○野原
委員 本件は岩手縣岩手郡御所村という所にある、俗に言う矢櫃山という國有林でありますが、その山が藩政時代におきましては、南部藩から
関係の村々に対しまして、薪炭であるとか下草、あるいはまた用材等の利用が認められておりましたいわゆる入会権であ
つたのであります。官民区分の当時におきまして、それらの
事情が十分愼重に考慮されて、官民の区分ができべきはずであ
つたのでありますけれ
ども、たまたまその当時あの厖大な岩手縣としましてはあまりにも林野の面積が廣く、この具体的細密にわた
つてそれらの入会状態等を
考えて、官民の区分を合理的に
解決するということのためには、あまりに人手が不足であるというようなことのために、その問題をあとに残しまして、遂にその当時國有林に編入される。つまりあとで拂い下げることを十分
考えなければならぬというようなことで、三等官林と申しますか、それらの
事情の判明した場合においては拂下げをするのであるというようなことで、三等官林ということにな
つたのであります。ところがその後これらの國有林の管理経営にあたりましては、その地元の要望等を十分
考えることなく今日に至りました
関係上、
関係の町村におきましては、從來藩政時代においては年々薪炭等をその山に仰いでお
つたものが、その入会の権利というものは一切認められないということのために、非常に困
つておる次第であります。たまたま從來のいろいろな縁故
関係の書類や、あるいはまた証拠書類になるべき幾多のものが十分にわかりまして、先般水分村長の鷹木嘉右エ門氏初めこの八箇村の村長さんたちが連名で、この山の國有林を拂い下げてもらいたいという
請願を出したわけであります。よく
事情を
調査いたされまして、できるだけこの
請願の趣旨を急速に実現せしめるようにおとりはからいを願いたいと思います。この官民区分にあた
つて行いました当時の
政府が、いわゆる明治維新の草創の際でありまして、非常な過ちを犯しておる。そのために東北においては軒下から國有林に
なつてしま
つたというふうな、官民区分上のはなはだしき民生圧迫と申しますか、現象がいまだ残
つておるわけであります。これらの
事情をこの
機会に十分
考えられまして、來るべき近い將來において林野整備を徹底されまして、こうしたむりに國有林に編入した地域に対しましては、積極果散にこれを地元町村に拂下げをする
方策をお立てになることが必要であろうと思うのであります。この
請願をそういう趣旨で御採択あらんことをお願いいたします。