
するにあたりまして、現内閣は、関係方面の担任
当局
と十分打合せ、了解の上に
提出
されたかいなや、ということを承りたいのであります。 〔発言する者多し〕
田中萬逸
50
○副
議長
(
田中萬逸
君) 靜粛に願います。
西村榮一
51
○
西村榮一
君(続) 第二点においては、
政府
は当初本予算を
提出
せずして、
國家
公務員法だけを通過せしめて、即時解散の方針であ
つた
ように承
つて
おるのであります。しかるに、
一般
の輿論並びに各般の諸情勢は、公務員法の審議と同時に、それの生活を保障する追加予算は同時に審議しなければならないという輿論が勝利を得まして、現内閣はそれに從わざるを得なくな
つたの
であります。そこで本予算は、緊急当初の予定を変更せられまして、内閣におきましては、一夜づけというよりも数時間の間において、現在
提出
せられております追加予算は編成せられたのであります。しかるがゆえに、その追加予算の内容なるものは、ずざんをきわめるものであわ、しかもその
提出
にあたりましては、愼重なる準備と用意が欠けてお
つた
ということが、この十数日の間予算審議の澁滞を來した一大
原因
であるといわざるを得ないのであります。そこで私は、この追加予算を組みかえられて行くのであるか、あるいは補正予算の形において修正案を出されるのであるか、いわゆる組みかえか補正予算か、これを第二番目に承りたいのであります。 第三番巨においては、本予算案は申すまでもなく、官公吏の給與改善に要する歳入歳出をその補正の中心とするのでありますが、もしも本予算が……。 〔発言する者多し〕
西村榮一
52
○
西村榮一
君(続) 重大でありますから、もう一度私は繰返して申しますが、本予算案は官公吏の給與改善が中心と相な
つて
おるのであります。しからば、この給與改善なるものの官公吏の給與を取扱
つて
おる関係方面のポストは、それぞれ部署が決定しておるのでありまするが、この官公吏を中心とする給與改善の追加予算が、その直接担任する事務
当局
との十分なる理解と打合せなしに本
國会
に提案せられて、もしも本
國会
が、それを無修正で、
政府
の主張を信任いたしまして通過せしめたときに、はたしてその予算案が実行できるかどうかということを憂えまするならば、今の情勢においては、それは実行不可能であります。 次に私が現内閣に問わんとする点は、この
政府
の言明を信頼してわれわれが審議可決した予算案が、関係方面の事務
当局
との了解と承認なくして
提出
され、しかして審議されたる予算案が実行不可能に
なつ
たときの
責任
は、一体何人が負うべきであるかということを問いたいのであります。申すまでもなく私は、
現下
の予算編成の現実を説いておるのであります。私が今
政府
に御
質問
しておる点はきわめて重要でありまするから、予算編成の現実に即して
質問
しておるのでありましてわれわれ、が予算を編成し、これを
國会
に提案し、
國会
がまたこれを修正せんとする場合におきましても、
政府
が原案を
提出
する場合におきましても、これは関係方面の了解が必要と考えるのである。(「わか
つて
おります。」と呼ぶ者あり)わか
つて
おいでになれば、この
手続
が当然考えられるべきであるということは、ポツダム宣言の受諾によりまして、わが國が
負担
しなければならないのは、終戰処理費その他ポツダム宣言の受諾に伴う多くの歳出が盛られるのであります。同時に歳入において、復興資金並びに救済資金その他多くの関連せる事項があるのでありまして、これらを一括して、歳入歳出とも、われわれは一應お了解を必要とするのであります。しかるに、これと何らの関係のない
法律
案あるいは予算案が審議されて、それが実行不可能に
なつ
たというときの段階に至りますならば、その場合には一体何人が
責任
を負うのであるか。(「
心配
するな」と呼び、その他発言する者あり) 私は、今民自党の諸君から
心配
不用であるという御意見を承
つたの
でありますが、これは現実の予算編成上聞き捨てならぬ一言であります。と申しますことは、われわれ、が関係方面の意図を十分に理解し、了解のもとに國政を審議せんとする
理由
は、一体どこにあるか。それは、アメリカを初めその他関係各國における
日本
國民
の自主権の尊重ということが明らかであるということは、民自党の諸君も銘記しなければならない。しからば、
日本
國民
の自主性の尊重を連合軍でするということは、
日本
の
國会
