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猪俣浩三君
吉田内閣は
綱紀粛正の大旛を揚げますから、その線に沿うて
質問いたします。
福井檢事総長は、
丸ビルの四階に
福井事務所なる
看板を掲げておられるということであります。その
事務所には、元大審院の
檢事をや
つておられましたところの
池田克君及びその他二名の
弁護士が執務しておるそうでありまするが、やはり
事務所の
看板は
福井事務所と相な
つておるそうであります。これはいかなることであるか。この
事務所が
福井檢事総長の
事務所であるかどうか。
池田克君は、これは有数の
弁護士であります。何がゆえに
池田法律事務所の
看板を掲げないのであるか。ここから実は、事がはなはだ簡単のようでありますけれ
ども、
幾多の
疑義が
東京弁護士会の中に起
つておるのであります。(
拍手)私はこれを信じませんけれ
ども、
東京弁護士会の中には、こうごうたるうわさがあるから私は
質問申します。のみならず、この
質問は、今から十日以前に、
法務委員会におきまして、
法務総裁に私ほ
質問したのであります。ところが、
法務総裁も
檢務長官も、そのことは初耳であるから、
講査の上返事をするという御
答弁でありましたが、今日に至るまで何らの御返答がない。ゆえに私は、再び本
会議でその御
答弁を伺いたいのであります。
はたして
福井檢事総長が、
丸ビルの四階に
福井事務所なる
看板を掲げ、その中に
池田克その他二名の
弁護士が執務しておるやいなや。また
福井檢事総長は、しよつちゆうこの
事務所に出入りされておるということであるが、その事実いかん。なお、私
どもがこの
質問をいたしますることは、わが
檢察当局の権威をいやが上にも高からしめんためにいたすのでありまして、巷間のデマを信ずるわけでありませんが、いやしくも
檢事総長の職にある者は、少しでも
疑いを起させるような
行爲はお慎みにな
つてしかるべきものであると
思つて、
質問いたすのであります。
なお
東京弁護士会の中には、
福井檢事総長はどうも
事件を
事務所に紹介しておるらしいということを放言しておる者あるのであります。かような事実につきましても、お
調べを一体していただいたかどうか。私は十日前にすでに
質問しておるのですが、いまだに
答弁がない。聞くところによりますと、私の
質問がありました後に、
福井事務所という
看板をお下げに
なつたということであるが、はたしてさようであるかどうか。そういうことについてもお尋ねしたいと思うのであります。なおこれに関連いたしまして、この
檢事総長を含みますところの
檢事の
行爲につきまして、これと
法務総裁との
関係について、
法律的な
質問を二、三いたしてみたいと思うのであります。
法務総裁は、
檢察廳に対してどの程度の
指揮監督命令権があるのであるか。
檢察廳法第十四條によりますれば、
法務総裁は
檢事総長を
指揮命令することができるように
規定されておりまするが、はたしてこれが実行されているかいないか。ある大きな
事件にして、
法務総裁が実際何ら
報告を受けておらぬというようなことを、耳にするのでありますが、はたして事実いかん。この点について、赤裸々なる御
報告を願いたいのであります。
檢察事務の
指揮監督をいたしまする人が、
具体的事件について何ら関知しないというようなことは、これは非常に問題であります。実際いかなる
事美の
報告を受け、いかに
檢察の実際の
事務についてタツチせられておるかを、明確にしていただきたい。
それから、もしここに
指揮命令の権利があるとするならば、この
法務総裁の
指揮命令に従わなかつたところの
檢事総長に対しては、いかなる処置がなされるのであるかを、お尋ねしたいのであります。それに引続きまして、
一般の
檢事総長及び
檢事の行いました
行爲につきましては、何人が責任を負われるのであるか。この法理的の論拠を明らかにしていただきたいのであります。新しくできまするところの