の権威を維持して行きたいという関係方面の好意でありまたわれわれも、全力をあげて
日本
國会
の権威を維持しなければならないと信ずるのであります。しかるに、何らの理解と了解と連絡なくして、不十分なる、ずさんなる予算案を提案せられまして……。
田中萬逸
53
○副
議長
(
田中萬逸
君) 西村君、時間が迫りました。結論に入られんことを望みます。
西村榮一
54
○
西村榮一
君(続) 結論に入りましよう。——
國会
が通過して、
法律
案あるいは予算案が実行できなく
なつ
たときに、一体
政府
はいかなる
責任
をとられるか、この点、明確なる御
答弁
を煩わしてみたいと思うのであります。 〔
國務大臣
大屋晋三君
登壇
〕
大屋晋三
55
○
國務大臣
(大屋晋三君) ただいまの西村君の御
質問
に対しまして、私より御
答弁
申し上げます。 第一問は、現在
提出
中の予算を
政府
は組みかえて出す
意思
はないかあるかという御
質問
でありますが、これは
意思
はないのであります。 さて第二段の問題といたしまして、追加予算または補正予算を
提出
するかという御
質問
であ
つた
と思うのでありますが、これまた、ただいまのところ、ま
つた
くさようの
意思
はないのであります。 さて第三点に対しましては、今回の補正予算並びに公務員の給與の法案につきましては、いずれも関係筋と合理的に協議いたしまして
國会
に
提出
いたしましたのでございますから、西村君がいろいろと御
心配
に相なりましたこの予算の通過におきましては、実行不可能などということは毛頭ないと信じまするし、從いまして、合法的に
國会
に
提出
されました予算の実行並びにそれが運営に対しまして、関係方面とも毫も対立をかもすがごときおそれはないと信じておる次第であります。 右、御
答弁
申し上げます。
西村榮一
56
○
西村榮一
君 再
質問
……。
田中萬逸
57
○副
議長
(
田中萬逸
君) 時間がありませんからなるべく自席から願います。 〔
西村榮一
君
登壇
〕
西村榮一
58
○
西村榮一
君 私は、
議長
の寛容なるお許しを得まして、きわめて短時間において再
質問
いたします。 今大屋君は、補正も追加予算も出さないという御説明でありましたが、人事委員会において、この
政府
原案を修正するところの
法律
案は、すでに了解がついておるのであります。しからば、これが予算委員会にまわ
つた
ときに、当然現在
政府
が提案せられております予算案は、修正するか、あるいは補正予算を出さなければならないということは、予算のABCを知
つて
おる人ならば十分了解ができるのであります。しかるに、私は簡単に結論を申しますが、ただいまの大屋君の
答弁
はきわめて欺瞞であ
つて
、この欺瞞は数時間の後に暴露せられるであろうということを申し上げて、しかして本日は時間がありませんから、この正体を突き詰めて、私は新しい機会を求めて
政府
を追究して行きたいと存ずるのであります。(
拍手
) ————◇—————
今村忠助
59
○
今村
忠助君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわちこの際、
石原圓吉
君
提出
、
水産業復興促進
に関する
緊急質問
を
許可
されんことを望みます。
田中萬逸
60
○副
議長
(
田中萬逸
君)
今村
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中萬逸
61
○副
議長
(
田中萬逸
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
水産業復興促進
に関する
緊急質問
を
許可
いたします。
石原圓吉
君。 〔
石原圓吉
君
登壇
〕
石原圓吉
62
○
石原圓吉
君
水産業復興促進
に関する
緊急質問
をいたします。 わが國
現下
の水産業は、荒廢からいまだま
つた
く回復し得ない
状態
であります。國内重要産業の全分野にわたる総合的、経済的復興、特に食糧対策の見地から、これが急速なる復興をはかることは当面緊急の要務であります。しかして、南極捕鯨の
許可
、漁業用資材の輸入等連合軍多大の好意によりまして、
生産
の復興はその曙光を見出されつつあるのでありますけれども、現在許容されている海区においては、いかに可能範囲における最大限の
生産
に努めても、なお
國民