國家公務員法によりますと、その第八十四條には、いわゆる官吏の任命権者が懲戒権を持
つておるように相なるのであります。しからば、この
檢事総長は
内閣が任命権を持
つておると思うのでありますが、この戒事総長あるいは
檢事に対しましての懲戒処分は、
内閣においてやるべきものであるかどうか、さようなことについてもお聞きしたいのであります。
なお、
國家公務員法の八十二條の第三号によりますと、いわゆる官吏が
國民全体の奉仕者としてふさわしからざる
行爲をやつた場合には懲戒の理由になるということに相なるのでありますが、
福井檢事総長が、
福井事務所なるところの
看板を
丸ビルの四階に掲げ、池田氏の名前を出さずしで、しかもこの
事務所に勤めておりますところの
弁護士諸君は、その名刺の中に、住所といたしまして
丸ビル四階
福井事務所内なる名刺を振りまわしておるそうでありますが、これらのことが、この国家公務員法八十二條第三号に触れるものなりやいなや、この点についても御
答弁願いたいのであります。私の見解をも
つていたしますならば、この
檢事及び
檢事総長の
行爲につきましては、いわゆる
法務総裁及び
内閣全体が責任を負うべきものであり、なお
内閣の首班としての
総理大臣の責任も重大だと
考えるのでありますが、この第一次、第二次の各順位における責任
関係を明らかにしていただきたいのであります。
今日、司法
フアツシヨなる叫びがある。同僚
高橋議員の
質問にも、さような趣旨が含まれておつたのでありますが、これは実にわれわれ身の毛のよだつほどいやな言葉であります。戦時中いかにこの
檢察フアツシヨのために
一般の人民が悩まされたか。今日ようやくにして民主の國と立直つたという際に、とたんにこの
檢察フアツシヨなんということは、実にゆゆしき問題であります。しかしこれは、眞に政界の腐敗を徹底的に粛正するためには、
檢事は十二分にその権能を発揮してもさしつかえないと存じますが、それにほ
法律に従い、いわゆる適法にや
つていただきたいし、なおその法に違背をした場合におきましての責任を明らかにしておきませんと、この司法
フアツシヨがいつの間にか蔓延するおそれがあるのでありますから、私は、以上の意味におきまして、この
檢事総長及び
檢事の
行爲に対して何人が責任を負うか、及びこれを懲戒処分するについては、いかなる手続をも
つて何人がするものなりや、すなわち
法務総裁と
檢事総長との
法律関係、なお具体的に、実際的に、この
法務総裁は
檢察当局のや
つておるところの
檢察事務に対して、はたして一々御相談に乗
つておるのであるかどうか、その点を明らかにしていただきたいのであります。
なぜかと申しますと、一体
法務総裁という役は、
内閣全体の
法律顧問であるということに相な
つておりますし、また
檢察当局の首脳ということに相な
つておりますから、これは
法律の専門家をも
つて充てることが適任だと
考えられておるにかかわらず、現
法務総裁は、まことにずぶのしろうとであります。かような方を
法務総裁にするということが、まことに適当であるかどうか私は
疑いなきを得ない。
吉田総理大臣の人事に対しまして、はなはだ懸念とするところがあるのであります。かような、
檢察の実際慣行も
檢察のやり方も知らないしろうとが
法務総裁にな
つておりますことは、
檢察当局にと
つては、もつけの幸いでありまして、まるででくのぼうのように取扱
つて、いろいろなことをやらぬとも限らぬ。や
つておるとは申しません、やらぬとも限らぬのであります。(
拍手)この意味におきまして、なお私は、実際殖出
法務総裁がどの程度に一体
檢察当局と御協力なさり、どの程度の
報告を受けているか、そうしてその責任はどういうふうにお負いなさるのであるかを
質問いたす次第であります。
なお、私の
質問に対する
答弁に満足行きません場合は、再
質問を留保いたしたいと存じます。
〔
國務大臣殖田俊吉君
登壇〕