の水産食料の最低必要量にも達しないうらみがあります。 次に、わが國水産復興の基盤をなす水産資源に対する
調査
研究については、ほとんどその見るべきものがないのであります。
かく
ては、
生産
の合理的、永続的維持発展を期することはとうてい望み得ないのであります。なお、水産復興に緊要な資金の融資は特殊のものに限定され、金融機関からの融資はほとんど皆無の状況であります。もし現状のままに水産金融の情勢を放置しておくならば、その復興はとうてい期し得ない
実情
であります。よ
つて
政府
は、水産復興促進をはかるため、水産資源の
調査
研究に対する的確なる施策と、水産資金の円滑化に対する
國家
資金の供給をはかる施策とを急速に行うことを強く要望する次第であります。 以上申しましたことを結論として要約いたしますならば、戰後におけるわが國の水窪業に対する基本的要素とする
調査
研究機関が、戰争や震災等により壊滅的な
被害
をこうむ
つたの
で、その機能をほとんど発揮し得ない現状であります。すなわち、今日までの水産業は、ただ
生産
高を重点に置いた漁獲を奨励し、魚をとりほうだいにと
つて來
たのでありまして、その結果、はなはだしい濫獲に陥り、漁場は手ます荒廢の極に達するばかりでなく、蛋白給源の大本であるいわしの不漁を初めとして、魚族の影をひそめたものは、今や数千種に上
つたの
であります。ことにいわしのごときは、昨年より本年にかけて、ただ九州の一角にのみ漁獲がわずかにありましたが、その他の全國には、いわしの影を見ないという
状態
であります。 漁業の前途はま
つた
く危機に瀕しつつあります。そこで、これらの対策として、漁業に高度の科学性を取入れ、魚族の増殖保護等に関する
調査
研究機関を設けて、合理的、永続的漁業の発展を期せなければならないのであります。よ
つて
この際、國立水産
研究所
と、わが國水産業の
実情
に即した、内容の充実した水産
大学
の設置を必要と認めて、これを強く主張するものであります。現在、水産試験場や試験場所属の試験船その他水産学校のすべては荒廢のままでありまして、水産國
日本
といわれるのに、水産
大学
の
一つ
もないということは、も
つて
のほかと存ずるものであります。(
拍手
)この点について
政府
はいかなる具体策を実施しようとするのであるかをお尋ねいたします。 次に水産金融でありますが、
昭和
二十三年八月現在の復興金融金庫の融資総額は約九百億円でありますが、そのうち水産に対しては、わずかに三十四億六千余万円でありまして、さきに問題を起した
昭和
電工の融資二十四億円と比較いたしますと、水産の方がわずかに十億円ほど多いだけであります。水産業者の中に
昭和
電工の社長のような人がただ一人でもあ
つた
ならば、水産融資は数百億円に達してお
つた
だろうと思うのであります。この点より考えましても、
政府
はいかに水産金融に冷淡であるかがうかがわれるのであります。漁船建造等は大体復興いたしましたけれども、ただ船ができただけで、それを運航するところの準備資金は少しも満たされていないのであります。かつお・まぐろ漁業、捕鯨漁業等主として遠洋漁業に重点が向けられて、沿岸漁業に対しては実に軽く扱われて來たのでありまして、現に本年十月現在の水産金融総額四十五億のうち、沿岸漁業に対しては、わずかに十五億円に達しないという哀れな
状態
であります。わが國水産総漁獲の八〇%は、みなこの沿岸漁業者の
生産
する
生産
高でありますのに、このような片手落ちの融資の分配は、実に不合理きわまるものといわなければなりません。 右の融資の梗塞と潮流の異変によりまして、今年の夏の初めより、遠洋・沿岸漁業ともに非常な不漁を示したのであります。漁村は荒廃を來し、國翻の沿岸から、漁業運轉資金難の声がごうごうとごの
國会
にも参
つて
おるのであります。現在、以西底引漁業、かつお・まぐろ漁業、定置漁業、いわしあぐり網漁業の多数の漁船は、出漁の仕込み資金に窮して、
日本
海、太平洋各地の漁港に数十日滞船して、毎日その苦痛を訴えている始末であります。このまま放置いたしますれば、年末年始に際し六大都市には魚の姿を見ることもできぬばかりでなく、数十万の漁夫は、居ながら、漁群ながめながら、年末越冬に窮する情勢であります。ゆえに
政府
は、この際非常特別手段による緊急対策を立て、当面の運轉資金十七億円を一刻も早く融資せられんことを、切に要望するものであります。私は、この融資が不可能の場合、沿岸漁村及び漁業根拠地において万一の
不祥事
が起ることがあ
つて
はならぬことを憂うるものであります。以上述べました私の
質問
に対し、
政府
は今いかなる対策をとりつつあるか、具体的な御所見を伺いたいのであります。 以上は、大蔵
大臣
並びに農林
大臣
にお尋ねするのでありますが、
最後
に水産金融制度を確立すること、これをすみやかに制度化することに対して、
総理大臣
の御
答弁
を伺いたいのであります。(
拍手
) 〔
國務大臣周東英雄
君
登壇
〕
周東英雄
63
○
國務大臣
(
周東英雄
君)
お答え
いたします。 御
質問
の内容にありました戰後における漁業の復興に関して、まず第一に、漁業その他海流等の
調査
研究機関を拡充し、水産
大学
を設置するの
意思
はないかというお尋ねであります。今日における漁場の荒廃状況を見まして、今後漁族の繁殖法並びに海流異変に伴う魚族の減少等に関しまして、
政府
は目下
調査
研究所
を
調査
し、全国九ブロックにわけて愼重に
調査
研究を進めておりますが、同時に、これらは
現地
員の不足にありますので、各地方にある水産試験場分場等の協力を得まして、海流
調査
、漁場
調査
等に力を入れておりますが、なお不足であります。これは私どもといたしまして、この研究
調査
に関してはでき得る限り拡大いたしたいと考えております。 第二の御
質問
であります漁場の金融についてのお尋ねでありますが、これはお話の
通り
、
終戰後
において一番遅れているのが農漁業金融であります。しかしてこれに関しましては、お話の
通り
、沿岸漁業並びに遠洋漁業に対するおのおの独立した立場において
施設
することが正しいと思います。沿岸漁業に対しましては、先ほど第三
國会
で通過いたしました漁業協同組合組織を通じて短期・中期資金を融通する方策をもち、それに対しまして、どうしても
政府
の
相当
額の融資法を考える必要があると考えます。同時に、ただいま御指摘のかつお。まぐろ漁業、あるいは定置漁業、あるいは関東北におけるいわしまきあみ漁業、東海・黄海における底引漁業等に関する目前に追
つた
着漁資金の梗塞からいたしまして、こここに非常な問題が起りかけておりまするが、これらに対しましては、先般の衆議院並びに参議院の委員会の決議並びに参議院の本
会議
における決議の趣旨を尊重いたしまして、最近これらの漁業に対しましては、その必要とする漁業用資材の購入資金の融通に関しまして、一定限度の保証のもとに融資をいたし、漁業手形の方法によ
つて
これが
処置
をとるべく、すでに計画樹立済みであります。近くこれを実施に移すことにな
つて
おることを御了承願いたいと思います。恒久
施設
としての農漁業金融の確立に関しましては、金融委員会制度とにらみ合せまして、目下研究中であります。 〔
國務大臣
大屋晋三君
登壇
〕
大屋晋三
64
○
國務大臣
(大屋晋三君) 石原君の御
質問
の水産金融に関しまして、ただいま農林
大臣
から御
答弁
がありましたが、私から少し補足して申し上げることにいたします。 さしづめの手段といたしまして、いわゆる漁業資材
配給
規則に
規定
いたしておりまするところの漁網その他の漁業資材並びに漁業用の油の購入資金に限りまして、とり急ぎの措置といたしまして漁業手形の方式を考えておるのであります。すなわち、振出人は漁業資材または漁業用油の賣却人、支拂人は漁業資材または漁業用油を購入する漁業者、保証人といたしまして漁業者より漁獲物を買い取る公認荷受機関、こういうような関係におきまして漁業手形を発行いたしまして、市中の金融機関から割引が受けられるようにいたそうと考えております。なおこの漁業手形は、復興金融金庫の損失
補償
または支拂保証を付することにいたしたいと考えております。なお融資の金融機関が、資金の必要上
日本
銀行から借入れをなす場合には、農業手形に準ずる適格手形といたしまして
取扱い
をいたす考えであります。
石原圓吉
65
○
石原圓吉
君 この席よりお許しを願います。
田中萬逸
66
○副
議長
(
田中萬逸
君) よろしゆうございます。
石原圓吉
67
○
石原圓吉
君 金融制度の確立につきましては、次の適当なる機会に
総理大臣
より御
答弁
を伺いたいのであります。この点留保いたしておきます。
田中萬逸
68
○副
議長
(
田中萬逸
君)
承知
いたしました。その
手続
をとります。 この際暫時休憩いたします。 午後八時八分休憩 ————◇————— 〔休憩の後は
会議
を開くに至らなか
つた
〕